JP2009125779A - レーザ加工装置、レーザ加工方法およびコイル部品の製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置、レーザ加工方法およびコイル部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な加工形状精度でレーザ加工を繰り返し行うことができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供すること。
【解決手段】短パルスのレーザ光を出射するレーザ発振器と、前記レーザ発振器から出射された前記レーザ光を収束させる結像光学系と、前記結像光学系と被加工物との間に配置され、前記被加工物が置かれる雰囲気とは分離されている分離空間を内部に持ち、前記結像光学系により収束されたレーザ光の集光点が前記分離空間に位置するように配置されるプラズマ抑制部材と、を有するレーザ加工装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ加工装置、レーザ加工方法およびコイル部品の製造方法に関する。
たとえばコイル部品におけるワイヤ端部の絶縁膜などの被加工物に短パルスのレーザ光を照射することにより、絶縁膜を剥離するレーザ加工方法が提案されている(下記の特許文献1参照)。このようなレーザ加工方法では、パルス幅が短くピーク出力が高くなると、被加工物の直前に配置されてレーザ光の照射領域を制御するマスクの損傷による耐久性が問題になってくる。
そこで、被加工物の直前ではなく、結像光学系の手前の光路の途中にマスクを配置し、被加工物に照射されるレーザ光の照射形状を制御する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、結像光学系の手前の光路の途中に配置されたマスクの形状を被加工物に対して結像させるために、結像光学系と被加工物との間で、レーザ光の集光点が存在する。
このレーザ光の集光点の位置では、レーザ光のパルスエネルギーのピーク値が最大となり、大気中で絶縁破壊が生じ、プラズマが発生することがある。この発生したプラズマが、その後に出射されるレーザ光を部分的に遮光するために、被加工物の表面でのレーザ光の照射形状が乱れ、レーザ加工形状の精度が低下するおそれがある。
特に、高速で繰り返して短パルスレーザを照射しようとする場合には、上記の問題は顕著である。この問題を解決するために、被加工物の表面近傍にガスを吹き付けてプラズマを除去しようとする試みも考えられるが、ガスの吹き付け速度には限界があり、プラズマを除去することは困難である。特に、高速で繰り返して短パルスレーザを照射する場合には、次々に発生するプラズマを、ガスの吹きつけにより除去することはほとんど困難である。
なお、下記の特許文献2に示すように、レーザ溶接において、被加工物の表面を含む領域を低真空環境にして、レーザを照射する方法が提案されている。この方法では、被加工物の表面が平面の場合には、低真空環境にすることは容易であるが、被加工物の表面がワイヤの端部などのように平面ではなく曲面であり、しかも小さい場合には、密封が困難である。また、被加工物を変える毎に、真空引きを行う必要があり、著しく生産性が悪い。さらに、レーザ加工を行うための設備が複雑になり、レーザ加工コストの増大につながる。
特開2007−068343号公報 特開平9−271979号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、良好な加工形状精度でレーザ加工を繰り返し行うことができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、このようなレーザ加工方法を用いて、低コストで容易に多量のコイル部品を製造することができるコイル部品の製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザ加工装置は、
短パルスのレーザ光を出射するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器から出射された前記レーザ光を収束させる結像光学系と、
前記結像光学系と被加工物との間に配置され、前記被加工物が置かれる雰囲気とは分離されている分離空間を内部に持ち、前記結像光学系により収束されたレーザ光の集光点が前記分離空間に位置するように配置されるプラズマ抑制部材と、を有する。
