JP3779584B2 - 変形能に優れた線状または棒状鋼、および機械部品 - Google Patents

変形能に優れた線状または棒状鋼、および機械部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟化熱処理を施すことなく熱間圧延ままでも、変形能に優れ、更には鋼材自体の強度も高い線状または棒状鋼(以下、鋼と略記する場合がある);及び、この様な鋼を用いて得られる変形能に優れた高強度機械部品[引張強さ350〜550N/mm2、絞り80.0%以上、捻回値120回以上(100D換算)]に関するものである。本発明鋼は、冷間鍛造、冷間圧造、伸線、冷間転造等の加工によって、例えばボルト、ねじ、ナット、ソケット、ボールジョイント、インナーチューブ、トーションバー、クラッチケース、ケージ、ハウジング、ハブ、カバー、ケース、受座金、タペット、サドル、バルグ、インナーケース、クラッチ、スリーブ、アウターレース、スプロケット、コアー、ステータ、アンビル、スパイダー、ロッカーアーム、ボディー、フランジ、ドラム、継手、コネクター、プーリー、金具、ヨーク、口金、バルブリフター、スパークプラグ、特殊ねじ部品等の機械部品、電装部品等(以下、機械部品で代表させる場合がある)を製造するのに非常に有用である。
【0002】
【従来の技術】
冷間加工は、熱間加工や切削加工に比べて生産性が高いうえに鋼材の歩留まりも良好なことから、ボルト、ねじ、ナット等の機械部品や電装部品を効率よく製造する方法として汎用されている。
【0003】
従って、この様な冷間加工に使用される鋼は、本質的に冷間加工性に優れていることが要求される。具体的には、冷間加工時の変形抵抗が低く(加工比重が低く)、且つ変形能[延性(伸び、絞り、捻回値)]が高いことが必要である。鋼の変形抵抗が高いと冷間加工に使用する工具の寿命が低下してしまい、一方、変形能が低いと冷間加工時に割れが発生し易くなり、不良品発生の原因になる。
【0004】
従来は、圧延線材または棒鋼を酸洗いにより脱スケールし、皮膜処理した後、冷間引抜き加工により伸線を行ってから(加工率10〜40%)、冷間加工を行うという方法が一般的であった。この方法は、冷間加工率が低く、加工荷重が低い場合には有効である。しかしながら、鍛造部品の複雑化及び精密化への要請に応じて、加工率を上昇させ加工荷重を高めたいときには、上記方法は採用し難く、冷間加工用の工具寿命が短くなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、冷間加工時の加工荷重が高い場合や、冷間加工時に割れが発生する場合には、冷間加工前に、低温焼鈍、焼鈍、球状化焼鈍等の熱処理が実施されており、それにより、鋼材を軟化し、且つ延性を高めた状態で冷間加工する方法が汎用されている。
【0006】
ところが上記熱処理には、数時間〜数十時間の長時間にわたる熱処理を要するという問題を抱えている。従って、生産性の向上や省エネルギー対策、ひいてはコストの低減化を目的として、球状化焼鈍処理等の熱処理の省略が可能な、冷間加工性に優れた線状または棒状鋼の開発が切望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、球状化焼鈍処理を省略したとしても熱間圧延のままで、冷間加工性(特に変形能)、更には鋼材自体の強度も高い線状または棒状鋼;並びに、この様な線状または棒状鋼を用いて得られる機械部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明に係る変形能に優れた線材または棒状鋼(以下、再び鋼で代表させる場合がある)とは、実質的にフェライト組織を有し、圧延材の中心〜直径/4の範囲にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(A)は7.0〜10.0番であり、圧延材の最表層にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(B)は7.0〜10.0番であり、且つ、上記(A)及び(B)は、0≦(B)−(A)≦0.5を満足するところに要旨を有するものである。ここで、変形能[延性(絞り、捻回値)]とは、破壊することなしにどの程度変形しうるかを表す材料の性質のことであり、「変形能(延性)が大きい」とは、「大きな加工度まで割れの生じない」ことを意味するものである。
