JP2014070002A - スラリー組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な工程で優れた分散性を実現できるスラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物を提供する。
【解決手段】無機粉末の表面に被覆用ポリビニルアセタール樹脂からなる被覆層を有する無機粉末分散用無機複合体を無機分散用有機溶剤に添加、混合して無機分散液を作製する工程、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂及び樹脂溶液用有機溶剤を添加、混合して樹脂溶液を作製する工程、及び、前記無機分散液に樹脂溶液を添加する工程を有し、前記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が20〜60モル%、重合度が20〜450であり、前記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が800〜4000であるスラリー組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、簡便な工程で優れた分散性を実現できるスラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物に関する。
ポリビニルアセタール樹脂は、強靭性、造膜性、顔料等の無機、有機粉体等の分散性、塗布面への接着性等に優れていることから、例えば、積層セラミックコンデンサを構成するセラミックグリーンシートや導電ペースト、インク、塗料、焼き付け用エナメル、ウォッシュプライマー等の用途に利用されている。
なかでも、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造される。
まず、ポリビニルブチラール樹脂等のバインダー樹脂にセラミック原料粉末を加え、均一に混合することでスラリー組成物を得る。得られたスラリー組成物を、離型処理した支持体面に塗工する。これに加熱等を行うことで溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。次いで、得られたセラミックグリーンシート上に、エチルセルロース、ポリビニルブチラール樹脂等をバインダー樹脂として含有する導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製し、脱脂処理を行った後、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
近年では、積層セラミックコンデンサに更なる小型化や高容量化が求められており、より一層の多層化、薄膜化が検討されているが、このような積層セラミックコンデンサにおいては、セラミックグリーンシートの薄膜化が進んでおり、それに伴って用いられるセラミック粉末の粒子径も小さいものが求められている。
一般に、スラリー組成物中にセラミック粉末等を分散させる方法としては、特許文献1に記載のように、一方で無機粉末、有機溶剤等からなる無機分散液を調製し、他方でバインダー樹脂を溶解させた樹脂溶液を調製した後、無機分散液と樹脂溶液とを混合する方法が用いられている。
しかしながら、このような方法では、混合液を長時間に渡って撹拌しなければ、セラミック粉末が充分に分散せず、撹拌に過大なエネルギーや時間を要するという問題があった。
また、スラリー組成物中のセラミック粉末の分散性を確保する方法として、特許文献2に記載されているように、分散剤を添加する方法も用いられている。しかしながら、このような方法では、バインダー樹脂との相溶性が悪いと逆に分散性を悪化させたり、長期保存時に分散性が低下したりする問題があった。
その問題を解決するために、特許文献3には粉体をポリビニルアルコール溶液中に分散させた上でアセタール化反応を行う方法が記載されている。しかしながら、このような方法では粉体が極小であった場合にポリビニルアルコール中で粉体を微細に分散することが出来ないという問題があった。
これに対して、ポリビニルアセタール樹脂を分散剤として使用することで、分散性を改善することも行われているが、このようなスラリー組成物を用いて、セラミックグリーンシートを作製した場合、セラミックグリーンシートを加熱圧着する工程において、熱変形が起こりやすくセラミックグリーンシートに歪みが生じるという課題があった。その結果、得られる積層セラミックコンデンサの電極パターンが所望の形状とならず、ショート等に繋がるという問題が生じていた。
特開2005−139034号公報 特開平6−325971号公報 特許第4828277号
本発明は、上記現状に鑑み、簡便な工程で優れた分散性を実現できるスラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物を提供することを目的とする。
本発明は、無機粉末の表面に被覆用ポリビニルアセタール樹脂からなる被覆層を有する無機粉末分散用無機複合体を無機分散用有機溶剤に添加、混合して無機分散液を作製する工程、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂及び樹脂溶液用有機溶剤を添加、混合して樹脂溶液を作製する工程、及び、前記無機分散液に樹脂溶液を添加する工程を有し、前記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が20〜60モル%、重合度が20〜450であり、前記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が800〜4000であるスラリー組成物の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、所定の水酸基量及び重合度を有するポリビニルアセタール樹脂からなる被覆層を有する無機粉末分散用無機複合体は、無機粉末の分散に使用する場合に、分散剤を別途使用することなく簡便な工程で優れた分散性を実現できることを見出した。
