JP6168221B2 - 蒸着マスク材、蒸着マスク材の固定方法、及び有機半導体素子の製造方法 - Google Patents

蒸着マスク材、蒸着マスク材の固定方法、及び有機半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸着マスク材、蒸着マスク材の固定方法、及び有機半導体素子の製造方法に関する。
従来、有機EL素子の製造において、有機EL素子の有機層或いはカソード電極の形成には、例えば、蒸着すべき領域に多数の微細なスリットを微小間隔で平行に配列してなる金属から構成される蒸着マスクが使用されていた。この蒸着マスクを用いる場合、蒸着すべき基板表面に蒸着マスクを載置し、裏面から磁石を用いて保持させているが、スリットの剛性は極めて小さいことから、蒸着マスクを基板表面に保持する際にスリットにゆがみが生じやすく、高精細化或いはスリット長さが大となる製品の大型化の障害となっていた。
スリットのゆがみを防止するための蒸着マスクについては、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、複数の開口部を備えた第一金属マスクを兼ねるベースプレートと、前記開口部を覆う領域に多数の微細なスリットを備えた第二金属マスクと、第二金属マスクをスリットの長手方向に引っ張った状態でベースプレート上に位置させるマスク引張保持手段を備えた蒸着マスクが提案されている。すなわち、2種の金属マスクを組合せた蒸着マスクが提案されている。この蒸着マスクによれば、スリットにゆがみを生じさせることなくスリット精度を確保できるとされている。
ところで近時、有機EL素子を用いた製品の大型化或いは基板サイズの大型化にともない、蒸着マスクに対しても大型化の要請が高まりつつあり、金属から構成される蒸着マスクの製造に用いられる金属板も大型化している。しかしながら、現在の金属加工技術では、大型の金属板に、微細パターンを精度よく形成することは困難であり、たとえ上記特許文献1に提案されている方法などによってスリット部のゆがみを防止できたとしても、高精細化への対応はできない。また、金属のみからなる蒸着マスクとした場合には、大型化に伴いその質量も増大しフレームを含めた総質量も増大することから取り扱いに支障をきたすこととなる。
蒸着マスクを用いて、蒸着加工対象物に蒸着パターンを形成するに際しては、当該蒸着マスクは一般的に金属フレームに固定された状態で使用される。蒸着マスクを金属フレームに固定する手段としては、レーザー溶接、アーク溶接、電気抵抗溶接、電子ビーム溶接法などの従来公知の各種溶接法を用いた固定方法が一般的である。ここで、各種溶接法により固定される金属フレームと蒸着マスクとの固定強度が低い場合には、当該金属フレームに蒸着マスクが固定された金属フレーム一体型の蒸着マスクを用いて加工対象物に蒸着パターンを形成するに際し、金属フレームから蒸着マスクが浮いてしまう場合や、金属フレームから蒸着マスクがめくれてしまう場合などがある。金属フレームからの蒸着マスクの浮きや、めくれは、金属フレーム一体型の蒸着マスクを繰り返し使用するときの支障となるばかりか、当該金属フレーム一体型の蒸着マスクを用いた加工対象物への蒸着パターン精度が低下する等の問題を引き起こす。この点から、金属フレームと蒸着マスクとの固定強度を高めることは極めて重要であると考えられている。
特開2003−332057号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、かつ、金属フレームと強固に固定することができる蒸着マスク材、及びこの蒸着マスク材を金属フレームに強固に固定することができる固定方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、金属フレームと所定箇所において溶接される蒸着マスク材であって、前記蒸着マスク材は、スリットを有する金属マスクと、当該金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面に設けられた樹脂マスクと、を含み、前記樹脂マスクは、蒸着作成するパターンに対応する開口部を有し、前記金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面における、前記所定箇所に対応する部分の少なくとも一部には、前記樹脂マスクが存在していないことを特徴とする。
また、一実施形態の蒸着マスク材は、金属フレームと所定箇所において溶接される蒸着マスク材であって、前記蒸着マスク材は、スリットが設けられた金属マスクと、当該金属マスク上に設けられた樹脂層とを含み、前記所定箇所に対応する前記金属マスクの表面には、前記樹脂層が存在していないことを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の方法は、金属フレームと、蒸着マスク材とを所定箇所において溶接し、金属フレームに蒸着マスク材を固定する固定方法であって、スリットを有する金属マスクと、当該金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面に設けられた樹脂層と、を含む蒸着マスク材を準備する準備工程と、前記蒸着マスク材の前記金属マスクと、前記金属フレームとが対向するように前記蒸着マスク材と前記金属フレームとを重ね合わせ、前記蒸着マスク材の前記樹脂層側から溶接加工を施して、前記金属フレームと、前記蒸着マスク材の前記金属マスクと、を所定箇所において溶接する溶接工程と、を有し、前記溶接工程時における前記蒸着マスク材が、前記金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面における、前記所定箇所に対応する部分の少なくとも一部に前記樹脂層が存在していない蒸着マスク材であり、前記溶接工程に前後して、前記樹脂層に蒸着作成するパターンに対応する開口部を形成する工程を、さらに有することを特徴とする。
