JP2009134778A - 光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォーカス記録層以外の他の記録層等から反射された迷光との干渉を低減する。
【解決手段】光ビームをメインビームとサブビームとに分光する回折素子と、光ディスクの記録再生層で反射した正規反射光Sの焦点位置に配設され、正規反射光Sの回折方向に亘って形成された透過部51と、記録再生層以外の層で反射された迷光の干渉成分を除去する干渉成分除去部52とを備える迷光除去素子36と、正規反射光及び迷光に非点収差を付与する非点収差発生素子と、非点収差発生素子を透過した正規反射光の前焦線と後焦線の各焦点間に配設され、光ディスクからの正規反射光を検出する受光素子とを備え、迷光除去手段36及び非点収差発生素子を透過した迷光が、迷光の後焦線の焦点以降又は迷光の前焦線の焦点以前にて受光素子に入射する。
【選択図】図7

Description

本発明は、光ディスクに情報信号の記録を行い、光ディスクに記録された情報信号の再生を行うために用いられる光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置に関する。
従来、情報信号の記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))等の光ディスクが用いられ、この種の光ディスクに情報信号の記録を行い、あるいは光ディスクに記録された情報信号の再生を行うための光ディスク装置があり、この光ディスク装置には、光ディスクの半径方向へ移動され、この光ディスクに対して光ビームを照射する光ピックアップが設けられている。
この光ピックアップは、一般的に、光源、ビームスプリッタ、対物レンズ、受光素子等を有しており、光源から出射された光ビームがビームスプリッタを透過して、対物レンズによって集光されて光ディスクの記録層に光ビームのスポットが形成される。また、光ディスクの記録層に集光された光ビームは、反射されて再びビームスプリッタに入射され、このビームスプリッタによって光路が変更されて受光素子に入射される。
光ディスクには、単一の記録層を有する一層型のタイプのものと、記録層が複数設けられている多層型のタイプのものがある。この多層型の光ディスクにおいて、例えば、一の記録層に光ビームが集光されている場合に、この一の記録層に隣接する他の記録層等でも光ビームが反射される。
また、一層型の光ディスクにおいても、記録層に光ビームが集光されている場合に、光ディスクの表面でも光ビームが反射される(以下、この他の記録層又は表面を「他の記録層等」ともいう。)。
このように、情報信号の記録又は再生を行うために集光している記録層で反射された光ビームのみならず、他の記録層等で反射された光ビームが、迷光として受光素子に入射してしまうおそれがある。
このような迷光は、記録又は再生を行うために集光している記録層で反射された光ビームと干渉を引き起こし、RF(Radio Frequency)信号の品質の劣化やサーボ信号のオフセット等の不具合等の問題が発生するおそれがある。特に、トラッキングエラー信号生成等のために光ビームを回折素子等により分割する光学系においては、メインビーム(主光束)から分割されたサブビーム(副光束)による受光部上のスポットに、他の記録層等で反射されたメインビーム及びサブビームが干渉を引き起こすことにより、ノイズ成分が発生する問題がある。
一般的に、光源から出射された光ビームが回折素子等により0次光と±1次回折光に分離された場合、RF信号検出を行うメインビーム(主光束)としての0次光の光強度を大きくするとともに、サブビーム(副光束)としての±1次回折光による記録層の記録情報の消去を防止するため、0次光の光強度に対して、±1次回折光の光強度が約10%程度とされている。
ここで、光ビームが集光される情報信号の記録又は再生が行われる記録層(以下、「フォーカス記録層」ともいう。)で反射され受光部で受光される0次光の単位面積当たりの光強度に対して、他の記録層等で反射され受光部で受光される0次光の単位面積当たりの光強度が例えば10%程度とすると、フォーカス記録層で反射され受光部に受光される±1次回折光の光強度に対して、他の記録層等で反射され受光部に受光される0次光の光強度が略等しくなってしまい、±1次回折光を用いてサーボエラー信号検出等を行う場合に大きな問題となる。
このように、光源から出射された光ビームを少なくとも3本の光ビームに分割する回折素子を備える光ピックアップで複数の記録層を有する光ディスク等に対して情報信号の記録再生を行う場合、サブビームを受光する受光部では記録再生を行うフォーカス記録層からのサブビームの反射光以外にその前後にある他の記録層等からのメインビーム及びサブビームの反射光も存在してしまい、互いに干渉し合う。この干渉により、光検出器で検出された信号にノイズ成分が発生し、正確な信号検出が阻害される問題があった。
特開2005−63595号公報
本発明は、トラッキングエラー検出等のために光源から出射された光ビームを少なくともメインビーム及びサブビームからなる少なくとも2ビームに分割する回折素子を有する光学系において、フォーカス記録層以外の他の記録層等から反射された迷光との干渉を低減して、良好な各種信号を得ることができる光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る光ピックアップは、光ビームをメインビームとサブビームとに分光して該メインビーム及びサブビームを光ディスクに集光する対物レンズへ照射する回折素子と、上記光ビームが集光され情報信号の記録又は再生を行う上記光ディスクの記録再生層で反射された正規反射光が集光素子を透過して結像した焦点位置に配設され、上記正規反射光の回折方向に亘って形成された透過部と、上記光ビームが照射された上記光ディスクの上記記録再生層以外の層で反射された迷光の干渉成分を除去する干渉成分除去部とを備える迷光除去素子と、上記正規反射光及び迷光に非点収差を付与する非点収差発生素子と、上記非点収差発生素子を透過した正規反射光の前焦線と後焦線の各焦点間に配設され、上記光ディスクからの正規反射光を検出する受光素子とを備え、上記迷光除去手段及び上記非点収差発生素子を透過した迷光が、該迷光の後焦線の焦点以降の位置又は該迷光の前焦線の焦点以前の位置にて上記受光素子に入射するものである。
