JP2024027682A - スラリー組成物、電子部品及び電子部品の製造方法 - Google Patents

スラリー組成物、電子部品及び電子部品の製造方法 Download PDF

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丈 大塚
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Abstract

【課題】印刷性に優れるとともに、セラミック焼結体の製造に用いた際に、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進することができ、酸素分圧の増加による無機粒子の酸化を抑制することができ、焼成後の残留炭素が少なく焼結性に優れ、信頼性の高い電子部品を得ることができるスラリー組成物を提供する。また、該スラリー組成物を用いた電子部品、電子部品の製造方法を提供する。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂又はエチルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂と、酸素原子の含有量が40重量%以上である脱バインダー助剤と、無機粒子と、有機溶剤とを含有し、前記脱バインダー助剤は多価カルボン酸又はその誘導体を含み、前記脱バインダー助剤の含有量は前記バインダー樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下である、スラリー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、スラリー組成物、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
近年、セラミック粉末、ガラス粒子等の無機粒子をバインダー樹脂に分散させた組成物が、セラミックスコンデンサー等の積層電子部品の生産に用いられている。
このようなセラミックスコンデンサーは、一般に、次のような方法を用いて製造される。
まず、バインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、可塑剤、分散剤等の添加剤を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等を用いて均一に混合して無機粒子分散組成物を得る。
得られた無機粒子分散組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、SUSプレート等の支持体表面に流延成形し、有機溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗工し、これを複数枚積み重ね、加熱及び圧着して積層体を得る。
得られた積層体を加熱して、バインダー樹脂等の成分を熱分解して除去する処理、いわゆる脱バインダー処理を行った後、焼成することによって、内部電極を備えたセラミック焼結体を得る。
更に、得られたセラミック焼結体の端面に外部電極を塗布し、焼成することによって、積層セラミックスコンデンサーが完成する。
このような無機粒子分散組成物では、バインダー樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂やエチルセルロース樹脂(以下EC)が用いられる。これらを用いて焼結体を得る際には窒素等の不活性ガス雰囲気下で焼成することが望ましいが、ポリビニルアセタール樹脂やECの脱バインダー処理には酸素が必要であるため、酸素分圧を制御したガスが用いられている。しかし、無機粒子に遷移金属が用いられる形態では、酸素によって遷移金属が酸化されるという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献1では、セラミック焼結体を得る工程が、脱バインダー工程と、脱バインダー工程後の積層体のセラミックスが焼結を始める温度まで昇温する昇温工程と、昇温工程に続いてセラミックスの焼結を行なう焼結工程と、前記焼結工程に続く降温工程とを有する製造方法が開示されている。このような昇温工程では、卑金属の酸化-還元平衡酸素分圧よりも酸化側の雰囲気であって、かつ、内部電極が酸化膨張し、550℃における酸素分圧が2.00×10-19MPa以下となる雰囲気で行なわれ、その後の工程において内部電極を還元させている。
また、特許文献2では、セラミックグリーンシートを用意する工程と、セラミックグリーンシート上に内部導体膜を形成する工程と、これを積層して生の積層体を得る工程と、生の積層体を焼成する工程とを備える積層セラミック電子部品の製造方法が開示されている。また、セラミックグリーンシートを用意する工程では、導電性金属成分の酸化物が添加されることで、酸化される表面付近と内部との酸化物濃度差を小さくすることが検討されている。
特許第4122845号公報 特許第3775366号公報
しかしながら、特許文献1及び2でも、そのわずかな酸素によって無機粒子である遷移金属が酸化されてしまう等の問題がある。また、焼成による無機粒子の酸化を防ぐことはできず、焼成後に還元処理が必要であるという問題がある。
本発明は、印刷性に優れるとともに、セラミック焼結体の製造に用いた際に、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進することができ、酸素分圧の増加による無機粒子の酸化を抑制することができ、焼成後の残留炭素が少なく焼結性に優れ、信頼性の高い電子部品を得ることができるスラリー組成物を提供することを目的とする。また、該スラリー組成物を用いた電子部品、電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本開示(1)は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂と、酸素原子の含有量が40重量%以上である脱バインダー助剤と、無機粒子と、有機溶剤とを含有し、前記脱バインダー助剤は多価カルボン酸又はその誘導体を含み、前記脱バインダー助剤の含有量は前記バインダー樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下である、スラリー組成物である。
