次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
<発明の第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子的販売促進システムの機能的な構成を表わしたものである。この電子的販売促進システム100は、商品を販売する自動販売機101と、利用者の持つ非接触IC(Integrated Circuit)カード搭載の携帯電話機等の支払いデバイス102とによって構成されている。
このうち自動販売機101は、販売する商品の情報を表示するディスプレイからなる商品情報表示部111を装置本体の前面に配置している。また、装置本体の前面には、表示された商品の中で購入するものを利用者が選ぶための入力装置である商品選択部112と、各商品に関して利用者が選択したかどうか等の選択状態を表示する商品選択状態表示部113と、クーポンに関する情報や選択した商品の値段等の決済関連情報を表示する決済関連情報表示部114、および利用者が複数あるクーポンのうちどれを利用するかを選択する際に用いる入力装置である決済関連選択部115が配置されている。
また、自動販売機101の装置本体の内部には、決済に関するものとして、利用者が購入する商品と値段を決めた後に支払いデバイス102と通信して決済を実行する決済実行部116と、決済やクーポンに関する情報を支払いデバイス102と通信する販売側決済関連情報通信部117を備えている。また、装置本体の内部には、クーポンに関するものとして、その利用を判定するクーポン利用判定部118とクーポンに関する情報を格納する販売側クーポン情報格納部119を備えている。
一方、支払いデバイス102には、その装置本体の前面に各種情報を表示するためのディスプレイ131と、利用者が入力操作を行う操作部132および音に関する情報を入出力するための音情報入出力部133が配置されている。また、装置本体内部には、利用者が保持しているクーポン情報を格納する利用者側クーポン情報格納部135と、決済する際の電子マネー情報や残高といった決済に関連する状態の情報を格納する決済関連状態格納部136と、決済やクーポンに関する情報を自動販売機101と無線103によって通信する利用者側決済関連情報通信部137とが配置されている。ここで無線103とは、ブルートゥース(Bluetooth)、赤外線通信(Infrared Data Association)等の公知の各種の近距離無線通信を含むものである。
このような構成の自動販売機101および支払いデバイス102は、共に図示しないがCPU(Central Processing Unit)を備えている。そして、同じく図示しないROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することで、それぞれの装置内の主要部を機能的に実現するようになっている。
図2は、自動販売機の外観を表わしたものである。図1と共に説明する。自動販売機101の前面の上部には商品選択ウィンドウ141が配置されており、ここには実際の各種の商品142を展示(見本の展示も含む。)した商品情報表示部111と、それぞれの商品142に対応した選択ボタン143が配置されている。選択ボタン143は、利用者が押すと図示しない発光ダイオードによって点灯するようになっており、図1における商品選択部112と商品選択状態表示部113の双方の機能を備えている。もちろん、商品情報表示部111、商品選択部112および商品選択状態表示部113は、自動販売機101によって各種の具体的な形態を採ることができることは当然である。たとえば商品選択ウィンドウ141の全体がタッチパネルになっており、商品142を表わした図形の情報を直接押して選択することができ、また、選択されたか否かによって商品142を表わした図形の情報の色を変化させるといった実施形態も可能である。
商品選択ウィンドウ141のすぐ下に配置された横長のディスプレイ144は決済関連情報表示部114を構成している。ディスプレイ144にはクーポン名や決済額を表示するようになっている。ディスプレイ144の左右には方向指示ボタン145、146が配置されている。方向指示ボタン145、146は決済関連選択部115を構成しており、複数のクーポンがある場合のディスプレイ144に表示されたクーポンの選択に使用される。
ディスプレイ144の下には無線のアンテナのマークが記された無線通信位置指示板147が取り付けられており、これに対応する装置内部には販売側決済関連情報通信部117が配置されている。利用者は無線通信位置指示板147の近傍に支払いデバイス102をかざすことで、これと通信することになる。自動販売機101の前面の下部には商品排出口148が設けられており、利用者は購入した商品をここから取り出すことになる。
図3は、この第1の実施の形態による自動販売機の処理の概要を表わしたものである。図1および図2と共に説明する。自動販売機101は商品選択部112の選択ボタン143のいずれかが押されるか(ステップS201)あるいは販売側決済関連情報通信部117が支払いデバイス102の無線を検知するか(ステップS202)を待機している。選択ボタン143のいずれかが押された場合には(ステップS201:Y)、後かざし処理が実行される(ステップS203)。そして、再びステップS201およびステップS202の待機状態に戻る(リターン)。ここで「後かざし処理」とは、選択ボタン143の押下の後に支払いデバイス102を無線通信位置指示板147の近傍にかざす処理をいう。
これに対して自動販売機101が支払いデバイス102を検知した場合には(ステップS202:Y)、先かざし処理が実行される(ステップS204)。そして、再びステップS201およびステップS202の待機状態に戻ることになる(リターン)。ここで「先かざし処理」とは、商品の選択を待たずに支払いデバイス102を無線通信位置指示板147の近傍に先にかざすことで実行される処理をいう。
図4は、ステップS203として示した後かざし処理を具体的に示したものである。図1および図2と共に説明する。後かざし処理では、図3のステップS201で選択ボタン143のいずれかが押されているので、その選択ボタン143に対応する前記した発光ダイオードを発光させて、商品142のどれが利用者によって選択されたかの表示を開始する(ステップS221)。そして、この状態で支払いデバイス102が検知されるのを待機する(ステップS222)。
