JP2010229514A - 冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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有 桝野
Kotaro Hayashi
宏太郎 林
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Abstract

【課題】成形性と耐型かじり性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.08〜0.20%、Si:0.05〜0.8%、Mn:2.0〜3.0%、P:0.020%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらに、TiおよびNbの1種または2種を、式(1): 0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20を満たすように含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成を有し、フェライトおよびヘ゛イナイトを合計で80面積%以上ならびに残留オーステナイトを5〜20面積%含有し、フェライトおよびヘ゛イナイトの平均粒径が0.5〜3.0μm、残留オーステナイト中のC濃度が0.5〜1.2%、残留オーステナイトのうちヘ゛イナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらにフェライトおよびヘ゛イナイト中に存在する粒径が1〜15nmの析出物の数密度が100〜5000個/μm2である鋼組織を有し、引張強度が980〜1180MPa、降伏応力が400〜700MPa、式(2): n=(lnσ6%-lnσ4%)/(ln0.06-ln0.04)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有し、表面粗さがRaで0.40〜1.2μmである表面性状を有する冷延鋼板である。式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷延鋼板およびその製造方法に関する。特に、本発明は、自動車や機械などの構造部品の素材として好適な、成形性と衝撃吸収性と耐型かじり性に優れる高強度冷延鋼板およびその製造方法に関する。
排気ガスによる地球温暖化の防止、有限資源の節約の観点から、近年、自動車の軽量化が非常に重要視されている。また、1990年頃から衝突安全基準が厳格化してきており、衝突安全性向上と車重軽量化の双方の面から、高強度鋼板の使用比率は急激に増加している。これに伴い、これまで衝突対応部材に多く用いられてきた引張強度980MPa以上の高強度鋼板についても、シート部品やピラー類等といった高い成形性が要求される車体部品への適用が拡大されつつある。したがって、高強度鋼板には、強度のみならず優れた成形性が求められるようになってきている。しかしながら、一般に、鋼板の強度が高くなると延性や曲げ性といった成形性が劣化する。このため、高い強度と優れた成形性とを両立させようとする試みが従来から行われている。
(1)成形性に優れた高強度鋼板として、フェライトを主相とし、マルテンサイトやベイナイト等の低温変態相を第二相とする複合組織鋼板が提案されている。例えば、特許文献1には、フェライトを主相とする複合組織を有し、引張強度が80kgf/mm以上で降伏比が60%以下である溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。しかしながら、このように、硬質な低温変態相を利用した高強度鋼板は、硬質相と軟質相の硬度差が大きく、両相の界面で亀裂が生じやすくなるので、曲げ性や伸びフランジ性が十分でないという問題がある。また、溶接時に熱影響部の硬質相が軟化するので、溶接性も十分でないという問題がある。
このような亀裂発生を抑制するには、硬度差が小さい均一な組織とする必要がある。また、溶接時に熱影響部の軟化を抑制するには、硬質相の利用を抑える必要がある。このため、成形性と溶接性とに優れた高強度鋼板を製造するために、硬質相を利用する変態強化ではなく、析出強化を積極的に活用した鋼板が提案されている。
(2)特許文献2には、引張強度が45kgf/mmで降伏比が80%以上の非複合組織の高強度高降伏比型溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。この鋼板は、炭窒化物形成元素であるTiとNbを添加し、連続焼鈍中にフェライトとオーステナイト相の二相組織にするものである。しかしながら、このようにTiとNbを添加した鋼を二相組織となる温度で焼鈍すると、バンド組織を形成して機械特性のばらつきが大きくなるという問題がある。さらに、浅絞り加工などの軽加工部では、高降伏比であることに起因してスプリングバックが顕著となり、形状凍結性に劣るという問題がある。
(3)特許文献3には、粒径が10nm未満の微細析出物が分散したフェライト単相組織を有し、引張強度が550MPa以上の鋼板が開示されており、この鋼板は熱延鋼板であっても冷延鋼板であってもよいとされている。しかしながら、具体的に開示されているのは熱延鋼板のみであり冷延鋼板については具体的開示はなされていない。そして、冷延鋼板の製造プロセスは、熱延鋼板の製造プロセスと異なるため、熱延鋼板の技術思想を単純に冷延鋼板に適用できるものではない。すなわち、冷延鋼板は冷間圧延後に焼鈍を施すことにより最終製品を得るため、特許文献3に開示されているような多量の炭窒化物形成元素を添加する方法では、再結晶温度の上昇により高温焼鈍が必要となるため、析出物の粗大化や冷延焼鈍板組織の粗粒化が起こり、却って成形性が劣化してしまう。
(4)特許文献4には、析出強化と変態強化を併せて利用した低降伏比高強度熱延鋼板が開示されている。しかしながら、硬質なマルテンサイト相を利用しているので、曲げ性や伸びフランジ性が不十分であるという問題がある。さらに、熱延鋼板で析出強化を利用した場合、強度を支配する析出物量および析出物のサイズを制御することは難しく、材質安定性が悪いという問題がある。
(5)特許文献5や特許文献6には、残留オーステナイトの加工誘起変態を利用した、一様変形能の高い鋼板とその製造方法が開示されている。しかしながら、加工誘起変態後は硬質なマルテンサイトを含む組織になり、組織間硬度差が大きくなるため、曲げ性や伸びフランジ性が劣化する問題がある。
ところで、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板は衝撃吸収部材の素材として適用されることが多い。このため、980MPa以上の高強度を有する鋼板には優れた衝撃吸収能が要求されることが多い。
