JP2009134839A - 保護膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄膜であり、かつ、耐食性に優れた保護膜を形成することで、高品質な被保護体を提供すること。
【解決手段】被保護体の表面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成方法であって、被保護体の表面に下地膜を形成する下地膜形成工程と、下地膜上にダイアモンド状炭素膜を形成するDLC膜形成工程と、を有し、下地膜形成工程は、所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去する工程を繰り返して被保護体の表面に下地膜を複数回形成する。そして、さらに、DLC膜形成工程の前に、ダイアモンド状炭素膜を形成する下地膜の表面上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、保護膜形成方法にかかり、特に、被保護体の表面に薄膜の保護膜を形成する方法に関する。
近年、磁気ディスク装置は、小型化及び大容量化を図るべく高記録密度化が急速に進められている。このため、磁気ヘッドスライダと磁気ディスク間の距離、つまり、磁気ディスクに対する磁気ヘッドスライダの浮上量のさらなる軽減が必要とされている。
一方で、磁気ディスクに対する磁気ヘッドスライダの浮上量が小さくなると、高速で回転する磁気ディスク面に磁気ヘッドスライダが接触又は衝突する機会が増加しうる。このため、磁気ヘッドスライダの浮上面に保護膜を形成する必要がある。そして、この保護膜は、磁気ディスク面に接触しうることから、高い摺動性(低摩擦性)及び耐磨耗性を有することが必要である。また、高記録密度化のため、磁気ヘッド素子部分と磁気ディスクとの距離を狭めるべく、保護膜の膜厚を極めて薄くする必要がある。さらに、磁気ヘッド素子部は、磁気記録素子と再生素子である磁気抵抗効果素子とを備えているが、それぞれ腐食しやすい磁性材料であるため、上記保護膜は磁性材料の腐食を防ぐ役割を備えることも必要になってきている。
ここで、従来より行われている磁気ヘッドスライダの保護膜形成方法を、図12を参照して説明する。この図に示すように、磁気ヘッドスライダの保護膜は、磁気ヘッドスライダが複数個連なった状態のバーブロックに対して、被保護体(磁気ヘッドスライダ)の表面クリーニング(ステップS101)、シリコンを主成分とする下地膜を成膜(ステップS102)、その上にダイアモンド状炭素膜(Diamond like carbon: DLC)を成膜(ステップS103)、という工程を経て形成される。つまり、このように形成された磁気ヘッドスライダの保護膜は、シリコン膜又は酸化シリコン膜からなる下地膜と、その上に形成されたDLC膜とからなる2層膜で構成されている。
そして、上記工程を経て製造された磁気ヘッドスライダは、その品質を維持すべく、各種の腐食試験に合格することが求められる。ここで、腐食試験としては、例えば、特許文献1に開示されている酸浸漬試験や、特許文献2に開示されている高温多湿試験が代表的である。
特開2006−107673号公報 特開2007−26506号公報 特開2001−343227号公報
しかしながら、上述した工程を経て成膜された保護膜、つまり、2層膜で構成された保護膜にて薄膜化を試みると、例えば、2nm未満の膜厚では、上述した腐食試験に合格することはできない。従って、上述した構成の保護膜では、耐腐食性の問題から薄膜化することができず、高記録密度化を図ることができない。逆に、薄膜化を実施すると、耐腐食性が低下し、磁気ヘッドスライダの品質が低下する、という問題が生じる。
また、特許文献2に開示された構成の保護膜は、図13に示すように、被保護体(磁気ヘッドスライダ)の表面クリーニング(ステップS201)、シリコンを主成分とする下地膜を成膜(ステップS202)、その上にダイアモンド状炭素膜(Diamond like carbon: DLC)を成膜(ステップS203)、さらにダイアモンド状炭素膜をエッチングして膜厚を薄くする(ステップS204)、という工程を経て形成される。これにより、保護膜の膜厚が2nm未満であり、上述した高温多湿試験に合格することが開示されている。しかしながら、この特許文献2に開示の保護膜は、上記同様に2層膜であるため、さらに条件が厳しい酸浸漬試験に合格することは困難であり、依然として耐腐食性の向上を図ることができない。
このため、本発明では、上記不都合を改善し、特に、薄膜であり、かつ、耐食性に優れた保護膜を形成することで、高品質な被保護体を提供することを目的とする。
そこで、本発明の一形態である被保護体の表面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成方法は、
被保護体の表面に下地膜を形成する下地膜形成工程と、
下地膜上に、ダイアモンド状炭素膜を形成するDLC膜形成工程と、を有し、
下地膜形成工程は、所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去する工程を繰り返して被保護体の表面に下地膜を複数回形成する、
という構成を採っている。
そして、上記保護膜形成方法は、DLC膜形成工程の前に、ダイアモンド状炭素膜を形成する下地膜の表面上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を有する、という構成を採っている。