この待機状態で利用者が支払いデバイス102を無線通信位置指示板147の近傍にかざしたとする。すると支払いデバイス102から送信されてきた電波が検知されて(ステップS222:Y)、販売側決済関連情報通信部117と利用者側決済関連情報通信部137が通信を開始して、自動販売機101側が利用者側クーポン情報格納部135に格納されている利用者のクーポン情報を読み取る(ステップS223)。自動販売機101はこの読み取った利用者のすべてのクーポン情報を利用者が選択ボタン143で選択した商品と対比して、その商品がクーポンで割引の対象となるものであるかどうかを判別する(ステップS224)。
この判別の結果として、利用者の選択した商品がクーポンの対象となるものであった場合(Y)、クーポンで割り引いた額を支払いデバイス102から徴収するクーポンによる決済処理を実行する(ステップS225)。その後、ステップS221で開始した商品142の点灯表示を終了させて、一連の処理を終了する(エンド)。
なお、本実施の形態では前提としていないプリペイド型電子マネーで決済を行うものとすると、この場合の決済処理では、利用者の決済デバイスから決済金額を減少させる操作が行われる。また、ポストペイ型電子マネーやクレジットカードを使用した決済処理の場合には、カード番号に代表される利用者の識別コードと決済金額を自動販売機101側に記憶しておき、何らかのタイミングで決済センタにそれらの情報を送信することをいう。
ところで、ステップS224で利用者の選択した商品がクーポンの対象外であると判別された場合には(N)、その自動販売機101が取り扱う商品の中にクーポンの対象となる商品が存在するかどうかをチェックする(ステップS227)。たとえばその自動販売機101が「商品A」〜「商品D」を取り扱っており、そのうちの「商品C」を利用者が選択したが、これはクーポンによる割引の対象外であったが、それ以外の「商品A」、「商品B」および「商品D」はクーポンによる割引の対象であったとする。この場合、選択した以外の商品はクーポンの対象となる(Y)。この場合には、ステップS221で開始した商品点灯表示からクーポンの対象となる商品に対する商品選択状態明滅処理に表示が変更される(ステップS228)。
図5は、本実施の形態で自動販売機の販売側クーポン情報格納部に格納されている販売側クーポン情報の一例を示したものである。この販売側クーポン情報格納部119には、自動販売機101が取り扱う商品のうちでクーポンで割引の対象となる商品について、クーポンID(identifier)と割引額が登録されている。たとえば、商品Aについては、クーポンを適用すると20円の割引が行われる。ただし、利用者側の支払いデバイス102が該当するクーポンIDを格納していることを条件とする。
図6は、利用者側クーポン情報格納部に格納されている利用者側クーポン情報の一例を表わしたものである。この利用者側クーポン情報格納部135には、クーポンが適用されるクーポンIDが格納されている。この例では、利用者の所持する支払いデバイス102には、クーポンIDが「001」と「003」が格納されている。したがって、この利用者の支払いデバイス102を図5に示した販売側クーポン情報を備える自動販売機101に適用しようとすると、次のような割引処理が行われる。
(a)クーポンID「001」を適用した場合は、商品Aについて20円の割引が行われ、商品Bについては30円の割引が行われる。
(b)クーポンID「003」を適用した場合は、商品Dについて20円の割引が行われ、商品Bについても20円の割引が行われる。
(c)クーポンID「002」の適用がない商品Cについては、割引が行われない。
図4に戻って説明を続ける。本実施の形態で「商品C」を利用者が選択していた場合にはクーポンによる割引が行われない。そこで自動販売機101は利用者のクーポン利用の機会を増大させる配慮から、前記したようにクーポンの対象となる「商品A」、「商品B」および「商品D」の選択ボタン143(図2)を明滅処理に変更する(ステップS228)。このときディスプレイ144には、たとえば「明滅している商品がクーポンの対象となります。もう一度商品を選択してください。」というような表示が行われる。したがって、利用者はこの時点で商品を再度選択する機会を与えられることになる。
利用者がこの状態で商品選択部112の選択ボタン143を適宜操作して商品の選択を再度行うと(ステップS229:Y)、指定された商品のみの点灯表示に再び変更される(ステップS230)。この段階で自動販売機101は利用者の2度目に選択した商品がクーポンで割引の対象となるものであるかどうかを判別する(ステップS231)。利用者は、どうしても「商品C」を欲しいならばこれを選択するし、割引があることを優先するのなら「商品A」、「商品B」および「商品D」のいずれかを選択することになる。
利用者が「商品C」を選択した場合には、クーポンの対象外となる(ステップS231:N)。そこでこの場合には、クーポンによる割引処理が実行されない決済処理が行われる(ステップS232)。
この一方で、利用者が当初「商品C」を選択したものの、ステップS228の明滅処理でたとえば「商品A」に選択を切り替えた場合には、その商品はクーポン利用の対象となる(ステップS231:Y)。そこでこの場合には、ステップS225に進んで、クーポンで割り引いた額を支払いデバイス102から徴収するクーポンによる決済処理が実行されることになる。
なお、利用者が本実施の形態で「商品B」に選択を切り替えた場合は、クーポンIDの「001」を適用すると30円の割引となり、「003」を適用すると20円の割引となる。このように支払いデバイス102に複数のクーポンIDが登録されていて、それが利用者の指定した同一の商品に対して異なった割引額となる場合がある。このような場合には、割引額が大きくなる方のクーポンが自動的に選択される。もちろん、無作為に2つのクーポンのうちの1つが選択されるようになっていてもよい。
更に、クーポンに有効期限が設定されており、一方の有効期限が予め設定した日数以内となっているような場合には、他のクーポンの割引額の多少に係らず、その有効期限が近い方のクーポンを優先的に使用するようにしてもよい。また、利用者に事前に支払いデバイス102側でアンケートをとったり、利用者が複数のクーポンをどのように使い分けるかの履歴をとることで支払いデバイス102が学習を行い、複数のクーポンの利用について競合が発生した際に、支払いデバイス102側が学習結果から商品の選択の指示を自動販売機101に行うようにしてもよい。たとえば、利用者が商品の割引額を優先する傾向が強ければ割引額の大きなクーポンを常に選択するようにし、クーポンの残り有効期限を優先する傾向が強ければ有効期限の短いクーポンから常に選択する。
