JP2010229514A - 冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.08〜0.20%、Si:0.05〜0.8%、Mn:2.0〜3.0%、P:0.020%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらに、TiおよびNbの1種または2種を、式(1): 0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20を満たすように含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成を有し、フェライトおよびヘ゛イナイトを合計で80面積%以上ならびに残留オーステナイトを5〜20面積%含有し、フェライトおよびヘ゛イナイトの平均粒径が0.5〜3.0μm、残留オーステナイト中のC濃度が0.5〜1.2%、残留オーステナイトのうちヘ゛イナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらにフェライトおよびヘ゛イナイト中に存在する粒径が1〜15nmの析出物の数密度が100〜5000個/μm2である鋼組織を有し、引張強度が980〜1180MPa、降伏応力が400〜700MPa、式(2): n=(lnσ6%-lnσ4%)/(ln0.06-ln0.04)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有し、表面粗さがRaで0.40〜1.2μmである表面性状を有する冷延鋼板である。式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
【選択図】なし
Description
優れた延性を確保するには、残留オーステナイトを含有させた鋼組織とし、その加工誘起変態を利用することが有効である。しかしながら、従来の残留オーステナイト冷延鋼板は、優れた延性を有するものの、降伏応力が高いために形状凍結性に劣り、加工誘起変態後の組織間硬度差が大きいために曲げ性や伸びフランジ性に劣る。
上記検討によって得られた新知見に基づいてなされた本発明の要旨は次の通りである。
n=(lnσ6%−lnσ4%)/(ln0.06−ln0.04) (2)
ただし、式(1)におけるTi、Nbはそれぞれの含有量(質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
(A)上述した鋼組成を有する鋼塊または鋼片を1050℃以上1300℃以下とし、仕上温度:800℃以上950℃以下、巻取温度:450℃以上750℃以下の熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(B)熱延鋼板に酸洗と冷間圧延とを施して冷延鋼板とする酸洗・冷間圧延工程;
(C)冷延鋼板を1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱し、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時し、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却し、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持し、その後室温まで冷却する連続焼鈍工程;および
(D)連続焼鈍工程により得られた冷延鋼板に、表面粗さがRaで1.0μm以上4.0μm以下のワークロールを用いて、伸び率0.05%以上1%以下のスキンパス圧延を行うスキンパス圧延工程。
(C:0.08%以上0.20%以下)
Cは、オーステナイト安定化元素であり、所定の残留オーステナイトを確保するのに有効に作用する元素である。また、鋼板の強度を向上させる作用を有する。C含有量が0.08%未満では、5%以上の残留オーステナイトの確保や980MPa以上の引張強度の確保が困難となる。このため、C含有量を0.08%以上とする。好ましくは0.10%以上である。一方、C含有量が0.20%超では、溶接性の劣化が著しくなる。このため、C含有量を0.20%以下とする。好ましくは0.18%以下である。
Siは、強度向上に寄与する元素である。Si含有量が0.05%未満では、980MPa以上の引張強度を安定して確保することが困難となる。このため、Si含有量を0.05%以上とする。好ましくは0.2%以上である。一方、Si含有量が0.8%超では、スポット溶接した際のナゲット部の硬化が著しくなり靭性が劣化する。このため、Si含有量は0.8%以下とする。好ましくは0.5%以下である。
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、Ac3点を低下させて、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とすることを容易にする作用を有する。Mn含有量が2.0%未満では、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とすることが困難となる。このため、Mn含有量を2.0%以上とする。一方、Mn含有量が3.0%超では、硬質相主体の組織となってしまい成形性が劣化する。このため、Mn含有量を3.0%以下とする。好ましくは2.7%以下である。
Pは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると不均一な組織を形成して成形性の劣化を招く。このため、P含有量を0.020%以下とする。好ましくは0.015%である。P含有量は少なければ少ないほど好ましいので、P含有量の下限は特に規定する必要はない。しかし、P含有量の過剰な低減には著しいコストの増加を伴う。このため、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
Sは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると応力集中源となる硫化物を鋼中に形成して曲げ性や伸びフランジ性の劣化を招く。このため、S含有量を0.01%以下とする。好ましくは0.003%以下である。S含有量は少なければ少ないほど好ましいので、S含有量の下限は特に規定する必要はない。
