JP7246420B2 - (メタ)アクリル樹脂組成物、無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子分散スラリー組成物、及び、無機微粒子分散シート - Google Patents
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Description
このようなセラミックコンデンサーは、一般に、次のような方法を用いて製造される。まず、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、可塑剤、分散剤等の添加剤を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等を用いて均一に混合して無機微粒子分散組成物を得る。
得られた無機微粒子分散組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、SUSプレート等の支持体表面に流延成形し、有機溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗工し、これを複数枚積み重ね、加熱及び圧着して積層体を得る。得られた積層体を加熱して、バインダー樹脂等の成分を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行った後、焼成することによって、内部電極を備えたセラミック焼成体を得る。更に、得られたセラミック焼成体の端面に外部電極を塗布し、焼成することによって、積層セラミックコンデンサーが完成する。
特許文献2には、シード粒子を起点に、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、架橋性二官能メタクリレートを乳化重合させて、スクリーン印刷適性を満足する程度の高粘度を発現可能な焼成ペースト用アクリル樹脂を得ること、及び、該アクリル樹脂を含む焼成ペースト組成物が記載されている。
特許文献3には、ポリエチレンオキシド(A)及びポリオキシアルキレンエーテル型界面活性剤(b)の存在下でアクリル系モノマー(D1)を乳化重合させて生成された重合反応生成物(E)を含む水系焼成用バインダー樹脂組成物が記載されている。
また、無機微粒子分散シートには、焼成した際に、中心部も残留炭素が無く脱脂することができること、焼成前のシートが高い降伏応力及び破断伸度を有することが要求される。通常、ポリビニルアルコール樹脂やポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂等の一般的なバインダーを用いた場合、それらのバインダー樹脂を脱脂にするために酸素を必要とし、酸素が行き届かない成形体の中心部は残留炭素が多く残り、焼成時の割れ、膨れが発生し、歩留まり低下の原因となる
そこで、低温焼成が可能であり、焼成後の残留炭素成分が少ない(メタ)アクリル樹脂を用いることが検討されている。
特許文献2に記載の焼成ペースト用アクリル樹脂では、乳化重合の際に焼結性に劣る分散剤を添加するため、焼成時に煤が形成しやすいという問題がある。また、このようにして得られたアクリル樹脂を有機溶剤に溶解させて無機微粒子分散スラリー組成物を作製すると、乳化剤が異物として残り白濁したり、シートを作製した際にも充分なシート強度が得られなかったりするという問題がある。
特許文献3では、乳化剤として焼結性が良好なエーテル系材料を用いることで、得られる重合反応生成物の分解性を向上させているが、乳化重合により得られるものであり、乳化剤が異物として残ったり、得られる重合反応生成物の分子量が低く、充分なシート強度が得られなかったりするという問題がある。
以下に本発明を詳述する。
上記(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が70万以上であり、かつ、硫酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミジン基、水酸基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する。なお、上記アミジン基は、環状アミジン基を含むものである。
上記特定の官能基を有する(メタ)アクリル樹脂とすることで、焼結性とシート強度とを両立することが可能となる。
上記硫酸基は、塩、エステルであってもよい。上記塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。上記エステルとしては、炭素数1~12の脂肪族基、炭素数6~12の芳香族基を有するエステル等が挙げられ、アルキルエステルがより好ましい。
また、上記官能基は、末端の水素原子の一部が他の基によって置換されたものであってもよい。
例えば、上記アミノ基は、第1アミノ基であってもよく、第2級アミノ基であってもよく、第3級アミノ基であってもよい。具体的には、アミノ基としては、-NR1R2で表される官能基を含む。上記R1及びR2としては、水素原子、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3)のカルボキシアルキル基等、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3)のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。より具体的には、上記アミノ基としては、アミノ基の他、カルボキシエチルアミノ基等のカルボキシアルキルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基等のヒドロキシアルキルアミノ基等が挙げられる。
また、例えば、上記アミジン基としては、-C(NR3)-NR4R5で表される官能基を含む。R3、R4及びR5としては、水素原子、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3)のカルボキシアルキル基等、炭素数1~10(好ましくは炭素数1~5、より好ましくは炭素数1~3)のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。より具体的には、アミジン基の他、カルボキシエチルアミジン基等のカルボキシアルキルアミジン基、ヒドロキシエチルアミジン基等のヒドロキシアルキルアミジン基等が挙げられる。更に、上記アミジン基は、イミダゾリン基等の環状アミジン基を含む。