次に、ステップS228の商品選択状態明滅処理に関しては、明滅の周期を割引額の大小に応じて変えたり、表示色を変えたり、あるいは割引額の大小や額の実際をディスプレイ144に表示するようにしてもよい。割引額を簡易的に表示するマークを表示するようにしてもよい。
また、ステップS229では利用者が商品を再度選択するのを単純に待機する処理としたが、これに限るものではない。たとえば、一定時間経過しても利用者が商品を再度選択しない場合には、最初に選択したクーポンの適用のない商品が最終的に選択されたものとしてステップS232の処理に進んでもよい。更に、自動販売機101に商品の指定自体を無効にするボタンを設けておいて、利用者がこの時点で商品の指定自体をキャンセルできるようにしてもよい。
この図4に示した後かざし処理のステップS221では、利用者がその直前に選択した商品に対応する選択ボタン143が発光することにしたが、この時点で他の商品の選択ボタン143を後押しすれば、後押しした方の商品に表示が切り替わるような制御を行うことは自由である。また、図示しない取り消しボタンを押して商品の指定内容を取り消したり、支払いデバイス102を所定時間以上、無線通信位置指示板147の近傍に配置しないことによって、商品の指定内容を取り消すことができるようにすることも自由である。
また、図4に示した後かざし処理では、図2に示した商品選択ウィンドウ141に展示された「商品A」〜「商品D」のすべての在庫があることを前提として説明したが、在庫がなくなった商品については従来と同様の制御を行うことができる。たとえば該当する商品の照明を消したり、ディスプレイで商品を電子的に表示する場合には該当する商品の表示自体を行わないようにすればよい。また、利用者が在庫のない商品の選択ボタン143を押したときにはこれを無効としたり、エラー音を鳴動させるようにして、他の商品の選択を促すようにしてもよい。また、ステップS228で明滅処理を行う商品は、在庫切れのものを除くようにする制御を行うことになる。
ところで、図4で説明した後かざし処理を行うと、利用者が複数の商品の中からクーポンの利用できない商品を初期的に選択しても、商品の購入の決済を行う前にクーポンの利用可能な商品を示されることで、これに切り替えて購入する可能性が生じる。たとえばグループの構成メンバの飲み物を代表者がまとめて購入するような場合を一例として考える。このような場合は特定の商品を購入しなければならないという要請は少なく、お茶とかジュースといった飲み物が幾種類か用意されればよい。利用者はクーポンが適用される商品に選択し直すことで利益を得るが、何の不都合も生じない。しかも、メーカにとってはキャンペーンの対象とした商品にクーポンを適用することで、特別の宣伝や広告を行うことなく売り上げの増加につなげることができる。特に複数のメーカの商品が1つの自動販売機101に収容されているような場合には、メーカ間での売り上げの増減に影響を与えることになる。このように、利用者に購入商品の再考を促す後かざし処理機能の付いた自動販売機101はメーカにとって魅力ある存在であり、その設置者が該当するメーカから売り上げ増に見合った経済的な優遇を受ける販売システムがビジネスとして実現可能である。
図7は、図3のステップS204として示した先かざし処理を具体的に示したものである。図1および図2と共に、今度は先かざし処理について説明する。
先かざし処理の直前には、図3のステップS202で販売側決済関連情報通信部117が支払いデバイス102から出力される無線を検知している。そこで、先かざし処理の最初のステップS251では、自動販売機101側が支払いデバイス102内の利用者側クーポン情報格納部135から利用者側クーポン情報を読み取る。そして、読み取った全クーポンに対して自動販売機101の販売割引が可能な全商品が何であるかを判定する(ステップS252)。先の図5および図6に示した例では、クーポンIDの「002」にのみ対応する「商品C」を除いた「商品A」、「商品B」および「商品D」がクーポンを利用して購入可能であることの表示が行われる(ステップS253)。このような表示は、それぞれの商品142に対応した選択ボタン143を明滅することで実現してもよいし、ディスプレイ144に商品の名前の表示が行われてもよい。
この状態で、利用者は購入しようとする商品を選択してもよいし、自身の所持する支払いデバイス102に格納されているクーポンの状態を確認することもできる(ステップS254、ステップS255)。利用者が商品選択部112の選択ボタン143のいずれかを押下すると(ステップS254:Y)、「商品A」、「商品B」および「商品D」の表示から選択した特定の商品の点灯表示に変更される(ステップS256)。そして、その選択した商品についての決済処理が行われる(ステップS257)。このとき、利用者が割引の対象となる商品を選択していれば、決済時にその割引が適用される。一例として、利用者が「商品A」を指定すれば、図5および図6に示すクーポンIDの「001」が適用されて、20円の割引が行われる。割引の対象とならない商品を選択した場合には、割引処理が行われることなく決済が行われる。図6に示したクーポンIDとの関係で割引額が複数通りとなる場合には、図4の後かざし処理で説明したと同様の各種の処理が可能である。
商品についての決済が終了すれば、購入されたその商品についての点灯表示が終了する(ステップS258)。これにより、一連の先かざし処理が終了する(エンド)。
一方、利用者が自身の所持する支払いデバイス102に格納されているクーポンの状態を確認する場合には、決済関連選択部115を構成する方向指示ボタン145、146を適宜用いて、ディスプレイ144に表示される内容との関係で、決済関連情報の指定を行う。ここでは、利用者の所持する支払いデバイス102に登録されているクーポンIDを選択することで(ステップS255:Y)、自動販売機101の対応が表示される。たとえば、利用者がディスプレイ144にクーポンIDの「001」が表示された状態で情報内容の表示の指示を行うと、そのクーポンIDの対象となる商品の内容が判定され(ステップS259)、該当する商品の「商品A」および「商品B」の選択ボタン143が商品選択状態表示部113として点灯表示されることになる(ステップS260)。
この場合、利用者は、所望の商品を選択することで(ステップS261:Y)、ステップS257に進み割引の適用の可否に応じた決済処理を行わせることができる。また、このような商品購入の処理にいきなり進まずに(ステップS261:N)、決済関連選択部115を構成する方向指示ボタン145、146を再度適宜用いることで、他のクーポンIDについての該当する商品の表示を行わせることもできる。この後者の場合には、他のクーポンIDの「002」に関する情報の表示が指定された時点で(ステップS262:Y)、商品選択状態表示が一旦終了し(ステップS263)、ステップS259に進んで、クーポンIDの「002」に対する判定が行われることになる。以下同様である。