【0009】
上記本発明鋼の成分は、Cを0.008%以上0.05%未満含有しており、これにより、変形能が著しく高められる。更に、Ti:0.005〜0.025%,及び/又はNb:0.02〜0.07%を含有することにより、鋼材自体としての強度も一層高められたものとなる。また、基本成分としては、Si:0.05〜0.4%,Mn:0.2〜0.9%を含有しており、更に、▲1▼N:0.0015〜0.007%を含有すること、▲2▼Al:0.01〜0.06%,Cr:0.01〜0.3%,P:0.001〜0.02%、S:0.02%以下を満足することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、冷間加工性のなかでも特に変形能(絞り、および捻回値)に着目し、熱間圧延のままで、変形能に優れており、更には鋼材自体としての強度も高い鋼を提供すべく、鋭意検討してきた。具体的には本発明では、絞り80.0%以上;引張強さ350〜550N/mm2、捻回値120回以上(100D換算)を満足する鋼材等の提供を目標レベルとして掲げた。
【0011】
その結果、下記(a)〜(c)の知見に基づき、本発明を完成した。
【0012】
(a)変形能(絞り、および捻回値)を高める為の組織的アプローチとしては、▲1▼線状または棒状鋼の内部を構成している組織をフェライト主体の組織に制御すること;及び、▲2▼変形能を高めて精度良く圧延加工する為には、フェライト結晶粒径をあまり微細化させず、均一にすることが好ましく、具体的には、圧延材の中心〜直径/4の範囲(以下、単に「内部」と呼ぶ場合がある)にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(A)と、圧延材の最表層(以下、単に「表層」と呼ぶ場合がある)にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(B)とを、夫々、7.0〜10.0番の範囲内に制御しつつ、且つ、表層と内部のフェライト粒度番号を実質的に略同一にすることが有効であること;
(b)一方、変形能(絞り、および捻回値)を高める為の化学成分側からのアプローチとしては、C量を極低領域(C<0.05%)に制御することが有効であることを見出した。
【0013】
(c)但し、上記の如く組織や鋼中成分を制御すると、鋼材自体としての強度が低下することから、強度を高めるべく、Ti及び/又はNbを積極的に所定量添加し、フェライト中やフェライト粒界に、TiC,TiNやNb(C,N)等の微細結晶粒を析出させ、強度上昇を図った。
【0014】
尚、本発明と同様、球状化処理を省略したとしても冷間加工性に優れた鋼を製造する方法は、これまでにも種種提案されているが、特に変形能の向上という観点から、上記(a)〜(c)に代表される本発明独自の技術的思想は未だ開示されていない。
【0015】
例えば▲1▼特開昭57−63635には、Ac1変態点以下、Ac1変態点より50℃を下回らない温度に5時間以上保持することによりセメンタイトを充分凝集させると共に、Al量を制御して固溶Nを固定することにより、加工工具寿命の高められた冷間鍛造用棒鋼の製造方法が開示されている。この公報は、「熱間圧延後の温度を所定範囲に保持すればセメンタイトを凝集析出せしめ、強度を低下させることができる」という知見に基づいてなされたものであり、「フェライト粒の粗大化が起ると、冷間鍛造時の割れ発生が起り易くなる」という観点から、鋼中成分を制御するものであり、本発明の如く、表層と内部のフェライト粒度番号を、あまり微細化させること無しに略同一に制御することにより冷間加工性を高めようという思想は全くない。
【0016】
また、▲2▼特開平8−260047には、冷間鍛造で歪時効の原因となる固溶Nを少なくする為にN及びAl/Nを特定して熱間圧延する工程と;熱間圧延の最終段階において所定温度範囲で50%以上の塑性加工を加える加工熱処理工程と;加工熱処理に続く冷却の後、300〜400℃の温度範囲に3時間以上加熱する過時効処理とを包含する冷間鍛造用棒鋼線材の製造方法が開示されている。この公報は、「フェライト粒を微細化した上で、更に長時間の過時効処理を行うことが、歪時効の抑制及び延性の改善に有効である」という知見に基づいてなされたものであり、本発明と同様、変形能に優れ、且つ、強度も高められた線材等の提供を目的とする点で、課題は一致している。しかしながら、上記公報には、前述した本発明の技術的思想は開示されていない。しかも上記公報では、所望の特性を得るに当たり、加工熱処理に続く冷却の後に所定の過時効処理を付加している点で、この様な特別の過時効処理は不要であり、鋼中組織、更には成分組成を制御するという観点から所望の特性を確保する本願発明とは、相違するものである。実際のところ、上記公報では、強度に優れるものの、絞りは50〜75%程度、捻回値もせいぜい100回(100D換算)程度で、本発明で目標とするレベル(絞り:80.0%以上、捻回値120回以上)を確保することはできない。
