JP2009120586A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】酸化工程で発生する排ガスを燃焼処理する工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法において、臭化メチル含有排ガスを臭素系ダイオキシン類の発生を抑制しつつ燃焼処理を行う。
【解決手段】臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程と、該酸化工程で発生する排ガスを燃焼装置中で燃焼させる工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法であって、該排ガスを燃焼温度450〜1000℃にて燃焼させた後、燃焼後のガスを250℃以下に冷却し、かつ該冷却過程での450℃から250℃への冷却時間が1秒以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
テレフタル酸などの芳香族カルボン酸はポリエステルの合成原料等として有用である。芳香族カルボン酸の代表例としてテレフタル酸の製造は、例えば、p−キシレンを分子状酸素を含有するガスによって加圧下に液相酸化する方法が工業的に行われている。液相酸化は、通常、酸化反応器中で、酢酸などの脂肪族カルボン酸を含む溶媒を用いて、コバルト、マンガンを主体とする重金属触媒及び臭素化合物の存在下に行われている。
このような製造方法において、酸化反応器からは高圧の排ガスが発生する。排ガス中には、例えば、残存する酸素;未反応原料のp−キシレン;溶媒である脂肪族カルボン酸;副生成物として一酸化炭素、脂肪族カルボン酸エステル、臭化メチル;などが含まれる。排ガスは、通常、必要に応じて有用成分やエネルギーの回収、有害成分の無害化処理などが行われた後、大気中に放出される。
排ガス成分の中で、触媒助剤である臭素化合物などに由来して発生する臭化メチルは、オゾン層破壊物質の一つである。従って、排ガス中の臭化メチルは大気中へ放出しないことが望ましく、排ガスから除去することが好ましい。
臭化メチルを含む排ガスの処理方法としては、燃焼処理が一般に行われている。例えば、排ガスを触媒存在下に、分子状酸素を含む気体、燃焼助剤などを供給して焼却することが提案されている(特許文献1及び2)。しかし、この方法は触媒寿命が短いため、排ガス処理のコストが高いことが難点である。
そこで臭化メチルを含有する排ガスを、蓄熱式燃焼炉にて燃料と共に燃焼処理する方法が提案されている(特許文献3)。特許文献3の方法によれば、触媒を用いることなく効率的に排ガスを燃焼処理できることが記載されている。
特開2000−189753号公報 特表2001−515576号公報 特開2004−257606号公報
近年、塩素系ダイオキシン類の有害性が広く知られつつあるが、臭素含有物質の燃焼により生成しうる臭素系ダイオキシン類についても有害性が懸念され、その発生抑制が望まれる。しかし特許文献3では、臭化メチルの燃焼による臭素系ダイオキシン類の発生抑制には注意が払われておらず、これを抑制するための燃焼条件等も記載されていない。
そこで本発明は、酸化工程の排ガスを燃焼処理する工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法において、臭素系ダイオキシン類の発生を抑制しつつ燃焼処理することを目的とする。
また、一般に臭化メチル濃度が低くなるほど、その完全燃焼が難しく、処理が困難となる。特許文献3には臭化メチルを約30ppm含む排ガスの燃焼処理の記載があるのみで、数ppm〜十数ppmという低濃度の臭化メチル含有排ガスの処理は検討されていない。
そこで本発明は、酸化工程の排ガスを燃焼処理する工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法において、処理の難しい低濃度の臭化メチル含有排ガスを燃焼処理することを目的と
する。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、臭化メチル含有排ガスを特定条件で燃焼することで上記課題を解決しうることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程と、該酸化工程で発生する排ガスを燃焼装置中で燃焼させる工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法であって、該排ガスを燃焼温度450〜1000℃にて燃焼させた後、燃焼後のガスを250℃以下に冷却し、かつ該冷却過程での450℃から250℃への冷却時間が1秒以下であることを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法に関する。また本発明は、前記燃焼温度から250℃への冷却時間が1秒以下である前記製造方法に関する。