本発明に係るレーザ加工方法は、
レーザ発振器から短パルスのレーザを出射する工程と、
前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光を被加工物に照射して被加工物を加工する工程とを有するレーザ加工方法であって、
前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光の集光点が、前記被加工物が置かれる雰囲気とは分離されている分離空間に位置するように、前記分離空間を持つプラズマ抑制部材を前記結像光学系と被加工物との間に配置することを特徴とする。
本発明に係るレーザ加工装置およびレーザ加工方法では、プラズマ抑制部材の分離空間の内部で、レーザ光が集光点を持つ。分離空間は、たとえばプラズマ発生源が少なくなるように工夫してあることから、エネルギーが最も集中する集光点の部分でプラズマが発生することを抑制することができる。しかも、被加工物の表面を含む領域を低真空環境にする必要が無い。
そのため、被加工物の表面がワイヤの端部などのように平面ではなく曲面であったとしても、あるいは、被加工物が小さい場合であっても、単に、プラズマ抑制部材を結像光学系と被加工物との間に配置するのみで、プラズマが発生することを抑制することができる。その結果として、発生したプラズマが、その後に出射されるレーザ光を部分的に遮光することが少なくなり、被加工物の表面でのレーザ光の照射形状の乱れを抑制し、レーザ加工形状の精度が向上する。
また、本発明の装置および方法では、被加工物を変える毎に、真空引きを行う必要が無く、レーザ加工の効率が向上する。また、レーザ加工を行うための設備もシンプルであり、レーザ加工コストの低減にも寄与する。
好ましくは、前記レーザ発振器と前記結像光学系との間には、前記被加工物に照射されるレーザ光の照射形状を制御するためのマスクが配置してある。このような場合に、レーザ光の集光点が被加工物の手前の空間に存在することになり、本発明の作用効果を発揮することができる。
好ましくは、前記プラズマ抑制部材は、内部が減圧された前記分離空間を持ち、前記レーザ光の光軸に沿って延びている真空管を有する。減圧された分離空間内には、プラズマの発生源が少なく、プラズマの発生を抑制することができる。また、真空管は、容易に移動したり交換したりすることができる。なお、真空管における真空度は、いわゆる低真空レベルより低ければよい。
好ましくは、前記プラズマ抑制部材におけるレーザ光の入射面および出射面は、前記レーザ光の光軸に対して直角ではない。レーザ光の入射面および出射面で反射するレーザ光がレーザ発振器側に戻り、レーザ発振器を損傷させることなどを抑制するためである。
前記分離空間は、不活性ガスで満たされていてもよい。不活性ガスで満たされている分離空間においても、プラズマの発生源が少なく、プラズマの発生を抑制することができる。また、不活性ガスで満たすことで、分離空間と大気圧との差圧を小さくすることができ、プラズマ抑制部材の破損防止に寄与する。
前記プラズマ抑制部材には、前記分離空間の内部を排気することが可能な排気源が接続してあっても良い。分離空間は、密閉空間であっても良いし、排気が可能な空間であっても良い。
本発明に係るコイル部品の製造方法は、
絶縁被膜で覆われたワイヤを準備する工程と、
巻芯部を持ち当該巻芯部の両軸端にはそれぞれ第1鍔部および第2鍔部が設けられたコアを準備する工程と、
前記第1顎部に、前記ワイヤの第1端を仮止めする工程と、
前記ワイヤを前記巻芯部に巻回する工程と、
前記第2鍔部に、前記ワイヤの第2端を仮止めする工程と、
短パルスのレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光を、前記第1端および第2端の位置に照射して、前記絶縁被膜により覆われていないワイヤ芯線部分を形成する工程と、を有するコイル部品の製造方法であって、
レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光の集光点が、前記ワイヤが置かれる雰囲気とは分離されている分離空間に位置するように、前記分離空間を持つプラズマ抑制部材を、前記結像光学系と前記ワイヤとの間に配置することを特徴とする。
