JP2009133278A - 内燃機関 - Google Patents

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文昭 服部
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

【課題】運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立することができる内燃機関を提供する。
【解決手段】空気と燃料との混合気が均質燃焼又は成層燃焼で燃焼可能な燃焼室18と、燃焼室18に連通し空気を吸気可能な吸気ポート19と、燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射可能な燃料噴射手段41と、混合気の燃焼によりシリンダボア13を往復移動可能なピストン14と、燃料噴射手段41による燃料の分割噴射期間をピストン14の移動速度が予め設定される所定速度以上であるピストン高速度期間と重なるように設定する噴射期間設定手段51とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に関し、特に、燃焼室に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式の内燃機関に関するものである。
従来、吸気行程中の吸気流に乗るように燃料を燃焼室に直接噴射する、いわゆる、筒内直接噴射式のエンジンが知られている。このような従来の筒内直接噴射式のエンジンとして、例えば、特許文献1に記載されている直噴火花点火式内燃機関の燃焼制御装置は、シリンダボアサイド(例えば、2つの吸気弁の間)のインジェクタ(燃料噴射弁)から対向するシリンダボアの壁面に向けて燃料を噴射するものであり、燃焼形態として、吸気行程時に燃料噴射を行う、いわゆる均質燃焼と、圧縮行程時に燃料噴射を行う、いわゆる成層燃焼との2つの燃焼形態を利用可能である。そして、この直噴火花点火式内燃機関の燃焼制御装置は、均質燃焼時に必要な噴射量を複数回の噴射に分割して噴射することで、均質燃焼時のシリンダボア壁への燃料の付着を抑制し、すすや未燃炭化水素(未燃HC)の発生を抑制している。
特開2002−161790号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている直噴火花点火式内燃機関の燃焼制御装置では、例えば、均質燃焼の際、インジェクタにより、燃焼室に生成される吸気流動に燃料が乗るように燃料を噴射することで噴流を活用し、燃料噴霧の気流を増速させ、燃料の微粒化や空気との混合を促進させる噴流効果を利用する場合に、吸気行程で燃料を分割噴射することで燃料噴霧のペネトレーション(貫徹力)を低く抑えると、全体として噴流が弱まり、噴霧の均質化や急速燃焼などの噴流効果が低下してしまうおそれがある。一方、吸気行程で燃料を分割噴射せず、一回の噴射で必要な燃料を噴射することで貫徹力を高く保持すると、燃料噴霧の気流が吸気流動に乗ることで増速されすぎ、全体として噴流が強くなりすぎて、燃料がピストンに付着し易くなり、この結果、スモークや粒子状物質(PM:Particulate Matter)を増加させてしまうおそれがある。また、例えば、成層燃焼の際、圧縮行程で燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力を低く抑えると、全体として噴流が弱まり、ピストンのキャビティ壁に沿わせて点火プラグまで混合気を案内することができず、点火プラグ近傍に成層混合気を形成することができないおそれがある。一方、圧縮行程で燃料を分割噴射せず、一回の噴射で必要な燃料を噴射することで貫徹力を高く保持すると、上死点に向けて移動してくるピストンに燃料噴霧が直撃し燃料がピストンに付着し易くなり、この結果、スモークやPMを増加させてしまうおそれがある。
そこで本発明は、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立することができる内燃機関を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による内燃機関は、空気と燃料との混合気が均質燃焼又は成層燃焼で燃焼可能な燃焼室と、前記燃焼室に連通し前記空気を吸気可能な吸気ポートと、前記燃焼室に前記燃料を複数回に分けて分割噴射可能な燃料噴射手段と、前記混合気の燃焼によりシリンダボアを往復移動可能なピストンと、前記燃料噴射手段による前記燃料の分割噴射期間を前記ピストンの移動速度が予め設定される所定速度以上であるピストン高速度期間と重なるように設定する噴射期間設定手段とを備えることを特徴とする。
請求項2に係る発明による内燃機関では、前記燃料噴射手段による前記分割噴射の各噴射における前記燃料の噴射量を該燃料噴射手段が可能な最小の噴射量に設定する噴射量設定手段を備えることを特徴とする。
請求項3に係る発明による内燃機関では、前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間を前記ピストン高速度期間内に設定することを特徴とする。
請求項4に係る発明による内燃機関では、前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の開始時期又は終了時期のいずれか一方を前記ピストン高速度期間内の時期に設定することを特徴とする。
請求項5に係る発明による内燃機関では、前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の開始時期を前記ピストンの移動速度が加速側で前記所定速度となる時期に設定することを特徴とする。
請求項6に係る発明による内燃機関では、前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の終了時期を前記ピストンの移動速度が減速側で前記所定速度となる時期に設定することを特徴とする。
請求項7に係る発明による内燃機関では、前記燃料噴射手段に隣接して設けられ前記混合気に点火可能な点火手段と、前記燃焼室に連通し排気ガスを排気可能な排気ポートとを備え、前記燃料噴射手段及び前記点火手段は、前記燃焼室の筒内天井部の前記吸気ポートと前記排気ポートとの間に設けられることを特徴とする。
本発明に係る内燃機関によれば、燃料噴射手段により燃焼室に燃料を複数回に分けて分割噴射すると共に、噴射期間設定手段により分割噴射期間をピストンの移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間と重なるように設定するので、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立することができる。
以下に、本発明に係る内燃機関の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係るエンジンを表す概略構成図、図2は、本発明の実施例1に係るエンジンの燃焼室を含む部分断面図、図3は、本発明の実施例1に係るエンジンのエンジン回転数、負荷率と燃料噴射の分割回数との関係の一例を表す線図、図4は、本発明の実施例1に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャート、図5は、本発明の実施例1に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャート、図6は、本発明の実施例1に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャート、図7は、本発明の実施例1に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。
本実施例1に係る内燃機関としてのエンジン10は、図1、図2に示すように、乗用車、トラックなどの車両に搭載され、後述するインジェクタ41によって燃料噴霧を燃焼室18に直接噴射する多気筒筒内噴射式のエンジンであり、シリンダボア13内に往復運動可能に設けられるピストン14が2往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行う、いわゆる4サイクルエンジンである。
このエンジン10は、多気筒筒内噴射式であって、シリンダブロック11上にシリンダヘッド12が締結されており、このシリンダブロック11に形成された複数のシリンダボア13にピストン14がそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック11の下部にクランクケース15が締結され、このクランクケース15内にクランクシャフト16が回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド17を介してこのクランクシャフト16にそれぞれ連結されている。なお、このクランクケース15の底部には、エンジン10の各部に供給されるオイルが貯留されている。
