以下、本発明の実施の形態における部品実装装置および制御方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態のパネル実装機100の構成を示す斜視図である。
ここで、パネル実装機100は本発明の部品実装装置の一例である。また、本発明において実装とは、ワークである表示パネル200に、異方性導電シート(以下「ACF」)を介して部品300を仮圧着および本圧着して装着することをいう。このACFは、粘着性を有する合成樹脂シートから成っており、表示パネル200の電極の上面、あるいは部品300の下面に予め貼着される。
なお、ワークとは、表示パネル200としたが、フレキシブルプリント配線基板(FPC基板)やガラスエポキシ基板あるいはセラミック基板などの基板であってもよい。またCOF(Chip On Film)等の半導体部品が実装されたものの場合であってもよい。
パネル実装機100は、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、本圧着装置130、および搬送装置140から構成される。
ACF貼付装置110、仮圧着装置120、および本圧着装置130には、表示パネル200を真空吸着により支持し、X軸Y軸(水平)方向、Z軸(上下)方向、およびθ軸(水平面内での回転)方向に移動自在な支持ステージ111、支持ステージ121、支持ステージ131がそれぞれ設けられている。
仮圧着装置120には、部品300を真空吸着により保持し、X軸Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動自在な移載ヘッド122が設けられている。
ACF貼付装置110は、表示パネル200を支持ステージ111にて支持し、支持ステージ111を移動させることによって表示パネル200のACF貼付箇所を所定の作業位置へ位置付けた後、表示パネル200にACFを貼り付ける。
仮圧着装置120は、表示パネル200を支持ステージ121にて支持するとともに、部品300を移載ヘッド122にて保持し、支持ステージ121および移載ヘッド122の少なくともいずれか一方を移動させることによって表示パネル200と部品300との位置合わせを行った後、表示パネル200に対して部品300を仮圧着する。
本圧着装置130は、表示パネル200を支持ステージ131にて支持し、支持ステージ131を移動させることによって表示パネル200を所定の作業位置へ位置付けた後、表示パネル200に対して部品300を本圧着する。
搬送装置140は、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、および本圧着装置130の間で、表示パネル200を搬送する。ここで、搬送装置140は、それぞれの装置用に複数台備えてもよい。
次に、仮圧着装置120による仮圧着動作について詳しく説明する。この仮圧着動作が、本実施の形態におけるソフトリミット制御の対象の一例である。
図2は、仮圧着装置120の要部を表す斜視図である。図2には、仮圧着装置120とともに、搬送装置140および制御装置150が示される。
仮圧着装置120は、支持ステージ121、移載ヘッド122、吸着ノズル123、仮圧着ステージ124、および撮像装置125を有している。
支持ステージ121は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、表示パネル200を真空吸着により支持し、X軸およびY軸方向に平行移動しZ軸方向に上下動するとともにθ軸方向に回転する。
支持ステージ121は、ステージ部121aと駆動部121bとを有し、駆動部121bはステージ部121aに表示パネル200を吸着支持して回転移動するための吸着力および回転力を伝える。
移載ヘッド122は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、図示しない部品供給装置から供給される部品300を吸着ノズル123にて真空吸着により保持し、移載ヘッド122が回転軸まわりにθ軸方向に水平面内で回転し、吸着ノズル123がZ軸方向に上下動するとともにθ軸方向に回転する。
なお、ここでは、移載ヘッド122がθ軸方向に水平面内で回転するとしたが、X軸方向およびY軸方向に平行移動してもよく、また、回転移動と平行移動とを組み合わせて行えるとしてもよい。
移載ヘッド122は、部品300を保持した吸着ノズル123が仮圧着ステージ124上に来るまで回転した後、Z軸方向に下降することにより、部品300を表示パネル200に仮圧着する。
仮圧着ステージ124は、石英などの透明材料にて成り、移載ヘッド122が部品300を表示パネル200に仮圧着するための反力を与える。
撮像装置125は、仮圧着ステージ124越しに、支持ステージ121にて支持された状態での表示パネル200の位置認識マーク、および移載ヘッド122にて保持された状態での部品300の位置認識マークを撮像することにより、表示パネル200および部品300の位置合わせに必要な情報を制御装置150へ供給する。
搬送装置140は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によってX軸方向に移動し、ACF貼付装置110から表示パネル200を搬送して支持ステージ121へ受け渡し、また支持ステージから表示パネル200を受け取って本圧着装置130へ搬送する。
搬送装置140は、表示パネル200を支持するアーム140aを有している。
制御装置150は、支持ステージ121、移載ヘッド122、吸着ノズル123、撮像装置125、および搬送装置140へ指令信号を送ることにより、上述したそれぞれの動作を制御する。
前述の仮圧着動作では、少なくとも仮圧着装置120の支持ステージ121、移載ヘッド122、および吸着ノズル123、ならびに搬送装置140が可動ユニットであり、ソフトリミット制御の対象となり得る。
そこで本実施の形態では、好ましい例として、これらの可動ユニットのうち、支持ステージ121を対象としたソフトリミット制御について説明する。
図3は、この例のソフトリミット制御に関係するパネル実装機100の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
制御装置150は、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、本圧着装置130、および搬送装置140を制御する装置であり、具体的には、プロセッサ、メモリ、入出力装置、および通信装置などからなるコンピュータシステムである。
全体制御部154およびソフトリミット制御部160は、制御装置150において、プロセッサがメモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現されるソフトウェア機能である。
