JP2009120771A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂直方向の付着力と横方向のせん断強度がともに高く、小さな押し付け力で動力伝達又は摩擦制動が可能な摺動部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上であることを特徴とする摺動部材。好ましくは、前記ナノファイバーが、カーボンナノチューブであり、前記基材の表面の垂直方向に対する傾斜角が±30°の範囲内となるように設けられている。また、前記摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上であることを特徴とする摺動部材。好ましくは、前記ナノファイバーが、カーボンナノチューブであり、前記基材の表面の垂直方向に対する傾斜角が±30°の範囲内となるように設けられている。また、前記摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は摺動部材及びその製造方法に関する。
例えば、自動車の摺動部、具体例としては、変速機のクラッチ摺動面、ベルト式無段変速機のベルトとプーリとの接触面、ブレーキパッドとディスク面との摺動面など、摩擦によって動力伝達もしくは制動力を生じさせるユニットでは、摺動部の摩擦係数が高いことが要求される。例えば動力伝達の場合、摩擦係数が高い摺動部材を用いれば、小さな押付け力で動力を伝達することや、より大きな動力を伝達することが可能となる。同様に、摩擦制動の場合には、摩擦係数が高い摺動部材を用いることにより小さな押付け力で大きな制動力を確保することが可能となる。
大きな付着力を生ずる材料においては、押付け荷重が少なくても、実質的な垂直荷重が増大し、大きな摩擦力を生じることが考えられる。大きな付着力を生じる材料として、例えば支持基板の表面に先端部が広がった微小な突出部を設けて表面のファンデルワールス力を利用したマイクロ構造体(特許文献1参照)や、表面にナノファイバーを設けたナノファイバー構造体(特許文献2参照)が提案されている。
また、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素を2重量%以内で配合した繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させ、これを加熱硬化した摩擦材が提案されている(特許文献3参照)。
特表2006−505414号公報
特表2006−526059号公報
特開2006−199777号公報
また、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素を2重量%以内で配合した繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させ、これを加熱硬化した摩擦材が提案されている(特許文献3参照)。
特許文献1及び2に開示されている構造体は、接着性の向上を目的として垂直方向の力に対する検討はなされているが、摺動部材として必要な横方向の摩擦力に耐えるためのせん断強度についての検討がなされていない。従って、これらの構造体を摩擦材料として用いても、材料自身が発生し得る大きな摩擦力に耐え得るせん断強度が確保されず、摺動部では材料のせん断強度以上の摩擦力が得られないことや、耐摩耗性が不足することが問題となる。
また、特許文献3に開示されている摩擦材では、マトリックス基材に混合された少量の繊維状炭素はその配向性などが確保されず、垂直方向の付着力が十分でなく、例えば0.2以上の摩擦係数(μ)を得ることはできない。
また、特許文献3に開示されている摩擦材では、マトリックス基材に混合された少量の繊維状炭素はその配向性などが確保されず、垂直方向の付着力が十分でなく、例えば0.2以上の摩擦係数(μ)を得ることはできない。
本発明は、垂直方向の付着力と横方向のせん断強度がともに高く、小さな押し付け力で動力伝達又は摩擦制動が可能な摺動部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、以下の発明が提供される。
<1> 基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上であることを特徴とする摺動部材。
このようなナノファイバー面密度と横方向せん断強度を有する摺動部材であれば、相手材(被接触面)と接触する際に、表面のナノファイバーが弾性変形することによって相手材との真実接触面積が大きくなり、小さな押し付け力で動力伝達又は摩擦制動を発揮することができる。
<1> 基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上であることを特徴とする摺動部材。
このようなナノファイバー面密度と横方向せん断強度を有する摺動部材であれば、相手材(被接触面)と接触する際に、表面のナノファイバーが弾性変形することによって相手材との真実接触面積が大きくなり、小さな押し付け力で動力伝達又は摩擦制動を発揮することができる。
<2> 前記ナノファイバーが、カーボンナノチューブであることを特徴とする<1>に記載の摺動部材。
カーボンナノチューブが上記面密度で設けられていれば、高い摩擦係数を生じるための垂直方向の付着力が高くなると共に、耐摩耗性が極めて高くなり、摺動部材として特に好ましい。
カーボンナノチューブが上記面密度で設けられていれば、高い摩擦係数を生じるための垂直方向の付着力が高くなると共に、耐摩耗性が極めて高くなり、摺動部材として特に好ましい。
<3> 前記ナノファイバーが、前記基材の表面の垂直方向に対する傾斜角が±30°の範囲内となるように設けられていることを特徴とする<1>又は<2>に記載の摺動部材。
ナノファイバーが基材の表面に対して垂直に近い状態で設けられていれば、ナノファイバーが弾性変形することによって相手材との真実接触面積がより大きくなり易く、より高い付着力を生じ、高い摩擦係数(μ)が得られる。
ナノファイバーが基材の表面に対して垂直に近い状態で設けられていれば、ナノファイバーが弾性変形することによって相手材との真実接触面積がより大きくなり易く、より高い付着力を生じ、高い摩擦係数(μ)が得られる。
<4> 表面粗さが0.02μm以下の平滑な基材上にナノファイバーを成長させた後、該ナノファイバーを摺動部材用基材の表面に転写させたことによって該基材表面に前記ナノファイバーを設けたことを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の摺動部材。
摺動部材用の基材とは別の基材にナノファイバーを成長させた後、これらのナノファイバーを摺動部材用の基材に転写させることで、高さが均一で、垂直方向に配向したナノファイバーが設けられた摺動部材となる。
摺動部材用の基材とは別の基材にナノファイバーを成長させた後、これらのナノファイバーを摺動部材用の基材に転写させることで、高さが均一で、垂直方向に配向したナノファイバーが設けられた摺動部材となる。
<5> 前記摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の摺動部材。
本発明の摺動部材であれば、摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上を達成することが可能であり、より小さな押付け力での動力伝達や摩擦制動が可能となる。
本発明の摺動部材であれば、摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上を達成することが可能であり、より小さな押付け力での動力伝達や摩擦制動が可能となる。
<6> <1>〜<5>のいずれかに記載の摺動部材を製造する方法であって、
表面粗さが0.02μm以下の平滑な基材上にナノファイバーを成長させる工程と、
該ナノファイバーを摺動部材用基材の表面に転写させることによって該基材表面に前記ナノファイバーを設ける工程と、を含むことを特徴とする摺動部材の製造方法。
このような方法によれば、高さが均一で、垂直方向に配向したナノファイバーが設けられた摺動部材をより確実に製造することができる。
表面粗さが0.02μm以下の平滑な基材上にナノファイバーを成長させる工程と、
該ナノファイバーを摺動部材用基材の表面に転写させることによって該基材表面に前記ナノファイバーを設ける工程と、を含むことを特徴とする摺動部材の製造方法。
このような方法によれば、高さが均一で、垂直方向に配向したナノファイバーが設けられた摺動部材をより確実に製造することができる。
本発明によれば、垂直方向の付着力と横方向のせん断強度がともに高く、小さな押し付け力で動力伝達又は摩擦制動が可能な摺動部材及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されず、本発明の趣旨に沿って各種改変することができる。