このように本実施の形態の先かざし処理では、支払いデバイス102を先に自動販売機101に提示することによって、利用者はクーポンの利用可能な商品をまず表示してから選択することができ、無駄な選択作業を回避することができる。また、クーポンの利用できる商品の一覧が表示された後も、複数のクーポンを所持しているかとか、それぞれのクーポンがどの商品と関連付けられているかということを個々の自動販売機101で簡単に確認することができる。更に、この確認作業によって判明された商品について、購入の処理を続行することも可能である。
図8は、以上説明した先かざし処理における自動販売機の表示状態の変化の様子を表わしたものである。同図(a)は図7のステップS253による表示状態を示しており、利用者の支払いデバイス102によってクーポンの適用が可能な「商品A」、「商品B」および「商品D」の各選択ボタン143が明滅している。ディスプレイ144には、クーポンを使用して決済時の割引が可能である旨の表示が行われる。したがって、利用者は「商品A」、「商品B」および「商品D」の中から購入する商品を優先して選択することになる。もちろん、割引が行われないのを了解した上で「商品C」を選択することも可能である。
同図(b)は、利用者がクーポンID「001」に対してステップS260で表示を行わせた状態を示している。また、同図(c)は利用者がクーポンID「003」に対して同様にステップS260で表示を行わせた状態を示している。利用者は、同図(a)の状態から方向指示ボタン145、146を適宜用いて、同図(b)あるいは同図(c)の表示状態に移行させることができ、また同図(c)の状態から同図(a)の状態に戻すこともできる。
同図(b)では、クーポンID「001」を方向指示ボタン145、146で選択したので、図5の販売側クーポン情報格納部119の内容から「商品A」と「商品B」の選択ボタン143が明滅している。また、同図(c)ではクーポンID「003」を方向指示ボタン145、146で選択したので、販売側クーポン情報格納部119の内容から「商品B」と「商品D」の選択ボタン143が明滅している。仮に、利用者がクーポンID「002」を選択したとすると、図6に示した利用者側クーポン情報格納部135から明らかように支払いデバイス102にはその登録がない。したがって、「商品A」〜「商品D」のいずれの選択ボタン143も明滅せず、適用される商品が存在しないことが分かることになる。
以上説明した本発明の第1の実施の形態によれば、利用者がクーポンを所持しているのにクーポン対象外の商品を選んだ場合、それを自動販売機により警告されることでクーポン対象商品を選び直すことができる。また、利用者の所持する支払いデバイス102のクーポンが各種存在する場合であっても、利用先の自動販売機101との関係で割引のできる商品を簡単に知ることができる。
また、利用者が自分の支払いデバイス内に複数のクーポンを保持している場合、複数のクーポンの中で適切なものを選択することができる。
<第1の実施の形態の第1の変形例>
ところで、図4で説明した第1の実施の形態における後かざし処理は、利用者がその所持する支払いデバイス102を用いてクーポン対象商品以外の商品を自動販売機101で選択した場合に、最小限の手間でクーポン対象商品を選び直すことができるという利点を有している。しかしながら、初めから購入する商品を1種類に限っていた利用者にとっては、その商品がクーポン対象商品以外のものであることによって、更に同一の商品を重ねて選択する(ステップS229)という処理を経ることが必要となるという問題がある。すなわち、1種類の商品を選択する者にとっては、その商品がクーポン対象商品以外である場合には、2度の選択処理が必要となって、決済に至るまでの時間が長時間化してしまう。
図9は、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例としての後かざし処理の内容を表わしたものである。この処理は、図4で説明した第1の実施の形態における前記した問題を解消するようになっている。この図9で図3および図4と同一処理の部分には同一の符号を付している。図1および図2と共に説明する。
自動販売機101の商品選択部112の選択ボタン143のいずれかが利用者によって押されると(ステップS201:Y)、これに対応する前記した発光ダイオードが発光して、商品142のどれが利用者によって選択されたかの表示が開始する(ステップS221)。そして、この状態で支払いデバイス102が検知されるのを待機する(ステップS222)。
この待機状態で利用者が支払いデバイス102を無線通信位置指示板147の近傍にかざすと、電波が検知されて(ステップS222:Y)、販売側決済関連情報通信部117と利用者側決済関連情報通信部137が通信を開始して、自動販売機101側が利用者側クーポン情報格納部135に格納されている利用者のクーポン情報を読み取る(ステップS223)。自動販売機101はこの読み取った利用者のクーポン情報を利用者が選択ボタン143で選択した商品と対比して、その商品がクーポンで割引の対象となるものであるかどうかを判定する(ステップS301)。これは、決済に使用するためと、後で利用者に知らせるための処理である。判定結果は自動販売機101の図示しないRAM(Random Access Memory)に一時的に格納しておく。
この後、自動販売機101は、現時点でクーポンの対象となる商品が取り扱われているかどうかをチェックする(ステップS302)。ステップS223で読み取ったクーポン情報が自動販売機101の扱う商品に適用可能であれば(Y)、それらの商品に関するデータを一次記憶する(ステップS303)。そして、利用者が選択した商品がクーポンで割引の対象となるものであるかどうかを問わず、その商品について決済処理が行われる(ステップS304)。このとき、利用者が選択した商品がクーポンで割引の対象となっていれば、その額の割引を行う。決済が終了したら、クーポンの適用のある商品を利用者に知らせるために、クーポンで割引の対象となっている商品に対応する選択ボタン143のすべてを所定時間だけ明滅表示する(ステップS305)。これと共に、ディスプレイ144にこれらの商品がクーポンで割引の対象となるものであることを表示してもよい。利用者はこれにより、次回以降にこの自動販売機101を利用するとき、クーポンの利用を考慮に入れてそれぞれの商品の購入を行うことができる。