燃焼室18は、シリンダブロック11におけるシリンダボア13の壁面とシリンダヘッド12の下面としての筒内天井部12a(図2参照)とピストン14の頂面により構成されており、この燃焼室18は、上部、すなわち、シリンダヘッド12の下面としての筒内天井部12aの中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。燃焼室18は、燃料と空気との混合気が燃焼可能であり、この燃焼室18の上部である筒内天井部12aに吸気ポート19及び排気ポート20が対向して形成されており、この吸気ポート19及び排気ポート20に対して吸気弁21及び排気弁22の下端部がそれぞれ位置している。この吸気弁21及び排気弁22は、シリンダヘッド12に軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、吸気ポート19及び排気ポート20を閉止する方向(図1にて上方)に付勢支持されている。また、シリンダヘッド12には、吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24が回転自在に支持されており、吸気カム25及び排気カム26が吸気弁21及び排気弁22の上端部に接触している。
なお、図示しないが、クランクシャフト16に固結されたクランクシャフトスプロケットと、吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24にそれぞれ固結された各カムシャフトシャフトスプロケットとは、無端のタイミングチェーンが掛け回されており、クランクシャフト16と吸気カムシャフト23と排気カムシャフト24が連動可能となっている。
従って、クランクシャフト16に同期して吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24が回転すると、吸気カム25及び排気カム26が吸気弁21及び排気弁22を所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート19及び排気ポート20を開閉し、吸気ポート19と燃焼室18、燃焼室18と排気ポート20とをそれぞれ連通することができる。この場合、この吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24は、クランクシャフト16が2回転(720度)する間に1回転(360度)するように設定されている。そのため、エンジン10は、クランクシャフト16が2回転する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を実行することとなり、このとき、吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24が1回転することとなる。
また、このエンジン10の動弁機構は、運転状態に応じて吸気弁21及び排気弁22を最適な開閉タイミングに制御する吸気・排気可変動弁機構(VVT:Variable Valve Timing-intelligent)27,28となっている。この可変動弁手段としての吸気・排気可変動弁機構27,28は、吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24の軸端部にVVTコントローラ29,30が設けられて構成され、オイルコントロールバルブ31,32からの油圧をこのVVTコントローラ29,30の図示しない進角室及び遅角室に作用させることによりカムスプロケットに対するカムシャフト23,24の位相を変更し、吸気弁21及び排気弁22の開閉時期を進角または遅角することができるものである。この場合、吸気・排気可変動弁機構27,28は、吸気弁21及び排気弁22の作用角(開放期間)を一定としてその開閉時期を進角または遅角する。また、吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24には、その回転位相を検出するカムポジションセンサ33,34が設けられている。
吸気ポート19には、吸気マニホールド35を介してサージタンク36が連結され、このサージタンク36に吸気管37が連結されており、この吸気管37の空気取入口にはエアクリーナ38が取付けられている。そして、このエアクリーナ38の空気流動方向下流側にスロットル弁39を有する負荷調節手段としての電子スロットル装置40が設けられている。また、シリンダヘッド12には、燃焼室18に直接燃料を噴射する燃料噴射手段としてのインジェクタ(燃料噴射弁)41が装着されている。インジェクタ(燃料噴射弁)41は、燃料の噴射口が燃焼室18の筒内天井部12a(シリンダヘッド12の下面)の吸気ポート19と排気ポート20との間に設けられる(図2参照)。このインジェクタ41は、燃焼室18に生成される吸気流動に燃料が乗るようにピストン14の頂面に向かって燃料を噴射可能である。各気筒に装着されるインジェクタ41は、デリバリパイプ42に連結され、このデリバリパイプ42には高圧燃料供給管43を介して高圧燃料ポンプ(燃料ポンプ)44が連結されている。更に、シリンダヘッド12には、燃焼室18の上方に位置して混合気に点火する点火手段としての点火プラグ45が装着されている。点火プラグ45は、インジェクタ41に隣接しても設けられる。したがって、インジェクタ41と点火プラグ45とは、互いに隣接して筒内天井部12aの吸気ポート19と排気ポート20との間に設けられる。
一方、排気ポート20には、排気マニホールド46を介して排気管47が連結されており、この排気管47には排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxなどの有害物質を浄化処理する三元触媒48,49が装着されている。また、エンジン10には、クランキングを行うスタータモータ50が設けられており、エンジン始動時に図示しないピニオンギヤがリングギヤと噛み合った後、回転力がピニオンギヤからリングギヤへと伝わり、クランクシャフト16を回転することができる。
ところで、車両にはマイクロコンピュータを中心として構成されエンジン10の各部を制御可能な電子制御ユニット(ECU)51が搭載されており、このECU51は、インジェクタ41や点火プラグ45などを制御可能となっている。このECU51は、本発明の噴射期間設定手段であると共に噴射量設定手段でもある。吸気管37の空気流動方向上流側にはエアフローセンサ52及び吸気温センサ53が装着され、また、サージタンク36には吸気圧センサ54が設けられており、計測した吸入空気量、吸気温度、吸気圧(吸気管負圧)をECU51に出力している。また、電子スロットル装置40にはスロットルポジションセンサ55が装着されており、現在のスロットル開度をECU51に出力している。ここで、ECU51は、検出されたスロットル開度や吸入空気量に基づいて内燃機関負荷としてのエンジン負荷(負荷率)を算出することができる。アクセルポジションセンサ56は、現在のアクセル開度をECU51に出力している。更に、エンジン10のクランク角度を検出するクランク角度検出手段としてのクランク角センサ57は、検出した各気筒のクランク角度をECU51に出力し、このECU51は検出したクランク角度に基づいて各気筒における吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を判別すると共に、エンジン回転数を算出している。なおここで、エンジン回転数は、言い換えれば、クランクシャフト16の回転速度に対応し、このクランクシャフト16の回転速度が高くなれば、クランクシャフト16の回転数、すなわち、エンジン10のエンジン回転数も高くなる。
また、シリンダブロック11にはエンジン冷却水温を検出する水温センサ58が設けられており、検出したエンジン冷却水温をECU51に出力している。また、各インジェクタ41に連通するデリバリパイプ42には燃料圧力を検出する燃圧センサ59が設けられており、検出した燃料圧力をECU51に出力している。一方、排気管47には、三元触媒48の排気ガス流動方向上流側にエンジン10の空燃比を検出するA/Fセンサ60、排気ガス流動方向下流側に酸素センサ61が設けられている。A/Fセンサ60は、三元触媒48に導入される前の排気ガスの排気ガス空燃比を検出し、検出した空燃比をECU51に出力し、酸素センサ61は、三元触媒48から排出された後の排気ガスの酸素濃度を検出し、検出した酸素濃度をECU51に出力している。このA/Fセンサ60により検出された空燃比(推定空燃比)は、吸入空気と燃料とからなる混合ガスの空燃比(理論空燃比)をフィードバック制御するために用いられる。すなわち、A/Fセンサ60は、排気ガス中の酸素濃度と未燃ガス濃度から排気空燃比をリッチ域からリーン域までの全域にわたり検出し、これをECU51にフィードバックすることにより燃料噴射量を補正し、燃焼を運転状態に合わせた最適な燃焼状態に制御可能となる。
