以下、本発明を適用した光ピックアップを用いた記録再生装置について、図面を参照して説明する。
本発明が適用された記録再生装置1は、図1に示すように、光ディスク2から情報記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4と、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5とを備えている。
記録再生装置1は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な光ディスクや、光磁気ディスク等の光ディスク2に対して情報の記録及び/又は再生(以下では記録再生と記述する。)を行うことができるようにされている。
記録再生装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御されて所定の回転数で駆動される。光ピックアップ3は、所定の波長の光ビームを照射するとともに、この光ビームの記録層における反射光を検出する。光ピックアップ3は、検出した反射光から各光ビームに対応する信号をプリアンプ部14に供給する。
プリアンプ部14の出力は、信号変復調器及びエラー訂正符号ブロック(以下、信号変復調&ECCブロックと記す。)15に送られる。この信号変復調及びECCブロック15は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ピックアップ3は、信号変復調及びECCブロック15の指令にしたがって回転する光ディスク2の記録層に対して光ビームを照射し、光ディスク2に対して信号の記録又は再生を行う。
プリアンプ部14は、フォーマット毎に異なって検出される光ビームに対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録又は再生の対象媒体とされる光ディスク2の種類に応じて、サーボ制御回路9、信号変復調及びECCブロック15等により、光ディスク2の規格に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
ここで例えば、信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス16を介して外部コンピュータ17に送出される。これにより、外部コンピュータ17等は、光ディスク2に記録された信号を再生信号として受け取ることができる。
また、信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオビジュアル用であれば、D/A及びA/D変換器18のD/A変換部でデジタルアナログ変換され、オーディオビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオビジュアル処理部19でオーディオビジュアル処理が行われ、オーディオビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部の撮像映写機器等に伝送される。
光ピックアップ3において、例えば、光ディスク2上の所定の記録トラックまで移動させるための送りモータ5の制御、スピンドルモータ4の制御、及び光ピックアップ3において光集光手段となる対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動とトラッキング方向の駆動制御は、それぞれサーボ制御回路9により行われる。
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、異なる光ディスク間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
記録再生装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスクの仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22から送られる検出結果に基づいて光ディスク2の種類を判別する。光ディスクの種類を判別する手法としては、光ディスクがカートリッジに収納されるタイプであれば、このカートリッジに検出穴を設けて接触検出センサ又は押下スイッチを用いて検出する手法があげられる。また、同一光ディスクにおける記録層の判別には、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録された目録情報(Table Of Contents;TOC)による情報に基づいて、どの記録層に対する記録再生かを判別する手法が使用できる。
サーボ制御回路9は、システムコントローラ7に制御され、ディスク種類判別部22の判別結果に応じて光ピックアップ3における焦点距離、すなわち、後述するコリメータレンズ33の位置を制御する。サーボ制御回路9は、例えば光ピックアップ3と光ディスク2との相対位置を検出する(光ディスク2に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生する記録領域を判別できる。
以上のように構成された記録再生装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御し、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
ここで、上述した記録再生用光ピックアップ3について詳しく説明する。
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、所定の波長の光ビームを出射する光源部31と、この光源部31から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面2a上に集光する対物レンズ32と、光源部31と対物レンズ32との間に設けられ入射した光ビームの発散角を変換する光学素子としてコリメータレンズ33と、コリメータレンズ33と対物レンズ32との間に設けられ、コリメータレンズ33から出射された光ビームを対物レンズ32に入射する光ビームから一部分離する第1のビームスプリッタ34と、光源部31とコリメータレンズ33との間に設けられ、光ディスクで反射された戻り光の光路を出射光の光路から分岐させる第2のビームスプリッタ35と、第2のビームスプリッタ35で分岐された戻り光を検出する光検出器36とから構成されている。
