JP5668547B2 - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
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Cは、鋼の強度を高める効果を有する元素である。Cの含有量が0.10%未満の場合、所望の強度を得るためには低温の焼戻しを必要とするが、その結果、靭性の低下をまねく。一方、Cの含有量が0.20%を超えると、溶接性が著しく低下する。従って、C含有量は0.10〜0.20%とした。C含有量の好ましい下限値は0.12%、より好ましい下限値は0.13%である。また、C含有量の好ましい上限値は0.18%である。
Siは、脱酸作用を有する元素である。また、この元素は、鋼の焼入れ性を高めて、強度を向上させる元素である。この効果を得るためにはSiが0.05%以上含まれていることが必要である。しかし、その含有量が1.0%を超えると、靭性および溶接性が低下する。従って、Siの含有量は、0.05〜1.0%とした。Si含有量の好ましい下限値は0.1%、より好ましい下限値は0.15%である。また、好ましい上限値は0.6%、より好ましい上限値は0.50%である。
Mnは、脱酸作用を有する元素である。また、この元素は、鋼の焼入れ性を高めて強度を向上させる元素である。この効果を得るためにはMnを0.05%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が1.2%を超えると、靭性が低下する。従って、Mnの含有量を0.05〜1.2%とした。Mn含有量の好ましい下限値は0.30%である。また、好ましい上限値は1.1%である。
Crは、鋼の焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高めて強度を向上させるのに有効な元素である。引張強度950MPa以上の高強度鋼管において、その効果を発揮させるためには0.50%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が1.50%を超えると、靭性の低下を招く。従って、Crの含有量は0.50〜1.50%とした。Cr含有量の好ましい下限値は0.60%であり、より好ましい下限値は0.8%である。また、Cr含有量の好ましい上限値は1.40%である。
Moは、鋼の焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高めて強度を向上させるのに有効な元素である。引張強度950MPa以上の高強度鋼管において、その効果を発揮させるためには0.50%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が1.50%を超えると、靭性の低下を招く。従って、Moの含有量は0.50〜1.50%とした。Mo含有量の好ましい下限値は0.70%である。また、Mo含有量の好ましい上限値は1.0%である。
Nbは、高温域で炭窒化物を形成して、結晶粒の粗大化を抑制し、靭性を向上させる効果のある元素である。その効果を得るためには、Nbを0.002%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が0.10%を超えると、炭窒化物が粗大になりすぎて、かえって靭性を低下させる。従って、Nb含有量を0.002〜0.10%とした。なお、Nb含有量の好ましい上限値は0.05%である。
Alは、脱酸作用を有する元素である。この元素は、鋼の靱性および加工性を高める効果がある。この効果を得るためには、0.005%以上含有させる必要がある。しかし、その含有量が0.10%を超えると、地疵の発生が著しくなる。従って、Al含有量を0.005〜0.10%とした。なお、Al含有量の好ましい上限値は、0.05%である。ここで、本発明にいうAl含有量とは、酸可溶Al(いわゆるsol.Al)の含有量を指す。
Tiは、焼戻しの際にTi炭化物として析出し、強度を向上させる効果がある。この効果を得るためには、0.003%以上含有させる必要がある。ただし、その含有量が0.050%を越えると、凝固中など高温域で粗大な炭窒化物が形成し、また焼戻し時のTi炭化物の析出量が過剰となるため、靭性が低下する。従って、Ti含有量を0.003〜0.050%とした。
Vは、焼戻しの際にV炭化物として析出し、強度を向上させる効果がある。この効果を得るためには、0.01%以上含有させる必要がある。ただし、その含有量が0.150%を越えると、焼戻し時のV炭化物の析出量が過剰となるため、靭性が低下する。従って、V含有量を0.01%〜0.20%とした。なお、V含有量の好ましい上限は0.15%である。
Ni:0.10%未満
本発明においては、実質的にNiを含有させないことを前提としているので、Niは添加しない。不純物として含有されるとしても、Niの含有量を0.10%未満に制限する必要がある。不純物としてのNiの含有量は、好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.025%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。