本発明者らは、摺動部材について研究を重ねたところ、基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上である摺動部材が得られ、この摺動部材は垂直方向の付着力と横方向のせん断強度がともに高く、小さな押し付け力で優れた動力伝達及び摩擦制動を発揮することを見出した。
摺動部におけるナノファイバー面密度が1×1012本/m2未満であると、垂直方向の付着力と横方向せん断強度が十分得られず、0.2以上のμ及び5kPa以上の横方向せん断強度を達成することができない。従って、摺動部のナノファイバー面密度を1×1012本/m2以上とするが、面密度が高くても個々のナノファイバーが細すぎると耐摩耗性が低くなることや、面密度が高過ぎると、ナノファイバーが弾性変形できる空間がなくなるため、相手材との真実接触面積を大きくすることができず、十分な付着力が生じない。また、製造上の限界もある。そのため摺動部のナノファイバー面密度は1×1017本/m2以下とする。
摺動部におけるナノファイバー面密度が1×1012本/m2未満であると、垂直方向の付着力と横方向せん断強度が十分得られず、0.2以上のμ及び5kPa以上の横方向せん断強度を達成することができない。従って、摺動部のナノファイバー面密度を1×1012本/m2以上とするが、面密度が高くても個々のナノファイバーが細すぎると耐摩耗性が低くなることや、面密度が高過ぎると、ナノファイバーが弾性変形できる空間がなくなるため、相手材との真実接触面積を大きくすることができず、十分な付着力が生じない。また、製造上の限界もある。そのため摺動部のナノファイバー面密度は1×1017本/m2以下とする。
摺動部を構成するナノファイバーとしては、カーボンナノチューブ(CNTと略称する場合がある。)、その他、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、カーボンナノウォール、及びそれらの複合体を含む炭素系ファイバー、SiO2、TiO2、ZnO、ZrO2、Al2O3、SiCなど無機系ナノファイバー、及びポリチオフェン、ポリイミド、ポリアクリルニトリル、セルロース、アラミドなどの有機ナノファイバー等が挙げられ、特に、耐摩耗性、強度、弾性、製造容易性等の観点から、CNTが好ましい。
摺動部に設けられた各ナノファイバーは、nmオーダーの直径とμmオーダー〜mmオーダーの長さを有するものである。
摺動部におけるナノファイバーの直径(外径)は、好ましくは0.4nm〜500nm、より好ましくは1nm〜50nmである。また、各ナノファイバーの好ましい長さは1μm以上10mm以下、より好ましくは1mm以下である。このようなサイズのナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で摺動部に設けられていれば、5kPa以上の横方向せん断強度を達成し易くなるとともに、耐磨耗性が高くなり、摩耗量の少ない摺動部材とすることができる。
摺動部におけるナノファイバーの直径(外径)は、好ましくは0.4nm〜500nm、より好ましくは1nm〜50nmである。また、各ナノファイバーの好ましい長さは1μm以上10mm以下、より好ましくは1mm以下である。このようなサイズのナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で摺動部に設けられていれば、5kPa以上の横方向せん断強度を達成し易くなるとともに、耐磨耗性が高くなり、摩耗量の少ない摺動部材とすることができる。
また、各ナノファイバーは、基材の表面の垂直方向に対する傾斜角が±30°の範囲内となるように設けられていることが好ましい。各ナノファイバーの上記傾斜角が±30°の範囲内であれば略起立した状態となり、各ナノファイバーが相手材(被接触面)と実際に接触する総面積(真実接触面積)が大きくなり易く、それに伴い摩擦力も大きくなり易い。なお、摺動部の全てのナノファイバーが上記傾斜角の範囲内に収まっている必要はなく、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のナノファイバーが上記傾斜角の範囲内であれば、相手材と接触したときに大部分のナノファイバーが弾性変形を生じて大きな真実接触面積が確保され、極めて高い付着力とせん断強度を発揮することができる。
また、摺動部の摩擦係数(μ)が0.2以上であることが好ましい。このような極めて高い摩擦係数を有する摺動部材であれば、変速機のクラッチ摺動面、ベルト式無段変速機のベルトとプーリとの接触面、ブレーキパッドとディスク面との摺動面などの動力伝達もしくは摩擦制動の摺動部材として特に好適に用いることができる。
本発明に係る摺動部材を製造する方法は特に限定されないが、例えば、直接、摺動部材の基材表面にカーボンナノチューブ合成用触媒(CNT合成用触媒)を担持させる工程と、該表面にCNTを成長させる工程と、さらに必要に応じて、該CNTの表面頂部の高さを均一化する工程を含む方法、あるいは、一旦基材表面にCNT合成用触媒を担持する工程と、該表面にCNTを成長させる工程と、さらに必要に応じて、基板表面に成長したCNTを摺動部材の本体となる基材に転写する工程、さらに好ましくは、転写されたCNT(CNT膜)の表面頂部高さを均一化させる工程を含む方法により好適に製造することができる。以下、具体的に説明する。
<触媒担持工程>
まず、CNT合成用触媒(単に触媒という場合がある。)を用意する。触媒としては、具体的には、Fe、Co、Ni、Mn、Pt、Pd、Rh等の単元系触媒、Fe/Co、Ni/Co、Mo/Co、Ni/Fe、Fe/Mo、Fe/Ti、Fe/V、Co/Ti等の二元系触媒、若しくは、Fe/Ni/Co等の三元系触媒、又はこれらの金属酸化物等が挙げられる。具体的には以下の(1)〜(6)のものが挙げられる。
(1)上述した各種金属からなり、その表面が酸化物膜で覆われている金属微粒子
(2)上述した各種金属からなる金属酸化物微粒子、若しくは、金属炭化物微粒子
(3)各種金属微粒子又はその酸化物を内包したコロイド粒子(例えば、直径の標準偏差が直径の平均値の20%以下である金属クラスター(金属ナノ粒子)の表面が界面活性剤により被覆されたもの)
(4)各種金属微粒子又はその酸化物を内包したタンパク質分子(例えば、フェリチンなど)
(5)上述した各種金属の塩、錯塩、又は、有機金属化合物
(6)上述した各種金属からなる蒸着薄膜
いずれの触媒を用いてもCNTを製造することができるが、上記(3)の触媒を用いた場合について、以下具体的に説明する。
CNT合成用触媒としては、第1元素と第2元素とを含む微粒子と、微粒子の周囲を被覆する保護層とを備えたものを用いる。ここで「第1元素」とは、8族元素(Fe、Ru、Os)、9族元素(Co、Rh、Ir)、及び10族元素(Ni、Pd、Pt)から選ばれる1以上の元素(主触媒元素)をいう。「第2元素」とは、4族元素(Ti、Zr、Hf)及び5族元素(V、Nb、Ta)から選ばれる1以上の元素(助触媒元素)をいう。このように第1元素と第2元素とを含む微粒子は、第1元素及び第2元素のみを含むものでも良く、あるいは、第1元素及び第2元素に加えて他の元素が含まれていても良い。他の元素としては、その他の金属・非金属元素や、出発原料に由来する元素(例えば、酸素)などがある。
まず、CNT合成用触媒(単に触媒という場合がある。)を用意する。触媒としては、具体的には、Fe、Co、Ni、Mn、Pt、Pd、Rh等の単元系触媒、Fe/Co、Ni/Co、Mo/Co、Ni/Fe、Fe/Mo、Fe/Ti、Fe/V、Co/Ti等の二元系触媒、若しくは、Fe/Ni/Co等の三元系触媒、又はこれらの金属酸化物等が挙げられる。具体的には以下の(1)〜(6)のものが挙げられる。
(1)上述した各種金属からなり、その表面が酸化物膜で覆われている金属微粒子
(2)上述した各種金属からなる金属酸化物微粒子、若しくは、金属炭化物微粒子
(3)各種金属微粒子又はその酸化物を内包したコロイド粒子(例えば、直径の標準偏差が直径の平均値の20%以下である金属クラスター(金属ナノ粒子)の表面が界面活性剤により被覆されたもの)
(4)各種金属微粒子又はその酸化物を内包したタンパク質分子(例えば、フェリチンなど)
(5)上述した各種金属の塩、錯塩、又は、有機金属化合物
(6)上述した各種金属からなる蒸着薄膜
いずれの触媒を用いてもCNTを製造することができるが、上記(3)の触媒を用いた場合について、以下具体的に説明する。
CNT合成用触媒としては、第1元素と第2元素とを含む微粒子と、微粒子の周囲を被覆する保護層とを備えたものを用いる。ここで「第1元素」とは、8族元素(Fe、Ru、Os)、9族元素(Co、Rh、Ir)、及び10族元素(Ni、Pd、Pt)から選ばれる1以上の元素(主触媒元素)をいう。「第2元素」とは、4族元素(Ti、Zr、Hf)及び5族元素(V、Nb、Ta)から選ばれる1以上の元素(助触媒元素)をいう。このように第1元素と第2元素とを含む微粒子は、第1元素及び第2元素のみを含むものでも良く、あるいは、第1元素及び第2元素に加えて他の元素が含まれていても良い。他の元素としては、その他の金属・非金属元素や、出発原料に由来する元素(例えば、酸素)などがある。