コリメータレンズ33には、コリメータレンズ33を光軸方向に移動させるアクチュエータ40が設けられている。コリメータレンズ33は、アクチュエータ40により光軸方向に移動されることで、コリメータレンズ33を通過した後の光ビームのパワー収差を発生させる、すなわち通過した光ビームの発散角を変化させることができる。
コリメータレンズ33は、この発散角の変化により、光ディスク2の保護基板厚2aの誤差等による球面収差を補正することができるとともに、この発散角の変化に伴うデフォーカス成分により、振動、衝撃、温度変化等による焦点位置のズレを補正することができる。ここで、デフォーカス成分とは、焦点ズレを発生させる成分のことであり、対物レンズ32に入射する光ビームの発散角度が変化することにより、変化する前の所定の発散角度のときの焦点位置に対する変化後の光ビームの焦点位置のズレ量のことである。
対物レンズ32の入射側には、対物レンズ32に入射する光ビームの開口制限を行う開口制限素子として第1の開口フィルタ41が設けられている。対物レンズ32は、コリメータレンズ33により発散角を変換され、第1の開口フィルタ41により開口制限された光ビームを光ディスク2の信号記録面2aに集光することができる。
また、光ピックアップ3には、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを検出する制御用検出部37と、第1のビームスプリッタ34と制御用検出部37との間に設けられ、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを制御用検出器37の受光面に集束させる光学素子38と、光学素子38の入射側に設けられる第2の開口フィルタ42とが設けられている。
制御用検出器37は、コリメータレンズ33を通過した光ビームの光量を検出することでデフォーカス成分を検出することができる。すなわち、光ディスク2の信号記録面2a上に適切に光ビームを集光させるためには、対物レンズ32に入射する光ビームの発散角が所定の角度となる必要がある。コリメータレンズ33を通過した光ビームは、適切な条件の下では、所定の発散角度とされ、対物レンズ32により光ディスク2の信号記録面2a上に集光される。しかし、例えば、振動・衝撃による位置ずれ、及び、温度変化によりコリメータレンズ33の屈折力の変化等が発生した場合には、コリメータレンズ33を通過した光ビームは、所定の角度に比べて発散角度が変化されてしまう。この発散角度の変化に伴い、信号記録面2aで適切に集光することができないという問題が発生する。
制御用検出器37には、適切な条件の下ではコリメータレンズ33を通過して所定の角度とされた光ビームが第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて光学素子38により適切に集光される。しかし、上述の振動、衝撃、温度変化により、コリメータレンズ33を通過して発散角度が変化された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて、制御用検出器37上に適切に集光せずにズレが生じる。そこで、制御用検出器37は、この内周部及び外周部における合焦位置のズレを検出することで、コリメータレンズ33を通過した光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度を検出することができる。さらに具体的に説明すると、通過する光ビームが所定の角度とされる適正な位置に対して、コリメータレンズ33が対物レンズ32側に移動した場合には、第1のビームスプリッタ34を透過した光は、信号記録面2aより手前に焦点位置がずれる。このとき、制御用検出器37は、第1のビームスプリッタ34により一部分離された光ビームのずれ量を検出することで、このデフォーカス成分を検出することができる。また、通過する光ビームが所定の角度とされる適正な位置に対して、コリメータレンズ33が光源側に移動した場合には、第1のビームスプリッタを通過した光は、光ディスク2の信号記録面2aより遠い位置に焦点位置がずれる。このとき、制御用検出器37は、第1のビームスプリッタ34により一部分離された光ビームのずれ量を検出することで、このデフォーカス成分を検出することができる。
光ピックアップ3は、制御用検出器37で検出された検出信号によりデフォーカス成分の発生を検出し、このデフォーカス成分の発生に伴う収差の補正用の信号を生成する収差補正回路44と、収差補正回路44で生成された収差補正用信号を受けてアクチュエータ40を駆動させるアクチュエータ駆動回路45とを備える。
アクチュエータ駆動回路45は、制御用検出器37で検出した光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度のズレを検出した収差補正回路44により生成された収差補正用信号により、コリメータレンズ33を、最適な位置、すなわち、光ビームの発散角が所定の角度となるような位置に移動操作して、発散角度のズレ及びこれに伴う焦点位置のズレがゼロとなる位置に移動させる。
また、光ピックアップ3は、光検出器36で検出された検出信号より光ディスクの保護基板厚の誤差等による球面収差の発生を検出し、収差補正用の信号を生成する収差補正回路44及びアクチュエータ駆動回路45により、アクチュエータ40を駆動させて、球面収差をゼロとなる位置にコリメータレンズ33を移動させる。
次に、この光ピックアップ3における、光源部から出射されたレーザ光の光路について説明する。