なお、本発明においては、不純物としてのNiを0.10%未満に制限しているため、Cuチェッキングが生じやすくなる。したがって、Cuは添加しない。不純物として含有されるとしても、Cuの含有量を0.20%以下に制限する必要がある。不純物としてのCuの含有量は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.01%以下である。
Pは、不純物として鋼中に存在する元素であるが、その含有量が0.025%を越えると靭性が著しく低下するため、不純物としての上限を0.025%とした。好ましい上限は、0.020%である。
Sは、Pと同様に不純物として鋼中に存在する元素であるが、その含有量が0.005%を越えると靭性が著しく低下するため、不純物としての上限を0.005%とした。なお、Sの含有量の好ましい上限は、0.003%である。
Nは、不純物として鋼中に存在する元素であるが、その含有量が0.007%を越えると靭性が著しく低下するため、不純物としての上限を0.007%とした。
Bは、通常、含有させることにより焼入れ性を向上させ、強度を高める効果のある元素である。しかしながら、CrおよびMoが一定量含有されている鋼に、Bが0.0003%以上含有されていると、焼戻し時に粗大な硼化物を形成し、靭性を低下させる。従って、本発明において、Bの不純物としての上限を0.0003%未満とした。
Caは、鋼中のSと反応して硫化物を形成することにより介在物の形態を改善し、鋼の靭性を向上させる効果を有するので必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、その含有量が0.0050%を超えると、鋼中の介在物量が増大し、鋼の清浄度が低下するので、かえって靭性が低下する。従って、Caを含有させる場合には、その含有量を0.0050%以下とするのが好ましい。なお、上記効果を安定的に発現させたい場合には、Caの含有量を0.0005%以上とするのが好ましい。
Mgもまた、鋼中のSと反応して硫化物を形成することにより介在物の形態を改善し、鋼の靭性を向上させる効果を有する。しかしながら、その含有量が0.0050%を超えると、鋼中の介在物量が増大し、鋼の清浄度が低下するので、かえって靭性が低下する。従って、Mgを含有させる場合には、その含有量を0.0050%以下とするのが好ましい。なお、上記効果を安定的に発現させたい場合には、Mgの含有量を0.0005%以上とするのが好ましい。
焼戻し熱処理を施して、製品鋼管を製造した。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.2%、Cr:0.50〜1.50%、Mo:0.50〜1.50%、Nb:0.002〜0.10%、Al:0.005〜0.10%、並びにTi:0.003〜0.050%およびV:0.01〜0.20%の1種または2種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のNiが0.03%以下、Cuが0.20%以下、Pが0.025%以下、Sが0.005%以下、Nが0.007%以下およびBが0.0003%未満の化学成分を有する低合金鋼を熱間製管して、肉厚38mm以上の寸法形状に形成した後、Ac 3 変態点以上に加熱しその後急冷する焼入れとAc 1 変態点未満の温度に加熱する焼戻しを、2回以上行い、引張強度を950MPa以上、降伏強度を850MPa以上、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーを60J以上とすることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
- 質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.2%、Cr:0.50〜1.50%、Mo:0.50〜1.50%、Nb:0.002〜0.10%、Al:0.005〜0.10%、並びにTi:0.003〜0.050%およびV:0.01〜0.20%の1種または2種、並びにCa:0.0005〜0.0050%およびMg:0.0005〜0.0050%のうちの1種または2種を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のNiが0.03%以下、Cuが0.20%以下、Pが0.025%以下、Sが0.005%以下、Nが0.007%以下およびBが0.0003%未満の化学成分を有する低合金鋼を熱間製管して、肉厚38mm以上の寸法形状に形成した後、Ac 3 変態点以上に加熱しその後急冷する焼入れとAc 1 変態点未満の温度に加熱する焼戻しを、2回以上行い、引張強度を950MPa以上、降伏強度を850MPa以上、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーを60J以上とすることを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
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