また、上記下地膜形成工程は、被保護体の表面に所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去して第一の下地膜を形成する第一の下地膜形成工程と、その上にさらに下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部を除去して第二の下地膜を形成する第二の下地膜形成工程と、を有する、という構成を採っている。
具体的には、第一の下地膜形成工程は、1nm以上の膜厚の下地膜を成膜した後に膜厚が1nm未満になるよう除去する。また、第二の下地膜形成工程は、1nm以上の膜厚の下地膜を成膜した後に膜厚が1nm未満になるよう除去する、という構成を採っている。
上記発明によると、まず、被保護体の表面に、直接、連続膜として成立する所定の膜厚の下地膜を成膜する。その後、成膜した下地膜の一部又は全部を膜厚方向に沿って膜厚が薄くなるよう除去して、第一の下地膜を形成する。その後、さらにその上に、連続膜を構成する十分な膜厚の下地膜を成膜し、当該成膜した下地膜の一部を膜厚方向に沿って膜厚が薄くなるよう除去して、第二の下地膜を形成する。なお、上述した下地膜に、さらに、上記同様に所定の膜厚の下地膜を成膜してから除去する方法にて形成した下地膜を積層してもよい。その後、ダイアモンド状炭素膜を最上層に形成することで、保護膜を形成することができる。これにより、薄膜でありつつ、膜欠陥が抑制された保護膜を形成できる。
ここで、膜厚が薄いことによって膜そのものの絶縁性が低下する可能性があるが、ダイアモンド状炭素膜を形成する下地膜の表面上に絶縁層を形成することで、絶縁性を確保することができる。これにより、耐腐食性に優れた保護膜を形成できる。従って、かかる保護膜を形成した被保護体の高品質化を図ることができる。さらには、被保護体のACノイズ等を抑制して電気的特性も確保することができる。
そして、上記保護膜形成方法では、例えば、下地膜形成工程が、珪素、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素のうち、いずれか1つを用いた下地膜を成膜する、という構成を採っている。また、下地膜形成工程は、下地膜の成膜をスパッタリング法にて行う、という構成を採っており、特に、下地膜形成工程は、下地膜の成膜をイオンビームスパッタ法あるいはマグネトロンスパッタ法にて行う、という構成を採っている。
また、上記保護膜形成方法では、下地膜形成工程にて行う下地膜の除去を、当該下地膜の膜厚方向に対して傾斜させてイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う、という構成を採っている。また、下地膜形成工程の前に、被保護体の表面をクリーニングする表面クリーニング工程を有し、この表面クリーニング工程は、被保護体の表面に垂直な方向に対して傾斜させてイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う、という構成を採る。これにより、下地膜を除去する面あるいはクリーニング面、つまり、被保護体自体に対して、イオンビームによって印加されるエネルギーを抑制することができ、当該被保護体に与えうるダメージを軽減することができる。なお、クリーニングにより、被保護体表面の自然酸化膜を取り除くことができ、その上に形成される下地膜の密着性を高めることができる。
そして、上記下地膜形成工程及び/あるいは表面クリーニング工程は、アルゴンを含むガスを用いた斜入射イオンビームエッチング法にて行う、という構成を採る。また、絶縁層形成工程は、ダイアモンド状炭素膜を形成する下地膜の表面をプラズマ処理により絶縁化して絶縁層を形成する、という構成を採る。このとき、絶縁層形成工程は、アルゴンと、窒素又は酸素と、の混合ガスを用いてプラズマ処理を行う、という構成を採る。さらに、絶縁層形成工程にて行う上記プラズマ処理は、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、あるいは、斜入射イオンビームエッチング法にて行う、という構成を採る。また、上記DLC膜形成工程は、Filtered Cathodic Vacuum Arc (FCVA)法にてダイアモンド状炭素膜の形成を行う、という構成を採る。
また、本発明の他の形態である被保護体の製造方法は、上述した保護膜形成方法を用いて、被保護体の表面の少なくとも一部に保護膜を形成し、被保護体を製造する、という構成を採る。そして、被保護体の製造方法は、例えば、上記保護膜形成方法を用いて、被保護体である磁気ヘッドスライダの浮上面に保護膜を形成し、磁気ヘッドスライダを製造する、磁気ヘッドスライダの製造方法である。
また、本発明の他の形態は、上記保護膜形成方法にて形成された保護膜を有する、という構成の被保護体である。そして、この被保護体は、表面の少なくとも一部に保護膜を有しており、この保護膜は、被保護体の表面に所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去することを繰り返して形成された下地膜を有すると共に、当該下地膜上にダイアモンド状炭素膜を有する、という構成を採る。また、上記保護膜は、ダイアモンド状炭素膜が形成される下地膜の表面が絶縁化された絶縁層を有する、という構成を採る。そして、上記被保護体は、例えば、磁気ヘッドスライダである。