光源部31から出射された光ビームは、コリメータレンズ33により、発散角を変換されて対物レンズ32側に出射される。コリメータレンズ33により発散角を変換された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、制御用検出器37側にその一部が分離される。第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームは、第2の開口フィルタ42により開口制限され、光学素子38により、制御用検出器37に集光される。
制御用検出器37は、対物レンズ32に入射する光ビームから分離されたレーザ光を検出し、このレーザ光のデフォーカス成分、すなわち、所定の角度からの光ビームの発散角のズレを検出する。アクチュエータ駆動回路45は、制御用検出器37で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、アクチュエータ40を駆動させる。アクチュエータ40は、デフォーカス成分が適正な値となるよう、すなわち、光ディスク2の信号記録面2aに光ビームが適切に集光するようにコリメータレンズ33を移動させる。
コリメータレンズ33の移動により所定の適切な発散角とされた光ビームの大部分は、第1のビームスプリッタ34を透過して、第1の開口フィルタ41により開口制限され、対物レンズ32により、光ディスク2の信号記録面2aに集光される。
光ディスク2の信号記録面2aに集光された光ビームは、信号記録面2aで反射し、対物レンズ32、第1のビームスプリッタ34を通過して、コリメータレンズ44により収束されて、第2のビームスプリッタ35により光路を入射光から分岐されて光検出器36により検出される。
アクチュエータ駆動回路45は、光検出器36で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、アクチュエータ40を駆動させる。アクチュエータ40は、光ディスク2の保護基板厚の誤差による球面収差がゼロとなるようにコリメータレンズ33を移動させる。
本発明を適用した光ピックアップ3は、光ディスクに集光される前の光ビームを第1のビームスプリッタで分離させ、この光ビームを制御用検出器でデフォーカス成分、すなわち、発散状態を検出し、この検出信号により光ビームが信号記録面に適切に集光するようにコリメータレンズを移動させるので、例えば、振動・衝撃・温度変化等によりコリメータレンズを通過した光ビームの発散角が変化した場合にも、制御用検出器でコリメータレンズを通過した光ビームの発散状態を検出して、コリメータレンズの移動により光ビームの発散角を適切にすることで光ディスクの信号記録面に適切に光ビームを集光させることができる。さらに、光ディスクからの戻り光を光検出器で検出し、コリメータレンズを移動させることで、光ディスクの保護基板厚の誤差による球面収差を良好に補正することができ、安定したフォーカシング信号を得ることができる。
すなわち、本発明を適用した光ピックアップ3は、例えば、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な光ディスクに対して用いられた場合においても、信号記録面でのスポット品質の低下による球面収差の補正に不具合等が発生することを防止できる。このように、本発明を適用した光ピックアップ3は、制御用検出器により、光ディスクのスポット品質を向上させ、光検出器により保護基板厚の誤差による球面収差を補正するので、安定したフォーカシング信号が得られ、良好な記録再生動作を可能とする。
尚、光ピックアップ3において、発散角を変換する光学素子としてコリメータレンズ33を用いたが、これに限られるものではなく、例えば、ビームエキスパンダ等を用いてもよい。
次に、発散角を変換する光学素子としてビームエキスパンダを用いた、図3に示す光ピックアップ50について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ3と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光ピックアップ50は、図3に示すように、所定の波長の光ビームを出射する光源部31と、この光源部31から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面2a上に集光する対物レンズ32と、光源部31と対物レンズ32との間に設けられ入射した光ビームの発散角を変換する光学素子としてビームエキスパンダ53と、ビームエキスパンダ53と対物レンズ32との間に設けられ、ビームエキスパンダ53から出射された光ビームを対物レンズ32に入射する光ビームから一部分離する第1のビームスプリッタ34と、光源部31とビームエキスパンダ53との間に設けられ、光ディスクで反射された戻り光の光路を出射光の光路から分岐させる第2のビームスプリッタ35と、第2のビームスプリッタ35で分岐された戻り光を検出する光検出器36とから構成されている。
ビームエキスパンダ53は、負の屈折力を有する第1のレンズ54と、正の屈折力を有する第2のレンズ55と、この第1のレンズ54と第2のレンズ55とを保持するレンズ保持体56とからなる。
ビームエキスパンダ53には、ビームエキスパンダ53を光軸方向に移動されるアクチュエータ57が設けられている。ビームエキスパンダ53は、アクチュエータ57により光軸方向に移動されることで、ビームエキスパンダ53を通過した後の光ビームのパワー収差を発生させる、すなわち通過した光ビームの発散角を変化させることができる。
ビームエキスパンダ53は、この発散角の変化により、光ディスク2の保護基板厚の誤差等による球面収差を補正することができるとともに、この発散角の変化に伴うデフォーカス成分により、振動、衝撃、温度変化等による焦点位置のズレを補正することができる。
また、光ピックアップ50には、上述の光ピックアップ3と同様に、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを検出する制御用検出部37と、第1のビームスプリッタ34と制御用検出部37との間に設けられ、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを制御用検出器37の受光面に集束させる光学素子38と、光学素子38の入射側に設けられる第2の開口フィルタ42とが設けられている。
