JP2009120906A - 低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼およびその製造方法 - Google Patents
低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009120906A JP2009120906A JP2007296010A JP2007296010A JP2009120906A JP 2009120906 A JP2009120906 A JP 2009120906A JP 2007296010 A JP2007296010 A JP 2007296010A JP 2007296010 A JP2007296010 A JP 2007296010A JP 2009120906 A JP2009120906 A JP 2009120906A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wire rod
- less
- steel
- temperature
- ferrite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
【解決手段】化学成分組成を適切に調整し、ミクロ組織がフェライト:99面積%以上の組織であると共に、最表面のフェライト粒度番号(A)が3.0〜7.0未満、D/4部(D:線材・棒鋼の直径)におけるフェライト粒度番号(B)が3.0〜7.0未満であり、且つこれら粒度番号(A)および(B)には下記(1)式の関係がある。
|(A)−(B)|≦0.5…(1)
【選択図】図6
Description
|(A)−(B)|≦0.5…(1)
|(A)−(B)|≦0.5…(1)
Cは、鋼材の必要強度(引張強度:280〜350MPa)を確保する上で必要な元素であり、圧延条件を変更しても必要な強度を確保させるためには、0.002%以上(好ましくは0.005%以上)含有させる必要がある。しかしながら、良好は変形能[絞り:85%以上、捻回値150回以上(100D換算)]を発揮させるためには、C含有量は0.02%以下(好ましくは0.015%以下)に抑える必要がある。
Siは、脱酸剤および固溶強化として有効に作用する元素であるが、本発明においてはSiを含有させると延性が低下して、特に絞り:85%以上が得られなくなるので、0.3%以下(好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.05%以下)と定めた。
Mnは、脱酸剤として有効に作用すると共に、鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化を抑制する効果を発揮する。こうした効果を発揮させるためには、Mnは0.1%以上(好ましくは0.2%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、ベイニティックフェライトが発生して均一な組織が得られにくくなるので、Mn含有量は0.5%以下(好ましくは0.4%以下)と定めた。
Pは、加工硬化に寄与する元素であり(後記捻回値向上原理参照)、その効果を発揮させるためには0.001%以上含有させることが有用である。しかしながら、P含有量が過剰になると変形能が却って低下するので0.020%以下とする必要がある。
Sは、主にMnSの硫化物系介在物を形成し、鋼材の変形能を低下させることから、その量は少ないほど好ましい。そこでS含有量は、0.020%以下(好ましくは0.01%以下)と定めた。しかしながら、Sは鋼の製造で不可避的に混入する不純物であり、工業的にその量を0%にすることは困難である。
Alは、脱酸を目的として使用される他、固溶Nを補足してAlNとなって結晶粒の微細化を促進させる元素である。こうしたAlは、AlNの有無によって、結晶粒の大きさが影響される原因となるので、結晶粒を大き目に安定化させる(所望の平均結晶粒径を有するフェライトを、安定して生成させる)ためには、Alはできるだけ少ない方が良い。こうした観点から、Al含有量を、0.02%以下(好ましくは0.01%以下)と定めた。
上記のようにNは、Al等と窒化物を形成して、結晶粒を微細化するのに加え、Al等によって固定されなかったNは固溶Nとして鋼中に残存し、歪み時効による変形抵抗の増加を引き起こす原因になる。こうした観点から、N含有量はできるだけ少なく抑えるべきであるが、鋼材製造の実操業面も考慮し、且つ前記弊害を実質的に無視し得る程度に抑えることのできる0.01%を上限値として定めた(好ましくは、0.007%以下)。
本発明で対象とする鋼片は、C含有量が少ないので、こうした低C鋼においても確実にオーステナイト状態にするには、できるだけ高い温度に設定する必要がある。この温度が975℃未満になると、圧延中の冷却水等の影響によって部分的にオーステナイト温度を割り込むおそれがある。しかしながら、加熱温度が1200℃を超えると、最終的な結晶粒径が粗大化してしまうおそれがある。
熱間圧延温度は、上記加熱温度と同様、鋼材を確実にオーステナイト状態にするための条件である。この温度が950℃未満になると、圧延中の冷却水等の影響によって部分的にオーステナイト温度を割り込むおそれがある。しかしながら、加熱温度が1150℃を超えると、最終的な結晶粒径が粗大化してしまうおそれがある。尚、このときの「熱間圧延」とは、粗圧延、中間圧延、および仕上げ圧延を含む意味である。従って、これらの一連の工程において、その圧延温度が上記の範囲であることが好ましい。こうした温度範囲で熱間圧延することによって、所定形状の熱間圧延材(線材・棒鋼)とされる。
上記熱間圧延を終了した後は、水等を媒体として急冷を行い、その後制御冷却を行う。上記急冷後は線材・棒鋼の表面が復熱によって温度が上昇するが、温度上昇量も含めて上記温度範囲とする必要がある。この温度が900℃未満になると、線材・棒鋼の表面が急冷後の復熱により再結晶したとしてもフェライト組織が微細になってしまい、均一な組織が得られなくなる。一方、制御冷却開始温度が975℃を超えると、冷却後のスケールが厚くなり過ぎて、部分的に剥がれが生じ、その後の伸線において良好な表面性状が得られなくなる。