さらに、本発明は、例えば、上記磁気ヘッドスライダを備えたヘッドジンバルアセンブリであり、また、このヘッドジンバルアセンブリを備えたハードディスクドライブに応用可能である。
このように、特に、ハードディスクドライブに搭載する磁気ヘッドスライダの保護膜に利用することで、磁気ヘッド素子部分と磁気ディスクとの距離を狭めるべく、膜厚を極めて薄く形成でき、耐食性の向上を図ることができる。従って、ハードディスクドライブの高記録密度化を実現できると共に、信頼性の向上を図ることができる。
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、厚みが極めて薄く、膜欠陥が抑制された保護膜を形成できる。従って、耐食性に優れ、かかる保護膜を形成した被保護体の高品質化を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
本発明における保護膜形成方法は、保護膜の一部である下地膜に特徴を形成する手順に特徴を有する。具体的には、2層の下地膜を形成するが、各下地膜をそれぞれ、一旦、目的の膜厚よりも厚くなるよう成膜して、その後、所望の膜厚にまで除去することで形成する、という点に特徴を有する。また、その上にダイアモンド状炭素膜を形成するが、その間に絶縁層を設けることにも特徴を有する。
以下、実施例にて、保護膜形成方法について具体的に説明する。なお、実施例では、保護膜を形成する対象物として磁気ヘッドスライダを一例に挙げて説明するが、被保護体は磁気ヘッドスライダに限定されない。本発明の保護膜形成方法は、他の電子部品など、いかなる物品の保護膜を形成する場合にも適用可能である。また、本発明の方法にて形成された保護膜を有する全ての物品(被保護体)も、本発明に含まれる。
本発明の第一の実施例を、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、被保護体である磁気ヘッドスライダ及びこれに形成された保護膜を示す図である。図2は、磁気ヘッドスライダを製造する手順を示すフローチャートであり、図3は、その一部である保護膜を形成する手順を示すフローチャートである。図4は、保護膜を形成する対象となる磁気ヘッドスライダが複数連なったバーブロックを示す図である。図5乃至図7は、保護膜形成の様子を示す図である。図8は、保護膜の形成条件を示す表であり、図9は、各条件で形成した保護膜を有する磁気ヘッドスライダの試験結果を示す図である。
本実施例における被保護体は、図1(a)に示す磁気ヘッドスライダ1である。この磁気ヘッドスライダ1は、スライダ部10の端部に薄膜形成された磁気ヘッド部11を備えている。そして、図1(b)に示すように、磁気ヘッドスライダ1の浮上面となる面の一部、特に、磁気ヘッド部11から露出する記録再生素子12部分、を覆うように保護膜2が形成されている。なお、図1(b)は、磁気ヘッドスライダ1の記録再生素子12が形成された部分の断面の概略図である。
ここで、図1に示す磁気ヘッドスライダ1には、記録再生素子12が形成された部分の周囲のみに保護膜2が形成されているが、他の部位に形成してもよく、また、浮上面(ABS)全面に形成してもよい。以下、図1に示す磁気ヘッドスライダ1の製造方法、及び、この磁気ヘッドスライダ1に保護膜2を形成する方法について詳述する。
[磁気ヘッドスライダの製造方法の概要]
まず、磁気ヘッドスライダ1の製造方法の概略を、図2を参照して説明する。はじめに、図4(a)に示すように、例えばセラミックス材料等からなるウエハ30(基体)に、フォトリソグラフィ法などを用いた薄膜形成工程(ウエハ工程(図2のステップS1))によって、多数の薄膜層からなる磁気ヘッド部11を積層形成する。このウエハ工程は、例えば、テーブル上に載置されたウエハ30上に、スパッタリング装置等によって積層材料を成膜する。そして、必要に応じて、成膜した薄膜上に、レジスト、露光、現像を行い、エッチング装置等によって薄膜層を所望の形状に成形する。これにより、図4(a)に示すように、ウエハ30上のほぼ全面に磁気ヘッド部11を形成する。
続いて、図4(a)に示す磁気ヘッド部11が形成されたウエハ30を、図4(b)に示すように、磁気ヘッドスライダ1が複数連結した細長いバーブロック31に切り出す(図2のステップS2)。このバーブロック31の切り出しは、例えば、複数のバーブロック31が連結した状態のブロックを上下から治具にて保持し、上下方向に引張りながらカッターにてバーブロック31を1本ずつ切り出す。ここで、図4(c)に、切り出したバーブロック31を示す。なお、バーブロック31は、図4(c)の点線に示すように、後に個々の磁気ヘッドスライダ1に切断される。
続いて、磁気ヘッドスライダ1の浮上面Sとなるバーブロック31の表面を、ラッピング装置にて研磨する(ラッピング工程(図2のステップS3))。このラッピングにより、浮上面Sに露出する記録素子及び再生素子12の素子長さを調整する。
続いて、ラッピングした磁気ヘッドスライダ1の浮上面Sであるバーブロック31の表面に、上述した保護膜2を形成する(図2のステップS4)。このとき、浮上面Sの全面に保護膜2を形成してもよく、予め部分的に保護膜2を形成してもよい。なお、保護膜2を形成する方法については後述する。