本発明に係るコイル部品の製造方法では、本発明に係るレーザ加工方法を用いてワイヤ端部における絶縁被膜を剥離するので、低コストで容易に多量のコイル部品を製造することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図、
図2は図1に示すレーザ加工装置の要部を示す概略図、
図3(A)および図3(B)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係るレーザ加工装置の要部を示す概略図、
図4(A)は二重巻型コイル部品の平面図、図4(B)はその正面図、
図5は本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造過程を示す要部斜視図、
図6(A)〜図6(E)はレーザ照射による絶縁被膜の剥離過程を示す原理図、
図7〜図9は図5の続きの工程を示す要部斜視図である。
第1実施形態
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置20は、極短パルスのレーザ光を出射するレーザ発振器22を有する。レーザ発振器22は、たとえばYAGレーザであり、照射されるパルスレーザの波長が1064nm、パルス幅が100nsec以下であって、好ましくは40nsec以下、さらに好ましくは10nsec以下、周波数が20Hz、照射エネルギー量が400mJ/cm±10%程度である。
レーザ発振器22から出射されたレーザ光は、光路側マスク23を通り、ダイクロイックミラー24へ至り、そこで反射されて、結像光学系の結像レンズ25に至る。結像レンズ25は、図2に示すように、レーザ光Lを被加工物Wの手前の集光点L0で集光させた後に、被加工物Wの表面に、光路側マスク23のマスクパターンを結像させて、レーザ光Lを照射させる。
図1に示すように、ワークWは、XYステージ26となどにより保持してあり、平面方向に移動可能になっている。また、ダイクロイックミラー24を挟んで結像レンズ25とは反対側には、観察光学系ミラー27が配置してあり、照明光源28からの照明光により観察されるレーザ照射位置の画像が、補正レンズ29、CCDカメラレンズ31およびTVリアコンパレータレンズ32を通して、CCDカメラ33にて撮像される。CCDカメラ33にて撮像されたレーザ照射位置の画像は、画像処理装置24にて処理され、モニタ35に表示される。
図2に示すように、結像レンズ25と被加工物Wとの間には、プラズマ抑制部材としての円筒状の真空ガラス管30が配置してある。真空ガラス管30の内部には、好ましくは絶対圧で0.1Pa以下に減圧された密閉分離空間が形成してある。
円筒状の真空ガラス管30の長手方向の長さX1は、特に限定されないが、たとえば150〜200mmである。また、円筒状の真空ガラス管30の長手方向の両端部には、入射面30aと出射面30bとが形成してある。入射面30aおよび出射面30bは、レーザ光Lを通過させるようになっており、好ましくは反射防止膜が被膜してある。これらの入射面30aおよび出射面30bは、たとえば円形であり、その外径は、レーザ光Lの幅よりも十分に大きく、たとえば25mm以上である。
円筒状の真空ガラス管30は、レーザ光Lの光軸Lxに沿って配置してあるが、その入射面30aおよび出射面30bは、レーザ光Lの光軸Lxに垂直な平面に対して、好ましくは2〜3度の角度で傾斜していることが好ましい。また、入射面30aおよび出射面30bは、ほぼ平行であることが好ましい。レーザ光Lの入射面30aおよび出射面30bで反射するレーザ光がレーザ発振器側に戻り、レーザ発振器22を損傷させることなどを抑制するためである。
本実施形態では、この真空ガラス管30は、結像レンズ25により収束されたレーザ光Lの集光点L0が真空ガラス管30の分離空間に位置するように、光軸Lxに沿って配置される。結像レンズ25と被加工物Wとの距離X2が約300mmである場合には、被加工物Wと集光点L0との距離X3は、距離X2の約半分である150mm程度となるように設定する。また、真空ガラス管30は、レーザ光Lの集光点L0が真空ガラス管30の長手方向の中心に近い位置するように配置されることが好ましい。
