JP2009120635A - 無機粉末分散ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】シートアタックやデラミネーション等の不具合が発生しにくく、塗工・乾燥後の表面平滑性に優れるともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温で脱脂処理が可能な無機粉末分散ペーストを提供する。
【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、沸点が150℃以上の有機溶剤、及び、無機粉末を含有する無機粉末分散ペーストであって、前記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂であり、前記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートに由来するセグメント、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメント、及び、炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを有するものであり、メチルメタクリレートに由来するセグメントを15〜70重量%含有し、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを30重量%以下含有する無機粉末分散ペースト。
【選択図】なし

Description

本発明は、シートアタックやデラミネーション等の不具合が発生しにくく、塗工・乾燥後の表面平滑性に優れるともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温で脱脂処理が可能な無機粉末分散ペーストに関する。
ポリビニルアセタール樹脂は、強靭性、造膜性、顔料等の無機・有機粉体等の分散性、塗布面への接着性等に優れていることから、例えば、積層セラミックコンデンサを構成するセラミックグリーンシートや導電ペースト、インク、塗料、焼き付け用エナメル、ウォッシュプライマー等の用途に利用されている。
なかでも、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造される。
まず、ポリビニルブチラール樹脂等のバインダー樹脂にセラミック原料粉末を加え、均一に混合することでセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物を、離型処理した支持体面に塗工する。これに加熱等を行うことで溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。次いで、得られたセラミックグリーンシート上に、ポリビニルブチラール樹脂等をバインダー樹脂として含有する導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製し、脱脂処理を行った後、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
近年では、積層セラミックコンデンサに更なる高容量化が求められており、より一層の多層化、薄膜化が検討されているが、このような積層セラミックコンデンサにおいては、セラミックグリーンシートの表面に形成した導電ペースト層と、導電ペースト層が形成されていない領域との密着性が不足することによって、デラミネーションと呼ばれる層間剥離が発生することがあった。
これに対して、特許文献1及び特許文献2には、変性させたポリビニルアセタール樹脂を導電ペーストのバインダー樹脂として用いることで、密着性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、塗工・乾燥後に得られる導電ペースト層の表面に凹凸が生じ、いわゆるレベリング性に劣るという問題や、焼結後の残留炭素分が多くなるという問題があった。
また、バインダー樹脂として、熱分解性に優れるアクリル樹脂を用いることで、焼結後の残留炭素分を低減させることが検討されている。しかしながら、アクリル樹脂はセラミックグリーンシートに対する密着性が悪く、デラミネーションの発生を防止することはできなかった。
更に、近年の積層セラミックコンデンサの薄層化に伴い、導電ペーストの有機溶剤がセラミックグリーンシートを溶解する、いわゆるシートアタック現象が新たに大きな課題となっているが、バインダー樹脂として、アクリル樹脂やポリビニルアセタール樹脂を単独で使用する場合、耐シートアタック性が不充分となっていた。従って、導電ペースト用の有機溶剤としては、シートアタックが発生しにくいものを用いる必要があった。
一方で、例えば、特許文献3には、導電ペーストのパインダー樹脂として、アクリル樹脂とブチラール樹脂とを混合したもの方法が開示されている。
しかしながら、このような方法では、アクリル樹脂とブチラール樹脂との相溶性が依然として低いものとなっていた。また、特許文献3に記載されたバインダー樹脂と、シートアタックが発生しにくい有機溶剤を併用して導電ペーストの材料として用いた場合、特にアクリル樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低くなり、これに起因して導電ペーストに相分離が発生したり、塗工・乾燥後に得られる導電ペースト層の表面に凹凸が形成されたりする不具合が生じていた。
特開2005−113133号公報 特開2005−298792号公報 特開2006−278162号公報
本発明は、上記現状に鑑み、シートアタックやデラミネーション等の不具合が発生しにくく、塗工・乾燥後の表面平滑性に優れるともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温で脱脂処理が可能な無機粉末分散ペーストを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、沸点が150℃以上の有機溶剤、及び、無機粉末を含有する無機粉末分散ペーストであって、前記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂であり、前記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートに由来するセグメント、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメント、及び、炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを有するものであり、メチルメタクリレートに由来するセグメントを15〜70重量%含有し、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを30重量%以下含有する無機粉末分散ペーストである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の構造を有するポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル樹脂をバインダー樹脂として用いた場合、両者の相溶性が高いだけでなく、シートアタックを発生しにくい有機溶剤と併用する場合でも、優れた溶解性を実現することができること、シートアタック及びデラミネーションの発生を効果的に防止できること、及び、塗工・乾燥後に高い表面平滑性を実現できるとともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温での脱脂処理が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の無機粉末ペーストは、バインダー樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル樹脂を含有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂である。このようなポリビニルアセタール樹脂は、後述する(メタ)アクリル樹脂との相溶性に優れるとともに、高い密着性を有することから、デラミネーションの発生を効果的に防止することができる。
上記水酸基量が25モル%を超えると、後述する(メタ)アクリル樹脂との相溶性や、密着性が低下する。好ましい上限は25モル%である。また、好ましい下限は20モル%である。
上記水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂のうち、市販されているものとしては、例えば、エスレックBL−S、BH−S(何れも積水化学工業社製)等が挙げられる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアセタール化してなるものである。用いるポリビニルアルコールのケン化度の好ましい下限は80モル%である。80モル%未満であると、ポリビニルアルコールの水溶性が悪化するためアセタール化が困難になり、また、水酸基量が少なくなるためアセタール化自体が困難になる。より好ましい下限は85モル%である。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
本発明において、上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は65モル%、好ましい上限は80モル%である。65モル%未満であると、得られるポリビニルアセタール樹脂が水溶性となり、有機溶剤に不溶となるため、ペースト作製の支障となることがある。80モル%を超えると、残存水酸基が少なくなり、ポリビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ、ペースト印刷時の塗膜強度が低下することがある。より好ましい下限は70モル%、より好ましい上限は78モル%である。
なお、本明細書において、アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、アルデヒドでアセタール化された水酸基数の割合のことであり、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を算出する。
上記水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂としては、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなる変性ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。このような変性ポリビニルアセタール樹脂は、後述する(メタ)アクリル樹脂との相溶性を維持し、更に高い密着性を有することから、デラミネーションの発生を効果的に防止することができる。
上記変性ポリビニルアルコールのエチレン単位含有量の好ましい下限は1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記変性ポリビニルアルコールは、エチレン単位を含有することによって、アセタール化して得られる変性ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が増大するため、無機粉末の分散性や、塗工用のペーストとして用いた場合に塗膜の強度が向上する。
上記エチレン単位含有量が1モル%未満であると、無機粉末の分散性、導電ペーストの印刷性や塗膜の強度が低下することがある。20モル%を超えると、上記変性ポリビニルアルコールの水溶性が低下するため、アセタール化が困難になったり、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂の有機溶剤への溶解性が低下するため、導電ペースト作製に支障が出たり、経時粘度安定性が低下することがある。より好ましい下限は2モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記変性ポリビニルアルコールのケン化度の好ましい下限は80モル%である。80モル%未満であると、変性ポリビニルアルコールの水溶性が悪化するためアセタール化が困難になり、また、水酸基量が少なくなるためアセタール化自体が困難になることがある。より好ましい下限は85モル%である。
上記変性ポリビニルアルコールは、エチレン単位含有量が上記範囲内で、かつ、ケン化度が80モル%以上であれば、上記変性ポリビニルアルコールを単独で用いてもよく、又は、2種以上の変性ポリビニルアルコールを混合して、全体としてエチレン単位含有量が上記範囲内で、かつ、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールに調整してから用いてもよい。
上記変性ポリビニルアルコールは、ビニルエステルとエチレンの共重合体をケン化することにより得ることができる。上記ビニルエステルとしては特に限定されず、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。なかでも、経済的観点から酢酸ビニルが好ましい。