上記(メタ)アクリル樹脂は、なかでも、少なくとも一方の分子末端に上記官能基を有することが好ましい。
本発明の好適な実施態様においては、上記(メタ)アクリル樹脂の官能基は、好ましくは重合開始剤由来である。また、上記(メタ)アクリル樹脂は、主鎖の少なくとも一方の分子末端のみに硫酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミジン基、水酸基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種を有し、分子末端以外には上記官能基を有さないことが好ましい。
なお、上記エステル置換基の炭素数が1~4であるとは、(メタ)アクリル酸エステルにおける(メタ)アクリロイル基を構成する炭素以外の炭素数の合計が1~4であることを示す。
具体的には、例えば、炭素数が1のものとしてはメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数が2のものとしてはエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数3~4のものとしては、直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよく、具体的には、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記範囲であると、低温分解性をより向上させることができる。
(メタ)アクリル樹脂は、熱によって解重合しモノマーに分解されるため、残留炭素が残りにくいが、イソブチルメタクリレートに由来するセグメントを有することで、更に低温分解性にも優れたものとすることができる。
上記イソブチルメタクリレートに由来するセグメントの含有量が上記好ましい範囲内であると、低温分解性により優れたものとすることができる。
上記イソブチルメタクリレートに由来するセグメントの含有量は、より好ましい下限が50重量%、より好ましい上限が60重量%である。
高い降伏応力を持続させるためには、(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、メタクリル酸イソブチルよりもホモポリマーのガラス転移温度が高いメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルと共重合することにより、得られるシートの降伏応力を高くなる。
一方、無機微粒子分散シートの脆性を改善するためには可塑剤の添加が望ましいが、エステル置換基の短いイソブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートは可塑剤の保持性が悪く、無機微粒子分散シートに加工した際に可塑剤のブリード等を起こしやすい。このため、高いガラス転移温度を維持しながら、可塑剤の保持性を高めるためにn-ブチルメタクリレートを共重合させることが望ましい。
上記範囲とすることで、低温分解性を発現することができる。
上記合計含有量が50重量%以上であると、降伏応力を高め、腰のある無機微粒子分散シートを得ることができる。上記合計含有量が100重量%以下であると、低温分解性とシート強度とを両立することができる。
上記合計含有量は、より好ましい下限が55重量%、更に好ましい下限が60重量%、更により好ましい下限が65重量%、特に好ましい下限が70重量%、特により好ましい下限が80重量%、とりわけ好ましい下限が85重量%、非常に好ましい下限が90重量%、より好ましい上限が97重量%、更に好ましい上限が95重量%である。
上記エステル置換基の炭素数が8以上である(メタ)アクリル酸エステルに由来するセグメントを有することにより、(メタ)アクリル樹脂の分解終了温度を充分に低下させることができるとともに、得られる無機微粒子分散シートを強靭にすることができる。
上記エステル置換基の炭素数が8以上である(メタ)アクリル酸エステルは、上記エステル置換基が分岐鎖構造を有することが好ましい。
上記エステル置換基の炭素数の好ましい上限は30、より好ましい上限が20、更に好ましい上限は10である。
なかでも、分岐鎖状の炭素数8以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレートは、他の長鎖アルキルメタクリレートと比較して特に分解性に優れる。
上記他の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エステル置換基の炭素数が5~7である(メタ)アクリル酸エステル、エステル置換基にポリアルキレンエーテル鎖を有するグラフトモノマー、多官能(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(メタ)アクリル樹脂はシート強度を向上させることができるが、分解性が悪くなるため、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合させることは望ましくない。
上記エステル置換基にポリアルキレンエーテル鎖を有するグラフトモノマーとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。また、ポリ(エチレングリコール・ポリテトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。更に、メトキシポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール・ポリテトラメチレングリコール)モノメタクリレート、メトキシポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、メトキシプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記範囲であると、シート強度をより高めることができる。また、焼成残渣をより低減することができる。
