JP2009132570A - 酸化第一錫粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加しSn成分を補給する方法に好適な、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い酸化第一錫粉末を製造する方法を提供する。
【解決手段】第一錫塩の酸性水溶液とアルカリ水溶液とを中和して水酸化第一錫沈殿を生成させる中和工程と、水酸化第一錫沈殿を加熱下で熟成し脱水させて酸化第一錫とする脱水工程と、酸化第一錫をろ別して水洗し乾燥する回収工程とを含む酸化第一錫粉末の製造方法において、中和工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、脱水工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、回収工程における乾燥が真空乾燥により行われることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】第一錫塩の酸性水溶液とアルカリ水溶液とを中和して水酸化第一錫沈殿を生成させる中和工程と、水酸化第一錫沈殿を加熱下で熟成し脱水させて酸化第一錫とする脱水工程と、酸化第一錫をろ別して水洗し乾燥する回収工程とを含む酸化第一錫粉末の製造方法において、中和工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、脱水工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、回収工程における乾燥が真空乾燥により行われることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、Sn合金めっき液のSn成分補給用として好適な、酸又は酸性めっき液への溶解性に優れた酸化第一錫粉末を製造する方法に関するものである。
はんだ付けが必要な電子部品へのめっきや、半導体ウェーハ等へのはんだ突起電極(バンプ)の形成には、これまでPb−Sn合金めっき液が広く用いられていたが、このPb−Sn合金めっき液は毒性のPbを含有するため、排水処理、環境保全、或いは半導体廃棄物等からの土壌・地下水汚染など多くの問題があった。近年、このような環境負荷の低減を目的とすることから、Pbを含むPb−Sn合金めっき液の代替えとして、第1元素としてはSnが利用されるが、第2元素として銀、ビスマス、銅、インジウム、アンチモン、亜鉛等を用いた2元合金、或いはさらに第3元素を添加した多元合金を用いためっき液の研究が行われており、中でもSn−Agめっき液はPbフリーのめっき液として主流となりつつある。
しかしながら、Pb−Sn合金めっき液を用いた電解めっき法では、Pb−Sn製のアノードを陽極とすれば、このアノード陽極からPb2+、Sn2+がめっき液中に溶け出すため、Pb−Sn合金めっき液中の成分バランスは、ほぼ一定に保たれる。一方、例えば、Sn−Agめっき液による電解めっき法を用いて、Sn−Ag製のアノードを陽極とした場合、Agが次第にアノード表面に析出してアノード表面を被覆し、アノード陽極からめっき液中にSn2+が補給されなくなり、めっき液中の成分バランスが崩れるため、Sn−Agめっき液中においてSn−Ag製のアノードを陽極とする電解めっき法には問題が生じる。そのため、Sn−Agめっき液を用いた電解めっき法では、アノード陽極として不溶性の白金めっきのチタン板を用い、Sn、Ag成分の補給は、SnとAgをそれぞれ含む要素液をめっき液中に直接投入することにより行われるが、この要素液の投入によるSn成分の補給方法では、めっき液の成分を分析しながら要素液を投入しなければならず、また多大なコストが掛かる。
そこで、Sn成分の補給方法として、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加する方法が検討されている。酸化第一錫粉末は、従来、第一錫塩の酸性水溶液と、アンモニア水と重炭酸アンモニウムとを同時に用いたアルカリ水溶液との中和反応によって水酸化第一錫沈殿を生成させる中和工程と、生成した水酸化第一錫沈殿を加熱下で熟成し脱水させて酸化第一錫とする脱水工程と、該酸化第一錫を濾別して水洗し乾燥する回収工程とからなる方法により製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、従来の製造方法により製造された酸化第一錫粉末や、現在市販されている酸化第一錫粉末は、酸又は酸性めっき液への溶解性が低いため、直接めっき液中へ添加してSn成分を補給する方法には適さない。従来の製造方法により製造された酸化第一錫粉末や、現在市販されている酸化第一錫粉末の酸又は酸性めっき液への溶解性が低い理由としては、酸化第一錫粉末の比表面積が小さい、即ち粒子径が大きすぎることや、製造された酸化第一錫が、酸又は酸性めっき液への溶解性が酸化第一錫よりも低い酸化第二錫に酸化されることなどが考えられる。