制御用検出器37には、適切な条件の下ではビームエキスパンダ53を通過して所定の角度とされた光ビームが第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて光学素子38により適切に集光される。しかし、振動、衝撃、温度変化により、ビームエキスパンダ53を通過して発散角度が変化された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて、制御用検出器37上に適切に集光せずにズレが生じる。制御用検出器37は、この内周部及び外周部における合焦位置のズレを検出することで、ビームエキスパンダ53を通過した光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度を検出することができる。
光ピックアップ50は、上述の光ピックアップ3と同様に、制御用検出器37で検出された検出信号によりデフォーカス成分の発生を検出し、このデフォーカス成分の発生に伴う収差の補正用の信号を生成する収差補正回路44と、収差補正回路44で生成された収差補正用信号を受けてアクチュエータ57を駆動させるアクチュエータ駆動回路45とを備える。アクチュエータ駆動回路45は、制御用検出器37で検出した光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度のズレを検出した収差補正回路44により生成された収差補正用信号により、ビームエキスパンダ53を、最適な位置、すなわち、光ビームの発散角が所定の角度となるような位置に移動操作して、発散角度のズレ及びこれに伴う焦点位置のズレがゼロとなる位置に移動させる。
また、光ピックアップ50は、光検出器36で検出された検出信号より光ディスクの保護基板厚の誤差等による球面収差の発生を検出し、収差補正用の信号を生成する収差補正回路44及びアクチュエータ駆動回路45により、アクチュエータ57を駆動させて、球面収差がゼロとなる位置にビームエキスパンダ53を移動させる。
次に、この光ピックアップ50における、光源部から出射されたレーザ光の光路について説明する。
光源部31から出射された光ビームは、ビームエキスパンダ53の第1のレンズ54及び第2のレンズ55により、発散角を変換されて対物レンズ32側に出射される。ビームエキスパンダ53により発散角を変換された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、制御用検出器37側にその一部が分離される。第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームは、第2の開口フィルタ42により開口制限され、光学素子38により、制御用検出器37に集光される。
制御用検出器37は、対物レンズ32に入射する光ビームから分離されたレーザ光を検出し、このレーザ光のデフォーカス成分、すなわち、所定の角度からの光ビームの発散角度のズレを検出する。アクチュエータ駆動回路45は、制御用検出器37で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、アクチュエータ57を駆動させる。アクチュエータ57は、デフォーカス成分が適正な値となるよう、すなわち、光ディスク2の信号記録面に光ビームが適切に集光するようにビームエキスパンダ53を移動させる。
ビームエキスパンダ53の移動により所定の適切な発散角とされた光ビームの大部分は、第1のビームスプリッタ34を透過して、第1の開口フィルタ41により開口制限され、対物レンズ32により、光ディスク2の信号記録面2aに集光される。
光ディスク2の信号記録面2aに集光された光ビームは、信号記録面2aで反射し、対物レンズ32、第1のビームスプリッタ34を通過して、ビームエキスパンダ53により収束されて、第2のビームスプリッタ35により光路を入射光から分岐されて光検出器36により検出される。
アクチュエータ駆動回路45は、光検出器36で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、アクチュエータ57を駆動させる。アクチュエータ57は、光ディスク2の保護基板厚の誤差による球面収差がゼロとなるようにビームエキスパンダ53を移動させる。
本発明を適用した光ピックアップ50は、光ディスクに集光される前の光ビームを第1のビームスプリッタで分離させ、この光ビームを制御用検出器でデフォーカス成分、すなわち、発散状態を検出し、この検出信号により光ビームが信号記録面に適切に集光するようにビームエキスパンダを移動させるので、例えば、振動・衝撃・温度変化等によりビームエキスパンダを通過した光ビームの発散角が変化した場合にも、制御用検出器でビームエキスパンダを通過した光ビームの発散状態を検出して、ビームエキスパンダの移動により光ビームの発散角を適切にすることで光ディスクの信号記録面に適切に光ビームを集光させることができる。さらに、光ディスクからの戻り光を光検出器で検出し、ビームエキスパンダを移動させることで、光ディスクの保護基板厚の誤差による球面収差を良好に補正することができ、安定したフォーカシング信号を得ることができる。
すなわち、本発明を適用した光ピックアップ50は、例えば、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な光ディスクに対して用いられた場合においても、信号記録面でのスポット品質の低下による球面収差の補正に不具合等が発生することを防止できる。このように、本発明を適用した光ピックアップ50は、制御用検出器により、光ディスクのスポット品質を向上させ、光検出器により保護基板厚の誤差による球面収差を補正するので、安定したフォーカシング信号が得られ、良好な記録再生動作を可能とする。