また、本発明に係る光ディスク装置は、光ビームの入射方向に一又は複数の記録層を有する光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップと、上記光ディスクを回転する回転駆動手段とを備える光ディスク装置において、上記光ピックアップは、光ビームをメインビームとサブビームとに分光して該メインビーム及びサブビームを光ディスクに集光する対物レンズへ照射する回折素子と、上記光ビームが集光され情報信号の記録又は再生を行う上記光ディスクの記録再生層で反射された正規反射光が集光素子を透過して結像した焦点位置に配設され、上記正規反射光の回折方向に亘って形成された透過部と、上記光ビームが照射された上記光ディスクの上記記録再生層以外の層で反射された迷光の干渉成分を除去する干渉成分除去部とを備える迷光除去素子と、上記正規反射光及び迷光に非点収差を付与する非点収差発生素子と、非点収差発生素子を透過した正規反射光の前焦線と後焦線との間に配設され、上記光ディスクからの正規反射光を検出する受光素子とを備え、上記迷光除去手段及び上記非点収差発生素子を透過した迷光が、該迷光の後焦線の焦点以降の位置又は該迷光の前焦線の焦点以前の位置にて上記受光素子に入射するものである。
本発明によれば、迷光除去素子に迷光が入射することにより、受光素子上において正規反射光と干渉する干渉成分を除去すると共に、非点収差発生素子によって非点収差が付与された復路の光ビームについて、正規反射光の前焦線と後焦線との間に受光素子を設けることで、正規反射光の回折方向と迷光の長手方向とを略直交させて受光素子へ入射させるため、正規反射光のサブビームが入射する受光領域において、迷光と正規反射光との干渉を防止して、正確な信号検出を行うことができる。
以下、本発明を適用した光ピックアップ及びこの光ピックアップを用いた光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明を適用した光ディスク装置1は、図1及び図2に示すように、光ディスク2に対して情報信号の記録及び/又は再生を行う記録再生装置である。
この光ディスク装置1で記録及び/又は再生を行う光ディスク2として、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)、DVD−RAM(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクや、光磁気ディスク等が用いられる。
以下では、この光ディスク装置1で用いられる光ディスクとして、図3に示すように、多層型のタイプとして、2つの記録層を有する光ディスク2を用いるものとして説明する。なお、この光ディスク装置1及び光ピックアップ7により情報信号の記録又は再生を行う光ディスクは、これに限られるものではなく、光ビームの入射方向に一又は複数の記録層が積層されて形成された光ディスクであればよい。具体的に、光ディスク2は、光ビームの入射側から順に、カバー層2a、記録層L1、記録層L2が形成されている。
かかる多層型の光ディスク2は、一方の記録層L1又はL2に光ビームが集光されることにより当該一方の記録層(フォーカス記録層)に対して情報信号の記録又は再生が行われる。光ディスク装置1は、後述する光ピックアップ7で、情報信号の記録又は再生が行われるフォーカス記録層からの正規の反射光Sを検出することにより、情報信号の書き込みや読み出しを行う他、トラッキング及びフォーカシングの各サーボ制御を行う。
また、光ディスク2は、フォーカス記録層以外の他の記録層L2又はL1にも光ビームが照射され、当該他の記録層で反射されることにより迷光Nが発生し、正規反射光Sとともに光ピックアップ7の光学系に入射する。
この光ディスク装置1は、図1に示すように、外筐3内に所要の各部材及び各機構が配置されて成り、外筐3には図示しないディスク挿入口が形成されている。外筐3内には図示しないシャーシが配置され、該シャーシに取り付けられたスピンドルモーターのモーター軸にディスクテーブル4が固定されている。
また、シャーシには、光ピックアップ7の移動をガイドする一対のガイド軸5と、ラック部材を介して光ピックアップ7と連結されると共に、送りモーター13によって回転されることにより光ピックアップ7をガイド軸5に沿って移動させるリードスクリュー6が取り付けられている。
光ピックアップ7は、図1に示すように、移動ベース8と、該移動ベース8に設けられた所要の光学部品と、移動ベース8上に配置された対物レンズ駆動装置9とを有し、移動ベース8の両端部に設けられた軸受部8a、8bがそれぞれガイド軸5に摺動自在に支持されている。
そして、光ピックアップ7は、移動ベース8に設けられた図示しないラック部材がリードスクリュー6に螺合され、送りモーター13によってリードスクリュー6が回転されると、ラック部材がリードスクリュー6の回転方向へ応じた方向へ送られ、ディスクテーブル4に装着される光ディスク2の半径方向へ移動される。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモーター11によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ回路からの制御信号に応じてリードスクリュー6を駆動制御し、光ピックアップ7を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
具体的に、光ディスク装置1は、スピンドルモーター11及び送りモーター13は、システムコントローラ10からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部12によりディスク種類に応じて駆動制御されており、装着された光ディスク2の規格に応じて所定の回転数で駆動される。光ピックアップ7は、光ディスク2の規格に応じた所定波長の光ビームを照射するとともに、この光ビームの記録層からの反射光を検出する。そして光ピックアップ7は、検出した反射光から所定の信号を出力する。
光ディスク装置1は、光ピックアップ7から出力された信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するプリアンプ14と、プリアンプ14からの信号を復調し又は外部コンピュータ17等からの信号を変調するための信号変復調器及びエラー訂正符号ブロック(以下、信号変復調&ECCブロックと記す。)15と、インタフェース16と、D/A,A/D変換器18と、オーディオ・ビジュアル処理部19と、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20とを備える。