【0017】
以下、本発明を特定する各要件について説明する。
【0018】
まず、組織に関して言えば、本発明の線状または棒状鋼は、前述した通り、表層と内部のフェライト結晶粒径を、あまり微細化させることなく、略均一にして変形能を高めたところに技術的思想を有するものである。
【0019】
具体的には、線状または棒状鋼の組織を実質的にフェライトとし、圧延材の中心〜直径/4の範囲(内部)にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(A)を7.0〜10.0番、圧延材の最表層(最表層)にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(B)を7.0〜10.0番とし、且つ、上記(A)及び(B)が、0≦(B)−(A)≦0.5を満足することが必要である。
【0020】
実質的にフェライト組織を有すること
本発明で目的とする、球状化材並みの変形能を確保するためには、上記組織とすることが必要である。ここで、「実質的にフェライト組織を有する」とは、全組織に対して占積率(面積率)でフェライト組織が99%以上(100%も含む)存在することを意味し、残りは、パーライトである。組織中に占めるパーライト面積率が大きくなると、変形能が低下するからである。
【0021】
圧延材の内部にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(A)は7.0〜10.0番で、圧延材の最表層にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号(B)は7.0〜10.0番で、且つ、上記(A)及び(B)は、0≦(B)−(A)≦0.5を満足すること
本発明において、「最表層」とは、圧延材の中心〜直径/4の範囲を除く表面部分の層を意味し、「内部」とは、圧延材の中心〜直径/4の範囲の部分を意味する。ここで、フェライト粒度番号はJIS G 0552に記載のフェライト結晶粒度試験法に基づいて測定されたものである。この試験法によれば、フェライト粒度番号が大きくなるとフェライト粒径は小さくなり、例えばフェライト粒度番号7番は粒径32μmを、フェライト粒度番号10番は11μmを、夫々意味する。
【0022】
本発明では、最表層のフェライト粒度番号(B)も内部のフェライト粒度番号(A)も、共に7.0〜10.0番の範囲内に制御し、且つ、上記(B)と(A)の関係を略同一にする[(B)−(A)≦0.5]。即ち、本発明では、「フェライト粒径を極力微細化して延性を高める」という従来の一般的認識とは異なり、フェライト粒径をあまり微細化させずに、所定の平均粒径に制御しつつ、前述したフェライト主体の組織、更にはC量の極低減化と相俟って、絞り:80.0%以上という極めて高度の変形能を達成したものである。
【0023】
ここで、上記最表層のフェライト粒度番号(B)/内部のフェライト粒度番号(A)が7番未満では、フェライト変態域で圧延することになる為、圧延時及び冷間鍛造時に割れが発生し易くなり、変形能が低下する。一方、上記(B)/(A)が10番を超えると、▲1▼強度が高くなり過ぎて変形抵抗が高くなる、▲2▼フェライト粒が扁平になり易くなり、冷鍛後の寸法精度が悪くなる、▲3▼フェライト結晶粒径がバラツキ易くなる圧延条件になる等の問題がある。
【0024】