上記エステル置換基にポリアルキレンエーテル鎖を有するグラフトモノマーとしては、グリコール鎖の末端がエトキシ化、メトキシ化されたエステル置換基にポリアルキレンエーテル鎖を有するグラフトモノマーが好ましい。
なお、架橋性多官能(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分として含むと、(メタ)アクリル樹脂の重合が不均一となるため、上記(メタ)アクリル樹脂は、多官能(メタ)アクリル酸エステルに由来するセグメントを含まないことが好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が70万以上であることにより、得られるシートの破断伸度を高めることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が100万、より好ましい下限が150万、更に好ましい下限が200万、好ましい上限が700万、より好ましい上限が600万、更に好ましい上限が500万である。
上記重量平均分子量(Mw)が100万~500万であると、残留炭素が少なく、薄膜加工が容易な無機微粒子分散シートが得られるため好ましい。
このような範囲とすることで、無機微粒子分散スラリー組成物の粘度を好適なものとして、生産性を高めることができる。また、得られるシートの強度を適度なものとすることができる。
なお、上記重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、カラムとして、例えば、カラムLF-804(昭和電工社製)を用いてGPC測定を行うことで測定することができる。
ガラス転移温度が上記範囲であると、可塑剤の添加量を少なくすることができ、(メタ)アクリル樹脂の低温分解性を向上させることができる。
上記ガラス転移温度(Tg)は、より好ましい下限が40℃、更に好ましい下限が45℃、好ましい上限が60℃、より好ましい上限が55℃、更に好ましい上限が50℃である。
上記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量計(DSC)等を用いて測定することができる。
上記90重量%分解温度が280℃以下であることにより、極めて高い低温分解性を実現して脱脂に要する時間を短縮することができる。
上記90重量%分解温度の好ましい下限は230℃、より好ましい下限は250℃、より好ましい上限は270℃である。
なお、上記90重量%分解温度は、例えば、TG-DTA等を用いて測定することができる。
また、(メタ)アクリル樹脂(A)は、厚み20μmのシート状に成形した場合、降伏応力を示し、破断伸度が50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。
なお、上記最大応力は、オートグラフによる引張試験によって測定することができる。
通常、(メタ)アクリル樹脂は硬くて脆いため、シート状に成形して引っ張ると、歪みが5%未満で破断し、降伏応力を示さない。一方、(メタ)アクリル樹脂の組成を調整することで、上記(メタ)アクリル樹脂はシート状に成形して引っ張った際にも降伏応力を示すものとなる。
また、上記(メタ)アクリル樹脂の平均粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましい。
上記平均粒子径は、例えば、動的光散乱法を利用して測定することができる。
従来の(メタ)アクリル樹脂の製造では、乳化重合により分散剤ミセル中でモノマーの重合を進行させるが、高分子量の樹脂を得るためには巨大なミセルを形成する必要があり、多量の分散剤を添加する必要がある。このため、得られた(メタ)アクリル樹脂は、多量の分散剤を含み、その結果、焼結性が悪く、また、シート強度も不充分となるという問題がある。
本発明では、特定の重合開始剤を用いて水中に分散させた原料モノマーを重合させることにより、分散剤を用いなくても粒子状の(メタ)アクリル樹脂を製造することができ、更に、通常の乳化重合以上の高い分子量を有する(メタ)アクリル樹脂を作製することができる。
上記重合開始剤を用いた重合では、上記水溶性ラジカル重合開始剤を用いることで、通常の乳化重合に用いられる分散剤を添加することなく、高分子量の(メタ)アクリル樹脂を作製することができる。
上記重合反応では、水中に分散させたモノマーを上記水溶性ラジカル重合開始剤を起点に重合させ、この際、それぞれのモノマーが衝突、合着しないように低濃度で分散重合させる。このように反応させることで、成分が均一で粒子径のそろった重合体を得ることができる。上記方法では、上記水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、低濃度で重合させることにより、水素引き抜き等の不均一化の原因となる反応を最低限に抑えることができ、反応系内で複数のポリマーが成長し難いためである。
これらの水溶性ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記添加量を0.02重量部以上とすることで、原料モノマーの反応率を充分に高めることができる。上記添加量を0.2重量部以下とすることで、(メタ)アクリル樹脂の分子量を充分に高めることができる。
また、上記範囲とすることで、分子末端(ω位)に硫酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミジン基、水酸基及びアミド基から選択される少なくとも1種を有する(メタ)アクリル樹脂が水中に低濃度で分散して均一な粒径の樹脂を得ることができる。
更に、上記範囲とすることで、乳化剤を用いなくても高い分子量を有する(メタ)アクリル樹脂を作製することができる。
上記アルキルスルホン酸塩としては、オクチルスルホン酸、デシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記陰イオン界面活性剤の添加量は、原料モノマー100重量部に対して、0~0.03重量部とすることが好ましく、0.002~0.01重量部とすることがより好ましい。