NC(数値制御)プログラム記憶部151、パラメータ記憶部153、および動作状態記憶部155は、メモリに割り当てられるデータ領域である。
操作部152は、オペレータとのインタフェースを実現する液晶表示器およびタッチパネルなどの入出力装置である。
NCプログラム記憶部151は、NCプログラムを記憶する。周知のように、NCプログラムは、パネル実装機100の動作内容を定める情報である。NCプログラムは、例えば操作部152を介してオペレータから教示されるか、または上位のプロセスコンピュータから通信で与えられる。NCプログラムの内容は、本発明の特徴部分ではないため、詳細な説明を省略する。
パラメータ記憶部153は、パラメータ情報を記憶する。パラメータ情報は、例えば操作部152を介してオペレータから入力される。
パラメータ情報は、パネル実装機100の要部の寸法、可動ユニットの停止余裕距離であるリミットマージンなど、ソフトリミット制御においてリミット座標値を算出するために用いられる種々の数値である。パラメータ情報の具体例については後述する。
全体制御部154は、NCプログラム記憶部151に記憶されているNCプログラムに従って、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、および本圧着装置130に含まれる支持ステージ、および搬送装置140などの可動ユニットへ、動作の開始および停止などを指令する指令信号を送信することにより、それぞれの可動ユニットを移動させる。
全体制御部154は、また、指令信号に応じて動作するそれぞれの可動ユニットに設けられているセンサから、動作状態を特定する信号(例えば、可動ユニットの現在位置を特定するために例えば1μm移動するごとに1回出力されるパルス信号)を継続的に受信し、受信した信号によって特定される動作状態を表すように動作状態記憶部155の動作状態情報(例えば、現在位置の座標値)を更新する。動作状態情報の具体例については後述する。
ソフトリミット制御部160は、ソフトリミット制御の対象となる可動ユニット(例えば支持ステージ121)の現在位置の座標値である現在座標値、ならびに可動ユニットと干渉する可能性がある他のユニット(例えば搬送装置140)の現在位置の座標値である相手座標値、さらにはワーク(例えば表示パネル200)の寸法、ならびに可動ユニットおよび他のユニットの少なくともいずれか一方によるワークの保持状態(例えば支持ステージ121および搬送装置140が表示パネル200を支持しているか否か)に応じて、可動ユニットが他のユニットと干渉せずに動ける限界点を表すリミット座標値を算出する。そして、現在座標値がリミット座標値に達している場合、全体制御部154を制御することにより可動ユニットの移動を規制する。ソフトリミット制御部160の詳細な動作については後述する。
なお、ここで可動ユニットまたは他のユニットがワークを保持するとは、可動ユニットまたは他のユニットにワークを運搬可能に固定することを言い、固定の方法および強さなどを限定しない。ここで言う保持には、例えば、支持、握持、吊持などを含む。
次に、パラメータ情報、および動作状態情報の具体例を説明する。
図4は、パラメータ記憶部153に記憶されるパラメータ情報の一例を示す図である。
パラメータ記憶部153には、一例として、支持ステージ121、搬送装置140、仮圧着ステージ124、仮圧着装置120の作業領域の寸法、およびリミットマージンを表すパラメータ情報が記憶される。図4では、具体的な数値の代わりにそれぞれの数値を表す記号を示している。
図5は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報の一例を示す図である。
動作状態記憶部155には、一例として、支持ステージ121の現在位置、および搬送装置140の現在位置、表示パネル200の寸法(長辺および短辺)、ならびに支持ステージ121および/あるいは搬送装置140が表示パネル200を支持しているか否か(表示パネルの有無)を示す動作状態情報が記憶される。図5では、具体的な座標値の代わりにそれぞれの座標値を表す記号を示している。
図6(A)および図6(B)はそれぞれ、支持ステージ121、搬送装置140、および仮圧着ステージ124の寸法および位置を、図4のパラメータ情報および図5の動作状態情報に対応して示す平面図および側面図である。なお、図6(A)および図6(B)において表示パネル200の図示は省略されている。
説明の便宜上、最外側の実線枠で仮圧着装置120の作業領域を示し、作業領域の一隅を座標系の原点Omとする。支持ステージ121の位置を表す基準点をOsとし、搬送装置140の位置を表す基準点をOtとする。また、図内の実線で各ユニットの外形を示す。
これらの実線で示される作業領域の境界および他のユニットの外形が、支持ステージ121の外形が到達できる最大領域となる。表示パネル200を考慮する場合、この最大領域は表示パネル200の大きさに応じて狭められる。
リミット座標値は、この最大領域のリミットマージンMの手前(点線で示されている)から、さらに可動ユニット自身の寸法に応じた距離を後退した地点として算出される。
リミットマージンMとは、ソフトリミット制御によって移動を規制される可動ユニットが実際に干渉を生じることなく安全に停止するための余裕距離であり、一例として各ユニットを駆動するモータのトルクが大きいほど小さな値が定められるといったように、装置の特性に依存して定められるパラメータである。
図6(A)および図6(B)において、支持ステージ121、搬送装置140、および仮圧着ステージ124の寸法を、対応箇所に図4の記号を付して示している。また、支持ステージ121および搬送装置140の現在位置を、それぞれの基準点に図5の記号を付して示している。
次に、ソフトリミット制御部160が行う処理の一例として、図6(A)および図6(B)に太い破線矢印で示されるように、支持ステージ121を搬送装置140の下方へ向かって移動させる場合に行われるソフトリミット制御処理について説明する。
この例では、支持ステージ121は斜めに、X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれのマイナス方向に移動する。
図7は、このような移動に際して行われるソフトリミット制御処理を一般的に表すフローチャートである。以下の説明において、図7のフローチャートに記載の可動ユニットおよび他のユニットが、それぞれ支持ステージ121および搬送装置140に対応する。
このソフトリミット制御処理は、全体制御部154が支持ステージ121に対して前述した移動を指令しようとするときに、全体制御部154から起動され実行される。
ソフトリミット制御部160は、まず、支持ステージ121が現在位置において既に、作業領域の境界または搬送装置140と干渉するかを判断する。
