JP2009127017A - 水性分散液及びそれを使用した製紙方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無機填料粒子の水分散液を調製する場合、アルカリ性でも加水分解しにくく、製紙用填料分散液あるいは塗工顔料分散液を製造し貯蔵する場合、経日安定性や再分散性の良い分散液を調製すること、また白色度など紙質を向上させる抄紙法を開発することを目的とする。
【解決手段】 (メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することによって製造された水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液によって達成できる。また前記水性分散液を抄紙前の製紙原料中に添加し抄紙することにより、白色度など紙質を向上させることができる。

【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶性高分子に関するものであり、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、特定の繰り返し単位を含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液に関し、また前記水性分散液を使用した製紙方法に関する。
従来、製紙用填料は紙の改質剤として広く使用されているが、最近の傾向として単に水に分散させ紙料に添加するのではなく、前もって水溶性高分子化合物を表面に吸着させた前処理を実施したのち、紙料に添加する方式がとられることが多くなっている。この理由は、填料表面を改質することにより紙料への吸着性を向上させるため、あるいは填料粒子に弱い凝集フロックを生成させ、これら微細な凝集フロックを紙に留めることによって白色度や不透明度を向上させることを意図している。
一方、炭酸カルシウムは製紙用の填料としての需要が高まっているが、この要因として抄紙中性化の比率が増加していることが考えられる。すなわち製紙原料として機械パルプが主体であった新聞用紙の抄紙は、ピッチトラブルや濾水性向上のため硫酸バンド添加は必須であったが、中性化の動きが急速に普及しつつある。新聞古紙は、従来チラシと新聞古紙は分別して処理されてきたが、分別せず古紙製造が行なわれ、結果としてチラシのコート層に使用されている炭酸カルシウムが新聞古紙に混入してきた。初期においては硫酸バンドなどで中和処理してきたが、効率化と資源節約のため中和をせず、炭酸カルシウムの含有した中性〜弱アルカリ性の状態で新聞用紙の抄紙を実施することとなった。このため古紙からの含有量では一般的には足りず、填料不足分を補うためさらに炭酸カルシウムを追加添加している状況である。
炭酸カルシウムのうち特に軽質炭酸カルシウムは、紡錘状、角状、柱状、針状、凝集状等種々の形状のものが、様々の粒子径で粉体あるいはスラリーとして市販されているが、一般に凝集した状態で存在していることが多く、高濃度のスラリーにした場合、ホモディスパー等の分散機で分散させただけではスラリーの粘度は著しく高く、配管による移送、あるいはローリー車による輸送時、取扱いが悪い。これを粉砕処理し一次粒子の状態で分散させることで粘性が低下し、かつ品質特性は大きく向上する。
従来、炭酸カルシウムに対する分散剤としては、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸/マレイン酸共重合体ソーダ塩等が用いられているが、これらの分散剤を使用しても、近年の高濃度化の要求に充分に応え得る炭酸カルシウム分散液は得られていないというのが現状である。従来の分散剤に関してはアルキレンオキサイドの特定量を構成単位として有するポリエーテル化合物に、エチレン性不飽和単量体を共重合させた水溶性共重合体を含む顔料分散剤が開示されている(特許文献1)。またアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの塩類から選ばれた少なくとも1種類の単量体より導かれた水溶性重合体と水溶性リン酸塩とを併用する炭酸カルシウム水分散液の製造方法が開示されている(特許文献2)。またジアリルアミン塩重合体あるいはジアリルアミン塩と非イオン性ビニルモノマーとの共重合体が開示されている(特許文献3)。しかし、これら方法では炭酸カルシウム水分散液が数日間貯蔵され放置すると再度攪拌しても非常に分散しにくい。炭酸カルシウム水分散液は、アルカリ性のため(メタ)アクリル系の水溶性高分子では、劣化しやすく使用可能な水溶性高分子が限定されていることも、適正の良い水溶性高分子が見つからない理由の一つになっている。従って製紙用塗工顔料分散液を製造し貯蔵する場合、経日安定性や再分散性を改善するための分散剤選択の余地がまだ残されている。