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成し、更にRF信号を生成し、RF信号を、信号変調&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部12に出力する。
信号変調&ECCブロック15は、光ディスク2として、カバー層2aの厚さが0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な上述したBD等の第1の光ディスクに対してデータの記録を行うとき、インタフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。
また、信号変調&ECCブロック15は、カバー層2aの厚さが0.6mmで波長655nm程度の光ビームを記録再生光として使用するDVD等の第2の光ディスクに対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。
更に、信号変調&ECCブロック15は、カバー層2aの厚さが1.1mmで波長785nm程度の光ビームを記録再生光として使用するCD等の第3の光ディスクに対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。
そして、信号変調&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変調&ECCブロック15は、光ディスク2の再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて復調処理を行い、更に、エラー訂正処理を行って、インタフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を変調&ECCブロック15とインタフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
サーボ制御部12は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部12は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズ32を駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動装置9を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモーター11をサーボ制御する。
レーザ制御部21は、光ピックアップ7のレーザ光源30を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源30の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行うこともできる。レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源30を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、光ディスク2の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し、光ディスク2の異なるフォーマットを検出する。
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ10は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスク2の種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ10は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて、記録再生を行う光ディスク2の記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモーター11によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部12からの制御信号に応じて送りモーター13を駆動制御し、光ピックアップ7を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部12は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ7は、光源30から光ビームを照射して光検出器34により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動装置9により対物レンズ32を駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインタフェース16を介して信号変復調&ECCブロック15に入力される。信号変復調&ECCブロック15は、インタフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスク2に記録する。
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器34で検出された信号に対して、信号変復調&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インタフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオ・ビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニターに出力される。
次いで、光ピックアップ7の光学系について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4(a)及び図5(a)は、多層ディスクとして形成された光ディスク2の記録層L1をフォーカス記録層とした場合の光路を示し、図4(b)及び図5(b)は、多層ディスクとして形成された光ディスク2の記録層L2をフォーカス記録層とした場合の光路を示す。
本発明を適用した光ピックアップ7は、所定の波長の光ビームを出射する光源30と、光源30から出射された光ビームを少なくとも3本の光ビームに回折して分割する回折素子31と、回折素子31に分割された3本の光ビームをそれぞれ光ディスク2の信号記録面としての記録層上に集光する対物レンズ32と、光ディスク2の記録層で反射された3本の光ビームのそれぞれの反射光を受光する受光部33a,33b,33cを有する光検出器34と、光源30と対物レンズ32との間に配置され、光ディスク2で反射された反射光の光路を光源30から出射された光ビームの光路と分離する光路分離手段となるビームスプリッタ35とを備える。
