JP2008231216A - 高摩擦摺動膜およびこれを用いた駆動装置 - Google Patents

高摩擦摺動膜およびこれを用いた駆動装置 Download PDF

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俊和 南部
Yoshiteru Yasuda
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Abstract

【課題】弾性ヒステリシス損失を利用することにより、耐摩耗性を高めつつ高摩擦係数化を図ることができる高摩擦摺動膜を提供する。
【解決手段】高摩擦摺動膜10は、基材20の表面に形成され、基材20に対して垂直な方向と基材20に対して平行な方向との弾性率が異なり、荷重−変位特性においてヒステリシスを示す。
【選択図】図2

Description

本発明は、高摩擦摺動膜およびこれを用いた駆動装置に関する。
硬質材料のセラミックス焼結体に粒子状金属材や繊維状金属材を含有させることにより、摺動部材の高摩擦係数化が図られている。このように、硬質材料に金属材を含有させると、この金属材が相手材との間で凝着作用を発揮する。これが高摩擦係数化につながっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−104145
しかし、上述のように、凝着し易くすることにより高摩擦化を図ろうとすると、摺動部材および相手材が摩耗し易くなり、自動車のブレーキやフリクションドライブシステム等で要求される高摩擦および耐摩耗性の両立が困難となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高摩擦および耐摩耗性を両立させた高摩擦摺動膜、及びこのような高摩擦摺動膜を備えた駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基材の表面に形成され、前記基材に対して垂直な方向と前記基材に対して平行な方向との弾性率が異なる、荷重−変位特性においてヒステリシスを示す高摩擦摺動膜である。
上記目的を達成するための請求項9に記載の発明は、所定方向に移動可能な被駆動部材と、前記所定方向に対して垂直方向の押し付け力により前記被駆動部材と摩擦係合する駆動部材と、当該駆動部材を前記所定方向に往復運動させるための駆動力を駆動部材に入力する駆動源と、を有し、前記被駆動部材および前記駆動部材の両方またはどちらか一方が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高摩擦摺動膜を備え、当該高摩擦摺動膜を介して前記被駆動部材および前記駆動部材が係合していることを特徴とする駆動装置である。
請求項1に記載の発明によれば、凝着作用によらないで、高摩擦摺動膜内で発生するエネルギー損失を利用して摩擦を大きくすることができる。したがって、耐摩耗性を高めつつ高摩擦係数化を図ることができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高摩擦摺動膜を有している。このため、駆動部材と被駆動部材との間の押し付け力が小さくても大きな摩擦力を生じさせることができる。したがって、高い効率で被駆動部材を駆動することができる。また、部材の耐摩耗性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
<高摩擦摺動膜>
図1は、基材上に形成された高摩擦摺動膜を説明するための図、図2は実施形態に係る高摩擦摺動膜を説明するための部分拡大斜視図、図3は球形圧子を用いた試験を説明するための図、図4は履歴エネルギーUrと球形圧子の圧入に要するエネルギーUtとの比Ur/Utおよび摩擦係数の関係を示すグラフ、図5はカーボンナノチューブの見かけのバネ定数と摩擦係数との関係を示すグラフ、図6はカーボンナノチューブの長さxと径dとの比x/dおよび摩擦係数の関係を示すグラフ、図7は高摩擦摺動膜を構成するカーボンナノチューブの長さおよび摩擦係数の関係を示すグラフである。
図1を参照して、高摩擦摺動膜10は、石英基板からなる基材20表面に形成される。