本開示(2)は、前記脱バインダー助剤はコハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、クエン酸、トリカルバリル酸及びブタンテトラカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種の多価カルボン酸又はその誘導体を含む、本開示(1)のスラリー組成物である。
本開示(3)は、多価カルボン酸の誘導体は、多価カルボン酸の酸無水物、メチルエステル、エチルエステル及び金属錯体から選択される少なくとも1種である、本開示(1)又は(2)のスラリー組成物である。
本開示(4)は、脱バインダー助剤の沸点が200℃以上である、本開示(1)~(3)の何れかとの任意の組み合わせのスラリー組成物である。
本開示(5)は、本開示(1)~(4)の何れかのスラリー組成物を用いてなる電子部品である。
本開示(6)は、本開示(1)~(4)の何れかのスラリー組成物を用いる電子部品の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリビニルアセタール樹脂又はエチルセルロース樹脂と特定の構造を有する脱バインダー助剤とを含有するスラリー組成物をセラミック焼結体の製造に用いた場合、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進して焼結残渣を著しく減少させることができ、また、無機粒子の酸化を抑制して、信頼性の高いセラミックス製品を生産できることを見出し、本発明を完成されるに至った。
(バインダー樹脂)
上記スラリー組成物は、バインダー樹脂を含有する。
上記バインダー樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂又はエチルセルロース樹脂を含有する。
上記エチルセルロース樹脂としては、繰り返し単位としてのセルロース単位の水酸基中の水素が-CHCHで置換された構造を有するものである。
上記エチルセルロース樹脂のエトキシ基含有率は20重量%以上が好ましく、60重量%以下が好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%以下がより好ましい。
上記エトキシ基含有率は赤外線分光法により測定することができる。
上記エチルセルロース樹脂の重量平均分子量は2万以上が好ましく、30万以下が好ましく、4万以上がより好ましく、20万以下がより好ましい。
上記重量平均分子量はGPCにより測定することができる。
上記エチルセルロース樹脂の粘度は、1mPa・s以上が好ましく、400mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上がより好ましく、350mPa・s以下がより好ましい。
上記粘度は、25℃の条件で、トルエン/エタノール混合溶媒(重量比8:2)に5重量%で溶解した溶液の粘度をB型粘度計により測定することで求めることができる。
上記エチルセルロース樹脂の市販品としては、エトセルSTD-4、エトセルSTD-10、エトセルSTD-45、エトセルSTD-100(何れも日新化成社製)等が挙げられる。
特に、スクリーン印刷を行う場合には、チキソ性を有するものが好ましく、具体的には、エトセルSTD-45、エトセルSTD-100等が好ましい。
また、厚い焼結層を得る場合、スラリー組成物中の無機粒子の割合を高める必要があり、粘度が高くなりやすいことから、エトセルSTD-4、エトセルSTD-10等の低粘度のものが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、スラリー組成物の塗膜強度、焼結性の観点から、1000以上が好ましく、4000以下が好ましく、1500以上がより好ましく、3000以下がより好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、原料ポリビニルアルコール樹脂の重合度を意味する。原料ポリビニルアルコール樹脂の重合度はJIS K6726に準拠した方法により測定することができる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂が2種以上の混合物である場合、上記重合度は、各ポリビニルアセタール樹脂の重合度と配合割合とを乗じたものを合算して求めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量は、脱バインダー助剤との相溶性、焼結性の観点から、60モル%以上が好ましく、80モル%以下が好ましく、65モル%以上がより好ましく、75モル%以下がより好ましい。
上記アセタール基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、脱バインダー助剤との相溶性の観点から、16モル%以上が好ましく、50モル%以下が好ましく、20モル%以上がより好ましく、33モル%以下がより好ましい。
上記水酸基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、0.1モル%以上が好ましく、20モル%以下が好ましく、1モル%以上がより好ましく、15モル%以下がより好ましい。
上記アセチル基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、主鎖にα-オレフィン単位を有することが好ましい。
上記α-オレフィンによってポリビニルアセタール樹脂の水素結合力が弱められるため、粘度の経時安定性を向上させることができたり、スクリーン印刷性を向上させたりできる。
上記α-オレフィンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレン等が挙げられ、特にエチレンが好ましい。