また、上記(B)と(A)の関係は、同一であることが好ましい。これにより、全断面における変形能及び変形抵抗を均一に確保できる;冷鍛後の寸法精度が向上する等のメリットが得られるからである。但し、(B)−(A)≦0.5の範囲内であれば、本発明の範囲内に包含される。この程度の差であれば、表層も内部も実質的に同一のフェライト粒度番号を有すると考えられ、所望の特性を確保できるからである。尚、本発明では、最表層のフェライト粒度番号(B)は内部のフェライト粒度番号(A)に比べ、同じか、或いは、大きくなるが、これは、圧延における冷却時には、水や空気等を鋼の表面に当てて冷やすため、自然に、最表層は中心部よりも冷却速度が大きくなり易く、結晶粒が成長する時間が短くなってしまうからである。尚、圧延材最表層のフェライト粒度番号と、圧延材内部のフェライト粒度番号との差は、圧延材のサイズや冷却条件等により、適宜調整することができる。
【0025】
好ましくは、最表層のフェライト粒度番号(B)は8.0番以上、9.5番以下;内部のフェライト粒度番号(A)は7.5番以上、9.0番以下である。
【0026】
次に、この様な組織を得る為の好ましい鋼中成分について説明する。
【0027】
C:0.008%以上0.05%未満
Cは、鋼材の強度を付与するために必須の元素であるが、本発明では、特に所望の変形能[絞り80%以上、および捻回値120回以上(100D換算)]を確保する為にも極めて重要な元素である。
【0028】
0.008%未満では、たとえ、TiやNbの析出強化元素を添加したり圧延条件を制御したとしても、所望の強度(350N/mm2以上)は得られない。好ましくは0.011%以上、より好ましくは0.013%以上である。一方、0.05%以上になると所望の変形能が得られない。好ましくは0.03%以下、より好ましくは0.023%以下である。
【0029】
Ti:0.005〜0.025%,及び/又はNb:0.02〜0.07%
これらの元素は、いずれも窒化物/炭窒化物生成元素であり、フリーのC及びNを固定してオーステナイト中にTiNを析出させたり、或いは、Nb(C,N)を析出させる等して、熱間圧延割れを抑制する作用がある。また、TiNの析出に寄与しない残りのTiは、TiCやTi,Nb,Crの複合炭化物等としてフェライト中やフェライト粒界に析出し、強度向上に寄与する。
【0030】
この様な作用を有効に発揮させる為には、Tiを0.005%以上(好ましくは0.008%以上、より好ましくは0.010%超)、0.025%以下(好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.015%以下);Nbを0.02%以上(好ましくは0.023%以上、より好ましくは0.025%以上)、0.07%以下(好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.035%以下)に制御することが推奨される。これらの元素は、単独で添加しても良いし、併用しても構わない。
【0031】
N:0.0015〜0.007%
Nは、AlやTiと結合してAlNやTiNの窒化物を形成し、フェライト結晶粒の安定化(所望の平均粒径を有するフェライトを、安定して生成させる)に寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、0.0015%以上(好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.003%以上)添加することが推奨される。但し、過剰に添加すると、フェライト中にNが固溶し、冷間加工時における歪時効発生の原因となるので、その上限を0.007%に定めた。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下である。
【0032】
Si:0.05〜0.4%
Siは脱酸剤、及び所望の強度を確保するのに有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させる為に、0.05%以上添加する。好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.15%以上である。但し、過剰に添加すると、所望のフェライト粒径が得られず、また、フェライトが固溶強化する為、たとえ、圧延条件等を制御しても所望の変形能を確保することができない。好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.25%以下である。
【0033】
Mn:0.2〜0.9%