Alは、鋼の精錬過程において鋼を脱酸して鋼材を健全化する作用を有する元素である。また、Ti等の炭窒化物形成元素が酸素と結合して浪費されるのを防ぎ、これらの元素の歩留まりを向上させるのに有効に作用する。しかしながら、sol.Al含有量が0.1%超では、酸化物系介在物の量が著しく増加して表面性状の劣化を招く。このため、sol.Al含有量を0.1%以下とする。好ましくは0.06%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、sol.Al含有量を0.02%以上とすることが好ましい。
Nは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると粗大な窒化物を鋼中に形成して成形性の劣化を招く。このため、N含有量を0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下とする。N含有量は少なければ少ないほど好ましいので、N含有量の下限は特に規定する必要はない。
TiおよびNbは、本発明において重要な元素である。これらの元素は、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際に、鋼中に炭化物を形成してオーステナイトの粗大化を抑制してオーステナイトを微細化する。これにより、その後の冷却過程において、フェライト変態およびベイナイト変態を一気に進行させ、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めることができるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとすることができ、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させることができ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させることができる。すなわち、本来的に軟質なフェライトの割合が高く、さらにベイナイトも軟質であるため、成形性に優れる。さらに、残留オーステナイトの割合も高いので延性に優れる。さらに、残留オーステナイト中のC濃度が低いので、加工誘起歪変態後のマルテンサイトの硬度が低く、組織間硬度差が小さいので、曲げ性や伸びフランジ性にも優れるのである。
ここで、式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:%)示す。
(Cr:0.50%未満、Mo:0.15%以下、B:0.003%以下)
Cr、MoおよびBは、鋼の焼入性を高める元素であり、所定の残留オーステナイトの確保に有効に作用する元素である。したがって、上記元素の1種または2種以上を含有させてもよい。但し、過剰に含有させてもその効果は飽和して徒にコスト増加を招くので、Cr含有量は0.50%未満、Mo含有量は0.15%以下、B含有量は0.003%以下とする。Bについては、熱間圧延時の変形抵抗を増大させて製造を困難にする作用を有するので、B含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。焼入性の向上作用による効果をより確実に得るには、CrおよびMoについてはそれぞれの含有量を0.1%以上とすることが好ましく、Bについてはその含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。Bについてはその含有量を0.0007%以上とすることがさらに好ましい。
次に、本発明における鋼組織の限定理由について説明する。
フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上とすることにより、後述する所望の残留オーステナイト面積率および残留オーステナイト中C濃度を確保することを可能にし、980MPa以上の高い引張強度を有しながら優れた成形性を確保することを可能にする。したがって、フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上とする。ここで、フェライトおよびベイナイトを合計面積率で規定するのは、本発明におけるベイナイトは微細であるがゆえに炭化物を殆ど含まない形態のものが多く、このためフェライトとの区別を厳密に行うことが困難であることと、このようなベイナイトは炭化物を殆ど含まないため、所望の残留オーステナイトを確保する点においてはフェライトと同等に機能することによる。
残留オーステナイトの面積率が5%未満では、TRIP効果による成形性向上作用を十分に得ることができない。一方、残留オーステナイトの面積率が20%超では、TRIPにより生成されるマルテンサイトの量が多くなり、曲げ性や伸びフランジ性が劣化する。マルテンサイトを含有する複合組織鋼板に曲げ加工や伸びフランジ加工を施す場合において、マルテンサイトとその他の相や組織との界面はそれらの組織間硬度差に起因してマイクロクラックが発生し易い部位となるところ、TRIPにより生成されるマルテンサイトの量が多くなると、かかる部位の存在比率が高くなるためである。このため、残留オーステナイトの面積率は5%以上20%以下とする。
本発明は、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際にオーステナイトを微細化することにより、その後の冷却過程において、フェライト変態およびベイナイト変態を一気に進行させ、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとし、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させるものである。
残留オーステナイト中のC濃度が0.5%未満では、TRIP効果による成形性向上作用を十分に得ることができない。一方、残留オーステナイト中のC濃度が1.2%超では、TRIPによって生成されるマルテンサイトの硬度が高くなり、曲げ性や伸びフランジ性が劣化する。上述したように、マルテンサイトを含有する複合組織鋼板に曲げ加工や伸びフランジ加工を施す場合において、マルテンサイトとその他の相や組織との界面はそれらの組織間硬度差に起因してマイクロクラックが発生し易い部位となるところ、TRIPにより生成されるマルテンサイトの硬度が高くなると、上記組織間硬度差が一層大きくなり、マイクロクラックの発生がさらに容易になるためである。このため、残留オーステナイト中のC濃度を0.5%以上1.2%以下とする。