本実施形態では、図3(A)に示すように、真空ガラス管30の下端部をダウンフロー型のノズル50で覆うように構成しても良い。ノズル50の下端部に形成してある吹き出し口52から空気、または窒素ガスあるいはアルゴンガスなどの不活性ガスを吹き出し、被加工物Wの表面に吹き付け、被加工物Wにレーザ光Lが照射されて発生する粉塵などを吹き飛ばすようにしてもよい。なお、吹き出し口52は、レーザ光Lの通過を邪魔しない大きさである。
この実施形態では、被加工物Wの左側方上方にも、吹き出しノズル54を設け、被加工物Wの右側方上方に配置してある集塵ノズル56から粉塵などを吸引しても良い。
あるいは、図3(B)に示すように、真空ガラス管30と被加工物Wとの間に、集塵ダクト60を配置しても良い。この集塵ダクト60の上部には、透明なスパッタ保護用のガラス板62が配置してあり、被加工物Wの表面から飛び散るスパッタ物が真空ガラス管30の出射面30bに付着して汚すことを防止している。ガラス板62は、汚れたら集塵ダクト60から容易に交換することができる。
集塵ダクト60の内部でガラス板62の周囲には、すり鉢状の偏向板64が配置してあり、入口ノズル65から集塵ダクト60の内部に入り込む空気または不活性ガスの流れを下向きに偏向させるようになっている。ダクト60の下端部60aは開口してあり、ダクト60の内部を流れる空気または不活性ガスは、被加工物Wの表面に当たった後に、スパッタ物や粉塵などと共に排気ノズル66を通して排気される。なお、偏向板64は、レーザ光Lの通過を邪魔しないように配置してある。
本実施形態に係るレーザ加工装置20およびそれを用いたレーザ加工方法では、真空ガラス管30の内部である真空空間で、レーザ光Lが集光点L0を持つ。真空空間には、プラズマ発生源となるガスがないために、エネルギーが最も集中する集光点L0の部分でプラズマが発生することを抑制することができる。しかも、被加工物Wの表面を含む領域を低真空環境にする必要が無い。
そのため、被加工物Wの表面が平面ではなく曲面であったとしても、あるいは、被加工物Wが小さい場合であっても、単に、真空ガラス管30を結像レンズ25と被加工物Wとの間に配置するのみで、プラズマが発生することを抑制することができる。その結果として、発生したプラズマが、その後に出射されるレーザ光を部分的に遮光することが少なくなり、被加工物Wの表面でのレーザ光の照射形状の乱れを抑制し、レーザ加工形状の精度が向上する。
また、本発明の装置および方法では、被加工物Wを変える毎に、真空引きを行う必要が無く、レーザ加工の効率が向上する。また、レーザ加工を行うための設備もシンプルであり、レーザ加工コストの低減にも寄与する。
第2実施形態
まず、本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造方法により製造される一例としてのコイル部品について説明する。本実施形態のコイル部品は、たとえば電子機器の内部に装着され、ノイズを除去するためのコモンモードフィルタなどとして用いられる。
図4(A)および図4(B)に示すように、コイル部品2は、コア部材(芯材)としてのドラムコア4を有する。ドラムコア4は、フェライト材料で構成してある。ドラムコア4は、第1コイル部(第1巻回部)10および第2コイル部(第2巻回部)12をそれぞれ構成する第1ワイヤ10aおよび第2ワイヤ12aが、コア4の軸方向に沿って二重に巻回してある巻芯部4aを有する。
巻芯部4aの軸方向の両端である第1端部および第2端部には、それぞれ第1顎部4bおよび第2顎部4cが一体に形成してある。巻芯部4aの横断面は、たとえば長方形断面であるが、その他の形状であっても良い。第1顎部4bおよび第2顎部4cは、巻芯部4aの長方形断面よりも大きな長方形断面形状を有する。巻芯部4aの長方形断面寸法は、特に限定されないが、縦が0.8〜1.2mm、横が1.4〜2.0mm程度である。
図4(A)および図4(B)に示すように、第1顎部4bの中心軸に対して両側には、第1ワイヤ10aの第1端10bが接続される第1端子電極5と、第2ワイヤ12aの第1端12bが接続される第2端子電極6とが装着してある。また、第2顎部4cの中心軸に対して両側には、第1ワイヤ10aの第2端10cが接続される第3端子電極7と、第2ワイヤ12aの第2端12cが接続される第4端子電極8とが装着してある。ワイヤ10a,12aの端部と端子電極5〜8との接続(継線)は、後述するように、カシメ止め、熱融着、レーザ溶接および/またはハンダ付けなどにより行われる。