図2を参照して、高摩擦摺動膜10は、基材20の表面に対し垂直に形成された複数の棒状体からなる。実施形態では、棒状体が、カーボンナノチューブ15(Carbon Nano Tube、以下CNTと呼ぶ)である。CNT15は、長さ方向では1TPa以上という高強度を示し、長さ方向に対して垂直な方向ではしなやかであるという特徴を有する。このため、高摩擦摺動膜10は、基材20の表面に対して垂直な方向と基材20に対して平行な方向との弾性率が異なる。
以下、高摩擦摺動膜10の作製方法および高摩擦摺動膜10の特性について具体的に説明する。
<実施例>
高摩擦摺動膜10は、以下の方法により作製した。まず、石英基板上にスパッタリングによりFeを10nmの厚さでコーティングし、基材20を形成した。コーティングされたFeは、真空中で800℃に加熱した。こうすることにより、Feが微細化される。この後、基材20が収納されたチャンバー内にアセチレンガスを導入し、Feを触媒とする熱CVD(化学気相蒸着法)により、CNT15を、基材20の表面に対して垂直に配向して成長させた。基材20の表面に対して垂直な方向のCNT長さは、成膜時間を変えることにより調整した。
作製した試料を表1に示す。CNT直径は、基材20表面に対して平行な平面におけるCNT断面の直径である。また、比較例として、CNT膜を形成しない基材20を用いた。
Figure 2008231216
次に作製した高摩擦摺動膜10の特性について述べる。
まず、履歴エネルギーUrと摩擦係数との関係について説明する。
高摩擦摺動膜10の履歴エネルギーUrは、インデンテーション試験(単一押し込み試験)により得られる荷重−変位特性から求めた。
図3を参照して、インデンテーション試験は、高摩擦摺動膜10に対して垂直に移動するダイヤモンド球形圧子30が高摩擦摺動膜10に押し込こまれ、そのときの押し込み荷重および押し込み深さ(変位)が測定される。球形圧子30の半径は、84.5μmである。CNT15とCNT15との間隔は、球形圧子30の直径よりも十分小さくなるように作製した。こうすることにより球形圧子30の基材20への接触を抑制した。相手材の突起先端が基材20表面に接触すると、突起先端および基材20が凝着する可能性があるため、耐摩耗性が低下する。また、相手材の突起先端が基材20表面に接触すると、突起先端がCNT15を根元から剥がし、摩擦係数が低下する虞がある。また、突起先端を支持するCNT15の数が少ないと、CNT15が荷重を支えられずに倒され、相手材がCNT15側面を摺動することにより、摩擦係数が低下する虞がある。
しかし、本実施例のように相手材の突起先端の幅よりもCNT15の間隔を十分小さくすることにより、相手材の突起先端が、多数のCNT15により支持される。このため耐摩耗性および高摩擦を維持することができる。
履歴エネルギーUrは、加圧時に要するエネルギーから除荷時に要するエネルギーを減じたエネルギーであり、荷重−変位特性において、圧入曲線および除荷曲線により囲まれる面積として求めることができる。
圧入曲線は、球形圧子30を高摩擦摺動膜10に対して押し込んだときに得られる曲線であり、除荷曲線は、球形圧子30の荷重を減少させたときに得られる曲線である。
また、前述の球形圧子30を使用して、さまざまな押し込み深さのもとでスクラッチ試験(単一引っ掻き試験)を行い、そのときの押し込み荷重とせん断力との比から高摩擦摺動膜10の摩擦係数を測定した。CNT膜を有しない比較例の摩擦係数は、測定の結果、およそ0.2であった。
インデンテーション試験およびスクラッチ試験を行い、表1の各試料について、履歴エネルギーUrおよび摩擦係数を求めた。
図4に、各試料の履歴エネルギーUrおよび摩擦係数から得られる、減衰能と摩擦係数との関係を示す。ここで、減衰能は、履歴エネルギーUrと加圧時に要するエネルギーUtとの比Ur/Utとして定義する。
図4に示すように、減衰能の増加に伴い摩擦係数が増加した。減衰能の値が0.36程度から摩擦係数はおよそ0.2より大きくなり、CNT膜を有しない比較例よりも摩擦係数が増加している。さらに、減衰能の値が0.5のときには、摩擦係数の値は2.5を示し、比較例の摩擦係数よりも摩擦係数が大きく増加した。したがって、減衰能の値が0.36より大きく、より好ましくは0.5以上の値を示すように高摩擦摺動膜10を形成することにより、高摩擦係数化を図ることができる。
図5に、摩擦係数とCNT15の見かけのバネ定数との関係を示す。CNT15の見かけのバネ定数kは、式1により定義した。
Figure 2008231216