また、一実施形態の方法は、金属フレームと、蒸着マスク材とを所定箇所において溶接し、金属フレームに蒸着マスク材を固定する固定方法であって、スリットが設けられた金属マスクと、樹脂層とが積層されてなる蒸着マスク材を準備する準備工程と、前記蒸着マスク材の前記金属マスクと、前記金属フレームとが対向するように前記蒸着マスク材と前記金属フレームとを重ね合わせ、前記蒸着マスク材の前記樹脂層側から溶接加工を施して、前記金属フレームと、前記蒸着マスク材の前記金属板とを所定箇所において溶接する溶接工程と、を有し、前記溶接工程時における前記蒸着マスク材が、前記所定箇所に対応する前記金属マスクの表面に前記樹脂層が存在していない蒸着マスク材であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、有機半導体素子の製造方法であって、上記の固定方法により、前記金属フレームに固定されてなる前記蒸着マスク材を用いることを特徴とする。
本発明の蒸着マスク材によれば、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たす蒸着マスクを得ることができ、かつ、当該蒸着マスク材を金属フレームと強固に固定することができる。また、本発明の固定方法によれば、高精細化と軽量化の双方を満たすことのできる蒸着マスク材と金属フレームとを強固に固定することができる。
本発明の蒸着マスク材の一例を示す概略断面図である。 図1に示す蒸着マスク材と金属フレームとを固定化した状態の一例を示す概略断面図である。 本発明の蒸着マスク材の一例を示す概略断面図である。 図2に示す蒸着マスク材と金属フレームとを固定化した状態の一例を示す概略断面図である。 溶接用開口部の形状の一例を示す樹脂層の正面図であり、(a)は、溶接用開口部がスポット状に配置された例を示す樹脂層の正面図であり、(b)は、溶接用開口部がスリット状に配置された例を示す樹脂層の正面図である。 本発明の蒸着マスク材の一例を示す概略断面図であり、(a)は、図1に示す蒸着マスク材の樹脂層に開口部が形成された例を示す概略断面図であり、(b)は、図1に示す蒸着マスク材の樹脂層に開口部が形成された例を示す概略断面図である。 図6(a)、(b)の蒸着マスク材を金属マスク側から見た一例を示す正面図である。 本発明の固定方法を説明するためのフローチャートである。 溶接工程を説明するための概略断面図である。 シャドウと、金属マスクの厚みとの関係を示す概略断面図である。 レーザーの照射方向と、樹脂マスクの開口部の断面形状との関係を示す概略断面図である。
<<蒸着マスク材>>
本発明の蒸着マスク材100は、図1、図3に示すように、スリット15が設けられた金属マスク10と、金属マスク10上に設けられた樹脂層20とを含む。ここで、本発明の蒸着マスク材100の質量と、従来公知の金属のみから構成される蒸着マスク材の質量とを、蒸着マスク材全体の厚みが同一であると仮定して比較すると、従来公知の蒸着マスク材の金属材料の一部を樹脂材料に置き換えた分だけ、本発明の蒸着マスク材100の質量は軽くなる。また、金属のみから構成される蒸着マスク材を用いて、軽量化を図るためには、当該蒸着マスク材の厚みを薄くする必要などがあるが、蒸着マスク材の厚みを薄くした場合には、蒸着マスク材を大型化した際に、蒸着マスク材に歪みが発生する場合や、耐久性が低下する場合が起こる。一方、本発明の蒸着マスク材によれば、大型化したときの歪みや、耐久性を満足させるべく、蒸着マスク材全体の厚みを厚くしていった場合であっても、樹脂層20の存在によって、金属のみから形成される蒸着マスク材よりも軽量化を図ることができる。
また、樹脂層を構成する樹脂材料は、金属材料と比較して高精細な加工を行うことができる性質を有する。したがって、本発明の蒸着マスク材100によれば、軽量化を図りつつも、樹脂層20に蒸着作製するパターンに対応した高精細な開口部を設けることで、蒸着加工対象物(以下、単に加工対象物という場合がある。)に高精細な蒸着パターンを形成することができる。なお、本願明細書において蒸着作製するパターンとは、本発明の蒸着マスク材を用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスク材を有機EL素子の有機層の形成に用いる場合には、蒸着パターンは当該有機層の形状である。
本発明の蒸着マスク材100の金属マスク10は、各種の溶接法を用いて、金属フレームと所定の溶接加工位置において溶接され、最終的には、金属フレームに本発明の蒸着マスク材100が固定された状態で使用される。
金属フレームの厚みは、通常蒸着マスク材100の厚みと比較して非常に厚いものである。したがって、金属フレームと、本発明の蒸着マスク材100の金属マスク10とが対向するように重ね合わせ、金属フレーム側から溶接加工を行った場合には、溶接時のエネルギーを、金属フレームを介して、蒸着マスク材側の所定箇所に伝えることができず、金属フレームと金属マスク10とを所定箇所において十分な固定強度をもって溶接固定することができない。したがって、金属フレームと、蒸着マスク材100の金属マスク10とを溶接法を用いて固定する場合には、蒸着マスク材100側から溶接加工を行う必要がある。
ここで、本発明の蒸着マスク材100は、金属フレームと溶接固定される所定の溶接箇所において、当該所定の溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在していない点を更に特徴とする。換言すれば、所定の溶接箇所に対応する金属マスク10の表面が露出している点を特徴とする。金属フレームに蒸着マスク材100の金属マスクを溶接固定する溶接法としては、例えば、レーザー溶接法、電子ビーム溶接法、電気抵抗溶接法、アーク溶接法等が挙げることができる。
本発明の蒸着マスク材100の上記特徴に基づく効果について、所定の溶接箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在している場合(以下、この場合を「比較の構成」という。)と比較して説明する。