一方、ステップS302で自動販売機101の扱う商品がすべてクーポンで割引の対象となっていない商品であることが判明した場合には(N)、クーポンの割引のない決済処理が行われる(ステップS306)。この場合には、対象の商品が存在しないので、ステップS305の利用者に対する情報の提供は行われずに後かざし処理が終了する(エンド)。
以上説明した第1の実施の形態の第1の変形例では、利用者が特にクーポン対象商品を欲しない場合や商品を早く入手したい場合には、本発明がない場合と同じ最少の手順で決済を行うことが可能である。しかも商品購入後にクーポン対象商品がどれであるかの情報が示されるので、次回以降の商品の購入の際にこの情報を役立てることができる。すなわち、同一の自動販売機101を使用して連続して複数の商品を購入するような場合には、ステップS305で明滅処理の行われた商品を次の回から選択することで、クーポンの利用による得点を活用することができる。
なお、この第1の実施の形態の第1の変形例では、利用者が商品を1個だけ購入したような場合、ステップS305で明滅処理の行われたクーポン利用対象の商品を後日購入しようとしても、これを記憶していない場合があり得る。このような場合には、後かざし処理を所定の場合に制限するようにすればよい。これを第2の変形例として次に説明する。
<第1の実施の形態の第2の変形例>
図10は、この第1の実施の形態の第2の変形例における後かざし処理の様子を表わしたものである。図10で図9と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。また、ステップS221〜ステップS223およびステップS301の処理は図9と同一であるため、図示も省略している。この第2の変形例で利用者が初めて利用の自動販売機101に対して商品を選択して(ステップS201:Y)、支払いデバイス102をかざしたとする。この結果、クーポンを利用できる商品が自動販売機101に備えられているものの(ステップS302:Y)、現在の商品の指定はクーポンを利用するものではないとする(ステップS351:N)。
この場合、自動販売機101は現在の支払いデバイス102のIDが過去に登録されているものと一致するかどうかを判別する(ステップS352)。この例の場合、自動販売機101は利用者の支払いデバイス102のIDの登録をまだ行っていない。したがって、支払いデバイス102のIDは一致しない(N)。この例の場合には、図9のステップS303以降の処理が進められ、ステップS204の決済の終了した時点で、今回の支払いデバイス102のIDの登録が行われる(ステップS353)。そして、クーポンの適用のある商品を利用者に知らせるために、クーポンで割引の対象となっている商品に対応する選択ボタン143のすべてが所定時間だけ明滅表示されることになる(ステップS305)。以上のように、自動販売機101側の処理はステップS351〜ステップS353の3工程が増加するが、利用者側の処理は図9で示した第1の実施の形態の第1の変形例と同じであり、利用者が商品を得るまでの操作は変わらず、商品を取得するまでに要する時間も実質的に同一である。
次に、この利用者が再度この自動販売機101を利用する場合を説明する。まず、クーポンを利用できる商品を覚えていて、あるいは偶然に、その商品を選択したとする(ステップS201:Y)。この場合には、ステップS351に進んだ段階でクーポンが利用されると判定される(Y)。そこでこの場合には、ステップS306に進んで決済処理を行う。この決済処理では、クーポンが利用されて商品の割引が行われる。
今度は、この利用者がクーポンを利用できる商品を忘れていて、クーポンを利用できない商品を選択したとする(ステップS351:N)。この場合、自動販売機101は利用者の支払いデバイス102のIDが登録されているかをIDの一致により検索する(ステップS352)。この例の場合は、支払いデバイス102のIDが登録されているので一致する(Y)。この場合、自動販売機101は利用者に商品の再選択を行うかの確認表示を行う(ステップS354)。このときステップS305で行ったようなクーポンで割引の対象となっている商品に対応する選択ボタン143のすべてを明滅表示することも有効である。利用者が商品の再選択を指示すると(ステップS355:Y)、再度、商品を選択するような指示が表示されて(ステップS356)、処理が終了する(エンド)。
利用者がこれを基にしてクーポンを利用できる商品を指定してステップS202から処理を再開した場合には、先に説明したようにクーポンを利用した決済が行われて(ステップS351:Y、ステップS306)、処理が終了する(エンド)。
これに対して、ステップS354の商品の再選択の表示に対して利用者が現在指定した商品を購入する意思を示した場合には(ステップS357:Y)、自動販売機101は利用者の支払いデバイス102のIDの登録を消去する(ステップS358)。そして、ステップS306の決済に進み、クーポンを利用しない決済が実行されて処理を終了する(エンド)。この後者の場合に利用者の支払いデバイス102のIDの登録を抹消することにしたのは、その利用者がクーポンの利用に関心を示していないからである。これにより、次回にその利用者が同じ自動販売機101を利用するとき、再選択を勧める表示(ステップS354)が行われることがなく、利用者に煩雑な追加的な操作を要求することはない。
ただし、この例の場合にもクーポンを利用しない商品を利用者が繰り返し購入する場合には、1回おきにステップS354の再選択を勧める表示が行われることになる。これを嫌う利用者がある程度存在する可能性がある場合には、ステップS358で支払いデバイス102のIDの消去を行うと共に、再登録の禁止の処置を行えばよい。もちろん、ステップS354の再選択表示に対して「再選択一切不要」といった利用者の選択肢を設けるようにしてもよい。
このように第1の実施の形態の第2の変形例によれば、利用者がクーポンを利用できる商品を覚えてしまえば、初回に限らず2回目以降も商品の選択を迅速に行うことができる。また、利用者に対する操作負担を最小限に抑えることが可能になる。更に、クーポンを利用できる商品を忘れてしまったような場合、2回目以降はクーポンを利用できる商品への選択を可能にしたので、クーポンの対象となる商品の売り上げ増加につながることになる。
<発明の第2の実施の形態>
以上のように本発明の第1の実施の形態では、携帯電話機等の支払いデバイス102側がクーポンを保持している場合に、自動販売機がそのクーポンに対応する商品を有しているときにその価格を割り引いて決済するという技術思想を扱った。第1の実施の形態のクーポンはこの意味で「割引クーポン」である。