MnはCと同様、鋼の強度を高めるのに有用な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、0.2%以上添加する。好ましくは0.25%以上、より好ましくは0.30%以上である。但し、過剰に添加すると、熱間圧延後のフェライト・パーライト成長速度が低下し、変形能の向上に有害なベイニティックフェライトが発生し易くなるため、その上限を0.9%に定めた。好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.5%以下である。
【0034】
本発明の鋼は上記成分を含有し、残部:実質的に鉄であるが、上記成分以外にも、本発明の作用を損なわない範囲で他の許容成分を添加しても良いし、不純物も含まれる。
【0035】
具体的には、更なる特性の付与、若しくは本発明作用の更なる向上を目指して、下記成分を積極的に添加したり、制御することが推奨される。
【0036】
Al:0.01〜0.06%
Alは脱酸に有用な元素であり、且つ、AlNを析出することにより、フェライト結晶粒が安定化する(所望の平均粒径を有するフェライトを、安定して生成させることができる)という作用もある。この様な作用を有効に発揮させる為には0.01%以上添加する。好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上である。但し、過剰に添加すると、上記作用が飽和してしまう為、その上限を0.06%に定めた。より好ましくは0.05%以下(更により好ましくは0.04%以下)である。
【0037】
Cr:0.01〜0.3%
Crは、強度上昇、及び冷間鍛造時におけるCの時効抑制作用に寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.01%以上添加する。より好ましくは0.03%以上である。但し、0.3%を超えて添加しても効果は飽和してしまう。好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.15%以下である。
【0038】
P:0.001〜0.02%
Pは加工硬化に寄与する元素であり、この様な作用を有効に発揮させ為に、0.001%以上添加する。好ましくは0.004%以上である。但し、0.02%を超えて添加すると変形能が低下することから、その上限を0.02%とする。好ましくは0.010%以下である。
【0039】
S:0.02%以下(0を含む)
Sは、主にMnSの硫化物系介在物を形成し、変形能が低下することから、その上限を0.020%とする。好ましくは0.010%以下である。
【0040】
次に、本発明に係る線材または棒材を製造する方法について説明する。
【0041】
具体的には、上記成分組成を満足する鋼片を975〜1150℃の範囲まで加熱した後、900〜1150℃の範囲で所定の線径まで圧延し、950〜1050℃で仕上圧延する。次いで、主に水流を調整する等して600〜6000℃/分の冷却速度で調整冷却開始温度が900〜975℃となるまで急冷した後、2〜10℃/sの平均冷却速度で、250〜450℃の調整冷却終了温度まで冷却する。
【0042】
以下、各工程につき、詳細に説明する。
【0043】
鋼片の加熱温度:975〜1150℃
この加熱温度は、鋼中に析出したTiCやNb(C、N)等の炭窒化物をできる限り固溶させ、析出強化による強度向上を得る為に設定されたものである。ここで、「鋼片の加熱温度」とは、放射温度計によって測定されたものであり、厳密には、「鋼片の表面温度」を意味する。1150℃を超えて加熱すると、フェライト結晶粒径が粗大化してしまい、所望の変形能が得られない。好ましくは1100℃以下、より好ましくは1050℃以下である。一方、加熱温度が975℃未満になると、上記析出物が固溶せず、たとえ、その後の熱処理を制御したとしても、所望の強度が得られない。好ましくは1000℃以上、より好ましくは1025℃以上である。
【0044】
圧延温度:900〜1150℃
この温度は、粗圧延→中間圧延→仕上圧延に至る一連の圧延工程において、鋼中のTiやNbをTiC/Nb(C、N)等の炭窒化物等として析出させ、所望の強度を得る為に設定されたものである。ここで、「圧延温度」とは、放射温度計によって測定されたものであり、厳密には、「鋼片の表面温度」を意味する。1150℃を超えて圧延すると、TiやNbによるピンニング効果が得られず、圧延後のフェライト結晶粒径が粗大化してしまい、変形能が低下する。好ましくは1100℃以下、より好ましくは1050℃以下である。一方、圧延温度が900℃未満になると、フェライト変態域の圧延となるため、圧延中にフェライトとオーステナイトの界面で割れが発生してしまう。好ましくは950℃以上である。