例えば、溶接法として、レーザー溶接法や、電子ビーム溶接法を用いて所定の溶接箇所において金属フレームに蒸着マスク材100の金属マスク10を溶接固定する場合において、当該蒸着マスク材が、上記「比較の構成」をとっている場合には、溶接加工時において樹脂層20がレーザー光や、電子ビームのエネルギーを吸収してしまう。つまり、上記「比較の構成」では、金属フレームと、蒸着マスク材の金属マスク10とを充分な強度で固定することができない。
また、上記「比較の構成」において、金属フレームと蒸着マスク材100の金属マスク10とを所定箇所において充分な強度で固定すべく、樹脂層20側から、当該金属マスク10の表面に存在している樹脂層20にレーザー光等による過剰なエネルギーを加えた場合には、樹脂層20に反りや、撓み等の変形が生じてしまい、当該蒸着マスク材の樹脂層20に高精細なパターンの形成を行うことができなくなる。また、予め蒸着作製するパターンに対応した開口部が設けられた樹脂層20を用いた場合には、樹脂層20の変形によって開口部の寸法精度が低下する。
また、樹脂層20は絶縁体であることから、所定の溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在している上記「比較の構成」においては、通電を行うことができず、電気抵抗溶接によって、金属フレームと、蒸着マスク材100の金属マスク10とを所定の溶接箇所で溶接固定することができない。アーク溶接法についても同様のことがいえる。
本発明の蒸着マスク材100は、所定の溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在していない構成をとる。したがって、レーザー溶接法などの溶接法を用いる場合には、樹脂層20を介することなくレーザー光のエネルギーをダイレクトに金属マスク10に伝えることができる。これにより、十分な強度をもって、金属フレームと蒸着マスク材とを溶接固定することができる。換言すれば、樹脂層20にレーザー光等のエネルギーが吸収されることなく、金属フレームと蒸着マスク材100の金属マスク10とを充分な強度で溶接固定することができる。また、所定の溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在していない本発明の蒸着マスク材100によれば、所定の溶接箇所における通電が可能となることから、電気抵抗溶接法を用いて、所定の溶接箇所において、金属フレームに蒸着マスク材100の金属マスク10を固定することができる。
なお、本願明細書において、溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在していないとは、溶接箇所に対応する金属マスクの表面の全てに、樹脂層20が存在していないことを意味するものではなく、溶接箇所に対応する金属マスクの表面の一部に樹脂層20が存在していてもよい。換言すれば、溶接箇所に対応する金属マスクの表面の一部に樹脂層20が存在していない部分があればよい。溶接箇所に対応する金属マスクの表面の一部に樹脂層20が存在していない部分を有する本発明によれば、樹脂層20が存在していない部分を有している分だけ、溶接時のエネルギーが吸収されてしまうことを抑制することができる。なお、溶接固定強度の更なる向上を図るためには、溶接箇所に対応する金属マスクの表面に存在する樹脂層20の割合は可能な限り少ないことが好ましく、溶接箇所に対応する金属マスクの表面の全てに樹脂層20が存在していないことが好ましい。
以下、本発明の蒸着マスク材100の実施形態について図面を用いて具体的に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の蒸着マスク材100は、図1に示すようにスリット15が設けられた金属マスク10の外周縁部を残すように当該金属マスク10上に樹脂層20が設けられた構成をとる。当該構成の蒸着マスク材100によれば、図2に示すように、樹脂層20が存在していない外周縁部の全部、又は図2中の符号Xで示される一部の領域において、第1実施形態の蒸着マスク材100の金属マスク10と、金属フレーム200とは溶接固定される。なお、図1は、第1実施形態の蒸着マスク材100の一例を示す概略断面図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク材100と、金属フレーム200とを図2中の符号Xで示される所定の溶接箇所で溶接固定した状態を示す概略断面図である。
金属マスク10の表面において樹脂層20を存在させない箇所、換言すれば、金属マスク10と金属フレーム200とを溶接固定する箇所について特に限定はないが、樹脂層20が存在しない箇所は、少なくとも、金属フレーム200と、蒸着マスク材100の金属マスク10とが対向するように重ね合わせたときに、蒸着マスク材100の、金属フレーム200と接しない側の面の一部に存在している。例えば、図2に示すように、金属マスク10の幅よりも狭い幅の樹脂層20を、金属マスク10上の外周部が露出するように積層することで、金属マスク10の表面に樹脂層が存在していない箇所を形成することができる。また、図2に示す形態では、金属マスク10上に樹脂層が存在していない領域の幅は、金属フレームの幅よりも狭い幅となっているがこれに限定されることはなく金属フレームの幅と同一の幅となっていてもよく、金属フレームの幅よりも広い幅となっていてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の蒸着マスク材100は、図3に示すようにスリット15が設けられた金属マスク10上に樹脂層20が設けられた構成をとり、さらに、樹脂層20が溶接用開口部30を備えた構成をとる。当該構成の蒸着マスク材100によれば、溶接用開口部30内に溶接加工を施すことで、図4中の符号Xに示されるように当該溶接加工を施された箇所において、蒸着マスク材100の金属マスク10と、金属フレーム200とが溶接固定される。
溶接用開口部30の形成位置について特に限定はないが、溶接用開口部30は、少なくとも、金属フレーム200と、蒸着マスク材100の金属マスク10とが対向するように重ね合わせたときに、金属フレーム200と金属マスク10とが接する表面の一部に設けられている。