ここで、dはCNT15の延在方向に対して垂直な平面におけるCNT15の直径、xはCNT15の延在方向の長さである。
図5に示すように、バネ定数の値が小さいほど摩擦係数は大きな値を示した。これは、バネ定数の値が小さくなる、すなわち棒状体(本実施形態ではCNT15)のしなやかさが増すことにより、棒状体同士の接触が増えるためであると推測される。
バネ定数の値が1.0N/m程度から摩擦係数の値は0.2より大きくなり、CNT膜を有しない比較例よりも摩擦係数が増加した。バネ定数が約0.003のときには摩擦係数は2.5程度の値を示し、比較例の摩擦係数よりも摩擦係数が大きく増加した。したがって、式1で表される見かけのバネ定数kの値を、0N/mより大きく1.0N/m以下、好ましくは0.003N/m以下とすることにより、高摩擦係数化を図ることができる。
図6に、CNT15の長さxと直径dとの比x/dおよび摩擦係数の関係を示す。CNT15の長さと直径との比x/dの値が大きいほど、摩擦係数は大きな値を示した。逆に、CNT15の長さと直径との比x/dが小さいほど、摩擦係数は小さな値を示した。これは、CNT15の長さと直径との比x/dが小さいと、基材20に対して垂直な方向の荷重を十分に支えることができず、CNT15が挫屈し易いためであると推測される。
長さと直径との比x/dが10程度から摩擦係数が増加し、比x/dが11程度で比較例の摩擦係数0.2より大きな値を示した。長さと直径との比x/dが125では、摩擦係数は2.5の値を示し、比較例に対し摩擦係数の大幅な増加が確認された。したがってCNT15の長さと直径との比x/dが、10以上、好ましくは125以上の値になるように棒状体を形成することにより、高摩擦係数化を図ることができる。
図7に、CNT長さと摩擦係数との関係を示す。CNT長さの増加とともに摩擦係数が増加した。CNT長さが0.4μm程度で摩擦係数が0.2より大きくなり、CNT膜を有しない比較例よりも摩擦係数が増加した。CNT長さが5μmでは、摩擦係数が2.5となり、比較例に対し大きな摩擦係数の増加を示した。したがって、CNT長さを0.4μm以上、より好ましくは5μm以上とすることにより、高摩擦係数化を図ることができる。
棒状体の長さを長くすることにより、棒状体の側面の面積が増加し、棒状体同士が擦れ合う面積が増大する。このため、棒状体同士の摩擦による弾性ヒステリシス損失が大きくなり、高摩擦係数化を実現することができる。
以上説明したように、高摩擦摺動膜10は、変形および回復をくり返すときに高摩擦摺動膜10内で発生するエネルギー損失を利用して摩擦を生じさせており、部材間の凝着作用を高めることなく、高摩擦を実現している。このため、耐摩耗性を高めつつ高摩擦係数化を図ることができる。
<駆動装置>
次に、高摩擦摺動膜10を用いた駆動装置について説明する。
<第1実施形態>
図8は第1実施形態に係る駆動装置100の概略図、図9は第1実施形態に係る駆動部材110の往復運動周波数と被駆動部材140の速度の関係を示す図である。
図8を参照して、本実施形態の駆動装置100は、所定方向に移動可能な被駆動部材140と、所定方向に対して垂直方向の押し付け力により被駆動部材140と摩擦係合する駆動部材110と、駆動部材110を所定方向に往復運動させるための駆動力を駆動部材110に入力する駆動源と、を有し、駆動部材110が、上述の高摩擦摺動膜10を備え、高摩擦摺動膜10を介して被駆動部材140および駆動部材110が係合していることを特徴とする。
本実施形態では駆動部材110が高摩擦摺動膜10を有するが、被駆動部材140が高摩擦摺動膜10を有してもよく、また駆動部材110および被駆動部材140の両方が高摩擦摺動膜10を有してもよい。
駆動装置100は、正弦波電圧を駆動源に供給する制御部170を有する。正弦波電圧は、指令値に応じた振幅および周波数を有する。
駆動源は圧電素子150である。圧電素子150は、その伸縮方向(図8左右方向)の一面が固定部材160に固定され、他面には駆動部材110が取り付けられている。この圧電素子150には、制御部170を経由して図外の電源から電力が供給される。
圧電素子150は、電圧を上昇させることにより伸長し、電圧を下げることにより収縮する特性を有する。圧電素子150は、面積当たりに発生する力が大きいため、小さな寸法で必要な力を得ることができ、装置を小型化できる。また、矩形波や三角波などに対して正弦波電圧は、電流の最大値が小さいため、制御部170を含む電気回路の小型化、低コスト化を図ることができる。