また本発明は、燃焼後のガスを蓄熱体を用いて冷却する前記製造方法に関する。
また本発明は、燃焼触媒の不存在下で前記燃焼を行う前記製造方法に関する。
また本発明は、前記燃焼装置が蓄熱燃焼装置である前記製造方法に関する。
また本発明は、前記冷却後の排ガスの臭素系ダイオキシン類濃度が、毒性等量で1ng−TEQ/m以下である前記製造方法に関する。
また本発明は、酸化工程が脂肪族カルボン酸溶媒中でなされ、酸化工程で得られる芳香族カルボン酸及び溶媒を含むスラリーを固液分離して芳香族カルボン酸ケーキ及び母液を得る固液分離工程、及び、該母液の少なくとも一部を前記酸化工程に供する母液リサイクル工程とを含む前記製造方法に関する。また本発明は、母液の50重量%以上を前記酸化工程に供する前記製造方法に関する。
また本発明は、前記排ガス中の臭化メチル濃度が100体積ppm以下である前記製造方法に関する。
また本発明は、アルキル芳香族化合物がp−キシレンである前記製造方法に関する。
また本発明は、芳香族カルボン酸がテレフタル酸である前記製造方法に関する。
本発明によれば、酸化工程の排ガスを燃焼処理する工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法において、臭化メチル含有排ガスを臭素系ダイオキシン類の発生を抑制しつつ燃焼処理を行うことができ、環境負荷を軽減しうる利点がある。
また本発明によれば、低濃度の臭化メチル含有排ガスをも効率良く燃焼処理することができる。
また本発明によれば、空気など酸素含有ガスを大量供給する必要がなく、燃焼のための燃料を常時供給する必要がなく、触媒不存在下でも燃焼が可能となるため、臭化メチル含有排ガスを効率良く燃焼処理することができる。このため、運転コストや設備コスト、使用エネルギーを低減できる利点もある。
さらに本発明によれば、NOX(窒素酸化物)の生成も抑えることができる。
従って、本発明の芳香族カルボン酸の製造方法によれば、安全性が高く環境負荷が低く、低コストかつ低エネルギー使用量の製造方法を提供できる。
本発明は、臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程と、該酸化工程で発生する排ガスを燃焼装置中で燃焼させる排ガス処理工程とを含む芳香族カルボン酸の製造方法であって、該排ガスを燃焼温度450〜1000℃にて燃焼させた後、燃焼後のガスを1秒以内に250℃以下に冷却するものである。
即ち本発明は、臭化メチルを含む排ガスを特定の燃焼および冷却条件で処理することで、臭素系ダイオキシン類の発生を抑制しうる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。なお、以下において圧力値は特に記載の無い限り絶対圧を意味し、常圧とは通常0.101MPaである。
本発明の芳香族カルボン酸の製造方法は、少なくとも、アルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程と、該酸化工程で発生する排ガスを燃焼装置中で燃焼させる排ガス処理工程とを含み、好ましくは更に固液分離工程と母液リサイクル工程を含む。
本発明が適用される芳香族カルボン酸の種類は特に制限はないが、例えばオルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸(ベンゼントリカルボン酸)、2,6−、又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。なかでも本発明はフタル酸類(オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)の製造に適用することが好ましく、特にテレフタル酸の製造に適用することが好ましい。
原料のアルキル芳香族化合物にも特に制限はなく、芳香環は単環であっても多環であってもよい。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基等を挙げることができる。
アルキル芳香族化合物の具体的なものとしては、例えば、ジ−及びトリ−アルキルベンゼン類、ジ−及びトリ−アルキルナフタレン類並びにジ−及びトリ−アルキルビフェニル類が挙げられる。好ましくは、m−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイソプロピルベンゼン、o−ジイソプロピルベンゼン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類、2,6−又は2,7−ジメチルナフタレン、2,6−ジイソプロピルナフタレン、4,4’−ジメチルビフェニルなどが挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基等の、炭素数1〜4のアルキル基を2〜4個有するアルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、およびアルキルビフェニル類などが、反応性が高く好ましい。