また、このような無機粉末分散用無機複合体は、無機粉末と被覆用ポリビニルアセタール樹脂とが強固に結びつくことで、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末の周辺に留まりやすく、例えば、グリーンシート等の材料に用いた場合に熱変形が起こりにくくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明では、上記無機分散液を作製する工程において、無機粉末分散用無機複合体の被覆用ポリビニルアセタール樹脂が溶解することで、分散剤としての役割を有する。このように無機分散液を作製する工程において、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が分散剤として作用することで、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末の表面に付着した状態となり、その結果、無機粉末の分散性を高めることができる。その後、無機分散液に、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂を含有する樹脂溶液を添加しても、先に付着した被覆用ポリビニルアセタール樹脂の立体障害により、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂は無機粉末に吸着しないため粉末の凝集を防ぐことが出来るばかりか、分散剤とバインダーが同じポリビニルアセタール樹脂からなるため、分散剤、バインダー間での分離が起こらず、無機粉末の分散性を損なうことなく、例えば、グリーンシートにした場合等において得られるシートの強度を高くすることができる。
従って、被覆用ポリビニルアセタール樹脂の優れた分散性を阻害することなく、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂が有する高強度も発現されることから、無機粉末の優れた分散性と、高い強度を有する膜状体が得られるという効果を兼ね備えたスラリー組成物を作製することができる。
本発明のスラリー組成物の製造方法は、無機粉末分散用無機複合体を無機分散用有機溶剤に添加、混合して無機分散液を作製する工程を有する。
本発明では、無機分散液を作製する工程において、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が分散剤として作用する。これにより、従来のように分散剤添加による悪影響を考慮する必要がない。これは、分散剤とバインダー樹脂が同種であるため、相溶性が良好であり、分散剤とバインダーが分離することなく混ざり合うことができるためである。
なお、本明細書において、被覆用ポリビニルアセタール樹脂と、後述するバインダー用ポリビニルアセタール樹脂とを特に区別する必要がない場合は、単にポリビニルアセタール樹脂ともいう。
上記無機粉末分散用無機複合体は、無機粉末の表面に被覆層を有するものである。
上記無機粉末としては特に限定されず、例えば、導電粉末、磁性粉末、セラミック粉末、ガラス粉末等が挙げられる。
上記導電粉末としては充分な導電性を示すものであれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅、これらの合金等からなる粉末が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記磁性粉末としては特に限定されず、例えば、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等のフェライト類、酸化クロム等の金属酸化物、コバルト等の金属磁性体、アモルファス磁性体等が挙げられる。これらの磁性粉末は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記セラミック粉末としては特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等からなる粉末が挙げられる。なかでも、用いるセラミックグリーンシートに含有されるセラミック粉末と同一の成分からなることが好ましい。これらのセラミック粉末は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ガラス粉末としては特に限定されず、例えば、酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化カルシウム系ガラス、酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系ガラス、酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系ガラス等が挙げられる。これらのガラス粉末は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化アルミニウム等を併用してもよい。
上記無機粉末の平均粒子径は、0.01〜10μmであることが好ましい。
上記平均粒子径が0.01μm未満であると、分散性が低下して、樹脂が充分に無機粉末の表面に付着しないことがあり、10μmを超えると、無機複合体の質量が大きくなり、付着させたポリビニルアセタール樹脂による効果が充分に表れないことがある。
上記無機粉末分散用無機複合体は、被覆用ポリビニルアセタール樹脂からなる被覆層を有する。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂としては、水酸基量が20〜60モル%、重合度が20〜450のポリビニルアセタール樹脂を用いる。これにより、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末に付着し、無機粉末間の距離が生まれることで微細に分散することが可能になるばかりか、バインダー等が添加された場合にも分散状態を維持することが可能となる。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の下限は20モル%、上限は60モル%である。上記水酸基量が20モル%未満であると、被覆用ポリビニルアセタール樹脂と無機粉末の引力的相互作用が小さく、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末表面への付着量が不充分となり、上記水酸基量が60モル%を超えると、被覆用ポリビニルアセタール樹脂と無機粉末の引力的相互作用が大きく、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末表面へ強く吸着しすぎるために無機粉末の凝集体をほぐすことが困難になる。