4族元素(特に、Ti)は、他の元素に比べて、CNTの成長速度を増大させる効果が大きいので、第2元素として特に好適である。また、5族元素(特に、V)は、他の元素に比べて、合成されたCNTの直径制御性に優れているので、第2元素として特に好適である。
触媒中に含まれる第1元素と第2元素の比率は、触媒活性度に影響を与える。第1元素は、その薄膜から熱処理やプラズマ処理で微粒子を形成した場合においては、それ自体でCNTを成長させるための相対的に高い触媒活性度を有しているが、液相法で合成された場合には、その触媒活性度は極端に小さくなる。しかしながら、これに第2元素を添加すると、液相法であっても触媒活性度を劇的に向上させることができる。このような効果を得るためには、第2元素の含有量(=第2元素の原子数×100/(第1元素の原子数+第2元素の原子数))は、2at%以上が好ましい。
一方、第2元素の含有量が過剰になると、触媒活性度はかえって低下する。従って、第2元素の含有量は、50at%以下が好ましい。
一方、第2元素の含有量が過剰になると、触媒活性度はかえって低下する。従って、第2元素の含有量は、50at%以下が好ましい。
最適な第2元素の含有量は、第1元素及び第2元素の種類に応じて異なる。
例えば、Fe−Ti二元合金又はFe−Ti−O系酸化物の場合、Ti含有量は、2〜50at%が好ましく、より好ましくは4〜40at%、さらに好ましくは10〜35at%、特に好ましくは15〜30at%である。
また、例えば、Fe−V二元合金又はFe−V−O系酸化物の場合、V含有量は、2〜50at%が好ましく、より好ましくは4〜35at%、さらに好ましくは5〜30at%である。
また、例えば、Fe−Ti−V三元合金又はFe−Ti−V−O系酸化物(Ti/Vの原子比=1)の場合、(Ti+V)の含有量は、2〜50at%が好ましく、さらに好ましくは5〜45at%、より好ましくは7〜35at%、さらに好ましくは11〜27at%である。
例えば、Fe−Ti二元合金又はFe−Ti−O系酸化物の場合、Ti含有量は、2〜50at%が好ましく、より好ましくは4〜40at%、さらに好ましくは10〜35at%、特に好ましくは15〜30at%である。
また、例えば、Fe−V二元合金又はFe−V−O系酸化物の場合、V含有量は、2〜50at%が好ましく、より好ましくは4〜35at%、さらに好ましくは5〜30at%である。
また、例えば、Fe−Ti−V三元合金又はFe−Ti−V−O系酸化物(Ti/Vの原子比=1)の場合、(Ti+V)の含有量は、2〜50at%が好ましく、さらに好ましくは5〜45at%、より好ましくは7〜35at%、さらに好ましくは11〜27at%である。
触媒微粒子の直径及び標準偏差は、合成されるCNTの外径及び標準偏差に影響を与える。一般に、触媒微粒子の直径が小さくなるほど、外径の小さなCNTが得られる。また、触媒微粒子の直径の標準偏差が小さくなるほど、外径の標準偏差の小さなCNTが得られる。さらに、CNTの合成中における触媒微粒子の凝集が起きにくくなるほど、触媒微粒子の直径とほぼ同等の外径を有するCNTを成長させることができる。従って、触媒微粒子の粒径と濃度(密度)によって、基材上に成長させるCNTの径及び面密度を制御することが可能となる。
例えば、後述する合成方法を用いると、直径が1〜15nmである触媒微粒子を合成することができる。また、製造条件を最適化すると、直径が3〜5nmである触媒微粒子を合成することができる。さらに、後述する方法を用いると、分級することなく、直径の標準偏差が1nm以下である触媒微粒子を合成することができる。さらに、条件を最適化すると、直径の標準偏差が0.5nm以下である触媒微粒子を合成することができ、また、分散溶媒の極性調整による分別沈殿で、粒子をさらに精密分級することもできる。
例えば、後述する合成方法を用いると、直径が1〜15nmである触媒微粒子を合成することができる。また、製造条件を最適化すると、直径が3〜5nmである触媒微粒子を合成することができる。さらに、後述する方法を用いると、分級することなく、直径の標準偏差が1nm以下である触媒微粒子を合成することができる。さらに、条件を最適化すると、直径の標準偏差が0.5nm以下である触媒微粒子を合成することができ、また、分散溶媒の極性調整による分別沈殿で、粒子をさらに精密分級することもできる。
一方、保護層は、主として、微粒子を合成する際に微粒子の凝集を抑制し、粒子径を均一にする作用、及び、後述する分散液中に分散させる際に微粒子の凝集を抑制する作用を有する。保護層は、有機酸及び有機アミンから選ばれる1以上の有機物からなる。これらの有機物は、一分子内に疎水基と親水基を持つ界面活性剤の一種であり、前記微粒子表面をこれらで被覆することにより、合成時や分散時での微粒子の凝集を抑制することができる。
有機酸としては、具体的には、RCOOH、RSOH、RPOHなどがある。また有機アミンとしては、具体的には、RNH2、R2NH、R3Nなどがある。なお、Rは、アルキル鎖(CnH2n+1−、nは自然数)を表す。
保護層は、1種類の有機物からなるものでも良く、あるいは、2種以上の有機物からなるものでも良い。特に、2種以上の有機物を保護層として用いると、微粒子の粒子径が安定化し、均一化し易いという利点がある。
有機酸としては、具体的には、RCOOH、RSOH、RPOHなどがある。また有機アミンとしては、具体的には、RNH2、R2NH、R3Nなどがある。なお、Rは、アルキル鎖(CnH2n+1−、nは自然数)を表す。
保護層は、1種類の有機物からなるものでも良く、あるいは、2種以上の有機物からなるものでも良い。特に、2種以上の有機物を保護層として用いると、微粒子の粒子径が安定化し、均一化し易いという利点がある。
次に、触媒分散液について説明する。
触媒分散液は、上述したカーボンナノチューブ合成用触媒を分散溶媒中に分散させたものである。
分散溶媒は、触媒微粒子を均一に分散させることが可能なものであればよい。このような分散溶媒としては、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの極性の低い有機溶媒が挙げられる。
触媒分散液中の触媒微粒子濃度は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、触媒微粒子の濃度が低くなるほど、微粒子を均一に分散させるのが容易化するが、触媒微粒子の濃度が低くなりすぎると、基材表面に触媒微粒子が密に配置され難くなり、1×1012本/m2以上のナノファイバー面密度を達成できないおそれがあるため、触媒微粒子の濃度は0.001wt%以上が好ましい。一方、触媒微粒子の濃度が高くなりすぎると、基材表面に粒子の単分子膜が形成され難くなるため、触媒微粒子の濃度は1.0wt%以下が好ましい。
最適な触媒微粒子の濃度は、基材の引き上げ速度など、他の製造条件にも依存するので、これらを考慮して最適な濃度を選択するのが好ましい。
触媒分散液は、上述したカーボンナノチューブ合成用触媒を分散溶媒中に分散させたものである。
分散溶媒は、触媒微粒子を均一に分散させることが可能なものであればよい。このような分散溶媒としては、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの極性の低い有機溶媒が挙げられる。
触媒分散液中の触媒微粒子濃度は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、触媒微粒子の濃度が低くなるほど、微粒子を均一に分散させるのが容易化するが、触媒微粒子の濃度が低くなりすぎると、基材表面に触媒微粒子が密に配置され難くなり、1×1012本/m2以上のナノファイバー面密度を達成できないおそれがあるため、触媒微粒子の濃度は0.001wt%以上が好ましい。一方、触媒微粒子の濃度が高くなりすぎると、基材表面に粒子の単分子膜が形成され難くなるため、触媒微粒子の濃度は1.0wt%以下が好ましい。
最適な触媒微粒子の濃度は、基材の引き上げ速度など、他の製造条件にも依存するので、これらを考慮して最適な濃度を選択するのが好ましい。
上記のようなカーボンナノチューブ合成用触媒は、溶解・混合工程と、加熱工程とを含む方法により得ることができる。
溶解・混合工程は、第1原料と、第2原料と、アルコールと、有機物とを有機溶媒中で溶解・混合する工程である。
「第1原料」とは、8族元素、9族元素及び10族元素のいずれか1以上の第1元素を含む化合物であって、有機溶媒に可溶なものをいう。第1原料には、このような条件を満たす1種類の化合物を用いても良く、あるいは、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