その後、バーブロック31から個々の磁気ヘッドスライダ1にスライダ切断装置にて切断する(図2のステップS5)。これにより、ウエハ30部分がスライダ部12となり、その端部に磁気ヘッド部11を備えた磁気ヘッドスライダ1となる。そして、切断した個々の磁気ヘッドスライダ1の浮上面Sに所定の形状のABSを形成したり(図2のステップS6)、洗浄するなどの所定の処理を行い、磁気ヘッドスライダ1の製造が完了する。なお、上述した手順は一例であって、他の手順や工程を経て磁気ヘッドスライダ1を製造してもよい。
[保護膜形成方法]
次に、上述した図2のステップ4で示した保護膜を形成する方法について、図3乃至図7を参照して詳述する。まず、図2のステップS3でラッピングを行った磁気ヘッドスライダ1の浮上面Sとなるバーブロック31の表面13をクリーニングする処理を行う(表面クリーニング工程(図3のステップS11))。このクリーニング工程では、例えば、バーブロック31の表面13に垂直な方向に対して傾斜させたイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う。なお、イオンビームエッチングは、イオン発生のために用いる不活性なガスとして、アルゴン(Ar)を主成分としたガスを用いて行う。
これにより、照射したイオンビームによって、バーブロック31の表面13の自然酸化膜を取り除くことができ、後にこの表面13上に形成する下地膜(保護膜)の密着性を高めることができる。また、照射したイオンビームによって、記録素子、再生素子の長さを調整することもできる。そして、特に、バーブロック31の表面13に対して垂直ではなく、傾斜させたイオンビームを照射しているため、かかるイオンビームがバーブロック31に与えるエネルギーを抑制できる。つまり、バーブロック31の表面13に垂直なイオンビームを照射するよりも、当該垂直方向から所定の角度だけ傾斜させて照射することが望ましい。その結果、磁気ヘッドスライダ1となるバーブロック31のクリーニングによるダメージを軽減することができ、品質の低下を抑制できる。
なお、上述した表面クリーニング工程において、イオンビームエッチングにて使用するガスは上述した成分であることに限定されない。また、クリーニング方法も、イオンビームエッチング法を用いることに限定されず、いかなる方法であってもよい。但し、比較的低いエネルギーをバーブロック31の表面13に照射してクリーニングする方法であることが望ましい。
続いて、上記クリーニングを行ったバーブロック31の表面13に、保護膜2の一部であるシリコンを主成分とする下地膜を成膜する(下地膜形成工程)。特に、本実施例では、下地膜を2層形成する。なお、下地膜の材料は、例えば、珪素、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素のうちいずれかを用いる。以下、下地膜形成工程について詳述する。
まず、図5(a)に示すようなバーブロック31の表面13上に、第一の下地膜を形成する(第一の下地膜形成工程(図3のステップS12,S13))。具体的には、図5(b)に示すように、磁気ヘッドスライダ1となるバーブロック31の表面13上に、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法といったスパッタリング法を用いて、所定の膜厚の下地膜21を成膜する。このとき、成膜する下地膜21の膜厚は、1nm以上(例えば、3nm)とする。これにより、スパッタリング法にて、膜として成立する欠損が少ない連続膜である下地膜21を形成することができる(図3のステップS12)。
そして、その後、1nm以上に成膜した下地膜21を、図5(c)あるいは(c’)に示すように、膜厚が薄くなるよう(例えば、1nm未満)、その一部又は全部を除去する(図3のステップS13)。このとき、成膜した下地膜21の除去は、下地膜21の膜厚方向に対して傾斜させたイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う。なお、イオンビームエッチングは、イオン発生のために用いる不活性なガスとして、アルゴン(Ar)を含むガス、例えば、アルゴンが100%のガスやアルゴンを主成分としたガスを用いて行う。
これにより、照射したイオンビームによって、一旦は厚めに成膜した下地膜21の一部を除去して、極めて薄い第一の下地膜21を形成することができる。
ここで、上記除去処理では、上記クリーニング工程と同様に、バーブロック31の表面13に対して垂直ではなく、膜厚方向に対して傾斜させたイオンビームを照射しているため、かかるイオンビームがバーブロック31自体に与えるエネルギーを抑制できる。その結果、バーブロック31つまり磁気ヘッドスライダ1に与えうるダメージを軽減することができ、品質の低下を抑制できる。
なお、下地膜の除去時においては、特許文献3に開示されている物質表面の元素組成や結合状態を測定するESCAによる測定方法を用いて、膜厚を計測しつつ、所望の膜厚に達するまで、下地膜を除去する。例えば、ESCA計測によってシリコン量が一定値以下になった場合に、所望の量の下地膜が除去されたと判断して、かかる除去処理を停止する。