そのために、位置取得部161は、支持ステージ121および搬送装置140の現在位置を表す現在座標値、表示パネル200の寸法、ならびに支持ステージ121および搬送装置140の少なくともいずれか一方が表示パネル200を支持しているか否かを動作状態記憶部155から取得する(S11)。
リミット算出部162は、支持ステージ121が、現在位置から作業領域の境界または搬送装置140と干渉せずに動ける限界点を表すリミット座標値を算出する。X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれのリミット座標値が、支持ステージ121の現在座標値の他の座標軸の値、および搬送装置140の現在座標値、表示パネル200の寸法、ならびに支持ステージ121および搬送装置140の少なくともいずれか一方が表示パネル200を支持しているか否かを用いて算出される(S12)。
一例として、表示パネル200が例えば搬送装置140にて支持されている場合のリミット座標の算出について説明する。この例は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報によって、搬送装置140にワークがあることが示される(例えば、図5の表示パネルの有無を示すt_wkが表示パネルありを示す値である)場合に対応する。
図8(A)および図8(B)は、表示パネル200が搬送装置140にて支持されている場合に、リミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を説明する平面図および側面図である。
以下の説明では、簡明のため、支持ステージ121の長辺を支持ステージ121のθ軸まわりの基準方向とし、その基準方向がX軸に平行であるとする。
点線は、前述したように、支持ステージ121の外形が到達できる最大領域からリミットマージンMの手前の地点を表す。斜線を付した点線はそこからさらに、支持ステージ121の干渉寸法(すなわち、支持ステージ121の基準点Osからステージ部121aの外形までの座標軸方向の距離)を後退した限界点を表す。
また、支持ステージ121のX軸方向の干渉寸法をs_L(ステージ部121aの長辺の長さの半分)とし、Y軸方向の干渉寸法をs_S(ステージ部121aの短辺の長さの半分)とする。
また、搬送装置140の干渉寸法(すなわち、搬送装置140の基準点Otからアーム140aの外形までの座標軸方向の距離)については、X軸方向の内側の干渉寸法をt_W1(アーム140aのX軸方向の内側長さの半分)とし、X軸方向の外側の干渉寸法をt_W2(アーム140aのX軸方向の外側長さの半分)とし、また、Y軸方向の凹部の干渉寸法をt_D1(アーム140aのY軸方向の凹部奥行き)とし、Y軸方向の凸部の干渉寸法をt_D2(アーム140aのY軸方向の凸部奥行き)とする。
さらに、表示パネル200の長辺の中点が搬送装置140の基準点Otにあるとして、搬送装置140にて支持されている状態での表示パネル200の干渉寸法(すなわち、搬送装置140の基準点Otから表示パネル200の外形までの座標軸方向の距離)については、X軸方向の干渉寸法をw_l/2(表示パネル200の長辺の長さの半分)とし、Y軸方向の干渉寸法をw_s(表示パネル200の短辺の長さ)とする。
支持ステージ121の基準点Osは、ステージ部121aが作業領域の端および他のユニットと干渉することなく、斜線を付した点線の内側を動くことができる。この範囲は、支持ステージ121の高さ(Z軸の座標値)に応じて異なる。
まず、支持ステージ121のX軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limXを、(式1)に従って算出する。
(式1)において条件1−1は、支持ステージ121が搬送装置140と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aの下へ潜り込めるかを判断する。
条件1−1が真の場合、支持ステージ121の外形は、X軸の座標値が0で表される作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121のX軸方向の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(M+s_L)とする。
条件1−1が偽の場合、条件1−2により、支持ステージ121が搬送装置140にて支持されている表示パネル200と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば、支持ステージ121は表示パネル200の下へは入ることができるが、搬送装置140のアーム140aとは干渉する可能性があるかを判断する。
条件1−2が真の場合、条件1−3により、支持ステージ121が搬送装置140の通路(X軸方向の移動領域)外のY軸の位置にあるかを判断する。
条件1−3が真の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(M+s_L)とする。
条件1−3が偽の場合、支持ステージ121は、搬送装置140と干渉する高さにありかつ搬送装置140の通路内に進入していると判断される。この場合、支持ステージ121と搬送装置140との位置関係によって、さらに条件が分かれる。
条件1−4は、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aの右側(X軸のプラス方向)に来るX軸の位置にあるかを判断する。
条件1−4が真の場合、支持ステージ121は、X軸のマイナス方向へ動くことで搬送装置140のアーム140aの右外側と干渉する可能性がある。したがって、limXを、X軸の座標値がt_x+t_W2で表される搬送装置140のアーム140aの右外側からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(t_x+t_W2+M+s_L)とする。
条件1−5は、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140a内に進入しているX軸の位置にあるかを判断する。
条件1−5が真の場合、支持ステージ121は、X軸のマイナス方向へ動くことで搬送装置140のアーム140aの左内側と干渉する可能性がある。したがって、limXを、X軸の座標値がt_x−t_W1で表される搬送装置140のアーム140aの左内側からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(t_x−t_W1+M+s_L)とする。
条件1−5が偽の場合、支持ステージ121は、搬送装置140のアーム140aの左側(X軸のマイナス方向)に来るX軸の位置にあると判断される。
条件1−5が偽の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(M+s_L)とする。