上記変性ポリビニルアルコールは、エチレンのみによって変性されたものが好ましい。エチレンのみによって変性された変性ポリビニルアルコールは、水溶性に優れ、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂を有機溶剤に溶解した溶液は、経時粘度安定性に優れる。エチレン以外の共単量体により上記変性ポリビニルアルコールを更に変性する場合には、上記共単量体の含有量の好ましい上限は2.0モル%である。2.0モル%を超えると、水溶性が悪化し、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂を有機溶剤に溶解した溶液の経時粘度安定性に劣ることがある。
上記変性ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。上記エチレン性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリルメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、それをケン化することによって得られる末端変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
上記変性ポリビニルアルコールを使用する場合、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールを単独で使用してもよく、あるいは、2種以上の変性ポリビニルアルコールを混合したり、変性ポリビニルアルコールと未変性ポリビニルアルコールを混合したりして、最終的に得られる変性ポリビニルアセタール樹脂のエチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上となるようにしてもよい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなるものである。上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
本発明において、上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は65モル%、好ましい上限は80モル%である。65モル%未満であると、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂が水溶性となり、有機溶剤に不溶となるため、ペースト作製の支障となることがある。80モル%を超えると、残存水酸基が少なくなり、変性ポリビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ、ペースト印刷時の塗膜強度が低下することがある。より好ましい下限は70モル%、より好ましい上限は78モル%である。
本発明の無機粉末分散ペーストにおけるポリビニルアセタール樹脂の含有量としては用いる無機粉末の種類・比重などによって決まるため、特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。1重量%未満であると、密着性が低下してデラミネーションが発生することがあり、20重量%を超えると、流動性が低下して印刷に影響を及ぼすことがある。ただし、密着性等の要求性能が満たされるのであれば、焼結性の面から固形分は少ない方がより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートに由来するセグメント、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメント、及び、炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを有する。
このような(メタ)アクリル樹脂は、熱分解性に優れるため、本発明の無機粉末分散ペーストは、焼成後の残留炭素分が極めて少なく、低温での脱脂が可能となる。また、ポリビニルアセタール樹脂の低流動性を改善して、印刷性を向上させることができる。
更に、上記(メタ)アクリル樹脂は表面平滑性にも優れることから、本発明の無機粉末分散ペーストを塗工した後に得られる被膜は、表面の凹凸が少ないものとなる。加えて、有機溶媒としてシートアタックが発生しにくい有機溶剤を使用する場合でも高い相溶性を有しており、保管時等において相分離が発生することがない。
なお、本明細書において、低温で脱脂可能とは、本発明の無機粉末分散ペーストの初期重量の99.5重量%が消失する焼成温度が低温であることを意味する。具体的には窒素置換等をしない通常の空気雰囲気下で、上記バインダー樹脂組成物の初期重量の99.5重量%が消失する焼成温度が250〜400℃である場合をいう。
また、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートに由来するセグメントを有する。
上記メチルメタクリレートは本来低温で分解する樹脂であるが、その高次構造が分解温度を高める働きをもたらすため、後述する他の成分と共重合させることでメチルメタクリレートの高次構造が解消され、低温分解特性を充分に発揮することができ、より低温での脱脂を実現することが可能となる。
上記(メタ)アクリル樹脂中のメチルメタクリレートに由来するセグメントの含有量の下限は15重量%、上限は70重量%である。15重量%未満であると、焼結後の残留炭素が多くなり、70重量%を超えると、熱分解温度が高くなる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。なかでも焼結性の面からメタクリレートが好ましく、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂中の水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有量の上限は30重量%である。30重量%を超えると、焼結後の残留炭素が多くなる。好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。1重量%未満であると、ポリビニルアセタール樹脂との相溶性が悪くなることがある。