従って、ECU51は、検出した燃料圧力に基づいてこの燃料圧力が所定圧力となるように高圧燃料ポンプ44を駆動すると共に、検出した吸入空気量、吸気温度、吸気圧、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量(燃料噴射期間)、噴射時期、点火時期などを決定し、インジェクタ41及び点火プラグ45を駆動して燃料噴射及び点火を実行する。また、ECU51は、検出した排気ガスの酸素濃度をフィードバックして空燃比がストイキ(理論空燃比)となるように燃料噴射量を補正している。
また、ECU51は、エンジン運転状態に基づいて吸気・排気可変動弁機構27,28を制御可能となっている。即ち、低温時、エンジン始動時、アイドル運転時や軽負荷時には、排気弁22の閉止時期と吸気弁21の開放時期のオーバーラップをなくすことで、排気ガスが吸気ポート19または燃焼室18に吹き返す量を少なくし、燃焼安定及び燃費向上を可能とする。また、中負荷時には、このオーバーラップを大きくすることで、内部EGR率を高めて排ガス浄化効率を向上させると共に、ポンピングロスを低減して燃費向上を可能とする。更に、高負荷低中回転時には、吸気弁21の閉止時期を進角することで、吸気が吸気ポート19に吹き返す量を少なくし、体積効率を向上させる。そして、高負荷高回転時には、吸気弁21の閉止時期を回転数にあわせて遅角することで、吸入空気の慣性力に合わせたタイミングとし、体積効率を向上させる。
上記のように構成されるエンジン10では、ピストン14がシリンダボア13内を下降することで、吸気ポート19を介して燃焼室18内に空気が吸入され(吸気行程)、このピストン14が吸気行程下死点を経てシリンダボア13内を上昇することで空気が圧縮される(圧縮行程)。このとき、吸気行程又は圧縮行程にてインジェクタ41から燃焼室18内へ燃料が噴射され、この燃料と空気とが混合して混合気を形成する。そして、ピストン14が圧縮行程上死点付近に近づくと点火プラグ45により混合気に点火され、該混合気が燃焼し、その燃焼圧力によりピストン14を下降させる(膨張行程)。燃焼後の混合気は、ピストン14が膨張行程下死点を経て吸気行程上死点に向かって再び上昇することで排気ポート20を介して排気ガスとして放出される(排気行程)。このピストン14のシリンダボア13内での往復運動は、コネクティングロッド17を介してクランクシャフト16に伝えられ、ここで回転運動に変換され、出力として取り出されると共に、このピストン14は、カウンタウェイトと共にクランクシャフト16が慣性力によりさらに回転することで、このクランクシャフト16の回転に伴ってシリンダボア13内を往復する。このクランクシャフト16が2回転することで、ピストン14はシリンダボア13を2往復し、この間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行い、燃焼室18内で1回の爆発が行われる。
なお、本実施例1のエンジン10は、運転条件に対応して2つの燃焼形態を利用している。この2つの燃焼形態は、圧縮行程時に燃料噴射を行うことで混合気を点火プラグ45近傍に集中させ成層化し空燃比がリーン(酸素過多雰囲気)状態での運転を実現可能とする成層燃焼と、吸気行程時に燃料噴射を行い、十分な混合時間をとることで、燃焼室全体に噴霧を均質に分散させ空燃比がストイキ(理論空燃比)状態での運転を実現可能とする均質燃焼である。ここでは、エンジン10は、ピストン14の頂面に成層燃焼を成立させるための凹状のキャビティ14a(図2参照)が形成されている。このエンジン10は、成層燃焼には、圧縮行程時にインジェクタ41からこのキャビティ14aに向けて燃料を噴射することで、ピストン14のキャビティ14aの壁に沿って燃料噴霧が案内され、この燃料噴霧の噴流に点火プラグ45に向かう指向性が付加され、よって、点火プラグ45まで混合気を案内することができ、この点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。本実施例1のエンジン10は、エンジン回転数とスロットル開度とに基づいて燃料噴射モードを決定しており、例えば、全運転条件の中で比較的低負荷および低回転の運転領域にて成層燃焼を行う一方、比較的高負荷および高回転の運転領域にて均質燃焼を行う。
ここで、本実施例1のエンジン10は、燃料噴射手段としてのインジェクタ41による1サイクルで必要な量の燃料の噴射を複数回に分けて分割噴射している。
具体的には、上述したインジェクタ41は、燃焼室18に向けて燃料を複数回に分けて分割噴射可能である。インジェクタ41による分割噴射の分割数は、ECU51によりエンジン回転数、負荷率に基づいて設定される。すなわち、ECU51は、現時点のエンジン10のエンジン回転数と負荷率とから、必要な燃料噴射量を算出し設定するとともに、例えば、図3に示すマップを用いて、噴射の分割数を設定する。ここで、図3は、エンジン回転数と負荷率に基づいて噴射の分割数(例えば、N、N−1、N−2、N−3、N−4、・・・)を求めるためにECU51の記憶部に記憶されているマップの一例であり、予め実験等により作成されたものである。図3は、縦軸を負荷率、横軸をエンジン回転数としている。例えば、エンジン回転数が低くなるほど、1サイクルにかかる時間が長くなることからより多くの噴射に分割することができることを示している。
そして、インジェクタ41は、ECU51によって設定された燃料噴射量及び分割数に基づいて、燃料の噴射を複数回に分割し噴射休止期間を設けて間欠的に燃焼室18に燃料を噴射する。したがって、例えば、必要な燃料噴射量の総量を一回で噴射する場合と比較して、複数回に分割された短い各期間で燃料が噴射されることとなり、一回の噴射による燃料噴霧の噴射量を低減することができる。このため、一回の燃料噴霧は、インジェクタ41から短い期間内に噴射されることになるので、燃料の噴霧のペネトレーション(貫徹力)を低く抑えることができる。すなわち、インジェクタ41により燃料を分割噴射する場合の燃料噴霧では、個々の噴霧期間が短くなることで噴霧の貫徹力が低下することにより、ピストン14の頂面などに燃料が付着することを抑制することができる。よって、燃料噴霧を分割噴射する場合には、ピストン14の頂面などに燃料が付着することを抑制することができ、未燃炭化水素(未燃HC)の発生やスモーク、粒子状物質(PM:Particulate Matter)の発生を抑制することができる。また、噴霧の貫徹力が低下することにより、ピストン14にあたって飛び散る燃料の量を抑制することができ、シリンダボア13の壁面に燃料が付着することも抑制することができ、燃料がピストンリングを介してクランクケース15の底部に貯留されるオイルに流れ込むことを抑制することができる。この結果、オイルが希釈してエンジン品質を低下させることも防止することができる。
ところで、上記のようにインジェクタ41により燃料を分割噴射する場合、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼を阻害してしまうおそれがある。すなわち、例えば、均質燃焼の際、インジェクタ41により、燃焼室18に生成される吸気流動に燃料が乗るように燃料を噴射することで噴流を活用し、燃料噴霧の気流を増速させ、燃料の微粒化や空気との混合を促進させる噴流効果を利用する場合に、吸気行程で燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力を低く抑えると、全体として噴流が弱まり、噴霧の均質化や急速燃焼などの噴流効果が低下してしまうおそれがある。一方、吸気行程で燃料を分割噴射せず、一回の噴射で必要な燃料を噴射することで貫徹力を高く保持すると、燃料噴霧の気流が吸気流動に乗ることで増速されすぎ、全体として噴流が強くなりすぎて、燃料がピストンに付着し易くなり、この結果、スモークやPMを増加させてしまうおそれがある。また、例えば、成層燃焼の際、圧縮行程で燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力を低く抑えると、全体として噴流が弱まり、ピストン14のキャビティ14aの壁に沿わせて点火プラグ45まで混合気を案内することができず、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができないおそれがある。一方、圧縮行程で燃料を分割噴射せず、一回の噴射で必要な燃料を噴射することで貫徹力を高く保持すると、上死点に向けて移動してくるピストン14に燃料噴霧が直撃し燃料がピストン14に付着し易くなり、この結果、スモークやPMを増加させてしまうおそれがある。
