JP2009136893A - 熱交換用の金属プレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】核沸騰を促進する形状を簡単に製造することができるようにする。
【解決手段】核沸騰を促進させる核沸騰促進部8が表面に形成された熱交換用の金属プレートの製造方法であって、核沸騰促進部8の形成にあたっては、移送している金属プレート5の表面に加工ロール3の加工部7を押圧することで金属プレート5の表面に凸状の被加工部6を形成すると共に、この被加工部6を加工ロール3の加工部7で切り欠くことで核沸騰促進部8を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱交換用の金属プレートの製造方法に関する。
従来より、熱交換用に用いられる金属プレートは、その表面に凹凸状の微細加工を施すことで表面積を増大させ、伝熱性がよいものとなっている(特許文献1)。
金属プレートに凹凸状の微細加工を施す方法として、金属プレートに対して凸状の突起部をプレスすることにより、その金属プレートに凹凸を形成させるものが一般的である。
特開平4−369391号公報
さて、交換用の金属プレートでは、その表面が凹凸状となっていることで表面積が増大するために伝熱性が高いという利点もあるが、凹凸の形(形状)を工夫することによっても伝熱性を高めることができることが知られている。例えば、金属プレートの表面に形成した凹凸形状を核沸騰が促進される形状(沸騰時に気体が入り込むことのできるピットを有する形状)とすることによって伝熱性が向上する。
しかしながら、従来のようなプレス加工によって、核沸騰を促進するような凹凸形状を金属プレートの表面に形成することは非常に困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、核沸騰を促進する形状を簡単に製造することができる熱交換用の金属プレートの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、核沸騰を促進させる核沸騰促進部が表面に形成された熱交換用の金属プレートの製造方法であって、前記核沸騰促進部の形成にあたっては、移送している金属プレートの表面に加工ロールの表面に形成された加工部を押圧することで当該金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成すると共に、この被加工部を前記加工ロールの加工部で切り欠くことで前記核沸騰促進部を形成する点にある。
発明者は、核沸騰が促進される形状を形成する方法について様々な観点から検証を行った。その結果、加工ロールの加工部によって金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成させる第1段階と、加工ロールの加工部によって一度形成した凸状の被加工部を切り欠くことで核沸騰が促進される形状に変形させる第2段階とを、連続して意図的に行うことによって、非常に簡単に核沸騰が促進される形状を形成することができることを見出した。
前記加工ロールに対する金属プレートの先進率を、式(1)を満たすように制御することで、前記被加工部を前記加工ロールの加工部で切り欠くようにしていることが好ましい。
Figure 2009136893
核沸騰を促進させるべく核沸騰促進部が表面に形成された熱交換用の金属プレートの製造方法であって、前記核沸騰促進部の形成にあたっては、移送している金属プレートの表面に加工ロールの表面に形成された加工部を押圧することで当該金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成し、この被加工部の頂部を厚み方向に軟圧することで前記核沸騰促進部を形成する点にある。
発明者は、核沸騰が促進される形状を形成する方法について様々な観点から検証を行った。その結果、加工ロールの加工部によって金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成し(第1段階)、次に一度形成した頂部を厚み方向に軟圧すること(第2段階)によって、非常に簡単に核沸騰が促進される形状を形成することができることを見出した。
本発明によれば、核沸騰を促進する形状を簡単に製造することができる。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の熱交換用の金属プレートの製造方法を説明するための加工装置の概要図を示している。この加工装置1(1A)は、熱交換用の金属プレート(PHE用金属プレート)5トを製造するものであって、移送ロール2と、加工ロール3と、支持ロール4とを備えている。