好ましい下限は25モル%、好ましい上限は44モル%である。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、重合度の下限が20、上限が450である。上記重合度が20未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の合成が難しくなるばかりか、分子が小さく動きやすいため、グリーンシートが熱変形しやすくなり、上記重合度が450を超えると、被覆用ポリビニルアセタール樹脂自身のかさ高さにより無機粉末表面に浸透しにくくなることがある。
好ましい下限は100、好ましい上限は350である。
上記無機粉末分散用無機複合体において、上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が0.1重量%、好ましい上限が20重量%である。上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.1重量%未満であると、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が充分に無機粉末表面に吸着せず、無機粉末の分散性が不充分となることがある。上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂の含有量が20重量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて、分散性が不充分になることがある。より好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は5重量%である。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度の好ましい下限が41モル%、好ましい上限が79モル%である。上記アセタール化度が41モル%未満であると、被覆用ポリビニルアセタール樹脂と無機粉末の引力的相互作用が大きく、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末表面へ強く吸着しすぎるために無機粉末の凝集体をほぐすことが困難になることがあり、上記アセタール化度が79モル%を超えるポリビニルアセタール樹脂は、被覆用ポリビニルアセタール樹脂と無機粉末の引力的相互作用が小さく、被覆用ポリビニルアセタール樹脂が無機粉末表面への付着量が不充分となることがある。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂において、アセチル単位の含有量の好ましい下限は0.5モル%、好ましい上限は20モル%である。上記範囲を超えると、無機粉末に被覆用ポリビニルアセタール樹脂が付着しにくくなることがある。
上記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、アルデヒドによりポリビニルアルコール樹脂をアセタール化することで得られるポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとをそれぞれ単独で用いるか、又は、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することが好ましい。
上記酸触媒としては特に限定されず、有機酸、無機酸のどちらでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
上記アセタール化の反応を停止するために、アルカリによる中和を行うことが好ましい。上記アルカリとしては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られたポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステルの重合体をケン化することで得られるポリビニルアルコール樹脂であることが好ましい。上記ビニルエステルは、経済的にみると、酢酸ビニルであることがより好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂はまた、上記ビニルエステルとα−オレフィンとの共重合体をケン化することで得られるポリビニルアルコール樹脂であることが好ましい。
上記α−オレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレンが挙げられる。なかでも、エチレンが好ましい。
また、上記ポリビニルアルコール樹脂として、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、上記ビニルエステルとエチレンとを共重合し、その後、ケン化することで得られる末端変性ポリビニルアルコール樹脂を用いてもよい。
上記ポリビニルアルコール樹脂を共重合する際、上記α−オレフィンの含有量は、好ましい下限が1モル%、好ましい上限が20モル%である。上記α−オレフィンの含有量が1モル%未満であると、α−オレフィンを添加する効果を得ることができないことがある。上記α−オレフィンの含有量が20モル%を超えると、得られるポリビニルアルコール樹脂の水への溶解性が低下するためにアセタール化反応を行うことが困難になったり、得られるポリビニルアセタール樹脂の疎水性が強くなりすぎ、有機溶剤に対する溶解性が低下したりすることがある。
上記ポリビニルアルコール樹脂はまた、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ビニルエステル及び上記α−オレフィンに加えて、その他のエチレン性不飽和単量体を共重合することで得られるポリビニルアルコール樹脂であってもよい。