尚、上述のビームエキスパンダ53は、負の屈折力を有する第1のレンズと、正の屈折力を有する第2のレンズとを有し、ビームエキスパンダ全体をアクチュエータにより駆動させる構成としたが、これに限られるものではなく、正及び負の屈折力を有するレンズを各1枚以上有すればよく、また、1枚以上のレンズがアクチュエータにより駆動されて通過する光ビームの発散角を変換すれように構成すればよい。
また、光ピックアップ3及び光ピックアップ50では、発散角を変換する光学素子とこの移動手段であるアクチュエータを設ける構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、屈折力を可変可能な屈折力可変素子を設けるように構成してもよい。
次に、屈折力可変素子を用いた、図4に示す光ピックアップ60について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ3と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明を適用した光ピックアップ60は、図4に示すように、所定の波長の光ビームを出射する光源部31と、この光源部31から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面2a上に集光する対物レンズ32と、光源部31と対物レンズ32との間に設けられ入射した光ビームの屈折力を可変する屈折力可変素子63と、屈折力可変素子63と対物レンズ32との間に設けられ、屈折力可変素子63から出射された光ビームを対物レンズ32に入射する光ビームから一部分離する第1のビームスプリッタ34と、光源部31と屈折力可変素子63との間に設けられ、光ディスクで反射された戻り光の光路を出射光の光路から分岐させる第2のビームスプリッタ35と、第2のビームスプリッタ35で分岐された戻り光を検出する光検出器36とから構成されている。
屈折力可変素子63は、屈折力を可変することにより球面収差を補正するものであり、液晶光学素子が用いられる。この屈折力可変素子63は、透明電極が形成された2枚のガラス基板によって液晶分子を挟んで形成されている。そして、各透明電極にそれぞれ駆動電圧を印加すると、印加された電圧による電界に従って液晶分子の配向が偏倚され、これにより屈折力可変素子63を透過するレーザ光の屈折率を任意に変更する。すなわち、屈折力可変素子63は、透過するレーザ光の発散角を変換することができ、屈折率を変更することで、この発散角の変換量、パワー収差を任意に変化させることができる。
屈折力可変素子63は、この発散角の変化により、光ディスク2の保護基板厚の誤差等による球面収差を補正することができるとともに、振動、衝撃、温度変化等による焦点位置のズレを補正することができる。
また、光ピックアップ60には、上述の光ピックアップ3と同様に、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを検出する制御用検出部37と、第1のビームスプリッタ34と制御用検出部37との間に設けられ、第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームを制御用検出器37の受光面に集束させる光学素子38と、光学素子38の入射側に設けられる第2の開口フィルタ42とが設けられている。
制御用検出器37は、屈折力可変素子63を通過した光ビームの光量を検出することでデフォーカス成分を検出することができる。この制御用検出器37には、適切な条件の下では屈折力可変素子63を通過して所定の角度とされた光ビームが第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて光学素子38により適切に集光される。しかし、温度変化等により、屈折力可変素子63を通過して発散角度が変化された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、一部分離されて、制御用検出器37上に適切に集光せずにズレが生じる。制御用検出器37は、この内周部及び外周部における合焦位置のズレを検出することで、屈折力可変素子63を通過した光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度を検出することができる。
光ピックアップ60は、光ピックアップ3と同様に、制御用検出器37で検出された検出信号によりデフォーカス成分の発生を検出し、このデフォーカス成分に伴う収差の補正用の信号を生成する収差補正回路44と、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて屈折力可変素子63に印加される電圧を制御する屈折力可変素子制御回路64とを備える。そして屈折力可変素子63は、制御用検出器37で検出した光ビームのでフォーカス成分、すなわち、発散角度のズレを検出した収差補正回路44によって生成された収差補正信号を受けて、屈折力可変素子制御回路64によってガラス基板の透明電極に印加される電圧が制御され、発散角度のズレ及びこれに伴う焦点位置のズレがゼロとなるように屈折率が可変される。
また、光ピックアップ60は、光検出器36で検出された検出信号より光ディスクの保護基板厚の誤差等による球面収差の発生を検出し、収差補正用の信号を生成する収差補正回路44及び屈折力可変素子制御回路64により、ガラス基板の透明電極に印加される電圧が制御され、球面収差がゼロとなるように屈折力可変素子63の屈折率が可変される。
次に、この光ピックアップ60における、光源部から出射されたレーザ光の光路について説明する。
光源部31から出射された光ビームは、屈折力可変素子63により、屈折されて発散角を変換されて対物レンズ32側に出射される。屈折力可変素子63により発散角を変換された光ビームは、第1のビームスプリッタ34により、制御用検出器37側にその一部が分離される。第1のビームスプリッタ34により分離された光ビームは、第2の開口フィルタ42により開口制限され、光学素子38により、制御用検出器37に集光される。