また、アルキル芳香族化合物は一部酸化されていてもよい。これは、上記アルキル芳香族化合物におけるアルキル基が酸化されて、アルデヒド基、アシル基、カルボキシル基又はヒドロキシアルキル基等に酸化されているものの、目的とする芳香族カルボン酸となる程には酸化されていない化合物である。具体的には、例えば4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、「4CBA」と称する。)、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、m−トルイル酸、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、3−ホルミル安息香酸、4−ホルミル安息香酸、および2−メチル6−ホルミルナフタレン類等を挙げることができる。
これらの原料は、単独または2種以上を併用して用いることが出来る。
以上総合して、原料としてはキシレン類(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)が好ましく、特にp−キシレンが好ましい。原料としてp−キシレンを用いる場合、一部酸化されたアルキル基を有する芳香族化合物としては、例えば4CBA、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としてはテレフタル酸が得られる。
以下に、p−キシレンを原料としてテレフタル酸を得る製造方法を例としながら、酸化工程(I)、固液分離工程(II)、母液リサイクル工程(III)、排ガス処理工程(IV)について説明するが、他の芳香族カルボン酸を製造する際にも適宜変更して同様に製造することが可能である。
<酸化工程(I)>
酸化工程(I)では臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る。例えば、酸化反応器中で、原料であるアルキル芳香族化合物を溶媒中で分子状酸素含有ガスにより酸化することにより、芳香族カルボン酸と溶媒とを主成分とするスラリーを得ることが挙げられる。上記酸化工程(I)では、上記のような酸化反応(酸化処理)を一度だけ行ってもよいし、複数回行ってもよい。なお、酸化反応(酸化処理)を複数回行う場合、その条件は最初の酸化反応(酸化処理)と同じでもよいし、異なっていてもよい。
目的とする芳香族カルボン酸がテレフタル酸の場合は、通常、原料としてp−キシレンを用いるが、原料は上述の通り、p−キシレンに加えてp−トルイル酸、p−トルアルデヒド、4CBAなどの中間体や不純物を含んでいてもよい。酸化工程(I)ではp−キシレンの90重量%以上をテレフタル酸に酸化することが望ましく、95重量%以上を酸化することがより望ましい。
溶媒は、通常、脂肪族カルボン酸を主成分とする。脂肪族カルボン酸は限定されないが、酢酸、プロピオン酸、蟻酸及び酪酸のいずれかが好ましい。なお、主成分とするとは、溶媒の全量の60重量%以上を占めることを言う。なかでも溶解性、沸点、及び取り扱いの容易性から酢酸を主成分とする溶媒が好ましい。最も好ましくは酢酸と水との混合物である。酢酸と水との比率は、酢酸100重量部に対して水が、通常1重量部以上、好ましくは5重量部以上であり、また、通常40重量部以下、好ましくは25重量部以下、より好ましくは15重量部以下である。酢酸に対する水の量を前記上限値以下とすることで反応効率を向上させることができ、前記下限値以上とすることで酸化反応時の酢酸の熱分解を抑制することができ、エネルギー面、経済面での節源が図れ、それぞれ好ましい。
溶媒の量は、原料のアルキル芳香族化合物100重量部に対して通常100重量部以上、好ましくは200重量部以上とし、また、通常600重量部以下、好ましくは400重量部以下とする。溶媒の量を前記下限値以上とすることで、酸化反応で得られるスラリーの濃度を適度なものとし、配管等での閉塞などのトラブルが起きにくくなる。また、溶媒の量を前記上限値以下とすることで、設備を小型化できるのでコスト面で好ましい。
また、酸化工程(I)に用いる溶媒の一部として、後述する固液分離工程(II)から回収された母液を再利用することが好ましい。
分子状酸素含有ガスとしては、分子状の酸素を含むガスであればよく、例えば空気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈された酸素等が用いられる。このうち空気を用いればコストが低いため実用的であり好ましい。分子状酸素含有ガスの供給量は、原料のアルキル芳香族化合物に対し分子状酸素として通常3〜100倍モルである。