また、光ピックアップ7は、ビームスプリッタ35と受光部33との間に、光ディスク2で反射された迷光成分を除去する迷光除去素子36と、光ディスク2で反射された光ビームを迷光除去素子36へ集光させる第1の集光レンズ37と、迷光除去素子36を透過した光ビームの発散角を変換して受光部33に照射させる第2の集光レンズ38と、光ディスク2で反射された光ビームに非点収差を付与するシリンドリカルレンズ39とを備える。
迷光除去素子36、第1の集光レンズ37及び第2の集光レンズ38は、集積化されることにより一つの複合光学素子40を構成している。なお、これら迷光除去素子36、第1の集光レンズ37及び第2の集光レンズ38は、複合光学素子40として構成する以外にも、ディスクリートに配設してもよい。また、シリンドリカルレンズ39は、第2の集光レンズ38と一体化させることにより、迷光除去素子36を透過した光ビームを光検出器34へ入射させる集光機能も備えるようにしてもよい。
また、光ピックアップ7は、光源30とビームスプリッタ35との間に設けられ、光源30から出射された光ビームの発散角を変えて略平行光とするコリメータレンズ42と、コリメータレンズ42と対物レンズ32との間に設けられ、透過する光ビームに位相差を与え偏光状態を変える1/4波長板43とを備える。
光源30は、例えば、波長405nm程度のレーザ光束を出射する半導体レーザである。尚、光源30から出射される光ビームの波長は、405nm程度に限られるものではなく、例えば、650nm程度、780nm程度の波長の光ビームを出射するように構成してもよい。また、以下では、単一の波長の光ビームを出射する場合について説明するが、二以上の複数種類の波長の光ビームを出射する一又は複数の光源を設けるように構成してもよい。
回折素子31は、光源30とビームスプリッタ36との間に設けられ、所定の回折構造を有し、光源30から出射された光ビームをトラッキングエラー信号を生成するための所定の回折方向に回折し、0次光(以下、「メインビーム」ともいう。)及び±1次回折光(以下、「第1及び第2のサブビーム」ともいう。)からなる3ビームに分割させて出射する。光ピックアップ7は、この回折素子31により、分割されたメインビーム及び第1、第2のサブビームにより、トラッキングエラー信号を得ることができる。
尚、ここでは、回折素子31により、通過する光ビームを0次光及び±1次回折光からなる3本の光ビームに分割するように構成したが、本発明に係る光ピックアップに用いられる回折素子は、これに限られるものではなく、例えば0次光及び多次光からなる少なくとも2本の光ビームに分割する回折素子であればよい。
ビームスプリッタ35は、回折素子31により3本の光ビームに分割されて入射された往路の光ビームを反射して対物レンズ32側に向けて出射させるとともに、光ディスク2で反射され対物レンズ32を経由して入射された復路の光ビームを透過して受光部33側に向けて出射させる。このように、ビームスプリッタ35は、復路の光ビームの光路を往路の光ビームの光路から分離させて迷光除去素子36、第1、第2の集光レンズ37,38及び受光部33側に導く。
対物レンズ32は、光ディスク2の種類に対応した開口数NAとされ、例えば、開口数NAが0.85程度とされている。対物レンズ32は、光ディスク2の選択される所望の記録層上に入射した光ビームを集光する。尚、この対物レンズの開口数は、用いる光ディスク2の種類に応じたものを用いるものであり、0.85程度に限られるものではなく、例えば、0.6程度又は0.45程度のものであってもよい。
光ディスク2で反射した光ビームを検出する光検出器34は、図6に示すように、中央部に、例えば略正方形状に形成され入射した正規反射光SのメインビームSを受光して検出する受光部33aと、この受光部33aを挟んで互いに反対側の位置に形成され入射した正規反射光Sの2本のサブビームSを受光して検出する受光部33b,33cと、この受光部33a,33b,33c以外の部分に光ビームを検出しない非受光部とが設けられた受光素子を有し、この受光素子の受光部33a〜33cで受光した光ビームを検出する。受光部33aは、正規反射光SのメインビームSが入射する位置に形成され、受光部33bは、正規反射光Sの第1のサブビームSS1が入射する位置に形成され、受光部33cは、正規反射光Sの第2のサブビームSS2が入射する位置に形成されている。
光検出器34は、受光部33a,33b,33cがそれぞれ一の受光領域からなるフォトディテクタ、又は複数の受光領域からなる所謂分割フォトディテクタとして構成され、後述する第2の集光レンズ38により集光された正規反射光SのメインビームSを受光部33aで受光し、正規反射光Sの2本のサブビームSを受光部33b,33cで受光することにより、情報信号とともにトラッキングエラー信号及びフォーカシングエラー信号等の各種信号を検出する。
例えば、図6に示すように、受光部33aは、互いに直交する方向にそれぞれ2分割された4分割の受光領域A,B,C,Dを有し、受光部33b,33cは、それぞれ2分割の受光領域E,F及び受光領域G,Hを有し、正規反射光SのメインビームSを受光した受光部33aにより検出した信号強度A,B,C,Dから得られるメインプッシュプル信号MPP=(A+D)−(B+C)と、正規反射光SのサブビームSを受光した受光部33b,33cにより検出した信号強度E,F,G,Hから得られるサブプッシュプル信号SPP1=E−F,SPP2=G−Hとにより、所謂DPP方式のトラッキングエラー信号が検出できる。
すなわち、DPP方式のトラッキングエラー信号DPPは、DPP=MPP−(K1×SPP1+K2×SPP2)により得られる(ここでK1,K2は補正係数である。)。これは、メインプッシュプル信号MPPだけでは、トラッキングのために対物レンズ32がシフトすることにより、MPPがオフセットしてしまい良好なトラッキングエラー信号が得られないことをサブプッシュプル信号で補正するものである。具体的には、光ディスク上のサブビームのスポットは、トラックピッチの半分だけメインビームのスポットからずらして配置されている。したがって、サブプッシュプル信号SPP1,SPP2は、メインプッシュプル信号MPPとは逆極性で変調された信号となる。その一方で、対物レンズ32のシフトによるオフセットは、MPPも、SPP1及びSPP2も同じ極性である。以上のことからメインビームとサブビームの明るさを補正する係数K1,K2を用いて上述の演算により、対物レンズ32のシフトによるオフセットがキャンセルされるとともに、ピットやグルーブで変調されるトラッキングエラー信号を2倍にした、良好なトラッキングエラー信号が得られる。尚、ここで、K1とK2とは原理的に等しく、例えば、サブビームがメインビームに対して1/10程度の明るさに設定されているので、K1=K2=5程度とされている。