特開平11−310415号公報(請求項3)
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加するSn成分の補給方法に好適な比表面積が大きい、即ち粒子径が小さく、また酸化第二錫へ酸化させ難い酸化第一錫粉末を製造する方法を見出した。
本発明の目的は、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加してSn成分を補給する方法に好適な、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い酸化第一錫粉末の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、第一錫塩の酸性水溶液とアルカリ水溶液とを中和して水酸化第一錫沈殿を生成させる中和工程と、水酸化第一錫沈殿を加熱下で熟成し脱水させて酸化第一錫とする脱水工程と、酸化第一錫をろ別して水洗し乾燥する回収工程とを含む酸化第一錫粉末の製造方法において、中和工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、脱水工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、回収工程における乾燥が真空乾燥により行われることを特徴とする酸化第一錫粉末の製造方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第一錫塩の酸性水溶液はα線放出量が0.05cph/cm2以下の金属Sn粉末を酸に溶解することにより調製される酸化第一錫粉末の製造方法である。
本発明の酸化第一錫粉末の製造方法によれば、中和工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、脱水工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、回収工程における乾燥が真空乾燥により行われるため、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加しSn成分を補給する方法に好適な、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い酸化第一錫粉末を製造できる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の酸化第一錫粉末の製造方法では、先ず、図1に示すように、金属Sn粉末を酸に溶解することにより酸性水溶液を調製する(工程11)。酸としては塩酸が好ましく、好ましい塩酸濃度は30〜40質量%、温度は80〜100℃であり、18〜30時間かけて金属Sn粉末を溶解する。使用する金属Sn粉末はα線放出量が0.05cph/cm2以下であることが好ましい。α線放出量が0.05cph/cm2を越えると、例えば、半導体等において、はんだ突起電極から放出されるα線が原因で、メモリ中のデータが書き換えられるといったソフトエラー等が生じたり、或いは半導体が破壊されることがあるからである。
次に、上記調製した酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加し、攪拌して中和させ、水酸化第一錫のスラリーを調製する(工程12)。上記アルカリ水溶液としては、アンモニア水、重炭酸アンモニウム溶液又はこれらの混合液が例示される。本発明の酸化第一錫粉末の製造方法では、この水酸化第一錫のスラリーを調製する中和工程を、窒素ガス雰囲気中で行う。この中和工程を窒素ガス雰囲気中で行うと、大気中で行った場合に比べ、酸性水溶液中のSn2+が、酸に溶けにくい酸化第二錫に酸化されることを防ぐ効果が得られる。これは雰囲気中に酸素が存在しない窒素ガス雰囲気中でこの中和工程を行えば、スラリー中に酸素が溶け込むのを防ぐことができるからである。
またアルカリ水溶液としてアンモニア水を添加する場合には、使用するアンモニア水の濃度は好ましくは28〜30質量%である。アンモニア水の濃度が下限値未満であると中和反応が十分に進行しないため好ましくなく、上限値を越えると水酸化第一錫の脱水反応が早く進行し、酸化第一錫に残留する塩素濃度が高くなるため好ましくない。アルカリ水溶液としてアンモニア水を使用する理由は、製造される酸化第一錫粉末の粒径を制御するのに好適だからである。またアルカリ水溶液には、重炭酸アンモニウム単独でも、アンモニア水と同時に重炭酸アンモニウム溶液を混合して用いてもよい。この中和反応は、反応液の液温が30〜50℃で行われ、pHが6〜8の範囲で行うことが好ましい。反応液の液温が下限値未満では酸化第一錫に残留する塩酸濃度が高くなるため好ましくなく、上限値を越えると中和反応とともに水酸化第一錫の脱水反応が進むため好ましくない。また反応液のpHを上記範囲としたのは、中和反応の進行性及び作製した粉末の易溶性の面で好適な範囲だからである。pHが下限値未満では、中和反応が十分に進行しないため好ましくなく、上限値を越えると錫酸アンモニウムなどの難溶性の錫塩及び金属錫が形成され、収量が低下したり、まためっき液に溶解し難い成分を多く含むものになるため好ましくない。