上記その他のエチレン性不飽和単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
上記ポリビニルアルコール樹脂を共重合する際、上記その他のエチレン性不飽和単量体の含有量は、好ましい下限が1モル%、好ましい上限が30モル%である。上記その他のエチレン性不飽和単量体の含有量が1モル%未満であると、その他のエチレン性不飽和単量体を添加する効果を得ることができないことがある。上記その他のエチレン性不飽和単量体の含有量が30モル%を超えると、得られるポリビニルアセタール樹脂の接着性、塗膜強度、熱分解性等の性質が低下することがある。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度の好ましい下限が80モル%である。上記ケン化度が80モル%未満であると、得られるポリビニルアルコールの水への溶解性が低下するためにアセタール化反応を行うことが困難になることがあり、また、上記ポリビニルアルコール樹脂の水酸基量が少ないとアセタール化反応自体の進行が困難になることがある。
上記被覆層の厚みの好ましい下限は0.1nm、好ましい上限が1000nmである。上記厚みが0.1nm未満であると、バインダーが添加された際、充分にバインダーを排除することが出来ずセラミックが凝集してしまうことがあり、上記厚みが1000nmを超えると、セラミックに吸着した分散剤によりセラミックが動きにくくなり充分に分散されないことがある。なお、上記被覆層は、乾式密度測定法によって測定することができる。
上記被覆層には、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、エチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレンオキサイド等の樹脂を含有してもよい。
上記無機粉末分散用無機複合体の平均粒子径は、0.02〜10μmであることが好ましい。
上記平均粒子径が0.02μm未満であると、表面積が大きくなりすぎるため、溶剤に添加した際、粒子の分散性が不充分となることがあり、10μmを超えると、粒子の質量が大きいため、樹脂を付着させる効果が充分に得られなくなることがある。
なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所製、SALD-2300)によって測定することができる。
上記無機粉末分散用無機複合体を製造する方法としては、例えば、無機粉末、被覆用ポリビニルアセタール樹脂及び被覆用有機溶剤を添加、混合して無機分散液を作製する工程、及び、前記被覆用有機溶剤を乾燥する工程を行う方法が挙げられる。
上記無機分散液を作製する工程では、無機粉末100重量部に対して、被覆用ポリビニルアセタール樹脂を0.1〜20重量部添加することが好ましい。上記添加量が0.1重量部未満であると、付着する樹脂の量が不充分なために分散性が不充分となることがあり、上記添加量が20重量部を超えると、付着する樹脂の量が多すぎて強度が不充分となることがある。
上記被覆用有機溶剤としては、特に限定されず、一般的にスラリー組成物に用いられる有機溶剤を使用することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等のテルピネオール及びその誘導体等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機分散液を作製する工程において、上記無機分散液の水分量は3重量%未満であることが好ましい。上記無機分散液の水分量が3重量%以上であると、長期間に渡って高い分散性を維持できないことがある。好ましくは1重量%未満である。
本発明では、次いで、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂及び樹脂溶液用有機溶剤を添加、混合して樹脂溶液を作製する工程を行う。
本発明では、このように樹脂溶液を作製して、後工程において上記樹脂溶液を無機分散液に添加する工程を行うことで、無機粉末の凝集を防止して、無機粉末をより微細に分散させることが可能となる。
これに対して、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂を樹脂溶液用有機溶剤に溶解しない場合、即ち、上記樹脂溶液を作製しない場合は、上記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂が、かさ高くなり、複数の無機粉末を取り込みやすくなるため、無機粉末の凝集を招くこととなる。
上記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂の重合度の下限が800、上限は4000である。上記重合度が800未満であると、グリーンシートに用いた場合にシート強度が不充分となり、上記重合度が4000を超えると、スラリー組成物の粘度が高くなりすぎて塗工が困難となる。上記重合度の好ましい下限は1200、好ましい上限は3500である。
上記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の好ましい下限は43モル%、好ましい上限は60モル%である。上記水酸基量が43モル%未満であると、該ポリビニルアセタール樹脂を含有するスラリーを用いてグリーンシートを作製する場合に、シートアタック性が不充分となることがあり、60モル%を超えると、樹脂溶液用有機溶剤への溶解性が著しく低下してしまうばかりか無機粉末粒子の凝集を招くことがある。上記水酸基量のより好ましい下限は46モル%であり、より好ましい上限は56モル%である。
上記樹脂溶液を作製する工程における上記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂の添加量の好ましい下限は無機粉末分散用無機複合体100重量部に対して5重量部、好ましい上限は20重量部である。上記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂の添加量が5重量部未満であると、例えば、無機粉末の分散性が不充分となったり、乾燥後の塗膜の強度、柔軟性及び接着性等が不充分となることがあり、20重量部を超えると、粘度が高くなりすぎたり、塗工性が低下したりして、取扱性が悪くなることがある。