溶接用開口部30の形状についても特に限定はなく、図5(a)に示すように、溶接用開口部30が所定の間隔をあけて縦横にスポット状に配置されていてもよく、図5(b)に示すように縦方向、横方向に連続するスリット状に配置されていてもよい。また図示しないが、横方向に連続するスリットと、縦方向に連続するスリットがそれぞれ独立した溶接用開口部としてもよい。なお、図5は、溶接用開口部30が配置された樹脂層20の正面図であり、溶接用開口部30によって金属マスク10の表面の一部が露出している。
溶接用開口部30の幅についても特に限定はなく、最終的に金属フレームと、金属マスク10とが溶接固定される溶接幅に応じて適宜設定すればよい。換言すれば、金属フレームと、金属マスクとを溶接固定したときの溶接痕の幅に応じて適宜設定すればよい。なお、一般的な溶接幅は、0.1mm〜1.0mm程度であることから、溶接用開口部30の幅は、1.0mm以上としておくことが好ましい。
次に、本発明の蒸着マスク材100の各構成について説明する。
(金属マスク)
金属マスク10は、金属から構成され、図7(a)、(b)に示すように該金属マスク10の正面からみたときに、縦方向或いは横方向に延びるスリット15が配置されている。図7では、金属マスク10の縦方向に延びるスリット15が横方向に連続して配置されている。縦方向或いは横方向に延びるスリットは図7に示すように複数列配置されていてもよく、1列のみ配置されていてもよい。また、蒸着マスク材100の樹脂層20に最終的に形成される開口部25は、スリット15と重なる位置に1つ設けられていてもよく、縦方向、或いは横方向に複数設けられていてもよい。例えば、図7(b)に示すように、スリットが縦方向に延びる場合に、当該スリット15と重なる開口部25は横方向に2つ以上設けられていてもよい。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
また、本発明の蒸着マスク材100を用いて、加工対象物へ蒸着を行うにあたり、加工対象物後方に磁石等を配置して加工対象物前方の蒸着マスク材100を磁力によって引きつけることが必要な場合には、金属マスク10を磁性体で形成することが好ましい。磁性体の金属マスク10としては、純鉄、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼、Cunico鋼、Al−Fe合金等を挙げることができる。また、金属マスク10を形成する材料そのものが磁性体でない場合には、当該材料に上記磁性体の粉末を分散させることにより金属マスク10に磁性を付与してもよい。
金属マスク10の厚みについても特に限定はないが、5μm〜100μm程度であることが好ましい。蒸着時におけるシャドウの防止を考慮した場合、金属マスク10の厚さは薄い方が好ましいが、5μmより薄くした場合、破断や変形のリスクが高まるとともにハンドリングが困難となる可能性がある。ただし、本発明では、金属マスク10は樹脂層20と一体化されていることから、金属マスク10の厚さが5μmと非常に薄い場合であっても、破断や変形のリスクを低減させることができ、5μm以上であれば使用可能である。なお、100μmより厚くした場合には、シャドウの発生が生じ得るため好ましくない。
本願明細書でいうシャドウとは、本発明の製造方法で得られる蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンの形成を行ったときに、蒸着対象物上に蒸着形成されるパターンに不十分な蒸着部分、つまり目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる蒸着部分が生ずる現象のことを言う。以下、図10(a)〜図10(c)を用いてシャドウの発生と、金属マスク10の厚みとの関係について具体的に説明する。なお、説明の便宜上、図10では、樹脂層20に開口部25が設けられた構成をとっている。図10(a)に示すように、金属マスク10の厚みが薄い場合には、蒸着源から蒸着対象物に向かって放出される蒸着材は、金属マスク10のスリット15の内壁面や、金属マスク10の樹脂層20が設けられていない側の表面に衝突することなく金属マスク10のスリット15、及び樹脂層20の開口部25を通過して蒸着対象物へ到達する。これにより、蒸着対象物上へ、均一な膜厚での蒸着パターンの形成が可能となる。つまりシャドウの発生を防止することができる。一方、図10(b)に示すように、金属マスク10の厚みが厚い場合、例えば、金属マスク10の厚みが100μmを超える厚みである場合には、蒸着源から放出された蒸着材の一部は、金属マスク10のスリット15の内壁面や、金属マスク10の樹脂層20が形成されていない側の表面に衝突し、蒸着対象物へ到達することができない。蒸着対象物へ到達することができない蒸着材が多くなるほど、蒸着対象物に目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる、シャドウが発生することとなる。
シャドウ発生を十分に防止するには、図10(c)に示すように、スリット15の断面形状を、蒸着源に向かって広がりをもつような形状とすることが好ましい。より具体的には、金属マスク10のスリット15における下底先端と、同じく金属マスク10のスリット15における上底先端を結んだ直線と金属マスク10の底面とのなす角度が25°〜65°の範囲内であることが好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。このような断面形状とすることで、蒸着マスク材100に生じうる歪みの防止、或いは耐久性の向上を目的として、金属マスク10の厚みを比較的厚くした場合であっても、蒸着源から放出された蒸着材が、スリット15の当該表面や、内壁面に衝突等することなく、蒸着材を蒸着対象物へ到達させることができる。これにより、シャドウ発生をより効果的に防止することができる。なお、図10は、シャドウの発生と金属マスク10のスリット15との関係を説明するための部分概略断面図である。
