以下、本発明の実施の形態における部品実装装置および制御方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態のパネル実装機100の構成を示す斜視図である。
ここで、パネル実装機100は本発明の部品実装装置の一例である。また、本発明において実装とは、ワークである表示パネル200に、異方性導電シート(以下「ACF」)を介して部品300を仮圧着および本圧着して装着することをいう。このACFは、粘着性を有する樹脂シートから成っており、表示パネル200の電極の上面、あるいは部品300の下面に予め貼着される。
なお、ワークとは、表示パネル200としたが、フレキシブルプリント配線基板(FPC基板)やガラスエポキシ基板あるいはセラミック基板などの基板であってもよい。またCOF(Chip On Film)等の半導体部品が実装されたものの場合であってもよい。
パネル実装機100は、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、本圧着装置130、および搬送装置140から構成される。
ACF貼付装置110、仮圧着装置120、および本圧着装置130には、表示パネル200を真空吸着により支持し、X軸Y軸(水平)方向、Z軸(上下)方向、およびθ軸(水平面内での回転)方向に移動自在な支持ステージ111、支持ステージ121、支持ステージ131がそれぞれ設けられている。
仮圧着装置120には、部品300を真空吸着により保持し、X軸Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向に移動自在な移載ヘッド122が設けられている。
ACF貼付装置110は、表示パネル200を支持ステージ111にて支持し、支持ステージ111を移動させることによって表示パネル200のACF貼付箇所を所定の作業位置へ位置合わせ後、表示パネル200にACFを貼り付ける。
仮圧着装置120は、表示パネル200を支持ステージ121にて支持するとともに、部品300を移載ヘッド122にて保持し、支持ステージ121および移載ヘッド122の少なくともいずれか一方を移動させることによって表示パネル200と部品300との位置合わせを行った後、表示パネル200に対して部品300を仮圧着する。
本圧着装置130は、表示パネル200を支持ステージ131にて支持し、支持ステージ131を移動させることによって表示パネル200を所定の作業位置へ位置付けた後、表示パネル200に対して部品300を仮圧着より高い熱と加圧力にて本圧着する。
搬送装置140は、ACF貼付装置110、仮圧着装置120、および本圧着装置130の間で、表示パネル200を搬送する。ここで、搬送装置140は、それぞれの装置用に複数台備えてもよい。
次に、仮圧着装置120による仮圧着動作について詳しく説明する。この仮圧着動作が、本実施の形態におけるソフトリミット制御の対象の一例である。
図2は、仮圧着装置120の要部を表す斜視図である。図2には、仮圧着装置120とともに、搬送装置140および制御装置150が示される。
仮圧着装置120は、支持ステージ121、移載ヘッド122、吸着ノズル123、仮圧着ステージ124、撮像装置125、トレイ部品供給ステージ126、テープ部品供給ステージ127、打ち抜き部128、およびテープ排出ガイド129を有している。
支持ステージ121は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、表示パネル200を真空吸着により支持し、X軸およびY軸方向に平行移動しZ軸方向に上下動するとともにθ軸方向に回転する。
支持ステージ121は、ステージ部121aと駆動部121bとを有し、駆動部121bはステージ部121aに表示パネル200を吸着支持して回転移動するための吸着力および回転力を伝える。
移載ヘッド122は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、トレイ部品供給ステージ126および/あるいはテープ部品供給ステージ127から供給可能な部品300を吸着ノズル123にて真空吸着により保持し、移載ヘッド122が回転軸まわりにθ軸方向に水平面内で回転し、吸着ノズル123がZ軸方向に上下動するとともにθ軸方向に回転する。
なお、ここでは、移載ヘッド122がθ軸方向に水平面内で回転する構成としたが、X軸方向およびY軸方向に平行移動してもよく、また、回転移動と平行移動とを組み合わせて行える構成としてもよい。
移載ヘッド122は、部品300を保持した吸着ノズル123が仮圧着ステージ124上に来るまで回転した後、Z軸方向に下降することにより、部品300を表示パネル200に仮圧着する。
仮圧着ステージ124は、石英などの透明材料にて成り、移載ヘッド122が部品300を表示パネル200に仮圧着するための反力を与える。
撮像装置125は、仮圧着ステージ124越しに、支持ステージ121にて支持された状態での表示パネル200の位置認識マーク、および移載ヘッド122にて保持された状態での部品300の位置認識マークを撮像することにより、表示パネル200および部品300の位置合わせに必要な情報を制御装置150へ供給する。
トレイ部品供給ステージ126は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、複数の部品300を保持した部品トレイ301を載置した状態で、X軸およびY軸方向に平行移動しZ軸方向に上下動するとともにθ軸方向に回転する。これにより、複数の部品300を順次移載ヘッド122へ受け渡す。
トレイ部品供給ステージ126は、トレイ載置部126aと駆動部126bとを有し、駆動部126bはトレイ載置部126aに部品トレイ301を載置して回転移動するための回転力を伝える。
