JP2009120968A - ポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未延伸糸条における遅延収縮を抑制し、生産性良く、品質のバラツキの少ないPPT短繊維を提供する。
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルAと、ポリ乳酸を主成分とするポリエステルBを、溶融紡糸して得た複合繊維の未延伸糸条を複数引きそろえ、延伸し、クリンパーで捲縮付与して後、切断してポリエステルBを除去するか、ポリエステルBを除去して切断することにより、実質的にポリエステルAのみから成る短繊維を得ることを特徴とする、ポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、製造時における紡糸、延伸等の工程安定性や、中間製品である未延伸糸条の取り扱い性に優れるなど生産性良好であり、かつ品質のバラツキの少ないポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法に関する。
テレフタル酸の低級アルキルエステルとトリメチレングリコール(1,3プロパンジオール)を重縮合させて得られるポリトリメチレンテレフタレート(以下PTT)は、低弾性率、ソフトな風合い、易染性といった特徴が注目され、衣料に適する合成繊維として世界で生産されている。近年では、素原料の一部のバイオ法による製造方法が発表され、さらに注目度が高まっている。
しかし、PPT未延伸糸条は雰囲気温度に敏感であり、容易に経時的に寸法減少する、いわゆる遅延収縮しやすいという問題点があった。これにより、長繊維の製造に関しては巻締りやパッケージ内外層での物性差やそれに起因する工程通過性不良の問題があるが、例えば特許文献1のように紡糸延伸を連続工程で行い、途中に未延伸糸条を長期放置する状態を経ない製法をとれば、解消することができる。
これと比較して、短繊維は通常、紡糸された未延伸糸条をトウ缶などの収納容器に納め、複数の収納容器から未延伸糸条を立ち上げ、捲縮付与に用いるクリンパーに適正なトウの繊度になるように引きそろえてから、延伸、捲縮付与、切断という工程を通し、短繊維化するという製法をとられることが多い。このような製法でクリンパーへ供給されるトウは通常数十ktexと非常に大量であるため、必要な量の未延伸糸条が収納容器に貯まるまで時間が必要であり、紡糸直後の未延伸糸条は延伸されるまで収納容器内で長時間放置されることとなる。この間、未延伸糸条は経時変化が生じるため、紡糸された時間差による物性のバラツキが生じたり、また経時的な収縮による収納容器内での絡まりや崩れがおこったりするなど、品質面・生産性いずれにしても問題が生じる。
前述の特許文献1のように、直接延伸し、未延伸糸条を長期放置する状態を経ないで糸条をひきそろえ、捲縮付与する方法も考えられるが、短繊維の製造に用いるクリンパーは生産性の面から数十ktexのトウを使用することが一般的であるため、通常直接紡糸延伸で得られる細い繊度の糸条の場合、クリンパーで生産性良く捲縮を付与するためには、大量の数のボビンをひきそろえる必要があり、作業性・生産性の面で現実的ではないという問題がある。
特許文献2ではPPTよりなる未延伸糸条を得た後、通例どおり延伸しているが、このような方法では前述のとおり経時変化による未延伸糸条の収縮が起こるために、未延伸糸条の状態で保管できる時間が短く、大量生産を必要とする短繊維の製造に適用するには現実的ではない。
このような遅延収縮に伴う生産性の悪化を回避するために、特許文献3では、未延伸糸条を一旦巻取り、次いで延伸するという製法において、未延伸糸条の巻取り、保管及び延伸各工程の温湿度を制限する技術が提案されており、特許文献4では、未延伸糸条の複屈折率と水分含有率を規定することによって経時収縮を抑えるという技術が提案されているが、特に大量生産を必要とする短繊維製造の場合、大型の装置全体の温調などをする必要があり、コストがかかるという問題がある。
特開平9−3724号公報 特許第3789030号公報 特許第3241359号公報 特開2001−262435号公報
本発明の目的は、前記した従来の技術が有する問題を解決すること、すなわち未延伸糸条における遅延収縮を抑制し、生産性良く、品質のバラツキの少ないPPT短繊維を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するにため次の手段を採用する。すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルAと、ポリ乳酸を主成分とするポリエステルBを、溶融紡糸して得た複合繊維の未延伸糸条を複数引きそろえ、延伸し、クリンパーで捲縮付与して後、切断してポリエステルBを除去するか、ポリエステルBを除去して切断することにより、実質的にポリエステルAのみから成る短繊維を得ることを特徴とする、ポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法である。
