JP6163724B2 - 蒸着マスク、及び金属フレーム一体型蒸着マスク - Google Patents

蒸着マスク、及び金属フレーム一体型蒸着マスク Download PDF

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Description

本発明は、蒸着マスク、及び金属フレーム一体型蒸着マスクに関する。
従来、有機EL素子の製造において、有機EL素子の有機層或いはカソード電極の形成には、例えば、蒸着すべき領域に多数の微細なスリットを微小間隔で平行に配列してなる金属から構成される蒸着マスクが使用されていた。この蒸着マスクを用いる場合、蒸着すべき基板表面に蒸着マスクを載置し、裏面から磁石を用いて保持させているが、スリットの剛性は極めて小さいことから、蒸着マスクを基板表面に保持する際にスリットにゆがみが生じやすく、高精細化或いはスリット長さが大となる製品の大型化の障害となっていた。
スリットのゆがみを防止するための蒸着マスクについては、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、複数の開口部を備えた第一金属マスクを兼ねるベースプレートと、前記開口部を覆う領域に多数の微細なスリットを備えた第二金属マスクと、第二金属マスクをスリットの長手方向に引っ張った状態でベースプレート上に位置させるマスク引張保持手段を備えた蒸着マスクが提案されている。すなわち、2種の金属マスクを組合せた蒸着マスクが提案されている。この蒸着マスクによれば、スリットにゆがみを生じさせることなくスリット精度を確保できるとされている。
ところで近時、有機EL素子を用いた製品の大型化或いは基板サイズの大型化にともない、蒸着マスクに対しても大型化の要請が高まりつつあり、金属から構成される蒸着マスクの製造に用いられる金属板も大型化している。しかしながら、現在の金属加工技術では、大型の金属板に、微細パターンを精度よく形成することは困難であり、たとえ上記特許文献1に提案されている方法などによってスリット部のゆがみを防止できたとしても、高精細化への対応はできない。また、金属のみからなる蒸着マスクとした場合には、大型化に伴いその質量も増大しフレームを含めた総質量も増大することから取り扱いに支障をきたすこととなる。
特開2003−332057号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、かつ、蒸着加工対象物に対する電気的な影響を防止することのできる蒸着マスクを提供すること、及びこの樹脂マスクと金属フレームとが固定された金属フレーム一体型蒸着マスクを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられた蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、フレームに固定して用いられるものであり、前記樹脂マスクに、導電性を有する材料が含有されている。
また、上記課題を解決するための本発明は、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられた蒸着マスクであって、前記樹脂マスク上に、導電層が設けられ、前記樹脂マスクが、その表面に溝を有している。
また、一実施形態の蒸着マスクは、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられた蒸着マスクであって、(A)前記樹脂マスクに導電性を有する材料が含有されている、又は、(B)前記樹脂マスク上に導電層が設けられていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、蒸着マスクと、金属フレームとが固定された金属フレーム一体型蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられ、前記樹脂マスクに、導電性を有する材料が含有されており、
前記蒸着マスクの前記金属マスクは、前記金属フレームと固定されている。
また、上記課題を解決するための本発明は、蒸着マスクと、金属フレームとが固定された金属フレーム一体型蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられ、前記樹脂マスク上に、導電層が設けられ、前記樹脂マスクは、その表面に溝を有しており、前記蒸着マスクの前記金属マスクは、前記金属フレームと固定されており、前記金属フレームと前記導電層とが電気的に接続されている。
また、一実施形態の金属フレーム一体型蒸着マスクは、蒸着マスクと、金属フレームとが固定された金属フレーム一体型蒸着マスクであって、前記蒸着マスクは、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられ、(A)前記樹脂マスクに導電性を有する材料が含有されている構成をとる、又は、(B)前記樹脂マスク上に導電層が設けられた構成をとり、前記蒸着マスクの前記金属マスクは、前記金属フレームと固定されており、前記(B)の構成をとる場合には、前記金属フレームと前記導電層とが電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の蒸着マスクによれば、金属マスクと樹脂マスクとを組合せて用いることにより、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができる。さらに、蒸着マスクの帯電に起因して生じうる蒸着加工対象物の破損等を防止することができる。また、本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクによれば、当該金属フレーム一体型蒸着マスクを構成する金属フレームがアースとしての役割を果たし、より効果的に、蒸着マスクの帯電に起因して生じうる蒸着加工対象物の破損等を防止することができる。