上記範囲とすることで、重合途中での凝集や反応容器への樹脂の付着を防止することができる。
また、原料モノマーの添加量は、水1000重量部に対して70~200重量部とすることがより好ましい。
上記範囲とすることで、残留モノマーを少なくして、均一に重合することが可能となる。
上記温度を50℃以上とすることで重合反応を良好に進行させることができる。上記温度が80℃以下であると、樹脂の合着を防止して、均一な樹脂粒子を得ることができる。
また、上記重合においては、数時間所定温度を保持することでモノマー末端の極性官能基を基点に水中に分散して、より均一な樹脂粒子を形成することができる。
上記低分子量(メタ)アクリル樹脂を含有することで、シート物性の調整が容易になるという利点がある。
上記低分子量(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、70万未満であることが好ましく、50万以下であることがより好ましく、30万以下であることが更に好ましく、10万以下であることが更により好ましい。
上記範囲とすることで、高降伏応力と高破断伸度の両立がしやすくなるという利点がある。
上記低分子量(メタ)アクリル樹脂の含有量は、30重量%以上であることがより好ましい。
上記(メタ)アクリル樹脂に対して、所定量の陽イオン界面活性剤を加えることで、上記(メタ)アクリル樹脂が有する特定の置換基に対して、陽イオン界面活性剤が吸着して、(メタ)アクリル樹脂を有機溶剤との親和性が高い陽イオン界面活性剤で覆うことができる。このため、(メタ)アクリル樹脂が溶媒和しやすくなり、有機溶剤への再溶解性を高めることができる。
上記第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、n-オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、n-オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ノニルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボラート、過塩素酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム硫酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、ベンゼトニウムクロリド、ドデカン-1-イル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=エチル=スルファート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ドコシルトリメチルアンモニウムクロライド、1-ドデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムブロミド、1-ヘキサデシル-4-メチルピリジニウムクロリド、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
上記アミン塩としては、n-オクチルアンモニウムクロリド、n-オクチルアンモニウムブロミド、ドデシルアミン塩酸塩、ドデシルアンモニウムブロミド、オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられる
上記ホスホニウム塩としては、例えば、trans-2-ブテン-1,4-ビス(トリフェニルホスホニウムクロリド)、トリブチル(シアノメチル)ホスホニウムクロリド、(2-カルボキシエチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、トリブチル-n-オクチルホスホニウムブロミド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファート、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラ-n-オクチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラエチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリブチルヘキシルホスホニウムブロミド等が挙げられる。
なかでも、第4級アンモニウム塩、複素環式アミン塩、ホスホニウム塩が好ましく、第4級アンモニウム塩がより好ましく、塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、塩化セチルピリジニウム、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、n-オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、n-オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ノニルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ドデカン-1-イル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=エチル=スルファート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、塩化ベンゼトニウムが更に好ましい。
酢酸ブチルは(メタ)アクリル樹脂と同様にエステル構造を持っており、酢酸ブチルへの溶解度が高い陽イオン界面活性剤は(メタ)アクリル樹脂との親和性がよいため、(メタ)アクリル樹脂に充分に吸着する。そのため、酢酸ブチルに対する溶解度が0.005g/100g以上である陽イオン界面活性剤を用いることで、(メタ)アクリル樹脂に充分に吸着して、(メタ)アクリル樹脂組成物の再溶解性をより向上させることができる。
上記酢酸ブチルへの溶解度は、25℃での溶解度を用いることができる。
上記範囲とすることで、(メタ)アクリル樹脂に充分に吸着して、(メタ)アクリル樹脂組成物の再溶解性を向上させることができる。