上記α-オレフィンの含有量としては、1~20モル%であることが望ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂のα-オレフィン単位の含有量は、1モル%以上が好ましく、20モル%以下が好ましく、5モル%以上がより好ましく、15モル%以下がより好ましい。
上記範囲とすることで、有機溶剤への溶解性を充分に高めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、その他のエチレン性不飽和単量体単位を有していてもよい。
上記その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル-(3-アクリルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウムクロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂を温水で溶解した後、酸触媒の存在下で所定のアセタール基量となるようにアルデヒドを添加し、反応させた後、水洗、中和、乾燥することで得ることができる。
上記酸触媒としては特に規定されず、有機酸、無機酸いずれも用いることができるが、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
また、中和に用いられるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールは、ビニルエステルの重合体をケン化することにより得られる。
上記ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
また、上記ポリビニルアルコールは、主鎖にα―オレフィンを含有していることが好ましい。上記α-オレフィンによってポリビニルアセタール樹脂の水素結合力が弱められるため、粘度の経時安定性を向上させることができたり、スクリーン印刷性を向上させたりできる。
上記反応に用いられるアルデヒドは特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシアルデヒド、m-ヒドロキシアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いても2種以上併用しても良く、アセトアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドが好適に用いられる。
(他のバインダー樹脂)
上記スラリー組成物は、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂以外の他のバインダー樹脂を含有していてもよい。
他のバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の他のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
上記スラリー組成物における上記バインダー樹脂の含有量は、2重量%以上が好ましく、15重量%以下が好ましく、1重量%以上がより好ましく、20重量%以下がより好ましい。
上記範囲とすることで、スラリー組成物の粘度を好適なものとして印刷性により優れたものとできる。また、焼結体の表面平滑性を充分に高めることができる。
上記バインダー樹脂100重量%中、上記エチルセルロース樹脂及び上記ポリビニルアセタール樹脂の合計割合は、1重量%以上が好ましく、100重量%以下が好ましい。
(脱バインダー助剤)
上記スラリー組成物は、脱バインダー助剤を含有する。
上記バインダー助剤は、酸素原子の含有量が40重量%以上である。
上記脱バインダー助剤は、分子中の酸素原子量が多く、窒素雰囲気下でも自己の酸素を消費して燃焼し、上記バインダー樹脂と混合することでバインダー樹脂の熱分解を補助する。このため、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進して焼結残渣を著しく減少させることができ、また、無機粒子の酸化を抑制して、信頼性の高いセラミックス製品を生産できる。
上記酸素原子の含有量は、45重量%以上が好ましく、48重量%以上がより好ましい。また有機溶剤への溶解性の観点から、上記酸素原子の含有量は55重量%以下が好ましく、50重量%以下が好ましい。
上記酸素原子の含有量は、1分子中の酸素原子の含有量であり、脱バインダー助剤の分子量及び酸素の原子量に基づいて算出できる。また、上記酸素原子の含有量は、炭素の原子量を12、水素の原子量を1、酸素の原子量を16として算出することができる。
上記脱バインダー助剤は、多価カルボン酸又はその誘導体を含む。
上記バインダー助剤は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記脱バインダー助剤を含有することで、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進して焼結残渣を著しく減少させることができ、また、無機粒子の酸化を抑制して、信頼性の高いセラミックス製品を生産できる。
上記多価カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
また、上記多価カルボン酸の誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル等のエステル、酸無水物、金属錯体等が挙げられる。
上記多価カルボン酸又はその誘導体を含むことで、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理をより促進して焼結残渣を著しく減少させることができ、また、無機粒子の酸化をより抑制して、信頼性の高いセラミックス製品を生産できる。