本発明の第2の実施の形態では、「キャンペーンクーポン」とでも呼ぶべきクーポンを使用した電子的販売促進システムを扱う。これは、自動販売機で販売する特定の商品あるいは特定の会社の製品を購入したときに自動販売機から利用者の支払いデバイスに対して配布するクーポンである。配布されたクーポンは何らかの景品を当てるための抽選に使ったり、第1の実施の形態で扱ったクーポンとして利用することが可能であるものである。自動販売機の商品購入の際の割引とは必ずしも直接的な関係がない。
自動販売機で販売されている商品のうちキャンペーンクーポンを配布する対象となる商品は一部であることが多い。このため、利用者が購入した商品がキャンペーンクーポンの配布対象外であり、別の商品を購入すればキャンペーンクーポンをもらえる可能性がある、という場合が存在する。
図11は、本発明の第2の実施の形態による電子的販売促進システムの機能的な構成を表わしたものである。この電子的販売促進システム100Aは、商品を販売する自動販売機101Aと、利用者の持つ携帯電話機等の支払いデバイス102Aとによって構成されている。この図11で先の第1の実施の形態の図1と同一のものは同一の符号を付している。
自動販売機101Aは、販売する商品の情報を表示するディスプレイからなる商品情報表示部111を装置本体の前面に配置している。また、装置本体の前面には、表示された商品の中で購入するものを利用者が選ぶための入力装置である商品選択部112と、各商品に関して利用者が選択したかどうか等の選択状態を表示する商品選択状態表示部113が配置されている。
また、自動販売機101Aの装置本体の内部には、決済に関するものとして、利用者が購入する商品と値段を決めた後に支払いデバイス102Aと通信して決済を実行する決済実行部116Aと、決済やクーポンに関する情報を支払いデバイス102Aと通信する販売側決済関連情報通信部117を備えている。装置本体の内部には、クーポンに関するものとして、その配布の状況を判定するクーポン配布判定部401とクーポンに関する情報を格納する販売側クーポン情報格納部119Aを備えている。
一方、非接触ICカード搭載携帯電話機に代表される支払いデバイス102Aには、その装置本体の前面に各種情報を表示するためのディスプレイ131と、利用者が入力操作を行う操作部132および音に関する情報を入出力するための音情報入出力部133が配置されている。また、装置本体内部には、利用者が保持しているクーポン情報を格納する利用者側クーポン情報格納部135Aと、決済する際の電子マネー情報や残高といった決済に関連する状態の情報を格納する決済関連状態格納部136Aと、決済やクーポンに関する情報を自動販売機101と無線103によって通信する利用者側決済関連情報通信部137とが配置されている。
このような構成の自動販売機101Aおよび支払いデバイス102Aは、共に図示しないがCPUを備えている。そして、同じく図示しないROM等の記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することで、それぞれの装置内の主要部を機能的に実現するようになっている。
図12は、第2の実施の形態における自動販売機の外観を表わしたものである。図12で図2と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。図11と共に説明する。
自動販売機101Aの前面の上部には商品選択ウィンドウ141Aが配置されており、ここには実際の各種の商品142を展示(見本の展示も含む。)した商品情報表示部111と、これらの商品142の下に横長に配置されたタッチパネル式の1枚のディスプレイ421が配置されている。ディスプレイ421には、それぞれの商品142に対応する位置に通常は押しボタン422の図形が表示されており、これを押す(タッチする)ことで購入する商品の選択を行うようになっている。利用者が無線通信位置指示板147の近傍に支払いデバイス102Aをかざすと、キャンペーンクーポンの配布対象の商品に対応する押しボタン422のマークが明滅し、同時にディスプレイ421の表示の余白部分にキャンペーンクーポンに関する説明語句が表示されるようになっている。
図13は、この第2の実施の形態による自動販売機の処理の流れを表わしたものである。図11および図12と共に説明する。自動販売機101は商品選択部112の押しボタン422のいずれかが押されるのを待機している(ステップS501)。利用者が所望の商品142の押しボタン422を押すと(Y)、そのボタンが明滅を開始して商品142のどれが選択されたかを表示する(ステップS502)。明滅の代わりに押しボタン422の点灯する色を変更してもよい。
なお、図13では簡略化された手順を示しているが、商品142の選択は訂正のために何度行われてもよい。利用者が押しボタン422を相次いで複数回押した場合、最後に押した押しボタン422に対応する商品142が最終的に選択されたことになる。
自動販売機101Aは支払いデバイス102Aが検知されるのを待機しており(ステップS503)、この状態で利用者が支払いデバイス102Aを無線通信位置指示板147の近傍にかざすと、送信されてきた電波が検知される(ステップS503:Y)。これを契機として自動販売機101Aは、自装置の販売側クーポン情報格納部119Aに格納されたクーポン情報を読み出して、利用者が押しボタン422によって選択した商品142がキャンペーンクーポンの配布対象であるかどうかの判定を行う(ステップS504)。
図14は、販売側クーポン情報格納部に格納された販売側クーポン情報の一例を示したものである。この販売側クーポン情報格納部119Aには、自動販売機101Aが取り扱う商品のうちでキャンペーンクーポンの配布対象となる商品についてのクーポンIDが登録されている。この例では、「商品A」および「商品B」の2種類に対してクーポンIDの「005」の特典が与えられ、「商品C」についてはクーポンIDの「006」の特典が与えられる。
図13に戻って説明を続ける。自動販売機101Aでは、利用者が購入を選択した商品が「商品A」、「商品B」あるいは「商品C」のいずれかであれば、キャンペーンクーポンの配布対象であると判別することになる(Y)。この場合、自動販売機101Aはディスプレイ421に「キャンペーン商品につき、クーポンが配布されます。」というような文章を追加表示して(ステップS505)、購入を選択した商品142の決済処理を行う(ステップS506)。すなわち、決済実行部116Aが決済関連状態格納部136Aと通信を行って、必要な金額を支払いデバイス102Aから取得し決済を完了する。また、自動販売機101Aは、同時に利用者側クーポン情報格納部135Aにクーポンを配布する。そして、自動販売機101Aは商品142を商品排出口148に排出した後、ディスプレイ421を通常の押しボタン422の表示に復帰させる(ステップS507)。もちろん、ディスプレイ421には、「キャンペーン実施中、クーポンが配布されます。」といったメッセージを追加的に表示してもよい。