軽質炭酸カルシウムは、もともと白色度、不透明度、印刷光沢、インキ受理性を顕著に向上させることが期待できるが、低粘度で、かつ分散安定性に優れることを特徴とする軽質炭酸カルシウムスラリーを得ることが難しいというのが現状である。以上のことより、低粘性であり、かつ分散安定性に優れることを特徴とする高濃度の炭酸カルシウム分散液は開発が強く望まれている。
特開平10−204320号公報 特開昭62−279834号公報 特開平5−263010号公報
本発明は、無機填料粒子の水分散液を調製する場合、アルカリ性でも加水分解しにくく、製紙用填料分散液あるいは塗工顔料分散液を製造し貯蔵する場合、経日安定性や再分散性の良い分散液を調製することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、以下に述べるような製造方法を発見した。すなわち本発明の請求項1の発明は、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、下記式(1)および/または式(2)で表される繰り返し単位を5〜67モル%、下記式(3)で表される繰り返し単位を0〜85モル%、下記式(4)で表される繰り返し単位を5〜35モル%および下記式(5)で表される繰り返し単位を0〜55モル%含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液である。
式中R1 ,R2 は水素原子またはメチル基を、X- は陰イオンを表わす。
請求項2の発明は、前記(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物が、(メタ)アクリルアミド60〜90モル%、(メタ)アクリロニトリル40〜10モル%からなることを特徴とする請求項1に記載の水性分散液である。
請求項3の発明は、前記水溶性高分子の重量平均分子量が、1000〜100万であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の水性分散液である。
請求項4の発明は、前記無機微細粒子が、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、タルク、カオリン、クレー、ベントナイトから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水性分散液である。
請求項5の発明は、抄紙前の製紙原料中に、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、下記式(1)および/または式(2)で表される繰り返し単位を5〜67モル%、下記式(3)で表される繰り返し単位を0〜85モル%、下記式(4)で表される繰り返し単位を5〜35モル%および下記式(5)で表される繰り返し単位を0〜55モル%含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液を添加し、抄紙することを特徴とする製紙方法である。

式中R1 ,R2 は水素原子またはメチル基を、X- は陰イオンを表わす。
(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、アミジン構造単位を含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液である。
前記(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物は、(メタ)アクリルアミド60〜90モル%、(メタ)アクリロニトリル40〜10モル%からなることが好ましい。また前記水溶性高分子の重量平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。さらに前記無機微細粒子は、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、タルク、カオリン、クレー、ベントナイトから選択される一種以上であることが好ましい。また本発明は、上記水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液を添加し、抄紙することを特徴とする製紙方法である。
本発明の水溶性高分子は、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸性雰囲気中で加熱処理することにより製造することを特徴とする。