上記多価カルボン酸及びその誘導体としては、具体的には、コハク酸(54.2重量%)、無水コハク酸(48.0重量%)、コハク酸ジメチル(43.8重量%)、マレイン酸(55.2重量%)、無水マレイン酸(49.0重量%)、マレイン酸ジメチル(44.4重量%)、マロン酸(61.5重量%)、無水マロン酸(55.8重量%)、マロン酸ジメチル(48.5重量%)、マロン酸ジエチル(40.0重量%)、グルタル酸(48.5重量%)、無水グルタル酸(42.1重量%)、グルタル酸ジメチル(40.0重量%)、アジピン酸(43.8重量%)、ピメリン酸(40.0重量%)、クエン酸(58.3重量%)、無水クエン酸(55.2重量%)、クエン酸トリメチル(47.9重量%)、クエン酸トリエチル(40.6重量%)、トリカルバリル酸(54.5重量%)、無水トリカルバリル酸(50.6重量%)、トリカルバリル酸トリメチル(44.0重量%)、ブタンテトラカルボン酸(54.7重量%)、ブタンテトラカルボン酸二無水物(48.5重量%)、ブタンテトラカルボン酸トリメチル(40.0重量%)等が挙げられる。なお、括弧内は酸素原子の含有量を表す。
なかでも、多価カルボン酸、多価カルボン酸の酸無水物、メチルエステル、エチルエステル、金属錯体が好ましく、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸、これらの酸無水物、メチルエステル、エチルエステルがより好ましく、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、トリカルバリル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物、マロン酸ジエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチルが更に好ましい。
上記脱バインダー助剤の沸点は200℃以上が好ましい。
上記沸点とすることで、スラリー組成物を塗工乾燥させた際、有機溶剤とともに蒸発してしまうことがなく、脱バインダー処理を促進する効果を発揮することができる。
上記沸点は、390℃以下が好ましく、250℃以上がより好ましく、370℃以下がより好ましく、270℃以上が更に好ましく、350℃以下が更に好ましい。
上記沸点が270℃以上である脱バインダー助剤は可塑剤として機能する。このような脱バインダー助剤を用いることで可塑剤添加量を低減することが可能となる。
なお、上記脱バインダー助剤は、空気雰囲気下では200℃未満で燃焼開始してしまうため、沸点の測定は減圧条件下で行うことが好ましい。減圧条件下での沸点の換算方法としては、Science of Petroleum, Vol.II. p.1281 (1938).等の方法を用いることができる。
上記スラリー組成物における上記脱バインダー助剤の含有量は、0.1重量%以上が好ましく、20重量%以下が好ましく、0.2重量%以上がより好ましく、15重量%以下がより好ましく、0.4重量%以上が更に好ましく、10重量%以下が更に好ましい。上記範囲とすることで、脱バインダー効果を充分に高めつつ、脱バインダー助剤がスラリー組成物中に析出することがなく、印刷性に優れたものとできる。
上記スラリー組成物における上記脱バインダー助剤の含有量は、上記バインダー樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下である。
上記範囲とすることで、脱バインダー効果を充分に高めつつ、脱バインダー助剤がスラリー組成物中に析出することがなく、印刷性に優れたものとできる。
上記脱バインダー助剤のスラリー中含有量は、8重量部以上が好ましく、25重量部以下が好ましく、10重量部以上がより好ましく、20重量部以下がより好ましい。
(無機粒子)
上記スラリー組成物は、無機粒子を含有する。
上記無機粒子としては、例えば、金属粒子、ガラス粉末、セラミック粉末、蛍光体粒子、ケイ素酸化物等が挙げられる。
上記金属粒子は特に限定されず、例えば、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、タングステンやこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。
また、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等との吸着特性が良好で酸化されやすい銅や鉄等の金属も好適に用いることができる。これらの金属粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、金属錯体のほか、種々のカーボンブラック、カーボンナノチューブ等を使用してもよい。
上記ガラス粉末としては、例えば、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス等のガラス粉末や、CaO-Al-SiO系、MgO-Al-SiO系、LiO-Al-SiO系等の各種ケイ素酸化物のガラス粉末等が挙げられる。
また、上記ガラス粉末として、SnO-B-P-Al混合物、PbO-B-SiO混合物、BaO-ZnO-B-SiO混合物、ZnO-Bi-B-SiO混合物、Bi-B-BaO-CuO混合物、Bi-ZnO-B-Al-SrO混合物、ZnO-Bi-B混合物、Bi-SiO混合物、P-NaO-CaO-BaO-Al-B混合物、P-SnO混合物、P-SnO-B混合物、P-SnO-SiO混合物、CuO-P-RO混合物、SiO-B-ZnO-NaO-LiO-NaF-V混合物、P-ZnO-SnO-RO-RO混合物、B-SiO-ZnO混合物、B-SiO-Al-ZrO混合物、SiO-B-ZnO-RO-RO混合物、SiO-B-Al-RO-RO混合物、SrO-ZnO-P混合物、SrO-ZnO-P混合物、BaO-ZnO-B-SiO混合物等も用いることができる。なお、Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素を示す。
特に、PbO-B-SiO混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO-ZnO-B-SiO混合物又はZnO-Bi-B-SiO混合物等の無鉛ガラス粉末が好ましい。
上記セラミック粉末としては、例えば、アルミナ、フェライト、ジルコニア、ジルコン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ランタン、チタン酸ネオジウム、チタン酸ジルコン鉛、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、錫酸バリウム、錫酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、フォルステライト等が挙げられる。