制御用検出器37は、対物レンズ32に入射する光ビームから分離されたレーザ光を検出し、このレーザ光のデフォーカス成分、すなわち、所定の角度からの光ビームの発散角度のズレを検出する。屈折力可変素子制御回路64は、制御用検出器37で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、デフォーカス成分である発散角が適正な値となるよう、すなわち、光ディスク2の信号記録面に光ビームが適切に集光するように屈折力可変素子63の屈折力を変化させる。
屈折力が変更された屈折力可変素子63により適切な発散角とされた光ビームの大部分は、第1のビームスプリッタ34を透過して、第1の開口フィルタ41により開口制限され、対物レンズ32により、光ディスク2の信号記録面2aに集光される。
光ディスク2の信号記録面2aに集光された光ビームは、信号記録面2aで反射し、対物レンズ32、第1のビームスプリッタ34を通過して、屈折力可変素子63により収束されて、第2のビームスプリッタ35により光路を入射光から分岐されて光検出器36により検出される。
屈折力可変素子制御回路64は、光検出器36で検出された検出信号により、収差補正回路44で生成された収差補正信号を受けて、屈折力可変素子63の屈折力を変化させる。
本発明を適用した光ピックアップ60は、光ディスクに集光される前の光ビームを第1のビームスプリッタで分離させ、この光ビームを制御用光検出器でデフォーカス成分、すなわち、発散状態を検出し、この検出信号により光ビームが信号記録面に適切に集光するように屈折力可変素子の屈折力を変化させるので、例えば、温度変化等により屈折力可変素子を通過した光ビームの発散角が変化した場合にも、制御用検出器で屈折力可変素子で屈折された光ビームの発散状態を検出して、屈折力可変素子の屈折力を変化させることで光ビームの発散角を適切して、光ディスクの信号記録面に適切に光ビームを集光させることができる。さらに、光ディスクからの戻り光を光検出器で検出し、屈折力可変素子の屈折力を変化させることで、光ディスクの保護基板厚の誤差等による球面収差を良好に補正でき、安定したフォーカシング信号を得ることができる。
すなわち、本発明を適用した光ピックアップ60は、例えば、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な光ディスクに対して用いられた場合においても、信号記録面でのスポット品質の低下による球面収差の補正に不具合等が発生することを防止できる。このように、本発明を適用した光ピックアップ60は、制御用検出器により、光ディスクのスポット品質を向上させ、光検出器により保護基板厚の誤差による球面収差を補正するので、安定したフォーカシング信号が得られ、良好な記録再生動作を可能とする。
尚、上述の光ピックアップ3、光ピックアップ50、及び、光ピックアップ60において、制御用検出器37は、FAPC(Front Auto Power Control)として用いることができる。
例えば、光ピックアップ3において、制御用検出器37をFAPCとして用いる場合には、第2の開口フィルタ42として第1の開口フィルタ41と等価のフィルタを用いる。この光ピックアップにおいては、コリメータレンズ33の移動によりデフォーカス成分、すなわち、光ビームの発散角度が変化して、第1の開口フィルタ41を通過する光束量が変化したとしても、このFAPCとして機能する制御用検出器37の検出信号により、光源部31の出力パワーを変更することで、ディスク2の信号記録面2a、及び、光検出器36での光量変化を防止することができる。
また、上述の光ピックアップ3、光ピックアップ50及び光ピックアップ60において、制御用検出器37は、光源部31から出射される光ビームのノイズ成分を検出し、光検出器36で検出される、情報信号からノイズ成分を相殺するように構成してもよい。制御用検出器37によりレーザノイズ成分を検出するように構成した光ピックアップは、レーザノイズ成分が除去されて、良好な記録再生信号を得ることができる。
また、上述の光ピックアップ3、光ピックアップ50及び光ピックアップ60において、光源部が1種類の波長の光ビームを出射するものとして説明したが、異なる2又は3種類の波長の光ビームを出射する2又は3の出射部を有する光源部を備えた2波長互換、3波長互換の光ピックアップとしてもよい。この場合、第1の開口フィルタ41及び対物レンズ32として波長に応じた互換性を有するものが用いられる。この光ピックアップは、コリメータレンズ33及び制御用検出器37によりデフォーカス成分を検出し、調整することで保護基板厚が異なる複数種類の光ディスクに対しても適切に信号記録面に光ビームを集光させることができ、その後に、光検出器36の検出信号により球面収差を良好に補正することができる。
また、上述の光ピックアップ3、光ピックアップ50及び光ピックアップ60の光学系のうち、同一又は異なる2種類の光学系を組み合わせて、制御用検出器及び対物レンズを共用するように構成してもよい。
次に、光ピックアップ3に光源及び発散角を変換する光学素子を追加して複数種類の光ディスクに対応するように構成した、図5に示す光ピックアップ70について説明する。尚、以下の説明において、上述した光ピックアップ3と共通する部分については、共通の符号を付して詳細な説明は、省略する。
本発明を適用した光ピックアップ70は、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な第1の光ディスク11と、保護基板厚が0.6mmで波長655nm程度の光ビームを記録再生光として使用するDVD等の第2の光ディスク12と、保護基板厚が1.2mmで波長785nm程度の光ビームを記録再生光として使用するCD等の第3の光ディスク13に対して信号の記録再生を行うものである。