また、フォーカシングエラー信号は、非点収差法により検出される。具体的に、フォーカシングエラー信号FEは、受光部33aの各受光領域A、B、C、Dにより検出した信号強度A、B、C、Dから関係式FE=(A+C)−(B+D)により算出される。
次いで、光ディスク2で反射された迷光成分を除去する迷光除去素子36について説明する。迷光除去素子36は、復路の光ビームのうち、往路の光ビームが集光されることにより情報信号の記録又は再生を行うフォーカス記録層で反射された正規反射光Sを透過し、フォーカス記録層以外の記録層やカバー層2aで反射された迷光Nの一部を不透過あるいは偏光方向を正規反射光Sと干渉しない方向へ変換させるものである。
迷光除去素子36は、図7に示すように、正規反射光Sの回折方向に亘って形成され正規反射光Sが入射する透過部51と、受光部33上で正規反射光Sと干渉する迷光Nの干渉成分を除去する干渉成分除去部52とを有する。透過部51は、干渉成分除去部52の中に、回折素子31によって3本の光ビームに分割された光ビームの回折方向に亘って、スリット状に形成されている。また、透過部51は、3本に分割された正規反射光Sが遮られることなく透過可能な所定幅Wを有する。
干渉成分除去部52は、例えば、迷光Nを受光部33側へ透過させない遮光部として形成され、具体的には、光を透過させない遮光膜をコーティングする、光を透過させない遮光フィルムや遮光板を貼着する等の方法によって形成される。なお、干渉成分除去部52は、液晶が充填されることにより形成され、液晶等を通電させることにより迷光Nを透過させないように配列方向を変換させ、これにより迷光Nを不透過とすることができる。また、干渉成分除去部52は、光を透過させない反射膜や反射フィルム、反射板を用いて迷光Nを不透過としてもよい。
かかる迷光除去素子36は、第1の集光レンズ37を透過した正規反射光Sが焦点を結ぶ位置に配設されている。したがって、光ディスク2に反射された復路の光ビームのうち、正規反射光Sは、3本に分割された各光ビームがそれぞれ迷光除去素子36上にほぼ焦点を結び、迷光Nは、迷光除去素子36より手前あるいは奥に焦点を結ぶ入射角を有するため、迷光除去素子36上に正規反射光Sを包含する広範なスポットを有する。
そして、正規反射光Sは、迷光除去素子36に入射すると、3本に分割された正規反射光Sの回折方向に亘ってスリット状に形成された透過部51に入射し、受光部33側へ透過していく。このとき、正規反射光Sは、透過部51上において、ほぼ焦点を結んでいること及び、透過部51は、ほぼ焦点を結ぶ正規反射光Sを透過させるに十分な所定幅Wを有していることから、干渉成分除去部52に遮られることなく全光量が受光部33側へ透過していく。一方、迷光Nは、迷光除去素子36に入射すると、透過部51に入射したスポット中央部分は受光部33側へ透過していき、干渉成分除去部52に入射したスポット上下部分は遮光され、受光部33側へ透過されない。後に詳述するように、干渉成分除去部52に一部遮光された迷光Nは、受光部33上において、正規反射光Sの第1及び第2のサブビームSS1,SS2との干渉成分が除去されているため、受光部33による正確な信号検出を阻害することがない。
復路の光ビームの進行方向に対して迷光除去素子36の手前に配置される第1の集光レンズ37は、正規反射光Sを迷光除去素子36の透過部61の幅Wよりも小さいスポット形状を形成するような大きさに集光して、正規反射光SのメインビームSと第1及び第2のサブビームSS1,SS2が遮光されることなく透過させる。また第1の集光レンズ37は、正規反射光Sとは異なる入射角で入射する迷光Nを迷光除去素子36上において、正規反射光Sよりも大きいスポット形状を形成するような大きさに集光して、そのスポットの両端部を干渉成分除去部52で遮光させる。
なお、光ピックアップ7は、第1の集光レンズ37を設けることなく、光学系を構成する各光学部品の配置等を調整することにより、迷光除去素子36の透過部51に正規反射光Sを入射させ、干渉成分除去部52に迷光Nの一部を入射させることも可能である。ただし、光ピックアップ7は、第1の集光レンズ37を設けて正規反射光Sを全部透過させるとともに迷光Nの干渉成分を除去可能な程度に、迷光除去素子36上の正規反射光Sと迷光Nのスポット径を積極的に変えて、すなわち正規反射光Sと迷光Nとを分離する構成を設けることで、光学部品の配置や光学倍率等の光学設計につき自由度を増加させ、また、装置全体の小型化を図ることができる。
また、復路の光ビームの進行方向に対して迷光除去素子36の奥側に配置される第2の集光レンズ38は、迷光除去素子36を透過した復路の光ビームをシリンドリカルレンズ39を介して光検出器34の受光部33へ入射させるものである。これら第1、第2の集光レンズ37,38及び迷光除去素子36は、複合光学素子40として形成することで、各素子毎に光軸及び位置調整を行う手間を省き、容易に光学系を構成することができる。
迷光除去素子36を透過した復路の光ビームは、第2の集光レンズ38を介してシリンドリカルレンズ39に入射される。シリンドリカルレンズ39は、復路の光ビームに非点収差を付与した後、光検出器34の各受光部33へ入射させるものであり、これにより、迷光除去素子36を透過した迷光Nの受光部33による検出を効果的に防止するものである。
すなわち、シリンドリカルレンズ39は、図8に示すように、光線に非点収差を付与することにより、互いに直交するX方向とY方向とで焦点が前後する前焦線と後焦線とができる。光ピックアップ7の光学系においては、シリンドリカルレンズ39を透過した正規反射光Sの前焦線と後焦線との各焦点間に光検出器34を設ける。このとき、正規反射光Sと迷光Nとのシリンドリカルレンズ39への入射角の違いから、光検出器34は、シリンドリカルレンズ39を透過した迷光Nの前焦線より手前又は後焦線より奥に位置する。