本発明により、未延伸糸条における遅延収縮が起こりにくくなり、生産効率を高めて捲縮を付与できるため、品質のバラツキの少ないPPT短繊維を生産性良く製造することができる。
本発明に用いられるPPT短繊維の製造方法は、まずPPTを主成分とするポリエステルAと、ポリ乳酸を主成分とするポリエステルBを、溶融紡糸して複合繊維の未延伸糸条を得て、缶などの収納容器に納める工程と、複数の収納容器を並べ多くの未延伸糸条を引きそろえて、延伸、捲縮付与を行う工程の2ステップを経る。なお、必要に応じて途中に高次加工性や機能性改善を目的とした界面活性剤などの薬剤を付与したり、所望の物性を得るため緊張又は弛緩熱処理を行うことができる。
ポリエステルAのみからなる未延伸糸条は遅延収縮を起こしやすいが、ポリエステルBと複合することにより未延伸糸条が遅延収縮しにくくなり、紡糸後に捲縮付与するまでに長時間放置しておいても物性のバラツキが生じにくく、また遅延収縮による収納容器内での絡まりや崩れがおこりにくくなる。
ポリエステルAは、PPTを主成分とするものであり、アルカリ処理によっても溶出されずに繊維として残る成分である。ポリトリメチレンテレフタレートとは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルであり、90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなればよく、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含んでいてもよい。共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。またポリエステルAには、艶消し剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて含有していてもよい。ポリエステルAの好ましい極限粘度は0.7〜2.0であり、0.7以上とすることで十分な強度を実現でき、また2.0以下とすることで生産安定性が得られやすい。
ポリエステルBは、ポリ乳酸を主成分とするものであり、アルカリ処理により溶出される成分である。ポリ乳酸はポリエチレンテレフタレート(以下、PET)よりも融点が低く、紡糸時の溶融温度を低く設定できるため、PTT成分の熱劣化を抑制できる。また、有機金属塩を共重合したPETと異なり、溶出に酸処理を必要としないため、酸性溶媒の排出がなく、環境負荷を小さくでき、また溶出工程の短縮化が図れるため好ましい。ポリ乳酸とは、−(O−CHCH−CO)−を繰り返し単位とするポリマーであり、乳酸やそのオリゴマーを重合したものを言う。ポリ乳酸中のD−乳酸またはL−乳酸の光学純度は、低くなるとともに結晶性が低下し、融点降下が大きくなるため、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは97%以上であるのが良い。
複合繊維の断面構造としては、同心円状の芯鞘断面構造やサイドバイサイド断面構造などが挙げられる。芯鞘断面構造としては、ポリエステルBを芯とし、ポリエステルAを鞘としても良いが、後の工程でのポリエステルBの溶出を容易に行うため、ポリエステルAを芯とし、ポリエステルBを鞘とする芯鞘断面構造とするのが好ましい。複合繊維における各成分の複合比率は、ポリエステルAとポリエステルBの重量比が90/10〜40/60、さらに好ましくは70/30〜50/50とするのが好ましい。かかる重量比率が90/10を超えると、長時間未延伸糸条を放置した際に経時変化が生じることがあり、また40/60を下回ると後に溶出される成分が多くなり、経済的に不利となる。
未延伸糸条を得る際の溶融紡糸の溶融温度としては、生産性を考えると、ポリエステルAの溶融温度は240〜280℃、ポリエステルBの溶融温度は200〜240℃とすることが好ましい。溶融方法としては、プレッシャーメルター法およびエクストルーダー法が挙げられ、いずれの方法でも問題はないが、均一溶融と滞留防止の観点からエクストルーダーによる溶融方法を採用するのが好ましい。別々に溶融された各成分は別々の配管を通り、計量された後、口金パックへと流入する。この際、熱劣化を抑えるために配管通過時間は30分以下であることが好ましい。パックへ流入したポリマーは口金にて合流し、複合繊維の断面構造に応じて複合され口金より吐出される。この際のポリマー温度は、240〜270℃が適当である。