図10(c)に示すスリット15の形成方法について特に限定はないが、金属マスク10の樹脂層20が設けられていない側から、エッチング加工、或いはレーザー加工を施すことが好ましい。エッチング加工法は、エッチング材の進行方向に向かって、換言すればエッチングの深さ方向に向かって、幅方向のエッチング量が減少していくといった性質を有する。したがって、金属マスク10の樹脂層が設けられていない側からエッチング加工を行うことで、図10(c)に示すようにスリット15の断面形状を蒸着源側に向かって広がりをもつ形状とすることができる。また、当該方向からレーザー加工を施した場合には、レーザーのエネルギーの減衰を利用して、図10(c)に示すようにスリット15の断面形状を蒸着源側に向かって広がりをもつ形状とすることができる。
(樹脂層)
金属マスク10上に設けられた樹脂層20は、樹脂から構成される層である。樹脂層を構成する層としては、レーザー加工等によって高精細な開口部の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、その熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。
本実施形態における樹脂層20の厚みについても特に限定はないが、樹脂層20に開口部が設けられた本発明の蒸着マスク材100、或いは本発明の蒸着マスク材100の樹脂層20に開口部を設けたものを用いた蒸着時にシャドウが生じることを防止するためには、上記金属マスク10の厚みと同様の理由により、樹脂層20の厚みは可能な限り薄いことが好ましい。しかしながら、樹脂層20の厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。一方で、金属マスク10の厚みによっては、樹脂層20の厚みが25μmを超えると、当該樹脂層20に開口部25が設けられた蒸着マスク材100を用いた蒸着時にシャドウの発生が生じ得る。この点を考慮すると樹脂層20の厚みは3μm以上25μm以下であることが好ましい。樹脂層20の厚みをこの範囲内とすることで、ピンホール等の欠陥や変形等のリスクを低減でき、かつシャドウの発生を効果的に防止することができる。なお、本発明の蒸着マスク材100において、金属マスク10と樹脂層20とは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して金属マスク10と樹脂層20とが接合される場合には、上記シャドウの点を考慮して、樹脂層20と粘着剤層との合計の厚みが3μm〜25μmの範囲内となるように設定することが好ましい。
また、上記第1実施形態、第2実施形態の蒸着マスク材100において、樹脂層20には縦方向、或いは横方向にのびる溝が形成されていることが好ましい。当該溝を形成することで樹脂層の膨張を吸収することができ、樹脂層の各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂層が全体として所定の方向に膨張して樹脂層20に設けられた開口部の寸法や位置が変化することを防止することができる。
溝の深さやその幅については特に限定はないが、溝の深さが深すぎる場合や、幅が広すぎる場合には、樹脂層20の剛性が低下する傾向にあることから、この点を考慮して設定することが必要である。また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、加工方法などを考慮して任意に選択すればよい。
以上、蒸着マスク材100として、樹脂層20に開口部が設けられていない例を中心に説明を行ったが、本発明の蒸着マスク材100を、蒸着マスクとして用いるためには、樹脂層20に蒸着パターンに対応する開口部を有していることが必要となる。図6、図7に示すように、本発明の蒸着マスク材100は、蒸着作製するパターンに対応した開口部25が予め設けられた樹脂層20を備えるものであってもよい。なお、図6(a)は、開口部25が設けられた樹脂層20を備え、上記第1実施形態をとる蒸着マスク材100の概略断面図であり、図6(b)は、開口部25が設けられた樹脂層20を備え、上記第2実施形態の構成をとる蒸着マスク材100の概略断面図である。
図6(a)、(b)に示す形態における開口部25の形状、大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに対応する形状、大きさであればよい。また、隣接する開口部25の横方向のピッチや、縦方向のピッチについても蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。
開口部25の断面形状についても特に限定はなく、図6(a)、(b)に示すように開口部25の向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図11(a)に示すように、その断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。より具体的には、樹脂層20の開口部における下底先端と、同じく樹脂層20の開口部における上底先端を結んだ角度が25°〜65°の範囲内であることが好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。上記金属マスク10のスリット15の断面形状と同様の理由により、開口部25の断面形状を当該形状とすることにより、本発明の蒸着マスク材100を用いて蒸着を行ったときに、蒸着作成するパターンにシャドウが生じることを防止することができる。また、開口部25を形成する端面は直線形状を呈していてもよく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。また、階段状になっていてもよい。