次いで、上記調製したスラリーを加熱保持して、水酸化第一錫を熟成し脱水させ、酸化第一錫のスラリーを得る(工程13)。本発明の酸化第一錫粉末の製造方法では、この加熱保持による水酸化第一錫を脱水し酸化第一錫のスラリーを得る脱水工程を、窒素ガス雰囲気中で行う。この脱水工程を窒素ガス雰囲気中において行うことにより、従来のような大気中で行う場合に比べ、スラリー中の酸化第一錫が、酸に溶けにくい酸化第二錫に酸化されることを防ぐ効果が得られる。これは雰囲気中に酸素が存在しない窒素ガス雰囲気中でこの中和工程を行えば、スラリー中に酸素が溶け込むのを防ぐことができるからである。 加熱保持温度は80〜100℃が好ましい。加熱保持温度が下限値未満では水酸化第一錫の脱水が十分に進行せず、白色の水酸化第一錫が系内に残留するため好ましくなく、水の沸点よりも高い温度まで加熱するのは物理的に不可能であるからである。また加熱保持時間はスラリーの量や加熱保持温度にもよるが1〜2時間が好ましい。
更に、上記酸化第一錫のスラリーをろ過し、得られた酸化第一錫沈殿を水洗した後、乾燥する(工程14)。水洗は、水洗いした後、ろ過し、再度水洗いするという工程を好ましくは3〜5回繰り返すことにより行う。本発明では、水洗後の乾燥を真空乾燥により行う。乾燥を真空乾燥により行うのは、酸化第一錫が酸化第二錫へ酸化されるのを防止する点で好適だからである。また真空乾燥の際の温度は40〜100℃が好ましい。真空乾燥の際の温度が下限値未満では、乾燥するまで時間が長く掛かるか又は乾燥が不十分になり好ましくなく、上限値を越えるとコストの面で好ましくない。
以上、本発明の製造方法により、Sn合金めっき液へのSn成分補給方法として、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加する方法に好適な、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い酸化第一錫粉末を製造することができる。
本発明の製造方法により製造された酸化第一錫粉末は平均粒径がD50値で10〜20μm、比表面積7〜10m2/g、タップ密度0.6〜1.2g/cm3である。平均粒径及びタップ密度が上記範囲内の酸化第一錫粉末は、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い、即ち酸又は酸性めっき液に対して易溶性を有する。溶解性を示す指標の一つとして、酸に対する溶解速度が上げられるが、具体的には、温度25℃のアルカンスルホン酸水溶液300mlに、酸化第一錫粉末20gを添加して攪拌したとき、5秒以内で溶解する溶解速度が得られる。
市販されている酸化第一錫粉末などの場合、この溶解性を示す指標の一つである酸への溶解速度が遅く、直接めっき液へ添加した場合、酸化第一錫粉末がめっき液に十分溶けずに、不溶性の酸化第二錫を包含したスラッジとして徐々にめっき液中に沈殿が生じ、Sn2+の補給が困難となる。しかしながら、本発明の製造方法により製造された酸化第一錫粉末は、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い、即ち酸又は酸性めっき液に対して易溶性を有するため、酸化第一錫粉末を直接めっき液中に添加するSn合金めっき液へのSn成分補給方法に好適に用いることができる。
なお、本発明の製造方法により製造される酸化第一錫粉末は、特に、酸として酸性めっき液の成分であるメタンスルホン酸、エタンスルホン酸又は1−プロパンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、酸性めっき液として、SnとSnより貴なる合金めっき液であるSn−Ag合金めっき液、Sn−Cu合金めっき液、Sn−Ag−Cu合金めっき液又はAu−Sn合金めっき液等への溶解性に優れる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ずα線放出量が0.05cph/cm2以下の0.0007cph/cm2である金属Sn粉末500gを、濃度35質量%、温度80℃の塩酸1000gに24時間かけて溶解し、酸性水溶液を調製した。次に窒素ガスを充填させたタンク内で、この酸性水溶液に、液温40〜50℃、pH6〜8を維持するように濃度30質量%のアンモニア水をアルカリ水溶液として添加し、攪拌して、水酸化第一錫のスラリーを得た。次いで、この水酸化第一錫のスラリーを、窒素ガス雰囲気中で80〜90℃で加熱保持し、水酸化第一錫を脱水して酸化第一錫のスラリーを得た。次いで、この酸化第一錫のスラリーをろ過した後、得られた酸化第一錫を純水で洗浄し、ろ過して再度純水で洗浄する工程を3回繰り返した。更に得られた酸化第一錫を温度50℃で真空乾燥させることにより黒青色の酸化第一錫粉末550gを得た。