したがって、シリンドリカルレンズ39を透過した正規反射光Sは、光検出器34へ入射することにより、メインビームSが受光部33a上に、2本のサブビームSが各受光部33b,33c上にそれぞれ焦円を照射する。一方、シリンドリカルレンズ39を透過した迷光Nは、光検出器34へ入射することにより、各受光部33a〜33c上に、正規反射光SのメインビームS及びサブビームSの回折方向と交差する方向を長手方向としたスポットを照射する。
具体的に、図8に示すように、シリンドリカルレンズ39を透過することにより非点収差が付与された復路の光ビームについて、互いに直交するX軸及びY軸によってCに4分割された面座標を想定するとともに、進行方向に向かってシリンドリカルレンズ39から前焦線までの領域Iと、前焦線から後焦線までの領域IIと、後焦線より奥の領域IIIを設定する。
図9に、各領域I〜IIIにおける復路の光ビームの面座標の上の推移を示す。シリンドリカルレンズ39を透過して非点収差を付与された復路の光ビームは、領域Iから領域IIにかけてY方向に向かってC面とC面とが近接していき、前焦線を境にX軸を中心に反転する。また復路の光ビームは、領域IIから領域IIIにかけてX方向に向かってC面とC面とが近接していき、後焦線を境にY軸を中心に反転する。
これを正規反射光Sについてみると、3本に分割された正規反射光Sは、図10(a)〜図10(e)に示すように、メインビームS及び2本のサブビームSS1,SS2が各々並ぶ方向は変えずに、各ビームの光束に関しては、上述した図9に示す反転規則が適用される。
そして、光ピックアップ7の光学系においては、正規反射光Sの前焦線と後焦線との各焦点間、すなわち正規反射光Sにおける領域IIに光検出器34を設けることから、正規反射光Sは、図10(c)に示す状態で光検出器34に入射する。
一方、迷光Nについてみると、正規反射光Sの回折方向と同方向に形成された透過部51を透過した迷光Nは、図11に示すように、正規反射光Sの3ビームと同様に、シリンドリカルレンズ39のXY座標面に対して座標中心を通りC面からC面に亘る領域に入射する。なお、図11は、迷光除去素子36にて遮光されなかった場合における迷光Nの入射領域を点線で示している。迷光Nは、領域Iから領域IIにかけてY方向に向かってC面への入射光とC面への入射光とが近接していき(図11(a))、前焦線(図11(b))を境にX軸を中心に反転する(図11(c))。また、迷光Nは、領域IIから領域IIIにかけてX方向に向かってC面への入射光とC面への入射光とが近接していき、後焦線(図11(d))を境にY軸を中心に反転する(図11(e))。
そして、光ピックアップ7の光学系においては、迷光N(記録層L1をフォーカスしたときの記録層L2の迷光)の場合は、後焦線より奥、すなわち迷光Nにおける領域IIIに光検出器34が位置することとなるから、図11(e)に示す状態で光検出器34に入射する。また、迷光N(記録層L2をフォーカスしたときの記録層L1の迷光)の場合は、前焦線より手前、すなわち迷光Nにおける領域Iに光検出器34が位置することとなるから、図11(a)に示す状態で光検出器34に入射する。例えば、記録層L1をフォーカス記録層とした場合には、図5(a)に示すように、迷光Nは領域IIIの状態で光検出器34に入射し、記録層L2をフォーカス記録層とした場合には、図5(b)に示すように、迷光Nは領域Iの状態で光検出器34に入射する。
したがって、光検出器34は、図12(a)又は図12(b)に示すように、各受光部33a〜33cに対して正規反射光SのメインビームS及びサブビームSがそれぞれ入射すると共に、正規反射光Sの回折方向と略直交する方向を長手方向とする迷光Nが受光部33aにのみ入射し、受光部33b及び33cに入射しない。なお、迷光除去素子36にて遮光されなかった場合における迷光Nの入射領域を点線で示している。図12に示すように、光ピックアップ7の光学系においては、迷光除去素子36により迷光Nを一部遮光すると共に、シリンドリカルレンズ39によって非点収差が付与された復路の光ビームについて、正規反射光Sの前焦線と後焦線との間に光検出器34を設けることで、正規反射光Sの回折方向と、迷光Nの長手方向とを直交させて受光部33へ入射させるため、正規反射光SのサブビームSが入射する受光部33b,33cへ迷光Nが入射することを防止することができる。なお、図12(a)は、記録層L1をフォーカス記録層とした場合の受光部33を示し、図12(b)は、記録層L2をフォーカス記録層とした場合の受光部33を示す。
これにより、光ピックアップ7は、正規反射光SのサブビームSの光強度が迷光Nの光強度と略等しい場合でも、サブビームSが入射する受光部33b,33cへの迷光Nの入射が防止されるため、正規反射光SのサブビームSと迷光Nとが干渉することによるノイズが発生することなく、サブビームSを用いたサーボ制御を良好に行うことができる。
また、本発明が適用された光ピックアップ7の光学系においては、迷光除去素子36の干渉成分除去部52を液晶等を用いて形成し、通電と遮断とを切り替えることで光ビームの透過と不透過を切り替えるように形成してもよい。これにより、例えば光ディスク装置1の駆動初期時やいわゆる面振れディスクに対する記録再生時等に、光ディスク2の信号記録面に光ビームの焦点を結像させるように対物レンズ32を移動調整するフォーカス引き込みを行う場合に、干渉成分除去部52が透過に切り替えられる。
光ディスク2のフォーカス引き込みは、対物レンズ32を光ディスク2に対して光ビームを照射させながら離接し、この際に得られる反射光量とフォーカスエラー信号との関係より光ディスク2の信号記録面、例えば2層ディスクの場合は光ピックアップ7からみて奥側の層を判別する。信号記録面の判別後、再び光ディスク2から遠ざけるように対物レンズ32を移動させ、フォーカスエラー信号のゼロクロス点近傍でフォーカスサーボを動作させる。
光ピックアップ7は、フォーカス引き込みを行う場合に、迷光除去素子36の干渉成分除去部52を透過に切り替えることにより、反射光が遮られることなく光量を検出することができ、適切なフォーカス引き込み動作を行うことができる。
また、本発明が適用された光ピックアップ7の光学系においては、干渉成分除去部によって、迷光Nの偏光方向を正規反射光SのサブビームSと干渉しない方向へ変える迷光除去素子60を使用してもよい。かかる、迷光除去素子60は、上述した迷光除去素子36と同様に所定幅Wを有し、3ビームに分割された正規反射光Sを透過する透過部61と干渉成分除去部62とを有し(図7)、この干渉成分除去部62を迷光Nが透過することにより、当該迷光Nの偏光方向を正規反射光Sと異なる方向、例えば直線偏光ならば互いに直交する方向へ、また円偏光ならば互いに回転方向が逆向きとなるように変える。かかる干渉成分除去部62は、例えば波長板又は位相子を設けることにより、この干渉成分除去部62を透過した迷光Nの偏光方向を、正規反射光Sの偏光方向と異なる方向へ変えることができる。