テープ部品供給ステージ127は、複数の部品300を保持した部品テープ302から打ち抜き部128によって打ち抜かれた部品を受け取る。そして、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によって、部品300を載置した状態で、X軸およびY軸方向に平行移動しZ軸方向に上下動する。これにより、複数の部品300を順次移載ヘッド122へ受け渡す。部品300を打ち抜かれた後の部品テープ302は、テープ排出ガイド129に沿って排出される。
搬送装置140は、制御装置150からの指令信号に応じて動作する駆動機構によってX軸方向に移動し、ACF貼付装置110から表示パネル200を搬送して支持ステージ121へ受け渡し、また支持ステージから表示パネル200を受け取って本圧着装置130へ搬送する。
搬送装置140は、表示パネル200を支持するアーム140aを有している。
制御装置150は、支持ステージ121、移載ヘッド122、吸着ノズル123、撮像装置125、トレイ部品供給ステージ126、テープ部品供給ステージ127、打ち抜き部128、および搬送装置140へ指令信号を送ることにより、上述したそれぞれの動作を制御する。
なお、このような仮圧着動作が行われる作業領域のうち、移載ヘッド122からY軸のマイナス方向の作業領域を部品圧着作業領域と呼び、移載ヘッド122からY軸のプラス方向の作業領域を部品供給作業領域と呼んで区別する。
また、図2では、テープ部品供給ステージ127およびトレイ部品供給ステージ126を1つずつ設けた構成を例示しているが、これらは取り替えが可能であるとしてもよい。
すなわち、生産に使われる部品の供給タイプ(テープまたはトレイ)に応じて、テープ部品供給ステージ127だけを2つ、またはトレイ部品供給ステージ126のみを2つ設けた構成もあり得る。部品の供給タイプを区別しない場合は、テープ部品供給ステージ127およびトレイ部品供給ステージ126を、部品供給ステージと総称する。
前述の仮圧着動作では、少なくとも仮圧着装置120の支持ステージ121、移載ヘッド122、および吸着ノズル123、トレイ部品供給ステージ126、およびテープ部品供給ステージ127、ならびに搬送装置140が可動ユニットであり、ソフトリミット制御の対象となり得る。
そこで本実施の形態では、好ましい例として、これらの可動ユニットのうち、部品供給作業領域内を移動するトレイ部品供給ステージ126およびテープ部品供給ステージ127を対象としたソフトリミット制御について説明する。
図3は、この例のソフトリミット制御に関係するパネル実装機100の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
制御装置150は、仮圧着装置120の移載ヘッド122、トレイ部品供給ステージ126、およびテープ部品供給ステージ127を制御する装置であり、具体的には、プロセッサ、メモリ、入出力装置、および通信装置などからなるコンピュータシステムである。
全体制御部154およびソフトリミット制御部160は、制御装置150において、プロセッサがメモリに記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現されるソフトウェア機能である。
NC(数値制御)プログラム記憶部151、パラメータ記憶部153、および動作状態記憶部155は、メモリに割り当てられるデータ領域である。
操作部152は、オペレータとのインタフェースを実現する液晶表示器およびタッチパネルなどの入出力装置である。
NCプログラム記憶部151は、NCプログラムを記憶する。周知のように、NCプログラムは、パネル実装機100の動作内容を定める情報である。NCプログラムは、例えば操作部152を介してオペレータから教示されるか、または上位のプロセスコンピュータから通信で与えられる。NCプログラムの内容は、本発明の特徴部分ではないため、詳細な説明を省略する。
パラメータ記憶部153は、パラメータ情報を記憶する。パラメータ情報は、例えば操作部152を介してオペレータから入力される。
パラメータ情報は、パネル実装機100の要部の寸法、可動ユニットの停止余裕距離であるリミットマージンなど、ソフトリミット制御においてリミット座標値を算出するために用いられる種々の数値である。パラメータ情報の具体例については後述する。
全体制御部154は、NCプログラム記憶部151に記憶されているNCプログラムに従って、仮圧着装置120の移載ヘッド122、トレイ部品供給ステージ126、および/あるいはテープ部品供給ステージ127などの可動ユニットへ、動作の開始および停止などを指令する指令信号を送信することにより、それぞれの可動ユニットを移動させる。
全体制御部154は、また、指令信号に応じて動作するそれぞれの可動ユニットに設けられているセンサから、動作状態を特定する信号(例えば、可動ユニットの現在位置を特定するために例えば1μm移動するごとに1回出力されるパルス信号)を継続的に受信し、受信した信号によって特定される動作状態を表すように動作状態記憶部155の動作状態情報(例えば、現在位置の座標値)を更新する。
全体制御部154は、さらに、それぞれの可動ユニットから現在速度を特定する信号を受信するか、または前述した現在位置を時間微分することにより、それぞれの可動ユニットの現在の移動速度を示すように動作状態記憶部155の動作状態情報(例えば、現在の移動速度を示す現在速度値)を更新してもよい。
また、特に可動ユニットが部品供給ステージである場合は、全体制御部154は、部品供給ステージにおける部品の供給タイプがそれぞれテープであるかトレイであるかの区別を示すように動作状態記憶部155の動作状態情報(例えば、部品の供給タイプを示す供給タイプ値)を更新してもよい。動作状態情報の具体例については後述する。