特に強度の求められる薄層のセラミックグリーンシートにおいては、重合度の低い被覆用ポリビニルアセタール樹脂に対して、重合度の高いバインダー用ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、充分な分散性とシート強度を有するセラミックグリーンシートを作製することができる。
本発明では、次いで、上記無機分散液に樹脂溶液を添加する工程を行う。
これにより、スラリー組成物が得られる。
なお、本発明のスラリー組成物の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリビニルアセタール樹脂以外のポリビニルアセタール樹脂や、アクリル樹脂、エチルセルロース等の他の樹脂を含有していてもよい。しかし、このような場合、全バインダー樹脂に対する上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が50重量%以上である必要がある。
上記無機分散用有機溶剤及び樹脂溶液用有機溶剤としては特に限定されず、一般的にスラリー組成物に用いられる有機溶剤を使用することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等のテルピネオール及びその誘導体等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機分散用有機溶剤及び樹脂溶液用有機溶剤としては、特にエタノール及びトルエンからなる混合溶媒を用いることが好ましい。上記混合溶媒を用いることによって、スラリー組成物の分散性を大幅に向上させることができる。これは、エタノールがバインダー用ポリビニルアセタール樹脂の凝集防止に寄与するのに対して、トルエンが被覆用ポリビニルアセタール樹脂の無機粉末表面への付着に寄与し、これらの相乗効果によってスラリー組成物の分散性が大幅に向上するためであると考えられる。
上記混合溶媒を用いる場合における上記エタノールとトルエンとの混合比については、5:5〜2:8とすることが好ましい。上記範囲内とすることで、スラリー組成物の分散性を大幅に向上させることが可能となる。
上記無機分散液を作製する工程における上記無機分散用有機溶剤の添加量の好ましい下限は無機粉末分散用無機複合体100重量部に対して20重量部、好ましい上限は60重量部である。上記無機分散用有機溶剤の添加量が20重量部未満であると、無機分散液の粘度が高くなり、無機粉末の動きが制限され充分な分散性が得られないことがあり、60重量部を超えると、無機分散液の無機粉末濃度が低くなり、無機粉末同士の衝突回数が減るため充分な分散性が得られないことがある。
また、上記樹脂溶液を作製する工程における上記樹脂溶液用有機溶剤の添加量の好ましい下限は無機粉末分散用無機複合体100重量部に対して70重量部、好ましい上限は130重量部である。上記樹脂溶液用有機溶剤の添加量が70重量部未満であると、樹脂量が充分でないため、グリーンシートの強度が不充分になることがあり、130重量部を超えると、グリーンシート中の樹脂分が多く、焼成工程において残渣の量が多くなってしまうことがある。
本発明のスラリー組成物の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
本発明のスラリー組成物の製造方法を用いることにより、極めて高い分散性を実現でき、かつ、得られる膜状体が高い強度を有するスラリー組成物を製造することができる。このようなスラリー組成物もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、簡便な工程で優れた分散性を実現できるスラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(ポリビニルアセタール樹脂(A)[(A1)〜(A9)]の合成)
重合度250、ケン化度99モル%のポリビニルアルコール350重量部を純水3000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸230重量部を添加した後、液温を0℃に下げてn−ブチルアルデヒド212重量部を添加しこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を20℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂(A1)の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサシド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてブチラール化度、水酸基量及びアセチル基量を測定したところ、ブチラール化度は69モル%、水酸基量は30モル%、アセチル基量は1モル%であった。
また、表1に示す条件とした以外は、ポリビニルアセタール樹脂(A1)と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂(A2)〜(A9)を合成した。
Figure 2014070002
(ポリビニルアセタール樹脂(B)[(B1)〜(B5)]の合成)
重合度1700、ケン化度99モル%のポリビニルアルコール280重量部を純水3000重量部に加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を10℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸200重量部とn−ブチルアルデヒド155重量部とを添加し、液温を1℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を40℃、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂(B1)の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂(B1)をDMSO−d(ジメチルスルホキシド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてブチラール化度、水酸基量及びアセチル基量を測定したところ、ブチラール化度は66モル%、水酸基量は33モル%、アセチル基量は1モル%であった。