開口部25の形成方法について特に限定はなく、例えば、レーザーを照射して開口部25を形成する方法、エッチング加工によって開口部25を形成する方法、物理的な手段、例えば、カッター等を用いて開口部25を形成する方法等を挙げることができる。中でも、レーザーを照射によれば、高精細な開口部25を容易に形成することができる点で好ましい。レーザー装置については特に限定されることはなく、従来公知のレーザー装置を用いればよい。また、エッチング加工によって開口部25を形成する場合には、樹脂層20の樹脂を侵食除去可能なエッチング材を用いればよい。例えば、樹脂層20の樹脂材料としてポリイミド樹脂を用いる場合には、エッチング材として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを溶解させたアルカリ水溶液、ヒドラジン等を用いることができる。エッチング材は市販品をそのまま使用することもでき、ポリイミド樹脂のエッチング材としては、東レエンジニアリング(株)製のTPE3000などが使用可能である。
レーザー照射によって開口部25を形成するにあたっては、開口部25の断面形状が図11(a)に示される形状となるように、各種条件、たとえば、レーザーの照射方向、レーザー出力や、レーザー照射領域を設定することが好ましい。
また、レーザーの照射はスリット15の樹脂層20が形成されていない側から行うことが好ましい。この方向からレーザーの照射を行うことで、レーザーのエネルギーの減衰を利用して、図11(a)に示すように、蒸着源側に向かって広がりを持つ断面形状とすることができる。一方、スリット15の樹脂層が形成されている側からレーザー照射を行った場合には、図11(b)に示すように、蒸着源側に向かって狭くなる断面形状になりやすく、シャドウの発生を効果的に防止することが難しくなる。なお、この方向からレーザー照射を行う場合には、図11(a)に示す形状となるよう、レーザーの照射位置や、レーザーの照射エネルギーを適宜調整する、或いは照射位置を段階的に変化させる多段階のレーザー照射を行うことが好ましい。また、エッチング材の進行方向に向かって、幅方向のエッチング量が減少していくといったエッチング加工の性質を利用して、スリット15の樹脂層が形成されていない側からエッチング加工を行うことで、開口部の断面形状を図11(a)に示す断面形状の開口部25とすることもできる。
また、図6(a)、(b)に示す形態の蒸着マスク材100において、図7に示すように、金属マスク10のスリット15から見える樹脂層20に形成された開口部25を横方向に互い違いに設けてもよい。つまり、横方向に隣り合う開口部25を縦方向にずらして設けてもよい。開口部25をこのように設けることにより、樹脂層20が熱膨張した場合にあっても、各所において生じる膨張を開口部25によって吸収することができ、膨張が累積して大きな変形が生じることを防止することができる。なお、図7は、図6(a)、(b)に示すに示す形態の蒸着マスク材100を、金属マスク10側から見た正面図である。
また、樹脂層20に形成される開口部25は、1画素に対応させる必要はなく、例えば2画素〜10画素をまとめて一つの開口部25としてもよい。
(蒸着マスク材の製造方法)
本発明の蒸着マスク材100の製造方法についても特に限定はなく、最終的な形態が、上記で説明した第1実施形態、或いは第2実施形態の蒸着マスク材100の構成をとっていればよい。
第1実施形態の蒸着マスク材は、例えば、(A1)未加工の金属板上に、当該未加工の金属板の外周縁部に対応する表面が露出するように、樹脂層を構成する樹脂を含む樹脂板を貼り合わせる、或いは樹脂層を構成する樹脂を適当な溶媒に分散ないし溶解した塗工液を従来公知の塗工方法を用いて塗工・乾燥することで未加工の金属板上に樹脂層20が設けられた積層体を形成する。
次いで、(A2)積層体の表面にポジ型レジスト材を塗工し、スリット15に対応するスリットパターンが形成されたマスクを用いて当該ポジ型レジスト材をマスキングして、金属板の樹脂層20が設けられていない側の面を露光、現像することでレジストパターンを形成する。次いで、(A3)当該レジストパターンを耐エッチングマスクとして用い、金属板のみをエッチング加工し、エッチング終了後にレジストパターンを洗浄除去することで、図1に示すように、スリット15が設けられた金属マスク10上に、当該金属マスクの外周縁部を残すように樹脂層20が設けられた蒸着マスク材100が製造される。なお、ポジ型レジスト材としては処理性が良く、所望の解像性があるものを用いることが好ましい。また、エッチング加工の際に用いるエッチング材については、特に限定されることはなく、公知のエッチング材を適宜選択すればよい。また、ポジ型レジスト材にかえて、ネガ型レジスト材を用いることもできる。スリット15の断面形状としては、上記で説明したように図10(c)に示すように蒸着源側に向かって広がりをもつ断面形状であることが好ましい。
エッチング加工の方法についても特に限定はなく、例えば、エッチング材を噴射ノズルから所定の噴霧圧力で噴霧するスプレーエッチング法、エッチング材が充填されたエッチング液中に浸漬する浸漬エッチング法、金属板を回転台にとりつけて、エッチング材を滴下するスピンエッチング法等のウェットエッチング法や、ガス、プラズマ等を利用したドライエッチング法を用いることができる。エッチング材についても特に限定はなく、金属材料を侵食除去することができる従来公知のエッチング材を適宜選択して用いることができる。例えば、ウェットエッチングに用いられるエッチング材としては、弗酸等を挙げることができる。ドライエッチングに用いられるエッチング材としては、四フッ化炭素などのガスを挙げることができる。
この方法にかえて、予めスリット15が設けられた金属マスク10上に、樹脂層20となる樹脂板を、金属マスク10の外周縁部を残すように貼り合わせることによっても第1実施形態の蒸着マスク材100を製造することができる。
また、金属板、或いは予めスリット15が設けられた金属マスク10上の全面に、樹脂板を貼り合わせる、又は樹脂の塗工層を形成し、金属板、或いは金属マスク10の外周縁部に対応する表面が露出するように、不要な部分の樹脂材料を除去することによっても製造可能である。