迷光除去素子60を透過した迷光Nは、第2の集光レンズ38及びシリンドリカルレンズ39を透過することにより、図11(a)又は図11(e)において点線で示す範囲で受光部33a〜33cへ入射する。このとき、図13に示すように、この迷光Nのうち、透過部61を透過した成分は、正規反射光SのメインビームSとともに受光部33aへ入射し、干渉成分除去部62を透過した成分は、正規反射光Sの第1及び第2のサブビームSS1,SS2とともに第2、第3の受光部33b,33cへ入射する。なお、図13(a)は、記録層L1をフォーカス記録層とした場合の受光部33を示し、図13(b)は、記録層L2をフォーカス記録層とした場合の受光部33を示す。
しかし、かかる光ピックアップ7は、干渉成分除去部62を透過した迷光Nが正規反射光SのサブビームSとともに受光部33b,33cへ入射しても、迷光Nの偏光方向が干渉成分除去部62によって変換されているため、迷光Nと正規反射光SのサブビームSとが干渉することなく、迷光Nによって光検出器34による正確な信号検出が阻害されることがない。
なお、かかる迷光除去素子60は、上記迷光除去素子36と同様に、通電と遮断とを切り替えることで、干渉成分除去部62を透過した光ビームの偏光方向を透過部61を透過した光ビームの偏光方向と異なる方向へ変えるか否かを切り替えるようにしてもよい。
また、本発明が適用された光ピックアップ7を備えた光ディスク装置1では、光ディスク2の種別を判別するディスク種類判別部22によって装着された光ディスク2の種別を判別し、判別された光ディスク2の種類に応じて、迷光除去素子36,60の干渉成分除去部52,62を切り替えるようにしてもよい。例えば、光ディスク装置1は、発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD等の高密度記録光ディスクが装着された場合のみ、迷光除去素子36,60の干渉成分除去部52,62を機能させて迷光成分を除去し、CDやDVD等の光ディスク2が装着された場合には、迷光成分除去部52,62を機能させずに正規反射光S及び迷光Nをいずれもそのまま透過させるようにしてもよい。
BD等の高密度記録光ディスクは、多層ディスクとして形成されると、各記録層の間隔が略25μm程度とCDやDVDに比して狭小とされていることから、フォーカス記録層で反射された正規反射光Sと、隣接する他の記録層で反射された迷光Nの受光部33上でのスポット径が略等しくなる。したがって、迷光Nの光量を検出することにより発生するノイズ成分が、正規反射光Sの光量を検出することによる正規信号成分に対して及ぼす影響が大きくなり、良好なRF信号やサーボ信号等の各種信号を得ることができなくなるおそれがある。
一方、CDやDVD等は、多層ディスクとして形成された場合にも、各記録層の間隔が比較的広く、フォーカス記録層で反射された正規反射光Sと比べて、隣接する他の記録層で反射された迷光Nの受光部33上でのスポット径は小さい。したがって、迷光Nの光量を検出することにより発生するノイズ成分は、正規反射光Sを検出することによる正規信号成分に対して微量であり、各種信号を検出するに際して影響は少ない。
したがって、光ディスク装置1は、BD等の高密度記録光ディスクが多層ディスクとして形成された場合に、比較的信号記録層の間が狭小化された光ディスク2が装着されたことを検出すると、迷光除去素子36,60の干渉成分除去部52,62を機能させ、CDやDVD等の多層ディスクとして形成された場合に信号記録層の間が比較的広い光ディスク2が装着されたことを検出すると、干渉成分除去部52,62の機能を停止させることで、常に良好な各種信号を得ることができる。
また、本発明が適用された光ピックアップ7を備えた光ディスク装置1では、迷光除去素子36,60を液晶を用いて形成し、通電及び遮断を切り替えることにより干渉成分除去部52,62を切り替えると共に、通電位置を変えることにより正規反射光Sが透過する透過部51,61の所定幅Wや透過部51,61が形成される位置を可変としてもよい。これにより、透過部51,61は、光ディスク2に対応して出射される光ビームの波長の違いによりスポット径や入射位置が変動しても、迷光除去素子36,60に入射する正規反射光Sのスポット径に応じた幅Wに可変されるため、正規反射光Sが干渉成分除去部52,62に遮られることを防止できる。
なお、図14(a)及び図14(b)を参照して、本発明が適用された光ピックアップ7における光学設計の諸元について説明する。同図における各符号を以下の通り定義すると、下記式(1)〜(3)が成り立つ。
M:光ディスク2から迷光除去素子36,60までの光学倍率
d:光ディスク2における記録層L1、L2の層間厚み
n:光ディスク2の屈折率
NA:対物レンズ32の開口数
φ:迷光除去素子36,60の面上における迷光Nの直径
BS:迷光除去素子36,60の面上における正規反射光SのメインビームSのスポット中心とSS1,SS2のスポット中心との間隔
bs:光ディスク2のフォーカス記録層の面上における正規反射光SのメインビームSのスポット中心とサブビームSS1,SS2のスポット中心との間隔
λ:入射光ビームの波長
φ=4d(1+1/n)×M×tan[sin−1(NA/M)]・・・(1)
BS=M×bs・・・(2)
AP=1.22×λ/(NA/M)・・・(3)
このとき、光ピックアップ7の光学系においては、迷光除去素子36,60の透過部51,61の幅Wは、下記式(4)を満足することが望ましい。
AP<W<2BS−AP・・・(4)
ここで、APは迷光除去素子36,60の透過部51,61に入射する正規反射光Sのスポット径を意味する。したがって、透過部51,61の幅Wは、この正規反射光Sのスポット径APよりも大きく設定されることにより(AP<W)、正規反射光Sが遮られることなく透過できる。また、2BS−APは、正規反射光SのメインビームSを挟んで対置する第1及び第2のサブビームSS1,SS2の各中心間を結ぶ線分から正規反射光Sのスポット径の長さを差し引いた領域、すなわち上記線分から第1、第2のサブビームSS1,SS2を除いた領域を示す。係る迷光Nの透過を領域内に抑えることにより(W<2BS−AP)、正規反射光Sの第1及び第2のサブビームSS1,SS2が入射する受光部33b、33cへ迷光Nが入射することを防止できる。
また、光ピックアップ7の光学系においては、以下の式(5)を満足することが望ましい。