【0045】
より詳細には、一連の圧延工程において、粗圧延を900〜1150℃(好ましくは950℃以上、1050℃以下)、中間圧延を925〜1150℃(好ましくは950℃以上、1100℃以下)、仕上圧延を950〜1050℃(好ましくは975℃以上、1025℃以下)に、夫々、制御することにより、本発明による作用を一層効率よく発揮させることが可能になる。
【0046】
ここで、本発明において「粗圧延」とは、7〜10台の圧延機を用い、115〜200mm角の鋼片に減面率75〜95%の圧延を角型に圧延する工程を意味し;「中間圧延」とは、上記の粗圧延に引続き、4〜12台の圧延機を用い、減面率70〜98%の圧延を施して丸型に圧延する工程を意味し;「仕上圧延」とは、上記「中間圧延」の後に、水冷により圧延温度を調整した後、ブロックミルを1〜2台用い、減面率5〜95%の圧延を施す工程を、夫々、意味する。
【0047】
尚、圧延ロールの負荷増大、寸法精度の低下、表面疵の発生防止等を考慮すれば、実用上は975〜1025℃程度の圧延温度とすることが推奨される。
【0048】
調整冷却開始温度:900〜975℃
上記の仕上圧延後、主に水を媒体として、600〜6000℃/分の平均冷却速度で、最表面温度が最低500〜900℃程度になるまで急速に冷却した後、冷却帯(冷却コンベア)に巻取る。その際、鋼片の保有する熱(復熱)によって温度が回復するが、本発明では、この回復温度を「調整冷却開始温度」(巻取温度と同義)と呼び、900〜975℃とする。975℃よりも高くなると、冷却後のスケールが厚くなり、冷却中にスケールが剥離して更に二次スケールが生成し、その後の脱スケール工程でトラブルが発生し易くなる他、得られた線材等にはコシがなく、リング状の所望形状に巻くことが困難となる。好ましくは960℃以下、より好ましくは950℃以下である。一方、900℃よりも低くなると、前述した急冷処理によって、線材表面温度が復熱により再結晶したとしてもフェライト結晶粒径が微細になりすぎてしまい、所定の平均粒径を得ることができない。また、調整冷却開始温度が900℃以下では、Nb等が炭窒化物となって析出し始める為、所望の強度を確保することができない。好ましくは915℃以上、より好ましくは925℃以上である。
【0049】
調整冷却終了温度(250〜500℃)までの平均冷却速度:2〜10℃/秒
これは、上記の調整冷却開始温度(900〜975℃)に達してから、250〜500℃(調整冷却終了温度)の温度まで冷却するときの平均冷却速度を定めたものである。上記平均冷却速度は、所望の強度を確保する為に設定されたものであり、上記範囲に制御することにより、強度向上に寄与するTiやNbの炭窒化物を効率良く析出させることができる。好ましくは3℃/秒以上、8℃/秒以下;より好ましくは4℃/秒以上、6℃/秒以下である。
【0050】
尚、本発明によれば熱間圧延ままの線材や棒鋼でも優れた冷間加工性が得られるが、この線材または棒鋼を、酸(塩酸、硫酸等)の浴槽に浸漬したり、機械的に歪みを付与する等してスケールを除去した後、燐酸亜鉛皮膜、燐酸カルシウム皮膜、石灰等の伸線前処理を行い、金属石鹸などを潤滑剤として用いて伸線,冷間圧延などを施した鋼線においても、同様の優れた冷間加工性が得られる。
【0051】
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0052】
【実施例】
表1に記載の成分組成からなるa〜d、f〜n、r〜uの供試鋼(表中の単位は質量%)を用い、表2に示す種々の製造条件により種々の線材(No.1〜26)を得た。このうち供試鋼s、t及びuは夫々、JIS SWRCH25K、JIS SWRCH45K、JIS SWRCH20Aの現用工程材であり、いずれも、C量が多く、Ti及びNbが少ない鋼である。また、供試鋼nはTi量が少ない例、rはMnが多い例である。
【0053】
次に、上記の各線材について、JIS9号試験片を用い、引張強さ及び絞り(変形能の指標)を夫々測定した。また、捻回値は、JIS9号試験片を用い、標点距離100mmで捻り試験を行い、標点距離が[100×直径(D)]における捻れ回数として、下式に基づいて算出した。
【0054】
捻回値(100D換算)=捻れ回数×(直径/標点距離)×100