また、鋼板の引張強度が980MPa以上の高強度になると、プレス成形の際に金型との接触面圧が著しく高くなり、型かじりの問題が顕在化してくる。このため、980MPa以上の高強度を有する鋼板には優れた耐型かじり性が要求される。
特開平4−236741号公報 特開平10−273754号公報 特開2002−322539号公報 特開平5−179396号公報 特開昭61−157625号公報 特開昭60−43464号公報
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、成形性と耐型かじり性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。本発明は、具体的には、引張強度(TS)が980MPa以上1180MPa以下でありながら、降伏応力(YS)が400MPa以上700MPa以下、引張強度(TS)と全伸び(El)との(TS×El値)が13000MPa・%以上、最小曲げ半径が2.5t以下という優れた加工性を有し、さらに衝撃吸収能と耐型かじり性に優れる高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために以下のように鋭意検討を重ねた。
優れた延性を確保するには、残留オーステナイトを含有させた鋼組織とし、その加工誘起変態を利用することが有効である。しかしながら、従来の残留オーステナイト冷延鋼板は、優れた延性を有するものの、降伏応力が高いために形状凍結性に劣り、加工誘起変態後の組織間硬度差が大きいために曲げ性や伸びフランジ性に劣る。
すなわち、従来の残留オーステナイト冷延鋼板の製造方法は、先ずフェライトとオーステナイトとが共存する2相域で焼鈍することにより、フェライトからCを排出させてオーステナイトへCを濃縮させ、次いでベイナイト変態が進行する温度域まで急冷して保持することにより、オーステナイトの一部をベイナイト変態させ、ベイナイトからCを排出させてオーステナイトへさらにCを濃縮させるものであり、これらの一連の工程によりオーステナイトの安定化を図るものである。
このような製造方法により生じるベイナイトは、Cを比較的多く含有するため硬質である。また、Cを比較的多く含有するためオーステナイトへのC濃縮の効率が低い。そこで、所定の割合の残留オーステナイトを確保するために多量のCを含有させた鋼組成とすることが必要となるが、その結果、硬質なベイナイトの割合が高くなり、降伏強度が高くなって形状凍結性が劣化する。
また、この製造方法により得られる残留オーステナイトはC含有量が比較的高い。このため、加工誘起変態後は著しく硬質なマルテンサイトを含む組織となり、組織間硬度差が大きくなるため曲げ性や伸びフランジ性に劣る。
そこで、硬質なベイナイトの生成を抑制しつつも十分な量の残留オーステナイトを生成させるとともに、残留オーステナイト中のC濃度を従来の残留オーステナイト鋼板よりも低減させることについて、鋭意検討を行った。
その結果、従来の2相域焼鈍とベイナイト変態促進とによって段階的にオーステナイト中にCを濃化させる製造方法ではなく、オーステナイト単相状態から一気にフェライト変態およびベイナイト変態を進行させる製造方法を採用することにより、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めることができるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとすることができ、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させることができ、これらの相および組織の相乗作用によって、高い引張強度と優れた成形性とを両立させることができるとの新たな知見を得た。
さらに、オーステナイト単相状態から一気にフェライト変態およびベイナイト変態を進行させるには、オーステナイト単相状態に保持する過程において、オーステナイト中に微細な析出物を分散させることにより、オーステナイトの粗大化を抑制して微細化することが有効であるとの新たな知見を得た。
すなわち、オーステナイトを微細化することにより、フェライト変態の核生成サイトが増加するとともに焼入れ性が適度に抑制されるので、その後の冷却過程において微細なフェライトとベイナイトを一気に生成させることができ、残部オーステナイト相への効率的なCの濃縮が実現されるのであり、これにより、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めることができるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとすることができ、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させることができるのである。
さらに、鋼板については良好な成形性が、鋼板が成形加工された鋼板部材については良好な衝撃吸収能が要求されるが、従来はこの点についての検討が十分になされていなかったので、このような観点から残留オーステナイトの好適な存在形態について鋭意検討を行った。
その結果、残留オーステナイトのうちベイナイトラス間に存在するものは低歪領域においてTRIPが十分に進行しないため、この領域におけるn値が低く、残留オーステナイトを含有するにも拘わらず期待されるほどの成形性が得られず、さらに、成形加工時にTRIPが十分に進行しないため、成型加工後の鋼板部材の降伏応力が低く、このため鋼板部材の衝撃吸収能も期待されるほどに向上しないことを新たに知見した。
さらに、このような高い引張強度を有する鋼板について優れた耐型かじり性を具備させるには、表面粗さを適度に調整することが有効であることも知見した。
上記検討によって得られた新知見に基づいてなされた本発明の要旨は次の通りである。