本発明の第1実施形態の蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の第1実施形態の蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の第2実施形態の蒸着マスクを示す概略断面図である。 本発明の蒸着マスクの金属マスクと樹脂マスクを分解して示す概略斜視図であり、(a)は金属マスクの概略斜視図であり、(b)は樹脂マスクの概略斜視図である。 本発明の蒸着マスクを、金属マスク側から見た正面図である。 (a)は樹脂マスクの構成の一例を示す斜視図であり、(b)はその断面図である。 樹脂マスクの開口部を設ける位置の一例を示すための正面図であり、本発明の蒸着マスクを、金属マスク側から見た正面図である。 本発明の一実施形態の金属フレーム一体型蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態の金属フレーム一体型蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態の金属フレーム一体型蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態の金属フレーム一体型蒸着マスクの一例を示す概略断面図である。 本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクの金属フレームと蒸着マスクを分解して示す概略斜視図である。 レーザーの照射方向と、樹脂マスクの開口部の断面形状との関係を示す概略断面図である。 シャドウと、金属マスクの厚みとの関係を示す概略断面図である。
<<蒸着マスク>>
本発明の蒸着マスクは、図1〜図4に示すように、スリット15が設けられた金属マスク10上に、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25を有する樹脂マスク20が設けられている。
本発明の蒸着マスクは、金属マスク10と、樹脂マスク20とが組合された構成をとる。ここで、本発明の蒸着マスク100の質量と、従来公知の金属のみから構成される蒸着マスク材の質量とを、蒸着マスク全体の厚みが同一であると仮定して比較すると、従来公知の蒸着マスクの金属材料の一部を樹脂材料に置き換えた分だけ、本発明の蒸着マスク100の質量は軽くなる。また、金属のみから構成される蒸着マスクを用いて、軽量化を図るためには、当該蒸着マスクの厚みを薄くする必要などがあるが、蒸着マスクの厚みを薄くした場合には、蒸着マスクを大型化した際に、蒸着マスクに歪みが発生する場合や、耐久性が低下する場合が起こる。一方、本発明の蒸着マスクによれば、大型化したときの歪みや、耐久性を満足させるべく、蒸着マスク全体の厚みを厚くしていった場合であっても、樹脂マスク20の存在によって、金属のみから形成される蒸着マスクよりも軽量化を図ることができる。
また、樹脂マスクを形成するための樹脂板や樹脂層を構成する樹脂材料は、金属材料と比較して高精細な加工を行うことができる性質を有する。したがって、本発明の蒸着マスクによれば、軽量化を図りつつも、樹脂マスク20に蒸着作製するパターンに対応した高精細な開口部25を設けることで、蒸着加工対象物(以下、単に加工対象物という場合がある。)に高精細な蒸着パターンを形成することができる。
ところで、上記構成を有する蒸着マスクを用いた蒸着パターン形成時において、通常、開口部25が設けられた樹脂マスクは加工対象物と対向する位置に存在している。一般的に、樹脂は電気絶縁体であることから、樹脂マスクは金属マスクと比較して非常に帯電しやすい状態となっており、樹脂マスクが帯電した状態で加工対象物に蒸着パターンを形成した場合には、帯電した状態の樹脂マスクは、当該樹脂マスクと対向する位置に存在する加工対象物に電気的な影響を及ぼす。例えば、加工対象物が、TFT(Thin Film Transister)基板等である場合には、TFT基板上に形成されている各種電極等を破壊してしまう等の重大な問題を引き起こす。
そこで、本発明では、スリット15が設けられた金属マスク10上に、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25を有する樹脂マスク20が設けられた蒸着マスク100において、更に、(A)樹脂マスク20に導電性を有する材料が含有されている、又は(B)樹脂マスク20上に導電層30が設けられている点を特徴とする。
上記(A)、又は(B)の特徴を更に有する本発明の蒸着マスクによれば、樹脂マスク20における帯電を防止することができ、加工対象物に電気的な影響を与えることなく、当該加工対象物に高精細な蒸着パターンを形成することができる。以下、本発明の蒸着マスクについて、本発明の蒸着マスクが、(A)導電性を有する材料が含有された樹脂マスク20aを備える蒸着マスク100(第1実施形態の蒸着マスク)である場合と、本発明の蒸着マスクが、(B)樹脂マスク20b上に導電層30が設けられた蒸着マスク(第2実施形態の蒸着マスク)である場合についてそれぞれ説明を行う。なお、図1、図2は、第1実施形態の蒸着マスク100の一例を示す概略断面図であり、図3は、第2実施形態の蒸着マスク100の一例を示す概略断面図である。また、図4は、第1実施形態の蒸着マスクの金属マスク10と、樹脂マスク20aを分解した分解斜視図である。
<第1実施形態の蒸着マスク>
図1に示すように第1実施形態の蒸着マスク100は、スリット15が設けられた金属マスク10上に、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25を有する樹脂マスク20aが設けられ、樹脂マスク20aが、(A)導電性を有する材料を含有している点を特徴とする。
(第1実施形態における樹脂マスク)