さて、条件1−2が偽の場合、支持ステージ121は搬送装置140にて支持されている表示パネル200と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあると判断される。
条件1−2が偽の場合、条件1−6により、支持ステージ121が搬送装置140にて支持されてX軸方向に移動する表示パネル200の通路外のY軸の位置にあるかを判断する。
条件1−6が真の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(M+s_L)とする。
条件1−6が偽の場合、支持ステージ121は、搬送装置140と干渉する高さにありかつ搬送装置140にて支持されてX軸方向に移動する表示パネル200の通路内に進入していると判断される。この場合、支持ステージ121と表示パネル200との位置関係によって、さらに条件が分かれる。
条件1−7は、支持ステージ121が表示パネル200の右側(X軸のプラス方向)に来るX軸の位置にあるかを判断する。
条件1−7が真の場合、支持ステージ121は、X軸のマイナス方向へ動くことで搬送装置140にて支持されている表示パネル200の右側と干渉する可能性がある。したがって、limXを、X軸の座標値がt_x+w_l/2で表される表示パネル200の右側からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(t_x+w_l/2+M+s_L)とする。
条件1−8は、支持ステージ121が表示パネル200の左側(X軸のマイナス方向)に来るX軸の位置にあるかを判断する。
条件1−8が真の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Lの余裕を持たせた(M+s_L)とする。
条件1−8が偽の場合、支持ステージ121は搬送装置140にて支持されている表示パネルと干渉していると判断される。この判断結果を示すために、干渉が生じていることを表すエラー値ERROR(例えば特定の負の値)を返却してもよい。
次に、支持ステージ121のY軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limYを、(式2)に従って算出する。
(式2)において条件2−1は、支持ステージ121が搬送装置140と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aの下へ潜り込めるかを判断する。
条件2−1が真の場合、支持ステージ121の外形は、Y軸の座標値が0で表される作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limYを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121のY軸方向の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(M+s_S)とする。
条件2−1が偽の場合、条件2−2により、支持ステージ121が搬送装置140にて支持されている表示パネル200と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば、支持ステージ121は表示パネル200の下へは入ることができるが、搬送装置140のアーム140aとは干渉する可能性があるかを判断する。
条件2−2が真の場合、条件2−3により、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aの外形と干渉する可能性のあるX軸の位置にあるかを判断する。
条件2−3が真の場合、条件2−4により、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140a内に進入できるX軸の位置にあるかを判断する。
条件2−4が真の場合、支持ステージ121は、搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凹部と干渉する可能性がある。したがって、limYを、Y軸の座標値がt_D1で表されるアーム140aのY軸方向の凹部からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(t_D1+M+s_S)とする。
条件2−4が偽の場合、支持ステージ121は、搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凸部と干渉する可能性がある。したがって、limYを、Y軸の座標値がt_D2で表されるアーム140aのY軸方向の凸部からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(t_D2+M+s_S)とする。
条件2−3が偽の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limYを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(M+s_S)とする。
さて、条件2−2が偽の場合、支持ステージ121は搬送装置140にて支持されている表示パネル200と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあると判断される。
条件2−2が偽の場合、条件2−5により、支持ステージ121が搬送装置140にて支持されている表示パネル200と干渉する可能性のあるX軸の領域にあるかを判断する。
条件2−5が真の場合、支持ステージ121は、表示パネル200と干渉する可能性がある。したがって、limYを、Y軸の座標値がw_sで表される表示パネル200の外形からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(w_s+M+s_S)とする。
条件2−5が偽の場合、支持ステージ121の外形は、作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limYを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび支持ステージ121の干渉寸法s_Sの余裕を持たせた(M+s_S)とする。
なお、上記の説明では簡略のため、X軸およびY軸のリミット座標値を算出するにあたって、支持ステージ121の大きさがステージ部121aと駆動部121bとで異なる(駆動部121bがステージ部121aよりも細い)ことを無視し、駆動部121bよりも大きいステージ部121aの寸法を干渉寸法として一律に用いた。
しかしながら、ステージ部121aおよび駆動部121bの何れが干渉する可能性があるかでさらに場合を分けてリミット座標値を算出してもよい。
例えば、駆動部121bが干渉する可能性がある場合のリミット座標値は、(式1)および(式2)におけるステージ部121aのX軸方向およびY軸方向の干渉寸法であるs_Lおよびs_Sを、それぞれ駆動部121bのX軸方向およびY軸方向の干渉寸法であるs_Wおよびs_Dで置き換えることにより算出できる。