ソフトリミット制御部160は、ソフトリミット制御の対象となる可動ユニット(例えば2つの部品供給ステージのうちの一方)の現在位置の座標値である現在座標値、ならびに可動ユニットと干渉する可能性がある他のユニット(例えば前記部品供給ステージのうちの他方)の現在位置の座標値である相手座標値に応じて、可動ユニットが他のユニットと干渉せずに動ける限界点を表す可動ユニットのリミット座標値を算出する。そして、可動ユニットの現在座標値がリミット座標値に達している場合、全体制御部154を制御することにより可動ユニットの移動を規制する。
また、ソフトリミット制御部160は、可動ユニットおよび他のユニットについて、それぞれの移動中の現在速度を用いて所定時間後の両者の予測位置を算出し、算出された予測位置における両者の干渉の有無を判断する。
ソフトリミット制御部160の詳細な動作については後述する。
次に、パラメータ情報、および動作状態情報の具体例を説明する。
図4は、パラメータ記憶部153に記憶されるパラメータ情報の一例を示す図である。
パラメータ記憶部153には、一例として、移載ヘッド122、テープ部品供給ステージ127、打ち抜き部128、テープ排出ガイド129、トレイ部品供給ステージ126、仮圧着装置120の部品供給作業領域の寸法、およびリミットマージンを表すパラメータ情報が記憶される。図4では、具体的な数値の代わりにそれぞれの数値を表す記号を示している。
図5は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報の一例を示す図である。
動作状態記憶部155には、一例として、移載ヘッド122の現在位置、右側(X軸のプラス方向)および左側(X軸のマイナス方向)にそれぞれ設けられる部品供給ステージの現在位置、現在速度、および供給タイプを示す動作状態情報が記憶される。図5では、具体的な数値の代わりにそれぞれの数値を表す記号を示している。
図6(A)および図6(B)はそれぞれ、左右の部品供給ステージがどちらもテープ部品供給ステージである場合に、移載ヘッド122、左側のテープ部品供給ステージ127L、テープ排出ガイド129L、打ち抜き部128L、右側のテープ部品供給ステージ127R、打ち抜き部128R、およびテープ排出ガイド129Rの寸法および位置を、図4のパラメータ情報および図5の動作状態情報に対応して示す平面図および側面図である。
この例は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報によって、左右の部品供給ステージがどちらもテープ部品供給ステージであることが示される(例えば、図5の右部品供給ステージの供給タイプがテープであることを示すfR_typeであり、かつ左部品供給ステージの供給タイプがテープであることを示すfL_typeである)場合に対応する。
説明の便宜上、最外側の実線枠で仮圧着装置120の部品供給作業領域を示し、部品供給作業領域の一隅を座標系の原点Ofとする。移載ヘッド122の位置を表す基準点をOhとし、テープ部品供給ステージ127Lの位置を表す基準点をOfLとし、テープ部品供給ステージ127Rの位置を表す基準点をOfRとする。また、図内の実線で各ユニットの外形を示す。
これらの実線で示される作業領域の境界および他のユニットの外形が、以下で可動ユニットの一例として説明するテープ部品供給ステージ127Rの外形が到達できる最大領域となる。
可動ユニットの進行方向のリミット座標値は、この最大領域のリミットマージンMの手前(点線で示されている)から、さらに可動ユニット自身の寸法に応じた距離を後退した地点として算出される。
リミットマージンMとは、ソフトリミット制御によって移動を規制される可動ユニットが実際に干渉を生じることなく安全に停止するための余裕距離であり、一例として各ユニットを駆動するモータのトルクが大きいほど小さな値が定められるといったように、装置の特性に依存して定められるパラメータである。
図6(A)および図6(B)において、移載ヘッド122、テープ部品供給ステージ127L、テープ排出ガイド129L、打ち抜き部128L、テープ部品供給ステージ127R、打ち抜き部128R、およびテープ排出ガイド129Rの寸法を、対応箇所に図4の記号を付して示している。また、移載ヘッド122、テープ部品供給ステージ127L、テープ部品供給ステージ127Rの現在位置を、それぞれの基準点に図5の記号を付して示している。
次に、ソフトリミット制御部160が行う処理の一例として、図6(A)および図6(B)に太い破線矢印で示されるように、テープ部品供給ステージ127Lを部品の供給位置(移載ヘッド122の下部)から打ち抜き位置(部品供給作業領域のX軸にマイナス方向およびY軸にプラス方向の隅)へ移動させつつ、テープ部品供給ステージ127Rを部品の打ち抜き位置(部品供給作業領域のX軸にプラス方向およびY軸にプラス方向の隅)から供給位置(移載ヘッド122の下部)へ移動させる場合に、テープ部品供給ステージ127Rを対象として行われるソフトリミット制御処理について説明する。
この例では、テープ部品供給ステージ127Rは、打ち抜き位置から部品の供給位置へ向かって斜め方向に(つまり、X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれを動作座標軸として、各軸のマイナス方向に)移動する。
図7は、このような移動に際して行われるソフトリミット制御処理を一般的に表すフローチャートである。以下の説明において、一例として、図7のフローチャートに記載の可動ユニットをテープ部品供給ステージ127Rとし、かつ他のユニットをテープ部品供給ステージ127Lとして説明する。
このソフトリミット制御処理は、全体制御部154がテープ部品供給ステージ127Rに対して前述した移動を指令しようとするときに、全体制御部154から起動され実行される。
ソフトリミット制御部160は、まず、テープ部品供給ステージ127Rが現在位置において既に、部品供給作業領域の境界またはテープ部品供給ステージ127Lと干渉するかを判断する。
そのために、位置および/あるいは速度取得部161は、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの現在位置を表す現在座標値を動作状態記憶部155から取得する(S11)。