また、表2に示す条件とした以外は、ポリビニルアセタール樹脂(B1)と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂(B2)〜(B5)を合成した。
Figure 2014070002
(実施例1)
(無機複合体作製用無機分散液の作製)
表3に示すポリビニルアセタール樹脂(A)1重量部、トルエン25重量部とエタノール25重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した。次いで、100重量部のチタン酸バリウムの粉末(堺化学社製、BT01、平均粒子径0.15μm)を得られた溶液に添加し、直径0.5mmのセラミックボールを300重量部加え、ビーズミル(アイメックス社製 レディミル)を用い、回転数1500rpmで100分間撹拌することにより無機複合体作製用無機分散液を作製した。
(無機複合体の作製)
得られた無機複合体作製用無機分散液をアルミトレイに流し込み、70℃で6時間の条件にて乾燥させ、ブロック状の無機複合体を得た。その後ブロック状の無機複合体をコーヒーミルにて壊砕することにより、無機複合体を得た。なお、得られた無機複合体は、平均粒子径が0.17μm、被覆層の厚みが38nmであった。また、ポリビニルアセタール樹脂(A)の重量比は、0.7重量%であった。
(スラリー組成物作製用無機分散液の作製)
得られた無機複合体100重量部をトルエン25重量部とエタノール25重量部との混合溶剤、直径0.5mmのセラミックボール300重量部を加え、ビーズミル(アイメックス社製 レディミル)を用い、回転数1500rpmで100分間撹拌することによりスラリー組成物作製用無機分散液を作製した。
(スラリー組成物作製用樹脂溶液の作製)
得られたポリビニルアセタール樹脂(B1)8重量部、DOP2重量部をエタノール45重量部とトルエン45重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解することにより、スラリー組成物作製用樹脂溶液を作製した。
(スラリー組成物の作製)
得られたスラリー組成物作製用無機分散液にスラリー組成物作製用樹脂溶液を添加しビーズミルにて回転数1900rpmで120分間攪拌することにより、スラリー組成物を得た。
(実施例2〜13)
表3に示すポリビニルアセタール樹脂(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、無機複合体及びスラリー組成物を得た。
(比較例1)
ポリビニルアセタール樹脂(A)を無機複合体作製用無機分散液に添加せず、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、無機複合体及びスラリー組成物を得た。
(比較例2〜3)
ポリビニルアセタール樹脂(A)を無機複合体作製用無機分散液に添加せず、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(B)とともに樹脂溶液に溶解させた以外は実施例1と同様にして、無機複合体及びスラリー組成物を得た。
(比較例4〜7)
表3に示すポリビニルアセタール樹脂(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)、及び、有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例8)
ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート1001)を用い、かつ、表4に示すポリビニルアセタール樹脂(B)、及び、有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例9)
ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えてMDI反応型ウレタン樹脂(三井化学社製、コスモネートM−200)を用い、かつ、表4に示すポリビニルアセタール樹脂(B)、及び、有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例10)
無機複合体を作製せずに、スラリー組成物作製用無機分散液の作製時に表4に示す無機粉末、ポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例11)
無機粉末複合体を作製せずに、スラリー組成物作製用無機分散液の作製時に表4に示す無機粉末、分散剤として分散剤側鎖に炭化水素をグラフトしたポリアミン化合物(クローダ社製「Hypermer KD−2」)を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(評価)
得られたスラリー組成物について、以下の評価を行った。
(1)グリーンシートの評価
(グリーンシートの作製)
離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにスラリー組成物を塗工、乾燥してセラミックグリーンシートを作製した。
(1−1)表面粗さ
上記で得られたセラミックグリーンシートについて、JIS B 0601(1994)に基づいて表面粗さRaを測定し、セラミックスラリーの表面粗さを評価した。
一般に、スラリー組成物の分散性が高いほど、セラミックグリーンシートの表面粗さは小さくなる。
◎ 0.025μm未満
○ 0.025μm以上、0.035μm未満
△ 0.035μm以上、0.045μm未満
× 0.045μm以上
(1−2)引張弾性率
JIS K 7113に準拠して、AUTOGRAPH(島津製作所社製、「AGS−J」)を用い、引張速度20mm/分の条件にて引張弾性率(MPa)の測定を行った。