本発明は、質量%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.05%以上0.8%以下、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.020%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらに、TiおよびNbの1種または2種を下記式(1)を満たすように含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成を有し、フェライトおよびベイナイトを合計で80面積%以上ならびに残留オーステナイトを5面積%以上20面積%以下含有し、フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下、残留オーステナイト中のC濃度が0.5%以上1.2%以下、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらにフェライトおよびベイナイト中に存在する粒径が1nm以上15nm以下の析出物の数密度が100個/μm以上5000個/μm以下である鋼組織を有し、引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPa以下、下記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有し、表面粗さがRaで0.40μm以上1.2μm以下である表面性状を有することを特徴とする冷延鋼板である。
0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20 (1)
n=(lnσ6%−lnσ4%)/(ln0.06−ln0.04) (2)
ただし、式(1)におけるTi、Nbはそれぞれの含有量(質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
この本発明では、鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.50%未満、Mo:0.15%以下およびB:0.003%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することが望ましい。
別の観点からは、本発明は、下記工程(A)〜(D)を有することを特徴とする、上述した本発明に係る冷延鋼板の製造方法である。
(A)上述した鋼組成を有する鋼塊または鋼片を1050℃以上1300℃以下とし、仕上温度:800℃以上950℃以下、巻取温度:450℃以上750℃以下の熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(B)熱延鋼板に酸洗と冷間圧延とを施して冷延鋼板とする酸洗・冷間圧延工程;
(C)冷延鋼板を1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱し、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時し、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却し、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持し、その後室温まで冷却する連続焼鈍工程;および
(D)連続焼鈍工程により得られた冷延鋼板に、表面粗さがRaで1.0μm以上4.0μm以下のワークロールを用いて、伸び率0.05%以上1%以下のスキンパス圧延を行うスキンパス圧延工程。
本発明によれば、従来の技術では両立できなかった、高強度化と成形性および耐型かじり性の改善を同時に達成することが可能となり、成形性と耐型かじり性に優れた高強度冷延鋼板を製造することができるので、自動車の車体部品の軽量化や衝突安全性の向上および自動車製造効率の上昇に寄与する効果は顕著である。
以下に本発明で規定した諸条件について説明する。なお、以下の説明において、鋼組成を示す%は特に断らない限り質量%を、鋼組織を示す%は特に断らない限り面積%を、それぞれ意味する。
まず、本発明における鋼組成の限定理由について説明する。
(C:0.08%以上0.20%以下)
Cは、オーステナイト安定化元素であり、所定の残留オーステナイトを確保するのに有効に作用する元素である。また、鋼板の強度を向上させる作用を有する。C含有量が0.08%未満では、5%以上の残留オーステナイトの確保や980MPa以上の引張強度の確保が困難となる。このため、C含有量を0.08%以上とする。好ましくは0.10%以上である。一方、C含有量が0.20%超では、溶接性の劣化が著しくなる。このため、C含有量を0.20%以下とする。好ましくは0.18%以下である。
(Si:0.05%以上0.8%以下)
Siは、強度向上に寄与する元素である。Si含有量が0.05%未満では、980MPa以上の引張強度を安定して確保することが困難となる。このため、Si含有量を0.05%以上とする。好ましくは0.2%以上である。一方、Si含有量が0.8%超では、スポット溶接した際のナゲット部の硬化が著しくなり靭性が劣化する。このため、Si含有量は0.8%以下とする。好ましくは0.5%以下である。
(Mn:2.0%以上3.0%以下)
Mnは、オーステナイト安定化元素であり、Ac点を低下させて、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とすることを容易にする作用を有する。Mn含有量が2.0%未満では、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とすることが困難となる。このため、Mn含有量を2.0%以上とする。一方、Mn含有量が3.0%超では、硬質相主体の組織となってしまい成形性が劣化する。このため、Mn含有量を3.0%以下とする。好ましくは2.7%以下である。
(P:0.020%以下)
Pは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると不均一な組織を形成して成形性の劣化を招く。このため、P含有量を0.020%以下とする。好ましくは0.015%である。P含有量は少なければ少ないほど好ましいので、P含有量の下限は特に規定する必要はない。しかし、P含有量の過剰な低減には著しいコストの増加を伴う。このため、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
(S:0.01%以下)
Sは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると応力集中源となる硫化物を鋼中に形成して曲げ性や伸びフランジ性の劣化を招く。このため、S含有量を0.01%以下とする。好ましくは0.003%以下である。S含有量は少なければ少ないほど好ましいので、S含有量の下限は特に規定する必要はない。
(sol.Al:0.1%以下)
Alは、鋼の精錬過程において鋼を脱酸して鋼材を健全化する作用を有する元素である。また、Ti等の炭窒化物形成元素が酸素と結合して浪費されるのを防ぎ、これらの元素の歩留まりを向上させるのに有効に作用する。しかしながら、sol.Al含有量が0.1%超では、酸化物系介在物の量が著しく増加して表面性状の劣化を招く。このため、sol.Al含有量を0.1%以下とする。好ましくは0.06%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、sol.Al含有量を0.02%以上とすることが好ましい。