口金より吐出されたポリマーは、冷却、固化された後、トウ缶などの収納容器に引き取られる。引き取る前に工程通過性向上を目的として油剤を付与してもよい。その際の引き取り速度は速度安定性と品質バラツキの観点から、好ましくは900〜1500m/分、より好ましくは1100〜1300m/分とする。
未延伸糸条の引き取り方法としては、各口金から吐出された糸条をそれぞれ巻取り機で巻き取る方法でもよいが、生産性の点から複数の口金から得られた多数本の未延伸糸条を集め数千〜数万dtexのサブトウとしてこれを多数のローラー群で誘導しながら収納容器内に振り落として引き取る方法が好ましく採用される。
得られた未延伸糸条は、多数本引き揃えられて、延伸工程へと導かれる。延伸する際の総繊度は生産性を考えて数十〜数百ktexとするのが好ましく、未延伸糸条への熱の伝達をスムーズに行うためには延伸は温水浴中で行うことが好ましい。この際、糸条中への温水の浸透を促しより均一な加熱を実現するために、温水中へ油剤を添加してもよい。延伸倍率は紡糸の際の引取速度に依存するため一概には言えないが、通常は1.5〜5倍、好ましくは2.5〜4倍に設定される。延伸倍率が1.5倍を下回ると十分なポリマーの配向が達成できず十分な強度が得られなかったり、部分的な未延伸状態が発生し染色ムラなどの異常の原因となったりすることがあり、5倍を超えると単繊維切れが起こり、安定な延伸が行えなかったり、ローラー巻きつきなどの発生により生産安定性に劣る原因になりうる。
延伸されたトウ、いわゆる延伸糸条はクリンパーを用いて捲縮付与される。その際の総繊度は、生産性を考慮して、好ましくは50ktex以上、より好ましくは70ktex以上とする。
捲縮付与されたトウを構成する単繊維は、この段階でポリエステルAとBからなる複合繊維であるが、この後複合成分のうちポリエステルBを除去し、実質的にポリエステルAのみからなる短繊維とする。ポリエステルBを除去するためには、通常溶出処理が採用される。ここで、「実質的にポリエステルAのみからなる」とは、後述する溶出加工性の評価において、溶出されるべきポリエステル成分が完全になくなっていた状態であることを意味する。
ポリエステルBの溶出を行う工程は、短繊維とするための切断工程の前、すなわち捲縮付与後のトウを処理する段階に設定もよいし、捲縮付与後のトウを切断し短繊維とした後に設定してもよい。さらには、切断した短繊維を紡績糸や布帛、不織布などに加工した後に行ってもよい。
ポリエステルBの溶出処理は、好ましくは10〜100g/l、さらに好ましくは20〜80g/lのアルカリ溶液中で行う。アルカリ溶液は通常水酸化ナトリウム水溶液を用い、60〜120℃の温度で処理する。100℃以下の場合は常圧下で、100℃を超える場合は加圧下で行うのが良い。処理時間はポリ乳酸成分が完全に溶出されるまでの時間行えばよいが、コストの点から3時間以内で完全に溶出されることが好ましい。

以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、繊維の各物性の評価方法は以下のとおりである。
(1)固有粘度
o−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した溶液粘度から算出した。
(2)遅延収縮率
トウ缶などの収納容器内へ収納された直後の未延伸糸条を採取し、速やかに2×10−3cN/dtexの荷重をかけ、採取から2分以内に糸長L1を測定してから、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気で放置した。100時間後の糸長L2を測定し、次式より遅延収縮率を算出した。
遅延収縮率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
(3)未延伸糸条の立ち上がり性
トウ缶などの収納容器に収納された未延伸糸条は上方に立ち上げられた後、合糸されて延伸工程へと導かれるが、その際未延伸糸条が収納容器内で絡まり、もつれた状態で立ち上げられることがある。遅延収縮が顕著であると、収納容器内での絡まりが多発するため、このもつれの回数を遅延収縮の悪性要素としての指標として使用した。延伸30分間で30個の収納容器から立ち上がる未延伸糸条のもつれの回数を記録し、次のように評価した。
◎(優良):0〜2回
○(良) :3回〜15回
×(不可):16回以上
(4)延伸加工性
遅延収縮や経時的な物性の変化により、未延伸糸条間の物性差が生じると、多数本の未延伸糸条を引きそろえた状態で同一温水浴にて延伸した際、経時変化を起こした数本の未延伸糸条では、設定した延伸倍率では倍率が高すぎ、単糸切れを起こして工程中のローラーへ巻き付き、装置を停機して除去しなければならなくなる。延伸10時間で発生した停機回数を記録し、次のように評価した。
◎(優良):0〜1回
○(良) :2回〜5回
×(不可):6回以上
(5)溶出加工性
