JP4976986B2 - 低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法 - Google Patents

低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、変形能、特に低温ねじれ特性に優れる鋼線、およびその製造方法に関するものである。本発明の鋼線は、伸線、冷間鍛造、冷間圧造、冷間転造等の加工によって、例えば特殊ねじ部品等の機械部品、電装部品を製造するのに有用なものであるが、特に優れた低温ねじれ特性を生かしたシートベルト用のトーションバーの素材として有用なものである。
冷間加工は、熱間加工や切削加工に比べて生産性が高いうえに、鋼材の歩留まりも良好なことから、ボルト、ねじ、ナット等の機械部品や電装部品を効率良く製造する方法として汎用されている。このような冷間加工に使用される鋼は、優れた冷間加工性を発揮することが要求される。
冷間加工性の具体的な指標としては、冷間加工時の変形抵抗が低く、且つ変形能[延性(伸び、絞り、捻回値)]が高いことが重要である。鋼の変形抵抗が高いと冷間加工に使用する工具の寿命が低下してしまい、一方変形能が低いと冷間加工時に割れが発生しやすくなる。
近年、冷間加工技術、特に冷間鍛造技術の向上に伴って、より複雑且つ精密な鍛造部品が求められるようになっており、それだけ鍛造部品で使用される鋼材についても、より高い機能が求められるようになっている。
ところで、シートベルト用のトーションバーは、車の衝突等における緊急時に搭乗者の衝突エネルギーを、トーションバーがねじられることによって保護する機能を発揮するものである(例えば、特許文献1)。こうしたトーションバーにおいても、近年、冷間鍛造によって生産されるようになっており、高い変形能、特に−40℃程度の低温から常温までで高い捻回値を実現すること(以下、この特性を「低温ねじれ特性」と呼ぶ)が要求されている。
トーションバーに用いられる鋼材として、素材の成分面や組織面を調整することによって、変形能を高めるための各種技術も提案されている。こうした技術として、例えば特許文献2には、炭素含有量を0.04%以下の鋼材をトーションバーの素材として用いることが提案されている。また特許文献3には、冷間鍛造条件を工夫して表面硬度を中心部よりも低くすることによって、鋼材の変形能を高める技術も提案されている。
一方、特許文献4には、C含有量を低減(0.002〜0.05%)すると共に、AlとNbの添加によって固溶Nを低減し、更に延性を高めるために、Pを低減すると共にBを添加することによって、Pの粒界偏析を防止する技術も提案されている。
また、特許文献5には、組織をフェライトまたはフェライト・パーライトとすると共に、フェライト結晶粒界の全長に対するセメンタイトが析出した粒界の長さの割合を30%以下とすることによって、変形能を向上させる技術が開示されている。この技術では、こうした組織に制御するために、圧延後の冷却を速めたり、炭化物生成元素を添加することによって、低温での高速引張試験での破断伸びを向上させるものである。
実公昭61−11085号公報 特開2001−122077号公報 特開2001−163178号公報 特開2003−313626号公報 特開2006−22379号公報
上述のように、成分面や組織面で低温を含めた延性の改善が中心になされており、これによって延性の向上による変形能の改善がなされている。しかしながら、これまでの技術ではねじれの現象を正確に捉えているとは言えず、捻回値で評価される低温ねじれ特性については、必ずしも良好な特性が得られているとは限らないのが実情である。
即ち、引張試験のように破断する部分だけの延性向上を図るだけでは、低温ねじれ特性を必ずしも改善できるとは限らず、低温ねじれ特性を良好にするには、ねじれ部全長に亘って均一な延性が必要となるのであるが、こうした点から改善された技術は存在しないのである。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、−40℃から常温において、優れたねじれ特性を発揮し、特にシートベルト用のトーションバーの素材として有用な鋼線、およびこうした鋼線を製造するための有用な方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の鋼線とは、C:0.02〜0.10%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.3%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、Al:0.01〜0.06%およびP:0.001〜0.020%を夫々含有すると共に、S:0.020%以下(0%を含まない)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部が鉄および不可避不純物からなり、ミクロ組織がフェライト素地全面に球状化炭化物を有する組織であり、且つ球状化炭化物の球状化組織の程度がJIS G 3507−2に規定されるNo.1〜2である点に要旨を有するものである。