上記制御冷却開始温度(900〜975℃)から、600〜500℃の温度まで冷却するときの平均冷却速度は、0.1〜10℃/秒の範囲とする必要がある。これは熱間圧延材(線材・棒鋼)の強度を確保するためである。即ち、この冷却速度が0.1℃/秒未満となると、冷却制御が困難となり、10℃/秒を超えるとベイニティックフェライトの生成や結晶粒が安定しなくなるといった事が生じやすくなる。この冷却速度の好ましい下限は0.5℃/秒であり、好ましい上限は3℃/秒である。尚、冷却終了温度はフェライト主体の組織にするために600℃以下とする必要があるが、安定したスケール組織を得るという観点から、500℃以上とする必要がある。
減面率(%)=[1−(D1/D0)2]×100 …(2)
但し、D1:引抜き加工後の線材・棒鋼の直径(mm)
D0:引抜き加工前の線材・棒鋼(即ち鋼線)の直径(mm)
比ねじり角θ1(rad/mm)=θ0/L …(3)
但し、θ0:ねじり角[rad:a(deg)/360×2π]、L:標点距離(mm)
捻回値(100D換算)=[ねじれ回数/(標点距離/D1)]×100…(4)
但し、D1:伸線後の線材(鋼線)の直径(mm)
Claims (3)
- C:0.002〜0.02%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.3%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%およびP:0.001〜0.020%を夫々含有すると共に、S:0.020%以下(0%を含まない)、Al:0.02%以下(0%を含む)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部が鉄および不可避不純物からなり、ミクロ組織がフェライト:99面積%以上の組織であると共に、最表面のフェライト粒度番号(A)が3.0〜7.0未満、D/4部(D:線材・棒鋼の直径)におけるフェライト粒度番号(B)が3.0〜7.0未満であり、且つこれら粒度番号(A)および(B)には下記(1)式の関係があることを特徴とする低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼。
|(A)−(B)|≦0.5…(1) - 請求項1に記載の線材・棒鋼を製造するに当り、上記化学成分組成を満足する鋼片を、975〜1200℃の温度に加熱して950〜1150℃の温度範囲で熱間圧延を施して所定形状の熱間圧延材とし、次いで900〜975℃の温度範囲から冷却速度:0.1〜10℃/秒で600〜500℃の温度範囲まで制御冷却することを特徴とする低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼の製造方法。
- 請求項2の製造方法によって得られた熱間圧延線材・棒鋼の表面を、化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:2〜15%で引抜き加工する製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007296010A JP4976985B2 (ja) | 2007-11-14 | 2007-11-14 | 低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007296010A JP4976985B2 (ja) | 2007-11-14 | 2007-11-14 | 低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009120906A true JP2009120906A (ja) | 2009-06-04 |
JP4976985B2 JP4976985B2 (ja) | 2012-07-18 |
Family
ID=40813375
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007296010A Active JP4976985B2 (ja) | 2007-11-14 | 2007-11-14 | 低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4976985B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019173068A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 株式会社神戸製鋼所 | シートベルトトーションバー用鋼材、シートベルトトーションバー用鋼材の製造方法及びシートベルトトーションバー部品 |
JP2020509175A (ja) * | 2016-12-13 | 2020-03-26 | ポスコPosco | 強度及び軟性に優れた低合金鋼板 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10306345A (ja) * | 1997-04-28 | 1998-11-17 | Kobe Steel Ltd | 歪時効特性に優れた冷間鍛造用線材・棒鋼およびその製造方法 |
JP2000239795A (ja) * | 1999-02-25 | 2000-09-05 | Kobe Steel Ltd | 軟化焼鈍特性に優れた圧延線材 |
JP2001342544A (ja) * | 2000-02-18 | 2001-12-14 | Kobe Steel Ltd | 室温及び加工発熱領域の変形抵抗の上昇が抑制された線状または棒状鋼、および機械部品 |
-
2007
- 2007-11-14 JP JP2007296010A patent/JP4976985B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10306345A (ja) * | 1997-04-28 | 1998-11-17 | Kobe Steel Ltd | 歪時効特性に優れた冷間鍛造用線材・棒鋼およびその製造方法 |