第1原料としては、具体的には、第1元素のイオンに有機物が配位した有機錯体、第1元素の有機酸塩などがある。
第1元素を含む有機錯体としては、具体的には、Fe(III)アセチルアセトナート、Fe(II)アセチルアセトナート、Co(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、Ni(II)アセチルアセトナート、白金(II)アセチルアセトナートなどがある。
また、第1元素を含む有機酸塩としては、具体的には、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、酢酸ニッケル(II)、酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム水和物(II)、硝酸パラジウム(II)などがある。
溶解・混合工程は、第1原料と、第2原料と、アルコールと、有機物とを有機溶媒中で溶解・混合する工程である。
「第1原料」とは、8族元素、9族元素及び10族元素のいずれか1以上の第1元素を含む化合物であって、有機溶媒に可溶なものをいう。第1原料には、このような条件を満たす1種類の化合物を用いても良く、あるいは、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
第1原料としては、具体的には、第1元素のイオンに有機物が配位した有機錯体、第1元素の有機酸塩などがある。
第1元素を含む有機錯体としては、具体的には、Fe(III)アセチルアセトナート、Fe(II)アセチルアセトナート、Co(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、Ni(II)アセチルアセトナート、白金(II)アセチルアセトナートなどがある。
また、第1元素を含む有機酸塩としては、具体的には、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、酢酸ニッケル(II)、酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム水和物(II)、硝酸パラジウム(II)などがある。
また、「第2原料」とは、4族元素及び5族元素のいずれか1以上の第2元素を含む化合物であって、有機溶媒に可溶なものをいう。第2原料には、このような条件を満たす1種類の化合物を用いても良く、あるいは、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
第2原料としては、具体的には、第2元素(M)のイオン又はMOイオンに有機基が配位した有機錯体、第2元素の有機酸塩などがある。
第2元素を含む有機錯体としては、具体的には、VOアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、Zrトリフルオロアセチルアセトナート、Hfトリフルオロアセチルアセトナート、Tiジイソプロポオキサイドビステトラメチルヘプタンジオネートなどがある。
また、第2元素を含む有機酸塩としては、具体的には、シュウ酸チタン、硫酸チタン、酸化硫酸バナジウム、硫酸バナジウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ハフニウムなどがある。
第2原料としては、具体的には、第2元素(M)のイオン又はMOイオンに有機基が配位した有機錯体、第2元素の有機酸塩などがある。
第2元素を含む有機錯体としては、具体的には、VOアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、Zrトリフルオロアセチルアセトナート、Hfトリフルオロアセチルアセトナート、Tiジイソプロポオキサイドビステトラメチルヘプタンジオネートなどがある。
また、第2元素を含む有機酸塩としては、具体的には、シュウ酸チタン、硫酸チタン、酸化硫酸バナジウム、硫酸バナジウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ハフニウムなどがある。
アルコールは、第1原料及び第2原料を還元し、有機溶媒中において金属イオン又はMOイオンを非イオンの状態にするための還元剤である。還元剤には、1種類のアルコールを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
還元剤として使用可能なアルコールとしては、具体的には、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−テトラデカンジオールなどがある。
「有機物」とは、上述したように有機酸又は有機アミンからなる。有機物には、1種類の有機酸又は有機アミンを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
有機酸としては、具体的には、オレイン酸、カプロン酸、ラウリン酸、酪酸、リノール酸などがある。
また、有機アミンとしては、具体的には、オレイルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミンなどがある。
還元剤として使用可能なアルコールとしては、具体的には、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−テトラデカンジオールなどがある。
「有機物」とは、上述したように有機酸又は有機アミンからなる。有機物には、1種類の有機酸又は有機アミンを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
有機酸としては、具体的には、オレイン酸、カプロン酸、ラウリン酸、酪酸、リノール酸などがある。
また、有機アミンとしては、具体的には、オレイルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミンなどがある。
有機溶媒は、上述した第1原料、第2原料、アルコール及び有機物を溶解可能なものであればよい。また、溶液は、後述するように所定の温度に加熱されるので、沸点が200℃以上である溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としては、具体的には、オクチルエーテル、フェニルエーテルなどがある。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第1原料及び第2原料の比率は、作製しようとする触媒微粒子の組成に応じて最適な比率を選択する。本実施形態に係る方法を用いると、仕込み組成にほぼ一致する触媒微粒子が得られる。
また、溶液中における第1原料及び第2原料の濃度は、作製しようとする触媒微粒子の直径、標準偏差等に応じて最適な濃度を選択する。一般に、希薄溶液を用いると、粒径のそろった均一な触媒微粒子が得られる。第1原料及び第2原料に加える溶媒の量は、第1原料及び第2原料の種類にもよるが、通常、第1原料及び第2原料1mmolに対して、10〜50mL程度である。
また、溶液中における第1原料及び第2原料の濃度は、作製しようとする触媒微粒子の直径、標準偏差等に応じて最適な濃度を選択する。一般に、希薄溶液を用いると、粒径のそろった均一な触媒微粒子が得られる。第1原料及び第2原料に加える溶媒の量は、第1原料及び第2原料の種類にもよるが、通常、第1原料及び第2原料1mmolに対して、10〜50mL程度である。
還元剤は、上述したように溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンに電子を与え、非イオンの状態にするためのものである。金属イオン又はMOイオンが還元されると、これらが互いに集まって微粒子を形成する。還元剤の添加量は、第1原料及び第2原料並びにその他の原料の種類にもよるが、通常、溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンのモル数の1〜20倍程度である。
有機酸又は有機アミンは、溶液中において第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンと結合すると考えられている。この溶液中にさらに還元剤が加えられると、金属イオン又はMOイオンが還元されて微粒子状に凝集すると同時に、微粒子の周囲が有機酸又は有機アミンで被覆された状態となる。有機酸又は有機アミンの添加量は、第1原料及び第2原料並びにその他の原料の種類にもよるが、通常、溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンのモル数の1〜10倍程度である。