本発明は、臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程を有する。ここでいう臭素含有化合物は限定されないが、例えば、後述する触媒としての重金属臭化物や、触媒助剤としての臭素含有化合物が挙げられる。
アルキル芳香族化合物の酸化工程では一般的に触媒を用いる。触媒としてはアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸に変換する能力を有するものであれば特に制限はないが、通常、重金属化合物が用いられ、さらに触媒助剤として臭素含有化合物が用いられる。また、反応促進のために共酸化剤を併用してもよい。
重金属化合物における重金属元素としては、例えばコバルト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、銅、鉛、ハフニウム、セリウム等が挙げられる。これらは単独で、または組み合わせて用いることができる。特にコバルトとマンガンとを組み合わせて用いるのが好ましい。このような重金属の化合物としては、例えば酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、臭化物等を挙げることができる。なかでも重金属の酢酸塩又は臭化物が好ましい。
触媒助剤としての臭素含有化合物としては、例えば分子状臭素、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化コバルト及び臭化マンガン等の無機臭素化合物や、臭化メチル、臭化メチレン、ブロモホルム、臭化ベンジル、ブロモメチルトルエン、ジブロモエタン、トリブロモエタン及びテトラブロモエタン等の有機臭素化合物などが挙げられる。これらの臭素含有化合物も単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
触媒の濃度は、酸化反応を促進しうる範囲であれば特に限定されないが、溶媒中の重金属濃度として、通常10ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上とし、また、通常10000ppm以下、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下とする。溶媒中の重金属濃度を前記下限値以上とすることで反応速度が高まるため好ましい。また、溶媒中の重金属濃度を前記上限値以下とすることで、コストが抑制できるとともに排液や排ガス中の重金属濃度、臭素濃度を低減でき、環境面、安全面で好ましい。
重金属化合物と臭素含有化合物とを併用する触媒を用いる場合、重金属原子1モルに対して臭素原子を、通常0.05モル以上、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは0.5モル以上とし、また、通常10モル以下、好ましくは7モル以下、より好ましくは5モル以下とする。重金属化合物と臭素含有化合物とのモル比をこれらの範囲とすることで、触媒活性が高まる利点がある。
p−キシレンを原料としてテレフタル酸を得る場合、触媒として好ましくはコバルト及びマンガンのうち少なくとも1つの化合物を用い、触媒助剤として好ましくは臭素含有化合物を用いる。特に好ましくは、酢酸コバルト、酢酸マンガン、臭化水素の組合せが挙げられる。
触媒としてコバルト化合物、マンガン化合物、及び臭素含有化合物を用いる場合、各化合物の使用量は以下の通りである。すなわち、コバルト(金属換算)は溶媒に対し、通常10重量ppm以上、好ましくは100重量ppm以上、より好ましくは200重量ppm以上とし、また、通常2000重量ppm以下、好ましくは1000重量ppm以下とする。マンガン(金属換算)は溶媒に対し、通常1重量ppm以上、好ましくは5重量ppm以上とし、また、通常1000重量ppm以下、好ましくは500重量ppm以下とする。臭素(臭素元素換算)は溶媒に対し、通常10重量ppm以上、好ましくは100重量ppm以上とし、また、通常3000重量ppm以下、好ましくは2000重量ppm以下とする。
酸化工程の圧力は、酸化の反応効率を高めるため、溶媒と原料のアルキル芳香族化合物との混合物が反応温度において液相を保持できる圧力以上とする。ここで、液相を保持するとは、少なくとも液相を有することを意味する。
酸化工程の圧力は、通常、常圧を上回るものとし、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上とし、また、通常10MPa以下、好ましくは7MPa以下、より好ましくは5MPa以下、更に好ましくは3MPa以下とする。酸化工程の圧力をこの範囲とすることにより、副反応や化合物の分解を抑制でき、収率の低下を抑える利点がある。また酸化工程の圧力を前記範囲内で出来るだけ低く抑えることで、耐圧強度の低い反応器を用いることができ、コストが節減できる。
