JP4976986B2 - 低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法 - Google Patents
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Cは、鋼線の必要強度(引張強度TS:300〜350MPa)を確保する上で必要な元素である。C含有量が0.02%未満では、球状化焼鈍しても球状化する炭化物が得られないため、安定した強度が得られない。しかしながら、C含有量が0.10%を超えると、延性が急激に低下し、安定した変形能[絞り:85%以上、捻回値150回以上(100D換算)]が得られない。尚、C含有量の好ましい下限は0.03%(より好ましくは0.04%)であり、好ましい上限は0.08%(より好ましくは0.07%である)。
Siは、脱酸剤および固溶強化として有効に作用する元素であるが、本発明においては、Siを含有させると延性が低下して、特に絞り:85%以上が得られなくなるので、0.3%以下(好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下)と定めた。
Mnは、脱酸剤として有効に作用すると共に、鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化を抑制する効果を発揮する。こうした効果を発揮させるためには、Mnは0.1%以上(好ましくは0.2%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、圧延後のパーライト面積率が高くなり、球状化組織が悪くなるので、Mn含有量は0.5%以下(好ましくは0.4%以下)と定めた。
Alは、脱酸を目的として使用される他、固溶Nを補足してAlNを形成し、こうしたAlNの存在によって、結晶粒を安定化させる効果がある(フェライトの結晶粒を均一化させる)。そのため、Al含有量を、0.01〜0.06%と定めた。
Pは、加工硬化に寄与する元素であり(後記捻回値向上原理参照)、その効果を発揮させるためには0.001%以上含有させることが有用である。しかしながら、P含有量が過剰になると変形能が却って低下するので0.020%以下とする必要がある。
Sは、主にMnSの硫化物系介在物を形成し、鋼材の変形能を低下させることから、その量は少ないほど好ましい。そこでS含有量は、0.020%以下(好ましくは0.01%以下)と定めた。しかしながら、Sは鋼の製造で不可避的に混入する不純物であり、工業的にその量を0%にすることは困難である。
上記のようにNは、Al等と窒化物を形成して、結晶粒を微細化するのに加え、Al等によって固定されなかったNは固溶Nとして鋼中に残存し、歪み時効による変形抵抗の増加を引き起こす原因になる。こうした観点から、N含有量はできるだけ少なく抑えるべきであるが、鋼材製造の実操業面も考慮し、且つ前記弊害を実質的に無視し得る程度に抑えることのできる0.01%を上限値として定めた(好ましくは、0.007%以下)。
本発明の鋼線を得るには、熱間圧延にて線材や棒鋼に圧延した後、化学的(酸洗い)または機械的(ショット)により脱スケールし、被膜処理(石灰、化成被膜等)した後、減面率:10〜30%で引抜き加工を行う必要がある。このときの減面率を10〜30%とするのは、(1)組織中のパーライトに歪みの導入または分断を行うことによって、球状化炭化物の生成を促進させるだけでなく、(2)初期に真円にすることにより焼鈍後の引き抜き減面率を下げても寸法精度を高める効果が得られるからである。
上記引抜き加工を行って得られた鋼線は、その後球状化焼鈍が行われるのであるが、このときの加熱温度(均熱温度)は720〜740℃とする必要がある。このときの加熱温度が720℃よりも低くなると、炭化物が溶けないので、その後炭化物が凝集しなくなる(均一な球状化焼鈍組織が得られなくなる)。またこの温度が740℃を超えると、炭化物が完全に溶けきってしまった状態となり、冷却中に再生パーライトが生成しやすくなるため、良好な延性が得られなくなる。尚、加熱するときの時間については、球状化焼鈍の効果を安定して発揮させるためには、少なくとも2時間以上は必要となるが、8時間を超えても品質上変化がなく無意味となる。
上記の温度範囲に加熱した後は、適切な冷却速度で冷却することによって、球状化した炭化物を均一に生成させるが、こうした効果を発揮させるためには、加熱後の冷却速度は少なくとも5℃/時間であることが必要である。またこのときの冷却速度が5℃/時間未満では、生産性が低下することにもなる。しかしながら、この冷却速度が速くなって15℃/時間を超えると炭化物が球状化する時間が短いので、冷却中に再生パーライトが生成しやすくなるため、良好な延性が得られなくなる。この冷却速度の好ましい下限は7℃/時間(より好ましくは9℃/時間)であり、好ましい上限は13℃/時間(より好ましくは11℃/時間)である。尚、冷却終了温度は、変態完了という観点から680〜650℃の範囲とする必要がある。
上記のような球状化焼鈍を行った鋼線に対して、化学的(酸洗い)または機械的(ショット)により脱スケールし、皮膜処理(石灰、化成皮膜等)した後、減面率:2〜15%で引抜き加工を行う。こうした引抜き加工を施すことによってその後の鋼線は、所定の寸法に加工されるだけでなく、ねじれ特性、特に低温および常温でねじり試験を行ったときに均一にねじれるという効果が発揮されるものとなる。即ち、このときの引抜き加工時の減面率が2%未満になると、真円の鋼線サイズが得られないばかりか、良好なねじれ特性が発揮されず、減面率が15%を超えると常温でのねじれ特性が著しく劣化することになる。この減面率のより好ましい下限は3%であり、より好ましい上限は10%である。尚、減面率とは、下記(2)式によって規定されるものである。
減面率(%)=[1−(D1/D0)2]×100 …(2)
但し、D1:引抜き加工後の鋼線の直径(mm)
D0:引抜き加工前の鋼線(または線材・棒鋼)の直径(mm)
比ねじり角θ1(rad/mm)=θ0/L …(3)
但し、θ0:ねじり角[rad:a(deg)/360×2π]、L:標点距離(ねじり試験を行うときの試験片の長さ:mm)
捻回値(100D換算)=[ねじれ回数/(標点距離/D1)]×100…(4)
但し、D1:伸線後の鋼線の直径(mm)
Claims (1)
- C:0.02〜0.10%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.3%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、Al:0.01〜0.06%およびP:0.001〜0.020%を夫々含有すると共に、S:0.020%以下(0%を含まない)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼片を、熱間圧延を施して所定形状の線材・棒鋼とした後、化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:10〜30%で引抜き加工を行い、引き続き均等温度:720〜740℃で2〜8時間、その後冷却速度:5〜15℃/時間で680〜650℃まで冷却する球状化焼鈍を行い、その後化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:2〜15%で引抜き加工を行うことによって、鋼線のミクロ組織がフェライト素地全面に球状化炭化物を有する組織であり、且つ球状化炭化物の球状化組織の程度がJIS G 3507−2に規定されるNo.1〜2であるものとすることを特徴とする低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法。
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