また、支持ステージ121のZ軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値も同様にして算出する。
すなわち、支持ステージ121のX軸およびY軸の位置に応じて、支持ステージ121が下降することで、ステージ部121aの駆動部121bから張り出している部分が搬送装置140または仮圧着ステージ124と干渉する可能性があるか否かで場合を分けて、支持ステージ121が下降可能な限界点を表すリミット座標値を算出する。
なお、このように算出されるZ軸方向のリミット座標値を用いた干渉判断は、X軸方向およびY軸方向の干渉判断と同様に行うことができるため、以下では簡略のため説明を省略する。
次に、他の例として、表示パネル200が例えば支持ステージ121にて支持されている場合のリミット座標の算出について説明する。この例は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報によって、支持ステージ121にワークがあることが示される(例えば、図5のs_wkが表示パネル有を示す値である)場合に対応する。
図9(A)および図9(B)は、表示パネル200が支持ステージ121にて支持されている場合に、このリミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を説明する平面図および側面図である。
以下の説明では、表示パネル200の中心点が支持ステージ121の基準点Osにあるとして、支持ステージ121にて支持されている状態での表示パネル200の干渉寸法(すなわち、支持ステージ121の基準点Osから表示パネル200の外形までの座標軸方向の距離)については、X軸方向の干渉寸法をw_l/2(表示パネル200の長辺の長さの半分)とし、Y軸方向の干渉寸法をw_s/2(表示パネル200の短辺の長さの半分)とする。なお、簡略のため、Z軸方向の干渉寸法(表示パネル200の厚み)は無視する。
支持ステージ121の基準点Osは、支持ステージ121が作業領域の端および他のユニットと干渉することなく、斜線を付した点線の内側を動くことができる。この範囲は、支持ステージ121の高さ(Z軸の座標値)に応じて異なる。また、図9(A)に示される範囲は、表示パネル200が搬送装置140ではなく支持ステージ121にて支持されているために、図8(A)に示される範囲よりも狭まっていることに注意する。
まず、支持ステージ121がX軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limXを、(式3)に従って算出する。
(式3)は、(式1)と比べて、用いる干渉寸法が異なるものの、起こりうる干渉を表す複数の条件のそれぞれについてリミット座標値を算出するという共通の考え方に基づいて構成されている。以下、(式3)について(式1)との差異を説明する。
(式3)において条件3−1は、支持ステージ121が搬送装置140と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば支持ステージ121が、支持している表示パネル200ごと搬送装置140のアーム140aの下へ潜り込めるかを判断する。
条件3−1が真の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_l/2)を算出する。
条件3−1が偽の場合、条件3−2により、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が搬送装置140のアーム140aと干渉する可能性のあるZ軸の高さにあるかを判断する。
条件3−2が真の場合、条件3−3により、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が搬送装置140の搬送動作領域であるX軸方向の通路の外のY軸の位置にあるかを判断する。
条件3−3が真の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_l/2)を算出する。
条件3−3が偽の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200は、搬送装置140と干渉する高さにありかつ搬送装置140の搬送動作領域であるX軸方向の通路内に進入していると判断される。この場合、条件3−4および条件3−4−1により、表示パネル200が搬送装置140のアーム140aの右側(条件3−4で真)および左側(条件3−4−1で真)のいずれにあるかを判断する。そして、判断の結果に応じて、表示パネル200と搬送装置140のアーム140aの右外側または作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値を算出する。
なお、条件3−3が偽の場合に算出されるリミット座標値に対応する限界点(斜線を付した点線)は、図9には示されていない。そのような限界点は、搬送装置140のアーム140aが、例えば図9に示される位置よりも左右いずれかに寄っているために、表示パネル200が搬送装置140のアーム140aの右側および左側のいずれかにある場合に生じる。これ以外(条件3−4および条件3−4−1がいずれも偽)の場合は、表示パネル200が搬送装置140のアーム140aと干渉している場合である。その場合、干渉が生じていることを表すエラー値ERROR(例えば特定の負の値)を返却してもよい。
さて、条件3−2が偽の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200は搬送装置140よりも高いZ軸の高さにあるために干渉しないが、支持ステージ121は搬送装置140と干渉する可能性があると判断される。
条件3−2が偽の場合、条件3−5により、支持ステージ121のステージ部121aが搬送装置140の搬送動作領域であるX軸方向の通路の外のY軸の位置にあるかを判断する。
条件3−5が真の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_l/2)を算出する。
条件3−5が偽の場合、支持ステージ121のステージ部121は、搬送装置140と干渉する高さにありかつ搬送装置140の搬送動作領域であるX軸方向の通路内に進入していると判断される。この場合、条件3−6、条件3−7、および条件3−7−1により、ステージ部121aが搬送装置140のアーム140aの右側(条件3−6)、内側(条件3−7)、および左側(条件3−7−1)のいずれにあるかを判断する。