図1、2に示すように、移送ロール2は、金属プレート5を移送するためのものであって、加工ロール3から見て上流側及び下流側に配置されている。加工ロール3は、移送されている金属プレート5の表面にミクロンオーダ(数μm〜数百μm)の凹凸を形成することで、表面積を増加させ、且つ、核沸騰促進部8を形成することにより、伝熱性の優れた突起を形成するものである。
この加工ロール3の外周面の全周には、核沸騰促進部8を形成するための複数の凸状(例えば、台形状)の加工部7が形成されている。各加工部7は軸方向に延設されたものとなっている。支持ロール4は加工ロール3に対向して配置されていて、金属プレート5の被加工部6の反対側を支持するものとなっている。
加工装置1では、移送ロール2の回転によって金属プレート5を上流側から下流側に移送させ、この金属プレート5の表面に加工ロール3の加工部7を接触させて押圧することによって、金属プレート5の表面に核沸騰促進部8を形成する。
詳しくは、図3に示すように、加工装置1では、加工ロール3の凸状の加工部7を金属プレート5の表面に押しつけることで、位置Pにて当該金属プレート5の表面に加工部7と同じ凸状の被加工部6を形成し、加工ロール3の加工部7が金属プレート5の表面から離れてしまうまでの間(位置Pから位置Qまでの間)に、凸状とした前記被加工部6を加工部7で切り欠くことによって核沸騰促進部8を形成する。
なお、加工装置1は、金属シートなどの圧延材に対して圧延を行うタンデム圧延機の最下流側に配置されていてもよいし、単独の加工ラインとして配置されていてもよい。また、前記加工ロール3をタンデム圧延機の最下流側に設けることで、加工装置1自体をタンデム圧延機に設けるようにしてもよい。
以下、本発明の熱交換用の金属プレートの製造方法を詳しく説明する。
本発明において、加工装置1で形成する核沸騰促進部8は、図4(a)に類似した形状であって、この形状が核沸騰を促進する上で好ましいことは知られている(例えば、機械工学基礎講座「伝熱学」、西川兼康著、1982、理工学社、p214)。
核沸騰促進部8は、その内部(凹部分)に気体が入り込むためのピット(気体ピット)9を有しており、液体沸騰時に気体ピット9内の気体によって気泡(気相)が成長して気泡発生点となる形状である。これに対して、図4(b)に示すような形状であると、ピット9aが浅く且つ開口部Kが広いため、液体沸騰時にそのピット9aには気体が入らず液体のみで満たされてしまう。また、図4(c)に示すような形状では、ピット9bが深いため、液体沸騰時にそのピット9b内には気体が入りやすく核沸騰を促進する上では好ましいが、図4(a)に比べれば、核沸騰の促進はやや低いものとなっている。
本発明では、加工ロール3の加工部7によって金属プレート5の表面に、図4(a)、図4(c)に示すような核沸騰促進部8を形成することで、金属プレート5が液体沸騰時に核沸騰が起こりやすいものとしている。また、本発明では、核沸騰促進部8の形状と、表面積の増加の効果によって、製造する金属プレートを非常に伝熱性の優れたものとしている。
図3(a)、(b)に示すように、核沸騰促進部8を形成するにあたっては、まず、位置Pにおいて、加工ロール3の加工部7を金属プレート5の表面に最も近づかせることで、金属プレート5の表面に加工ロール3の加工部7と同じ形状の凸部を形成する。
そして、図3(c)に示すように、加工ロール3の回転により加工部7が位置Pよりも下流側において、加工ロール3の加工部7が金属プレート5の表面から徐々に離れる際に、加工ロール3の加工部7と金属プレート5の被加工部6とをオーバーラップさせることで、加工部7で被加工部6を意図的に削り、長手方向(移送方向)で隣り合う被加工部6(削られた被加工部6a、6a)によって、核沸騰促進部8が形成される。なお、位置Qは、加工ロール3の加工部7が金属プレート5から離れる直前の状態を示している。
加工の状態変化を詳しく見るために、加工部7で当該加工部7と同じ形状を形成させた位置Pを基準として、この基準の位置PからQ位置に達するまでのt1秒後における加工部7と被加工部6の動きを考える。
ここで、位置Pでは、凸状(台形状)の加工部7において回転方向の後側に位置する第1頂部N1と、凸状(台形状)の被加工部6において移送方向の前側に位置する第1底部S1とは略一致しているものとし、一致部分を基準点Oとする。また、x軸は金属プレート5の移送方向と同じであり、y軸は金属プレート5の厚み方向と同じである。
図3(c)に示すように、加工ロール3側において、t1秒後の加工部7の第1頂部N1の移動量は、式(2)及び式(3)で表される。
Figure 2009136893
式(2)及び式(3)において、L1は第1頂部N1の水平方向の移動量(水平移動量)で、Z1は第1頂部N1の垂直方向(厚み方向)の移動量(垂直移動量)である。
一方で、金属プレート5側において、t1秒後の被加工部6の第1底部S1の移動量は、式(4)及び式(5)で表される。