初めに(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物に関し説明する。(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合比としては、アクリルアミド60〜90モル%、(メタ)アクリロニトリル10〜40モル%であり、好ましくはアクリルアミド60〜80モル%、(メタ)アクリロニトリル20〜40モル%である。またポリアミジン化反応に影響がない範囲で他の共重合可能な単量体を共重合することができる。さらにホフマン反応は強アルカリ性領域で実施するので、共重合体中に耐アルカリ加水分解性がなければ成らない。そのような単量体の例としては、エチレン、スチレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸あるいはマレイン酸などである。従ってそのような単量体の範囲としては、0〜10モル%である。
ホフマン反応前の共重合体の重合方法は、既知の重合法である水溶液重合法、油中水型エマルジョン重合法、油中水型分散重合法、塩水溶液中分散重合法などにより合成することができる。そのため重合濃度としては、5〜60重量%までの範囲実施が可能であり、好ましくは20〜50重量%で行うのが適当である。また、反応の温度としては、10〜100℃の範囲で行うことができる。
ホフマン反応前の共重合体の重合を開始させるラジカル重合開始剤はアゾ系、過酸化物系、レドックス系いずれでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)などがあげられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。またレドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。さらに過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。これら開始剤で最も好ましいものは、水溶性のアゾ系開始剤である2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物などである。
ホフマン反応前のポリアクリルアミド系共重合体の重量平均分子量は、用途により任意に調節することが可能であり、約10万〜1500万であり、好ましくは10万〜1000万であり、この範囲であれば製造上の問題はない。
次ぎにホフマン反応の条件について説明する。使用する次亜ハロゲン酸の例としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウムなどである。共存させるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどである。次亜ハロゲン酸の添加量は、対アミド基10モル%〜150モル%であり、好ましくは20基%〜120モル%である。また、共存させるアルカリの量としては、アミド基に対し10〜250モル%である。反応後は溶液pHを0.5〜6.0の範囲に中和する。これは、次工程のアミジン化反応を考慮してのpH範囲である。
ホフマン反応の反応温度は、0〜50℃の範囲の中から選択可能であるが、0〜30℃である方がより好ましい。反応時間は、反応温度、および反応溶液中のポリマー濃度に依存するため一概には言えないが、例えばポリマー濃度が10重量%の場合、5℃では数十分以内、20℃では数分以内で十分である。さらにポリマー濃度が高くなれば、反応時間はより短くてすむ。次に上記した条件でホフマン反応を行った後、副反応の進行を抑制するために反応を停止することが望ましい。ただし、反応後直ちに使用する場合には反応停止を行わなくともよい場合がある。反応停止の方法としては、(1)還元剤を添加する、(2)冷却する、(3)溶液のpHを酸添加により低下させる、等の方法を単独あるいは組み合わせて用いることができる。(1)は残存する次亜ハロゲン酸塩等を還元剤との反応により失活させる方法である。使用する還元剤の具体例として、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、マロン酸エチル、チオグリセロール、トリエチルアミン等が挙げられる。その還元剤の使用量は、通常反応に使用された次亜ハロゲン酸塩に対して、0.005〜0.15倍モル、好ましくは0.01〜0.10倍モルである。(2)は冷却により反応進行を抑える方法であり、その方法としては、熱交換器を用いて冷却する、または冷水で希釈する等の方法が挙げられる。そのときの温度は、通常50℃以下、好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。(3)は、通常pH12〜13のアルカリ性を示す反応終了液を、酸を用いてpHを下げることによりホフマン反応を停止させ、同時に加水分解の進行を抑制する方法である。そのときのpHは中性以下であればよくpH0.5〜6の範囲であればよいが、後のアミジン化反応を考慮するとpH0.5〜4であることが好ましい。pH調整で使用する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸、あるいはギ酸、酢酸、クエン酸等の有機酸があげられる。また最も好ましい酸は、塩酸である。