得られた結果を表2に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003779584
【0056】
【表2】
Figure 0003779584
【0057】
上記結果より、以下の様に考察することができる。
【0058】
まず、表2のNo.1、5、7、9、11〜18は、いずれも表層及び内部のフェライト粒度番号が本発明の範囲内に制御されているので、球状化焼鈍することなしに熱間圧延のままで、変形能に優れ、しかも、鋼材自体としての強度も著しく高いものである。特に、これらの変形能は、現用鋼において球状化焼鈍処理を施したNo.20〜26に比べて高く、いずれも、本発明の目標レベルである絞り80.0%以上、捻回値120回以上を確保することができた。
【0059】
これに対し、表2のNo.2及び6は、調整冷却開始温度が低い例;No.3及び8は調整冷却終了温度までの冷却速度が遅く、且つ、当該終了温度が高い例;No.4は調整冷却開始温度が低く、且つ、調整冷却終了温度までの冷却速度が遅くて当該終了温度が高い例;No.10は調整冷却開始温度が低く、且つ、調整冷却終了温度が高い例であり、いずれも所望のフェライト粒径が得られず、鋼材自体の強度も低下したり、変形能が低下するなどの弊害が見られた。
【0060】
また、No.19及び20は、本発明の好ましい範囲を満足しない鋼を用い、且つ、調整冷却開始温度が低い例であり、所望のフェライト粒径が得られず、鋼材自体の強度も低下する例が見られた。
【0061】
更にNo.21〜26は、現用鋼において球状化焼鈍処理を施した例であり、C量が多い為、引張強さは高いものの、絞りは、本発明の目標レベルである絞り80.0%以上、捻回値120回以上を大きく下回っている。
【0062】
参考までに、表2のNo.9(記号d1)及びNo.2(記号a2)の光学顕微鏡顕微鏡写真(倍率400倍)を、夫々図1及び図2に示す。このうちNo.9は、本発明の要件を満足する鋼種dを用い、本発明の要件を満足する方法d1により鍛造した本発明例であるが、所望のフェライト結晶粒径が得られている。これに対し、No.2は本発明の要件を満足する鋼種aを用いているが、本発明の要件を満足しない方法a2により鍛造している為、所望のフェライト結晶粒径が得られなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明は上記の様に構成されているので、球状化焼鈍処理を省略したとしても熱間圧延のままで、変形能に優れ、しかも鋼材自体としての強度も高い線状または棒状鋼を効率よく提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】表2のNo.9(記号d1)の光学顕微鏡写真(倍率400倍)である。
【図2】表2のNo.2(記号a2)の光学顕微鏡写真(倍率400倍)である。

Claims (3)

  1. フェライト組織を面積率で99%以上(100%を含む)有し、
    JIS G 0552に記載のフェライト結晶粒度試験法に基づいて測定されたフェライト組織中のフェライト粒度番号は、以下の要件
    (A)は7.0〜10.0番であり、
    (B)は7.0〜10.0番であり、
    0≦(B)−(A)≦0.5
    (A)は、圧延材の中心〜直径/4の範囲にあるフェライト組織中のフェライト 粒度番号であり、
    (B)は、圧延材の最表層にあるフェライト組織中のフェライト粒度番号である、
    を満足するとともに、
    鋼中成分は、C:0.008%以上0.05%未満(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.05〜0.4%、Mn:0.2〜0.9%、N:0.0015〜0.007%、Al:0.01〜0.06%,Cr:0.01〜0.3%,P:0.001〜0.02%,S:0.02%以下、Ti:0.005〜0.025%,及びNb:0.02〜0.07%を含有し、残部:鉄および不純物であることを特徴とする変形能に優れた線状または棒状鋼。
  2. C:0.008%以上0.029%以下を含有する請求項1に記載の線状または棒状鋼。
  3. 請求項1または2に記載の線状または棒状鋼を用いて得られる機械部品。
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