(N:0.01%以下)
Nは、不純物として含有される元素であり、その含有量が過剰であると粗大な窒化物を鋼中に形成して成形性の劣化を招く。このため、N含有量を0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下とする。N含有量は少なければ少ないほど好ましいので、N含有量の下限は特に規定する必要はない。
(Ti,Nb:0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20)
TiおよびNbは、本発明において重要な元素である。これらの元素は、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際に、鋼中に炭化物を形成してオーステナイトの粗大化を抑制してオーステナイトを微細化する。これにより、その後の冷却過程において、フェライト変態およびベイナイト変態を一気に進行させ、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めることができるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとすることができ、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させることができ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させることができる。すなわち、本来的に軟質なフェライトの割合が高く、さらにベイナイトも軟質であるため、成形性に優れる。さらに、残留オーステナイトの割合も高いので延性に優れる。さらに、残留オーステナイト中のC濃度が低いので、加工誘起歪変態後のマルテンサイトの硬度が低く、組織間硬度差が小さいので、曲げ性や伸びフランジ性にも優れるのである。
TiやNbの含有量が過少であると、鋼中の析出物が少ないため、上記作用効果を十分に得ることができない。このため、TiおよびNbの1種または2種を、下記式(1)を満足するように含有させる。一方、TiやNbの含有量が過剰であると、鋼中の析出物が粗大化してしまい、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際にオーステナイトの粗大化を抑制してオーステナイトを微細化することが困難となり、上記作用効果を十分に得ることができない。このため、TiおよびNbの1種または2種を、下記式(1)を満足するように含有させる。
0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20 (1)
ここで、式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:%)示す。
(Cr:0.50%未満、Mo:0.15%以下、B:0.003%以下)
Cr、MoおよびBは、鋼の焼入性を高める元素であり、所定の残留オーステナイトの確保に有効に作用する元素である。したがって、上記元素の1種または2種以上を含有させてもよい。但し、過剰に含有させてもその効果は飽和して徒にコスト増加を招くので、Cr含有量は0.50%未満、Mo含有量は0.15%以下、B含有量は0.003%以下とする。Bについては、熱間圧延時の変形抵抗を増大させて製造を困難にする作用を有するので、B含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。焼入性の向上作用による効果をより確実に得るには、CrおよびMoについてはそれぞれの含有量を0.1%以上とすることが好ましく、Bについてはその含有量を0.0005%以上とすることが好ましい。Bについてはその含有量を0.0007%以上とすることがさらに好ましい。
上記した成分以外の残部はFeおよび不純物である。不純物としては、0.006%以下のOが例示される。
次に、本発明における鋼組織の限定理由について説明する。
上記した鋼組成を有する本発明に係る冷延鋼板は、フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上ならびに残留オーステナイトを5%以上20%以下含有し、フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下、残留オーステナイ中のC濃度が0.5%以上1.2%以下、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらにフェライトおよびベイナイト中に存在する粒径が1nm以上15nm以下の析出物の数密度が100個/μm以上5000個/μm以下である鋼組織を有する。
(フェライトおよびベイナイトの合計面積率:80%以上)
フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上とすることにより、後述する所望の残留オーステナイト面積率および残留オーステナイト中C濃度を確保することを可能にし、980MPa以上の高い引張強度を有しながら優れた成形性を確保することを可能にする。したがって、フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上とする。ここで、フェライトおよびベイナイトを合計面積率で規定するのは、本発明におけるベイナイトは微細であるがゆえに炭化物を殆ど含まない形態のものが多く、このためフェライトとの区別を厳密に行うことが困難であることと、このようなベイナイトは炭化物を殆ど含まないため、所望の残留オーステナイトを確保する点においてはフェライトと同等に機能することによる。
(残留オーステナイトの面積率:5%以上20%以下)
残留オーステナイトの面積率が5%未満では、TRIP効果による成形性向上作用を十分に得ることができない。一方、残留オーステナイトの面積率が20%超では、TRIPにより生成されるマルテンサイトの量が多くなり、曲げ性や伸びフランジ性が劣化する。マルテンサイトを含有する複合組織鋼板に曲げ加工や伸びフランジ加工を施す場合において、マルテンサイトとその他の相や組織との界面はそれらの組織間硬度差に起因してマイクロクラックが発生し易い部位となるところ、TRIPにより生成されるマルテンサイトの量が多くなると、かかる部位の存在比率が高くなるためである。このため、残留オーステナイトの面積率は5%以上20%以下とする。