リミット算出部162は、テープ部品供給ステージ127Rが、現在位置から部品供給作業領域の境界またはテープ部品供給ステージ127Lと干渉せずに動ける限界点を表すリミット座標値を、この例におけるテープ部品供給ステージ127Rの動作座標軸であるX軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれについて算出する。X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれのリミット座標値は、テープ部品供給ステージ127Rの他の座標軸の現在座標値、およびテープ部品供給ステージ127Lの現在座標値を用いて算出される(S12)。
図8(A)および図8(B)は、このリミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を説明する平面図および側面図である。
点線は、前述したように、テープ部品供給ステージ127Rの外形が到達できる最大領域からリミットマージンMの手前の地点を表す。斜線を付した点線はそこからさらに、テープ部品供給ステージ127Rの干渉寸法(すなわち、可動ユニットであるテープ部品供給ステージ127Rの基準点OfRから外形までの座標軸方向の距離)後退した限界点を表す。
図8(A)において、テープ部品供給ステージ127RのX軸方向の干渉寸法をtp_W(テープ部品供給ステージ127Rの幅の半分)とし、Y軸方向の干渉寸法をtp_D(テープ部品供給ステージ127Rの奥行きの半分)とする。テープ部品供給ステージ127Lの干渉寸法も同一とする。
また、テープ排出ガイド129RのX軸方向の干渉寸法をtp_X(部品供給作業領域の境界(X=f_W)からテープ排出ガイド129Rの設置端の位置までのX軸方向の距離)とし、Y軸方向の干渉寸法をtp_Y(部品供給作業領域の境界(Y=0)からテープ排出ガイド129Rの設置端の位置までのY軸方向の距離)とする。テープ排出ガイド129Lの干渉寸法も同一とする。
テープ部品供給ステージ127Rの基準点OfRは、テープ部品供給ステージ127Rの外形が部品供給作業領域の境界および他のユニットと干渉することなく、斜線を付した点線の内側を動くことができる。この範囲は、図8(B)に示すテープ部品供給ステージ127Rの高さ(Z軸の座標値)に応じて異なる。
まず、テープ部品供給ステージ127RのX軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limXを、(式1)に従って算出する。
(式1)において条件1−1は、テープ部品供給ステージ127Rが、テープ部品供給ステージ127Lと干渉する可能性のあるY軸の位置にあって、かつテープ部品供給ステージ127Lの右側(X軸のプラス方向)にあるかを判断する。
条件1−1が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rの外形は、X軸の座標値が(fL_x+tp_W)で表されるテープ部品供給ステージ127Lの右側からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limXを、テープ部品供給ステージ127Lの右側からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127RのX軸方向の干渉寸法の余裕を持たせた(fL_x+tp_W+M+tp_W)とする。
条件1−1が偽の場合は、テープ部品供給ステージ127Rは、テープ排出ガイド129Lの手前まで移動できる。したがって、limXを、X軸の座標値がtp_Xで表されるテープ排出ガイド129Lの設置端の位置からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127Rの干渉寸法の余裕を持たせた(tp_X+M+tp_W)とする。
次に、テープ部品供給ステージ127RのY軸のマイナス方向に向かう限界点を表すリミット座標値limYを、(式2)に従って算出する。
(式2)において条件2−1は、テープ部品供給ステージ127Rがテープ排出ガイド129Rと干渉する可能性のあるX軸の位置にあるかを判断している。
条件2−1が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rの外形は、Y軸の座標値がtp_Yで表されるテープ排出ガイド129Rの設置位置からリミットマージンMの手前の地点が境界となり、この境界まで移動できる。したがって、limYを、テープ排出ガイド129Rの設置位置からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127RのY軸方向の干渉寸法の余裕を持たせた(tp_Y+M+tp_D)とする。
条件2−1が偽の場合、条件2−2により、テープ部品供給ステージ127Rがテープ部品供給ステージ127Lと干渉する可能性のあるX軸の位置にあるかを判断する。
条件2−2が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rは、Y軸の座標値がfL_y+tp_Dで表されるテープ部品供給ステージ127Lの外形からリミットマージンMの手前の位置まで移動できる(テープ部品供給ステージ127Lが部品供給位置にあるとした場合等)。したがって、limYを、テープ部品供給ステージ127Lの外形からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127Rの干渉寸法の余裕を持たせた(fL_y+tp_D+M+tp_D)とする。
条件2−2が偽の場合、条件2−3により、図8(B)にて、テープ部品供給ステージ127Rが、移載ヘッド122と干渉する可能性のあるZ軸の高さにあるかを判断する。