有機酸又は有機アミンは、溶液中において第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンと結合すると考えられている。この溶液中にさらに還元剤が加えられると、金属イオン又はMOイオンが還元されて微粒子状に凝集すると同時に、微粒子の周囲が有機酸又は有機アミンで被覆された状態となる。有機酸又は有機アミンの添加量は、第1原料及び第2原料並びにその他の原料の種類にもよるが、通常、溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンのモル数の1〜10倍程度である。
加熱工程は、溶解・混合工程で得られた均一な溶液を、不活性雰囲気下において180℃〜300℃で加熱する工程である。加熱により溶液中に、保護層で被覆された触媒微粒子が生成する。
溶液の加熱は、溶液中で生成した微粒子の酸化を防ぐために不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で行う。
加熱温度は、使用する原料の種類や目的とする直径に応じて、最適な温度を選択する。一般に、加熱温度が低すぎると、原料間の反応が不十分となる。原料間の反応を効率よく進行させるためには加熱温度は、180℃以上が好ましい。
一方、加熱温度が高すぎると、微粒子の凝集が進行し、粒子の直径が不均質になる。従って、加熱温度は、300℃以下が好ましい。
反応終了後、遠心分離等の手段を用いて微粒子と溶媒とを分離し、再びこれを適当な分散溶媒中に分散させれば、CNT合成用触媒分散液が得られる。
溶液の加熱は、溶液中で生成した微粒子の酸化を防ぐために不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で行う。
加熱温度は、使用する原料の種類や目的とする直径に応じて、最適な温度を選択する。一般に、加熱温度が低すぎると、原料間の反応が不十分となる。原料間の反応を効率よく進行させるためには加熱温度は、180℃以上が好ましい。
一方、加熱温度が高すぎると、微粒子の凝集が進行し、粒子の直径が不均質になる。従って、加熱温度は、300℃以下が好ましい。
反応終了後、遠心分離等の手段を用いて微粒子と溶媒とを分離し、再びこれを適当な分散溶媒中に分散させれば、CNT合成用触媒分散液が得られる。
上述した触媒分散液を基材表面に塗布し、基材表面にカーボンナノチューブ合成用触媒を担持させる。
基材の材質は特に限定されるものではなく、CNT合成用触媒の組成、後述する成長工程における成長条件等に応じて最適なものを選択する。基材の材質としては、具体的には、Si、熱酸化膜付Si、サファイヤ、マグネシア、種々の金属、酸化物、窒化物を堆積したSi基材、メソポーラス材料などがある。
基材の材質は特に限定されるものではなく、CNT合成用触媒の組成、後述する成長工程における成長条件等に応じて最適なものを選択する。基材の材質としては、具体的には、Si、熱酸化膜付Si、サファイヤ、マグネシア、種々の金属、酸化物、窒化物を堆積したSi基材、メソポーラス材料などがある。
基材としてメソポーラス材料を用いる場合、基材表面のみがメソポーラス材料であっても良く、あるいは、基材全体がメソポーラス材料であっても良い。
例えば、表面のみがメソポーラスシリカからなる基材は、具体的には、シリコンアルコキシドに適量の水、エタノール、界面活性剤、及び酸を加えてゾル状態とし、これを適当な基材(例えば、Si基板など)表面に塗布して重縮合させることにより、基材表面に界面活性剤を含むメソポーラスシリカ膜を形成した後、このメソポーラスシリカ膜から界面活性剤を酸化又は溶媒抽出により除去することにより得られる。
例えば、表面のみがメソポーラスシリカからなる基材は、具体的には、シリコンアルコキシドに適量の水、エタノール、界面活性剤、及び酸を加えてゾル状態とし、これを適当な基材(例えば、Si基板など)表面に塗布して重縮合させることにより、基材表面に界面活性剤を含むメソポーラスシリカ膜を形成した後、このメソポーラスシリカ膜から界面活性剤を酸化又は溶媒抽出により除去することにより得られる。
また、全体がメソポーラスシリカからなる基材は、具体的には、シリコンアルコキシド(例えば、テトラアルコキシシランなど)に適量の水、エタノール、界面活性剤を加え、塩基性条件下でシリカ原料を加水分解させ、溶液から粉末状の生成物を分離し、粉末に含まれる界面活性剤を酸化又は溶媒抽出により除去し、粉末を板状に成形し、焼結させることにより得られる。
シリコンアルコキシドに代えて特定の金属元素を含む金属アルコキシドを出発原料に用いると、シリカ以外の材料(例えば、チタニア、ジルコニア、アルミナなど)からなるメソポーラス材料が得られる。
シリコンアルコキシドに代えて特定の金属元素を含む金属アルコキシドを出発原料に用いると、シリカ以外の材料(例えば、チタニア、ジルコニア、アルミナなど)からなるメソポーラス材料が得られる。
基材表面への触媒分散液の塗布方法として、例えば以下の方法がある。
(1) 基材表面に触媒分散液をスプレー、ハケ塗り等により塗布する方法
(2) 基材表面に触媒分散液をスピンコーティングする方法
(3) 触媒分散液中に基材をディッピングし、所定の引き上げ速度で基材を引き上げる方法
本発明においてはいずれの方法を用いても良い。特に、ディッピング法は、基材表面に均一に触媒分散液を塗布することができ、また、触媒分散液中の微粒子濃度や基材の引き上げ速度等を最適化すると、基材表面に微粒子を均一かつ密に担持させることができるので、塗布方法として好適である。
(1) 基材表面に触媒分散液をスプレー、ハケ塗り等により塗布する方法
(2) 基材表面に触媒分散液をスピンコーティングする方法
(3) 触媒分散液中に基材をディッピングし、所定の引き上げ速度で基材を引き上げる方法
本発明においてはいずれの方法を用いても良い。特に、ディッピング法は、基材表面に均一に触媒分散液を塗布することができ、また、触媒分散液中の微粒子濃度や基材の引き上げ速度等を最適化すると、基材表面に微粒子を均一かつ密に担持させることができるので、塗布方法として好適である。
また、用いる基材表面が親水性の場合、触媒分散液を塗布する前に基材表面をシランカップリング剤などにより疎水処理することが好ましい。予め疎水処理を施すことにより、微粒子を均一に担持できる。
基材表面に触媒分散液を塗布した後、基材を乾燥させ、触媒分散液に含まれていた分散溶媒を除去する。少なくとも上記工程後に、上記触媒微粒子は酸化され、金属酸化物微粒子となっている。なお、触媒微粒子表面を覆っている保護層は、成長工程に先立って、酸化雰囲気中での熱処理またはプラズマ処理によって除去しても良く、あるいは、保護層を除去することなく、そのままCNTの合成に用いても良い。後述するように、CNTの合成時に適量の酸素含有化合物ガスを用いれば、必ずしもCNTの成長に先立って保護層を除去する必要はない。
基材表面に触媒分散液を塗布した後、基材を乾燥させ、触媒分散液に含まれていた分散溶媒を除去する。少なくとも上記工程後に、上記触媒微粒子は酸化され、金属酸化物微粒子となっている。なお、触媒微粒子表面を覆っている保護層は、成長工程に先立って、酸化雰囲気中での熱処理またはプラズマ処理によって除去しても良く、あるいは、保護層を除去することなく、そのままCNTの合成に用いても良い。後述するように、CNTの合成時に適量の酸素含有化合物ガスを用いれば、必ずしもCNTの成長に先立って保護層を除去する必要はない。
<CNT成長工程>
基材表面にCNT合成用触媒を担持させた後、カーボンナノチューブを成長させる。
CNTの成長は、具体的には、触媒を担持させた基材表面に炭素含有化合物ガスを供給し、炭素含有化合物ガスを熱分解させる方法(化学気相成長法)により行う。基材表面において炭素含有化合物ガスを熱分解させると、基材表面に担持された触媒を種としてCNTが成長する。なお、炭素含有化合物ガスを流すと同時に、酸素含有化合物ガスを供給することでCNTの成長速度を速めることができる。水蒸気を系内に導入する場合は、例えば水蒸気導入装置を用いて、炭素含有化合物ガスとともに、所望の水蒸気量を系内に導入すればよい。水蒸気導入装置を用いて水蒸気量を制御する際には、微量水蒸気センサーを系内の導入部及び排気部に配置し、成長中に系内の水蒸気量がほぼ一定となるように制御することができる。
基材表面にCNT合成用触媒を担持させた後、カーボンナノチューブを成長させる。
CNTの成長は、具体的には、触媒を担持させた基材表面に炭素含有化合物ガスを供給し、炭素含有化合物ガスを熱分解させる方法(化学気相成長法)により行う。基材表面において炭素含有化合物ガスを熱分解させると、基材表面に担持された触媒を種としてCNTが成長する。なお、炭素含有化合物ガスを流すと同時に、酸素含有化合物ガスを供給することでCNTの成長速度を速めることができる。水蒸気を系内に導入する場合は、例えば水蒸気導入装置を用いて、炭素含有化合物ガスとともに、所望の水蒸気量を系内に導入すればよい。水蒸気導入装置を用いて水蒸気量を制御する際には、微量水蒸気センサーを系内の導入部及び排気部に配置し、成長中に系内の水蒸気量がほぼ一定となるように制御することができる。