(フェライトおよびベイナイトの平均粒径:0.5μm以上3.0μm以下)
本発明は、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際にオーステナイトを微細化することにより、その後の冷却過程において、フェライト変態およびベイナイト変態を一気に進行させ、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとし、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させるものである。
したがって、微細なオーステナイトから生成するフェライトおよびベイナイトは微細となるのであり、逆に、最終製品におけるフェライトおよびベイナイトが微細であることが、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織状態とする際にオーステナイトが微細化されていることを示しているのである。したがって、フェライトおよびベイナイトの平均粒径を3.0μm以下とすることにより、高い引張強度を有しながら優れた成形性を確保することが可能となる。一方、フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm未満になると、降伏応力が高くなり成形性が劣化する。このため、フェライトおよびベイナイトの平均粒径を0.5μm以上3.0μm以下とする。
なお、フェライトおよびベイナイトの平均粒径を0.5μm以上3.0μm以下とするには、Ti、Nb、Mn等の合金元素を前述のように適量含有するとともに、後述する熱間圧延条件、焼鈍、および焼鈍後冷却条件を適正に制御することが有効である。
(残留オーステナイト中のC濃度:0.5%以上1.2%以下)
残留オーステナイト中のC濃度が0.5%未満では、TRIP効果による成形性向上作用を十分に得ることができない。一方、残留オーステナイト中のC濃度が1.2%超では、TRIPによって生成されるマルテンサイトの硬度が高くなり、曲げ性や伸びフランジ性が劣化する。上述したように、マルテンサイトを含有する複合組織鋼板に曲げ加工や伸びフランジ加工を施す場合において、マルテンサイトとその他の相や組織との界面はそれらの組織間硬度差に起因してマイクロクラックが発生し易い部位となるところ、TRIPにより生成されるマルテンサイトの硬度が高くなると、上記組織間硬度差が一層大きくなり、マイクロクラックの発生がさらに容易になるためである。このため、残留オーステナイト中のC濃度を0.5%以上1.2%以下とする。
(残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合:50%以下)
ベイナイトのラス間に存在する残留オーステナイトは、鋼板に成形を施す初期段階(真歪≦10%)においてTRIPが十分に進行しない。このため、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合が大きいと、低歪領域でのn値が低くなり、残留オーステナイトを含有するにも拘わらず十分な成形性向上作用が得られない。また、成形された後の鋼板部材は、TRIPが十分に進行していないため降伏応力が低く、このため衝撃吸収能も十分に得られない。したがって、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合を50%以下とする。好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
(粒径が1nm以上15nm以下の析出物の密度:100個/μm以上5000個/μm以下)
本発明に係る冷延鋼板の鋼組織は、フェライトおよびベイナイト中に粒径が1nm以上15nm以下の析出物が100個/μm以上5000個/μm以下の密度で分散する。このように析出物を規定するのは、フェライト変態の核生成サイトを増加させるとともに焼入れ性を適度に抑制するためであり、これにより、オーステナイト単相状態からの冷却過程において微細なフェライトとベイナイトを一気に生成させることができ、残部オーステナイト相への効率的なCの濃縮が実現され、本来的に軟質で加工性に富むフェライトの割合を高めるとともに、ベイナイトをC含有量の比較的低い軟質なものとし、さらに比較的C含有量の低いオーステナイトを効率よく残留させ、これらの相および組織の相乗作用により高い引張強度と優れた成形性とを両立させるためである。
ここで、粒径が1nm以上15nm以下の析出物を規定するのは、粒径が15nm超の粗大な析出物は、連続焼鈍工程におけるオーステナイトの微細化に寄与しないからであり、一方、粒径が1nm未満の微細な析出物は、オーステナイト単相域からの冷却過程で生成したものであり、これも連続焼鈍工程におけるオーステナイトの微細化に寄与しないからである。
粒径が1nm以上15nm以下の析出物の密度が100個/μm未満では、連続焼鈍工程におけるオーステナイトの微細化が不十分となり、高い強度と優れた成形性を両立させることが困難となる。一方、粒径が1nm以上15nm以下の析出物の密度が5000個/μm超では、析出物の分散によりフェライトおよびベイナイトが硬質化してしまい、成形性が劣化してしまう。
このときの析出物は、Tiおよび/またはNbの炭窒化物であり、熱間圧延工程における巻取り、ならびに連続焼鈍工程における加熱工程および焼鈍工程に由来して析出するものである。
なお、フェライトとベイナイト中に粒径が1nm以上15nm以下の析出物を100個/μm以上の密度で分散させるためには、Ti、Nb等の合金元素を適量含有するとともに、後述する熱間圧延条件および連続焼鈍条件を適正に制御することが必要である。
なお、フェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイト以外の残部組織としては3%以下のマルテンサイトを例示することができる。
次に、本発明における表面粗さの限定理由について説明する。
本発明に係る冷延鋼板の表面粗さは、Raで0.40μm以上1.2μm以下とする。本発明者らは上記鋼板について型かじり性を調査した結果、Raで0.40μm以上にすることにより、摺動性が向上し、成形性が向上するだけでなく、耐型かじり性が改善されることを確認した。ただし、Raが1.2μm超になると、鋼板表面の凹部に応力集中しやすくなり成形性が劣化することも確認した。このため、表面粗さをRaで0.40μm以上1.2μm以下とする。鋼板の表面粗さは連続焼鈍後のスキンパス圧延工程で調整できる。
次に、本発明における機械特性の限定理由について説明する。