光ピックアップ70は、図5に示すように、波長405nm程度の第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する第1の光源部71と、波長655nm程度の第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、波長785nm程度の第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部とを有する第2の光源部72と、第1の光源部71及び第2の光源部72から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面2a上に集光する対物レンズ73と、第1の光源部71と対物レンズ72との間に設けられ、入射した光ビームの発散角を変換する光学素子として第1のコリメータレンズ74と、第2の光源部72と対物レンズ72との間に設けられ、入射した光ビームの発散角を変換する光学素子として第2のコリメータレンズ75と、第1のコリメータレンズ74と対物レンズ73との間に設けられ、第1のコリメータレンズ74から出射された光ビームを対物レンズ73に入射する光ビームから一部分離するとともに、第2のコリメータレンズ74から出射された光ビームを対物レンズ72に入射する光ビームから一部分離する第1のビームスプリッタ76と、第1の光源部71と第1のコリメータレンズ74との間に設けられ、光ディスク2で反射された戻り光の光路を出射光の光路から分岐させる第2のビームスプリッタ77と、第2の光源部72と第2のコリメータレンズ75との間に設けられ、光ディスクで反射された戻り光の光路を出射光の光路から分岐させる第3のビームスプリッタ78と、第2のビームスプリッタ77で分岐された戻り光を検出する第1の光検出器81と、第3のビームスプリッタ78で分岐された戻り光を検出する第2の光検出器82とから構成されている。
第1のコリメータレンズ74及び第2のコリメータレンズ75は、上述の光ピックアップ3を構成するコリメータレンズ33と同様の機能を有し、それぞれ、第1又は第2のコリメータレンズ74,75を光軸方向に移動させる第1のアクチュエータ83及び第2のアクチュエータ84とが設けられている。第1及び第2のコリメータレンズ74,75は、第1及び第2のアクチュエータ83,84により光軸方向に移動されることで、第1及び第2コリメータレンズ74,75を通過した後の光ビームの発散角を変化させることができる。
対物レンズ73の入射側には、対物レンズ73に入射する光ビームの開口制限を行う開口制限素子として第1の開口フィルタ85が設けられる。第1の開口フィルタ85は、波長により開口径が変化する波長依存性を有するものであり、第1の波長に対して0.85であり、第2の波長に対して0.60であり、第3の波長に対して0.45となるようにされており、例えば、ホログラム等からなる。対物レンズ73は、第1又は第2のコリメータレンズ74,75により発散角を変換され、第1の開口フィルタ85により開口制限された光ビームを光ディスク2の信号記録面2aに集光することができる。
また、光ピックアップ70には、第1のビームスプリッタ76により分離された光ビームを検出する制御用検出器88と、第1のビームスプリッタ76と制御用検出部88との間に設けられ、第1のビームスプリッタ76により分離された光ビームを制御用検出器88の受光面に集束させる光学素子87と、光学素子87の入射側に設けられる第2の開口フィルタ86とが設けられている。
制御用検出器88は、上述の制御用検出器37と同様の機能を有し、第1又は第2のコリメータレンズ74,75を通過した光ビームの光量を検出することでデフォーカス成分を検出することができる。制御用検出器88は、第1のビームスプリッタ76により、一部分離された光ビームの焦点ズレを検出することで、第1又は第2のコリメータレンズ74,75を通過した光ビームのでフォーカス成分、すなわち、発散角度を検出することができる。
光ピックアップ70は、制御用検出器88で検出された検出信号によりデフォーカス成分の発生を検出し、このデフォーカス成分の発生に伴う収差の補正用の信号を生成する収差補正回路90と、収差補正回路90で生成された収差補正用信号を受けて第1又は第2のアクチュエータ83,84を駆動させるアクチュエータ駆動回路91とを備える。
アクチュエータ駆動回路91は、ディスク種類判別部22からの検出信号に応じて、ディスクの種類に対応した第1又は第2のアクチュエータ83,84を駆動して、ディスクの種類に対応した位置に第1又は第2のコリメータレンズ74,75を移動させる。
アクチュエータ駆動回路91は、制御用検出器88で検出された光ビームのデフォーカス成分、すなわち、発散角度のズレを検出した収差補正回路90により生成された収差補正用信号により、第1又は第2のコリメータレンズ74,75を、最適な位置、すなわち、光ビームの発散角が所定の角度となるような位置に移動操作して、発散角度のズレ及びこれに伴う焦点位置のズレがゼロとなる位置に移動させる。
また、光ピックアップ70は、第1又は第2の光検出器81,82で検出された検出信号より光ディスクの保護基板厚の誤差等による球面収差の発生を検出し、収差補正用の信号を生成する収差補正用回路90及びアクチュエータ駆動回路91により、第1又は第2のアクチュエータ83,84を駆動させて、球面収差をゼロとなる位置に第1又は第2のコリメータレンズ74,75を移動させる。
次に、この光ピックアップ70における、第1及び第2の光源部71,72から出射されたレーザ光の光路について説明する。
光ディスク2が第1の光ディスク11であることを検出したディスク種類判別部22により、第1の光源部71から第1の波長の光ビームが出射される。
第1の光源部71から出射された光ビームは、第1のコリメータレンズ74により、発散角を変換されて対物レンズ73側に出射される。第1のコリメータレンズ74により発散角を変換された光ビームは、第1のビームスプリッタ76により、その一部が分離されて制御用検出器88側に反射される。第1のビームスプリッタ76により分離された光ビームは、第2の開口フィルタ86により開口制限され、光学素子87により、制御用検出器88に集光される。
制御用検出器88は、対物レンズ73に入射する光ビームから分離されたレーザ光を検出し、このレーザ光のデフォーカス成分、すなわち、所定の角度からの光ビームの発散角のズレを検出する。アクチュエータ駆動回路91は、制御用検出器88で検出された検出信号により、収差補正回路90で生成された収差補正信号を受けて、第1のアクチュエータ83を駆動させる。第1のアクチュエータ83は、デフォーカス成分が適正な値となるよう、すなわち、第1の光ディスク11の信号記録面11aに光ビームが適切に集光するように第1のコリメータレンズ74を移動させる。