走査型電子顕微鏡で得られたサンプルの断面を確認した。得られた短繊維から任意の単繊維50本を採取し、その断面を走査型電子顕微鏡で確認し、溶出されるべきポリエステル成分が完全になくなっていた状態を○(可)、少しでも残っていた場合は、×(不可)と評価した。
(6)生産能力バランス
長期的な生産性を評価する指標として、紡糸工程での1日あたりの未延伸糸生産量(以下、紡糸生産能力)と延伸工程での1日あたりの未延伸糸消費量(以下、延伸生産能力)の比を下記の式のとおり生産能力バランスと定め、生産適用性の指標として示した。
生産能力バランス = 延伸生産能力/紡糸生産能力
生産能力バランスの値が1.0を下回るとき、紡糸工程で生産される未延伸糸の量に対して延伸工程での未延伸糸消費量が追いつかなくなることを意味する。1.0を下回っても数日程度の少量生産では生産適用可能であるため、一概には○×で評価を行うことはできないが、長期連続生産を行うには、1.0以上、さらに好ましくは1.1以上ある方が条件設定などの時間的な余裕があってよいと言える。
実施例1
ポリエステルAとして、固有粘度が1.3のPTT、ポリエステルBとして光学純度98%のポリ−L−乳酸を用い、それぞれを溶融温度250℃、210℃で溶融し、ポンプによる計量を行い、250℃にて口金に流入し紡糸した。複合断面構造は、芯をポリエステルA、鞘をポリエステルBとした同心円状の芯鞘断面構造とし、ポリエステルAとポリエステルBとの複合比率は重量比50/50とした。紡糸糸条は1200m/分の速度で引き取られながら、筒型冷却装置にて冷却され、オイリングローラーにて油剤が付与され、フリーローラーを経て収束ガイドで他の紡糸錘と合計36の紡糸糸条と合糸した後、トウ缶内へ振り落とし収納することで未延伸糸条を得た。1時間毎にトウ缶の交換を行い、30時間かけて未延伸糸条が収納されたトウ缶を30個用意した。
用意したトウ缶を並べ、30本の未延伸糸条をひきそろえながら、85℃の温水浴へ導き、延伸倍率3.2倍で延伸した延伸糸条をクリンパーへ導き機械捲縮を付与した。延伸糸条の繊度は79ktexであった。
得られた捲縮トウを5g/lの水酸化ナトリウム水溶液中にて、浴比1:40、温度98℃、3時間処理を行い、鞘部のポリエステルBの溶出処理を行った。
溶出後のトウを乾燥後、スプレー方式にて油剤を付与し、回転式のカッターによる切断を行い短繊維を得た。得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっていた。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
実施例2
未延伸糸条を溶融紡糸する際の複合断面構造を、鞘をポリエステルA、芯をポリエステルBとした同心円状の芯鞘断面構造に変更した以外は実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっていた。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
実施例3
未延伸糸条を溶融紡糸する際の複合断面構造を、ポリエステルAとポリエステルBのサイドバイサイド断面構造に変更した以外は実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっていた。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
比較例1
固有粘度が1.3のPTTを単成分のみ用い、250℃で溶融し、ポンプによる計量を行い、250℃にて口金に流入し紡糸した。それ以外の紡糸条件は実施例1と同様にして、未延伸糸が収納されたトウ缶を30個用意した。引き続き未延伸糸条を立ち上げ、延伸しようとしたところ、缶内の糸条が遅延収縮により絡み合い、もつれとなってガイドへの引っかかりや延伸不良などの原因となり、頻繁に装置の停機をする必要が生じた。また、各トウ缶の放置時間の違いのよる遅延収縮度差のために、未延伸糸条の物性バラツキが大きく、原綿品位の低下を招く結果となった。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
比較例2
ポリエステルBとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5重量%共重合した共重合PETに変更し、ポリエステルA、ポリエステルBの溶融温度をそれぞれ260℃、285℃に、口金流入時のポリマー温度を270℃に変更した以外は実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた繊維の断面を走査型電子顕微鏡で確認したところ、鞘のポリエステルBが完全に溶出していなかった。すなわち、溶出処理に3時間を超えて必要となることから、生産加工コスト的に好ましくないものであった。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
