JP5176530B2 - 振動アクチュエータ - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、略球体状の回転子を一対の固定子で挟持し、互いに積層された第1〜第3の圧電素子部からなる振動体により双方の固定子に互いに同一の方向の超音波振動を発生させて、回転子を多自由度に回転駆動させるアクチュエータが、本出願人により開示されている。このアクチュエータにおいては、一対の固定子によって回転子を挟み込む方向の予圧力が回転子に与えられ、これにより回転子が一対の固定子にそれぞれ加圧接触されている。
特に、予圧部を回転子に接触させて回転子を固定子に加圧した状態で固定子に超音波振動を発生させることにより回転子を駆動する振動アクチュエータにおいては、予圧力を高めると、回転子と予圧部との間に発生する摩擦力に起因して、摩耗が進むだけでなく、摩擦損失によりトルクが低下するおそれを生じてしまう。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、高トルクを実現しながらも耐久性に優れた振動アクチュエータを提供することを目的とする。
なお、固定子接触面と予圧部接触面とは不連続に形成されてもよい。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る振動アクチュエータの構成を示す。基部1と固定子2との間に振動体3が挟持され、基部1と固定子2とが振動体3内に通された連結ボルト4を介して互いに連結されている。固定子2には、振動体3に接する面とは反対側に凹部5が形成されており、この凹部5内に略球体状の回転子6の下部が収容されている。振動体3は、固定子2に超音波振動を発生させて回転子6を回転させるもので、振動体3に駆動回路7が電気的に接続されている。
固定子2の凹部5の開口端縁には、XY平面上に位置する接触部8が形成されている。回転子6はこの凹部5の接触部8に当接した状態で回転可能に支持されている。
固定子2の上部には、支持部材9が配置されている。この支持部材9は、固定子2の上面の上に固定される環状部10と、環状部10から上方に延びるアーチ部11を有し、アーチ部11のほぼ中央部に予圧部12が垂下されている。この予圧部12の下面が回転子6に当接し、これにより回転子6が固定子2の接触部8に対して加圧接触されている。
具体的には、図2に示されるように、第1の圧電素子部31は、それぞれ円板形状を有する電極板31a、圧電素子板31b、電極板31c、圧電素子板31d及び電極板31eが順次重ね合わされた構造を有している。同様に、第2の圧電素子部32は、それぞれ円板形状を有する電極板32a、圧電素子板32b、電極板32c、圧電素子板32d及び電極板32eが順次重ね合わされた構造を有し、第3の圧電素子部33は、それぞれ円板形状を有する電極板33a、圧電素子板33b、電極板33c、圧電素子板33d及び電極板33eが順次重ね合わされた構造を有している。これらの圧電素子部31〜33が絶縁シート34〜37を介して固定子2及び基部1から、また互いに絶縁された状態で配置されている。
第2の圧電素子部32の一対の圧電素子板32b及び32dは、2分割されることなく全体がZ軸方向(厚み方向)に膨張あるいは収縮の変形挙動を行うように分極されており、圧電素子板32bと圧電素子板32dは互いに裏返しに配置されている。
第3の圧電素子部33の一対の圧電素子板33b及び33dは、X軸方向に2分割された部分が互いに逆極性を有してそれぞれZ軸方向(厚み方向)に膨張と収縮の反対の変形挙動を行うように分極されており、圧電素子板33bと圧電素子板33dは互いに裏返しに配置されている。
まず、振動体3に対して、第1の圧電素子部31の電極板31cに振動アクチュエータの固有振動数に近い周波数の交流電圧を印加すると、第1の圧電素子部31の一対の圧電素子板31b及び31dの2分割された部分がZ軸方向に膨張と収縮を交互に繰り返し、固定子2にY軸方向のたわみ振動を発生する。同様に、第2の圧電素子部32の電極板32cに交流電圧を印加すると、第2の圧電素子部32の一対の圧電素子板32b及び32dがZ軸方向に膨張と収縮を繰り返し、固定子2にZ軸方向の縦振動を発生する。さらに、第3の圧電素子部33の電極板33cに交流電圧を印加すると、第3の圧電素子部33の一対の圧電素子板33b及び33dの2分割された部分がZ軸方向に膨張と収縮を交互に繰り返し、固定子2にX軸方向のたわみ振動を発生する。