本発明に係る冷延鋼板は、引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPa以下、下記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有する。
n=(lnσ6%−lnσ4%)/(ln0.06−ln0.04) (2)
ただし、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
引張強度が980MPa未満では、重量軽量化への寄与が十分でない。一方、引張強度が1180MPa超では、優れた成形性を確保することが困難となる。したがって。引張強度は980MPa以上1180MPa以下とする。
降伏応力が400MPa未満では、衝撃吸収能が十分に得られない。一方、降伏応力が700MPa超では、形状凍結性に劣る。したがって、降伏応力は400MPa以上700MPa以下とする。
上記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値は、残留オーステナイトの存在形態に対応し、上記瞬間n値が小さいことは、残留オーステナイトのうちベイナイトのラス間に存在するものの割合が大きいことを意味する。上記瞬間n値が0.20未満では、低歪領域でのn値が低くなり、残留オーステナイトを含有するにも拘わらず鋼板について十分な成形性向上作用が得られない。また、成形された後の鋼板部材は、TRIPが十分に進行していないため降伏応力が低く、このため衝撃吸収能も十分に得られない。したがって、瞬間n値を0.20以上とする。
本発明に係る冷延鋼板は、以上のように構成される。次に、本発明に係る冷延鋼板の製造方法の限定理由について説明する。
(熱間圧延に供する鋼塊または鋼片)
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の製造方法は、常法でよい。生産性の観点からは、上記した鋼組成の溶鋼を転炉や電気炉等の常法により溶製し、連続鋳造法でスラブとすることが望ましい。なお、連続鋳造法に代えて、造塊法、薄スラブ鋳造法などを採用してもよい。
(熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度:1050℃以上1300℃以下)
上述した析出物の分布状態を実現させるには、熱間圧延に供する段階において鋼塊中または鋼片中のTiCやNbCを固溶状態としておき、熱間圧延工程や連続焼鈍工程において微細に析出させる必要がある。このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度を1050℃以上とする。一方、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度が1300℃超では、スケールロスが増加して歩留りの低下を招く。このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度を1300℃以下とする。1050℃未満まで温度が低下した鋼塊または鋼片を熱間圧延に供する場合には、TiCやNbCを確実に固溶状態とするために、上記温度域に保持する時間を10分間以上とすることが好ましい。さらに好ましくは30分間以上である。連続鋳造により得られる鋼塊や分塊圧延により得られる鋼片を1050℃以上の高温状態に保ったまま熱間圧延に供する場合には、TiCやNbCが既に固溶状態にあるので、上記温度域に保持する必要はない。一方、上記温度域に保持する時間は、スケールロスによる歩留り低下や生産性の低下を避けるために、3時間以下とすることが好ましい。さらに好ましくは2時間以下である。
(仕上温度:800℃以上950℃以下)
この鋼塊または鋼片に熱間圧延を行い、熱間圧延の仕上温度は800℃以上950℃以下とする。仕上温度が800℃未満では、熱間圧延時の変形抵抗が大きくなったり、不均一なバンド組織が形成されて冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化したりする。一方、仕上温度が950℃超では、その後の冷却過程において粒成長が過剰に進行してしまい、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板において均一微細な組織が得られず、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。
(巻取温度:450℃以上750℃以下)
巻取温度は450℃以上750℃以下とする。巻取温度が450℃未満では、硬質なベイナイトやマルテンサイトが生成し、その後の冷間圧延が困難となる。また、巻取温度が750℃を超えると、析出物が粗大化して、連続焼鈍工程においてオーステナイトを微細化することができず、目的とする組織を得ることができず、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。
(酸洗・冷間圧延工程)
上記熱延鋼板は、常法により酸洗を施された後に常法により冷間圧延され、冷延鋼板とされる。冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の鋼組織を微細化するには、冷間圧延の圧下率を30%以上とすることが好ましい。
(連続焼鈍工程)
上記冷延鋼板は、1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱され、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時され、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却され、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持され、その後室温まで冷却される。
オーステナイト単相組織となる温度までの平均加熱速度が1℃/秒未満では、析出物が粗大化してしまい、連続焼鈍工程においてオーステナイトを微細化することができず、目的とする組織を得ることができず、冷間圧延・連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。したがって、オーステナイト単相組織となる温度までの平均加熱速度を1℃/秒以上とする。上記平均加熱速度の上限は特に規定する必要はないが、工業的生産の観点からは設備制約上100℃/秒以下とすることが好ましい。