CNTの成長に用いる炭素含有化合物としては、メタン、アセチレン、エタン、プロパン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素;上記炭化水素のHをヒドロキシ基(OH)で置換したメタノール、エタノール等のヒドロキシ化合物;一酸化炭素などが好適である。これらの炭素含有化合物は、いずれか1種のみを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、炭化水素及びヒドロキシ化合物は、CNTを効率よく生成させることができ、取り扱いも容易であるので、炭素含有化合物として特に好適である。
これらの中でも、炭化水素及びヒドロキシ化合物は、CNTを効率よく生成させることができ、取り扱いも容易であるので、炭素含有化合物として特に好適である。
酸素含有化合物ガスとしては、水蒸気、酸素、一酸化炭素、アルコールなどがある。特に、水蒸気は、酸化力が相対的に弱いので、CNTの成長に有害なアモルファスカーボンのみを選択的に除去するのが容易化する。また、水蒸気は、反応ガスへの添加量の計測制御が容易であるので、CNTの合成時に使用する酸素含有化合物ガスとして好適である。
酸素含有化合物ガスの添加量は、CNTの成長速度に影響を及ぼし、通常は、酸素含有化合物ガスを添加することでCNTの成長速度が向上する。相対的に高い成長速度を得るためには、炭素含有化合物ガス(x)に対する酸素含有化合物ガス(y)のモル比(y/x)は、反応管の導入部において、0.0002以上が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.0007以上、さらに好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.003以上である。
一方、酸素含有化合物ガスの添加量が過剰になると、CNTの酸化が進行するため、CNTの成長速度がかえって低下する。従って、モル比(y/x)は、反応管の導入部において0.02以下が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.014以下、さらに好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.008以下である。
酸素含有化合物ガスの添加量は、CNTの成長速度に影響を及ぼし、通常は、酸素含有化合物ガスを添加することでCNTの成長速度が向上する。相対的に高い成長速度を得るためには、炭素含有化合物ガス(x)に対する酸素含有化合物ガス(y)のモル比(y/x)は、反応管の導入部において、0.0002以上が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.0007以上、さらに好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.003以上である。
一方、酸素含有化合物ガスの添加量が過剰になると、CNTの酸化が進行するため、CNTの成長速度がかえって低下する。従って、モル比(y/x)は、反応管の導入部において0.02以下が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.014以下、さらに好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.008以下である。
また、炭素含有化合物ガス、さらに必要に応じて酸素含有化合物ガスを基材表面に供給する場合、適当なキャリアガスを使用する。キャリアガスとしては、具体的には、水素、アンモニア、窒素、アルゴン、ヘリウム等、又はこれらの混合ガスが好適である。炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスとキャリアガスの比率、ガスの総流量等は、炭素含有化合物及び酸素含有化合物の種類、反応管の大きさ、熱分解方法等に応じて、最適なものを選択する。
炭素含有化合物ガスを熱分解させる方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1) 反応容器内に基材を配置し、ヒータ、赤外線、レーザーなどを用いて基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入する熱化学気相成長(熱CVD)法
(2) 反応容器内に基材を配置し、例えば、マイクロ波発振器等を用いて反応容器内にプラズマを発生させることにより基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するプラズマ気相成長(プラズマCVD)法
(3) 反応容器内に基材を配置し、基材表面近傍に配置したホットフィラメントを用いて基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するホットフィラメント気相成長(ホットフィラメント熱CVD)法
(4) 上述した各種方法の組み合わせ
本発明においては、いずれの方法を用いても良い。
(1) 反応容器内に基材を配置し、ヒータ、赤外線、レーザーなどを用いて基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入する熱化学気相成長(熱CVD)法
(2) 反応容器内に基材を配置し、例えば、マイクロ波発振器等を用いて反応容器内にプラズマを発生させることにより基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するプラズマ気相成長(プラズマCVD)法
(3) 反応容器内に基材を配置し、基材表面近傍に配置したホットフィラメントを用いて基材を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するホットフィラメント気相成長(ホットフィラメント熱CVD)法
(4) 上述した各種方法の組み合わせ
本発明においては、いずれの方法を用いても良い。
CNTの合成は、まず、基材を反応容器に入れて所定の圧力(例えば、10-5Torr(1.3×10-3Pa)以下)まで減圧する。次いで、加熱装置を用いて、基材を合成温度まで昇温させる。基材が合成温度に達したところで、反応ガス供給装置を用いて数分〜数時間、キャリアガスと炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスとを所定の流量比で圧力を調整しながら流す。これにより、基材表面にCNTが成長する。
CNTの合成温度は、少なくとも、炭素含有化合物ガスを熱分解させることが可能な温度以上であれば良い。CNTの合成温度は、通常、500〜1000℃である。
また、炭素含有化合物ガス、酸素含有化合物ガス、及びキャリアガスの流量比、流量等は、炭素含有化合物ガスや酸素含有化合物ガスの種類、加熱方法等に応じて、最適な条件を選択する。
上記のような方法により、基材上の触媒微粒子を種として触媒微粒子径とほぼ同等の直径を有するCNTを高い面密度で成長させることができる。
CNTの合成温度は、少なくとも、炭素含有化合物ガスを熱分解させることが可能な温度以上であれば良い。CNTの合成温度は、通常、500〜1000℃である。
また、炭素含有化合物ガス、酸素含有化合物ガス、及びキャリアガスの流量比、流量等は、炭素含有化合物ガスや酸素含有化合物ガスの種類、加熱方法等に応じて、最適な条件を選択する。
上記のような方法により、基材上の触媒微粒子を種として触媒微粒子径とほぼ同等の直径を有するCNTを高い面密度で成長させることができる。
<転写工程>
基材上に成長したCNTは、通常、長さや方向性にばらつきがあり、CNT膜の表面粗さが大きくなり易い。そのため、CNTを成長させる基材に表面粗さが0.02μmRa以下の平滑な板を用いて処理した後、摺動部材の本体となる基材(摺動用基材)に移し取って表面形状が整った摺動部材とすることが好ましい。例えば、CNTを成長させる基材に0.01μmRa以下のSiウエハを用いて成膜した後、摺動用基材に接着剤、両面粘着テープなどの接着層を設け、CNT膜を押し付ける。これによりCNT膜を摺動用基材に転写させることができる。あるいは、摺動部材の基材となる樹脂材料、半田等を液状にしてCNT膜に付与した後、硬化させる。硬化後、基材を成長用基材から引き離すことでCNT膜が転写され、これを摺動部材として用いることができる。摺動部材の基材は、摺動部材の用途等に応じて選択すればよい。