上記のような鋼線を製造するに当り、上記化学成分組成を満足する鋼片を、熱間圧延を施して所定形状の線材・棒鋼とした後、化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:10〜30%で引抜き加工を行い、引き続き均等温度:720〜740℃で2〜8時間、その後冷却速度:5〜15℃/時間で680〜650℃まで冷却する球状化焼鈍を行い、その後化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:2〜15%で引抜き加工を行うようにすれば良い。
本発明によれば、化学成分組成およびその組織を適切に制御すると共に、その組織の球状化をできるだけ促進した均一組織とすることによって、低温ねじれ特性が極めて良好な鋼線が実現でき、こうした鋼線は特殊ねじ部品や電装部品の素材として、特にシートベルトに用いられるトーションバーの素材として有用である。
本発明者は、機械部品として最低限要求される強度(引張強度TSで300〜350MPa)を確保しつつ、良好な冷間加工性、特に優れた変形能[絞り:85%以上、捻回値:150回以上(100D換算)]を発揮する鋼線を目指して様々な角度から検討した。
そして上記のような優れた変形能を発揮させるためには、(a)球状化をできるだけ促進した均一組織とすること、(b)合金元素はできるだけ含有させない化学成分組成とすること、等が有効であるとの知見が得られた。そして、こうした知見に基づいて、更に検討を重ねた。その結果、上記のような要件を満足するような鋼線では上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明で規定する各要件について順次説明する。
本発明の鋼線では、組織としてフェライト素地全面に球状化炭化物を有する組織であり、且つ球状化炭化物の球状化組織の程度がJIS G 3507−2に規定されるNo.1〜2の組織であることも重要である。JIS G 3507−2に規定されるNo.1〜2の組織とは、球状化組織の程度が、網目状の炭化物が消滅した状態までになった均一な組織を意味し、こうした組織とすることによって良好な変形能が発揮されるのである。これに対して、球状化組織の程度がJIS G 3507−2に規定されるNo.3〜4の組織であると、球状化炭化物(主にFe3C)が網目状に存在することになって、組織の均一化が達成されず、良好な変形能が発揮されなくなる。
こうした組織を満足させることによって、化学成分組成との関係とも相俟って良好な変形能[絞り:85%以上、捻回値:150回以上(100D換算)]を達成させることができる(捻回値向上原理については後述する)。
本発明の鋼線では、その化学成分組成(C,Si,Mn,Al,P,S,N等)も適正に制御する必要があるが、これらの範囲限定理由は次の通りである。
[C:0.02〜0.10%]
Cは、鋼線の必要強度(引張強度TS:300〜350MPa)を確保する上で必要な元素である。C含有量が0.02%未満では、球状化焼鈍しても球状化する炭化物が得られないため、安定した強度が得られない。しかしながら、C含有量が0.10%を超えると、延性が急激に低下し、安定した変形能[絞り:85%以上、捻回値150回以上(100D換算)]が得られない。尚、C含有量の好ましい下限は0.03%(より好ましくは0.04%)であり、好ましい上限は0.08%(より好ましくは0.07%である)。
[Si:0.3%以下(0%を含まない)]
Siは、脱酸剤および固溶強化として有効に作用する元素であるが、本発明においては、Siを含有させると延性が低下して、特に絞り:85%以上が得られなくなるので、0.3%以下(好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下)と定めた。
[Mn:0.1〜0.5%]