先ずα線放出量が0.05cph/cm2以下の0.0007cph/cm2である金属Sn粉末500gを、濃度35質量%、温度80℃の塩酸1000gに24時間かけて溶解し、酸性水溶液を調製した。次に窒素ガスを充填させたタンク内で、この酸性水溶液に、液温40〜50℃、pH6〜8を維持するように濃度30質量%のアンモニア水をアルカリ水溶液として添加し、攪拌して、水酸化第一錫のスラリーを得た。次いで、この水酸化第一錫のスラリーを、窒素ガス雰囲気中で80〜90℃で加熱保持し、水酸化第一錫を脱水して酸化第一錫のスラリーを得た。次いで、この酸化第一錫のスラリーをろ過した後、得られた酸化第一錫を純水で洗浄し、ろ過して再度純水で洗浄する工程を3回繰り返した。更に得られた酸化第一錫を温度50℃で真空乾燥させることにより黒青色の酸化第一錫粉末550gを得た。
<実施例2>
アルカリ水溶液として、アンモニア水と重炭酸アンモニア溶液の混合液を使用したこと以外は、実施例1と同様に、酸化第一錫粉末を得た。なおアンモニア水と重炭酸アンモニア溶液の混合液は28質量%のアンモニア水溶液180gと9.1質量%の重炭酸アンモニウム水溶液300gを混合して調整した。
アルカリ水溶液として、アンモニア水と重炭酸アンモニア溶液の混合液を使用したこと以外は、実施例1と同様に、酸化第一錫粉末を得た。なおアンモニア水と重炭酸アンモニア溶液の混合液は28質量%のアンモニア水溶液180gと9.1質量%の重炭酸アンモニウム水溶液300gを混合して調整した。
<比較例1>
市販の酸化第一錫粉末(商品名 酸化スズ(II):キシダ化学株式会社製)を比較例1とした。
市販の酸化第一錫粉末(商品名 酸化スズ(II):キシダ化学株式会社製)を比較例1とした。
<比較例2>
水酸化第一錫のスラリーを得る中和工程及び水酸化第一錫を脱水して酸化第一錫のスラリーを得る脱水工程を大気中で行ったこと、また乾燥を大気中で行ったこと以外は実施例1と同様に、酸化第一錫粉末を得た。
水酸化第一錫のスラリーを得る中和工程及び水酸化第一錫を脱水して酸化第一錫のスラリーを得る脱水工程を大気中で行ったこと、また乾燥を大気中で行ったこと以外は実施例1と同様に、酸化第一錫粉末を得た。
<比較試験1>
実施例1,2及び比較例1,2で得られた酸化第一錫粉末について、平均粒径、比表面積及びタップ密度についての評価を行った。その結果を、以下の表1に示す。
実施例1,2及び比較例1,2で得られた酸化第一錫粉末について、平均粒径、比表面積及びタップ密度についての評価を行った。その結果を、以下の表1に示す。
(1) 平均粒径:平均粒径をレーザー回折法による粒度分布測定によりD50値で測定した。なおD50値で規定される平均粒径とは、粒子分布を測定したときに全粒子体積に対する累積粒子体積が50%となるときの粒径をいう。
(2) タップ密度:JIS Z2512:2006に規定する金属粉−タップ密度測定方法により測定した。
<比較試験2>
実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末の酸に対する溶解速度を測定した。具体的には、溶媒として温度25℃のメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸300mlそれぞれに、実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末それぞれ20gを、スターラーにて回転速度40〜200rpmで攪拌しながら添加し、粉末の添加から目視による粉末の消失を確認するまでの時間を測定した。その結果を以下の表2に示す。なお表2において、符号Aは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、1〜2秒以内で溶解したことを意味し、符号Cは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、1分で溶解したことを意味し、符号Dは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、2分で溶解したことを意味し、符号Eは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、3分で溶解したことを意味する。