続いて、図6(a)に示すように、バーブロック31の表面13に第一の下地膜21を形成したその上に、さらに、第二の下地膜22を形成する(第二の下地膜形成工程(図3のステップS14,S15))。具体的には、図6(b)に示すように、バーブロック31上に形成された第一の下地膜21上に、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法といったスパッタリング法を用いて、所定の膜厚の下地膜22を成膜する。このとき、成膜する下地膜22の膜厚は、1nm以上(例えば、3nm)とする。これにより、スパッタリング法にて、膜として成立する欠損が少ない連続膜である下地膜22を形成することができる(図3のステップS14)。なお、下地膜の材料は、上述同様に、例えば珪素、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素のうちいずれかを用いる。
そして、その後、1nm以上に成膜した下地膜22を、図6(c)に示すように、膜厚が薄くなるよう(例えば、1nm未満)、その一部を除去する(図3のステップS15)。例えば、上記第一の下地層21及び第二の下地層22を合わせて、0.8nmとなるよう除去する。このとき、成膜した下地膜22の一部の除去は、下地膜22の膜厚方向に対して傾斜させたイオンビームを照射する傾斜イオンビームエッチング法にて行う。なお、イオンビームエッチングは、イオン発生のための不活性なガスとして、アルゴン(Ar)を含むガス、例えば、アルゴンが100%のガスやアルゴン(Ar)を主成分としたガスを用いて行う。
これにより、照射したイオンビームによって、一旦は厚めに成膜した下地膜22の一部を除去して、極めて薄い連続膜である第二の下地膜22を形成することができる。この方法により、極めて薄く、低欠陥な保護膜を形成することができる。
なお、上記第二の下地膜22を形成する際における除去処理でも、上述した第一の下地膜21形成時と同様に、膜厚方向に対して傾斜させたイオンビームを照射しているため、かかるイオンビームがバーブロック31自体に与えるエネルギーを抑制できる。その結果、バーブロック31つまり磁気ヘッドスライダ1に与えうるダメージを軽減することができ、品質の低下を抑制できる。また、上述したように、下地膜の除去時においては、特許文献3に開示されている物質表面の元素組成や結合状態を測定するESCAによる測定方法を用いて膜厚を計測し、所望の膜厚に調整する。
続いて、第二の下地膜22上に、絶縁層を形成する処理を行う(絶縁層形成工程(図3のステップS16))。ここで、上述したように下地膜21,22の膜厚が薄いことによって、膜そのものの絶縁性が低下する可能性がある。つまり、抵抗=抵抗率×厚み、であるため、厚みが薄くなると抵抗が小さくなり、電流を通してしまう。かかる不都合に対応すべく、絶縁層を形成する。具体的には、アルゴンと、窒素あるいは酸素と、の混合ガスを用いて行うプラズマ処理を、第二の下地膜22の表面に施す。これにより、第二の下地膜22の表面を窒化あるいは酸化して、図7(a)に示すように、絶縁膜22aに改質する。なお、上記プラズマ処理は、斜入射イオンビームエッチングや電子サイクロトロン共鳴プラズマ法(ECRプラズマ法)を用いて行うと望ましい。これにより、上述同様に、低エネルギーの方法によりバーブロック31へのダメージを軽減できるとよい。このとき、プラズマ処理にて第二の下地層22が若干除去されるため、上述した絶縁化を実現しつつ、さらなる薄膜化を図ることができる。但し、第二の下地膜22の表面を絶縁化する方法は上記方法に限定されない。また、第二の下地膜22を絶縁化せずに、当該第二の下地膜22の表面に、他の絶縁材料を設けて絶縁層を形成してもよい。
以上のように、絶縁膜22aを形成することで、保護膜2の絶縁性を確保することができ、耐腐食性の向上を図ることができる。また、保護膜2は、珪素や炭素の性質をそのまま保持しているため、特にTMRヘッドでは、ACノイズと呼ばれるヘッドノイズ成分が残ってしまう。そして、ACノイズはTMR特有のものであり、センサー部での局所的ショートが引き起こす。そのショートを遮断するには、絶縁性の組成を使用することが望ましい。このため、特に大きく組成を変更することなく絶縁性を確保するために、上述したように、Siを用いて、窒化や酸化することが望ましい。従って、上述したように、シリコンが主成分の下地膜22の表面を絶縁化することにより、耐腐食性を改善し、かつ、ACノイズ等を軽減して電気的特性も確保することも可能となる。
また、上述した絶縁化により、薄膜化に重要な膜の内部ストレスの制御も可能となる。つまり、シリコンが主成分の下地膜は、炭素膜の密着性を改善するために用いられているが、併せてストレス制御の作用も同時に有する。具体的には、急峻な内部ストレスの積層では、密着性が内部ストレスに負けて剥離を引き起こす。このため、順次内部ストレスを変更する必要が有ることから、上述したように絶縁化することにより、内部ストレスを段階的に制御することが可能となる。
続いて、上述した下地膜21,22上、つまり、第二の下地膜22の表面に形成された絶縁膜22a上に、ダイアモンド状炭素膜23を成膜する(DLC膜形成工程(図3のステップS17))。例えば、このダイアモンド状炭素膜23の成膜は、Filtered Cathodic Vacuum Arc (FCVA)法を用いて行う。ここで、かかるDLC膜形成時には、炭素膜と下地膜とが反応して、SiCが形成されることが上述したESCA測定により判明している。そして、この工程では、形成するダイアモンド状炭素膜23の膜厚の目標値は、0.8nmである。