Mnは、脱酸剤として有効に作用すると共に、鋼中のSと結合してMnSを形成することにより、Sによる脆化を抑制する効果を発揮する。こうした効果を発揮させるためには、Mnは0.1%以上(好ましくは0.2%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、圧延後のパーライト面積率が高くなり、球状化組織が悪くなるので、Mn含有量は0.5%以下(好ましくは0.4%以下)と定めた。
[Al:0.01〜0.06%]
Alは、脱酸を目的として使用される他、固溶Nを補足してAlNを形成し、こうしたAlNの存在によって、結晶粒を安定化させる効果がある(フェライトの結晶粒を均一化させる)。そのため、Al含有量を、0.01〜0.06%と定めた。
[P:0.001〜0.020%]
Pは、加工硬化に寄与する元素であり(後記捻回値向上原理参照)、その効果を発揮させるためには0.001%以上含有させることが有用である。しかしながら、P含有量が過剰になると変形能が却って低下するので0.020%以下とする必要がある。
[S:0.020%以下(0%を含まない)]
Sは、主にMnSの硫化物系介在物を形成し、鋼材の変形能を低下させることから、その量は少ないほど好ましい。そこでS含有量は、0.020%以下(好ましくは0.01%以下)と定めた。しかしながら、Sは鋼の製造で不可避的に混入する不純物であり、工業的にその量を0%にすることは困難である。
[N:0.01%以下(0%を含む)]
上記のようにNは、Al等と窒化物を形成して、結晶粒を微細化するのに加え、Al等によって固定されなかったNは固溶Nとして鋼中に残存し、歪み時効による変形抵抗の増加を引き起こす原因になる。こうした観点から、N含有量はできるだけ少なく抑えるべきであるが、鋼材製造の実操業面も考慮し、且つ前記弊害を実質的に無視し得る程度に抑えることのできる0.01%を上限値として定めた(好ましくは、0.007%以下)。
本発明の鋼板の基本成分組成は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物(例えば、Cu,Ni,Cr,Mo,Sn)が鋼板中に含まれることは、当然に許容される。但し、こうした不純物は延性の低下を招かないためには、いずれも0.1%以下に抑制すべきである。
本発明では、鋼の化学成分組成を適正に調整することに加えて、製造条件(特に熱間圧延後の引抜き条件および球状化焼鈍条件等)を制御することによって、上記のような組織を有する鋼線とするものであるが、本発明の製造方法における各条件を詳細に説明する。尚、下記の各条件において、各温度(加熱温度、圧延温度)は、放射温度計によって測定した値であり、従って温度管理位置は「鋼材表面」である。また熱間圧延条件については、通常の条件に従って行えばよい(例えば、熱間圧延時の鋼片の加熱温度:900〜1200℃程度、熱間圧延仕上げ温度:800〜1000℃程度)。
〈熱間圧延後の引抜き加工時の減面率:10〜30%〉
本発明の鋼線を得るには、熱間圧延にて線材や棒鋼に圧延した後、化学的(酸洗い)または機械的(ショット)により脱スケールし、被膜処理(石灰、化成被膜等)した後、減面率:10〜30%で引抜き加工を行う必要がある。このときの減面率を10〜30%とするのは、(1)組織中のパーライトに歪みの導入または分断を行うことによって、球状化炭化物の生成を促進させるだけでなく、(2)初期に真円にすることにより焼鈍後の引き抜き減面率を下げても寸法精度を高める効果が得られるからである。
〈球状化焼鈍加熱温度:720〜740℃〉
上記引抜き加工を行って得られた鋼線は、その後球状化焼鈍が行われるのであるが、このときの加熱温度(均熱温度)は720〜740℃とする必要がある。このときの加熱温度が720℃よりも低くなると、炭化物が溶けないので、その後炭化物が凝集しなくなる(均一な球状化焼鈍組織が得られなくなる)。またこの温度が740℃を超えると、炭化物が完全に溶けきってしまった状態となり、冷却中に再生パーライトが生成しやすくなるため、良好な延性が得られなくなる。尚、加熱するときの時間については、球状化焼鈍の効果を安定して発揮させるためには、少なくとも2時間以上は必要となるが、8時間を超えても品質上変化がなく無意味となる。
〈加熱後の冷却速度:5〜15℃/時間、冷却終了温度:680〜650℃〉
上記の温度範囲に加熱した後は、適切な冷却速度で冷却することによって、球状化した炭化物を均一に生成させるが、こうした効果を発揮させるためには、加熱後の冷却速度は少なくとも5℃/時間であることが必要である。またこのときの冷却速度が5℃/時間未満では、生産性が低下することにもなる。しかしながら、この冷却速度が速くなって15℃/時間を超えると炭化物が球状化する時間が短いので、冷却中に再生パーライトが生成しやすくなるため、良好な延性が得られなくなる。この冷却速度の好ましい下限は7℃/時間(より好ましくは9℃/時間)であり、好ましい上限は13℃/時間(より好ましくは11℃/時間)である。尚、冷却終了温度は、変態完了という観点から680〜650℃の範囲とする必要がある。