上記陽イオン界面活性剤の含有量は、上記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、1×10-6重量部以上であることが好ましく、2500×10-6重量部以下であることが好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、上述した(メタ)アクリル樹脂の製造の際に用いられる陰イオン界面活性剤が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物における上記陰イオン界面活性剤の含有量は、上記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対する好ましい下限が0重量部、より好ましい下限が0.0002重量部、好ましい上限が0.03重量部、より好ましい上限が0.01重量部である。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物及び有機溶剤を含有する無機微粒子分散用ビヒクル組成物もまた本発明の1つである。
本発明の無機微粒子分散用ビヒクル組成物における上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は、5重量%以上であることが好ましく、60重量%以下であることが好ましい。
本発明の無機微粒子分散用ビヒクル組成物における上記陽イオン界面活性剤の含有量は、上記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、1×10-6重量部以上であることが好ましく、10×10-6重量部以上であることがより好ましく、10000×10-6重量部以下であることが好ましく、2500×10-6重量部以下であることがより好ましい。
上記有機溶剤は特に限定されないが、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸ヘキシル、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、テキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、酢酸ブチル、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノールが好ましい。また、酢酸ブチル、テルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテートがより好ましい。なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記沸点が70℃以上であると、蒸発が早くなりすぎず、取り扱い性に優れたものとすることができる。
また、上記沸点は、90~230℃であることがより好ましい。
上記範囲とすることで、得られるシートの強度を向上させることができる。
上記範囲とすることで、シート強度が高くなるという利点がある。
上記ヘイズは、0%以上であることが好ましく、9%以下であることがより好ましく、7%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが更により好ましい。
本発明の無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子、及び、可塑剤を含有する無機微粒子分散スラリー組成物もまた本発明の1つである。
上記(メタ)アクリル樹脂の含有量を上記範囲内とすることで、低温で焼成しても脱脂可能な無機微粒子分散スラリー組成物とすることができる。
上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は、より好ましい下限が3重量%、より好ましい上限が12重量%である。
本発明の無機微粒子分散スラリー組成物における陽イオン界面活性剤の含有量は、上記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して、1×10-6重量部以上であることが好ましく、10×10-6重量部以上であることがより好ましく、10000×10-6重量部以下であることが好ましく、2500×10-6重量部以下であることがより好ましい。
本発明の無機微粒子分散スラリー組成物における上記有機溶剤の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は60重量%である。上記範囲内とすることで、塗工性、無機微粒子の分散性を向上させることができる。
上記無機微粒子は特に限定されず、例えば、ガラス粉末、セラミック粉末、蛍光体微粒子、珪素酸化物等、金属微粒子等が挙げられる。
また、上記ガラス粉末として、SnO-B2O3-P2O5-Al2O3混合物、PbO-B2O3-SiO2混合物、BaO-ZnO-B2O3-SiO2混合物、ZnO-Bi2O3-B2O3-SiO2混合物、Bi2O3-B2O3-BaO-CuO混合物、Bi2O3-ZnO-B2O3-Al2O3-SrO混合物、ZnO-Bi2O3-B2O3混合物、Bi2O3-SiO2混合物、P2O5-Na2O-CaO-BaO-Al2O3-B2O3混合物、P2O5-SnO混合物、P2O5-SnO-B2O3混合物、P2O5-SnO-SiO2混合物、CuO-P2O5-RO混合物、SiO2-B2O3-ZnO-Na2O-Li2O-NaF-V2O5混合物、P2O5-ZnO-SnO-R2O-RO混合物、B2O3-SiO2-ZnO混合物、B2O3-SiO2-Al2O3-ZrO2混合物、SiO2-B2O3-ZnO-R2O-RO混合物、SiO2-B2O3-Al2O3-RO-R2O混合物、SrO-ZnO-P2O5混合物、SrO-ZnO-P2O5混合物、BaO-ZnO-B2O3-SiO2混合物等も用いることができる。なお、Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素である。
特に、PbO-B2O3-SiO2混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO-ZnO-B2O3-SiO2混合物又はZnO-Bi2O3-B2O3-SiO2混合物等の無鉛ガラス粉末が好ましい。