そこで、本実施例のエンジン10は、上記のようにインジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射すると共に、図4、図5に示すように、噴射期間設定手段としてのECU51により分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制との両立を図っている。なお、図4、図5は、縦軸をピストンの移動速度(以下、「ピストン速度」と略記する。)V、横軸を時間tとしている。
すなわち、本実施例のECU51は、均質燃焼を行う際に、図4に示すように、吸気行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1をピストン速度Vが予め設定される所定速度Vt以上であるピストン高速度期間T2内に設定する。さらに具体的には、ECU51は、吸気行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t1に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t2に設定する。ここで、予め設定される所定速度Vtは、エンジン10の仕様などに応じて定まり、例えば、エンジン回転数などに応じて変動する値である。
同様に、本実施例のECU51は、成層燃焼を行う際に、図5に示すように、圧縮行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1をピストン速度Vが予め設定される所定速度Vt以上であるピストン高速度期間T2内に設定する。さらに具体的には、ECU51は、圧縮行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t1に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t2に設定する。
そして、噴射量設定手段としてのECU51は、吸気行程、圧縮行程におけるインジェクタ41による分割噴射の各噴射における燃料の噴射量をインジェクタ41が可能な最小の噴射量に設定する。すなわち、ECU51は、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と一致するように設定すると共に、インジェクタ41による分割噴射の分割数をこのピストン高速度期間T2内で可能な限り多くの分割数(例えば、図4、図5では4分割)に分けられるように各噴射における燃料の噴射量を最小に設定する。言い換えれば、ECU51は、インジェクタ41による分割噴射の各噴射期間と、各噴射休止期間(インターバル)を最小期間に設定する。各噴射期間、各噴射休止期間の最小期間は、インジェクタ41によって噴射可能な最小の噴射期間、休止期間などに基づいて定まる。したがって、インジェクタ41によりピストン高速度期間T2で可能な限り最大限の分割数で燃料を分割噴射することができるので、貫徹力を極力低く抑えることができる。
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施例1に係るエンジン10の吸気行程噴射制御を説明する。
まず、ECU51は、次の燃料噴射が吸気行程噴射であるか否かを判定する(S100)。ECU51は、上述したように、各種センサが検出した吸入空気量、吸気温度、吸気圧、スロットル開度、アクセル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温などのエンジン運転状態に基づいて次の燃料噴射が吸気行程噴であるか否かを判定する。次の燃料噴射が吸気行程噴射でないと判定された場合(S100:No)、次の制御周期に移行する。
次の燃料噴射が吸気行程噴射であると判定された場合(S100:Yes)、ECU51は、現在の最高ピストン速度Vmaxが予め設定される所定速度Vtより速いか否かを判定すると共に、ピストン速度Vが所定速度Vt以上であるピストン高速度期間T2がインジェクタ41により分割数が2回以上の分割噴射を可能な期間であるか否かを判定する(S102)。ピストン速度Vは、例えば、エンジン回転数などに基づいて検出すればよい。ここでは、インジェクタ41により可能な各最小噴射期間をτmin(図4参照)、各最小噴射休止期間(インターバル)をτi(図4参照)とした場合に、ECU51は、例えば、ピストン高速度期間T2が2回の最小噴射期間τminと1回の最小噴射休止期間τiとを足した期間より長い期間であるか否かを判定、すなわち、ピストン高速度期間T2が[T2>2τmin+τi]を満たすか否かを判定することで、ピストン高速度期間T2がインジェクタ41により分割数が2回以上の分割噴射を可能な期間であるか否かの判定を行うことができる。最高ピストン速度Vmaxが所定速度Vt以下であると判定された場合、又は、ピストン高速度期間T2がインジェクタ41により分割数が2回以上の分割噴射を可能な期間でないと判定された場合(S102:No)、次の制御周期に移行する。
最高ピストン速度Vmaxが所定速度Vtより速く、かつ、ピストン高速度期間T2がインジェクタ41により分割数が2回以上の分割噴射を可能な期間であると判定された場合(S102:Yes)、ECU51は、分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t1(図4参照)に、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t2(図4参照)に設定し、ピストン高速度期間T2を分割噴射期間T1に設定する(S104)。
そして、ECU51は、ピストン高速度期間T2に基づいて分割噴射における分割数が最大となるように分割噴射回数を設定し、これに応じた各噴射期間(言い換えれば、各噴射における燃料噴射量)と各噴射休止期間(インターバル)を設定する(S106)。
例えば、要求噴射量をN等分割(図4の場合4回等分)して分割噴射する場合に、4等分したときの各噴射期間が最小噴射期間τmin以下である場合、ECU51は、分割数をN−1回(図4の場合3回)に設定し、各噴射期間と各噴射休止期間をそれぞれ最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiより少し長い期間に設定する。言い換えれば、例えば、N回(図4の場合4回)の最小噴射期間τminとN−1回(図4の場合3回)の最小噴射休止期間τiの合計の期間が分割噴射期間T1に設定されたピストン高速度期間T2とちょうど一致する場合は、ECU51は、分割噴射における分割数をN回(図4の場合4回)とし、各噴射期間と各噴射休止期間をそれぞれ最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定する。このN回に分割された分割噴射によって必要な量の燃料を噴射する。一方、例えば、N回(図4の場合4回)の最小噴射期間τminとN−1回(図4の場合3回)の最小噴射休止期間τiの合計の期間が分割噴射期間T1に設定されたピストン高速度期間T2からずれる場合、すなわち、上記合計の期間がピストン高速度期間T2より長い場合は、ECU51は、分割数をN−1回(図4の場合3回)とし、各噴射期間と各噴射休止期間をそれぞれ最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiより長い期間に設定する。このようにして、ECU51は、ピストン高速度期間T2を分割噴射期間T1に設定し、このピストン高速度期間T2内において最大の分割数で分割噴射を行うことができるように分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間を設定する。
そして、インジェクタ41は、S104にて設定された吸気行程のピストン高速度期間T2内の分割噴射期間T1において、S106にて設定された分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間に基づいて吸気行程分割噴射を実行し(S108)、次の制御周期に移行する。