上記炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーとしては、上記メチルメタクリレート以外のものであれば特に限定されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート等が挙げられる。なかでも焼結性の面からメタクリレートであることが好ましく、具体的には例えば、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂中の炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントの含有量の好ましい下限は15重量%、好ましい上限は70重量%である。15重量%未満であると、焼結後の残留炭素が多くなることがあり、70重量%を超えると、熱分解温度が高くなることがある。より好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は50重量%である。
上記(メタ)アクリル樹脂の重合方法としては特に限定されず、通常の(メタ)アクリレートモノマーの重合に用いられる方法が挙げられ、例えば、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル樹脂の重合に重合開始剤を用いる場合、重合開始剤としては特に限定されない。上記重合開始剤は、上記(メタ)アクリル樹脂の重合時に全量を一度に添加されてもよいし、数回に分割して添加されてもよい。上記重合開始剤を数回に分割して添加した場合、残留オリゴマー等の低分子量成分を含まない上記(メタ)アクリル樹脂を得ることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による数平均分子量としては特に限定されないが、好ましい下限は5000、好ましい上限は10万である。5000未満であると、充分な粘度が得られないことがあり、10万を超えると相溶性が悪くなることがある。
なお、ポリスチレン換算による数平均分子量は、カラムとして例えばSHOKO社製カラムLF−804を用いてGPC測定で得ることができる。以下同様である。
本発明の無機粉末分散ペーストにおける(メタ)アクリル樹脂の含有量は、用いる無機粉末の種類・比重や、併用するポリビニルアセタール樹脂の量等によって決まるため特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。1重量%未満であっても、20重量%を超えても無機粉末分散ペーストを用いて印刷することが困難になることがある。
また、本発明の無機粉末分散ペーストにおけるバインダー樹脂全体の含有量は、用いる無機粉末の種類・比重等によって決まるため、特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は40重量%である。1重量%未満であると、無機粉末の分散性が低下することがあり、40重量%を超えると、導電性等の性能が低下することがある。
本発明の無機粉末分散ペーストは、沸点が150℃以上の有機溶剤を含有する。
上記沸点が150℃以上の有機溶剤としては、例えば、メンテン、メンタン、メントン、ミルセン、α−ピネン、α−テルピネン、γ−テルピネン、リモネン、ペリリルアセテート、メンチルアセテート、カルビルアセテート、ジヒドロカルビルアセテート、ペリリルアルコール、ジヒドロターピネオールアセテート、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオール、ターピニルオキシエタノール、ジヒドロターピニルオキシエタノール、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルプロピオネート、イソボニルプロピオネート、イソボニルアセテート、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート、イソボニルイソブチレート、ノビルアセテート、オクチルアセテート、ジメチルオクチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセトキシ−メトキシエトキシ−シクロヘキサノールアセテート、ジヒドロカルベオール、2−エチルヘキシルグリコール、ベンジルグリコール、フェニルプロピレングリコール、メチルデカリン、アミルベンゼン、クメン、シメン、1,1−ジイソプロピルヘキサン、シトロネロール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、ジヒドロターピネオールアセテート、ターピネオールアセテート、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル等に代表される水酸基等の極性の高い置換基を有しないテルペン類及びそれらの水添物が好ましく、特に、ジヒドロテルピネオールアセテートを用いることが好ましい。上記ジヒドロテルピネオールアセテートは、本発明において使用するポリビニルアセタール樹脂及び(メタ)アクリル樹脂に対する相溶性には優れるが、セラミックグリーンシート等に使用されるバインダー樹脂は溶解しににくいため、ジヒドロテルピネオールアセテートを使用することで、バインダー樹脂に対する相溶性と耐シートアタック性とを両立することができる。
本発明の無機粉末分散ペーストは、無機粉末を含有する。
上記無機粉末の材質としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素;ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、CaO・Al・SiO系無機ガラス、MgO・Al・SiO系無機ガラス、LiO・Al・SiO系無機ガラス等のガラス粉末(低融点ガラス);種々のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、金属錯体、YS:Eu、(SrCaBaMg)(POCl:Eu、LaPO:Ce,Tb、Y:Eu、Ca10(POFCl:Sb,Mn、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y,Gd)BO:Eu、CaWO、GdS:Tb、(Y,Sr)TaO:Nb等の蛍光体等が挙げられる。
本発明の無機粉末分散ペーストにおける上記無機粉末の含有量は、用いる無機粉末の種類・比重や、印刷プロセスにより決定されるため、特に限定されないが、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が95重量%である。上記無機粉末の含有量が5重量%未満であると、充分な粘度が得られず印刷性が低下したり、有機成分が多いために残留有機分が多くなったりする等の不具合が発生することがある。95重量%を超えると、無機粉末を分散させることが困難となることがある。