〈球状化焼鈍後の引抜き加工時の減面率:2〜15%〉
上記のような球状化焼鈍を行った鋼線に対して、化学的(酸洗い)または機械的(ショット)により脱スケールし、皮膜処理(石灰、化成皮膜等)した後、減面率:2〜15%で引抜き加工を行う。こうした引抜き加工を施すことによってその後の鋼線は、所定の寸法に加工されるだけでなく、ねじれ特性、特に低温および常温でねじり試験を行ったときに均一にねじれるという効果が発揮されるものとなる。即ち、このときの引抜き加工時の減面率が2%未満になると、真円の鋼線サイズが得られないばかりか、良好なねじれ特性が発揮されず、減面率が15%を超えると常温でのねじれ特性が著しく劣化することになる。この減面率のより好ましい下限は3%であり、より好ましい上限は10%である。尚、減面率とは、下記(2)式によって規定されるものである。
減面率(%)=[1−(D1/D02]×100 …(2)
但し、D1:引抜き加工後の鋼線の直径(mm)
0:引抜き加工前の鋼線(または線材・棒鋼)の直径(mm)
球状化焼鈍後の引抜き加工時に減面率を上記の範囲とすると、ねじったときに生じるトルクが、下記(3)式で示される比ねじり角θ1が0.0105〜0.063(rad/mm)の範囲において、ねじり角θ0の増加と共に増加することが、ねじれ特性向上に重要な要件となる。即ち、こうしたトルクの上昇は、加工硬化現象が生じていることを意味しており、ねじれが確実に伝播している。これに対して、上記の比ねじり角θ1の範囲でトルクが低下する、或はその増加量が微小(1.0%以内)であれば、加工硬化が生じずにねじれるので、低温および常温においてねじれた部分が発熱によって軟化することになって、ねじれが伝播せずに集中して早期に破断することになる。
比ねじり角θ1(rad/mm)=θ0/L …(3)
但し、θ0:ねじり角[rad:a(deg)/360×2π]、L:標点距離(ねじり試験を行うときの試験片の長さ:mm)
こうした状況を、図面を用いて説明する。図1は、ねじったときに生じるトルクT1、T2が、比ねじり角θ1が0.0105〜0.063の範囲において、ねじり角θ0の増加と共に増加する場合を示したグラフである。T1はねじり角θ0が30°(1/12rad)のとき(即ち、標点距離を50mmとしたときの比ねじり角θ1が0.0105のとき)のトルクを示しており、T2はねじり角θ0が180°(1/2rad)のとき(即ち、標点距離を50mmとしたときの比ねじり角θ1が0.063のとき)のトルクを示している。図1に示した状態は、鋼線が加工硬化しながらねじれる状態を示したものである(即ち、T1<T2)。こうした状況であると、ねじれが確実に鋼線全体に伝播され、良好なねじれ特性が発揮されることになる。
図2は、ねじったときに生じるトルクT1、T2が、比ねじり角θ1が0.0105〜0.063の範囲において、ねじり角θ0の増加と共に増加しない場合を示したグラフである。T1、T2の意味は、上記と同じである。即ち、図2に示した状況は、ねじれ初期にトルクが停滞する状態を示したものである(即ち、T1≧T2)。こうした状況であると、ねじれが一部に集中して、早期に破断しやすい状態となって良好なねじれ特性が発揮されないことになる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す化学成分組成からなるa〜dの供試鋼を用い、通常の条件で熱間圧延を行って(熱間圧延温度:800〜1000℃、仕上げ温度:800〜1000℃)、各種の線材を製造した。得られた線材について、下記表2に示す条件で引抜き加工(伸線)および球状化焼鈍を行って鋼線とした。得られた鋼線について、そのミクロ組織(鋼線の直径Dの1/4部)を光学顕微鏡によって観察し、JIS G 3507−2に従ってその球状化番号を評価(標準組織写真と比較)すると共に、JIS Z2201 9号試験片を採取して引張試験を行い、引張強度(TS)および絞りを測定した。その結果を、表2に併記する。その後、各鋼線について、各種減面率で引抜き加工(伸線加工)を行った。このときの伸線後の寸法(直径:伸線寸法)および伸線減面率(最終伸線減面率)を表2に併記する。尚、供試鋼c、dは、夫々JIS SWRCH45K相当鋼、JIS SWRCH20A相当鋼であり、いずれもC含有量が多いものである。