各コイル部10および12では、それぞれのワイヤ10aおよび12aが、単層または複数の層で巻回してある。この実施形態では、各コイル部10および12におけるワイヤ10aおよび12aの巻回数が同じであるが、巻回数を異ならせてもよい。
なお、ワイヤ10aおよび12aは、図5に示すように、導電性を有するワイヤ芯線11と、そのワイヤ芯線11の外周を覆っている絶縁性の絶縁被膜13とから成る。ワイヤ芯線11は、たとえば銅線で構成してあり、絶縁被膜13は、たとえばポリアミド樹脂あるいはポリイミド樹脂などで構成される。絶縁被膜13を含むワイヤ10aおよび12aの線径は、特に限定されないが、好ましくは50〜100μmである。絶縁被膜13の厚みは、特に限定されないが、一般には、10〜15μmである。
次に、図4(A)に示すコイル部品2の製造方法について説明する。
本実施形態では、まず、フェライト材料で構成してある所定形状のドラムコア4を準備する。その後、ドラムコア4の第1顎部4bをチャックさせ、ワイヤ供給ノズルから飛び出している第1ワイヤ10aの端部をワイヤ端部保持具により保持させる。
その位置で、第1端子電極5に一体に成形してある仮止め片42を折り曲げ、その仮止め片42により第1ワイヤ10aの第1端10bを第1端子電極5に対して仮止めする。
その後に、チャックをドラムコア4と共に回転させ、第1ワイヤ10aを巻芯部4aに巻き付ける。巻芯部4aへの第1ワイヤ10aの所定回数の巻き付けが終了した後、第1ワイヤ10aの第2端10cは、第3端子電極7に対して位置決めされる位置まで運ばれる。その位置で、第3端子電極7に一体に成形してある仮止め片42を折り曲げ、その仮止め片42により第1ワイヤ10aの第2端10cを第3端子電極7に対して仮止めする。
図4(A)および図4(B)に示す実施形態に係るコイル部品2では、巻芯部4aに、第1ワイヤ10aの他に、第2ワイヤ12aも巻回してある。第2ワイヤ12aに関しても、上述した第1ワイヤ10aと同様にして巻芯部4aに巻回することができ、同様にしてワイヤ端部が各端子電極6,8に対して仮止めされる。
なお、以下の説明では、第1ワイヤ10aのワイヤ被膜剥離方法について詳細に説明し、第2ワイヤ12aに関しては、第1ワイヤ10aのワイヤ被膜剥離方法と同様なので、その説明は省略する。
図5に示すように、第3端子電極7に一体に成形してある仮止め片42を折り曲げ、その仮止め片42により第1ワイヤ10aの第2端10cを第3端子電極7に対して仮止めした後、第1ワイヤ10aの第1端10bおよび第2端10cにレーザ光Lの照射を行う。
レーザ光Lの照射は、図1〜図3に示す第1実施形態に係るレーザ光の照射方法と同様である。すなわち図1に示す真空ガラス管30を用いており、被加工物としての第1ワイヤ10aの第1端10bの表面に、光路側マスク23のマスクパターンL1を結像させて照射している。第1ワイヤ10aの第2端10cに対しても同様である。レーザの照射時間は、一箇所に対しては40nsec以下であり、好ましくは1回のみ行われるが、場合によっては数回でも良い。
この場合に、レーザ光Lは、図6(A)に示すように、絶縁被膜13を透過してワイヤ芯線11の表面に照射されるため、ワイヤ芯線11の表面がレーザ光Lのエネルギーを吸収し、絶縁被膜13とワイヤ芯線11との間の界面が急激に温度上昇する。この温度上昇(常温から1000℃以上への温度変化)が極短時間で起こるため、界面の絶縁被膜13を構成する樹脂が化学変化し、溶融することなくガス化する。そのため、図6(B)に示すように、界面に無数の気泡15が発生する。
レーザ光Lが照射された箇所の温度上昇により、図6(C)に示すように気泡15が界面に沿って急激に体積膨張し、連続的にワイヤ芯線11の表面から絶縁被膜13を剥離していく。気泡15の体積膨張が進むと、絶縁被膜13が体積膨張に係る応力に耐えられなくなり、図6(D)に示すように、絶縁被膜13の気泡15を覆う箇所13aが破裂する。この気泡の発生から膨張および破裂までの過程は極短時間で行われるため、絶縁被膜13の気泡15を覆う箇所13aの破裂は衝撃を伴う。
したがって、絶縁被膜13は断片化された状態の破片13bとなりワイヤ芯線11の表面より飛散する。この時に飛散した絶縁被膜13の破片13bは、たとえば吸引ノズルで吸い取られる。