第1のコリメータレンズ74の移動により所定の適切な発散角とされた光ビームの残りの一部は、第1のビームスプリッタ76を透過して、第1の開口フィルタ85により開口制限され、対物レンズ73により、第1の光ディスク11の信号記録面11aに集光される。
光ディスク11の信号記録面11aに集光された光ビームは、信号記録面11aで反射し、対物レンズ73、第1のビームスプリッタ76を透過して、第1のコリメータレンズ74により収束されて、第2のビームスプリッタ77により光路を入射光から分岐されて第1の光検出器81により検出される。
アクチュエータ駆動回路91は、第1の光検出器81で検出された検出信号により、収差補正回路90で生成された収差補正信号を受けて、第1のアクチュエータ83を駆動させる。第1のアクチュエータ83は、光ディスク2の保護基板厚の誤差による球面収差がゼロとなるように第1のコリメータレンズ74を移動させる。
光ディスク2が第2又は第3の光ディスク12,13であることを検出したディスク種類判別部22により、第2の光源部72から第2又は第3の波長の光ビームが出射される。
第2の光源部72から出射された光ビームは、第2のコリメータレンズ75により、発散角を変換されて第1のビームスプリッタ76側に出射される。
第2のコリメータレンズ75は、ディスク種類判別部22により検出された信号により、第2のアクチュエータ84を駆動して、第2又は第3の光ディスク12,13に対応した所定の位置に移動される。
第2のコリメータレンズ75により発散角を変換された光ビームは、第1のビームスプリッタ76により、その一部が分離されて制御用検出器88側に透過されてる。第1のビームスプリッタ76により分離された光ビームは、第2の開口フィルタ86により開口制限され、光学素子87により、制御用検出器88に集光される。
制御用検出器88は、対物レンズ73に入射する光ビームから分離されたレーザ光を検出し、このレーザ光のデフォーカス成分、すなわち、所定の角度からの光ビームの発散角のズレを検出する。アクチュエータ駆動回路91は、制御用検出器88で検出された検出信号により、収差補正回路90で生成された収差補正信号を受けて、第2のアクチュエータ84を駆動させる。第2のアクチュエータ84は、デフォーカス成分が適正な値となるよう、すなわち、光ディスク2の信号記録面2aに光ビームが適切に集光するように第2のコリメータレンズ75を移動させる。
第2のコリメータレンズ75の移動により所定の適切な発散角とされた光ビームの残りの一部は、第1のビームスプリッタ76で反射されて、第1の開口フィルタ85により開口制限され、対物レンズ73により、第2又は第3の光ディスク12,13の信号記録面12a,13aに集光される。
第2又は第3の光ディスクの信号記録面12a、13aに集光された光ビームは、信号記録面12a,13aで反射し、対物レンズ73、第1のビームスプリッタ76で反射されて、第2のコリメータレンズ75により収束されて、第3のビームスプリッタ78により光路を入射光から分岐されて第2の光検出器82により検出される。
アクチュエータ駆動回路91は、第2の光検出器82で検出された検出信号により、収差補正回路90で生成された収差補正信号を受けて、第2のアクチュエータ84を駆動させる。第2のアクチュエータ84は、光ディスク2の保護基板厚の誤差による球面収差がゼロとなるように第2のコリメータレンズ75を移動させる。
本発明を適用した光ピックアップ70は、光ディスクに集光される前の光ビームを第1のビームスプリッタで分離させ、この光ビームを制御用検出器でデフォーカス成分、すなわち、発散状態を検出し、この検出信号により光ビームが信号記録面に適切に集光するようにコリメータレンズを移動させるので、例えば、振動・衝撃・温度変化等によりコリメータレンズを通過した光ビームの発散角が変化した場合にも、制御用検出器でコリメータレンズを通過した光ビームの発散状態を検出して、コリメータレンズの移動により光ビームの発散角を適切にすることで光ディスクの信号記録面に適切に光ビームを集光させることができる。さらに、光ディスクからの戻り光を光検出器で検出し、コリメータレンズを移動させることで、光ディスクの保護基板厚の誤差による球面収差を良好に補正することができ、安定したフォーカシング信号を得ることができる。
すなわち、本発明を適用した光ピックアップ70は、例えば、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な光ディスクを含めた複数種類の光ディスクに対して、それぞれの信号記録面でのスポット品質の低下による球面収差の補正に不具合等が発生することを防止できる。このように、本発明を適用した光ピックアップ70は、制御用検出器により、光ディスクのスポット品質を向上させ、光検出器により保護基板厚の誤差による球面収差を補正するので、安定したフォーカシング信号が得られ、良好な記録再生動作を可能とする。
また、本発明を適用した光ピックアップ70は、異なるフォーマットの3種類の光ディスクに対して、信号記録面に適切に光ビームを集光させ、さらに、ディスク保護基板厚の誤差による球面収差についても良好に補正することができるので、3波長互換の光ピックアップを実現するとともに、対物レンズ、制御用検出器等の光学部品を共通化しているので、小型化を実現できる。
1 記録再生装置、 2 光ディスク、 3 光ピックアップ、 4 スピンドルモータ、 5 送りモータ、 9 サーボ制御回路、 31 光源部、 32 対物レンズ、 33 コリメータレンズ、 34 第1のビームスプリッタ、 35 第2のビームスプリッタ、 36 光検出器、 37 制御用検出部、 38 光学素子、 40 アクチュエータ、 41 第1の開口フィルタ、 42 第2の開口フィルタ、 44 収差補正回路、 45 アクチュエータ駆動回路、