オーステナイト単相組織となる温度まで加熱せずに、連続焼鈍工程における最高到達温度を二相域温度にすると、オーステナイト中へのC濃化が過剰に進行してしまい、また、冷延組織の影響が残存してバンド組織を形成してしまうため、連続焼鈍後の鋼板の曲げ性や伸びフランジ性が劣化する。したがって、連続焼鈍工程においてオーステナイト単相組織となる温度まで加熱することとする。一方、加熱温度の上限は、通常の連続焼鈍設備であればオーステナイトの粗大化が著しく促進する温度となることはないので特に規定する必要はないが、900℃以下とすることが好ましい。
オーステナイト単相組織状態で保持する時間が10秒間未満では、置換型元素であるMn等の偏析が残存し、連続焼鈍後の鋼板の組織が不均一となり、連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する。したがって、オーステナイト単相組織状態で保持する時間を10秒間以上とする。一方、オーステナイト単相組織状態で保持する時間の上限は、通常の連続焼鈍設備であればオーステナイトの粗大化が著しく促進する時間となることはないので特に規定する必要はないが、300秒間以下とすることが好ましい。
オーステナイト単相組織状態から400℃までの平均冷却速度が3℃/秒未満では、冷却過程でパーライトが生成してしまい、連続焼鈍後において所定の残留オーステナイトを確保することが困難となる場合がある。一方、オーステナイト単相組織状態から400℃までの平均冷却速度が200℃/秒超では、フェライトおよびベイナイトからのC排出とオーステナイトへのC濃化が不十分となり、フェライトおよびベイナイトが硬質となるとともに、所定の残留オーステナイトの面積率やC濃度を確保することが困難となり、連続焼鈍後の鋼板の成形性が劣化する場合がある。また、オーステナイト単相組織状態から400℃までの平均冷却速度が200℃/秒超であったり、フェライトの析出開始温度が600℃未満となる冷却条件で冷却したりすると、残留オーステナイトのうち前記ベイナイトのラス間に存在するものの割合が50%超となってしまい、鋼板について十分な成形性が得られず、成型加工後の鋼板部材について十分な衝撃吸収能が得られない場合がある。また、フェライトの析出開始温度が750℃超となる冷却条件で冷却すると980MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、オーステナイト単相組織状態から400℃までの平均冷却速度は3℃/秒以上200℃/秒以下でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で冷却とすることが好ましい。
150℃以上400℃以下の温度域に保持する時間が30秒間未満では、オーステナイト相の安定化が不十分となり、所定の残留オーステナイトの面積率やC濃度を確保することが困難となる場合がある。一方、150℃以上400℃以下の温度域に保持する時間が1000秒間超では、エネルギーロスが顕著となるとともに生産性の低下を招く。したがって、150℃以上400℃以下の温度域に保持する時間は、30秒間以上1000秒間以下とする。
保持温度が150℃未満では、マルテンサイト変態が過剰に進行してしまい、所定の残留オーステナイトの面積率やC濃度を確保することが困難となる。一方、保持温度が400℃超ではベイナイト変態によりフェライトに導入される可動転位が少なくなり、降伏応力の低下が困難となる場合がある。したがって、保持温度は150℃以上400℃以下とする。200℃以上400℃以下とすることが好ましい。
(スキンパス圧延工程)
鋼板表面の粗さを調整するために、連続焼鈍後スキンパス圧延を行う。その場合、圧延ロールの表面粗さRaを1.0μm以上4.0μm以下とし、スキンパス圧延の伸び率を0.05%以上1%以下とする。
ロールの表面粗さRaが1.0μm未満であったり、スキンパス圧延の伸び率が0.05%未満であったりすると、鋼板の表面粗さRaを0.40μm以上とすることが困難となるので、耐型かじり性が劣化する場合がある。一方、ロールの表面粗さRaが4.0μm超であると鋼板の表面粗さRaが1.2μm超となって成形性が劣化したり、スキンパス圧延の伸び率が1%超であると、加工硬化により鋼板の成形性が劣化したりする場合がある。したがって、圧延ロールの表面粗さRaを1.0μm以上4.0μm以下とし、スキンパス圧延の伸び率を0.05%以上1%以下とする。
このようにして、上述した本発明に係る冷延鋼板が製造される。次に、本発明を、実施例を参照しながら具体的に説明する。
表1に示す鋼組成を有するスラブを1250℃に加熱し、表2に示す条件で熱間圧延して熱延鋼板(板厚2.4mm)とした。
Figure 2010229514
Figure 2010229514
ついで、熱延鋼板に酸洗、冷間圧延を施し冷延鋼板(板厚1.2mm)とした。その後、冷延鋼板を表2に示す連続焼鈍条件で熱処理を施し、さらに表面粗さがRaで1.8μmの圧延ロールを用いてスキンパス圧延を施した。各熱処理条件におけるオーステナイト単相化の確認を行うとともに、得られた鋼板について、鋼組織観察、表面粗さ測定、引張試験、曲げ試験を実施した。試験方法を下記に示す。
(実験方法)
(1)オーステナイト単相化の確認
各冷延鋼板から試験片を採取し、表2に示す条件で熱処理を行った際の膨張率変化を解析することによって、オーステナイト単相化を確認した。
(2)鋼組織観察
各鋼板の圧延方向および圧延方向と直角方向から試験片を採取し、圧延方向断面、圧延方向と直角方向断面の組織を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で撮影し、画像解析により各相および組織の分率および各相および組織の粒径を測定した。粒径の測定は、圧延方向断面および圧延方向と直角方向断面で板厚の全厚について、JIS G 0552の交差線分法の規定に準拠して測定し、それらの平均値で表した。
(3)残留オーステナイト量およびオーステナイト中のC濃度の測定
各鋼板を化学研磨により0.3mm減厚し、化学研磨後の表面に対しX線回折を施し、残留オーステナイト量および残留オーステナイト中のC濃度を算出した。
(4)析出物の粒径および密度
析出物の粒径と密度の測定は、電子顕微鏡のレプリカ法を採用し、各試料につき倍率10万倍で5視野を撮影し、円換算粒径で算出し、粒径が1nm以上15nm以下の析出物の全個数を測定し、その個数を撮影視野の面積で割り、規格化することにより密度を算出した。
(5)表面粗さ測定
JIS−B0601に規定されている方法に基づきRaを測定した。
(6)引張試験
各鋼板の圧延方向に直角方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張特性(降伏応力YS、引張強度TS、全伸びEl、降伏比YR)を調査した。
(7)曲げ試験