以上のようにして、第一の下地膜21と、表面が絶縁化された第二の下地膜22,22aと、DLC膜23と、により、保護膜2が形成される。そして、この保護膜2は、第一の下地膜21と第二の下地膜22との成膜及び除去を繰り返すことにより低欠陥の連続膜が作成される。さらに、第二の下地膜22の表面をプラズマ処理して絶縁化している。以上の構成により、この保護膜2にて保護する磁気ヘッドスライダ1の耐腐食性の向上を図ると共に、ACノイズ等を低減して電気的特性も確保することができる。
[耐食性実験]
次に、種々の形成条件(処理工程)にて保護膜2をそれぞれ形成した磁気ヘッドスライダ1(サンプル)を製造し、それぞれに対して耐食試験を行った結果を、図8乃至図9を参照して説明する。
まず、全てのサンプル1〜16は、同じ構造の磁気ヘッドスライダ1であり、当該磁気ヘッドスライダ1の製造工程はほぼ同様である。但し、保護膜2の形成方法つまり処理工程については、図8に示すように、それぞれ異なっている。そして、各条件で製造したサンプル1〜16に対して、高温多湿試験、及び、酸浸漬試験、といった腐食試験を行う。また、このとき、各処理工程毎に、腐食試験用バーブロックと膜厚測定用バーブロックとを同時に成膜し、膜厚測定用バーブロックに対して、上述したESCA測定法にて保護膜2を構成する各膜厚を算出した。なお、膜厚の測定は、腐食試験用バーブロックとほぼ同形状の膜厚測定用バーブロック上を直接測定するので、誤差は極めて微小である。また、ESCA測定法による測定値は、透過型電子顕微鏡(TEM)により校正済みである。
そして、保護膜形成の処理工程には、以下の工程がある。
(1)アルゴン(Ar)ガスを用いた斜入射イオンビームエッチング(IBE)法により、バーブロックの表面クリーニング
(2)スパッタ法により、シリコン下地膜を成膜
(3)Arガスを用いた斜入射IBE法により、下地膜を除去
(4)再度、スパッタ法により、シリコン下地膜を成膜
(5)Arガスを用いた斜入射IBE法により、下地膜の表面層を除去(所望の膜厚に調整)
(6)Arと窒素(N)との混合ガスを用いた斜入射IBE法による窒素プラズマ処理により、下地膜表面を窒化(多少表面除去効果があり、膜厚は0.2nmほど薄くなる)
(7)その上に、FCVA法によるダイアモンド状炭素膜(Diamond like carbon:DLC)を成膜(なお、FCVA法によるDLC膜は、tetrahedral amorphous carbon (TtaC)膜とも呼ばれる)
(8)DLC膜をエッチング(サンプル12のみ)
なお、上記(1),(3),(5)の斜入射IBE法では、バーブロックにダメージを与えないよう、イオンエネルギー150V、傾斜角度65度とした。なお、実験的に傾斜角度「0」つまりバーブロック31の表面13に対して垂直に設定して試したところ、明らかに悪い結果が得られた。また、(6)の斜入射IBE法での窒化処理では、表面除去効果を0.2nm程度に押さえるため、イオンエネルギー50V,傾斜角度65度とし、エネルギーを低く抑えた。
以上の各処理工程(1)〜(8)を組み合わせて、また、下地膜やDLC膜の膜厚を変更して、種々の保護膜つまり当該保護膜が形成された磁気ヘッドスライダのサンプル1〜16を形成した。そして、上述した本発明にかかるものは、サンプル6〜11、13〜16のものである。つまり、下地膜を2層形成し、その表面を絶縁化し、さらにDLC膜を形成したものである。一方、サンプル1,2は、主に図13に示す従来方法にて保護膜を形成したものであり、サンプル3〜5は、これに絶縁処理を施したものである。また、サンプル12は、図13を参照して説明した特許文献2に開示した方法にて保護膜を形成したものである。つまり、サンプル1〜5、12は、上述したように下地膜を2層形成せず、1層のみで構成したものである。
そして、各サンプルについて行った腐食試験である酸浸漬試験は、成膜したバーブロックをシュウ酸水溶液(0.025N)に4分間浸漬し、腐食したスライダの数をカウントする、という手順で行った。そして、腐食したスライダ数を投入したスライダ数で序して、腐食率を%で示した。なお、腐食しているか否かの判断は、1500倍の光学顕微鏡にて観察した。また、2バー分用いて、50×2=100個のスライダをサンプル基本数とした。また、高温多湿試験は、85℃、85%RHの雰囲気に100時間保管し、その前後にてQST測定を行い、MRRの変化率5%以上のものが、何%発生したか測定した。さらに、測定するヘッドノイズは、「0」Oe→「+300」Oe→「0」Oe→「−300」Oeと順次スイープさせて、主たる波形に重畳するノイズ成分を「300」Oeと「−300」Oeを印加した時の1.2%以上の大きさのノイズピークをカウントし、1個のスライダでこの1.2%以上のノイズピークが150個以上カウントされたスライダの数をカウントし、投入した全数で除した値を%表示した。
すると、図9に示すように、まず、高温多湿試験については、全てにおいて低い数値を示した。また、ヘッドノイズは、サンプル1,2,12を除いて、低い数値を示した。そして、酸浸漬試験については、サンプル6〜11、13〜16で、20%以下の低い数値を示した。なお、これらサンプルは、図8に示すように、サンプル1を除いて、最終膜厚が2nm以下である。