第2実施形態の蒸着マスク材は、例えば、(B1)未加工の金属板上に、当該未加工の金属板の一方の面に樹脂層を構成する樹脂を含む樹脂板を貼り合わせる、或いは樹脂層を構成する樹脂を適当な溶媒に分散ないし溶解した塗工液を従来公知の塗工方法を用いて塗工・乾燥することで未加工の金属板上に樹脂の塗工層が設けられた積層体を形成する。
次いで、(B2)積層体の表面にポジ型レジスト材を塗工し、スリット15に対応するスリットパターンが形成されたマスクを用いて当該ポジ型レジスト材をマスキングして、金属板の樹脂の塗工層が設けられていない側の面を露光、現像することでレジストパターンを形成する。次いで、(B3)当該レジストパターンを耐エッチングマスクとして用い、金属板のみをエッチング加工し、エッチング終了後にレジストパターンを洗浄除去することで、金属マスク10を形成する。
次いで、(B4)樹脂の塗工層上から、所定の箇所にレーザー光を照射して溶接用開口部を形成することで、スリット15が設けられた金属マスク10上に、溶接用開口部30が形成された樹脂層20を有する蒸着マスク材100が製造される。なお、レーザー光を照射する溶接用開口部の形成にかえて、エッチング加工法を用いて溶接用開口部を形成することもできる。
また、この方法にかえて、予めスリット15が設けられた金属マスク10上に、樹脂層前駆体となる樹脂板を貼り合わせ、当該樹脂層前駆体に、レーザー光の照射、或いはエッチング加工法を用いて溶接用開口部30を形成することによっても、第2実施形態の蒸着マスク材100を製造することができる。
<<蒸着マスク材の固定方法>>
次に、本発明の蒸着マスク材の固定方法(以下、本発明の固定方法という)について説明する。図8は、本発明の固定方法を説明するフローチャートである。図8に示すように、本発明の固定方法は、金属フレームと、蒸着マスク材とを所定箇所において溶接し、金属フレームに蒸着マスク材を固定する固定方法であって、スリットが設けられた金属マスクと、樹脂層とが積層されてなる蒸着マスク材を準備する準備工程(S1)と、蒸着マスク材の金属マスクと、金属フレームとが対向するように蒸着マスク材と金属フレームとを重ね合わせ、蒸着マスク材の樹脂層側から溶接加工を施して、金属フレームと、蒸着マスク材の金属板とを所定箇所において溶接する溶接工程と(S2)、を有し、更に溶接工程時における蒸着マスク材が、所定箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在していない蒸着マスク材であることを特徴とする。以下、各工程について具体的に説明する。
(準備工程)
準備工程(S1)は、スリットが設けられた金属マスクと、樹脂層とが積層されてなる蒸着マスク材を準備する工程である。
本工程で準備される蒸着マスク材は、上記本発明で説明した蒸着マスク材100をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。なお、上記で説明した本発明の蒸着マスク材100は、溶接箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在していない蒸着マスク材であるが、本発明の固定方法は、溶接工程時に、金属フレーム200との溶接箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在していない蒸着マスク材となっていればよく、当該準備工程では、溶接箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在していてもよい。
(樹脂層除去工程)
本工程は、上記準備工程で準備される蒸着マスク材が、溶接箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層が存在している場合に、当該溶接箇所に対応する樹脂層を除去する工程である。したがって、上記準備工程で準備される蒸着マスク材が、上記本発明の蒸着マスク材100である場合には、当該工程は不要である。
溶接箇所に対応する樹脂層の除去方法について特に限定はなく、レーザー加工法や、エッチング加工法等を用いて樹脂層を除去することができる。
(溶接工程)
溶接工程(S2)は、図9に示すように、蒸着マスク材100の金属マスク10と、金属フレーム200とが対向するように蒸着マスク材100と金属フレーム200とを重ね合わせ、樹脂層20側から溶接加工を施して、金属フレーム200と、蒸着マスク材100の金属マスク10とを所定の溶接箇所において溶接する工程である。なお、本発明の固定方法では、溶接工程時に、所定箇所に対応する金属マスクの表面に樹脂層20が存在していない蒸着マスク材100が用いられる。本発明の固定方法において、溶接加工が施される所定の溶接箇所とは、樹脂層20が存在していない金属マスク10の表面の一部である。なお、図9(a)は、溶接箇所に対応する金属マスク10の表面に樹脂層20が存在していない蒸着マスク材100と、金属フレームとを重ね合わせた状態を示す概略断面図である。図9(b)は、溶接法としてレーザー溶接法を用い、樹脂層20が存在していない金属マスク10の表面にレーザー光を照射することで、図9(b)の符号Xで示される所定箇所において、金属マスク10と金属フレーム200とが溶接固定された状態を示す概略断面図である。
本工程では、樹脂層20が存在していない領域に対して溶接加工が施されることから、いずれの溶接法を用いて金属フレーム200と蒸着マスク材100の金属マスク10とを溶接固定する場合であっても、高い強度をもって、金属マスク10と、金属フレーム200とを所定箇所で溶接固定することができる。また、本発明の固定方法では、樹脂層20が存在していない領域に対して溶接加工が施されることから、金属マスク10上に設けられている樹脂層20にダメージを与えることなく、金属フレーム200と、蒸着マスク材10との溶接固定を行うことができる。これにより、蒸着マスク材100の樹脂層20の変形を抑制することができる。
本工程で用いられる金属フレーム200は、略矩形形状の枠部材であり、樹脂層20に最終的に形成される開口部を露出させるための開口205を有する。具体的には、図6に示す開口部25の全てを露出させるための開口205を有する。金属フレーム200の材料について特に限定はないが、剛性が大きい金属材料、例えば、SUSや、インバー材などが好適である。