図9を参照して、ある周波数近傍において駆動部材110と被駆動部材140との共振現象が起き、被駆動部材140の速度が、急激に増加している。よって、制御部170が、この条件を満たす電圧波形を圧電素子150に与えることにより、被駆動部材140を高速に移動させることができる。
駆動部材110は、圧電素子150の伸縮運動と平行な面で、高摩擦摺動膜10を介して被駆動部材140と摩擦係合する。駆動部材110は、圧電素子150に取り付けられた第1部材120と、被駆動部材140に接触する第2部材130とから構成されている。
第1部材120および第2部材130は、第2部材130と被駆動部材140との接触面に対して角度α(0<α<90°)を有する第1カム面123,133と、第2部材130と被駆動部材140との接触面に対して垂直な第2カム面126,136と、を有する。
第1部材120が駆動方向(図8左方向)への移動し、第1部材120の第1カム面123および第2部材130の第1カム面133が互いに当接すると、第1部材120は、第2部材130の第1カム面133を押す。このとき、第2部材130の第1カム面133にカム発生力が生ずる。カム発生力の垂直方向の成分が、第2部材130と被駆動部材140との接触面に与えられる押し付け力となる。
一方、第1部材120が反駆動方向(図8右方向)へ移動し、第1部材120の第1カム面123および第2部材130の第1カム面133が離間すると、垂直方向の押し付け力が発生しないため、第2部材130と被駆動部材140との間に摩擦力が生じない。また、第1部材120の第2カム面126が、第2部材130の第2カム面136に当接したとき、第2カム面126,136が被駆動部材120に対して垂直であるため、押し付け力が発生せず、摩擦力が生じない。
駆動部材110の第1部材120は、圧電素子150の伸縮により往復運動する。一方、被駆動部材140は、ほぼ一定の速度で運動している。
したがって、被駆動部材140に対する第1部材120の相対速度が駆動方向に正のとき、すなわち被駆動部材140に対する駆動部材110の相対速度が正のとき、第1部材120が第2部材130の第1カム面133に当接して、駆動力の一部が垂直方向の押し付け力に変換される。
一方、被駆動部材140に対する第1部材120の相対速度が駆動方向に負のとき、すなわち被駆動部材140に対する駆動部材110の相対速度がゼロまたは負のとき、第1部材120は第2部材130の第1カム面133に当接しないため、駆動力を垂直方向の押し付け力に変換しない。押し付け力が発生しないため、摩擦力が、被駆動部材140の運動方向に対して逆方向に生じない。
このように、被駆動部材140の運動方向に対して逆方向に摩擦力が生じないように、押し付け力の有無を切り替えているため、動力損失を抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態の駆動装置100は、大掛かりな装置を使うことなく、第1カム面により駆動力を押し付け力に変換している。また、本実施形態の駆動装置100は、被駆動部材140に対する駆動部材110の相対速度に応じて、押し付け力の有無を切り替えている。したがって、本実施形態の駆動装置100は、コスト/サイズアップを伴うことなく、動力損失を抑制して安定した駆動性能を実現することができる。
また、駆動部材110および被駆動部材140が、高摩擦摺動膜10を介して摩擦係合しているため、部材の摩耗が抑制される。更に、高摩擦摺動膜10を介さずに駆動部材110および被駆動部材140が摩擦係合される場合に比べ、押し付け力が小さくても大きな摩擦力を生じさせることができる。したがって、高い効率で駆動することができる。
<実施形態2>
図10は第2実施形態に係る駆動装置200の概略図である。なお、図8に示す部材と共通する部材には同一符号を使用し、説明は省略する。
第2実施形態に係る駆動装置200は、駆動方向と反駆動方向とを切り替えることができる。
図10を参照して、駆動部材210は、固定部材160に支持された2つの第1,第2圧電素子250,255により挟まれている。駆動部材210は、第1部材220および第2部材230により構成され、第1部材220には左右第1カム面226,228と左右第2カム面222,224とが形成され、第2部材230には、左右第1カム面236,238と左右第2カム面232,234とが形成されている。