樹脂マスク20aは、樹脂材料から構成され、図4(b)や、図7に示すように、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25が設けられている。なお、本願明細書において蒸着作製するパターンとは、当該蒸着マスクを用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、本発明の蒸着マスクを有機EL素子の有機層の形成に用いる場合には、蒸着パターンは当該有機層の形状である。第2実施形態の蒸着マスクの樹脂マスク20bについても同様である。
第1実施形態では、樹脂マスク20aが導電性を有する点を必須の要件とする。なお、本願明細書において導電性を有する材料を含む樹脂マスク20aという場合には、(i)バインダーと導電性を有する材料とから構成される樹脂マスク20a、及び(ii)導電性ポリマーから構成される樹脂マスク20aの双方が含まれる。
前者(i)の樹脂マスクに含まれるバインダーとしては、各種の加工法、例えば、レーザー加工等によって高精細な開口部25の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、その熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。
前者(i)の樹脂マスクに含まれる導電性を有する材料としては、例えば、チタン、アルミニウム、鉄、ニッケル、鉄−ニッケル合金、銅、銅−ニッケル合金、ニオブ、タングステン、タンタル、クロム、ステンレス系合金、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等を挙げることができる。これら金属の材料以外にも、例えば、炭素系の導電性微粒子等も使用することができる。
後者(ii)の導電性ポリマーとしては、例えば、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、カチオン系では第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトシート、アルキルペタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型、導電性樹脂ではポリビニルベンジル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオン等の導電性ポリマーなど挙げることができる。これ以外にも、例えば、特開2012−107231号公報に開示がされている導電性ポリイミド等も好適に使用することができる。
また、本実施形態における樹脂マスク20aは、その表面抵抗率が1.0×103Ω/□以下であることが好ましい。本実施形態における樹脂マスクの表面抵抗率がこの範囲となるように設定することで、樹脂マスクの帯電を効果的に防止することができる。したがって、樹脂マスク20aに含まれる導電性材料の含有量等は、表面抵抗率がこの範囲となるような含有量とすることが好ましい。導電性ポリマーの材料についても同様である。
本実施形態における樹脂マスク20aの厚みについても特に限定はないが、本発明の蒸着マスク100を用いて蒸着を行ったときに、蒸着作成するパターンに不充分な蒸着部分、つまり目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる蒸着部分、所謂シャドウが生じることを防止するためには、樹脂マスク20aは可能な限り薄いことが好ましい。しかしながら、樹脂マスク20aの厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。一方で、金属マスク10の厚みによっては、樹脂マスクの厚みが25μmを超えるとシャドウの発生が生じ得る。この点を考慮すると樹脂マスク20aの厚みは3μm以上25μm以下であることが好ましい。樹脂マスク20aの厚みをこの範囲内とすることで、ピンホール等の欠陥や変形等のリスクを低減でき、かつシャドウの発生を効果的に防止することができる。なお、本発明の蒸着マスク100において、後述する金属マスク10と樹脂マスク20aとは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して金属マスク10と樹脂マスク20aとが接合される場合には、上記シャドウの点を考慮して、樹脂マスク20aと粘着剤層との合計の厚みが3μm〜25μmの範囲内となるように設定することが好ましい。
本願明細書でいうシャドウとは、本発明の蒸着マスクを用いて蒸着対象物に蒸着パターンの形成を行ったときに、蒸着対象物上に蒸着形成されるパターンに不十分な蒸着部分、つまり目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる蒸着部分が生ずる現象のことを言う。
開口部25の形状、大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに対応する形状、大きさであればよい。また、図5に示すように、隣接する開口部25の横方向のピッチP1や、縦方向のピッチP2についても蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。このことは、第2実施形態の蒸着マスク100の樹脂マスク20bについても同様である。
開口部25の断面形状についても特に限定はなく、開口部25を形成する樹脂マスクの向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図1、図13(a)に示すように、開口部25はその断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。より具体的には、樹脂マスクの開口部における下底先端と、同じく樹脂マスクの開口部における上底先端を結んだ、図2の符号θで示される角度が25°〜65°の範囲内であることが好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。開口部25の断面形状を当該形状とすることにより、本発明の蒸着マスクを用いて蒸着を行ったときに、蒸着作成するパターンにシャドウが生じることを防止することができる。また、図示する形態では、開口部25を形成する端面25aは直線形状を呈しているが、これに限定されることはなく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。このことは、第2実施形態の蒸着マスク100の樹脂マスク20bについても同様である。