金属フレームの厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から3mm〜30mm程度であることが好ましい。金属フレームの開口の内周端面と、金属フレームの外周端面間の幅は、当該金属フレームと、蒸着マスク材の金属マスク10とを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm〜100mm程度の幅を例示することができる。
金属フレームの開口の内周面間の幅、及び当該金属フレームの外周端面間の幅についても特に限定はないが、金属フレームにおける開口の内周面横方向間の幅は蒸着マスク材の金属マスクの横方向の幅よりも小さい幅となっている。同様に、金属フレームにおける開口の内周面縦方向間の幅は蒸着マスク材の金属マスクの縦方向の幅よりも小さい幅となっている。金属フレームの横方向端面間の幅について特に限定はない。
本工程で行われる溶接の方法についても特に限定はなく、レーザー溶接法、電子ビーム溶接法、シーム溶接等の電気抵抗溶接法、MIG,TIG,MAG等のアーク溶接法、等の従来公知の溶接法を適宜選択して用いることができる。以下、レーザー溶接法を用いた場合を例に挙げて説明する。
レーザー光を照射するレーザー装置については特に限定されることはなく、従来公知のレーザー装置を用いることができる。レーザー光の照射条件についても特に限定はなく、金属マスク10の材料等に応じて適宜選択可能である。一例としては、波長1064nmのYAGレーザーを用い、エネルギー1J/cm2、溶接痕0.5mm〜1mm程度の条件等を挙げることができる。
本発明の固定方法では、金属フレーム200に蒸着マスク材100が固定された金属フレーム一体型の蒸着マスク材が得られる。この金属フレーム一体型の蒸着マスク材を、実際に蒸着マスクとして用いるためには、樹脂層20には、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25が設けられていることが必要となる。なお、本発明の固定方法は、樹脂層20が開口部25を有しているか否かについて何ら限定されることはなく、実際に蒸着マスクとして使用する段階で、樹脂層20に開口部25を形成すればよい。つまり、蒸着マスク材の樹脂層20における開口部25の形成は任意である。
開口部25は、本発明の固定方法における準備工程の段階で既に形成されていてもよく、本発明の固定方法の各工程間、或いは工程後に形成してもよい。例えば、上記準備工程で準備される蒸着マスク材100が、図6に示すように予め開口部25が設けられた樹脂層20を備える蒸着マスク材であってもよい。また、本発明の固定方法により金属フレームと蒸着マスク材が溶接されてなる金属フレーム一体型の蒸着のマスク材を形成し、その後、レーザー加工法、エッチング加工法、或いは物理的な加工法を用いて、樹脂層20に蒸着作製するパターンに対応した開口部を形成してもよい。また、上記で説明したように、レーザー加工法によって開口部25を形成する場合には、スリット15の樹脂層20が設けられていない側からレーザー照射を行うことが好ましい。エッチング加工法を用いる場合には、スリット15の樹脂層20が設けられていない側からエッチング加工を行い、樹脂層20に開口部25を形成することが好ましい。
以上説明した蒸着マスク材の用途について限定されることはないが、高精細な蒸着膜の形成が要求される分野、例えば、有機EL素子の有機層や、カソード電極の形成、有機半導体の形成等の用途に用いられる蒸着マスク材として好適である。
100…蒸着マスク材
10…金属マスク
15…スリット
20…樹脂層
25…開口部
30…溶接用開口部
200…金属フレーム
205…開口

Claims (3)

  1. 金属フレームと所定箇所において溶接される蒸着マスク材であって、
    前記蒸着マスク材は、スリットを有する金属マスクと、当該金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面に設けられた樹脂マスクと、を含み、
    前記樹脂マスクは、蒸着作成するパターンに対応する開口部を有し、
    前記金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面における、前記所定箇所に対応する部分の少なくとも一部には、前記樹脂マスクが存在していないことを特徴とする蒸着マスク材。
  2. 金属フレームと、蒸着マスク材とを所定箇所において溶接し、金属フレームに蒸着マスク材を固定する固定方法であって、
    スリットを有する金属マスクと、当該金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面に設けられた樹脂層と、を含む蒸着マスク材を準備する準備工程と、
    前記蒸着マスク材の前記金属マスクと、前記金属フレームとが対向するように前記蒸着マスク材と前記金属フレームとを重ね合わせ、前記蒸着マスク材の前記樹脂層側から溶接加工を施して、前記金属フレームと、前記蒸着マスク材の前記金属マスクと、を所定箇所において溶接する溶接工程と、
    を有し、
    前記溶接工程時における前記蒸着マスク材が、前記金属マスクの前記金属フレームと溶接されない側の面における、前記所定箇所に対応する部分の少なくとも一部に前記樹脂層が存在していない蒸着マスク材であり、
    前記溶接工程に前後して、前記樹脂層に蒸着作成するパターンに対応する開口部を形成する工程を、さらに有することを特徴とする固定方法。
  3. 有機半導体素子の製造方法であって、
    請求項2に記載の固定方法により、前記金属フレームに固定されてなる前記蒸着マスク材を用いることを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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