第1部材220の左右第2カム面222,224と第2部材230の左右第2カム面232,234との間には、伸縮可能な左右切り替え素子280,285が介装されている。左切り替え素子280は、駆動方向が左方向のとき縮退し、右方向のとき伸長するように制御される。右切り替え素子285は、駆動方向が左方向のとき伸長し、右方向のとき縮退するように制御される。
左切り替え素子280を伸長させて右切り替え素子285を縮退させた場合には、右第1カム面同士が接触するとともに、左第2カム面同士が左切り替え素子280を介して連結する。
逆に、左切り替え素子280を縮退させて右切り替え素子285を伸長させた場合には、左第1カム面同士が接触するとともに、右第2カム面同士が右切り替え素子285を介して連結する。
本実施形態の駆動装置200は、右切り替え素子285を伸ばして左第1カム面同士を接触させ、右第2カム面同士を連結するとともに、左切り替え素子280を縮めて右第1カム面同士および左第2カム面同士は接触させず隙間を空けることにより、実施形態1の駆動装置100と同じ駆動方向とすることができる。この状態で、左右圧電素子250,255を互いに反対の位相で伸縮させることにより、実施形態1と同様に、左方向の摩擦力だけが被駆動部材140に伝わり、高い効率で駆動できる。
一方、左切り替え素子280を伸ばして右第1カム面同士を接触させ、左第2カム面同士を連結するとともに、右切り替え素子285を縮めて左第1カム面同士および右第2カム面同士は接触させず隙間を空けることにより、右方向の摩擦力だけが被駆動部材140に伝わり、高い効率で駆動できる。
以上説明したように、実施形態2に係る駆動装置200は、駆動方向と反駆動方向とを切り替えることができるため、実施形態1の駆動装置100の効果に加え、被駆動部材140の運動方向を選択的に決定することが可能であり、適用範囲の拡大を図ることができる。
<実施形態3>
図11は第3実施形態に係る駆動装置300の概略図、図12は図11のXII−XII線に沿う断面図である。なお、図8〜10に示す部材と共通する部材には同一符号を使用し、説明は省略する。
図11を参照して、本実施形態の駆動装置300は、実施形態1の駆動装置2つが駆動部材110を間にして対向する構造を有する。駆動部材110と駆動部材110との間には、押し付け力発生手段としてバネ390が配置され、このバネ390は2つの駆動部材110を連結している。
図12を参照して、本実施形態の駆動装置300は、2つの被駆動部材140が、連結部345により断面コ字状に連結されている。
実施形態1の駆動装置100は、駆動部材110が、押し付け力の反力を被駆動部材140から受ける。このため、軸受け等を介して駆動部材110を固定物に支持する必要がある。同様に、押しつけ力を受ける被駆動部材140も支持する必要がある。したがって、駆動部材110と支持部(図示せず)との間、および被駆動部材140と支持部(図示せず)との間で、摩擦損失が発生する。
これに対し、実施形態3の駆動装置300は、押し付け力に対する反力が、同じ大きさで逆方向に、それぞれの駆動部材110に作用する。したがって、押し付け力に対する反力は、駆動部材110の間に配置したバネ390を介して相殺され、別途支持部を設ける必要がない。
同様に、2つの被駆動部材140には、同じ大きさで逆方向の押し付け力が作用するが、連結部345を介して押し付け力が相殺されるため、別途支持部を設ける必要がない。
したがって、駆動部材110と支持部との間、および被駆動部材140と支持部との間で発生する摩擦損失を抑制することができる。
第1部材120および第2部材130は、第1カム面123,133または第2カム面126,136で接触する。寸法誤差等がある場合、接触時に、隙間がこれら接触面の間に生じる。このような隙間が生じると、圧電素子150および駆動部材110の移動量に対して、隙間がガタとなることにより、被駆動部材140の移動量が小さくなり、駆動装置300として得られる速度が小さくなる。
本実施形態の駆動装置300は、駆動部材110が、バネ390により被駆動部材140に対して押し付けられるため、寸法誤差等により生じる隙間を小さくすることができる。