各鋼板から圧延方向に直角方向を長手方向とするJIS1号曲げ試験片を採取し、JIS Z 2248の規定に準拠した押曲げ法により、曲げ性を調査した。試験後の正否は目視にて調査し、試験後に割れが認められない押し金具の最小半径を板厚で割り、規格化することにより最小曲げ半径(Rmin)を算出した。
(試験結果の説明)
これらの結果を表3に示す。表1における鋼板No.9、12、14〜16、18〜24は本発明の範囲を全て満足する本発明例であり、鋼板No.1〜8、10、11、13および17は本発明の範囲を満足しない比較例である。
Figure 2010229514
本発明例の鋼板No.9、12、14〜16、18〜24は、フェライトおよびベイナイトを合計で80%以上ならびに残留オーステナイトを5%以上20%含有し、フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下、残留オーステナイト中のC濃度が0.5%以上1.2%以下、さらにフェライトおよびベイナイト中に存在する粒径が1nm以上15nm以下の析出物の数密度が100個/μm以上5000個/μm以下である鋼組織を有し、引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPaである機械特性を有し、表面粗さがRaで0.40μm以上1.2μm以下である表面性状を有し、成形性に優れた高強度冷延鋼板となっている。さらに、これらの鋼板No.9、12、14〜16、18〜24は、別途調査した耐型かじり性とスポット溶接部の強度も良好であった。
これに対し、比較例の鋼板No1、2は、鋼組成が本発明の範囲から外れており、ベイナイト主体の組織となるために加工性が悪かった。
また、鋼板No.3〜8は、鋼組成が本発明の範囲から外れており、所定の強度が確保できなかった。
また、鋼板No.10、17は、製造条件が本発明の範囲から外れており、残留オーステナイトの面積率が小さくなるために加工性が悪かった。
また、鋼板No.11は、製造条件が本発明の範囲から外れており、加工性が悪かった。
さらに、鋼板No.13は、製造条件が本発明の範囲を外れており、表面粗さが本発明の範囲から外れていた。このため、後述する実施例2で説明する評価方法により評価した耐型かじり性が悪かった。
表3に示す鋼板No.13(比較例)と鋼板No.14、15(本発明例)の鋼組成、鋼組織、表面性状、機械特性を有する鋼板の耐型かじり特性について調査した。耐型かじり性は、直径50mmの円筒ポンチを使用し、防錆油を塗布した鋼板について、絞り比1.8の円筒絞り成形を行い、20枚成形した時点の成形品を目視評価し、外観上問題のないものと不良のものとに区別して評価した。
その結果、本発明例の鋼板No.14、15は、20枚まで、破断ならびに型かじりが発生しなかった。これに対し、比較例の鋼板No.13は、10枚で型かじりが発生し、本発明例の鋼板は比較例よりも耐型かじり性に優れていた。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.05%以上0.8%以下、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.020%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下およびN:0.01%以下を含有し、さらに、TiおよびNbの1種または2種を下記式(1)を満たすように含有し、残部がFeおよび不純物からなる鋼組成を有し、
    フェライトおよびベイナイトを合計で80面積%以上ならびに残留オーステナイトを5面積%以上20面積%以下含有し、前記フェライトおよびベイナイトの平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下、前記残留オーステナイト中のC濃度が0.5質量%以上1.2質量%以下、前記残留オーステナイトのうち前記ベイナイトのラス間に存在するものの割合が50%以下、さらに前記フェライトおよびベイナイト中に存在する粒径が1nm以上15nm以下の析出物の数密度が100個/μm以上5000個/μm以下である鋼組織を有し、
    引張強度が980MPa以上1180MPa以下、降伏応力が400MPa以上700MPa以下、下記式(2)で求められる真歪量5%となるときの瞬間n値が0.20以上である機械特性を有し、
    表面粗さがRaで0.40μm以上1.2μm以下である表面性状を有する
    ことを特徴とする冷延鋼板。
    0.03≦Ti+(1/2)Nb≦0.20 (1)
    n=(lnσ6%−lnσ4%)/(ln0.06−ln0.04) (2)
    ただし、式(1)中のTiおよびNbは各元素の含有量(単位:質量%)を示すとともに、式(2)におけるσx%は真歪量x%のときの真応力の値を示す。
  2. 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.50%未満、Mo:0.15%以下およびB:0.003%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷延鋼板。
  3. 下記工程(A)〜(D)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷延鋼板の製造方法:
    (A)請求項1または請求項2に記載の鋼組成を有する鋼塊または鋼片を1050℃以上1300℃以下とし、仕上温度:800℃以上950℃以下、巻取温度:450℃以上750℃以下の熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    (B)前記熱延鋼板に酸洗と冷間圧延とを施して冷延鋼板とする酸洗・冷間圧延工程;
    (C)前記冷延鋼板を1℃/秒以上の平均加熱速度でオーステナイト単相組織となる温度まで加熱し、オーステナイト単相組織状態で10秒間以上保時し、オーステナイト単相組織状態から3℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度でかつフェライトの析出開始温度が600℃以上750℃以下となる冷却条件で400℃まで冷却し、150℃以上400℃以下の温度域に30秒間以上1000秒間以下保持し、その後室温まで冷却する連続焼鈍工程;および
    (D)前記連続焼鈍工程により得られた冷延鋼板に、表面粗さがRaで1.0μm以上4.0μm以下のワークロールを用いて、伸び率0.05%以上1%以下のスキンパス圧延を行うスキンパス圧延工程。
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