また、本発明の無機粉末分散ペーストは、界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
本発明の無機粉末分散ペーストの粘度としては特に限定されないが、20℃においてB型粘度計を用いプローブ回転数を5rpmに設定して測定したときの粘度の好ましい下限が0.1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sである。上記粘度が0.1Pa・s未満であると、ダイコート法等により塗工した後に無機粉末分散ペーストが所定の形状を維持することが困難となることがあり、100Pa・sを超えると、塗布又は塗工等の印刷性に劣ることがある。
本発明の無機粉末分散ペーストの塗工方法としては特に限定されず、例えば、スクリーン印刷、ダイコート印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。
本発明のペーストの製造方法としては特に限定されず、ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジヒドロテルピネオールアセテート、無機粉末、及び、各種添加剤を従来公知の攪拌方法、具体的には例えば、3本ロール等で混練を行えばよい。
本発明によれば、シートアタックやデラミネーション等の不具合が発生しにくく、塗工・乾燥後の表面平滑性に優れるともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温で脱脂処理が可能な無機粉末分散ペーストを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
([合成例1]ポリビニルアセタール樹脂の合成)
重合度1700、エチレン含有量10モル%、ケン化度88モル%の変性ポリビニルアルコール樹脂193gを純水2900gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を28℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸20gとn−ブチルアルデヒド115gとを添加し、液温を20℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、5時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度を測定したところ、アセタール化度は75モル%、水酸基量は22モル%であった。
((メタ)アクリル樹脂の合成)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メチルメタクリレート(共栄社化学社製:ライトエステルM)70重量部、イソブチルメタクリレート(日本油脂社製:ブレンマーIBMA)20重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(日本油脂社製:ブレンマーE)10重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(和光純薬社製)、有機溶剤として酢酸エチル(和光純薬社製)100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤を酢酸エチルで希釈した溶液を加えた。また重合中に重合開始剤を数回添加した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液にジヒドロテルピネオールアセテートを100重量部加えエバポレーターを用いて減圧乾燥することで、酢酸エチルを揮発させて溶剤置換を行った。
(導電ペーストの作製)
得られたポリビニルブチラール樹脂に、(メタ)アクリル樹脂のジヒドロターピネオールアセテート溶液と、ジヒドロターピネオールアセテートとを加えて、ポリビニルブチラール樹脂:(メタ)アクリル樹脂=1:1となるように樹脂固形分5重量%のビヒクルを調製した。
得られたビヒクルに対してニッケル粉(三井金属社製「2020SS」)を重量比で10:90になるように配合し、三本ロールを数回通して導電ペーストを作製した。
(セラミックグリーンシートの作製)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製、エスレックB「BM−2」計算分子量52000)10重量部を、トルエン30重量部とエタノール15重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した。さらに、この樹脂溶液に可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。こうして得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(堺化学工業製「BT−03(平均粒径0.3μm)」)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
このスラリー組成物を、離型処理したポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが約5μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、さらに熱風乾燥機、80℃で3時間、続いて120℃で2時間乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
(導電ペーストの印刷)
得られたグリーンシートの片面に、調製した導電ペーストを乾燥後の厚みが約2μmになるように、スクリーン印刷法により印刷し、乾燥させて導電層を形成した。
(積層体の作製)
グリーンシートを5cm角に切断し、100枚積重ねて、温度70℃、圧力150kg/cm、10分間熱圧着させてグリーンシート積層体を得た。
得られたグリーンシート積層体を窒素雰囲気下で400℃まで昇温速度3℃/分の速度で昇温して5時間保持後、再び5℃/分の速度で1350℃まで昇温して10時間保持することで焼結し積層体を得た。
(実施例2〜18、比較例1〜15)
(メタ)アクリル樹脂のモノマー配合比を表1に示す比率とした以外は実施例1と同様にして導電ペースト及び積層体を作製した。なお、モノマーとしては以下に記載してものを使用した。