ベイナイトのラス間に存在する残留オーステナイトは、鋼板に成形を施す初期段階(真歪≦10%)においてTRIPが十分に進行しない。このため、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合が大きいと、低歪領域でのn値が低くなり、残留オーステナイトを含有するにも拘わらず十分な成形性向上作用が得られない。また、成形された後の鋼板部材は、TRIPが十分に進行していないため降伏応力が低く、このため衝撃吸収能も十分に得られない。したがって、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合を50%以下とする。好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
本発明に係る冷延鋼板の鋼組織は、フェライトおよびベイナイト中に粒径が1nm以上15nm以下の析出物が100個/μm2以上5000個/μm2以下の密度で分散する。このように析出物を規定するのは、フェライト変態の核生成サイトを増加させるとともに焼入れ性を適度に抑制するためであり、これにより、オーステナイト単相状態からの冷却過程において微細なフェライトとベイナイトを一気に生成させることができ、残部オーステナイト相への効率的なCの濃縮が実現され、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとし、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させるためである。
次に、本発明における表面粗さの限定理由について説明する。
本発明に係る冷延鋼板は、引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPa以下、下記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有する。
ただし、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
引張強度が980MPa未満では、重量軽量化への寄与が十分でない。一方、引張強度が1180MPa超では、優れた成形性を確保することが困難となる。したがって。引張強度は980MPa以上1180MPa以下とする。
(熱間圧延に供する鋼塊または鋼片)
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の製造方法は、常法でよい。生産性の観点からは、上記した鋼組成の溶鋼を転炉や電気炉等の常法により溶製し、連続鋳造法でスラブとすることが望ましい。なお、連続鋳造法に代えて、造塊法、薄スラブ鋳造法などを採用してもよい。
上述した析出物の分布状態を実現させるには、熱間圧延に供する段階において鋼塊中または鋼片中のTiCやNbCを固溶状態としておき、熱間圧延工程や連続焼鈍工程において微細に析出させる必要がある。このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度を1050℃以上とする。一方、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度が1300℃超では、スケールロスが増加して歩留りの低下を招く。このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度を1300℃以下とする。1050℃未満まで温度が低下した鋼塊または鋼片を熱間圧延に供する場合には、TiCやNbCを確実に固溶状態とするために、上記温度域に保持する時間を10分間以上とすることが好ましい。さらに好ましくは30分間以上である。連続鋳造により得られる鋼塊や分塊圧延により得られる鋼片を1050℃以上の高温状態に保ったまま熱間圧延に供する場合には、TiCやNbCが既に固溶状態にあるので、上記温度域に保持する必要はない。一方、上記温度域に保持する時間は、スケールロスによる歩留り低下や生産性の低下を避けるために、3時間以下とすることが好ましい。さらに好ましくは2時間以下である。
この鋼塊または鋼片に熱間圧延を行い、熱間圧延の仕上温度は800℃以上950℃以下とする。仕上温度が800℃未満では、熱間圧延時の変形抵抗が大きくなったり、不均一なバンド組織が形成されて冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化したりする。一方、仕上温度が950℃超では、その後の冷却過程において粒成長が過剰に進行してしまい、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板において均一微細な組織が得られず、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。
巻取温度は450℃以上750℃以下とする。巻取温度が450℃未満では、硬質なベイナイトやマルテンサイトが生成し、その後の冷間圧延が困難となる。また、巻取温度が750℃を超えると、析出物が粗大化して、連続焼鈍工程においてオーステナイトを微細化することができず、目的とする組織を得ることができず、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。
上記熱延鋼板は、常法により酸洗を施された後に常法により冷間圧延され、冷延鋼板とされる。冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の鋼組織を微細化するには、冷間圧延の圧下率を30%以上とすることが好ましい。
上記冷延鋼板は、1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱され、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時され、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却され、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持され、その後室温まで冷却される。