酸化工程(I)における反応温度(酸化反応の温度)は、通常100℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上とし、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下、更に好ましくは210℃以下とする。酸化反応の温度を前記範囲とすることにより、反応速度を高め、収率を上げることができる。酸化反応の温度を前記範囲とすることにより、溶媒の燃
焼による損失量を抑えることができ、さらに副反応や化合物の分解を抑制できるため収率の低下を抑える利点がある。
酸化反応は連続的に実施すると生産効率が高まるため望ましく、その際の反応時間(平均滞留時間)は、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは40分以上であり、また、好ましくは300分以下、より好ましくは150分以下、更に好ましくは120分以下である。反応時間が前記下限値以上であると、反応を十分に進行させ、純度の高い芳香族カルボン酸を得ることができる。反応時間が前記上限値以下であると、溶媒の燃焼による損失を抑制し、コストを低減することができる。また、反応器の容量を小さくできる点でも好ましい。
酸化工程(I)に用いることができる反応器の種類は特に限定されず、従来公知のものを用い得る。例えば攪拌機付き反応器、気泡塔反応器、プラグフロー型(配管流通型)反応器などいずれでもよいが、反応効率を高めるには攪拌機付き完全混合槽型反応器が好ましい。反応器の下部には、通常、分子状酸素含有ガスの供給口が設けられる。
反応器の下部供給口から供給された分子状酸素含有ガスは、原料のアルキル芳香族化合物の酸化反応に利用された後、多量の溶媒の蒸気を含むガスとして反応器の塔頂部より抜き出される。抜き出されたガスは、次いで凝縮器や蒸留塔などにより主として溶媒が分離され、残りが排ガスとして排出される。分離された溶媒は、蒸留等により一部脱水したのち酸化反応器に戻すことが好ましい。溶媒中の水分を除去することにより、酸化反応の副生成物として生じる水分が溶媒中に増加することを抑えることができる。
排ガス中の酸素濃度は限定されないが、通常1.0体積%以上、好ましくは1.5体積%以上、より好ましくは2.0体積%以上とし、また、通常8.0体積%以下、好ましくは7.0体積%以下となるよう制御することが望ましい。排ガス中の酸素濃度が前記下限値より高いほど、後述する排ガスを燃焼する際の反応効率(臭化メチルの燃焼効率)が高まる利点がある。排ガス中の酸素濃度を前記上限値より低くすることで安全性が高まる。また排ガス中の酸素濃度を前記の上限値および下限値の範囲内とすると、そのまま後述する蓄熱燃焼装置に供給できるので好ましい。
なお本発明の酸化工程(I)においては、上記酸化反応の後、必要に応じて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理とは、上記酸化反応で得られた反応混合物を、更なる原料供給を行わずに分子状酸素含有ガスを供給して、更に酸化処理することである。
追酸化処理の好ましい一例は、反応混合物を最初の酸化反応より低温で追酸化処理を行うものである(以下、「低温追酸化」という)。低温追酸化の温度は最初の酸化反応より1〜20℃低温とすることが好ましい。より好ましくは5℃以上低温とし、更に好ましくは15℃以下低温とする。低温追酸化の温度を前記の範囲とすることにより、副反応や化合物の分解を抑えることができる。低温追酸化の圧力は少なくとも反応温度において内部の混合物が液相を保持できる圧力以上であり、0.2〜10MPaが好ましい。より好ましくは5MPa以下とする。低温追酸化の圧力を前記上限値以下とすることで副反応や化合物の分解を抑制でき、収率の低下を抑えることができる。一般には最初の酸化反応よりも低い圧力とすることが望ましい。低温追酸化処理は連続的に行うことが望ましく、その反応時間は5分〜150分とすることが望ましい。
低温追酸化処理のために供給する分子状酸素含有ガスは、最初の酸化反応と同様のガスを用いることができる。原料のアルキル芳香族化合物の量を基準とした分子状酸素の供給量は、最初の酸化反応に用いる分子状酸素の供給量に対し、好ましくは1/10000以上(体積比。以下同じ)、より好ましくは1/1000以上、更に好ましくは1/100以上であり、好ましくは1/5以下、より好ましくは1/10以下であることが望ましい。
なお、低温追酸化処理から排出される排ガス中の酸素濃度の好ましい範囲とその理由は前記した酸化反応と同様である。