ホフマン反応後高分子中の一級アミノ基の含有量としては、5モル%〜60モル%であり、好ましくは10モル%〜50モル%である。5モル%未満であると、アミジン化反応が進行し難くなり好ましくない。また、50モル%より高く一級アミノ基を導入しようとすると、(メタ)アクリルアミドの共重合比を増加しなくてはならず、その結果(メタ)アクリロニトリルの共重合比が低下する。
ホフマン反応の後、反応溶液を酸性にしてアミジン化反応を行う。この条件として温度を20〜100℃、好ましくは30〜80℃、pH0.5〜6、好ましくはpH0.5〜4の範囲に反応物を保持することによりアミジン化反応を行うことができる。使用する酸は、塩酸、硝酸、スルファミン酸などの強酸が好ましく、塩酸であることが最も好ましい。具体的条件としては、例えば、共重合物中の置換アミノ基に対して通常0.7〜5.0倍、好ましくは1.0〜2.5倍当量の強酸を加え、通常20〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度で、通常0.5〜20時間加熱することによりアミジン単位を有するカチオン化高分子とすることができる。これは側鎖官能基である一級アミノ基とシアノ基が反応しイミノ基となりアミジン化することによる。一般に置換アミノ基に対する強酸の当量比が大きいほど、かつ、反応温度は比較的高いほうがアミジン化は進行する。また、アミジン化に際しては反応に供する共重合体に対し、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上の水を反応系内に存在させるとよい。
繰り返し単位(4)の水溶性高分子としての性能に及ぼす影響は明らかでないが、悪影響はないと考えられる。繰り返し単位(4)は水溶性高分子中に5〜35モル%存在するが、ニトリルは安価なモノマーなので、繰り返し単位(4)の存在は、凝集剤の製造コストを低下させ、コストに対する性能の優位性を向上させるのに有効である。繰り返し単位(4)の好適な存在比率は5〜30モル%、特に5〜20モル%である。
本発明に係る凝集剤において、繰り返し単位(4)とアミジン単位とのモル比〔(1)+(2)/(4)〕は一般に0.14〜13の範囲にある。好ましくは、このモル比は0.5〜5.0の範囲にあるべきである。というのはアミジン単位の多い方が水溶性高分子として用途が広がるからである。繰り返し単位(5)はカチオン性であり、アミジン単位と同じく凝集剤としての性能に有効に寄与していると考えられる。繰り返し単位(5)は凝集剤中に0〜55モル%、好ましくは5〜50モル%存在する。繰り返し単位(1)及び(2)はいずれも繰り返し単位(4)及び(5)から誘導されるものである。従って一般的に言ってできるだけ多くの繰り返し単位(4)が、繰り返し単位(1)及び(2)に転換されているのが好ましい。なお、本発明の水溶性高分子において繰り返し単位(5)とアミジン単位とのモル比〔(5)/(1)+(2)〕は、一般に0〜15の範囲にある。繰り返し単位(5)の水溶性高分子中での作用に関しては不明であるが、繰り返し単位(5)が多すぎるとポリアミジンとしての性能に影響を与える恐れがあり、多くする必要はない。従って繰り返し単位(5)とアミジン単位とのモル比〔(5)/(1)+(2)〕は、0〜4の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る水溶性高分子には、前述の繰り返し単位の外に更に他の繰り返し単位が含まれていてもよい。しかし、前述の繰り返し単位(1)〜(5)の合計が90モル%以上、好ましくは95モル%以上を占めるべきである。本発明に係る水溶性高分子中に通常含まれ得る他の繰り返し単位としては下記の(6)〜(8)のようなものがあげられる。
(式中R1 、R2 は水素原子またはメチル基を、M+ は陽イオンを表わす。)繰り返し単位(6)は繰り返し単位(3)と繰り返し単位(4)の加水分解により生成する。すなわちニトリル類と(メタ)アクリルアミドの共重合体を強酸と水の存在下に加熱してアミジン構造を形成させる際に、共重合体中のシアノ基と酸アミド基の一部が加水分解して繰り返し単位(6)のカルボキシル基が生成する。
繰り返し単位(6)(カルボキシル基単位)が水溶性高分子の性能にどのような影響を及ぼすかは、用途によるものと考えられるので結論できないが、一定程度のモル%では問題ないと推定される。従って水溶性高分子中の繰り返し単位(6)の比率は通常0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%の範囲にある。
繰り返し単位(7)および/または(8)(ラクタム単位)は繰り返し単位(3)と(5)とから生成すると推定される。ラクタム単位の水溶性高分子の性能に及ぼす影響は不明であるが、その比率は一般に0〜5モル%、特に0〜2モル%の範囲にある。