また、ITO、FTO、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化タングステン、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、イットリウム安定化ジルコニア、ガドリニウムドープセリア、酸化ニッケル、ランタンクロマイト等も使用することができる。
上記セラミック粉末を用いることで、セラミックグリーンシート用スラリー組成物として好適に用いることができる。
上記無機粒子は、リチウム又はチタンを含有することで、全固体リチウムイオン電池用の電解質スラリー組成物として好適に用いることができる。上記リチウム又はチタンを含有する無機粒子としては、具体的には例えば、LiO・Al・SiO系無機ガラス等の低融点ガラス、LiS-MxSy(M=B、Si、Ge、P)等のリチウム硫黄系ガラス、LiCoO等のリチウムコバルト複合酸化物、LiMnO等のリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムバナジウム複合酸化物、リチウムジルコニウム複合酸化物、リチウムハフニウム複合酸化物、ケイリン酸リチウム(Li3.5Si0.50.5)、リン酸チタンリチウム(LiTi(PO)、チタン酸リチウム(LiTi12)、Li4/3Ti5/3、リン酸ゲルマニウムリチウム(LiGe(PO)、Li-SiS系ガラス、LiGeS-LiPS系ガラス、LiSiO、LiMn、LiS-P系ガラス・セラミクス、LiO-SiO、LiO-V-SiO、LiS-SiS-LiSiO系ガラス、LiPON等のイオン導電性酸化物、LiO-P-B、LiO-GeOBa等の酸化リチウム化合物、LixAlyTiz(PO系ガラス、LaxLiyTiOz系ガラス、LixGeyPzO系ガラス、LiLaZr12系ガラス、LivSiwPxSyClz系ガラス、LiNbO等のリチウムニオブ酸化物、Li-β-アルミナ等のリチウムアルミナ化合物、Li14Zn(GeO等のリチウム亜鉛酸化物等が挙げられる。
上記無機粒子の平均粒子径は、200nm以上が好ましく、1μm以下が好ましい。
上記範囲とすることで、積層セラミックス製品の特性を向上させることができる。なお、上記無機粒子の平均粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡を用いて観察する方法や分散液の光散乱法によって測定することができる。
上記スラリー組成物における上記無機粒子の含有量は特に限定されないが、40重量%以上が好ましく、90重量%以下が好ましい。上記範囲とすることで、充分な粘度を有し、優れた塗工性を有するものとでき、また、無機粒子の分散性に優れるものとできる。
(有機溶剤)
上記スラリー組成物は、有機溶剤を含有する。
上記有機溶剤は特に限定されないが、無機粒子分散シートを作製する際に、塗工性、乾燥性、無機粒子の分散性等に優れるものが好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、脂肪族アルコール類、グリコール類、テルペンアルコール類、芳香族アルコール類等のアルコール類、芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
上記脂肪族アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記グリコール類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル等が挙げられる。
上記テルペンアルコール類としては、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。
上記芳香族アルコール類としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては、トルエン等が挙げられる。
上記エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸イソアミル、酪酸ブチル、乳酸ビチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。
上記ケトン類としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等が挙げられる。
なかでも、アルコール類、芳香族炭化水素類が好ましく、ジヒドロテルピネオールアセテート、エタノール、トルエンがより好ましい。
なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の一実施態様において、有機溶剤は上記脱バインダー助剤とは異なる。
上記有機溶剤の沸点は、60℃以上が好ましく、250℃以下が好ましく、80℃以上がより好ましく、240℃以下がより好ましい。
上記範囲であると、蒸発が早くなりすぎることがなく、また、送風オーブン等により容易に乾燥させることができる。また、表面が平滑なセラミックグリーンシートを得ることができる。
上記スラリー組成物における上記有機溶剤の含有量は、10重量%以上が好ましく、60重量%以下が好ましく、20重量%以上がより好ましく、50重量%以下がより好ましい。
上記範囲とすることで、塗工性、無機粒子の分散性をより向上させることができる。
(その他の添加剤)
上記スラリー組成物は、上記バインダー樹脂、上記脱バインダー助剤、上記無機粒子、上記有機溶剤以外に、可塑剤、界面活性剤、分散剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、トリエチレングリコールジヘキサノエート、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
なお、上記可塑剤は、上記脱バインダー助剤とは異なるものである。