条件2−3が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rは、Y軸の座標値がh_y+h_Rで表される移載ヘッド122の外形からリミットマージンMの手前の地点が境界となり、この境界まで移動できる。したがって、limYを、移載ヘッド122の外形からリミットマージンおよびテープ部品供給ステージ127Rの干渉寸法の余裕を持たせた(h_y+h_R+M+tp_D)とする。
それ以外の場合は、テープ部品供給ステージ127Rは、Y軸の座標値が0で表される部品供給作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点まで移動できる。したがって、limYを、部品供給作業領域の境界からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127Rの干渉寸法の余裕を持たせた(M+tp_D)とする。
なお、テープ部品供給ステージ127Rは、高さを下げる場合(Z軸のマイナス方向に動く場合)には他のユニットと干渉しないため、Z軸のマイナス方向に向かう限界点は、X軸およびY軸の現在座標値に係わらず原点の座標値である0とする。
このように、本実施の形態のソフトリミット制御では、リミット座標値を切り替える条件が多岐にわたる場合の複数の条件の一々に対応する複数のリミット座標値をあらかじめ用意しておきその中の1つを選択的に用いる従来の技術とは異なり、統一された数式と少数のパラメータとを用いて、可動ユニットおよび可動ユニットの動作範囲に関係する他のユニットの現在位置、および/あるいは可動ユニットと他のユニットとの相対移動位置に応じてリミット座標値を都度計算で求める。
算出されたリミット座標値を用いて、以下の処理を続行する。
上記判断式および図3、図7を参照して説明すると、干渉判断部163は、テープ部品供給ステージ127RのX軸の現在座標値fR_xがX軸のマイナス方向に向かう方向のlimXに達するかを、fR_x<limXの比較を行うことにより判断する。また、テープ部品供給ステージ127RのY軸の現在座標値fR_yがY軸のマイナス方向に向かう方向のlimYに達するかを、fR_y<limYの比較を行うことにより判断する(S13)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S13でYES)、テープ部品供給ステージ127Rは、部品供給作業領域の境界(f_W,f_D)、移載ヘッド122、テープ排出ガイド129R、またはテープ部品供給ステージ127Lとの干渉のために移動を開始する余裕がないことを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することによりテープ部品供給ステージ127Rの移動を規制する。具体的に、全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S14)、テープ部品供給ステージ127Rに対して移動を指令することなく処理を終了する。
現在位置においてテープ部品供給ステージ127Rは他のユニットと干渉しないと判断された場合(S13でNO)、ソフトリミット制御部160は、テープ部品供給ステージ127R(可動ユニット)が移動先において、部品供給作業領域の境界、移載ヘッド122(他のユニット)、またはテープ部品供給ステージ127L(他のユニット)と干渉するかを判断する。なお、同時に移動するテープ部品供給ステージ127Lについては、テープ部品供給ステージ127Lの移動先の位置を干渉判断に用いる。
そのために、位置および/あるいは速度取得部161は、テープ部品供給ステージ127Rの移動先を表す移動先座標値(fR_x’,fR_y’,fR_z’)と、テープ部品供給ステージ127Lの移動先を表す移動先座標値(fL_x’,fL_y’,fL_z’)とを全体制御部154から取得する(S21)。
リミット算出部162は、前述した(式1)および(式2)に、テープ部品供給ステージ127Rの移動先座標値(fR_x’,fR_y’,fR_z’)およびテープ部品供給ステージ127Lの移動先座標値(fL_x’,fL_y’,fL_z’)を代入することによって、支持ステージ121の移動先でのリミット座標値limX’およびlimY’を算出する(S22)。
図9(A)および図9(B)は、このリミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を示す平面図および側面図である。テープ部品供給ステージ127Rは、打ち抜き位置(127R用)から移載ヘッド122下の部品供給位置へ移動され、テープ部品供給ステージ127Lは、移載ヘッド122下の部品供給位置から部品打ち抜き位置(127L用)へ移動された状態である。図9(A)および図9(B)の表記法は、図8(A)および図8(B)と同一であるため、説明を省略する。
テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lが移動したことによって、斜線を付した点線で示される範囲が図8(A)に示される範囲から変化していることに注意する。
このようにして、算出されたリミット座標値limX’およびlimY’を用いて、以下の処理を続行する。
干渉判断部163は、テープ部品供給ステージ127RのX軸の移動先座標値fR_x’がX軸のマイナス方向に向かう方向のlimX’に達するかを、fR_x’<limX’の比較を行うことにより判断する。また、Y軸の移動先座標値fR_y’がY軸のマイナス方向に向かう方向のlimY’に達するかを、fR_y’<limY’の比較を行うことにより判断する(S23)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S23でYES)、テープ部品供給ステージ127R(可動ユニット)は、移動先まで移動すれば、部品供給作業領域の境界、または他のユニットである移載ヘッド122、テープ排出ガイド129R、もしくはテープ部品供給ステージ127L等と干渉することを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することにより可動ユニットであるテープ部品供給ステージ127Rの移動を規制する。具体的に、全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S24)、テープ部品供給ステージ127Rに対して移動を指令することなく処理を終了する。