以上説明したように、実施形態3に係る駆動装置300は、駆動部材110にはたらく押し付け力の反力および被駆動部材140にはたらく押し付け力を相殺することができる。したがって、駆動部材110および被駆動部材140を支持する支持部が必要なく、実施形態3に係る駆動装置300は、実施形態1の駆動装置100の効果に加え、支持部での摺動による摩擦損失をなくすことができる。
さらに、実施形態3に係る駆動装置300は、バネ390により第1部材120を第2部材130に対して押し付けているため、寸法誤差等により生じる第1部材120と第2部材130との間の隙間を小さくすることができる。
<実施形態4>
図13は、第4実施形態に係る駆動装置400の概略図である。なお、図8〜12に示す部材と共通する部材には同一符号を使用し、説明は省略する。
図13を参照して、実施形態4に係る駆動装置400は、被駆動部材440が、回転体であり、所定の回動中心445回りに回動可能である。駆動部材210の往復運動の方向は、被駆動部材440の回転運動における接線方向である。
本実施形態の被駆動部材440は、円筒形状であり、実施形態2の駆動部材210が90°ピッチで外周面に接して4つ配置されている。
このように配置することにより被駆動部材440を回転させ、回転出力を得ることができる。したがって、駆動装置400は、直動アクチュエータだけでなく回転アクチュエータとしての用途にも使用することができる。
したがって、実施形態4に記載の駆動装置400は、実施形態1および実施形態2の効果に加え、新たな機構の追加なしに回転出力を得ることができるという効果を有する。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。
例えば上述した実施形態では、高摩擦摺動膜10は、棒状体がCNT15により形成されたが、これのみに限定されるものではなく、棒状体がスパッタリング等の微細加工技術により形成されたものであってもよい。
基材上に形成された高摩擦摺動膜を説明するための図である。 高摩擦摺動膜を説明するための部分拡大斜視図である。 球形圧子を用いた試験を説明するための概略図である。 履歴エネルギーUrと球形圧子の圧入に要するエネルギーUtとの比Ur/Utおよび摩擦係数の関係を示すグラフである。 カーボンナノチューブの見かけのバネ定数と摩擦係数との関係を示すグラフである。 カーボンナノチューブの長さxと径dとの比x/dおよび摩擦係数の関係を示すグラフである。 高摩擦摺動膜を構成するカーボンナノチューブの長さおよび摩擦係数の関係を示すグラフである。 第1実施形態に係る駆動装置の概略図である。 駆動部材の往復運動周波数と被駆動部材の速度の関係を示す図である。 第2実施形態に係る駆動装置の概略図である。 第3実施形態に係る駆動装置の概略図である。 図11のXII−XII線に沿う断面図である。 第4実施形態に係る駆動装置の概略図である。
符号の説明
10 高摩擦摺動膜、
15 カーボンナノチューブ、
20 基材、
100 駆動装置、
110 駆動部材、
120 第1部材、
130 第2部材、
123,133 第1カム面、
126,136 第2カム面、
140 被駆動部材、
150 駆動源(圧電素子)、
160 固定部材、
170 制御部。

Claims (19)

  1. 基材の表面に形成され、前記基材の表面に対して垂直な方向と前記基材の表面に対して平行な方向との弾性率が異なる、荷重−変位特性においてヒステリシスを示す高摩擦摺動膜。
  2. 前記荷重−変位特性において、加圧時に要するエネルギーから除荷時に要するエネルギーを減じた履歴エネルギーUrと加圧時に要するエネルギーUtとの比Ur/Utが、0.36以上1未満であることを特徴とする請求項1に記載の高摩擦摺動膜。
  3. 前記荷重−変位特性において、加圧時に要するエネルギーから除荷時に要するエネルギーを減じた履歴エネルギーUrと加圧時に要するエネルギーUtとの比Ur/Utが、0.5以上1未満であることを特徴とする請求項1に記載の高摩擦摺動膜。
  4. 前記基材の表面に対し垂直に形成された複数の棒状体からなることを特徴とする請求項1に記載の高摩擦摺動膜。
  5. 前記棒状体が、カーボンナノチューブからなることを特徴とする請求項4に記載の高摩擦摺動膜。
  6. 以下の式で表される見かけのバネ定数kの値が、0N/mより大きく1N/m以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の高摩擦摺動膜。