JP2000239795A (ja) * | 1999-02-25 | 2000-09-05 | Kobe Steel Ltd | 軟化焼鈍特性に優れた圧延線材 |
JP2001342544A (ja) * | 2000-02-18 | 2001-12-14 | Kobe Steel Ltd | 室温及び加工発熱領域の変形抵抗の上昇が抑制された線状または棒状鋼、および機械部品 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020509175A (ja) * | 2016-12-13 | 2020-03-26 | ポスコPosco | 強度及び軟性に優れた低合金鋼板 |
JP2019173068A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 株式会社神戸製鋼所 | シートベルトトーションバー用鋼材、シートベルトトーションバー用鋼材の製造方法及びシートベルトトーションバー部品 |
JP7034794B2 (ja) | 2018-03-27 | 2022-03-14 | 株式会社神戸製鋼所 | シートベルトトーションバー用鋼材、シートベルトトーションバー用鋼材の製造方法及びシートベルトトーションバー部品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4976985B2 (ja) | 2012-07-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4018905B2 (ja) | 機械構造用熱間圧延線材・棒鋼およびその製造方法 | |
JP4650006B2 (ja) | 延性および伸びフランジ性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP5812048B2 (ja) | 焼入れ性および加工性に優れる高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
US20100212786A1 (en) | High-Strength Steel Wire Excellent In Ductility and Method of Manufacturing the Same | |
CN102741441A (zh) | 冷锻性优良的钢丝及其制造方法 | |
WO2001048257A1 (fr) | Produit en barre ou en fil a utiliser dans le forgeage a froid et procede de production de ce produit | |
JP7339339B2 (ja) | 冷間加工性及びssc抵抗性に優れた超高強度鋼材及びその製造方法 | |
JP5913214B2 (ja) | ボルト用鋼およびボルト、並びにそれらの製造方法 | |
JP6065121B2 (ja) | 高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
KR101449111B1 (ko) | 강도와 연성이 우수한 강선재 및 그 제조방법 | |
JP3598868B2 (ja) | 熱間圧延線材の製造方法 | |
JP2003147485A (ja) | 加工性に優れた高靭性高炭素鋼板およびその製造方法 | |
JP6460883B2 (ja) | 加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法 | |
JP2004027334A (ja) | 高周波焼もどし用鋼およびその製造方法 | |
JP6977880B2 (ja) | 高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP3572993B2 (ja) | 鋼線材、鋼線及びその製造方法 | |
JP2004190127A (ja) | 球状化炭化物組織を有する軸受け用線材・棒鋼およびその製造方法 | |
JP3474545B2 (ja) | 機械部品 | |
WO2012011598A1 (ja) | ファインブランキング性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP5332410B2 (ja) | 浸炭用鋼材の製造方法 | |
JP4976985B2 (ja) | 低温ねじれ特性に優れた線材・棒鋼の製造方法 | |
JP4974285B2 (ja) | 加工性に優れた中・高炭素鋼板及びその製造方法 | |
WO2020090149A1 (ja) | ボルト用鋼及びその製造方法 | |
JP4976986B2 (ja) | 低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法 | |
JP2001131697A (ja) | 鋼線材、鋼線及びそれらの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090929 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111220 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120220 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120410 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120413 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4976985 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420 Year of fee payment: 3 |