移動先においてテープ部品供給ステージ127Rは他のユニットと干渉しないと判断された場合(S23でNO)、全体制御部154は、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lに対して移動を指令する(S31)。
この指令を受けてテープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lは移動を開始する。テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lが移動するに従って、全体制御部154は、動作状態記憶部155のテープ部品供給ステージ127Rの現在位置を表す現在座標値(fR_x,fR_y,fR_z)および現在速度値(fR_vx,fR_vy,fR_vz)を更新するとともに、テープ部品供給ステージ127Lの現在位置を表す現在座標値(fL_x,fL_y,fL_z)および現在速度値(fL_vx,fL_vy,fL_vz)を更新する。
位置および/あるいは速度取得部161は、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの移動中、周期的に(例えば10ミリ秒の周期で)これらの値を取得する。
そして、例えば、取得された現在位置の座標値(fR_x,fR_y,fR_z)に、取得された現在速度(fR_vx,fR_vy,fR_vz)に所定の時間値tを乗じた値を加算することによって、テープ部品供給ステージ127Rの所定時間後の予測位置を表す予測座標値(fR_x”,fR_y”,fR_z”)を算出する。
また、例えば、取得された現在位置の座標値(fL_x,fL_y,fL_z)に、取得された現在速度(fL_vx,fL_vy,fL_vz)に所定の時間値tを乗じた値を加算することによって、テープ部品供給ステージ127Lの所定時間後の予測位置を表す予測座標値(fL_x”,fL_y”,fL_z”)を算出する(S32)。
リミット算出部162は、前述した(式1)および(式2)に、テープ部品供給ステージ127Rの予測座標値(fR_x”,fR_y”,fR_z”)およびテープ部品供給ステージ127Lの予測座標値(fL_x”,fL_y”,fL_z”)を代入することによって、テープ部品供給ステージ127Rの移動中のリミット座標値limX”およびlimY”を算出する(S33)。
図10(A)および図10(B)は、このリミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を示す平面図および側面図である。テープ部品供給ステージ127Rは、打ち抜き位置(127R用)から移載ヘッド122下の部品供給位置へ移動途中であり、テープ部品供給ステージ127Lは、移載ヘッド122下の部品供給位置から部品打ち抜き位置(127L用)へ移動途中の状態である。図10(A)および図10(B)の表記法は、図8(A)および図8(B)と同一であるため、説明を省略する。また、煩雑を避けるため、限界点において干渉する対象物の説明を省略する。
テープ部品供給ステージ127R(可動ユニット)およびテープ部品供給ステージ127L(他のユニット)が移動したことによって、斜線を付した点線で示される範囲が図8(A)および図9(A)に示される範囲から変化していることに注意する。
このようにして算出された移動中のリミット座標値であるリミット座標値limX”およびlimY”を用いて、以下の処理を続行する。
干渉判断部163は、テープ部品供給ステージ127RのX軸の予測座標値fR_x”がX軸のマイナス方向に向かう方向のlimX”に達するかを、fR_x”<limX”の比較を行うことにより判断する。また、Y軸の予測座標値fR_y”がY軸のマイナス方向に向かう方向のlimY”に達するかを、fR_y”<limY”の比較を行うことにより判断する(S34)。
X軸およびY軸の少なくともいずれか一方で達すると判断された場合(S34でYES)、テープ部品供給ステージ127R(可動ユニット)は、移動中に、部品供給作業領域の境界、または、他のユニットである移載ヘッド122、テープ排出ガイド129R、もしくはテープ部品供給ステージ127L等との干渉を防止する安全余裕がなくなったことを意味している。
その場合、移動規制部164は、全体制御部154を制御することによってテープ部品供給ステージ127Rに対し緊急停止を指令する(S35)。全体制御部154は、操作部152に移動できないことを示すエラーメッセージを表示し(S36)、処理を終了する。
テープ部品供給ステージ127Rに干渉が生じると判断されない限り(S34でNO)、テープ部品供給ステージ127Rが移動先に到着するまで、ステップS32に戻って処理を続ける(S37)。
全体制御部154は、テープ部品供給ステージ127Rが移動先に接近すると、テープ部品供給ステージ127Rに対し移動先にて停止するよう指令する(S38)。
以上のソフトリミット制御処理によれば、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの現在位置を表す現在座標値、移動先を表す移動先座標値、および移動中の位置を表す予測座標値を(式1)および(式2)に統一的に代入することによって、適切なリミット座標値を都度算出して干渉判断に用いることができる。