基材上に成長したCNTは、通常、長さや方向性にばらつきがあり、CNT膜の表面粗さが大きくなり易い。そのため、CNTを成長させる基材に表面粗さが0.02μmRa以下の平滑な板を用いて処理した後、摺動部材の本体となる基材(摺動用基材)に移し取って表面形状が整った摺動部材とすることが好ましい。例えば、CNTを成長させる基材に0.01μmRa以下のSiウエハを用いて成膜した後、摺動用基材に接着剤、両面粘着テープなどの接着層を設け、CNT膜を押し付ける。これによりCNT膜を摺動用基材に転写させることができる。あるいは、摺動部材の基材となる樹脂材料、半田等を液状にしてCNT膜に付与した後、硬化させる。硬化後、基材を成長用基材から引き離すことでCNT膜が転写され、これを摺動部材として用いることができる。摺動部材の基材は、摺動部材の用途等に応じて選択すればよい。
このように、成長用基材上にCNT膜を成長させた後、摺動用基材にCNT膜を転写させることで、表面粗さが小さいCNT膜を有する摺動部材を得ることができる。このような方法によれば、摺動用基材の表面にCNTが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上となる摺動部材を得ることができる。
なお、基材上に成長させたCNT膜(アズデポ)の表面状態が比較的良好で、その用途の点から特に問題がなければ、転写工程を行わずにCNTを成長させた基材をそのまま摺動部材として用いることもできる。
なお、基材上に成長させたCNT膜(アズデポ)の表面状態が比較的良好で、その用途の点から特に問題がなければ、転写工程を行わずにCNTを成長させた基材をそのまま摺動部材として用いることもできる。
以上のようなナノファイバー面密度と横方向剪断強度を有する摺動部材は、相手材(被接触面)と接触する際に、表面のナノファイバーが弾性変形することによって相手材との真実接触面積が大きくなり、それによって分子間力もしくは吸着水メニスカス力による表面付着力が増加することで摩擦が増大することになる。
本発明の摺動部材は、例えば変速機のクラッチ摺動面、ベルト式無段変速機のベルトとプーリとの接触面、ブレーキパッドとディスク面との摺動面など、摩擦によって動力伝達もしくは制動力を生じさせるユニットの摺動部に好適であり、動力を伝達する場合には、押付け力の低減化や、より大きな動力を伝達することが可能となる。同様に、摩擦制動の場合には小さな押付け力で大きな制動力を確保することができる。
本発明の摺動部材は、例えば変速機のクラッチ摺動面、ベルト式無段変速機のベルトとプーリとの接触面、ブレーキパッドとディスク面との摺動面など、摩擦によって動力伝達もしくは制動力を生じさせるユニットの摺動部に好適であり、動力を伝達する場合には、押付け力の低減化や、より大きな動力を伝達することが可能となる。同様に、摩擦制動の場合には小さな押付け力で大きな制動力を確保することができる。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法により、アルミ基板表面にカーボンナノチューブ(CNT)を垂直方向に配向して設けた摺動部材を製造した。
Feアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、1,2−ヘキサデカンチオール、オレイン酸、オレイルアミン、およびオクチルエーテルを不活性ガス(アルゴン)雰囲気下において所定の比率で混合し、これを250℃で30分間反応させた。オクチルエーテルは、20mlとし、各原料の添加量は、Feアセチルアセトナート:TiOアセチルアセトナート:1,2−ヘキサデカンチオール:オレイン酸:オレイルアミン=0.8mmol:0.2mmol:7mmol:3mmol:3mmolとした。
反応終了後、室温まで冷却し、遠心分離器を用いて不純物を除去し、保護層で被覆された微粒子を得た。これをヘキサン中に適切な濃度(吸光度:0.5)で再分散させ、ナノチューブ用触媒分散液を得た。
以下の方法により、アルミ基板表面にカーボンナノチューブ(CNT)を垂直方向に配向して設けた摺動部材を製造した。
Feアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、1,2−ヘキサデカンチオール、オレイン酸、オレイルアミン、およびオクチルエーテルを不活性ガス(アルゴン)雰囲気下において所定の比率で混合し、これを250℃で30分間反応させた。オクチルエーテルは、20mlとし、各原料の添加量は、Feアセチルアセトナート:TiOアセチルアセトナート:1,2−ヘキサデカンチオール:オレイン酸:オレイルアミン=0.8mmol:0.2mmol:7mmol:3mmol:3mmolとした。
反応終了後、室温まで冷却し、遠心分離器を用いて不純物を除去し、保護層で被覆された微粒子を得た。これをヘキサン中に適切な濃度(吸光度:0.5)で再分散させ、ナノチューブ用触媒分散液を得た。
表面粗さ0.02μmRaのSiウエハ基板に、厚さ約50nmのメソポーラスシリカを形成した後、さらに、疎水化処理(シリル化処理)を施し、上記ナノチューブ用触媒分散液に浸漬し、一定速度(0.5mm/sec)で大気中に引き上げることによって、上記微粒子の単分子膜を基板上に自己組織化的に形成した。その後、上記触媒が表面に付与された基板をカーボンナノチューブ成長装置(アルバック社製)内に配置し、成長炉内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
引き続き、水素:アルゴン:アセチレンの流量比を16sccm:24sccm:10sccmに固定し、成長温度:700℃、雰囲気圧:267Pa、成長時間:10minで上記基板上にカーボンナノチューブ膜の形成を行った。
引き続き、水素:アルゴン:アセチレンの流量比を16sccm:24sccm:10sccmに固定し、成長温度:700℃、雰囲気圧:267Pa、成長時間:10minで上記基板上にカーボンナノチューブ膜の形成を行った。
上記のような手法で基板上に形成したCNT膜を、表面に両面テープを貼り付けたアルミ基板に押付けて、アルミ基板上にCNT膜を転着させた。これによって、アルミ基板上に表面形状が整ったCNT膜が設けられた摺動部材を得た。
図1は、得られた摺動部材のCNT膜(摺動部)の電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像であり、図2は、さらに拡大したFE−SEM像である。図1及び図2に見られるように、数本のCNTが束なって1つの柱状構造を形成し、複数のCNT柱が剣山状に配向した表面構造を有している。CNTが束なったCNT柱の径は数十〜数百nmで、長さは約200μmであった。また、CNTの面密度は約1×1014本/m2であった。
図1は、得られた摺動部材のCNT膜(摺動部)の電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像であり、図2は、さらに拡大したFE−SEM像である。図1及び図2に見られるように、数本のCNTが束なって1つの柱状構造を形成し、複数のCNT柱が剣山状に配向した表面構造を有している。CNTが束なったCNT柱の径は数十〜数百nmで、長さは約200μmであった。また、CNTの面密度は約1×1014本/m2であった。
<比較例1>
比較材として、ビッカース硬さHV850のSACM645ガス窒化鋼材(以下、鋼材と略記)を用意した。鋼材の表面は粗さ0.1μmRzjisの鏡面に仕上げている。
比較材として、ビッカース硬さHV850のSACM645ガス窒化鋼材(以下、鋼材と略記)を用意した。鋼材の表面は粗さ0.1μmRzjisの鏡面に仕上げている。
‐付着力の測定‐
実施例1及び比較例1で作製した試料(摺動部材)をそれぞれ用い、直径10μm(局率半径R:5μm)の真球状SiO2粒子をプローブとしたNOVASCAN社のカンチレバー(AFM Probes with Particle Attachment)を用いた走査プローブ顕微鏡(島津製作所:SPM9500−J3、以後、SPMと略記)によって、フォースカーブを測定した。
このフォースカーブ測定によって、プローブ先端と評価材の表面との表面相互作用力を計測した。フォースカーブ測定の概略を図3及び図4に示す。図3及び図4に示すように試料10をカンチレバー12の先端部のプローブ14に対して垂直方向に動かして押し付けてから引き離されるまで(I〜VI)のカンチレバー12のたわみ量から、表面相互作用力の一つである付着力として、試料表面をカンチレバー先端部のプローブ14から引き剥がす際に要する力(付着力)を測定した。
付着力に関しては、各試料について3部位での測定を行い、その平均値をその試料の付着力とした。このようなSPMにおいて測定される付着力には、表面のファンデルワールス力が大きく関与していると考えられる。
実施例1及び比較例1で作製した試料(摺動部材)をそれぞれ用い、直径10μm(局率半径R:5μm)の真球状SiO2粒子をプローブとしたNOVASCAN社のカンチレバー(AFM Probes with Particle Attachment)を用いた走査プローブ顕微鏡(島津製作所:SPM9500−J3、以後、SPMと略記)によって、フォースカーブを測定した。