また、構造中にベンゼン環等の芳香環を有する可塑剤は燃焼して煤になりやすいため、非芳香族の可塑剤を用いることが好ましい。
上記可塑剤の沸点は、270℃以上が好ましく、390℃未満が好ましい。
上記範囲であると、乾燥工程で蒸発しやすく、成形体への残留を防止でき、また、残留炭素が生じることを防止できる。
なお、上記沸点は、常圧での沸点をいう。
上記スラリー組成物における上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、0.1重量%以上が好ましく、3.0重量%以下が好ましい。
上記範囲とすることで、シート取り扱い性と焼結性とを両立することができる。
上記界面活性剤としては、例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、HLB値が10以上20以下のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値とは、界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値を20(1-S/A)等の定義がある。具体的には、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたポリエチレンオキサイドを有するノニオン系界面活性剤が好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適に用いられる。なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加すると無機粒子分散スラリー組成物の熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
上記分散剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪族アミン、アルカノールアミド、リン酸エステルが好適である。また、シランカップリング剤等を配合してもよい。
上記脂肪酸としては特に限定されず、例えば、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、ヤシ脂肪酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。なかでも、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が好適である。
上記脂肪族アミンとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アルキル(ヤシ)アミン、アルキル(硬化牛脂)アミン、アルキル(牛脂)アミン、アルキル(大豆)アミン等が挙げられる。
上記アルカノールアミドとしては特に限定されず、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルが挙げられる。
上記スラリー組成物の粘度は特に限定されないが、20℃においてB型粘度計を用いプローブ回転数を5rpmに設定して測定した場合の粘度の好ましい下限が0.1Pa・s、好ましい上限が100Pa・sである。
上記粘度を0.1Pa・s以上とすることで、ダイコート印刷法等により塗工した後、得られる無機粒子分散シートが所定の形状を維持することが可能となる。また、上記粘度を100Pa・s以下とすることで、ダイの塗出痕が消えない等の不具合を防止して、印刷性に優れるものとできる。
上記スラリー組成物を作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、上記バインダー樹脂、上記脱バインダー助剤、無機粒子、有機溶剤、その他必要に応じて添加される添加剤を混合してビーズミル等で攪拌する方法等が挙げられる。
上記スラリー組成物を用いることで電子部品を作製することができる。
上記スラリー組成物を用いてなる電子部品、上記スラリー組成物を用いる電子部品の製造方法もまた本発明の1つである。
上記電子部品としては、例えば、ダイアタッチペースト(ACP)、ダイアタッチフィルム(ACF)、TSV、TGV用ビア電極、タッチパネル、RFIDやセンサー基板の各種回路、各種ダイボンディング剤、MEMSデバイスの封止剤、太陽電池、積層セラミックスコンデンサー、LTCC、シリコンコンデンサ、全固体電池等の電極材料等が挙げられる。また、上記電極回路用途以外に、抗菌部材や電磁波シールド、触媒、蛍光材料等にも用いることができる。
上記スラリー組成物を、片面離型処理を施した支持フィルム上に塗工し、有機溶剤を乾燥させ、シート状に成形することで、無機粒子分散シートを製造することができる。
上記無機粒子分散シートは、厚みが0.5~20μmであることが好ましい。
上記無機粒子分散シートを製造する際に用いる支持フィルムは、耐熱性及び耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコーター、ブレードコーター等によって支持フィルムの表面に無機粒子分散スラリー組成物を塗布することができ、得られる無機粒子分散シート形成フィルムをロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。
上記支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレン等の含フッ素樹脂、ナイロン、セルロース等が挙げられる。
上記支持フィルムの厚みは、例えば、20~100μmが好ましい。
また、支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましく、これにより、転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。
上記スラリー組成物を用いることでセラミック焼結体を製造することができる。
上記セラミック焼結体は、セラミック積層体であってもよく、セラミック単層体であってもよい。