一方、ステップS504で利用者の選択した商品142が「商品D」であって、キャンペーンクーポンの配布対象外であることが判明したものとする。この場合には(N)、そのまま決済した場合、クーポンが配布されないことになる。そこで、ディスプレイ421にキャンペーンクーポンの配布対象となる商品を強調表示して、利用者に商品142の選択の再考の機会を与える(ステップS508)。たとえば、ディスプレイ421における「商品A」、「商品B」および「商品C」に対応する箇所にそれぞれ「キャンペーン中」という文字を表示してこれを点滅させるようにする。
この状態で自動販売機101Aは所定時間内に商品選択部112の押しボタン422が新たに押下されるかどうかをチェックする(ステップS509、ステップS510)。所定時間が経過する前に押しボタン422が新たに押下された場合には(ステップS509:Y)、その商品142が最終的に選択されたことを示すディスプレイ421の表示状態に変更が行われ(ステップS511)、決済処理に移行する(ステップS506)。
これに対して所定時間が経過しても利用者が新たな商品142を選択しなかった場合には(ステップS509:N、ステップS510:Y)、ステップS508で行った強調表示を終了させて(ステップS512)、決済処理に移行することになる(ステップS506)。いずれの場合にも、決済が終了したらディスプレイ421を通常の押しボタン422の表示に復帰させることになる(ステップS507)。
以上説明した第2の実施の形態では、ステップS510で自動販売機101Aが所定時間だけ利用者による商品142の再選択を待機することにしたが、時間の制限を設けず再選択を待機するようにしてもよい。この場合には、利用者がキャンペーンクーポンの配布対象外の商品142を最終的に選択する場合には、再度、この商品142を選択することになる。
このように本発明の第2の実施の形態によれば、利用者がクーポンが配布される商品が存在することを知らずに対象外の商品を選択したとき、クーポンが配布される商品に選択し直すことができる。したがって、利用者の便宜を図ることができるだけでなく、自動販売機の設置者側もクーポンが配布される商品の販売促進を図ることができる。
<第2の実施の形態の変形例>
図15は、第2の実施の形態の変形例における自動販売機の処理の流れを表わしたものであり、第1の実施の形態の第1の変形例に対応するものである。図11および図12と共に説明する。なお、図15で図13と同一のステップについては同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
この第2の実施の形態の変形例では、ステップS503で支払いデバイス102Aが検知されると(Y)、利用者が次の購入を行うときにクーポンの対象となる商品が取り扱われているかどうかをチェックする(ステップS531)。自動販売機101Aがこのようなキャンペーンクーポンの配布対象の商品を取り扱っている場合には(Y)、それらの商品に関するデータを一次記憶する(ステップS532)。そして、利用者が選択した商品がクーポンの対象となるものであるかどうかを問わず、その商品について決済処理が行われる(ステップS533)。このとき、利用者が選択した商品がキャンペーンクーポンの配布対象となっていれば、利用者側クーポン情報格納部135Aにクーポンを配布する処理を行う。
決済が終了したら、クーポンの適用のある商品を利用者に知らせるために、キャンペーンクーポンの配布対象となっている商品に対応する押しボタン422のすべてを所定時間だけ明滅表示する(ステップS534)。これと共に、ディスプレイ421の余白部分にこれらの商品がクーポンで割引の対象となるものであることを表示してもよい。利用者はこれにより、次回以降にこの自動販売機101Aを利用するとき、クーポンの配布を考慮に入れてそれぞれの商品の購入を行うことができる。
一方、ステップS531で自動販売機101Aの扱う商品がすべてキャンペーンクーポンの配布対象となっていない商品であることが判明した場合には(N)、通常の決済処理が行われる(ステップS535)。この場合には、対象の商品が存在しないので、自動販売機101Aは利用者側クーポン情報格納部135Aにクーポンを配布する処理を行うことなく、一連の処理を終了する(エンド)。
このように第2の実施の形態の変形例では、利用者が特にキャンペーンクーポンの配布を欲しない場合や商品を早く入手したい場合には、本発明の適用がない場合と同じ最少の手順で決済を行うことが可能である。しかも商品購入後にキャンペーンクーポンの配布が行われる商品についての情報が示されるので、次回以降の商品の購入の際にこの情報を役立てることができる。
なお、第1の実施例の第2の変形例の技術思想も同様に本発明の第2の実施の形態に適用することができる。すなわち、キャンペーンクーポンの配布対象となっていない商品を利用者が選択した場合、最初の自動販売機101Aの利用のときは改めて商品の再選択を勧めることなく商品の選択を終了し、2回目以降の場合でキャンペーンクーポンの配布対象となっていない商品を再度選択した場合には、商品の再選択の機会を与えるようにすることができる。これについては、図10を参照することにして、詳細な説明は省略する。
<発明の第3の実施の形態>
図16は、本発明の第3の実施の形態による電子的販売促進システムの機能的な構成を表わしたものである。この電子的販売促進システム100Bは、商品を販売する自動販売機101Bと、利用者の持つ非接触ICカード搭載の携帯電話機等の支払いデバイス102とによって構成されている。
このうち自動販売機101Bは、販売する商品の情報を表示するディスプレイからなる商品情報表示部111を装置本体の前面に配置している。また、装置本体の前面には、表示された商品の中で購入するものを利用者が選ぶための入力装置である商品選択部112と、各商品に関して利用者が選択したかどうか等の選択状態を表示する商品選択状態表示部113と商品の値段等の決済関連情報を表示する決済関連情報表示部114が配置されている。