樹脂マスク20aは、上述したように樹脂、或いは導電性ポリマーが用いられることから、従来の金属加工に用いられる加工法、例えば、エッチングや切削等の加工方法によらず、開口部25の形成が可能である。つまり、開口部25の形成方法について特に限定されることなく、各種の加工方法、例えば、高精細な開口部25の形成が可能なレーザー加工法や、精密プレス加工、フォトリソ加工等を用いて開口部25を形成することができる。中でも、レーザー加工法によれば、高精細な開口部25を容易に形成することができる点で好ましい。以下、レーザー加工法によって開口部25を形成する点を中心に説明する。レーザー加工法に用いられるレーザー装置について特に限定はなく、従来公知のレーザー装置を用いればよい。
開口部の断面形状を図1に示す形状、すなわち蒸着源側に向かって広がりをもつ断面形状とするためには、各種条件、たとえば、レーザーの照射方向、レーザー出力や、レーザー照射領域を設定することが好ましい。好ましくは、レーザーの照射はスリット15の樹脂板、或いは樹脂層が形成されていない側から行うことが好ましい。この方向からレーザーの照射を行うことで、レーザーのエネルギーの減衰を利用して、図13(a)に示すように、蒸着源側に向かって広がりを持つ断面形状とすることができる。一方、スリット15の樹脂板、或いは樹脂層が形成されている側からレーザー照射を行った場合には、図13(b)に示すように、蒸着源側に向かって狭くなる断面形状になりやすく、シャドウの発生を効果的に防止することが難くなる。なお、図13(b)に示す方向からレーザー照射を行う場合には、図13(a)に示す形状となるよう、レーザーの照射位置や、レーザーの照射エネルギーを適宜調整する、或いは照射位置を段階的に変化させる多段階のレーザー照射を行うことが好ましい。
また、本発明では、蒸着マスク100の構成として樹脂マスク20aが用いられることから、この蒸着マスク100を用いて蒸着を行ったときに、樹脂マスク20aの開口部25には非常に高い熱が加わり、樹脂マスク20aの開口部25を形成する端面から、ガスが発生し、蒸着装置内の真空度を低下させる等のおそれが生じ得る。したがって、この点を考慮すると、図2に示すように、樹脂マスク20aの開口部25を形成する端面25aには、バリア層26が設けられていることが好ましい。バリア層26を形成することで、樹脂マスク20aの開口部25を形成する端面25aからガスが発生することを防止できる。このことは、第2実施形態の蒸着マスク100の樹脂マスク20bについても同様である。
バリア層26は、無機酸化物や無機窒化物、金属の薄膜層または蒸着層を用いることができる。無機酸化物としては、アルミニウムやケイ素、インジウム、スズ、マグネシウムの酸化物を用いることができ、金属としてはアルミニウム等を用いることができる。バリア層26の厚みは、0.05μm〜1μm程度であることが好ましい。
さらに、バリア層は、樹脂マスク20aの蒸着源側表面を覆っていることが好ましい。樹脂マスク20aの蒸着源側表面をバリア層26で覆うことによりバリア性が更に向上する。バリア層は、無機酸化物、および無機窒化物の場合は各種PVD法、CVD法によって形成することが好ましい。金属の場合は、真空蒸着法によって形成することが好ましい。なお、ここでいうところの樹脂マスク20aの蒸着源側表面とは、樹脂マスク20aの蒸着源側の表面の全体であってもよく、樹脂マスク20aの蒸着源側の表面において金属マスクから露出している部分のみであってもよい。
図6(a)は樹脂マスクの別の態様の斜視図であり、(b)はその断面図である。
図6に示すように、樹脂マスク20上には、樹脂マスク20の縦方向、或いは横方向にのびる溝28が形成されていることが好ましい。蒸着時に熱が加わった場合、樹脂マスク20が熱膨張し、これにより開口部25の寸法や位置に変化が生じる可能性があるが、当該溝28を形成することで樹脂マスクの膨張を吸収することができ、樹脂マスクの各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂マスク20が全体として所定の方向に膨張して開口部25の寸法や位置が変化することを防止することができる。
なお、図6では、開口部25の間に縦方向に延びる溝28が形成されているが、これに限定されることはなく、開口部25の間に横方向に延びる溝を形成してもよい。さらには、開口部25の間に限定されることはなく、開口部25と重なる位置に溝を形成してもよい。さらには、これらを組み合わせた態様で溝を形成することも可能である。
溝28の深さやその幅については特に限定はないが、溝28の深さが深すぎる場合や、幅が広すぎる場合には、樹脂マスク20の剛性が低下する傾向にあることから、この点を考慮して設定することが必要である。また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、加工方法などを考慮して任意に選択すればよい。以上説明した樹脂マスクの溝28については、後述する第2実施形態の蒸着マスクの樹脂マスク20bについても適用可能である。