上記セラミック積層体は、積層セラミックスコンデンサー、積層セラミック基板、全固体電池等に用いることができ、セラミック単層体は、セラミックパッケージ、低温同時焼成セラミックス(LTCC)、アルミナ等の回路基板、窒化アルミ、窒化ケイ素等のセラミックス放熱基板、静電チャック、セラミックスカラム、温度センサー、圧電素子、各種機械部品等に用いることができる。
上記スラリー組成物、上記無機粒子分散シートを、全固体電池の正極、固体電解質、負極の材料として使用することで全固体電池を製造することができる。また、上記スラリー組成物、上記無機粒子分散シートを、誘電体グリーンシート、電極ペーストに用いることで積層セラミックスコンデンサーを製造することができる。
上記全固体電池の製造方法は、上記スラリー組成物を用いて無機粒子分散シートを作製する工程、電極活物質及び電極活物質層用バインダーを含有する電極活物質層用スラリーを成形して電極活物質シートを作製する工程、前記電極活物質シートと上記無機粒子分散シートとを積層して積層体を作製する工程、及び、前記積層体を焼成する工程とを有することが好ましい。
上記積層セラミックスコンデンサーの製造方法は、上記スラリー組成物を用いて無機粒子分散シートを作製する工程、上記無機粒子分散シートに導電ペーストを印刷、乾燥して、誘電体シートを作製する工程、及び、前記誘電体シートを積層する工程を有することが好ましい。
上記導電ペーストは、導電粉末を含有するものである。
上記導電粉末の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、インジウム、白金、金、銀、銅及びこれらの合金等が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記導電ペーストを印刷する方法は特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、ダイコート印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。
上記積層セラミックスコンデンサーの製造方法では、上記導電ペーストを印刷した誘電体シートと電極層を積層することで、積層セラミックスコンデンサーが得られる。
上記脱バインダー助剤を含有する無機粒子分散シート、導電ペースト組成物を積層させた生のセラミック部品を焼成し焼成済みセラミック部品を作製し、更に外部電極を設置することにより、電子部品が作製できる。
焼成する際の条件は特に限定されないが、電極層に用いる遷移金属が酸化されないように不活性ガス、還元性ガス雰囲気下で焼成することが好ましい。
また、脱バインダー工程と無機粒子の焼成工程とは目的に合わせた温度で保持しても良い。
脱バインダー工程は不活性ガス雰囲気下で250℃以上、350℃以下で1時間から3時間保持することでバインダーや可塑剤等有機物含有量を20%以下に低減させ、無機粒子焼成工程へ移行させる。無機粒子焼成工程は不活性ガス雰囲気もしくは還元性ガス雰囲気下で800℃から1300℃に昇温することで無機粒子が焼結される。昇温速度は5℃/分以上100℃/分以下が好ましい。
上記焼成済みセラミック部品に外部電極を設置することで電子部品を作製することができる。
外部電極の組成や設置方法は特に限定されない。金属メッキや、熱硬化性導電性樹脂、金属ペースト等が好ましく用いることができる。金属ペーストに用いることができる金属は導電性が高く、低温で焼結するものが好ましい。例えば、銅、ニッケル、銀、パラジウム等が挙げられる。
本発明によれば、印刷性に優れるとともに、セラミック焼結体の製造に用いた際に、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進することができ、酸素分圧の増加による無機粒子の酸化を抑制することができ、焼成後の残留炭素が少なく焼結性に優れ、信頼性の高い電子部品を得ることができるスラリー組成物を提供できる。また、該スラリー組成物を用いた電子部品、電子部品の製造方法を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(1)電極ペーストの作製
(実施例1)
バインダー樹脂としてエチルセルロース樹脂(日新化成社製、エトセルSTD-10、エトキシ基含有率48重量%、重量平均分子量77000、粘度10mPa・s)5重量部、脱バインダー助剤としてピメリン酸0.25重量部、有機溶剤としてテルピネオール24.75重量部を密閉容器に配合し、高速撹拌機で均一に溶解させた。更に無機粒子としてニッケル粉(JFEミネラル社製、NFP201)70重量部を添加し、3本ロールミルを用いてニッケル粉を分散させ、スラリー組成物(電極ペースト組成物)を得た。
(実施例2~5、比較例1~3)
表1に示す種類及び配合とした以外は実施例1と同様にしてスラリー組成物(電極ペースト組成物)を得た。
なお、バインダー樹脂としては以下のものを用いた。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、重合度650、アセタール基量76モル%)
(2)誘電体スラリー組成物の作製
(実施例6)
有機溶剤としてエタノール/トルエン混合溶媒(重量比1:1)20重量部に脱バインダー助剤として無水コハク酸0.22重量部を添加し溶解させた後、無機粒子としてチタン酸バリウム(堺化学社製、BT-02、平均粒子径0.2μm)40重量部を添加し、ビーズミルにて無機粒子を解砕した。更に、エタノール/トルエン混合溶媒(重量比1:1)35.48重量部にバインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、重合度800、アセタール基量68モル%)4.3重量部を添加して溶解させた樹脂溶液を加えて攪拌し無機粒子を解砕し、スラリー組成物(誘電体スラリー組成物)を得た。
(実施例7~10、比較例4~6)
表1に示す種類及び配合とした以外は実施例6と同様にしてスラリー組成物(誘電体スラリー組成物)を得た。なお、有機溶剤の添加量については、総量を表1に示す割合とし、添加量の割合は実施例6と同様とした。
また、バインダー樹脂としては以下のものを用いた。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、重合度1700、アセタール基量65モル%)