そのため、多数の条件に適応した柔軟なソフトリミット制御を、多数の条件の一々に対応する多数のリミット座標値をあらかじめ用意するといった煩雑な作業を必要とせずに、簡便に行うことができる。
とりわけ、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lを同時に移動させようとするときに、テープ部品供給ステージ127Rとテープ部品供給ステージ127Lとの干渉を現在位置および移動先において判断することにより、次のような効果が得られる。
すなわち、上述の例で、図8および図9に典型的に示されるように、テープ部品供給ステージ127Rが移動先へ向かうと同時に、テープ部品供給ステージ127Lがその移動先から逃げる場合には、両者が干渉しないことを正しく判断して、移動を開始させることができる。
また、移動中には、図10に示すように、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの所定時間先の予測位置に基づいて干渉を判断するので、干渉判断の安全余裕を必要最小限の量に減らすことができる。
これらの結果、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの動きから無駄な余裕が省かれるので、タクト時間が短縮されるなど、生産性の向上に役立つ。
しかも、そのような効果は、適切なリミット座標値を都度算出して干渉判断に用いるという特徴的なソフトリミット制御処理によって、テープ部品供給ステージ127Rおよびテープ部品供給ステージ127Lの位置関係に応じた多数のリミット座標値をあらかじめ用意するといった煩雑な作業を必要とせずに、簡便に得ることができる。
ここまで、テープ部品供給ステージ127RをX軸、Y軸、およびZ軸のマイナス方向に移動させる場合のソフトリミット制御処理について、図7のフローチャートを参照して説明した。同様のソフトリミット制御処理は、移動方向が異なる場合や、他の可動ユニットにも適用できることはもちろんである。
例えば、テープ部品供給ステージ127Rを、X軸を動作座標軸としてX軸のプラス方向、つまり打ち抜き部128R(打ち抜き位置(127R用))の方向に移動させる場合のソフトリミット制御処理では、リミット算出部162は、テープ部品供給ステージ127Rの現在位置、移動先、および移動中の予測位置におけるリミット座標値limX、limX’、およびlimX”を、それぞれ(式3)に従って算出する(図7のS12、S22、およびS33のリミット座標の算出)。
(式3)において条件3−1は、テープ部品供給ステージ127Rが、テープ部品供給ステージ127Lと干渉する可能性のあるY軸の位置にあって、かつテープ部品供給ステージ127Lの左側(X軸のマイナス方向)にあるかを判断する。
条件3−1が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rの外形は、X軸の座標値が(fL_x−tp_W)で表されるテープ部品供給ステージ127Lの左側からリミットマージンMの手前の地点が境界となり、この境界までX軸のプラス方向に移動できる。したがって、limXを、テープ部品供給ステージ127Lの左側からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127RのX軸方向の干渉寸法の余裕を持たせた(fL_x−tp_W−M−tp_W)とする。
なお、条件3−1が真の場合に算出されるリミット座標値に対応する限界点(斜線を付した点線)は、図8、図9、および図10には示されていない。そのような限界点は、テープ部品供給ステージ127Rがテープ部品供給ステージ127Lよりも左側へ移動している場合に生じる。
条件3−1が偽の場合、条件3−2により、テープ部品供給ステージ127Rがテープ排出ガイド129Rと干渉する可能性のあるY軸の位置にあるかを判断する。
条件3−2が真の場合、テープ部品供給ステージ127Rの外形は、X軸の座標値が(f_W−tp_X)で表されるテープ排出ガイド129Rの設置位置からリミットマージンMの手前の地点が境界となり、この境界まで移動できる。したがって、limXを、テープ排出ガイド129Rの設置位置からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127RのX軸方向の干渉寸法の余裕を持たせた(f_W−tp_X−M−tp_W)とする。
条件3−2が偽の場合、テープ部品供給ステージ127Rの外形は、X軸の座標値がf_Wで表される部品供給作業領域の境界からリミットマージンMの手前の地点が境界となり、この境界まで移動できる。したがって、limXを、部品供給作業領域の境界からリミットマージンMおよびテープ部品供給ステージ127RのX軸方向の干渉寸法の余裕を持たせた(f_W−M−tp_W)とする。
干渉判断部163は、テープ部品供給ステージ127RのX軸の現在座標値fR_x、移動先座標値fR_x’、および移動中の予測座標値fR_x”がそれぞれ上記算出されたX軸のプラス方向に向かう方向のlimX、limX’、およびlimX”に達するかを、fR_x>limX、fR_x’>limX’、およびfR_x”>limX”の比較を行うことにより判断する(図7のS13、S23、およびS34)。ここで、テープ部品供給ステージ127Rの移動方向がX軸のプラス方向かマイナス方向かに応じて、干渉判断のための不等号の向きが逆になることに注意する。
テープ部品供給ステージ127RをX軸のプラス方向に移動させる場合のソフトリミット処理において、テープ部品供給ステージ127RをX軸のマイナス方向に移動させる場合とは処理が異なるステップについて説明した。
このように、テープ部品供給ステージ127Rを移動させようとする場合のソフトリミット制御処理は、移動方向に応じた算出式を用いてリミット座標値を求め、移動方向に応じた比較判断を行うことで、図7のフローチャートで示される共通の手順に従って行うことができる。