そして、右側と判断されると、ステージ部121aと搬送装置140のアーム140aの右外側との干渉を防ぐリミット座標値(t_x+t_W2+M+s_L)を算出し、内側と判断されると、ステージ部121aと搬送装置140のアーム140aの左内側との干渉を防ぐリミット座標値(t_x−t_W1+M+s_L)を算出し、左側と判断されると支持ステージ121にて支持されている表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_l/2)を算出する。
条件3−7および条件3−7−1がいずれも偽の場合は、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aと干渉している場合である。その場合、干渉が生じていることを表すエラー値ERROR(例えば特定の負の値)を返却してもよい。
次に、支持ステージ121のY軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limYを、(式4)に従って算出する。
(式4)は、(式2)と比べて、用いる干渉寸法が異なるものの、起こりうる干渉を表す複数の条件のそれぞれについてリミット座標値を算出するという共通の考え方に基づいて構成されている。以下、(式4)について(式2)との差異を説明する。
(式4)において条件4−1は、支持ステージ121が搬送装置140と干渉しないZ軸の高さにあるか、言い換えれば支持ステージ121が、支持している表示パネル200ごと搬送装置140のアーム140aの下へ潜り込めるかを判断する。
条件4−1が真の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値を算出する。
条件4−1が偽の場合、条件4−2により、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が搬送装置140のアーム140aと干渉する可能性のあるZ軸の高さにあるかを判断する。
条件4−2が真の場合、条件4−3により、表示パネル200が搬送装置140と干渉する可能性のあるX軸の位置にあるかを判断する。そして、判断の結果に応じて、表示パネル200と搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凸部との干渉を防ぐリミット座標値(t_D2+M+w_s/2)または作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_s/2)を算出する。
条件4−2が偽の場合、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200は搬送装置140よりも高いZ軸の高さにあるために干渉しないが、支持ステージ121が搬送装置140と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあると判断される。
条件4−2が偽の場合、条件4−4により、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140aと干渉する可能性のあるX軸の位置にあるかを判断する。
条件4−4が真の場合、条件4−5により、支持ステージ121が搬送装置140のアーム140a内に進入できるX軸の位置にあるかを判断する。
条件4−5が真の場合、ステージ部121aと搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凹部との干渉を防ぐリミット座標値(t_D1+M+s_S)を算出する。ただし、支持ステージ121がY軸のマイナス方向に動くことで、ステージ部121aが搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凹部と干渉するよりも先に、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が作業領域の境界と干渉する場合は、この条件において、表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_s/2)を算出する。
条件4−5が偽の場合、ステージ部121aと搬送装置140のアーム140aのY軸方向の凸部との干渉を防ぐリミット座標値(t_D2+M+s_S)を算出する。
条件4−4が偽の場合、表示パネル200と作業領域の境界との干渉を防ぐリミット座標値(M+w_s/2)を算出する。
また、支持ステージ121のZ軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値も同様にして算出する。
すなわち、支持ステージ121のX軸およびY軸の位置に応じて、支持ステージ121が下降することで、ステージ部121aの駆動部121bから張り出している部分、または支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が搬送装置140または仮圧着ステージ124と干渉する可能性があるか否かで場合を分けて、支持ステージ121が下降可能な限界点を表すリミット座標値を算出する。
なお、このように算出されるZ軸方向のリミット座標値を用いた干渉判断は、X軸方向およびY軸方向の干渉判断と同様に行うことができるため、以下では簡略のため説明を省略する。
このように、本実施の形態のソフトリミット制御では、リミット座標値を切り替える条件が多岐にわたる場合の複数の条件の一々に対応する複数のリミット座標値をあらかじめ用意しておきその中の1つを選択的に用いる従来の技術とは異なり、統一された数式と少数のパラメータとを用いて、可動ユニットおよび可動ユニットの動作範囲に関係する他のユニットの現在位置、ならびにワークであるパネルの寸法、および可動ユニットおよび他のユニットの少なくともいずれか一方によるパネルの保持状態、および/あるいは可動ユニットと他のユニットとの相対移動位置に応じてリミット座標値を都度計算で求める。
算出されたリミット座標値を用いて、以下の処理を続行する。
上記判断式および図3、図7を参照して説明すると、干渉判断部163は、支持ステージ121のX軸の現在座標値s_xがlimXに達するかを、s_x<limXの比較を行うことにより判断する。また、支持ステージ121のY軸の現在座標値s_yがlimYに達するかを、s_y<limYの比較を行うことにより判断する(S13)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S13でYES)、支持ステージ121(支持ステージ121にて表示パネル200を支持している場合は表示パネル200を含むものとして判断する、以下同様)は、作業領域の境界または搬送装置140(搬送装置140にて表示パネル200を支持している場合は表示パネル200を含むものとして判断する、以下同様)との干渉のために移動を開始する余裕がないことを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することにより支持ステージ121の移動を規制する。具体的に、全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S14)、支持ステージ121に対して移動を指令することなく処理を終了する。