また、図7(a)に示すように、蒸着マスク100の金属マスク10側から見た正面図において、金属マスクのスリット15と重なる開口部25を横方向に互い違いに設けてもよい。つまり、横方向に隣り合う開口部25を縦方向にずらして設けてもよい。開口部25を、このように設けることにより、樹脂マスク20が熱膨張した場合にあっても、各所において生じる膨張を開口部25によって吸収することができ、膨張が累積して大きな変形が生じることを防止することができる。また、図7(b)に示すようにスリット15と重なる開口部25は横方向に2つ以上設けられていてもよい。なお、図7に示す形態では、1つのスリット15と重なる開口部25として複数の開口部を有しているが、1つのスリットと重なる位置に設けられる開口部25は、1つであってもよく、図7に示すように縦方向、或いは横方向に複数あってもよい。
また、図1〜図3に示すように、樹脂マスク20a、20bに設けられる開口部25は、1画素に対応させる必要はなく、例えば2画素〜10画素をまとめて一つの開口部25としてもよい。以上説明した樹脂マスク20aにおける開口部25を設ける位置の例については、後述する第2実施形態の蒸着マスクの樹脂マスクについても適用可能である。
(金属マスク)
金属マスク10は、金属から構成され、該金属マスク10の正面からみたときに、開口部25と重なる位置、換言すれば、樹脂マスク20aに設けられた全ての開口部25がみえる位置に、縦方向或いは横方向に延びるスリット15が設けられている。図4(a)では、金属マスク10の縦方向に延びるスリット15が横方向に連続して配置されている。なお、スリット15は、図4に示すように複数列配置されていてもよく、1列のみ配置されていてもよい。
スリット15の幅Wについて特に限定はないが、少なくとも隣接する開口部25間のピッチよりも短くなるように設計することが好ましい。具体的には、図5に示すように、スリット15が縦方向に延びる場合には、スリット15の横方向の幅Wは、横方向に隣接する開口部25のピッチP1よりも短くすることが好ましい。同様に、図示はしないが、スリット15が横方向に伸びている場合には、スリット15の縦方向の幅は、縦方向に隣接する開口部25のピッチP2よりも短くすることが好ましい。一方で、スリット15が縦方向に延びる場合の縦方向の長さLについては、特に限定されることはなく、金属マスク10の縦の長さおよび樹脂マスク20aに設けられている開口部25の位置に応じて適宜設計すればよい。
金属マスク10に形成されるスリット15の断面形状についても特に限定されることはないが、上記樹脂マスク20aにおける開口部25と同様、図1に示すように、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。
また、本発明の蒸着マスク100を用いて、基板上へ蒸着を行うにあたり、基板後方に磁石等を配置して基板前方の蒸着マスク100を磁力によって引きつけることが必要な場合には、金属マスク10を磁性体で形成することが好ましい。磁性体の金属マスク10としては、純鉄、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼、Cunico鋼、Al−Fe合金等を挙げることができる。また、金属マスク10を形成する材料そのものが磁性体でない場合には、当該材料に上記磁性体の粉末を分散させることにより金属マスク10に磁性を付与してもよい。
金属マスク10の厚みについても特に限定はないが、5μm〜100μm程度であることが好ましい。蒸着時におけるシャドウの防止を考慮した場合、金属マスク10の厚さは薄い方が好ましいが、5μmより薄くした場合、破断や変形のリスクが高まるとともにハンドリングが困難となる可能性がある。ただし、本発明では、金属マスク10は樹脂マスク20aと一体化されていることから、金属マスク10の厚さが5μmと非常に薄い場合であっても、破断や変形のリスクを低減させることができ、5μm以上であれば使用可能である。なお、100μmより厚くした場合には、シャドウの発生が生じ得るため好ましくない。以上説明した金属マスク10は、後述する第2実施形態の蒸着マスク100の金属マスクにそのまま適用することができる。
以下、図14(a)〜図14(c)を用いてシャドウの発生と、金属マスク10の厚みとの関係について具体的に説明する。図14(a)に示すように、金属マスク10の厚みが薄い場合には、蒸着源から蒸着対象物に向かって放出される蒸着材は、金属マスク10のスリット15の内壁面や、金属マスク10の樹脂マスク20が設けられていない側の表面に衝突することなく金属マスク10のスリット15、及び樹脂マスク20の開口部25を通過して蒸着対象物へ到達する。これにより、蒸着対象物上へ、均一な膜厚での蒸着パターンの形成が可能となる。つまりシャドウの発生を防止することができる。一方、図14(b)に示すように、金属マスク10の厚みが厚い場合、例えば、金属マスク10の厚みが100μmを超える厚みである場合には、蒸着源から放出された蒸着材の一部は、金属マスク10のスリット15の内壁面や、金属マスク10の樹脂マスク20が形成されていない側の表面に衝突し、蒸着対象物へ到達することができない。蒸着対象物へ到達することができない蒸着材が多くなるほど、蒸着対象物に目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる、シャドウが発生することとなる。
シャドウ発生を十分に防止するには、図14(c)に示すように、スリット15の断面形状を、蒸着源に向かって広がりをもつような形状とすることが好ましい。このような断面形状とすることで、蒸着マスク100に生じうる歪みの防止、或いは耐久性の向上を目的として、金属マスク10の厚みを比較的厚くした場合であっても、蒸着源から放出された蒸着材が、スリット15の当該表面や、スリット15の内壁面に衝突等することなく、蒸着材を蒸着対象物へ到達させることができる。より好ましくは、金属マスク10のスリット15における下底先端と、同じく金属マスク10のスリット15における上底先端を結んだ直線と金属マスク10の底面とのなす角度が25°〜65°の範囲内であることが好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。このような断面形状とすることで、金属マスク10の厚みを比較的厚くした場合であっても、シャドウ発生をより効果的に防止することができる。なお、図14は、シャドウの発生と金属マスク10のスリット15との関係を説明するための部分概略断面図である。