また、ITO、FTO、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化タングステン、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、イットリウム安定化ジルコニア、ガドリニウムドープセリア、酸化ニッケル、ランタンクロマイト等も使用することができる。
上記蛍光体微粒子は特に限定されず、例えば、蛍光体物質としては、ディスプレイ用の蛍光体物質として従来知られている青色蛍光体物質、赤色蛍光体物質、緑色蛍光体物質などが用いられる。青色蛍光体物質としては、例えば、MgAl10O17:Eu、Y2SiO5:Ce系、CaWO4:Pb系、BaMgAl14O23:Eu系、BaMgAl16O27:Eu系、BaMg2Al14O23:Eu系、BaMg2Al14O27:Eu系、ZnS:(Ag,Cd)系のものが用いられる。赤色蛍光体物質としては、例えば、Y2O3:Eu系、Y2SiO5:Eu系、Y3Al5O12:Eu系、Zn3(PO4)2:Mn系、YBO3:Eu系、(Y,Gd)BO3:Eu系、GdBO3:Eu系、ScBO3:Eu系、LuBO3:Eu系のものが用いられる。緑色蛍光体物質としては、例えば、Zn2SiO4:Mn系、BaAl12O19:Mn系、SrAl13O19:Mn系、CaAl12O19:Mn系、YBO3:Tb系、BaMgAl14O23:Mn系、LuBO3:Tb系、GdBO3:Tb系、ScBO3:Tb系、Sr6Si3O3Cl4:Eu系のものが用いられる。その他、ZnO:Zn系、ZnS:(Cu,Al)系、ZnS:Ag系、Y2O2S:Eu系、ZnS:Zn系、(Y,Cd)BO3:Eu系、BaMgAl12O23:Eu系のものも用いることができる。
また、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等との吸着特性が良好で酸化されやすい銅や鉄等の金属も好適に用いることができる。これらの金属粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、金属錯体のほか、種々のカーボンブラック、カーボンナノチューブ等を使用してもよい。
上記可塑剤としては、例えば、例えば、アジピン酸モノメチル、ジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘキサノエート、アセチルクエン酸トリエチル、セチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
これらの可塑剤を用いることで、通常の可塑剤を使用する場合と比較して可塑剤添加量を低減することが可能となる(バインダーに対して30重量%程度添加されるところ、25重量%以下、更に20重量%以下に低減可能)。
なかでも、非芳香族の可塑剤を使用することが好ましく、アジピン酸、トリエチレングリコール又はクエン酸に由来する成分を含有することがより好ましい。なお、芳香環を有する可塑剤は、燃焼して煤になりやすいため好ましくない。
上記粘度を0.1Pa・s以上とすることで、ダイコート印刷法等により塗工した後、得られる無機微粒子分散シートが所定の形状を維持することが可能となる。また、上記粘度を100Pa・s以下とすることで、ダイの塗出痕が消えない等の不具合を防止して、印刷性に優れるものとすることができる。
本発明の無機微粒子分散シートは、厚みが1~20μmであることが好ましい。
上記支持フィルムの厚みは、例えば、20~100μmが好ましい。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
上記全固体電池としては、正極活物質を含有する正極層、負極活物質を含有する負極層、及び、正極層と負極層との間に形成された固体電解質層を積層した構造を有することが好ましい。
上記導電粉末の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅及びこれらの合金等が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)(メタ)アクリル樹脂組成物の調製
撹拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコを用意した。2Lセパラブルフラスコに、水900重量部、モノマーとして、イソブチルメタクリレート(iBMA ホモポリマーのTg:48℃)40重量部及びエチルメタクリレート(EMA ホモポリマーのTg:65℃)60重量部を投入した。その後、攪拌翼により150rpmの条件で攪拌し、モノマーを水中に分散させてモノマー混合液を得た。
更に、陽イオン界面活性剤としてn-オクチルアンモニウムブロミド(CS-1、東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.001g/100g)10000×10-6重量部を加えて樹脂水溶液を得た。
得られた樹脂水溶液を噴霧乾燥機を用いて乾燥し、(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。
得られた(メタ)アクリル樹脂組成物に対して、有機溶剤として酢酸ブチルを(メタ)アクリル樹脂6重量部に対して54重量部添加し、均一になるまで攪拌して、無機微粒子分散用ビヒクル組成物を得た。
得られた無機微粒子分散用ビヒクル組成物に対して、無機微粒子としてチタン酸バリウム(「BT-02」、堺化学工業社製、平均粒子径0.2μm)30重量部、可塑剤としてアジピン酸ジ(ブトキシエチル)1.2重量部、有機溶剤として酢酸ブチル8.8重量部を添加して、無機微粒子分散スラリー組成物を得た。
得られた無機微粒子分散スラリー組成物を、支持フィルムとしての離型処理されたポリエステルフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、常温で1時間乾燥後、熱風乾燥機を用いて80℃で3時間、次いで120℃で2時間乾燥させて無機微粒子分散シートを支持フィルム上に形成した。