φ>2BS+AP・・・(5)
すなわち、迷光除去素子36,60の面上における迷光Nの直径φは、正規反射光SのメインビームSを挟んで対置する第1及び第2のサブビームSS1,SS2の各中心間を結ぶ線分に正規反射光Sのスポット径の長さを加えた長さを備えること、すなわち、正規反射光SのメインビームSと第1及び第2のサブビームSS1,SS2を包含するスポットを形成する。これにより、光ピックアップ7の光学系は、迷光Nが受光部33b,33cに入射し得る光路を有し、また、迷光除去素子36,60の干渉成分除去部52,62によって迷光成分が除去されることとなる。
本発明を適用した光ディスク装置の概略を示す斜視図である。 本発明が適用された光ディスク装置のブロック図である。 多層ディスクとして形成された光ディスクを示す断面図である。 光ピックアップの光学系を示す図である。 迷光除去素子及びシリンドリカルレンズを透過して受光部へ入射する正規反射光及び迷光の光路を示す図である。 光検出器に形成された受光部を示す図である。 迷光除去素子を示す平面図である。 非点収差が付与されたビーム光束を示す図である。 シリンドリカルレンズを透過した光ビームの面座標上の推移を示す図である。 シリンドリカルレンズを透過した正規反射光の面座標上の推移を示す図である。 シリンドリカルレンズを透過した迷光の面座標上の推移を示す図である。 迷光成分除去部によって遮光された迷光及び正規反射光が入射する受光部を示す図である。 迷光成分除去部によって偏光方向が偏光された迷光及び正規反射光が入射する受光部を示す図である。 光ピックアップの光学設計について説明する図である。
符号の説明
1 光ディス装置、2 光ディスク、7 光ピックアップ、30 光源、31 回折素子、33 受光部、34 光検出器、35 ビームスプリッタ、36 迷光除去素子、37 第1の集光レンズ、38 第2の集光レンズ、39 シリンドリカルレンズ、40 複合光学素子、42 コリメータレンズ、51 透過部、52 干渉成分除去部、60 迷光除去素子、61 透過部、62 迷光成分除去部

Claims (10)

  1. 光ビームをメインビームとサブビームとに分光して該メインビーム及びサブビームを光ディスクに集光する対物レンズへ照射する回折素子と、
    上記光ビームが集光され情報信号の記録又は再生を行う上記光ディスクの記録再生層で反射された正規反射光が集光素子を透過して結像した焦点位置に配設され、上記正規反射光の回折方向に亘って形成された透過部と、上記光ビームが照射された上記光ディスクの上記記録再生層以外の層で反射された迷光の干渉成分を除去する干渉成分除去部とを備える迷光除去素子と、
    上記正規反射光及び迷光に非点収差を付与する非点収差発生素子と、
    上記非点収差発生素子を透過した正規反射光の前焦線と後焦線の各焦点間に配設され、上記光ディスクからの正規反射光を検出する受光素子とを備え、
    上記迷光除去手段及び上記非点収差発生素子を透過した迷光が、該迷光の後焦線の焦点以降の位置又は該迷光の前焦線の焦点以前の位置にて上記受光素子に入射する光ピックアップ。
  2. 上記迷光除去素子は、上記集光素子とともに複合光学素子を形成してなることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  3. 上記迷光除去素子は、上記集光素子と、非点収差を付与された上記正規反射光及び上記迷光を上記受光素子に入射させる第2の集光素子とともに複合光学素子を形成することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  4. 上記迷光除去素子の干渉成分除去部は、上記迷光を透過させないことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  5. 上記迷光除去素子は、通電又は遮断させることにより、上記干渉成分除去部の透過又は不透過を切り替えることを特徴とする請求項4記載の光ピックアップ。
  6. 上記干渉成分除去部は、フォーカス引き込み時には透過に切り替えられ、フォーカスサーボに時には不透過に切り替えられることを特徴とする請求項5記載の光ピックアップ。
  7. 上記迷光除去素子の干渉成分除去部は、上記迷光の偏光方向を上記正規反射光の偏光方向と異なる方向へ変えることを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
  8. 上記迷光除去素子は、通電又は遮断させることにより、上記干渉成分除去部の偏光方向を切り替えることを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ。
  9. 光ビームの入射方向に一又は複数の記録層を有する光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップと、上記光ディスクを回転する回転駆動手段とを備える光ディスク装置において、
    上記光ピックアップは、
    光ビームをメインビームとサブビームとに分光して該メインビーム及びサブビームを光ディスクに集光する対物レンズへ照射する回折素子と、
    上記光ビームが集光され情報信号の記録又は再生を行う上記光ディスクの記録再生層で反射された正規反射光が集光素子を透過して結像した焦点位置に配設され、上記正規反射光の回折方向に亘って形成された透過部と、上記光ビームが照射された上記光ディスクの上記記録再生層以外の層で反射された迷光の干渉成分を除去する干渉成分除去部とを備える迷光除去素子と、
    上記正規反射光及び迷光に非点収差を付与する非点収差発生素子と、
    非点収差発生素子を透過した正規反射光の前焦線と後焦線との間に配設され、上記光ディスクからの正規反射光を検出する受光素子とを備え、
    上記迷光除去手段及び上記非点収差発生素子を透過した迷光が、該迷光の後焦線の焦点以降の位置又は該迷光の前焦線の焦点以前の位置にて上記受光素子に入射する光ディスク装置。
  10. 上記光ディスクの種別を判別する光ディスク判別手段を備え、
    上記迷光除去素子は、通電又は遮断させることにより、上記干渉成分除去部の透過又は不透過を切り替え、
    特定の光ディスクが装着された場合のみ、上記迷光除去素子の干渉成分除去部を不透過に切り替えることを特徴とする請求項9記載の光ディスク装置。
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