また、他の例として、テープ部品供給ステージ127RのZ軸のプラス方向に向かう限界点を表すリミット座標値も同様にして算出する。
すなわち、テープ部品供給ステージ127RのX軸およびY軸の位置に応じて、テープ部品供給ステージ127Rが上昇することで、移載ヘッド122または打ち抜き部128Rと干渉する可能性があるか否かで場合を分けて、テープ部品供給ステージ127Rが上昇可能な限界点を表すリミット座標を算出する。
なお、このように算出されるZ軸方向のリミット座標値を用いた干渉判断は、X軸方向およびY軸方向の干渉判断と同様に行うことができるため、説明を省略する。
また、さらに他の例として、テープ部品供給ステージの代わりにトレイ部品供給ステージを2つ設けたパネル実装機について、前述したソフトリミット制御処理を適用することもできる。
以下では、そのようなパネル実装機において、トレイ部品供給ステージの一方を制御対象として行われるソフトリミット制御処理について説明する。
図11(A)および図11(B)は、左右の部品供給ステージがどちらもトレイ部品供給ステージである場合に、リミット座標値の算出に関わる要部の位置および限界点を示す平面図および側面図である。
この例は、動作状態記憶部155に記憶される動作状態情報によって、左右の部品供給ステージがどちらもトレイ部品供給ステージであることが示される(例えば、図5の右部品供給ステージの供給タイプがトレイであることを示すTfR_typeであり、かつ左部品供給ステージの供給タイプがトレイであることを示すTfL_typeである)場合に対応する。
図11(A)および図11(B)は、移載ヘッド122、左側のトレイ部品供給ステージ126L、および右側のトレイ部品供給ステージ126Rの寸法および位置を、図4のパラメータ情報および図5の動作状態情報に対応して示している。
トレイ部品供給ステージ126RのX軸方向の干渉寸法をtr_W(トレイ載置部126aの幅の半分)とし、Y軸方向の干渉寸法をtr_D(トレイ載置部126aの奥行きの半分)とする。トレイ部品供給ステージ126Lの干渉寸法もトレイ部品供給ステージ126Rと同様である。
トレイ部品供給ステージ126Rを対象とするソフトリミット制御処理もまた、前述と同様の考え方で、起こりうる干渉を表す複数の条件のそれぞれについて、トレイ部品供給ステージ126Rの干渉寸法を用いてリミット座標値を都度算出し、トレイ部品供給ステージ126Rの動作座標軸上の移動方向に応じた比較判断を行うことで、図7のフローチャートで示される共通の手順に従って行うことができる。
ただし、この構成においては、トレイ部品供給ステージ126Lおよびトレイ部品供給ステージ126Rがθ方向に回転可能であるため、トレイ部品供給ステージ126Lおよびトレイ部品供給ステージ126Rのθ軸の基準としての長辺がX軸の方向に斜めになっている場合は干渉寸法が変わる。
そこで、例えば、トレイ部品供給ステージ126Rの長辺がX軸の方向に対して斜めになっている場合には、移動方向に向かうトレイ部品供給ステージ126Rの先端部である先端頂点(トレイ載置部126aの頂点)のX軸およびY軸の現在座標値を求め、トレイ部品供給ステージ126Rの基準点OfRのX軸およびY軸の現在座標値と、求めた先端頂点のX軸およびY軸の現在座標値との差を干渉寸法として用いる。
トレイ部品供給ステージ126Rの長辺がX軸の方向に対して斜めになっている場合の先端頂点のX軸およびY軸の現在座標値は、トレイ部品供給ステージ126Rの長辺がX軸の方向と平行である場合のθ軸の座標値を0として、その場合の先端頂点のX軸およびY軸の座標値に、θ軸の現在座標値で表される回転角に応じた変換によって求めることができる。
トレイ部品供給ステージ126Lの長辺がX軸の方向に対し斜めになっている場合の干渉寸法も同様にして算出される。
また、トレイ部品供給ステージ126Lとトレイ部品供給ステージ126Rとが干渉するか否かについての判断を、より簡便には、両者の回転中心間の距離f_dist1が、トレイ部品供給ステージ126Lおよびトレイ部品供給ステージ126Rの回転半径tr_R=((tr_W2+tr_D2)1/2)/2の2倍よりも短いか否かによって行ってもよい。
同様に、トレイ部品供給ステージ126Rと移載ヘッド122とが干渉するか否かを、両者の回転中心間の距離f_dist2がtr_R+h_Rよりも短いか否かで判断してもよい。
この判断によれば、トレイ部品供給ステージ126Lおよびトレイ部品供給ステージ126Rの向きによっては、必要以上に大きな安全余裕が生じることがあるものの、トレイ部品供給ステージ126Lおよびトレイ部品供給ステージ126Rの実際の干渉寸法をθ軸の現在座標値に応じて求める計算が不要となるため、簡便に干渉判断を行うことができる。
以上、本発明のソフトリミット制御方法について、パネル実装機を一例とした実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも本発明の範囲内に含まれる。
例えば、実施の形態では、同じ供給タイプの部品供給ステージが2つ設けられる例について説明したが、テープ部品供給ステージとトレイ部品供給ステージとが1つずつ設けられる構成についても、前述したソフトリミット制御処理を適用可能である。
すなわち、その場合のソフトリミット制御処理もまた、前述と同様に、現在座標値、移動先座標値、移動中の予測座標値がそれぞれ算出されたソフト上のリミット座標値(limX,limY,limZ)、(limX’,limY’,limZ’)、および(limX”,limY”,limZ”)に達するかの比較判断で行う考え方で、起こりうる干渉を表す複数の条件のそれぞれについて、トレイ部品供給ステージ126の干渉寸法およびテープ部品供給ステージ127の干渉寸法の両方を用いてリミット座標値を都度算出し、トレイ部品供給ステージ126およびテープ部品供給ステージ127のそれぞれの動作座標軸上での移動方向に応じた比較判断を行うことで、図7のフローチャートで示される共通の手順に従って行うことができる。