また、自動販売機101Bの装置本体の内部には、商品を補充するときの商品別の保管状態を記憶する商品別保管記憶部601と、商品ごとの自動販売機101B内での滞留状態を演算する商品滞留演算部602と、商品ごとに滞留時の割引額の一覧を記録した滞留割引表記憶部603の他に、決済に関するものとして、決済実行部116と、決済に関する情報を支払いデバイス102と通信する販売側決済関連情報通信部117とを備えている。支払いデバイス102側の構成は、第1の実施の形態と同一でよい。
このような構成の自動販売機101Bおよび支払いデバイス102は、共に図示しないがCPUを備えている。そして、同じく図示しないROM等の記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することで、それぞれの装置内の主要部を機能的に実現するようになっている。
図17は、本発明の第3の実施の形態で自動販売機が利用者の利用を待機しているときの商品の表示のための処理の様子を表わしたものである。図16と共に説明する。
自動販売機101Bは利用者が利用していない待機状態で所定の表示更新タイミングが到来すると(ステップS701:Y)、商品滞留演算部602が装置内に長期に滞留している商品の滞留状態を演算する(ステップS702)。自動販売機101B内に残っている商品の数を商品別に単純に計算するのではなく、商品別保管記憶部601が商品を補充した日時のデータと補充数および現在の残量との関係から、売れ行きが悪く、かつ自動販売機101B内に多く売れ残っている商品を把握するようにしている。
このようにして、自動販売機101B内の滞留状態が演算されたら、次に商品滞留演算部602は予め用意された滞留割引表を滞留割引表記憶部603から読み出して、滞留の状態に対応した割引内容がこの表に示されているかどうかを判別する(ステップS703)。この自動販売機101Bがインターネットや公衆電話網等のネットワークに接続されている場合には、商品の販売を行うメーカあるいは自動販売機101Bの管理会社が滞留割引表の内容を随時更新している。
たとえば工場で過剰生産された商品や売れる季節が過ぎようとしている商品は、同一の滞留状態の他の商品よりも割引率が高く設定される。また、人気の商品の場合には滞留が生じている場合でも割引の対象としない場合もある。キャンペーン商品の売り上げを一時的に伸ばす場合には、ネットワークを介して時間を限定する等の制限を加えて割引率を調整する。自動販売機101Bがネットワークに接続されていない場合には、商品の補充を行う係員や営業担当者が滞留割引表を更新する。
ステップS703で各商品の割引内容を判別した結果、自動販売機101B内に割引の対象となる商品が存在した場合には(ステップS704:Y)、該当商品の押しボタンあるいはタッチパネルの該当する箇所を明滅表示させて、割引額を表示する(ステップS705)。たとえば商品Aについては通常の表示が行われているが、商品Bについては明滅表示が行われて、その近傍のディスプレイ部分に「20円引き」という表示が行われる。これにより、利用者は商品Aと商品Bが同様の飲料であるとすると、価格差を考慮しながら商品の選択を行うことができる。
割引商品が特に存在しない場合には(ステップS704:N)、商品に関して通常の表示が行われる(ステップS706)。
なお、このような商品の在庫状況あるいは滞留状況に応じた割引の可否あるいは割引率の設定は、第1の実施の形態にも応用することができる。幾つかの例をあげる。
(1)クーポンにより割引を行う商品が商品Aと商品Bであったとき、滞留した商品Dについても同様に割引の対象にする。これにより、利用者は安価に購入する商品の範囲を広げることができる。
(2)クーポンにより割引を行う商品が商品Aと商品Bであったとき、このうちの滞留した商品Aについては、クーポンによる割引率に滞留分の割引率を加えた割引を行う。これにより、商品Aは商品Bに対して価格競争力が増強されることになる。
なお、在庫余剰商品のすべてを割引の対象とするのではなく、これらのうちの一部の商品を時間を変えて割引の対象としたり、支払いデバイス102を自動販売機101Bにかざすたびに、ルーレットを回すように割引の対象の商品を選定するようにしてもよい。特に後者の場合には、ゲーム感覚で利用者を刺激して商品の在庫管理が可能になるという利点がある。
なお、以上説明した第1〜第3の実施の形態では、非接触ICカード搭載携帯電話機を支払いデバイス102、102Aとして説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、非接触ICカードについてもこれを支払いデバイス102、102Aとして、販売促進に利用することができる。もちろん、本発明は非接触ICカードあるいは無線で通信するデバイス間の発明に限定されるものでないことは当然である。
また、本発明の第1の実施の形態では、クーポン情報を支払いデバイス側に格納させたが、これを支払いデバイスとネットワークを介して通信を行うサーバ等の他の情報処理装置に保持させてもよい。この場合、支払いデバイスはクーポン情報を保持してもよいが、単なる中継装置として前記したサーバ等の他の情報処理装置のみが保持するようなものであってもよい。特に後者の場合、利用者は自動販売機と対面する支払いデバイスを複数所有してもよく、このいずれを使用してもクーポン情報を利用者個人に対応させた一箇所で集中管理することができる。したがって、一個人に属する幾つかの種類のクーポン情報が分散管理される場合よりもクーポンによる特典を確実に利用することができる。
また、本発明の実施の形態では、自動販売機や支払いデバイスがこれらの内部に備えられたCPU等の制御手段を使用して制御プログラムを実行し、両者の間で閉じた電子的販売促進システムを構成することにしたが、自動販売機や支払いデバイスの制御をこれらの装置自体ですべて行う必要がないことも当然である。すなわち、自動販売機や支払いデバイスをネットワークを介して特定の情報処理装置と接続させ、この特定の情報処理装置が制御プログラムの少なくとも一部を実行するものであってもよい。これにより、自動販売機や支払いデバイスの構成を単純化することができるだけでなく、利用者が複数の自動販売機を利用する場合の総合的な販売促進のための管理が可能になる。
更に、本発明の実施の形態では、クーポンや商品の滞留との関係で商品を割り引く場合を説明したが、割引以外に購入の対象とした特定の商品を無料にしたり、この特定の商品以外の物や特定のサービスを無料としたり、正規の価格から割り引くものであってもよい。一例としては、自動販売機からクーポン対象の商品を購入すると、コップが付いてきたり、コンピュータで使用する壁紙をダウンロードする権利が発生するというようなものであってもよい。
また、本発明の実施の形態では特に商品の種類について言及しなかったが、自動販売機で取り扱うことのできるあらゆる商品に本発明を適用可能であることは当然である。