実施例4
ポリエステルAとポリエステルBとの複合比率を重量比95/5と変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっていたが、未延伸糸条を立ち上げ、延伸しようとしたところ、缶内の糸条が遅延収縮により絡み合い、ガイドへの引っかかりや延伸不良などの原因となり、何度かは装置の停機をする必要が生じた。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
比較例3
ポリエステルAとポリエステルBとの複合比率を重量比30/70と変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。得られた繊維の断面を走査型電子顕微鏡で確認したところ、鞘のポリエステルBが溶出していない部分が見られた。すなわち、溶出処理に3時間を超えて必要となることから、生産加工コスト的に好ましくないものであった。またこの複合比率では、使用したポリマー量に対し、短繊維として得られる量が30%でしかないため、生産コスト的に好ましくない条件である。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
実施例5
未延伸糸条が収納されたトウ缶の数を18個とし、延伸における未延伸糸条の引き揃え本数を15本に変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。延伸糸条の繊度は47ktexであった。この場合、得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっており、実施例1と同等の短繊維を得ることができたが、未延伸糸条の延伸・捲縮付与工程の生産能力が紡糸工程よりも低くなり、未延伸糸条の消費が追いつかなくなってしまい、紡糸工程を止めざるを得なくなり、連続生産という点での生産性では実施例1に劣るものであった。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
実施例6
未延伸糸条とするための紡糸糸条を合糸する本数を20本に変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維を得た。延伸糸条の繊度は44ktexであった。この場合、得られた短繊維は実質的にポリエステルAのみからなっており、実施例1と同等の短繊維を得ることができたが、トウ缶中の未延伸糸条の繊度が小さく、缶内で絡まりが生じるため、延伸時の未延伸糸条の立ち上がり性が悪く、頻繁に装置を停機しなければならなくなり、連続生産という点での生産性では実施例1に劣るものであった。実験条件および評価結果などを表1にまとめた。
Figure 2009120968
本発明により、製造時における紡糸、延伸等の工程安定性や、中間製品である未延伸糸条の取り扱い性に優れるなど生産性良好であり、かつ品質のバラツキの少ないPPT短繊維を製造できる。

Claims (5)

  1. ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルAと、ポリ乳酸を主成分とするポリエステルBを、溶融紡糸して得た複合繊維の未延伸糸条を複数引きそろえ、延伸し、クリンパーで捲縮付与して後、切断してポリエステルBを除去するか、ポリエステルBを除去して切断することにより、実質的にポリエステルAのみから成る短繊維を得ることを特徴とする、ポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法。
  2. 未延伸糸条におけるポリエステルAとポリエステルBの重量比率が、90/10〜40/60である、請求項1に記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法。
  3. クリンパーに供給される糸条は、その繊度が50ktex以上である、請求項1または2に記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法。
  4. 未延伸糸条は、ポリエステルAを芯としポリエステルBを鞘とする同心円状芯鞘断面構造である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート短繊維の製造方法。
  5. 未延伸糸条は、ポリエステルAとポリエステルBとのサイドバイサイド断面構造である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリトリメチレンテレフタレート繊維の製造方法。
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