これにより、エンジン10は、分割噴射期間T1に設定されたピストン高速度期間T2に、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を可能な限り最大限に分割して分割噴射することで、燃料の噴霧の貫徹力を低く抑えることができ、ピストン14の頂面などに燃料が付着することを抑制することができる。そして、エンジン10は、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ピストン速度Vが所定速度Vt以上になる期間でこの分割噴射を行うことで、吸気行程中の噴流効果が相対的に大きくなる期間に燃料を噴射することができるので、貫徹力の低下による噴流効果の低下を抑制することができる。すなわち、均質燃焼の際、燃焼室18に生成される吸気流動が相対的に大きくなるピストン高速度期間T2に、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力が低下していても、吸気流と燃料噴霧との一体性が損なわれることなく十分に燃料噴霧の気流を増速させ、燃料の微粒化や空気との混合を促進させる噴流効果を利用することができる。この結果、噴霧の均質化や急速燃焼などの噴流効果が低下することを抑制することができる。また、この吸気行程におけるピストン高速度期間T2では、ピストン14は、上死点側から下死点側に最速で移動しインジェクタ41から離間しており、インジェクタ41から噴射された燃料噴霧がピストン14に追いつき難いことから、この点でも燃料のピストン14への付着を抑制することができる。
同様に、図7のフローチャートを参照して、本実施例1に係るエンジン10の圧縮行程噴射制御を説明する。この図7に示す圧縮行程噴射制御は、ECU51がS120にて次の燃料噴射が圧縮行程噴射であるか否かを判定する点と、インジェクタ41がS128にてピストン高速度期間T2内の分割噴射期間T1において分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間に基づいて圧縮行程分割噴射を実行する点が図6で説明した吸気行程噴射制御とは異なる。その他の図7に示す圧縮行程噴射制御のS122からS126は、図6で説明した吸気行程噴射制御のS102からS106とほぼ同様である。
これにより、エンジン10は、分割噴射期間T1に設定されたピストン高速度期間T2に、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を可能な限り最大限に分割して分割噴射することで、燃料の噴霧の貫徹力を低く抑えることができ、ピストン14の頂面などに燃料が付着することを抑制することができる。そして、エンジン10は、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ピストン速度Vが所定速度Vt以上になる期間でこの分割噴射を行うことで、圧縮行程中のキャビティ14aの壁に沿った噴流の案内効果が相対的に大きくなる期間に燃料を噴射することができるので、貫徹力の低下による案内効果の低下を抑制することができる。すなわち、成層燃焼の際、ピストン14が下死点側から上死点側に最速で移動しインジェクタ41に接近してくるピストン高速度期間T2に、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力が低下していても、燃料噴霧とピストンとの相対速度が大きくなり、インジェクタ41に接近してくるピストン14のキャビティ14aの壁により、効果的に噴流に点火プラグ45方向への強い指向性を持たせることができる。この結果、確実に混合気を点火プラグ45まで案内することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。
以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン10によれば、空気と燃料との混合気が均質燃焼又は成層燃焼で燃焼可能な燃焼室18と、燃焼室18に連通し空気を吸気可能な吸気ポート19と、燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射可能なインジェクタ41と、混合気の燃焼によりシリンダボア13を往復移動可能なピストン14と、インジェクタ41による燃料の分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が予め設定される所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定するECU51とを備える。
したがって、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力を低く抑えることから、燃料がピストン14に付着することを抑制することができ、このため、スモークやPMの発生を抑制することができる。そして、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ECU51により分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、均質燃焼のために吸気行程に分割噴射する場合でも噴流効果の低下を抑制することができると共に、成層燃焼のために圧縮行程に分割噴射する場合でも噴流の点火プラグ45への指向性が低下することを抑制することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。この結果、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン10によれば、インジェクタ41による分割噴射の各噴射における燃料の噴射量をこのインジェクタ41が可能な最小の噴射量に設定するECU51を備える。したがって、分割噴射の各噴射における燃料の噴射量を最小に設定することで、分割噴射期間T1における燃料噴射の分割数を最大にすることができ、燃料噴霧の貫徹力を極力低く抑えることができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン10によれば、ECU51は、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2内に設定する。したがって、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2内に設定していることから噴流効果やキャビティ14aの壁によるウォールガイド効果を最大限に活用することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例1に係るエンジン10によれば、インジェクタ41に隣接して設けられ混合気に点火可能な点火プラグ45と、燃焼室18に連通し排気ガスを排気可能な排気ポート20とを備え、インジェクタ41及び点火プラグ45は、燃焼室18の筒内天井部12aの吸気ポート19と排気ポート20との間に設けられる。したがって、シリンダボア13を往復移動するピストン14の頂面に対して、インジェクタ41の燃料の噴射口を常に対向させることができる。このため、例えば、圧縮行程噴射において、分割噴射時期T1をピストン高速度期間T2(圧縮行程の中間期間)と重なるように設定しても、確実にピストン14のキャビティ14aに向けて燃料を分割噴射することができ、確実に混合気を成層化することができる。また、本実施例のようにピストン14の頂面に燃料が直撃し易い構成でも、分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立させる効果をより顕著に発揮することができる。
図8は、本発明の実施例2に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャート、図9は、本発明の実施例2に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャートである。実施例2に係る内燃機関は、実施例1に係る内燃機関と略同様の構成であるが、分割噴射期間が設定される期間が実施例1に係る内燃機関とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
上述した実施例1のエンジン10では、例えば、N回(図4の場合4回)の最小噴射期間τminとN−1回(図4の場合3回)の最小噴射休止期間τiの合計の期間が分割噴射期間T1に設定されたピストン高速度期間T2からずれる場合、すなわち、上記合計の期間がピストン高速度期間T2より長い場合は、ECU51は、分割数をN−1回(図4の場合3回)とし、各噴射期間と各噴射休止期間をそれぞれ最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiより少し長い期間に設定するものとして説明した。この場合、分割噴射における各噴射期間と各噴射休止期間を最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定できないことから、貫徹力の抑制効果が若干弱まるものの、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2内に設定することができるため、噴流効果を最大限に活用することができる。