鋼板表面の粗さを調整するために、連続焼鈍後スキンパス圧延を行う。その場合、圧延ロールの表面粗さRaを1.0μm以上4.0μm以下とし、スキンパス圧延の伸び率を0.05%以上1%以下とする。
(1)オーステナイト単相化の確認
各冷延鋼板から試験片を採取し、表2に示す条件で熱処理を行った際の膨張率変化を解析することによって、オーステナイト単相化を確認した。
各鋼板の圧延方向および圧延方向と直角方向から試験片を採取し、圧延方向断面、圧延方向と直角方向断面の組織を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で撮影し、画像解析により各相および組織の分率および各相および組織の粒径を測定した。粒径の測定は、圧延方向断面および圧延方向と直角方向断面で板厚の全厚について、JIS G 0552の交差線分法の規定に準拠して測定し、それらの平均値で表した。
各鋼板を化学研磨により0.3mm減厚し、化学研磨後の表面に対しX線回折を施し、残留オーステナイト量および残留オーステナイト中のC濃度を算出した。
析出物の粒径と密度の測定は、電子顕微鏡のレプリカ法を採用し、各試料につき倍率10万倍で5視野を撮影し、円換算粒径で算出し、粒径が1nm以上15nm以下の析出物の全個数を測定し、その個数を撮影視野の面積で割り、規格化することにより密度を算出した。
JIS−B0601に規定されている方法に基づきRaを測定した。
(6)引張試験
各鋼板の圧延方向に直角方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張特性(降伏応力YS、引張強度TS、全伸びEl、降伏比YR)を調査した。
各鋼板から圧延方向に直角方向を長手方向とするJIS1号曲げ試験片を採取し、JIS Z 2248の規定に準拠した押曲げ法により、曲げ性を調査した。試験後の正否は目視にて調査し、試験後に割れが認められない押し金具の最小半径を板厚で割り、規格化することにより最小曲げ半径(Rmin)を算出した。
これらの結果を表3に示す。表1における鋼板No.9、12、14〜16、18〜24は本発明の範囲を全て満足する本発明例であり、鋼板No.1〜8、10、11、13および17は本発明の範囲を満足しない比較例である。
また、鋼板No.3〜8は、鋼組成が本発明の範囲から外れており、所定の強度が確保できなかった。
また、鋼板No.11は、製造条件が本発明の範囲から外れており、加工性が悪かった。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.05%以上0.8%以下、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.020%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらに、TiおよびNbの1種または2種を下記式(1)を満たすように含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成を有し、
フェライトおよびベイナイトを合計で80面積%以上ならびに残留オーステナイトを5面積%以上20面積%以下含有し、前記フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下、前記残留オーステナイト中のC濃度が0.5質量%以上1.2質量%以下、前記残留オーステナイトのうち前記ベイナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらに前記フェライトおよびベイナイト中に存在する粒径が1nm以上15nm以下の析出物の数密度が100個/μm2以上5000個/μm2以下である鋼組織を有し、
引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPa以下、下記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有し、
表面粗さがRaで0.40μm以上1.2μm以下である表面性状を有する
ことを特徴とする冷延鋼板。
0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20 (1)
n=(lnσ6%−lnσ4%)/(ln0.06−ln0.04) (2)
ただし、式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。 - 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.50%未満、Mo:0.15%以下およびB:0.003%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
- 下記工程(A)〜(D)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板の製造方法:
(A)請求項1または請求項2に記載の鋼組成を有する鋼塊または鋼片を1050℃以上1300℃以下とし、仕上温度:800℃以上950℃以下、巻取温度:450℃以上750℃以下の熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(B)前記熱延鋼板に酸洗と冷間圧延とを施して冷延鋼板とする酸洗・冷間圧延工程;
(C)前記冷延鋼板を1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱し、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時し、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却し、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持し、その後室温まで冷却する連続焼鈍工程;および
(D)前記連続焼鈍工程により得られた冷延鋼板に、表面粗さがRaで1.0μm以上4.0μm以下のワークロールを用いて、伸び率0.05%以上1%以下のスキンパス圧延を行うスキンパス圧延工程。
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