現在位置において支持ステージ121は他のユニットと干渉しないと判断された場合(S13でNO)、ソフトリミット制御部160は、支持ステージ121が移動先において、作業領域の境界または搬送装置140と干渉するかを判断する。
そのために、位置取得部161は、支持ステージ121の移動先を表す移動先座標値(s_x’,s_y’,s_z’)を全体制御部154から取得する(S21)。
リミット算出部162は、支持ステージ121の移動先座標値(s_x’,s_y’,s_z’)を、表示パネル200が搬送装置140および支持ステージ121のいずれにて支持されているかに応じて、前述した(式1)および(式2)に代入するか、または(式3)および(式4)に代入することによって、支持ステージ121の移動先でのリミット座標値limX’およびlimY’を算出する(S22)。
このようにして、算出されたリミット座標値limX’およびlimY’を用いて、以下の処理を続行する。
干渉判断部163は、支持ステージ121のX軸の移動先座標値s_x’がlimX’に達するかを、s_x’<limX’の比較を行うことにより判断する。また、Y軸の移動先座標値s_y’がlimY’に達するかを、s_y’<limY’の比較を行うことにより判断する(S23)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S23でYES)、支持ステージ121は、移動先まで移動すれば、作業領域の境界または搬送装置140と干渉することを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することにより支持ステージ121の移動を規制する。具体的に、全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S24)、支持ステージ121に対して移動を指令することなく処理を終了する。
移動先において支持ステージ121は他のユニットと干渉しないと判断された場合(S23でNO)、全体制御部154は、支持ステージ121に対して移動を指令する(S31)。
この指令を受けて支持ステージ121は移動を開始する。支持ステージ121が移動するに従って、全体制御部154は、動作状態記憶部155に保持されている支持ステージ121の現在位置を表す現在座標値を更新する。
位置取得部161は、支持ステージ121の移動中、周期的に(例えば10ミリ秒の周期で)これらの更新された値を取得する(S32)。以下、支持ステージ121の移動中に取得される現在座標値を、(s_x”,s_y”,s_z”)と表記して、移動開始前の現在座標値と区別する。
リミット算出部162は、前述した(式1)および(式2)に、支持ステージ121の移動中の現在座標値(s_x”,s_y”,s_z”)を代入することによって、支持ステージ121の移動中のリミット座標値limX”およびlimY”を算出する(S33)。
このようにして、算出されたリミット座標値limX”およびlimY”を用いて、以下の処理を続行する。
干渉判断部163は、支持ステージ121のX軸の現在座標値s_x”がlimX”に達するかを、s_x”<limX”の比較を行うことにより判断する。また、Y軸の現在座標値s_y”がlimY”に達するかを、s_y”<limY”の比較を行うことにより判断する(S34)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S34でYES)、支持ステージ121は、移動中に、作業領域の境界または搬送装置140との干渉を防止する安全余裕がなくなったことを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することによって支持ステージ121に対し緊急停止を指令する(S35)。全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S36)、処理を終了する。
支持ステージ121に干渉が生じると判断されない限り(S34でNO)、支持ステージ121が移動先に到着するまで、ステップS32に戻って処理を続ける(S37)。
全体制御部154は、支持ステージ121が移動先に接近すると、支持ステージ121に対し移動先にて停止するよう指令する(S38)。
以上のソフトリミット制御処理によれば、支持ステージ121および搬送装置140の現在位置を表す現在座標値、移動先を表す移動先座標値、および移動中の位置を表す座標値を、表示パネル200が搬送装置140および支持ステージ121のいずれにて支持されているかに応じて、(式1)および(式2)に代入するか、または(式3)および(式4)に代入することによって、適切なリミット座標値を都度算出して干渉判断に用いることができる。
そのため、多数の条件に適応した柔軟なソフトリミット制御を、多数の条件の一々に対応する多数のリミット座標値をあらかじめ用意するといった煩雑な作業を必要とせずに、簡便に行うことができる。
ここまで、支持ステージ121をX軸、Y軸、およびZ軸のマイナス方向に移動させる場合のソフトリミット制御処理について、図7のフローチャートを参照して説明した。同様のソフトリミット制御処理は、移動方向が異なる場合や、他の可動ユニットにも適用できることはもちろんである。
例えば、図9に示すように、支持ステージ121を、パネル200を支持した状態で、Y軸のプラス方向、つまり仮圧着ステージ124の方向に移動させる場合のソフトリミット制御処理では、リミット算出部162は、支持ステージ121の現在位置、移動先、および移動中の位置におけるリミット座標値limY、limY’、およびlimY”を、それぞれ(式5)に従って算出する(図7のS12、S22、およびS33のリミット座標の算出)。
(式5)において条件5−1は、支持ステージ121にて支持されている表示パネル200が、Z軸方向に0からb_H1までの高さにある仮圧着ステージ124の下部と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあるかを判断する。
条件5−1が真の場合、表示パネル200の外形は、仮圧着ステージ124の下部の手前からリミットマージンMの地点まで移動できる。したがって、limYを、Y軸の座標値が〔m_D−b_D1〕で表される仮圧着ステージ124の下部の手前からリミットマージンMおよび表示パネル200のY軸方向の干渉寸法w_s/2の余裕を持たせた〔m_D−b_D1−M−w_s/2〕とする。
条件5−1が偽の場合、条件5−2により、表示パネル200が、Z軸方向にb_H1からb_H2までの高さにある仮圧着ステージ124の上部と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあるかを判断する。