モノマー、陰イオン界面活性剤、重合開始剤、陽イオン界面活性剤の種類及び添加量を表1及び2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリル樹脂組成物、無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子分散スラリー組成物及び無機微粒子分散シートを得た。
なお、モノマー、陰イオン界面活性剤、重合開始剤、陽イオン界面活性剤として以下のものを用いた。
<モノマー>
MMA:メチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:105℃)
nBMA:n-ブチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:20℃)
2EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート(ホモポリマーのTg:-10℃)
iDMA:イソデシルメタクリレート(ホモポリマーのTg:-41℃)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(ホモポリマーのTg:55℃)
MPOMA:メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート
<陰イオン界面活性剤>
DSN:ドデシルスルホン酸ナトリウム
<重合開始剤>
PI-2:過硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬社製)
PI-3:過硫酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)
PI-4:2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(富士フイルム和光純薬社製、VA-044)
PI-5:2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(富士フイルム和光純薬社製、V-50)
PI-6:2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート(富士フイルム和光純薬社製、VA-057)
PI-7:2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](富士フイルム和光純薬社製、VA-086)
PI-8:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(東京化成工業社製)
<陽イオン界面活性剤>
CS-2:ドデシルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.002g/100g)
CS-3:トリブチルドデシルホスホニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.001g/100g)
CS-4:(2-カルボキシエチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.001g/100g)
CS-5:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.004g/100g)
CS-6:テトラエチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.002g/100g)
CS-7:塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.005g/100g)
CS-8:塩化セチルピリジニウム(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.006g/100g)
CS-9:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.006g/100g)
CS-10:塩化ベンゼトニウム(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.005g/100g)
CS-11:テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度0.026g/100g)
CS-12:テトラブチルアンモニウムクロリド(東京化成工業社製、酢酸ブチルへの溶解度3.5g/100g)
CS-13:ドデカン-1-イル(エチル)(ジメチル)アンモニウム=エチル=スルファート(第一工業製薬社製、酢酸ブチルへの溶解度0.5g/100g)
モノマー、陰イオン界面活性剤、重合開始剤、陽イオン界面活性剤の種類及び添加量を表2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。なお、後述する方法により得られた(メタ)アクリル樹脂の平均分子量を測定したところ、重量平均分子量は0.7×106であった。得られた(メタ)アクリル樹脂組成物50重量部に対して、実施例19で得られた(メタ)アクリル樹脂組成物50重量部加えることで重量平均分子量が異なる複数の(メタ)アクリル樹脂の混合樹脂を含む(メタ)アクリル樹脂組成物を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子分散スラリー組成物及び無機微粒子分散シートを得た。
重合開始剤の添加量を表2の通りに変更し、陽イオン界面活性剤に代えて、表2に示す陰イオン界面活性剤AS-1、非イオン性界面活性剤NS-1を2500×10-6重量部用いた以外は比較例3と同様にして(メタ)アクリル樹脂組成物、無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子分散スラリー組成物、無機微粒子分散シートを得た。
なお、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤として以下のものを用いた。
<陰イオン界面活性剤>
AS-1:ラウレス硫酸アンモニウム(第一工業製薬社製、ハイテノールLA-12)