Figure 2009136893
式(4)及び式(5)において、L2は第1底部S1の水平移動量で、Z2は第1底部S1の垂直移動量である。
図5は、t1秒後における被加工部6と加工部7との位置を表したものである。
t1秒後において、被加工部6における移送方向の前側(移送方向に移動する際の先行側)での第2頂部N2の座標(x,y)は、式(4)及び式(5)により、第2頂部N2の座標(x,y)=(L2−a,b)として表すことができる。
ここで、aは被加工部6において基準となった底部S1から第2頂部N2までの水平距離(水平成分)を示しており、bは被加工部6において基準となった底部S1から第2頂部N2までの垂直距離(被加工部6の高さ、垂直成分)を示している。
また、t1秒後において、加工部7の第1頂部N1の座標(x,y)は、式(2)及び式(3)により、(x,y)=(L1、Z1)として表すことができる。
さて、位置Pから下流側にいくにつれて、加工部7は被加工部6から離れることになるが、加工部7が被加工部6から離れるまでの過程において、第1頂部N1が第2頂部N2よりも基準点側に位置すれば、両者がオーバラップするため、第1頂部N1によって被加工部6を削ることができ、被加工部6を変形させることができる。
そこで、加工ロール3の加工部7の第1頂部N1で金属プレート5の被加工部6を削るための条件を考えると、少なくとも位置Pから第1頂部N1が第2頂部N2と同じ高さ(y=Z1=b)になるまでの間に、第1頂部N1が第2頂部N2よりも遅延すれば、オバーラップするので加工部7によって被加工部6を移送方向とは反対方向(上流側)に押し(倒し)ながら削って加工することができる。
即ち、t1秒後において、第1頂部N1のx座標が、第2頂部N2のx座標よりも小さい式(6)が条件となる。式(6)を整理すると式(7)になる。
Figure 2009136893
第1頂部N1が第2頂部N2に達した際(Z1=b)のy座標は式(8)で表され、この式(8)により、時間t1を求めると式(9)となる。
Figure 2009136893
また、金属プレート5の移送速度は、先進率の式により式(10)のようになる。
Figure 2009136893
式(10)及び式(9)を式(7)に代入すると式(1)が得られ、この式(1)を満たすことで、加工ロール3の加工部7の第1頂部N1で金属プレート5の被加工部6を削り、核沸騰促進部8を形成することができるようになる。
Figure 2009136893
言い換えれば、熱交換用の金属プレートの製造方法においては、式(1)の条件下で、先進率を制御することによって、加工ロール3の加工部7の第1頂部N1で金属プレート5の被加工部6を削り、核沸騰促進部8を形成するようにしている。
具体的には、金属プレート5に核沸騰促進部8を形成させるにあたり、最終的な核沸騰促進部8の形状から第1段階での被加工部6の形状、即ち、水平成分a及び垂直成分bを設定した上で、加工ロール3の圧下率、加工ロール3の入出側における金属プレート5の板厚、金属プレート5の上流及び下流側の張力、摩擦係数を設定した上で、式(11)で求められる先進率が式(1)を満たすように、各種条件を変更する。
Figure 2009136893
先進率が式(1)を満たすように、上流側の張力を上げたり、下流側の張力を下げたりすることで、金属プレート5の被加工部6を削って核沸騰促進部8を形成する。下流側の張力を下げるにあたっては下流側の移送ロール2の周速を下げ、上流側の張力を上げるにあたっては上流側の移送ロール2の周速を下げる。先進率を制御するに際しては、図6に示すような張力に対する先進率の変化を考慮して制御することが好ましい。
図7は、表1に示すように、下記の初期条件を設定し、式(1)を満たすように先進率を制御した際の加工ロール3の第1頂部の軌跡と、第1加工時の被加工部6の形状との関係をシミュレートしたものである。具体的には、表1の条件で、式(1)を満たすように、入側張力σbはそのままで、出側張力σfを変更した。
Figure 2009136893
図7に示すように、加工部7を被加工部6とオーバラップさせているため、加工ロール3の加工部7によって被加工部6を削っている。
先進率を制御するにあたっては、金属プレート5に加わる張力の他に、図8に示すように、金属プレート5に対する加工ロール3の圧下率を変更してもよいし、図9に示すように、加工ロール3のロール速度を変化させて摩擦係数を変更することで先進率を制御するようにしてもよい。また、加工ロール3の半径Raを変更してもよい。
Figure 2009136893