同様に、駆動回路7から第1の圧電素子部31の電極板31cと第2の圧電素子部32の電極板32cとの双方に位相を90度シフトさせた交流電圧をそれぞれ印加すると、Y軸方向のたわみ振動とZ軸方向の縦振動とが組み合わされて回転子6と接触する固定子2の接触部8にYZ面内の楕円振動が発生し、摩擦力を介して回転子6がX軸回りに回転する。
さらに、駆動回路7から第1の圧電素子部31の電極板31cと第3の圧電素子部33の電極板33cとの双方に位相を90度シフトさせた交流電圧をそれぞれ印加すると、X軸方向のたわみ振動とY軸方向のたわみ振動とが組み合わされて回転子6と接触する固定子2の接触部8にXY面内の楕円振動が発生し、摩擦力を介して回転子6がZ軸回りに回転する。
このようにして振動体3を駆動することにより、回転子6がX、Y、Zの3軸の回りにそれぞれ回転する。
また、回転子6の固定子接触面6aの摩擦係数をより大きくすることにより、トルクの増大を達成することができる。あるいは、固定子接触面6aの摩擦係数を大きくすることで、所定のトルクを得るのに必要な予圧力が小さくなるので、予圧部12及び固定子2と回転子6との間の面圧を小さくして摩耗を低減することが可能となる。
材質の違いを利用する例としては、固定子接触面6aを、クロム、窒化チタン等の金属の被膜から形成して摩擦係数を比較的大きくする一方、予圧部接触面6bを、テフロン(登録商標)、二硫化モリブデン、グラファイト等の被膜から形成して摩擦係数を比較的小さくすることができる。
上記の実施の形態1においては、略球体状の回転子6の外表面を摩擦係数の大きな固定子接触面6aと摩擦係数の小さな予圧部接触面6bとに二分したが、回転子の形状は略球体状に限るものではない。
図4に、この発明の実施の形態2に係る振動アクチュエータで用いられる回転子16を示す。この回転子16は、径の大きな半球17の上に径の小さな半球18を貼り合わせた形状を有し、互いの中心位置を一致させて回転中心Cとしたものである。半球17の外表面により固定子接触面16aが、半球18の外表面により予圧部接触面16bがそれぞれ形成されている。そして、予圧部接触面16bの摩擦係数が固定子接触面16aの摩擦係数よりも小さく設定されている。
実施の形態1と同様に、回転子16の可動範囲は、固定子接触面16aが固定子に接触すると共に予圧部接触面16bが予圧部に接触する範囲内に限られる。このため、図4に示されるように、固定子接触面16aと予圧部接触面16bとを不連続に形成することができ、予圧部接触面16bの径を固定子接触面16aの径より小さくした回転子16を用いることで小型の振動アクチュエータが実現される。
なお、このような円柱形状の回転子においても、図6に示されるように、予圧部接触面36bの径を固定子接触面36aの径より小さくして、予圧部接触面36bの摩擦係数を固定子接触面36aの摩擦係数よりも小さく設定してもよい。この回転子36を用いることにより、小型の振動アクチュエータを構成することができる。
Claims (2)
- 予圧部により回転子を固定子に加圧した状態で前記固定子に超音波振動を発生させることにより前記回転子を駆動させる振動アクチュエータにおいて、
前記回転子の外表面は、前記予圧部に接触する曲面状の予圧部接触面と前記固定子に接触する曲面状の固定子接触面とを有し、
前記固定子接触面の摩擦係数が前記予圧部接触面の摩擦係数よりも大きくなるように、前記固定子接触面には粗面化処理又は溝が形成されることを特徴とする振動アクチュエータ。 - 前記固定子接触面と前記予圧部接触面とは不連続に形成される請求項1に記載の振動アクチュエータ。
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