条件5−2が真の場合、表示パネル200の外形は、Y軸の座標値が〔m_D−b_D2〕で表される仮圧着ステージ124の上部の手前からリミットマージンMの地点まで移動できる。したがって、limYを、Y軸の座標値が〔m_D−b_D2〕で表される仮圧着ステージ124の上部の手前からリミットマージンMおよび表示パネル200の干渉寸法w_s/2の余裕を持たせた〔m_D−b_D2−M−w_s/2〕とする。
条件5−2が偽の場合、表示パネル200の外形は、Y軸の座標値がm_Dで表される作業領域の境界から手前のリミットマージンMの地点まで移動できる。したがって、limYを、作業領域の境界からリミットマージンMおよび表示パネル200の干渉寸法w_s/2の余裕を持たせた〔m_D−M−w_s/2〕とする。
同様に、リミット座標値limY’、limY”も算出するものとする。
干渉判断部163は、支持ステージ121のY軸の現在座標値s_y、移動先座標値s_y’、および移動中の座標値s_y”がそれぞれ上記算出されたlimY、limY’、およびlimY”に達するかを、s_y>limY、s_y’>limY’、およびs_y”>limY”の比較を行うことにより判断する(図7のS13、S23、およびS34)。ここで、支持ステージ121の移動方向がY軸のプラス方向かマイナス方向かに応じて、干渉判断のための不等号の向きが逆になることに注意する。
他のステップの処理は、前述の説明と同様にして行われる。
このように、支持ステージ121を移動させようとする場合のソフトリミット制御処理は、移動方向および表示パネル200の支持状態に応じた算出式を用いてリミット座標値を求め、移動方向に応じた比較判断を行うことで、図7のフローチャートで示される共通の手順に従って行うことができる。
なお、ここまでは、支持ステージ121のθ軸の基準としての長辺がX軸の方向と平行である場合について説明したが、支持ステージ121がθ軸方向に回転することによって長辺がX軸の方向に斜めになっている場合は干渉寸法が変わってくる。
そこで、支持ステージ121の長辺がX軸の方向に斜めになっている場合には、移動方向に向かう先端頂点(ステージ部121aの頂点、および支持ステージ121にて支持されている表示パネル200の頂点)のX軸およびY軸の現在座標値を求め、支持ステージ121の基準点OsのX軸およびY軸の現在座標値と、求めた先端頂点のX軸およびY軸の現在座標値との差を干渉寸法として用いる。
支持ステージ121の長辺がX軸の方向に斜めになっている場合の先端頂点のX軸およびY軸の現在座標値は、支持ステージ121の長辺がX軸の方向と平行である場合のθ軸の座標値を0として、その場合の先端頂点のX軸およびY軸の座標値に、θ軸の現在座標値に応じた回転変換を施すことによって求めることができる。
次に、支持ステージ121をθ軸方向に回転移動させる場合のソフトリミット制御処理について説明する。
この場合、ソフトリミット制御部160は、干渉が生じるかをθ軸の座標値の比較によって直接判断する代わりに、X軸のプラス方向およびマイナス方向、ならびにY軸のプラス方向およびマイナス方向の4つの方向のうち何れか1つの方向にでも干渉が生じるかで判断する。
具体的には、リミット算出部162は、θ軸のリミット座標値を算出するのではなく、前記のX軸およびY軸それぞれのプラス方向およびマイナス方向の4方向について4つのリミット座標値を算出する。このリミット座標値の算出には、前述のθ軸の現在座標値に応じた干渉寸法が用いられる。
干渉判断部163は、前記の4方向についてそれぞれ、支持ステージ121の現在座標値がリミット座標値に達するかを比較判断する。
そして、いずれか1つの方向にでも、支持ステージ121の現在座標値がリミット座標値に達すると判断された場合、支持ステージ121は、回転移動を開始する余裕がないことを意味しているので、移動規制部164は、全体制御部154を制御することにより支持ステージ121の回転を規制する。
現在位置において支持ステージ121に干渉が生じないと判断された場合、干渉判断部163は、支持ステージ121の回転後の目標方向を全体制御部154から取得し、支持ステージ121が目標方向へ回転した場合について、前記の4方向に向かってそれぞれ干渉が生じるかの判断を行う。
いずれか1つの方向にでも干渉が生じると判断された場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することにより支持ステージ121の回転を規制する。
移動先において支持ステージ121に干渉が生じない場合、全体制御部154は、支持ステージ121に対して回転を指令する。この指令を受けて支持ステージ121が回転するに従って、全体制御部154は、動作状態記憶部155の支持ステージ121の現在の向きであるθ軸の座標値を更新する。
ソフトリミット制御部160は、この回転中に更新されるθ軸の座標値を用いて、支持ステージ121の回転中に、周期的にリミット座標値の算出と干渉判断とを行ってもよい。
以上、本発明のソフトリミット制御方法について、パネル実装機を一例とした実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも本発明の範囲内に含まれる。
実施の形態では、表示パネル200が搬送装置140にて支持されている場合には、表示パネル200の長辺の中点が搬送装置140の基準点Otにあるとし、また表示パネル200が支持ステージ121にて支持されている場合には、表示パネル200の中心点が支持ステージ121の基準点Osにあるとして説明した。
しかしながら、実際には、例えば表示パネル200が小型である場合などに、移載や圧着作業の便宜のため、上記の位置からずらして支持ステージ121および搬送装置140にて表示パネル200を支持することがある。
その場合、表示パネル200の干渉寸法をX軸のプラス方向とマイナス方向、およびY軸のプラス方向とマイナス方向の4方向についてそれぞれ独立して設定し、設定された4種類の干渉寸法を用いてリミット座標値を算出することにより、実施の形態にて説明した手順をそのまま用いて、ソフトリミット制御処理を行うことができる。
また、部品300の一部が表示パネル200の縁からはみ出すように、表示パネル200に部品300を装着することがある。
その場合、表示パネル200の干渉寸法を、部品300の装着前後で、部品300が表示パネル200の縁からはみ出す距離に応じて大きくしてやることにより、実施の形態にて説明した手順をそのまま用いて、ソフトリミット制御処理を行うことができる。
実施の形態では、支持ステージ121をソフトリミット制御の対象の一例として説明したが、可動ユニットが支持ステージ121に限定されないことはもちろんである。例えば、本発明のソフトリミット制御処理を搬送装置140に適用することによって、搬送装置140の支持ステージ121との干渉を防止できる。