このフォースカーブ測定によって、プローブ先端と評価材の表面との表面相互作用力を計測した。フォースカーブ測定の概略を図3及び図4に示す。図3及び図4に示すように試料10をカンチレバー12の先端部のプローブ14に対して垂直方向に動かして押し付けてから引き離されるまで(I〜VI)のカンチレバー12のたわみ量から、表面相互作用力の一つである付着力として、試料表面をカンチレバー先端部のプローブ14から引き剥がす際に要する力(付着力)を測定した。
付着力に関しては、各試料について3部位での測定を行い、その平均値をその試料の付着力とした。このようなSPMにおいて測定される付着力には、表面のファンデルワールス力が大きく関与していると考えられる。
‐せん断強度の測定‐
前記SPM装置の摩擦力顕微鏡(以後、FFMと略記、水平力顕微鏡とも称される)モードによって、走査時の摩擦力を測定し、試料表面の摩擦特性を評価した。カンチレバー12のプローブ14を試料表面に押し付けて、横方向に走査した際に生じるカンチレバー12のねじれ量によって摩擦力を測定し(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 「Application Brief」、SPI No.37、2001.8参照)、この摩擦力を、試料10とプローブ14との間に付与した垂直荷重で除して次式に基づき摩擦係数(μ)を算出した。μは摩擦係数、Fは摩擦力、Wは垂直荷重である。
μ=F/W
前記SPM装置の摩擦力顕微鏡(以後、FFMと略記、水平力顕微鏡とも称される)モードによって、走査時の摩擦力を測定し、試料表面の摩擦特性を評価した。カンチレバー12のプローブ14を試料表面に押し付けて、横方向に走査した際に生じるカンチレバー12のねじれ量によって摩擦力を測定し(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 「Application Brief」、SPI No.37、2001.8参照)、この摩擦力を、試料10とプローブ14との間に付与した垂直荷重で除して次式に基づき摩擦係数(μ)を算出した。μは摩擦係数、Fは摩擦力、Wは垂直荷重である。
μ=F/W
両測定の環境条件は、室温:24〜25℃、湿度:44〜45%のRHの大気雰囲気とした。FFMモードでの摩擦力測定は、付与垂直荷重:1.2μN、X軸方向(水平方向)の走査距離:1μm、X軸方向の走査速度:20μm/s(1Hz)、X軸方向の走査ライン本数256(1ライン測定毎にY軸方向に3.9nm移動)とした。
‐評価結果‐
実施例1のCNT膜を備えた摺動部材を用いた場合と、比較例1の鋼材を備えた摺動部材を用いた場合のフォースカーブの実測例をそれぞれ図5および図6に示す。また、フォースカーブ測定によって得られた付着力の平均値を図7にまとめて示す。実施例1の摺動部材(CNT膜)では比較例1の摺動部材(鋼材)に比べて3倍以上の大きな付着力が得られている。
実施例1のCNT膜を有する試料で高い付着力が得られた要因としては、CNT膜は適度なサイズのCNTおよびCNT間の空間(面密度)を有することによって弾性変形を生じ易くなっており、かつ、均一な長さのCNTが垂直方向に配向していることから、図8に示すようにCNT膜16と接触相手であるプローブ14の先端との真実接触面積が大きくなっていることが考えられる。
一方、鋼材については、図9に示すように鋼材20の鏡面加工面においても0.1μm程度の表面粗さが存在し、CNT膜に比べて弾性変形しにくいため、真実接触面積は本接触条件におけるヘルツ接触面の計算値φ80nmよりもさらに小さいと考えられる。
実施例1のCNT膜を備えた摺動部材を用いた場合と、比較例1の鋼材を備えた摺動部材を用いた場合のフォースカーブの実測例をそれぞれ図5および図6に示す。また、フォースカーブ測定によって得られた付着力の平均値を図7にまとめて示す。実施例1の摺動部材(CNT膜)では比較例1の摺動部材(鋼材)に比べて3倍以上の大きな付着力が得られている。
実施例1のCNT膜を有する試料で高い付着力が得られた要因としては、CNT膜は適度なサイズのCNTおよびCNT間の空間(面密度)を有することによって弾性変形を生じ易くなっており、かつ、均一な長さのCNTが垂直方向に配向していることから、図8に示すようにCNT膜16と接触相手であるプローブ14の先端との真実接触面積が大きくなっていることが考えられる。
一方、鋼材については、図9に示すように鋼材20の鏡面加工面においても0.1μm程度の表面粗さが存在し、CNT膜に比べて弾性変形しにくいため、真実接触面積は本接触条件におけるヘルツ接触面の計算値φ80nmよりもさらに小さいと考えられる。
実施例1のCNT膜を備えた摺動部材を用いた場合と、比較例1の鋼材を備えた摺動部材を用いた場合の平均摩擦力および算出した摩擦係数(μ)をそれぞれ図10および図11に示す。CNT膜では窒化鋼材に比べて大きな摩擦力が生じており(図10)、付与した垂直荷重によって算出した摩擦係数(μ)は1.2以上と著しく高い(図11)。このように実施例1の摺動部材で大きな摩擦力が得られた要因としては、付与した見掛けの垂直荷重は比較例1の窒化鋼材と同じであるものの、前述したように、CNTでは表面付着力が大きく、実質的な垂直荷重が増大していることが考えられる。また、最大でもプローブ径が10μmとなる微小面積において、図10に示したように1.44μN以上の摩擦力が加わっており、実施例1の摺動部材(CNT膜)はこれに耐え得る18kPa以上のせん断強度を有すると判断される。
‐高摩擦材として必要なせん断強度‐
本評価CNT膜での結果および摩擦係数(μ)0.2以上を示す高摩擦材料として必要な物性値から、以下に記すように最低限必要なせん断強度を算出した。
本検討条件(φ10μm球状プローブを使用)での最大接触面積(球の投影面積)
:78.5×10-12(m2)
CNT膜によって発生する単位面積あたりの付着力
:2.0×10-6(N) 〔本評価CNT膜では2.7×10-6 (N)〕/78.5×10-12(m2)=2.54×104(N/m2)
CNT膜の付着力によって発生する単位面積あたりの摩擦力=必要なせん断強度
:2.54×104(N/m2)×0.2〔最低限望まれる摩擦係数〕
=5.09×103(N/m2)=5.09(kPa)
本評価CNT膜での結果および摩擦係数(μ)0.2以上を示す高摩擦材料として必要な物性値から、以下に記すように最低限必要なせん断強度を算出した。
本検討条件(φ10μm球状プローブを使用)での最大接触面積(球の投影面積)
:78.5×10-12(m2)
CNT膜によって発生する単位面積あたりの付着力
:2.0×10-6(N) 〔本評価CNT膜では2.7×10-6 (N)〕/78.5×10-12(m2)=2.54×104(N/m2)
CNT膜の付着力によって発生する単位面積あたりの摩擦力=必要なせん断強度
:2.54×104(N/m2)×0.2〔最低限望まれる摩擦係数〕
=5.09×103(N/m2)=5.09(kPa)
10・・・試料(摺動部材)
12・・・カンチレバー
14・・・プローブ
16・・・カーボンナノチューブ
18・・・アルミ基板
20・・・鋼材
12・・・カンチレバー
14・・・プローブ
16・・・カーボンナノチューブ
18・・・アルミ基板
20・・・鋼材
Claims (6)
- 基材の表面にナノファイバーが1×1012本/m2〜1×1017本/m2の面密度で設けられた摺動部を有し、該摺動部の横方向せん断強度が5kPa以上であることを特徴とする摺動部材。
- 前記ナノファイバーが、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
- 前記ナノファイバーが、前記基材の表面の垂直方向に対する傾斜角が±30°の範囲内となるように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動部材。
- 表面粗さが0.02μm以下の平滑な基材上にナノファイバーを成長させた後、該ナノファイバーを摺動部材用基材の表面に転写させたことによって該基材表面に前記ナノファイバーを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の摺動部材。
- 前記摺動部の摩擦係数(μ)が、0.2以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の摺動部材。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の摺動部材を製造する方法であって、
表面粗さが0.02μm以下の平滑な基材上にナノファイバーを成長させる工程と、
該ナノファイバーを摺動部材用基材の表面に転写させることによって該基材表面に前記ナノファイバーを設ける工程と、を含むことを特徴とする摺動部材の製造方法。
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