    Figure 2008231216
    ここで、d:棒状体の延在方向に対して垂直な平面における棒状体の断面の幅、x:棒状体の延在方向の長さである。
  7. 前記棒状体の延在方向の長さxおよび前記棒状体の延在方向に対して垂直な平面における前記棒状体の断面の幅dの比x/dが、125以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の高摩擦摺動膜。
  8. 前記棒状体の延在方向の長さxが、400nm以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の高摩擦摺動膜。
  9. 所定方向に移動可能な被駆動部材と、前記所定方向に対して垂直方向の押し付け力により前記被駆動部材と摩擦係合する駆動部材と、当該駆動部材を前記所定方向に往復運動させるための駆動力を駆動部材に入力する駆動源と、を有し、
    前記被駆動部材および前記駆動部材の両方またはどちらか一方が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高摩擦摺動膜を備え、当該高摩擦摺動膜を介して前記被駆動部材および前記駆動部材が係合していることを特徴とする駆動装置。
  10. 前記駆動部材は、前記往復運動の一方向(駆動方向)では前記駆動力の一部を所定の変換比率で前記押し付け力に変換し、他方向(反駆動方向)では、前記駆動方向よりも小さな変換比率で押し付け力に変換することを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
  11. 前記駆動部材は、前記駆動方向と前記反駆動方向とを切り替え可能であることを特徴とする請求項9または10に記載の駆動装置。
  12. 前記駆動部材および被駆動部材のうち少なくとも一方は、前記押し付け力の反力を相殺する構造を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の駆動装置。
  13. 前記被駆動部材に押し付け力を付与する押し付け力発生手段を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の駆動装置。
  14. 前記駆動部材は、前記被駆動部材に対する前記駆動部材の相対速度が前記駆動方向に対して正である場合には、前記駆動力の一部を前記押し付け力に変換することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の駆動装置。
  15. 前記駆動部材は、前記駆動源に当接する第1部材と、前記被駆動部材に摩擦係合する第2部材とを有し、
    前記第1部材および前記第2部材は、前記第2部材に対する前記第1部材の相対速度が前記駆動方向に対して正である場合には、互いに当接して駆動力の一部を押し付け力に変換する第1カム面を有することを特徴とする請求項14に記載の駆動装置。
  16. 前記駆動源が、圧電素子であることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の駆動装置。
  17. 前記圧電素子に供給する電圧波形が、正弦波であることを特徴とする請求項16に記載の駆動装置。
  18. 前記駆動部材と前記被駆動部材とが共振運動となるよう、前記駆動源を制御する制御部を有することを特徴とする請求項9〜17のいずれか1項に記載の駆動装置。
  19. 前記被駆動部材は、所定の回動中心回りに回動可能であり、
    前記駆動部材の往復運動の方向が、前記被駆動部材の回転運動における接線方向であることを特徴とする請求項9〜18のいずれか1項に記載の駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009120771A (ja) * 2007-11-16 2009-06-04 Toyota Central R&D Labs Inc 摺動部材及びその製造方法
WO2015015689A1 (ja) * 2013-07-31 2015-02-05 バンドー化学株式会社 平ベルト

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