以上により、本実施例における保護膜2によると、一旦厚めに成膜してからその一部を除去した下地膜を2層(第一の下地膜21と第二の下地膜22)形成することにより低欠陥の連続膜が作成される。従って、耐腐食性の向上を図ることができる。また、第二の下地膜22表面をプラズマ処理して絶縁化することで、さらに耐腐食性の向上を図ると共に、ACノイズ等を軽減でき電気的特性も確保することができる。その結果、上記保護膜2によって保護される磁気ヘッドスライダといった被保護体の品質及び信頼性のさらなる向上を図ることができる。
ここで、ESCA測定の結果、N1sのピーク位置が397.5〜398eV、Si2pのピーク位置が101.5〜102eVであった。文献によると、Si3N4の場合、N1sが397.5eVの際にSi2pは101.6eVと知られており、上記工程により、第二の下地膜22の表面に窒化膜が作製されていることの証拠と考えられる。
次に、本発明の第二の実施例を、図10乃至図11を参照して説明する。図10は、上記実施例1にて説明した保護膜形成方法にて保護膜2を形成した磁気ヘッドスライダ1を搭載したヘッドジンバルアセンブリ50の構成を示す図である。この図に示すように、磁気ヘッドスライダ1は、例えば、フレキシャ51に形成されたタング面に搭載されたマイクロアクチュエータ60に保持されつつ、当該タング面に載置され、ヘッドジンバルアセンブリ50に搭載されている。なお、ヘッドジンバルアセンブリ50は、マイクロアクチュエータ60を搭載せずに、タング面に直接磁気ヘッドスライダ1を搭載した構成であってもよい。
また、図11は、上記ヘッドジンバルアセンブリ50を搭載したハードディスクドライブ100の構成を示す図である。このハードディスクドライブ100はディスクを複数枚備えており、ディスク毎に対応してヘッドジンバルアセンブリ50を備えている。つまり、各ディスクのディスク面に上述した磁気ヘッドスライダ1を対面させて配置するよう、複数のヘッドジンバルアセンブリ50を備えたヘッドスタックアセンブリを備えている。
以上のように、実施例1に開示した磁気ヘッドスライダ1を搭載したヘッドジンバルアセンブリ50、さらには、ハードディスクドライブ100を構成することで、当該ハードディスクドライブ100の大記録容量化、及び、信頼性の向上を図ることができる。
本発明の保護膜形成方法は、磁気ヘッドスライダといった電子部品などの表面に保護膜を形成する際に利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
被保護体である磁気ヘッドスライダ及びこれに形成された保護膜を示す図である。 磁気ヘッドスライダを製造する手順を示すフローチャートである。 磁気ヘッドスライダを製造する手順のうち、保護膜を形成する手順を示すフローチャートである。 保護膜を形成する対象となる磁気ヘッドスライダの製造過程を示す図であり、図4(a)はウエハを、図4(b),(c)はバーブロックをそれぞれ示す。 磁気ヘッドスライダの表面に、保護膜を形成する様子を示す図である。 磁気ヘッドスライダの表面に、保護膜を形成する様子を示す図である。 磁気ヘッドスライダの表面に、保護膜を形成する様子を示す図である。 実験に用いる磁気ヘッドスライダに形成する保護膜の形成条件を示す表である。 図9に示す各条件で形成した保護膜を有する磁気ヘッドスライダの試験結果を示す図である。 保護膜が形成された磁気ヘッドスライダを搭載したヘッドジンバルアセンブリの構成を示す図である。 保護膜が形成された磁気ヘッドスライダを搭載したハードディスクドライブを示す図である。 従来例における保護膜を形成する手順を示すフローチャートである。 従来例における保護膜を形成する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 磁気ヘッドスライダ
2 保護膜
10 スライダ部
11 磁気ヘッド部
12 記録再生素子
21 第一の下地膜
22 第二の下地膜
22a 絶縁層
23 DLC膜
30 ウエハ
31 バーブロック
50 ヘッドジンバルアセンブリ
51 フレキシャ
60 マイクロアクチュエータ
100 ハードディスクドライブ

Claims (23)

  1. 被保護体の表面の少なくとも一部に保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
    前記被保護体の表面に下地膜を形成する下地膜形成工程と、
    前記下地膜上に、ダイアモンド状炭素膜を形成するDLC膜形成工程と、を有し、
    前記下地膜形成工程は、所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去する工程を繰り返して前記被保護体の表面に下地膜を複数回形成する、
    ことを特徴とする保護膜形成方法。
  2. 前記DLC膜形成工程の前に、前記ダイアモンド状炭素膜を形成する前記下地膜の表面上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を有する、
    ことを特徴とする請求項1記載の保護膜形成方法。
  3. 前記下地膜形成工程は、前記被保護体の表面に所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去して第一の下地膜を形成する第一の下地膜形成工程と、その上にさらに下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部を除去して第二の下地膜を形成する第二の下地膜形成工程と、を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の保護膜形成方法。