これに対し、実施例2に係る内燃機関としてのエンジン210では、図8に示すように、噴射期間設定手段としてのECU51は、分割噴射期間T1の開始時期又は終了時期のいずれか一方をピストン高速度期間T2内の時期に設定する。この場合、例えば、N回(図8の場合6回)の最小噴射期間τminとN−1回(図8の場合5回)の最小噴射休止期間τiの合計の期間がピストン高速度期間T2より長くても、ECU51は、分割数をN回(図8の場合6回)とし、各噴射期間と各噴射休止期間をそれぞれ最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。この場合、分割噴射期間T1がピストン高速度期間T2からはみ出ることから、噴流効果が若干弱まるものの、貫徹力の抑制効果を最大限に発揮することができ、燃料のピストン14への付着を確実に抑制することができる。
そして、実施例2のECU51は、図8に示すように、吸気行程噴射における分割噴射期間T1の終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期に設定している。さらに具体的には、ECU51は、吸気行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期t1をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t2より前の時期に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t3に設定している。つまり、ここでは、分割噴射期間T1とピストン高速度期間T2とは、分割噴射期間T1の方がピストン高速度期間T2よりピストン速度Vの加速側に長い期間に設定される。
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施例2に係るエンジン210の吸気行程噴射制御を説明する。なお、ここでも図6での吸気行程噴射制御の説明と重複する記載はできるだけ省略する。
まず、ECU51は、次の燃料噴射が吸気行程噴射であるか否かを判定する(S200)。次の燃料噴射が吸気行程噴射でないと判定された場合(S200:No)、次の制御周期に移行する。
次の燃料噴射が吸気行程噴射であると判定された場合(S200:Yes)、ECU51は、現在の最高ピストン速度Vmaxが予め設定される所定速度Vtより速いか否かを判定する(S202)。最高ピストン速度Vmaxが所定速度Vt以下であると判定された場合(S202:No)、次の制御周期に移行する。
最高ピストン速度Vmaxが所定速度Vtより速いと判定された場合(S202:Yes)、ECU51は、図8に示すように、分割噴射期間T1の終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t3に設定する(S204)。
そして、ECU51は、例えば、図3で説明したマップを参照して、エンジン回転数や要求噴射量(言い換えれば負荷率)に基づいて分割噴射回数を設定し(S206)、分割噴射の各噴射期間と各噴射休止期間を設定する(S208)。ここでは、各噴射期間と各噴射休止期間とは、ともに最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。そして、分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間応じて分割噴射期間T1の開始時期t1が定まる。
そして、インジェクタ41は、設定された吸気行程の分割噴射期間T1において、設定された分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間に基づいて吸気行程分割噴射を実行する(S210)。
以上で説明した本発明の実施例2に係るエンジン210によれば、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力を低く抑えることから、燃料がピストン14に付着することを抑制することができ、このため、スモークやPMの発生を抑制することができる。そして、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ECU51により分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、均質燃焼のために吸気行程に分割噴射する場合でも噴流効果の低下を抑制することができると共に、成層燃焼のために圧縮行程に分割噴射する場合でも噴流の点火プラグ45への指向性が低下することを抑制することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。この結果、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストン14への付着抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例2に係るエンジン210によれば、ECU51は、分割噴射期間T1の開始時期又は終了時期のいずれか一方をピストン高速度期間T2内の時期に設定する。したがって、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と重なるように設定した上で、分割噴射における分割数を最大とし、各噴射期間と各噴射休止期間とを常に最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。この結果、貫徹力の抑制効果を最大限に発揮することができ、燃料のピストン14への付着を確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例2に係るエンジン210によれば、ECU51は、吸気行程噴射の分割噴射期間T1の終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期に設定する。したがって、貫徹力を抑制して燃料のピストン14への付着抑制効果を向上することができ、さらに噴流効果を維持しつつ、空気と燃料との混合時間を相対的に長く確保することができ、混合気の均質性をさらに向上することができる。
図10は、本発明の実施例3に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャート、図11は、本発明の実施例3に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャートである。実施例3に係る内燃機関は、実施例2に係る内燃機関と略同様の構成であるが、分割噴射期間が設定される期間が実施例2に係る内燃機関とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
実施例3に係る内燃機関としてのエンジン310が備えるECU51は、図10に示すように、吸気行程噴射における分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定している。さらに具体的には、ECU51は、吸気行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t1に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t2より後の時期t3に設定している。つまり、ここでは、分割噴射期間T1とピストン高速度期間T2とは、分割噴射期間T1の方がピストン高速度期間T2よりピストン速度Vの減速側に長い期間に設定される。
次に、図11のフローチャートを参照して、本実施例3に係るエンジン310の吸気行程噴射制御を説明する。この図11に示す吸気行程噴射制御は、ECU51がS304にて分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定している点が図9で説明した吸気行程噴射制御とは異なる。その他の図11に示す吸気行程噴射制御のS200、S202、S206からS210は、図9で説明した吸気行程噴射制御のS200、S202、S206からS210と同様である。