第1実施形態の蒸着マスクの製造方法について特に限定はなく、例えば、スリットが設けられた金属マスクと、導電性材料とバインダーとを含む樹脂板、或いは導電性ポリマーを含む樹脂板とを貼り合わせ、上記で説明したようにスリット15の樹脂板が設けられていない側からレーザーを照射する、或いはスリット15の樹脂板が設けられていない側からエッチング加工を行うことで、図13(a)に示す断面形状の開口部25が設けられた樹脂マスク20を得ることができる。金属マスクと、導電性材料とバインダーとを含む樹脂板、或いは導電性ポリマーを含む樹脂板との貼り合わせは、例えば、粘着剤層等を介して行うことができる。
上記ではレーザー加工法を用いて開口部25を形成する例を説明したが、レーザー加工法にかえて、エッチング加工方法によって開口部25を形成することもできる。樹脂板、或いは樹脂層に開口部25を形成するためのエッチング加工法について特に限定はなく、例えば、エッチング材を噴射ノズルから所定の噴霧圧力で噴霧するスプレーエッチング法、エッチング材が充填されたエッチング液中に浸漬する浸漬エッチング法、エッチング材を滴下するスピンエッチング法等のウェットエッチング法や、ガス、プラズマ等を利用したドライエッチング法を用いることができる。樹脂板、或いは樹脂層を侵食除去することができるエッチング材についても特に限定はなく、例えば、樹脂層20の樹脂材料としてポリイミド樹脂を用いる場合には、エッチング材として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを溶解させたアルカリ水溶液、ヒドラジン等を用いることができる。エッチング材は市販品をそのまま使用することもでき、ポリイミド樹脂のエッチング材としては、東レエンジニアリング(株)製のTPE3000などが使用可能である。
また、金属マスク10のスリット15の形成方法について特に限定はなく、例えば、14(c)に示す断面形状のスリット15は、金属板の樹脂マスク20が形成されない側から、エッチング加工、或いはレーザー加工を施すことが好ましい。エッチング加工法は、エッチング材の進行方向に向かって、換言すればエッチングの深さ方向に向かって、幅方向のエッチング量が減少していくといった性質を有する。したがって、金属板の樹脂マスク20が形成されない側からエッチング加工を行うことで、スリット15の断面形状を蒸着源側に向かって広がりをもつ形状とすることができる。また、当該方向からレーザー加工を施した場合には、レーザーのエネルギーの減衰を利用して、図14(c)に示すようにスリット15の断面形状を蒸着源側に向かって広がりをもつ形状とすることができる。
スリット15を形成するためのエッチング加工法について特に限定はなく、上記樹脂板、或いは樹脂層に開口部25形成するためのエッチング加工法と同様の方法を用いることができる。また、エッチング材についても特に限定はなく、エッチング材についても特に限定はなく、金属板10の金属材料を侵食除去することができる従来公知のエッチング材を適宜選択して用いることができる。例えば、ウェットエッチングに用いられるエッチング材としては、弗酸等を挙げることができる。ドライエッチングに用いられるエッチング材としては、四フッ化炭素などのガスを挙げることができる。
また、上記樹脂板にかえて、適当な溶媒にバインダーと導電性材料、或いは導電性ポリマーを適当な溶媒に分散ないし溶解した樹脂マスク用塗工液を準備し、この塗工液を金属板上に、従来公知の塗工方法を用いて塗工し、乾燥することで樹脂層を形成し、金属板へスリットを形成した後に、樹脂層に蒸着作製するパターンに対応した開口部を形成することによっても第1実施形態の蒸着マスクを製造可能である。
<第2実施形態の蒸着マスク>
次に、第2実施形態の蒸着マスクについて説明する。第2実施形態の蒸着マスク100は、図3に示すように、スリット15が設けられた金属マスク10上に、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25を有する樹脂マスク20bが設けられ、さらに、樹脂マスク20b上に導電層30が設けられた構成をとる。
(第2実施形態の樹脂マスク)
第2実施形態の蒸着マスク100では、図3に示すように、樹脂マスク20b上に導電層30が設けられ、この導電層30によって帯電防止効果が図られている点を特徴とし、樹脂マスク20b自体が導電性を有していることを必須の要件としない点で、上記第1実施形態の蒸着マスクにおける樹脂マスク20aと相違する。この相違点以外は上記第1実施形態の樹脂マスク20aで説明した各種構成をそのまま採用することができ、相違点以外についてのここでの具体的な説明は省略する。
導電性を有しない樹脂マスク20bとしては、例えば、上記第1実施形態の樹脂マスク20aで説明したバインダーから構成される樹脂マスク20b等を挙げることができる。なお、本実施形態の樹脂マスク20bは、導電性を有していることを除外するものではなく、当該実施形態における樹脂マスク20b自体が導電性を有していてもよい。導電性を有する樹脂マスク20bとする場合には、上記第1実施形態の樹脂マスク20aと同様の構成とすればよい。
(導電層)
図3に示すように、第2実施形態の蒸着マスクにおいては、樹脂マスク20b上に導電層30が設けられている。
導電層30は、導電性を有する層であればよく、例えば、(A)導電性を有する無機材料、これら無機材料の酸化物や窒化物等から構成される導電層30や、(B)上述した第1実施形態の樹脂マスク20aと同様の構成を有する導電層30等を挙げることができる。導電性を有する無機材料としては、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、ケイ素、インジウム、スズ、マグネシウム等を挙げることができる。これらの無機材料、或いはこれらの酸化物や窒化物は、一種、又は二種以上を組合せて用いることができる。