本実施形態に係る方法では、絶縁被膜13で覆われた第1ワイヤ10aの第1端10bおよび第2端10cにレーザ光Lを照射して、ワイヤ芯線11と絶縁被膜13との界面に気泡を発生させ、気泡を膨張させて被膜13を破裂させて飛散させる。そのため、絶縁被膜13を溶融せずにワイヤ芯線11より剥離することができる。したがって、絶縁被膜13の溶融カスや炭化物がワイヤ芯線11に残留することが防止される。
その結果、図7に示すように、仮止め片42を境界として、第1ワイヤ10aの第1端10bまたは第2端10cにおいて、金属面が全周に渡り完全に露出している芯線部分11aを得ることが可能になる。その後、図8に示すように、金属面が全周に渡り完全に露出している芯線部分11aに対して、第1端子電極5または第3端子電極7に一体化して形成してある接続片44を折り曲げる。
その後に、図9に示すように、接続片44に対して溶接用レーザ光を照射し、接続片44の溶融玉46を形成する。その結果、第1ワイヤ10aの芯線部分11aが第1端子電極5または第3端子電極7に対して良好に一体化され、継線工程が完了する。
本実施形態では、絶縁被膜13の溶融カスや炭化物がワイヤ芯線11に残留しないので、端子電極5または7に継線する際に、継線ミスが低減され、継線の作業性を向上させることができる。
また、本実施形態の方法では、第1実施形態と同様な作用効果を奏する。すなわち、図1に示す真空ガラス管30の内部である真空空間で、レーザ光Lが集光点L0を持つ。真空空間には、プラズマ発生源となるガスがないために、エネルギーが最も集中する集光点L0の部分でプラズマが発生することを抑制することができる。しかも、被加工物としてのワイヤ端部の表面を含む領域を低真空環境にする必要が無い。
そのため、コイル部品2が小さく、被加工物としてのワイヤ端部の表面が平面ではなくとも、単に、真空ガラス管30を結像レンズ25と被加工物Wとの間に配置するのみで、プラズマが発生することを有効に抑制することができる。その結果として、発生したプラズマが、その後に出射されるレーザ光を部分的に遮光することが少なくなり、ワイヤ端部表面でのレーザ光の照射形状の乱れを抑制し、レーザ加工形状の精度が向上する。
また、本実施形態の方法では、レーザが照射されるコイル端部を変える毎に、真空引きを行う必要が無く、レーザ加工の効率が向上する。また、レーザ加工を行うための設備もシンプルであり、レーザ加工コストの低減にも寄与する。その結果として、低コストで容易に多量のコイル部品を製造することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、図1および図2に示す真空ガラス管30の代わりに、同じ外部形状を有するガラス管であって、内部が不活性ガスで満たされているガラス管を配置しても良い。このガラス管であっても、内部には、プラズマの発生源が無く、プラズマの発生を抑制することができる。また、不活性ガスで満たすことで、ガラス管の内外での差圧を小さくすることができ、ガラス管の破損防止に寄与する。
また、図1および図2に示す真空ガラス管30の代わりに、同じ外部形状を有するガラス管であって、内部空間を排気することが可能な排気源が接続してあるガラス管を配置しても良い。内部空間を排気することで、常に新鮮な不活性ガスで満たすことが可能になる。あるいは、真空度の調節も可能である。
図1は本発明の一実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成図である。 図2は図1に示すレーザ加工装置の要部を示す概略図である。 図3(A)および図3(B)はそれぞれ本発明の他の実施形態に係るレーザ加工装置の要部を示す概略図である。 図4(A)は二重巻型コイル部品の平面図、図4(B)はその正面図である。 図5は本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造過程を示す要部斜視図である。 図6(A)〜図6(E)はレーザ照射による絶縁被膜の剥離過程を示す原理図である。 図7は図5の続きの工程を示す要部斜視図である。 図8は図7の続きの工程を示す要部斜視図である。 図9は図8の続きの工程を示す要部斜視図である。
符号の説明
2… コイル部品
4… ドラムコア
4a… 巻芯部
4b… 第1顎部
4c… 第2顎部
5〜8… 第1〜第4端子電極
10… 第1コイル部
10a… 第1ワイヤ
10b… 第1端
10c… 第2端
11… ワイヤ芯線
12… 第2コイル部
12a… 第2ワイヤ
12b… 第1端
12c… 第2端
13… 絶縁被膜