以上で説明した本発明の実施例3に係るエンジン310によれば、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力を低く抑えることから、燃料がピストン14に付着することを抑制することができ、このため、スモークやPMの発生を抑制することができる。そして、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ECU51により分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、均質燃焼のために吸気行程に分割噴射する場合でも噴流効果の低下を抑制することができると共に、成層燃焼のために圧縮行程に分割噴射する場合でも噴流の点火プラグ45への指向性が低下することを抑制することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。この結果、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストン14への付着抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例3に係るエンジン310によれば、ECU51は、分割噴射期間T1の開始時期又は終了時期のいずれか一方をピストン高速度期間T2内の時期に設定する。したがって、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と重なるように設定した上で、分割噴射における分割数を最大とし、各噴射期間と各噴射休止期間とを常に最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。この結果、貫徹力の抑制効果を最大限に発揮することができ、燃料のピストン14への付着を確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例3に係るエンジン310によれば、ECU51、吸気行程噴射の分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定する。したがって、貫徹力を抑制して燃料のピストン14への付着抑制効果を向上することができ、さらに均質性を維持しつつ、点火時期に噴流が残っているので噴流効果(乱れ)をさらに向上することができ、耐ノック性を向上することができる。
図12は、本発明の実施例4に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャート、図13は、本発明の実施例4に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。実施例4に係る内燃機関は、実施例2に係る内燃機関と略同様の構成であるが、分割噴射期間が設定される期間が実施例2に係る内燃機関とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
実施例4に係る内燃機関としてのエンジン410が備えるECU51は、図12に示すように、圧縮行程噴射における分割噴射期間T1の終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期に設定している。さらに具体的には、ECU51は、圧縮行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期t1をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t2より前の時期に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t3に設定している。つまり、ここでは、分割噴射期間T1とピストン高速度期間T2とは、分割噴射期間T1の方がピストン高速度期間T2よりピストン速度Vの加速側に長い期間に設定される。
次に、図13のフローチャートを参照して、本実施例4に係るエンジン410の圧縮行程噴射制御を説明する。この図13に示す圧縮行程噴射制御は、ECU51がS400にて次の燃料噴射が圧縮行程噴射であるか否かを判定する点と、インジェクタ41がS410にてピストン高速度期間T2内の分割噴射期間T1において分割噴射回数、各噴射期間及び各噴射休止期間に基づいて圧縮行程分割噴射を実行する点が図9で説明した吸気行程噴射制御とは異なる。その他の図13に示す圧縮行程噴射制御のS402からS408は、図9で説明した吸気行程噴射制御のS202からS208とほぼ同様である。
以上で説明した本発明の実施例4に係るエンジン410によれば、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力を低く抑えることから、燃料がピストン14に付着することを抑制することができ、このため、スモークやPMの発生を抑制することができる。そして、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ECU51により分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、均質燃焼のために吸気行程に分割噴射する場合でも噴流効果の低下を抑制することができると共に、成層燃焼のために圧縮行程に分割噴射する場合でも噴流の点火プラグ45への指向性が低下することを抑制することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。この結果、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストン14への付着抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例4に係るエンジン410によれば、ECU51は、分割噴射期間T1の開始時期又は終了時期のいずれか一方をピストン高速度期間T2内の時期に設定する。したがって、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と重なるように設定した上で、分割噴射における分割数を最大とし、各噴射期間と各噴射休止期間とを常に最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。この結果、貫徹力の抑制効果を最大限に発揮することができ、燃料のピストン14への付着を確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例4に係るエンジン410によれば、ECU51、圧縮行程噴射の分割噴射期間T1の終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期に設定する。したがって、貫徹力を抑制して燃料のピストン14への付着抑制効果を向上することができ、さらに混合気の成層度を下げることができる。すなわち、弱成層化することができる。
図14は、本発明の実施例5に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャート、図15は、本発明の実施例5に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。実施例5に係る内燃機関は、実施例4に係る内燃機関と略同様の構成であるが、分割噴射期間が設定される期間が実施例4に係る内燃機関とは異なる。その他、上述した実施例と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
実施例5に係る内燃機関としてのエンジン510が備えるECU51は、図14に示すように、圧縮行程噴射における分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定している。さらに具体的には、ECU51は、圧縮行程におけるインジェクタ41による分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期t1に設定する一方、終了時期をピストン速度Vが減速側で所定速度Vtとなる時期t2より後の時期t3に設定している。つまり、ここでは、分割噴射期間T1とピストン高速度期間T2とは、分割噴射期間T1の方がピストン高速度期間T2よりピストン速度Vの減速側に長い期間に設定される。
次に、図15のフローチャートを参照して、本実施例5に係るエンジン410の圧縮行程噴射制御を説明する。この図15に示す圧縮行程噴射制御は、ECU51がS504にて分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定している点が図13で説明した圧縮行程噴射制御とは異なる。その他の図15に示す圧縮行程噴射制御のS400、S402、S406からS410は、図13で説明した圧縮行程噴射制御のS400、S402、S406からS410と同様である。