導電層30の厚みについて特に限定はないが、導電層30の厚みが厚くなるにしたがって、本実施形態の蒸着マスクにおける樹脂マスクと、加工対象物との間のギャップが大きくなりシャドウの発生が懸念される。したがって、導電層30は、十分な導電性を有しつつも、その厚みは薄いことが好ましい。具体的には、導電層30の表面抵抗率は、1.0×103Ω/□以下であり、かつその厚みが1μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態における導電層30は金属材料から構成されることから、上記で説明した第1実施形態の樹脂マスク、すなわち、導電性を有する材料が含まれた樹脂マスクよりも、より低い表面抵抗率が期待できる。
なお、各種PVD法、CVD法や、各種真空蒸着法を用いることで、厚みが1μm以下であって、かつ表面抵抗率が1.0×103Ω/□以下の上記(A)の導電層30を容易に形成することができる。
導電層30は、樹脂マスク20b上の少なくとも一部に設けられていればよく、必ずしも樹脂マスク20bの全面に設けられている必要はない。なお、樹脂マスク20b上に存在する導電層30の割合が多くなるほど帯電防止効果は向上する傾向にあることから、導電層30は、樹脂マスク20b上の全面に設けられていることが好ましい。
<<金属フレーム一体型蒸着マスク>>
次に、本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクについて説明する。本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクは、図8〜図10に示すように蒸着マスク100と、金属フレーム200とが固定された金属フレーム一体型蒸着マスク300であって、金属フレーム200と一体をなす当該蒸着マスク100は、スリットが設けられた金属マスク10と、スリット15と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスク20とを備える。
さらに本発明の金属フレーム一体型蒸着マスク300を構成する蒸着マスク100は、(A)樹脂マスク20に導電性を有する材料が含有されている構成をとる、又は、(B)樹脂マスク20の金属マスク10上に導電層30が設けられた構成をとり、(B)の構成をとる場合には、金属フレーム200と導電層30とが電気的に接続されている。なお、図8は、(A)の構成をとる蒸着マスク100の金属マスク10と、金属フレーム200とが固定された金属フレーム一体型蒸着マスク300の概略断面図であり、図11は、(A)の構成をとる蒸着マスク100の金属マスク10と、金属フレーム200とが固定された金属フレーム一体型蒸着マスク300の変形例を示す概略断面図である。図9、図10は、(B)の構成をとる蒸着マスク100の樹脂マスク20が、金属フレーム200と接続されている例を示す概略断面図である。なお、図8〜図11に示す形態の金属フレーム一体型蒸着マスク300では、金属マスク10のスリット、及び樹脂マスク20の開口部を省略している。以下、本発明の金属フレーム一体型蒸着マスク300の各構成について説明する。
(蒸着マスク)
本発明の金属フレーム一体型蒸着マスク300を構成する蒸着マスク100は、上記で説明した本発明の蒸着マスクをそのまま用いることができ、(A)樹脂マスク20に導電性を有する材料が含有されている蒸着マスクは、上記で説明した本発明の蒸着マスクにおける第1実施形態の樹脂マスク20aに対応している。また、(B)樹脂マスク20上に導電層30が設けられた構成をとる蒸着マスクは、上記で説明した本発明の蒸着マスクにおける第2実施形態の樹脂マスク20bに対応している。したがって、金属フレーム一体型蒸着マスク300における蒸着マスク100についてのここでの詳細な説明は省略する。
(金属フレーム)
金属フレーム200は、図12に示すような略矩形形状の枠部材であり、蒸着マスク100の樹脂マスクに設けられた開口部25を蒸着源側に露出させるための開口205を有する。
この金属フレーム200は、上記で説明した(A)の構成をとる蒸着マスク、又は(B)の構成をとる蒸着マスク100の金属マスク10の周縁部分とレーザー光等によるスポット溶接、接着剤、ねじ止め等により固定されている。これにより、金属フレーム200と、蒸着マスク100が一体化された金属フレーム一体型蒸着マスクが構成される。
金属フレーム200の材料について特に限定はないが、剛性が大きい金属材料、例えば、SUSや、インバー材などが好適である。
金属フレーム200の厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から10mm〜30mm程度であることが好ましい。金属フレーム200の開口205の内周端面と、金属フレーム200の外周端面間の幅(w)は、当該金属フレーム200と、蒸着マスク100の金属マスク10とを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm〜50mm程度の幅を例示することができる。
金属フレーム200の開口205の内周面間の幅、及び当該金属フレーム200の外周端面間の幅についても特に限定はないが、図12に示すように金属フレーム200における開口205の内周面横方向間の幅(W2)は蒸着マスクの横方向の幅よりも小さい幅となっている。同様に、金属フレーム200における開口205の内周面縦方向間の幅は蒸着マスクの縦方向の幅よりも小さい幅となっている。金属フレームの横方向端面間の幅(W1)について特に限定はない。なお、金属フレームの横方向端面間の幅(W1)が、蒸着マスクの横方向の幅よりも大きい幅となっている場合には、金属フレーム一体型蒸着マスクにおいて、金属フレーム200の蒸着マスク100と固定化される表面の一部は露出することとなる。金属フレームの開口205の縦方向端面間の幅についても同様である。