(3)積層セラミックスコンデンサーの作製
離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、得られた誘電体スラリー組成物を乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗工、乾燥してセラミックグリーンシートを作製した。
得られたセラミックグリーンシートを用いて、生の積層体を形成した。具体的には、セラミックグリーンシート上に、得られた電極ペースト組成物をスクリーン印刷し、内部電極となる導電ペースト膜を形成した。次いで、導電ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを、導電ペースト膜の引き出されている側が互い違いになるように複数枚積層した後、圧着して生の積層体を得た。
次いで、生の積層体を焼成した。具体的には、まず、還元雰囲気下で500℃に加熱して、バインダーを燃焼させた。その後、酸素分圧が10-10MPaのH-N-HOガスからなる還元雰囲気中にて1250℃の温度で3時間焼成し焼結体を得た。更に、銀、テルピネオール、エチルセルロースからなる導電ペーストを作製し、ディップ法を用いて焼結体に導電ペーストを塗布し、1250℃で3時間焼成し、これに銅メッキを施して積層セラミックスコンデンサーを得た。
なお、誘電体スラリー組成物及び電極ペースト組成物の組み合わせは表3に示す通りとした。
(評価)
得られたスラリー組成物、積層セラミックスコンデンサーについて以下の評価を行った。結果を表2及び3に示した。
(1)印刷性
実施例1~5、比較例1~3で得られたスラリー組成物について、「(3)積層セラミックスコンデンサーの作製」において、セラミックグリーンシート上に印刷された印刷像を顕微鏡で観察し、滲みや糸曳きの有無を確認した。また、実施例6~10、比較例4~6で得られたスラリー組成物について、「(3)積層セラミックスコンデンサーの作製」において、セラミックグリーンシートの掠れや分離の有無を確認した。滲む、糸曳き、掠れ、分離、針状結晶析出等の異常が確認されたものを「×」、異常が確認されなかったものを「〇」として評価した。なお、高い印刷性を有するスラリー組成物は、印刷性に優れるといえる。
(2)脱バインダー性(焼結性)
得られたスラリー組成物をガラス基板上に厚み10μmとなるように塗工し、焼成炉内にて窒素雰囲気下550℃で3時間脱バインダー処理を行った。脱バインダー処理後、高周波誘導加熱炉燃焼-赤外線吸収法により得られたCO量、CO量から残留炭素量を測定した。残留炭素量が200pp以下を「〇」、200ppm超を「×」として評価した。
(3)内部電極層の酸化度
得られた積層セラミックスコンデンサーの内部電極層の断面をJasco社製マイクロラマン分光計NR-3100を用いて、500cm-1付近のニッケル酸化物のラマンシフトを評価し、ニッケル粉の酸化の有無を以下により評価した。
酸化されていない:散乱ピークのピークトップが530cm-1周辺である。
酸化されている:散乱ピークのピークトップが550cm-1よりも高波数側にシフトしている。
(4)誘電体層のボイド
得られた積層セラミックスコンデンサーの誘電体層の断面をSEMを用いて観察し、以下の基準で評価した。なお、誘電体層中のボイドは樹脂の焼結に起因するものと考えられる。
A:ボイドが確認されなかった。
B:ボイドが1個以上5個未満確認された。
C:ボイドが5個以上10個未満確認された。
D:ボイドが10個以上確認された。
(5)等価直列抵抗
「(3)積層セラミックスコンデンサーの作製」と同様にして積層セラミックスコンデンサーを10個作製した。得られた積層セラミックスコンデンサーを空気雰囲気下150℃で1時間熱処理を行い、その後、測定用基板に実装し、熱処理完了後24±2時間後にネットワークアナライザを用いて等価直列抵抗(ESR)を測定した。測定周波数は10MHzとした。10個分の値を平均し、48mΩ未満のものを「〇」、48mΩ以上のものを「×」として評価した。
Figure 2024027682000001
Figure 2024027682000002
Figure 2024027682000003
本発明によれば、印刷に優れるとともに、セラミック焼結体の製造に用いた際に、酸素分圧を高めることなく脱バインダー処理を促進することができ、酸素分圧の増加による無機粒子の酸化を抑制することができ、焼成後の残留炭素が少なく焼結性に優れ、信頼性の高い電子部品を得ることができるスラリー組成物を提供できる。また、該スラリー組成物を用いた電子部品、電子部品の製造方法を提供できる。

Claims (6)

  1. ポリビニルアセタール樹脂又はエチルセルロース樹脂を含むバインダー樹脂と、酸素原子の含有量が40重量%以上である脱バインダー助剤と、無機粒子と、有機溶剤とを含有し、
    前記脱バインダー助剤は多価カルボン酸又はその誘導体を含み、
    前記脱バインダー助剤の含有量は前記バインダー樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下である、スラリー組成物。
  2. 前記脱バインダー助剤はコハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、クエン酸、トリカルバリル酸及びブタンテトラカルボン酸からなる群から選択される少なくとも1種の多価カルボン酸又はその誘導体を含む、請求項1に記載のスラリー組成物。
  3. 多価カルボン酸の誘導体は多価カルボン酸の酸無水物、メチルエステル、エチルエステル及び金属錯体から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のスラリー組成物。
  4. 脱バインダー助剤の沸点が200℃以上である、請求項1又は2に記載のスラリー組成物。
  5. 請求項1又は2に記載のスラリー組成物を用いてなる、電子部品。
  6. 請求項1又は2に記載のスラリー組成物を用いる、電子部品の製造方法。

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