<非イオン性界面活性剤>
NS-1:ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル(第一工業製薬社製、ノイゲンXL-160)
実施例及び比較例で得られた(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂組成物、無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子分散スラリー組成物、無機微粒子分散シートについて、以下の評価を行った。結果を表3及び4に示した。
得られた(メタ)アクリル樹脂について、各サンプルを空の熱脱着用チューブに入れ、下記条件による熱脱着GC-MS測定を行った。
・機種:TurboMatrix650(パーキンエルマー)
・サンプル量:0.5mg
・GC/MS装置:JMSQ1000(日本電子)
・カラム:EQUITY-1(無極性)0.32mm×60m×0.25μm
・GC昇温:40℃(4min)→10℃/min→300℃(10min)
・He流量:1.5mL/min
測定の結果、得られたピークから末端基を同定した。
得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてLF-804(SHOKO社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
なお、実施例33については、混合樹脂に対する測定結果を示した。
得られた(メタ)アクリル樹脂について、示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。
なお、実施例33については、混合樹脂に対する測定結果を示した。
(メタ)アクリル樹脂を含む水溶液を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、LA-950)に供給して平均粒子径を測定した。
なお、実施例33については、混合樹脂に対する測定結果を示した。
得られた(メタ)アクリル樹脂組成物を酢酸ブチルに溶解して得られた樹脂溶液を離型処理したPETフィルムにアプリケーターを用いて塗工し、100℃送風オーブンで10分間乾燥させることで、厚み20μmの樹脂シートを作製した。方眼紙をカバーフィルムとして用い、はさみで幅1cmの短冊状の試験片を作製した。
得られた試験片について、23℃、50RH条件下でオートグラフAG-IS(島津製作所社製)を用いてチャック間距離3cm、引張速度10mm/minにて引張試験を行い、応力-ひずみ特性(降伏応力の有無、最大応力、破断伸度測定)を確認した。
得られた無機微粒子分散スラリー組成物をTG-DTAのプラチナパンに詰め、30℃から5℃/minにて昇温し、溶剤を蒸発、樹脂、可塑剤を熱分解させた。その後、重量が30.6重量%を示した(90重量%脱脂が終了した)時間を測定し、分解終了時間とした。
また、TG-DTAのプラチナパンの重量を測定し、得られた(メタ)アクリル樹脂をプラチナパンに5mg詰め、30℃から500℃まで5℃/minにて昇温し熱分解させた後、プラチナパンの重量を測定した。熱分解前後の重量の差とプラチナパンに詰めた(メタ)アクリル樹脂の重量の比率から残留炭素の割合(重量%)を算出した。
支持フィルムから無機微粒子分散シートを剥がし、縦1cm×横1cmに切り取ってサンプルを作製した。
容量50mLのサンプル瓶に得られたサンプルを入れ、更にトルエン70重量%、酢酸エチル30重量%の混合溶媒40mLを加えて、室温で6時間静置した。
6時間経過後、無機微粒子分散シートを目視にて観察し、以下の基準で再溶解性を評価した。
◎:シートが完全に溶解していた。
〇:シートが部分的に溶解していた。
×:シートが溶解していなかった。
Claims (7)
- (メタ)アクリル樹脂を含有する組成物であって、
前記(メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が70万以上であり、かつ、硫酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミジン基、水酸基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有し、
前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が90重量%以上であり、
陽イオン界面活性剤を、前記(メタ)アクリル樹脂100重量部に対して1×10-6~10000×10-6重量部含有し、
前記陽イオン界面活性剤は、第4級アンモニウム塩、アミン塩、ホスホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である、(メタ)アクリル樹脂組成物。 - (メタ)アクリル樹脂は、主鎖の少なくとも一方の分子末端に硫酸基、アミノ基、カルボキシル基、アミジン基、水酸基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種を有する、請求項1に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
- 陽イオン界面活性剤は、酢酸ブチルへの溶解度が0.005g/100g以上である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
- (メタ)アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0~3.0である、請求項1~3のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれかに記載の(メタ)アクリル樹脂組成物、及び、有機溶剤を含有する、無機微粒子分散用ビヒクル組成物。
- 請求項5に記載の無機微粒子分散用ビヒクル組成物、無機微粒子、及び、可塑剤を含有する、無機微粒子分散スラリー組成物。
- 請求項6に記載の無機微粒子分散スラリー組成物を用いてなる、無機微粒子分散シート。
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