  4. 前記第一の下地膜形成工程は、1nm以上の膜厚の下地膜を成膜した後に膜厚が1nm未満になるよう除去する、
    ことを特徴とする請求項3記載の保護膜形成方法。
  5. 前記第二の下地膜形成工程は、1nm以上の膜厚の下地膜を成膜した後に膜厚が1nm未満になるよう除去する、
    ことを特徴とする請求項3又は4記載の保護膜形成方法。
  6. 前記下地膜形成工程は、珪素、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素のうち、いずれか1つを用いた下地膜を成膜する、
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の保護膜形成方法。
  7. 前記下地膜形成工程にて行う下地膜の除去を、当該下地膜の膜厚方向に対して傾斜させてイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う、
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の保護膜形成方法。
  8. 前記下地膜形成工程の前に、被保護体の表面をクリーニングする表面クリーニング工程を有し、この表面クリーニング工程は、被保護体の表面に垂直な方向に対して傾斜させてイオンビームを照射する斜入射イオンビームエッチング法にて行う、
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の保護膜形成方法。
  9. 前記下地膜形成工程及び/あるいは前記表面クリーニング工程は、アルゴンを含むガスを用いた前記斜入射イオンビームエッチング法にて行う、
    ことを特徴とする請求項7又は8記載の保護膜形成方法。
  10. 前記絶縁層形成工程は、前記ダイアモンド状炭素膜を形成する下地膜の表面をプラズマ処理により絶縁化して前記絶縁層を形成する、
    ことを特徴とする請求項2,3,4,5,6,7,8又は9記載の保護膜形成方法。
  11. 前記絶縁層形成工程は、アルゴンと、窒素又は酸素と、の混合ガスを用いて前記プラズマ処理を行う、
    ことを特徴とする請求項10記載の保護膜形成方法。
  12. 前記絶縁層形成工程にて行う前記プラズマ処理は、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、あるいは、斜入射イオンビームエッチング法にて行う、
    ことを特徴とする請求項11記載の保護膜形成方法。
  13. 前記DLC膜形成工程は、Filtered Cathodic Vacuum Arc (FCVA)法にて前記ダイアモンド状炭素膜の形成を行う、
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11又は12記載の保護膜形成方法。
  14. 請求項1乃至13記載の保護膜形成方法を用いて、前記被保護体の表面の少なくとも一部に前記保護膜を形成し、前記被保護体を製造する、
    ことを特徴とする被保護体の製造方法。
  15. 請求項1乃至13記載の保護膜形成方法にて形成された前記保護膜を有する、
    ことを特徴とする被保護体。
  16. 請求項1乃至13記載の保護膜形成方法を用いて、前記被保護体である磁気ヘッドスライダの浮上面に前記保護膜を形成し、当該磁気ヘッドスライダを製造する、
    ことを特徴とする磁気ヘッドスライダの製造方法。
  17. 請求項1乃至13記載の保護膜形成方法にて形成された前記保護膜を有する、
    ことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  18. 表面の少なくとも一部に保護膜を有する被保護体であって、
    前記保護膜は、被保護体の表面に所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去することを繰り返して形成された下地膜を有すると共に、当該下地膜上にダイアモンド状炭素膜を有する、
    ことを特徴とする被保護体。
  19. 前記保護膜は、前記ダイアモンド状炭素膜が形成される前記下地膜の表面が絶縁化された絶縁層を有する、
    ことを特徴とする請求項18記載の被保護体。
  20. 浮上面の少なくとも一部に保護膜を有する磁気ヘッドスライダであって、
    前記保護膜は、所定の膜厚の下地膜を成膜した後に当該下地膜の一部又は全部を除去することを繰り返して形成された下地膜を有すると共に、当該下地膜上にダイアモンド状炭素膜を有する、
    ことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  21. 前記保護膜は、前記ダイアモンド状炭素膜が形成される前記下地膜の表面が絶縁化された絶縁層を有する、
    ことを特徴とする請求項20記載の磁気ヘッドスライダ。
  22. 請求項17,20又は21記載の磁気ヘッドスライダを備えた、ことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  23. 請求項22記載のヘッドジンバルアセンブリを備えた、ことを特徴とするハードディスクドライブ。
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