また、樹脂マスク20の開口部25の露出を妨げない範囲で、金属フレーム200の開口205に補強フレーム等が存在していてもよい。換言すれば、開口205が、補強フレーム等によって分割された構成を有していてもよい。
(電気的な接続)
本発明の金属フレーム一体型蒸着マスク300は、当該金属フレーム一体型蒸着マスク300が、上記で説明した(A)の構成をとる蒸着マスク100を有する場合には、当該蒸着マスク100を構成する樹脂マスク20は、同じく導電性を有する金属マスク10を介して金属フレーム200と電気的に接続されている。なお、上記で説明したように(A)の構成をとる蒸着マスクの樹脂マスク20には導電性を有する材料が含有されており、樹脂マスク20は導電性を有している。
図8は、上記で説明した(A)の構成をとる蒸着マスク100の樹脂マスク20と、金属フレーム200とが、金属マスク10を介して電気的に接続された例を示す概略断面図である。図示する形態では、金属フレーム200の横方向の幅が、蒸着マスクの横方向の幅よりも大きくなっているが、この構成に限定されることはない。例えば、図示する構成にかえて、蒸着マスク100の端面と、金属フレームの外周端面との面位置を一致させた構成とすることができる。また、金属フレーム200の横方向の幅を、蒸着マスクの横方向の幅よりも小さくした構成とすることもできる。
図8に示す形態によれば、導電性を有する樹脂層20は、金属マスク10を介して金属フレーム200と電気的に接続されることから、金属フレーム200をアースの役割として機能させることができ、加工対象物に対する電気的な影響が効果的に防止される。
図9は、上記で説明した(B)の構成をとる蒸着マスク100の導電層30と、金属フレーム200とが接続部材210によって電気的に接続された例を示す概略断面図である。
導電層30と、金属フレームとを電気的に接続する接続部材210について特に限定はなく、例えば、金、銅、アルミニウム等の導電性を有する材料を使用可能である。導電層30と、金属フレーム200に接続方法についても特に限定はないが、ワイヤボンディング法等を用いることで、容易に導電層30と金属フレーム200との電気的な接続を図ることができる。
図10は、上記で説明した(B)の構成をとる蒸着マスク100の導電層30と、金属フレーム200とが接続部材210を用いることなく電気的に接続された例を示す概略断面図である。具体的には、当該形態の金属フレーム一体型蒸着マスク300は、樹脂マスク20上に設けられた導電層30が、金属フレーム200と接しており、これにより、導電層30と金属フレーム200とが電気的に接続されている。
当該形態の金属フレーム一体型蒸着マスク300は、スリット15が設けられた金属マスク10上に、開口部25を有する樹脂マスクを積層した積層体を準備し、当該積層体の金属マスク10と、金属フレーム200とを固着させた後に、樹脂マスク側から、各種PVD法、CVD法や、各種真空蒸着法を用いて金属、或いは金属酸化物、金属窒化物の層を樹脂マスク20及び、金属フレーム200の露出した表面の一部に形成することで、得ることができる。
また、上記(A)の構成をとる蒸着マスク100と金属フレーム200とが固定された金属フレーム一体型蒸着マスク300の変形例としては、例えば、図11に示す構成を挙げることができる。図12に示す構成の金属フレーム一体型蒸着マスク300は、導電性を有する樹脂マスク20が、金属マスク10を介して金属フレーム200と電気的に接続されるとともに、上記で接続した接続部材210によって、導電性を有する樹脂マスク20と、金属フレーム200との電気的な接続の補強がされている。また、接続部材210にかえて、上記で説明した導電層30を用いて、電気的な接続の補強を行うこともできる。
以上説明した、本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクによれば、蒸着マスク100が有する導電性を有する層、つまり導電性を有する材料を含む樹脂マスク20、或いは導電層30と、金属フレーム200とが電気的に接続されていることから、金属フレーム200をアースとして機能させることができ、本発明の金属フレーム一体型蒸着マスクを用いて、加工対象物に蒸着を行う際に、加工対象物に対する電気的な影響を防止することができる。
以上説明した本発明の蒸着マスク、及び金属フレーム一体型蒸着マスクの用途について限定されることはないが、高精細な蒸着膜の形成が要求される分野、例えば、有機EL素子の有機層や、カソード電極の形成、有機半導体の形成等の用途に用いられる蒸着マスクとして好適である。
100…蒸着マスク
10…金属マスク
15…スリット
20、20a、20b…樹脂マスク
30…導電層
25…開口部
200…金属フレーム
205…開口
210…接続部材
300…金属フレーム一体型蒸着マスク

Claims (2)

  1. スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられた蒸着マスクであって、
    前記樹脂マスク上に、導電層が設けられ、
    前記樹脂マスクが、その表面に溝を有している、蒸着マスク。
  2. 蒸着マスクと、金属フレームとが固定された金属フレーム一体型蒸着マスクであって、
    前記蒸着マスクは、スリットが設けられた金属マスク上に、前記スリットと重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部を有する樹脂マスクが設けられ、
    前記樹脂マスク上に、導電層が設けられ、
    前記樹脂マスクは、その表面に溝を有しており、
    前記蒸着マスクの前記金属マスクは、前記金属フレームと固定されており、
    前記金属フレームと前記導電層とが電気的に接続されている、金属フレーム一体型蒸着マスク。
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