これら水溶性高分子の分子量は、重量平均分子量で表わせば1000〜100万であるが、好ましくは1万〜10万である。1000以下では無機粒子への吸着力が不足し、良好な分散効果が得られない。また100万以上になると凝集性能が増大してくるため分散剤としては適さない。
本発明の無機微細粒子の水性分散液は、アミジン構造単位からなる水溶性高分子を含有する。すなわち無機微細粒子を水に分散させた水性スラリーなどに前記のアミジン構造単位からなる水溶性高分子を含有する分散剤を添加し、ホモジナイザーなどのような強攪拌ができる攪拌機によって均一に分散させることにより調製することが可能である。または予め必用な量の水を用意し、その中に分散剤を溶解しておき、そこに炭酸カルシウムを投入していっても良い。添加する分散剤は、固体粉末でも水溶液の形態でもかまわないが、水溶液の形態で添加するほうが好ましい。
分散液中の炭酸カルシウム濃度は、15〜60質量%であるが、20〜50質量%であるほうがより好ましい。またホモジナイザーなどによる攪拌回転数は、3000〜10000回転/分であるが、5000〜10000回転/分であるほうがより好ましい。攪拌時間としては、10〜60分であるが、15〜30分であるほうがより好ましい。
本発明の無機微細粒子を含有する水性分散液は、アミジン構造単位からなる水溶性高分子を含有する分散剤により表面を改質してあるため、製紙用填量として使用することに適している。すなわち抄紙前の製紙原料に配合することにより、ワイヤー上の歩留率が向上し、また分散処理をしてあるため成紙中に均一に分散し、不透明度や白色度の向上も期待できる。
また表面塗工用のコートカラーに使用した場合は、流動性の良い安定した液性を示す。これはアミジン系高分子の解離があまり高くなく、コートカラーのpHである中性付近では凝集性能が抑制され、コートカラーの均一な分散を助けていると考えられる。
本発明の水性分散液で使用する水溶性高分子は、(メタ)アクリル系水溶性高分子のようにエステル結合によりカチオン性基が結合しているわけではないので、炭酸カルシウム分散液を調製した場合でも劣化がなく、安定した流動性の水性分散液を与えることができる。
本発明の水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液において分散剤の無機微粒子への添加量は、1〜20質量%であり、好ましくは2〜10質量%である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(水溶性高分子の合成1)撹拌機、窒素導入管、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、表−1に示すモル分率のアクリロニトリルを含有する、アクリロニトリルとアクリルアミドの混合物60.0gおよび240.0gの脱塩水を入れた。窒素ガス気流中、撹拌しつつ30℃に昇温したのち、1%の2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン・2塩酸塩水溶液0.3gを添加した。30℃で4時間、撹拌保持した後、50℃に昇温し、更に3時間保持し、水中に重合体が析出した懸濁物を得た。該懸濁物に水を20g添加し、次いで、重合体中のホルミル基に対して1.5当量の濃塩酸を添加して撹拌しつつ85℃に4時間保持し、重合体をアミジン化した。得られた重合体の溶液をアセトン中に添加し、析出せしめ、これを真空乾燥して試作―1〜試作―4を得た。
試作―1〜試作―4につき、以下に示す方法により組成と還元粘度を測定した。結果を表−1に示す。
アミジン化を行う前の各原料重合体の組成は、13C−NMRスペクトル(13C−該磁気共鳴スペクトル)の各モノマー単位に対応した吸収ピークの積分値より算出した。アミジン化後の重合体A〜Eの組成は、13C−NMRスペクトルの各繰り返し単位に対応した吸収ピークの積分値より算出した。なお、繰り返し単位(1)と(2)は区別することなく、その総量として求めた。繰り返し単位(7)と(8)も区別することなく、その総量として求めた。
また繰り返し単位(1)と(2)、(3)及び(7)と(8)の吸収ピークは170〜185ppm付近の非常に近接した位置に認められるため、以下のような方法により各吸収ピークに対応する構造を帰属した。即ち、重合体の元素分析、水分量の測定により質量収支を確認し、更に、重合体の13C−NMRスペクトルの他にIRスペクトルも測定し、重合体のスペクトルとアミジン基、アミド基及びラクタム基等を有する既知化合物でのスペクトルとを詳細に比較検討する方法を採用したものである。
試作―1〜試作―4につき、1規定の食塩水中0.1g/dlの溶液として静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
(表1)
AAM;アクリルアミド、AN;アクリロニトリル、1+2;アミジン、3;酸アミド、4;ニトリル基、5;一級アミノ基、6;カルボキシル基、7+8;ラクタム基、