20… レーザ加工装置
22… レーザ発振器
23… マスク
25… 結像レンズ
30… 真空ガラス管
30a… 入射面
30b… 出射面
42… 仮止め片
44… 接続片
W… 被加工物

Claims (12)

  1. 短パルスのレーザ光を出射するレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器から出射された前記レーザ光を収束させる結像光学系と、
    前記結像光学系と被加工物との間に配置され、前記被加工物が置かれる雰囲気とは分離されている分離空間を内部に持ち、前記結像光学系により収束されたレーザ光の集光点が前記分離空間に位置するように配置されるプラズマ抑制部材と、を有するレーザ加工装置。
  2. 前記レーザ発振器と前記結像光学系との間には、前記被加工物に照射されるレーザ光の照射形状を制御するためのマスクが配置してある請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記プラズマ抑制部材は、内部が減圧された前記分離空間を持ち、前記レーザ光の光軸に沿って延びている真空管を有する請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記プラズマ抑制部材におけるレーザ光の入射面および出射面は、前記レーザ光の光軸に対して直角ではない請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  5. 前記分離空間は、不活性ガスで満たされている請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  6. 前記プラズマ抑制部材には、前記分離空間の内部を排気することが可能な排気源が接続してある請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ加工装置。
  7. レーザ発振器から短パルスのレーザを出射する工程と、
    前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光を被加工物に照射して被加工物を加工する工程とを有するレーザ加工方法であって、
    前記レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光の集光点が、前記被加工物が置かれる雰囲気とは分離されている分離空間に位置するように、前記分離空間を持つプラズマ抑制部材を前記結像光学系と被加工物との間に配置することを特徴とするレーザ加工方法。
  8. 前記レーザ発振器と前記結像光学系との間には、前記被加工物に照射されるレーザ光の照射形状を制御するためのマスクを配置する請求項7に記載のレーザ加工方法。
  9. 前記分離空間は減圧されている空間である請求項7または8に記載のレーザ加工方法。
  10. 絶縁被膜で覆われたワイヤを準備する工程と、
    巻芯部を持ち当該巻芯部の両軸端にはそれぞれ第1鍔部および第2鍔部が設けられたコアを準備する工程と、
    前記第1顎部に、前記ワイヤの第1端を仮止めする工程と、
    前記ワイヤを前記巻芯部に巻回する工程と、
    前記第2鍔部に、前記ワイヤの第2端を仮止めする工程と、
    短パルスのレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光を、前記第1端および第2端の位置に照射して、前記絶縁被膜により覆われていないワイヤ芯線部分を形成する工程と、を有するコイル部品の製造方法であって、
    レーザ発振器から出射されたレーザ光を結像光学系により収束させ、収束されたレーザ光の集光点が、前記ワイヤが置かれる雰囲気とは分離されている分離空間に位置するように、前記分離空間を持つプラズマ抑制部材を、前記結像光学系と前記ワイヤとの間に配置することを特徴とするコイル部品の製造方法。
  11. 前記レーザ発振器と前記結像光学系との間には、前記ワイヤに照射されるレーザ光の照射形状を制御するためのマスクを配置する請求項10に記載のコイル部品の製造方法。
  12. 前記分離空間は減圧されている空間である請求項10または11に記載のコイル部品の製造方法。
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