上述した考え方に基づき、削られる前の被加工部6の基準点(底部S1)から最終加工後の核沸騰促進部8(削られた被加工部6a)の頂部N3での水平距離をa’とし、削られる前の被加工部6の基準点(底部S1)から最終加工後の核沸騰促進部8(削られた被加工部6a)の頂部N3での垂直距離をb’とし、式(1)を変形して式(13)にすることで、被加工部6を削り取った後の核沸騰促進部8の形状を適宜設定することも可能である(図5参照)。
[第2実施形態]
図10は本発明の熱交換用の金属プレートの製造方法の概念図を示している。
実施形態における加工装置1(1B)は、加工ロール10と、支持ロール11と、圧下ロール12と、図示省略の移送ロールとを備えている。
加工ロール10は、移送されている金属プレート5の表面にエッジ状(先細り状)の被加工部13を形成するものであって、圧下ロール12の上流側に配置されている。加工ロール10の外周面には、周方向に延びるエッジ状(先細り状)の加工部14が軸方向に亘って複数設けられている。支持ロール11は、加工ロール10に対向して配置されていて、金属プレート5の被加工部13の反対側を支持するものとなっている。
圧下ロール12は、加工ロール10の下流側に配置されいて、金属プレート5の表面に形成された凸状の被加工部13を軟圧下することで、金属プレート5の被加工部13の頂部を潰して核沸騰促進部8を形成させるものである。
本発明の熱交換用の金属プレートの製造方法を詳しく説明する。
熱交換用の金属プレート5を製造するにあたっては、まず、移送している金属プレート5を、加工ロール10と支持ロール11との間に導入し、加工ロール10の加工部14を金属プレート5の表面に接触させて、所定の圧力で押圧する。金属プレート5の表面には、その長手方向(移送方向)に延びたエッジ状の被加工部13が形成される。
表面にエッジ状の被加工部13が形成された金属プレート5を、上下一対の圧下ロール12に導入して、先細り部(頂部)16を厚み方向に軟圧下して潰す。例えば、金属プレート5が板厚5mmの純Alである場合、加工ロール10では圧下率を10%程度、圧下ロール12では1%程度圧下する。
金属プレート5の先細り状の被加工部13を押し潰し、長手方向に隣接する潰れ部13a(先端が潰された加工部13)の内壁部によって気体ピット9が形成され、全体として核沸騰促進部8が形成されることになる。なお、この実施形態において、加工部14を先細りのエッジ状としたが、これに代え、側面視で台形状(矩形状)であってもよい。
この実施形態によれば、金属プレート5の表面に凸状の被加工部13を形成すると共に、この被加工部13の頂部を厚み方向に軟圧することで核沸騰促進部8を簡単に形成することができる。本発明の熱交換用の金属プレート5の製造方法は上記の実施形態に限定されない。
第1実施形態に係る加工装置の概要図である。 熱交換用の金属プレートの製造方法を示す図である。 加工の状態を示す説明図である。 核沸騰促進部を説明する説明図である。 t1時間後の加工部と被加工部の位置を示す座標図である。 張力と先進率との関係を示した図である。 式(1)を満たす条件で加工した際の第1頂部の軌跡と被加工部の形状との関係を示した図である。 圧下率と先進率との関係を示した図である。 摩擦係数とロール速度(周速)との関係を示した図である。 第2実施形態に係る金属プレートの製造方法を示す図である。
符号の説明
1 加工装置
2 移送ロール
3 加工ロール
4 支持ロール
5 金属プレート
6 被加工部
7 加工部

Claims (3)

  1. 核沸騰を促進させる核沸騰促進部が表面に形成された熱交換用の金属プレートの製造方法であって、
    前記核沸騰促進部の形成にあたっては、移送している金属プレートの表面に加工ロールの表面に形成された加工部を押圧することで当該金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成すると共に、この被加工部を前記加工ロールの加工部で切り欠くことで前記核沸騰促進部を形成することを特徴とする熱交換用の金属プレートの製造方法。
  2. 前記加工ロールに対する金属プレートの先進率を、式(1)を満たすように制御することで、前記被加工部を前記加工ロールの加工部で切り欠くようにしていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換用の金属プレートの製造方法。
    Figure 2009136893
  3. 核沸騰を促進させるべく核沸騰促進部が表面に形成された熱交換用の金属プレートの製造方法であって、
    前記核沸騰促進部の形成にあたっては、移送している金属プレートの表面に加工ロールの表面に形成された加工部を押圧することで当該金属プレートの表面に凸状の被加工部を形成し、この被加工部の頂部を厚み方向に軟圧することで前記核沸騰促進部を形成することを特徴とする熱交換用の金属プレートの製造方法。
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