2−ヒドロキシプロピルアクリレート(共栄社化学社製:ライトエステルHOP)、シクロヘキシルメタクリレート(日本油脂社製:CHMA)、ラウリルメタクリレート(日本油脂社製:LMA)、ジエチレングリコールモノメタクリレート(SARTOMER社製:CD507)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(SARTOMER社製:SR604)
(実施例19〜23)
ポリビニルブチラール樹脂として、エチレン単位含有量が0モル%のポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:BL−S、水酸基量22モル%、アセタール化度74モル%)を使用した以外は実施例1、6、9、15、17と同様にして導電ペースト及び積層体を得た。
(実施例24〜28)
ポリビニルブチラール樹脂として、エチレン単位含有量が0モル%のポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:BH−S、水酸基量22モル%、アセタール化度74モル%)を使用した以外は実施例1、6、9、15、17と同様にして導電ペースト及び積層体を得た。
(比較例16〜18)
ポリビニルブチラール樹脂を用いないこと以外は、実施例1、6及び9と同様にして、導電ペースト及び積層体を得た。
(比較例19〜21)
ポリビニルブチラール樹脂として、水酸基量28モル%、アセタール化度71モル%のポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:BL−10)を使用した以外は実施例1、6、9と同様にして導電ペースト及び積層体を得た。
(比較例22〜24)
ポリビニルブチラール樹脂として、水酸基量36モル%、アセタール化度63モル%のポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製:BL−1)を使用した以外は実施例1、6、9と同様にして導電ペースト及び積層体を得た。
(比較例25)
(メタ)アクリル樹脂を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして導電ペースト及び積層体を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた(メタ)アクリル樹脂、導電ペースト及び積層体について、以下の評価を行った。なお、結果を表1、表2に示す。
(重量平均分子量測定)
実施例及び比較例で得られたアクリル樹脂について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行うことにより、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を測定した。
(導電ペースト安定性の評価)
実施例及び比較例で得られた導電ペーストをガラスびんにとり、3週間室温で静置し、目視にて導電ペーストの安定性を評価した。
導電ペーストの表面に透明な層がしみ出てくる分離現象が起こった場合を×、起こらなかった場合を○とした。
(表面粗さの測定)
実施例及び比較例において形成された導電層について、JIS B 0601に準拠した方法で表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。なお、測定には、触針式粗さ計(東京精密社製、サーフコム1400D)を用いた。
測定の結果、Raが0.3μm以下である場合を○、0.3μmより大きく、0.6μm以下である場合を△、0.6μmを超える場合を×とした。
(焼結性の評価)
実施例及び比較例で得られた積層体を常温まで冷却し、中央部を積層面に対し垂直方向に切断して、50層目付近のシート状態を電子顕微鏡で観察することにより、導電層におけるクラックの有無を確認した。
クラックが無く、黒色の点状物が確認されないものを○、クラックがあるか、黒色の点状物があるものを×とした。
(接着性の評価(デラミネーションの発生確認))
実施例及び比較例で得られた積層体を常温まで冷却し、中央部を積層面に対し垂直方向に切断して、50層目付近のシート状態を電子顕微鏡で観察することにより、セラミック層と導電層とのデラミネーションの有無を観察した。
デラミネーションが確認できない場合を○、デラミネーションが確認できた場合を×とした。
Figure 2009120635
Figure 2009120635
本発明によれば、シートアタックやデラミネーション等の不具合が発生しにくく、塗工・乾燥後の表面平滑性に優れるともに、焼成後の残留炭素分が少なく、低温で脱脂処理が可能な無機粉末分散ペーストを提供することができる。

Claims (3)

  1. ポリビニルアセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、沸点が150℃以上の有機溶剤、及び、無機粉末を含有する無機粉末分散ペーストであって、
    前記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が25モル%以下のポリビニルアセタール樹脂であり、
    前記(メタ)アクリル樹脂は、メチルメタクリレートに由来するセグメント、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメント、及び、炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを有するものであり、メチルメタクリレートに由来するセグメントを15〜70重量%含有し、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーに由来するセグメントを30重量%以下含有する
    ことを特徴とする無機粉末分散ペースト。
  2. 水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーは、ポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする請求項1記載の無機粉体分散ペースト。
  3. 炭素数が4〜16であり、かつ、水酸基を含有しない(メタ)アクリルモノマーは、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の無機粉体分散ペースト。
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