以上で説明した本発明の実施例5に係るエンジン510によれば、インジェクタ41により燃焼室18に燃料を複数回に分けて分割噴射することで、燃料噴霧の貫徹力を低く抑えることから、燃料がピストン14に付着することを抑制することができ、このため、スモークやPMの発生を抑制することができる。そして、インジェクタ41により燃料を分割噴射することで燃料噴霧の貫徹力が低く抑えられても、ECU51により分割噴射期間T1をピストン14の移動速度が所定速度以上であるピストン高速度期間T2と重なるように設定することで、均質燃焼のために吸気行程に分割噴射する場合でも噴流効果の低下を抑制することができると共に、成層燃焼のために圧縮行程に分割噴射する場合でも噴流の点火プラグ45への指向性が低下することを抑制することができ、点火プラグ45近傍に成層混合気を形成することができる。この結果、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストン14への付着抑制とを両立することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例5に係るエンジン510によれば、ECU51は、分割噴射期間T1の開始時期又は終了時期のいずれか一方をピストン高速度期間T2内の時期に設定する。したがって、分割噴射期間T1をピストン高速度期間T2と重なるように設定した上で、分割噴射における分割数を最大とし、各噴射期間と各噴射休止期間とを常に最小噴射期間τmin、最小噴射休止期間τiに設定することができる。この結果、貫徹力の抑制効果を最大限に発揮することができ、燃料のピストン14への付着を確実に抑制することができる。
さらに、以上で説明した本発明の実施例5に係るエンジン510によれば、ECU51、圧縮行程噴射の分割噴射期間T1の開始時期をピストン速度Vが加速側で所定速度Vtとなる時期に設定する。したがって、貫徹力を抑制して燃料のピストン14への付着抑制効果を向上することができ、さらに混合気の成層度を上げることができる。すなわち、強成層化することができる。
なお、上述した本発明の実施例に係る内燃機関は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、燃料噴射手段としてのインジェクタ41は、燃焼室18の筒内天井部12aの吸気ポート19と排気ポート20との間に設けるものとして説明したが、圧縮行程のピストン高速度期間T2にキャビティ14aに向けて燃料を分割噴射することができれば、これに限らず、例えば、この燃料噴射手段としてのインジェクタ41を吸気ポート19側に位置させて上下方向に所定角度傾斜するように配置してもよい。
また、以上の説明のように1サイクルで吸気行程と圧縮行程のどちらか一方で燃料を分割噴射する場合だけでなく、弱成層燃焼などの燃焼形態を実現するために、吸気行程と圧縮行程との両方でそれぞれ必要な量の燃料を分割噴射する、いわゆるコンバイン噴射の場合でも、本発明を適用することで、運転状態に応じた混合気の適正な燃焼と、燃料のピストンへの付着抑制とを両立することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関は、燃焼室に直接燃料を噴射する種々の筒内直接噴射式内燃機関に用いて好適である。
本発明の実施例1に係るエンジンを表す概略構成図である。 本発明の実施例1に係るエンジンの燃焼室を含む部分断面図である。 本発明の実施例1に係るエンジンのエンジン回転数、負荷率と燃料噴射の分割回数との関係の一例を表す線図である。 本発明の実施例1に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例1に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例1に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例1に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例2に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例2に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例3に係るエンジンの吸気行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例3に係るエンジンの吸気行程噴射制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例4に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例4に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。 本発明の実施例5に係るエンジンの圧縮行程噴射を説明するタイムチャートである。 本発明の実施例5に係るエンジンの圧縮行程噴射制御を説明するフローチャートである。
符号の説明
10、210、310、410、510 エンジン(内燃機関)
13 シリンダボア
14 ピストン
14a キャビティ
18 燃焼室
19 吸気ポート
20 排気ポート
21 吸気弁
22 排気弁
41 インジェクタ(燃料噴射手段)
45 点火プラグ(点火手段)
51 ECU(噴射期間設定手段、噴射量設定手段)
T1 分割噴射時期
T2 ピストン高速度期間

Claims (7)

  1. 空気と燃料との混合気が均質燃焼又は成層燃焼で燃焼可能な燃焼室と、
    前記燃焼室に連通し前記空気を吸気可能な吸気ポートと、
    前記燃焼室に前記燃料を複数回に分けて分割噴射可能な燃料噴射手段と、
    前記混合気の燃焼によりシリンダボアを往復移動可能なピストンと、
    前記燃料噴射手段による前記燃料の分割噴射期間を前記ピストンの移動速度が予め設定される所定速度以上であるピストン高速度期間と重なるように設定する噴射期間設定手段とを備えることを特徴とする、
    内燃機関。
  2. 前記燃料噴射手段による前記分割噴射の各噴射における前記燃料の噴射量を該燃料噴射手段が可能な最小の噴射量に設定する噴射量設定手段を備えることを特徴とする、
    請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間を前記ピストン高速度期間内に設定することを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の開始時期又は終了時期のいずれか一方を前記ピストン高速度期間内の時期に設定することを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の内燃機関。
  5. 前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の開始時期を前記ピストンの移動速度が加速側で前記所定速度となる時期に設定することを特徴とする、
    請求項4に記載の内燃機関。
  6. 前記噴射期間設定手段は、前記分割噴射期間の終了時期を前記ピストンの移動速度が減速側で前記所定速度となる時期に設定することを特徴とする、
    請求項4に記載の内燃機関。
  7. 前記燃料噴射手段に隣接して設けられ前記混合気に点火可能な点火手段と、
    前記燃焼室に連通し排気ガスを排気可能な排気ポートとを備え、
    前記燃料噴射手段及び前記点火手段は、前記燃焼室の筒内天井部の前記吸気ポートと前記排気ポートとの間に設けられることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011214551A (ja) * 2010-04-02 2011-10-27 Denso Corp 燃料噴射制御装置
JP2019190450A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
WO2023063191A1 (en) * 2021-10-15 2023-04-20 Hitachi Astemo, Ltd. Method and device for controlling the fuel injection of an internal combustion engine

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