(炭酸カルシウム分散液の調製)奥多摩工業製軽質炭酸カルシウムタマパールTP−121、50質量%の水性スラリーを用意し、合成例で調製した試料―1〜試料―4の20質量%を炭酸カルシウムに対し3%添加し、炭酸カルシウム濃度として40質量%になるよう水を加えた。その後、ホモジナイザー(日本精機製)により5000rpm、10分間混合し炭酸カルシウム分散液を調製した。調整後、分散液の粘度(25℃)をB型粘度計により測定した。その結果を表2に示す。
(炭酸カルシウム分散液の安定性評価)調製した炭酸カルシウム分散液の安定性を評価した。すなわち直径3cmの試料ビンに分散液100mLを加え、25℃の恒温槽に保存し一週間後の上澄み液の深さを測定し分散液の安定性とした。これらの結果を表2に示す。
(比較試験1)実施例1と同様な操作により炭酸カルシウム分散液を調製した。比較分散剤としてメタクリル酸ジメチルアミノエチル重合物(比較―1、重量平均分子量:5万)、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム重合物(比較―2、重量平均分子量:3.5万)を使用した。また分散剤無添加の場合も同時に試験した。結果を表2に示す。
(表2)
試料添加量:対炭酸カルシウム(質量%)、炭酸カルシウム濃度(質量%)、
分散液粘度(mPa・s)、一週間後安定性:上澄み深さ(cm)
0.5質量%のLBKPパルプスラリー(CSF400ml)を、抄紙後のシートの坪量が80g/mになるように量りとり、攪拌下、分散液―1〜分散液―4をパルプに対して炭酸カルシウム量として15質量%となるように添加し、また歩留向上剤として高分子量アクリル系水溶性高分子をパルプに対し0.03%添加した。
これを1/16mタッピースタンダードシートマシンにて抄紙し、湿紙を得た。湿紙を3.0Kg/mで5分間プレスした後、鏡面ドライヤーを用いて105℃で3分間乾燥した。乾燥した紙を、23℃、50%RHの条件で1日間調湿した後、白色度計(テクニダイン社製、分光光度計型測色計、カラータッチPC)によりISO白色度(JIS、8148;2001)を、ミューレンの低圧破裂強度試験機を用い破裂強度(JIS、P8112)を測定した。また紙中灰分は、電気炉中525℃、2時間で焼却し灰分を測定し、歩留率を算出した。結果を表3に示す。
(比較試験2)実施例2と同様な操作により、比較分散液―1および比較分散液―2を添加し、紙を抄き、紙質の試験を実施した。また同時に嵩高剤無添加の場合に関して試験した。結果を表3に示す。
(表3)
紙中灰分は質量%、白色度、比破裂度は無次元、


























Claims (5)

  1. (メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、下記式(1)および/または式(2)で表される繰り返し単位を5〜67モル%、下記式(3)で表される繰り返し単位を0〜85モル%、下記式(4)で表される繰り返し単位を5〜35モル%および下記式(5)で表される繰り返し単位を0〜55モル%含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液。

    式中R1 ,R2 は水素原子またはメチル基を、X- は陰イオンを表わす。
  2. 前記(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物が(メタ)アクリルアミド60〜90モル%、(メタ)アクリロニトリル40〜10モル%からなることを特徴とする請求項1に記載の水性分散液。
  3. 前記水溶性高分子の重量平均分子量が、1000〜100万であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の水性分散液。
  4. 前記無機微細粒子が、炭酸カルシウム、湿式シリカ、乾式シリカ、タルク、カオリン、クレー、ベントナイトから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散液。
  5. 抄紙前の製紙原料中に、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、酸で中和するとともに加熱処理することからなる、下記式(1)および/または式(2)で表される繰り返し単位を5〜67モル%、下記式(3)で表される繰り返し単位を0〜85モル%、下記式(4)で表される繰り返し単位を5〜35モル%および下記式(5)で表される繰り返し単位を0〜55モル%含有する水溶性高分子と無機微細粒子からなる水性分散液を添加し、抄紙することを特徴とする製紙方法。

    式中R1 ,R2 は水素原子またはメチル基を、X- は陰イオンを表わす。









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