◎ 1600MPa以上
○ 1400MPa以上、1600MPa未満
△ 1200MPa以上、1400MPa未満
× 1200MPa未満
(1−3)熱変形量評価
上記で得られたセラミックグリーンシートを10cm四方に切り出し、グリーンシート片を得た。このグリーンシート片に60℃、100kg/cm2の圧力を10分間かけ、その後の寸法を測定することで熱変形率を計算した。
◎ 3.0μm未満
○ 3.0μm以上、5.0μm未満
△ 5.0μm以上、7.0μm未満
× 7.0μm以上
(2)分散性評価
(分散性評価溶液の作製)
得られたスラリー組成物0.1重量部を、エタノール5重量部とトルエン5重量部の混合溶剤に添加し、超音波分散機(エスエヌディ社製、「US−303」)にて10分間撹拌することにより、分散評価用溶液を作製した。
(分散性評価)
得られた分散評価用溶液について、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−910)を用いて粒度分布測定を行い、最大粒子径ピークの位置、及び、平均分散径を測定した。平均分散径について、以下の基準で評価した。
◎ 0.4μm未満
○ 0.4μm以上、0.5μm未満
△ 0.5μm以上、0.6μm未満
× 0.6μm以上
Figure 2014070002
(実施例14〜15)
無機粉末としてチタン酸バリウムに代えて、窒化アルミニウム粉を用い、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(実施例16〜17)
無機粉末としてチタン酸バリウムに代えて、Ni−Zn系フェライト粉を用い、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例12)
無機粉末としてチタン酸バリウムに代えて、窒化アルミニウム粉を用い、ポリビニルアセタール樹脂(A)を添加せず、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(比較例13)
無機粉末としてチタン酸バリウムに代えて、Ni−Zn系フェライト粉を用い、ポリビニルアセタール樹脂(A)を添加せず、表3に示すポリビニルアセタール樹脂(B)及び有機溶剤を用いた以外は実施例1と同様にして、スラリー組成物を得た。
(評価)
得られたスラリー組成物について、以下の評価を行った。
(1)グリーンシートの評価
(グリーンシートの作製)
離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにスラリー組成物を塗工、乾燥してセラミックグリーンシートを作製した。
(1−1)表面粗さ
上記で得られたセラミックグリーンシートについて、JIS B 0601(1994)に基づいて表面粗さRaを測定し、セラミックスラリーの表面粗さを評価した。
一般に、スラリー組成物の分散性が高いほど、セラミックグリーンシートの表面粗さは小さくなる。
◎ 0.2μm未満
○ 0.2μm以上、0.3μm未満
△ 0.3μm以上、0.4μm未満
× 0.4μm以上
(1−2)引張弾性率
JIS K 7113に準拠して、AUTOGRAPH(島津製作所社製、「AGS−J」)を用い、引張速度20mm/分の条件にて引張弾性率(MPa)の測定を行った。
◎ 1500MPa以上
○ 1200MPa以上、1500MPa未満
△ 900MPa以上、1200MPa未満
× 900MPa未満
(1−3)熱変形率評価
上記で得られたセラミックグリーンシートを10cm四方に切り出し、グリーンシート片を得た。このグリーンシート片に60℃、100kg/cm2の圧力を10分間かけ、その後の寸法を測定することで熱変形率を計算した。
◎ 4.0%未満
○ 4.0μm以上、6.0μm未満
△ 6.0μm以上、8.0μm未満
× 8.0μm以上
(2)分散性評価
(分散性評価溶液の作製)
得られたスラリー組成物0.1重量部を、エタノール5重量部とトルエン5重量部の混合溶剤に添加し、超音波分散機(エスエヌディ社製、「US−303」)にて10分間撹拌することにより、分散性評価用溶液を作製した。
(分散性評価)
得られた分散性評価用溶液について、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所社製、LA−910)を用いて粒度分布測定を行い、最大粒子径ピークの位置、及び、平均分散径を測定した。また、23℃で一週間放置した後の最大粒子径ピークの位置、及び、平均分散径についても測定した。平均分散径について、以下の基準で評価した。
◎ 2μm未満
○ 2μm以上、3μm未満
△ 3μm以上、4μm未満
× 4μm以上
Figure 2014070002
本発明によれば、簡便な工程で優れた分散性を実現できるスラリー組成物の製造方法及びスラリー組成物を提供することができる。

Claims (3)

  1. 無機粉末の表面に被覆用ポリビニルアセタール樹脂からなる被覆層を有する無機粉末分散用無機複合体を無機分散用有機溶剤に添加、混合して無機分散液を作製する工程、バインダー用ポリビニルアセタール樹脂及び樹脂溶液用有機溶剤を添加、混合して樹脂溶液を作製する工程、及び、前記無機分散液に樹脂溶液を添加する工程を有し、
    前記被覆用ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が20〜60モル%、重合度が20〜450であり、
    前記バインダー用ポリビニルアセタール樹脂は、重合度が800〜4000である
    ことを特徴とするスラリー組成物の製造方法。
  2. 無機粉末が、導電粉末、磁性粉末、セラミック粉末及びガラス粉末からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のスラリー組成物の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のスラリー組成物の製造方法を用いて得られることを特徴とするスラリー組成物。
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