実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末の酸に対する溶解速度を測定した。具体的には、溶媒として温度25℃のメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸300mlそれぞれに、実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末それぞれ20gを、スターラーにて回転速度40〜200rpmで攪拌しながら添加し、粉末の添加から目視による粉末の消失を確認するまでの時間を測定した。その結果を以下の表2に示す。なお表2において、符号Aは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、1〜2秒以内で溶解したことを意味し、符号Cは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、1分で溶解したことを意味し、符号Dは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、2分で溶解したことを意味し、符号Eは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、3分で溶解したことを意味する。
<比較試験3>
実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末の酸性めっき液に対する溶解速度を測定した。具体的には、溶媒として、温度25℃の使用済みめっき液300mlに、実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末20gそれぞれを、スターラーにて回転速度60〜90rpmで攪拌しながら添加し、粉末の添加から目視による粉末の消失を確認するまでの時間を測定した。その結果を以下の表2に示す。なお使用済みめっき液とは、アルカンスルホン酸錫78g/L、アルカンスルホン酸銀2.5g/L及びアルカンスルホン酸120g/Lの組成にて調製したSn−Ag合金めっき液であって、このめっき液100Lをめっき浴、不溶性の白金めっきのチタン板をアノード陽極とした電解めっき法により、液温25℃、陰極電流密度12A/dm2の条件で、シリコンウェーハ150枚に、厚さ30μmのはんだ突起電極(バンプ)を形成した後のめっき液である。このとき使用したシリコンウェーハは、Ti及びCuをスパッタ法により蒸着させて形成した下地金属層上に膜厚30μmのレジストパターン(開口径0.5dm2)を形成した8インチのシリコンウェーハである。また表2において、符号Bは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、30秒以内で溶解し、使用前のめっき液の液色である透明の黄色を示したことを意味し、符号Fは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加して10分経過後も茶色く濁った状態であったことを意味する。
実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末の酸性めっき液に対する溶解速度を測定した。具体的には、溶媒として、温度25℃の使用済みめっき液300mlに、実施例1,2及び比較例1,2の酸化第一錫粉末20gそれぞれを、スターラーにて回転速度60〜90rpmで攪拌しながら添加し、粉末の添加から目視による粉末の消失を確認するまでの時間を測定した。その結果を以下の表2に示す。なお使用済みめっき液とは、アルカンスルホン酸錫78g/L、アルカンスルホン酸銀2.5g/L及びアルカンスルホン酸120g/Lの組成にて調製したSn−Ag合金めっき液であって、このめっき液100Lをめっき浴、不溶性の白金めっきのチタン板をアノード陽極とした電解めっき法により、液温25℃、陰極電流密度12A/dm2の条件で、シリコンウェーハ150枚に、厚さ30μmのはんだ突起電極(バンプ)を形成した後のめっき液である。このとき使用したシリコンウェーハは、Ti及びCuをスパッタ法により蒸着させて形成した下地金属層上に膜厚30μmのレジストパターン(開口径0.5dm2)を形成した8インチのシリコンウェーハである。また表2において、符号Bは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加した直後、30秒以内で溶解し、使用前のめっき液の液色である透明の黄色を示したことを意味し、符号Fは、酸化第一錫粉末を溶媒に添加して10分経過後も茶色く濁った状態であったことを意味する。
Claims (2)
- 第一錫塩の酸性水溶液とアルカリ水溶液とを中和して水酸化第一錫沈殿を生成させる中和工程と、前記水酸化第一錫沈殿を加熱下で熟成し脱水させて酸化第一錫とする脱水工程と、前記酸化第一錫をろ別して水洗し乾燥する回収工程とを含む酸化第一錫粉末の製造方法において、
前記中和工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、前記脱水工程が窒素ガス雰囲気中で行われ、前記回収工程における乾燥が真空乾燥により行われる
ことを特徴とする酸化第一錫粉末の製造方法。 - 第一錫塩の酸性水溶液はα線放出量が0.05cph/cm2以下の金属Sn粉末を酸に溶解することにより調製される請求項1記載の酸化第一錫粉末の製造方法。
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