引き続き、上記伸線材について、常温(室温)および低温(−40℃)でのねじり試験を行った。このとき、室温でのねじり試験は、標点距離(鋼線の長さ):50mm、回転速度:1rpmとし、前記したトルクT1(比ねじり角θ1が0.0105のときのトルク)およびトルクT2(比ねじり角θ1が0.063のときのトルク)を測定すると共に、これらの差[(T2−T1)/T1]×100(%)を測定した(室温低速ねじれ特性)。
また低温(−40℃)でのねじり試験は、鋼線をドライアイスで冷却して−40℃とすると共に、標点距離(線材の長さ):50mm、回転速度:100rpmとし、下記(4)式によって求められる捻回値(100D換算)を測定した。尚、下記(4)式によって求められる捻回値は、鋼線の直径Dを100mmとしたときの換算値(100D換算)となるものである(低温高速ねじれ特性)。
捻回値(100D換算)=[ねじれ回数/(標点距離/D1)]×100…(4)
但し、D1:伸線後の鋼線の直径(mm)
ねじり試験結果を下記表3に示すが、本発明で規定する要件を満足するものでは(試験No.1,2)、良好なねじれ特性が発揮されていることが分かる。これに対して、本発明で規定する要件(或は好ましい要件)を外れるものでは(試験No.3,4,5)、室温低速ねじれ特性および低温高速ねじれ特性の少なくともいずれかの特性が劣化していることが分かる。
これらの結果に基づいて、ねじれ回数(前記図1、2に示した「回転数」と同じ意味)とトルクの増加量の関係を示す。図3は、試験No.2におけるねじれ回数とトルクの関係を示したものである[図3(a)はねじれ回数が1回(即ち、ねじり角θ0が360°まで)、図3(b)はねじれ回数が7回まで]。図4は、試験No.3におけるねじれ回数とトルクの関係を示したものである[図4(a)はねじれ回数が1回(即ち、ねじり角θ0が360°まで)、図4(b)はねじれ回数が7回まで]。
本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.2)では、ねじり角θ0の増加と共に増加していることが分かる(前記図1参照)。これに対して、本発明で規定する要件を満足しないもの(試験No.3)では、ねじれ初期にトルクが停滞していることが分かる(前記図2参照)。
参考までに、試験No.1の鋼線における組織の光学顕微鏡写真を、図5(図面代用写真)に、試験No.5の鋼線における組織の光学顕微鏡写真を図6(図面代用写真)に示すが、本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.1のもの)では、球状化の程度が進んで均一な組織が得られていることが分かる。
ねじったときに生じるトルクT1、T2が、ねじり角θ0の増加と共に増加する場合を示したグラフである。 ねじったときに生じるトルクT1、T2が、ねじり角θ0の増加と共に増加しない場合を示したグラフである。 試験No.2におけるねじれ回数とトルクの関係を示したグラフである。 試験No.3におけるねじれ回数とトルクの関係を示したグラフである。 試験No.1の鋼線における組織を示す図面代用光学顕微鏡写真である。 試験No.5の鋼線における組織を示す図面代用光学顕微鏡写真である。

Claims (1)

  1. C:0.02〜0.10%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.3%以下(0%を含まない)、Mn:0.1〜0.5%、Al:0.01〜0.06%およびP:0.001〜0.020%を夫々含有すると共に、S:0.020%以下(0%を含まない)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼片を、熱間圧延を施して所定形状の線材・棒鋼とした後、化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:10〜30%で引抜き加工を行い、引き続き均等温度:720〜740℃で2〜8時間、その後冷却速度:5〜15℃/時間で680〜650℃まで冷却する球状化焼鈍を行い、その後化学的または機械的に脱スケールし、更に皮膜処理を施した後、減面率:2〜15%で引抜き加工を行うことによって、鋼線のミクロ組織がフェライト素地全面に球状化炭化物を有する組織であり、且つ球状化炭化物の球状化組織の程度がJIS G 3507−2に規定されるNo.1〜2であるものとすることを特徴とする低温ねじれ特性に優れた鋼線の製造方法
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