追酸化処理の他の好ましい一例は、反応混合物を最初の酸化反応より高温で追酸化処理を行うものである(以下、「高温追酸化」という)。高温追酸化処理によれば、最初の酸化反応により得られたスラリー中の芳香族カルボン酸粒子の一部が溶媒に溶解する。このため、粒子内部の酸化中間体(目的とする芳香族カルボン酸にまで酸化されなかった不純物)が酸化され、得られる芳香族カルボン酸の純度が高まる。高温追酸化の温度は、最初の酸化反応より1〜150℃高温とすることが好ましい。より好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上高温とする。また、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下高温とするのが好ましい。
p−キシレンを原料としてテレフタル酸を得る場合、具体的には、高温追酸化の反応温度は好ましくは235℃以上、より好ましくは240℃以上とし、また、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下とする。高温追酸化の反応温度を前記下限値以上とすることで、テレフタル酸粒子が溶解しやすくなり純度が高まる傾向にある。一方、高温追酸化の反応温度を前記上限値以下とすることで着色性の不純物の生成が抑えられる傾向にある。
高温追酸化の圧力は少なくとも反応温度において内部の混合物が液相を保持できる圧力以上であり、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは1MPa以上、更に好ましくは3MPa以上であり、また、通常10MPa以下である。高温追酸化の圧力を前記上限値以下とすることで副反応や化合物の分解を抑制でき、収率の低下を抑えることができる。一般には最初の酸化反応よりも低い圧力とすることが望ましい。高温追酸化処理は連続的に行うことが望ましく、その反応時間は5分〜150分とすることが望ましい。
高温追酸化処理のために供給する分子状酸素含有ガスは、最初の酸化反応と同様のガスを用いることができる。原料のアルキル芳香族化合物の量を基準とした分子状酸素の供給量はスラリー中の芳香族カルボン酸の量に対して、好ましくは0.003倍モル以上、より好ましくは0.01倍モル以上であり、また、好ましくは0.3倍モル以下、より好ましくは0.1倍モル以下であることが望ましい。分子状酸素の供給量を前記下限値以上とすることで追酸化効果が高まる傾向にある。また、分子状酸素の供給量を前記上限値以下とすることで、溶媒が酸素によって燃焼されることを抑える傾向にある。
なお、高温追酸化処理から排出される排ガス中の酸素濃度は、溶媒燃焼を抑えるため低いことが好ましく、0〜0.5体積%の範囲が望ましい。
上記追酸化処理は2回以上行ってもよい。例えば低温追酸化を2回以上行ってもよいし、低温追酸化と高温追酸化を各1回以上行ってもよいし、高温追酸化を2回以上行ってもよい。本発明において好ましくは追酸化処理を1回以上行う。
以上の酸化工程(I)で得られた芳香族カルボン酸を含むスラリーは、必要に応じて中間処理工程を経た後、通常、固液分離工程(II)に送られる。中間処理工程は必須ではなく、また、中間処理工程は複数あってもよい。中間処理工程としては例えば、冷却、加熱、昇圧、降圧、濃縮、希釈、沈殿、添加等の単位操作が挙げられ、典型的には晶析又は溶解が行われる。例えば、目的とする芳香族カルボン酸の回収率を高めたい場合には晶析が行われ、純度を高めたいときには溶解が行われる。これらの中間処理工程は、目的とする芳香族カルボン酸の種類や、目的とする製品品質等により適宜選択される。
中間処理工程として晶析を行う場合、通常、晶析槽でスラリーの圧力を低下させて冷却することで芳香族カルボン酸を主成分とする結晶を析出させる。晶析槽は一つでもよいが、直列に複数設け晶析を多段で行うと好ましい。但し、続く固液分離工程(II)を加圧下で行う場合には、圧力ロスを伴う晶析は行わない方が望ましいこともある。なお、本発明において、加圧下或いは加圧状態とは、常圧を超える圧力を意味する。
<固液分離工程(II)>
酸化反応により得られたスラリーは、好ましくは、次いで固液分離工程(II)に送られ、芳香族カルボン酸のケーキと母液とに分離される。固液分離工程(II)は常圧、加圧、減圧のいずれでも行うことができるが、好ましくは常圧又は加圧状態で行う。より好ましくは加圧状態で行う。
加圧状態で固液分離を行うと、内部エネルギーの大きいケーキが得られ、ケーキの乾燥が行いやすい。固液分離装置のスラリー側圧力は、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上とし、また、通常5MPa以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下、更に好ましくは1.5MPa以下、特に好ましくは1.2MPa以下とする。固液分離装置のスラリー側圧力が前記範囲のうち低めの圧力とすることにより、固液分離装置の耐圧性を低くすることができるので、設備の建設コストが節減できる。
固液分離して得られた母液は溶媒が主成分であり、溶解した芳香族カルボン酸や、未反応のアルキル芳香族化合物、触媒、副生成物、水などが含まれている。なお、主成分とは全量のうち60重量%以上を占めることを言う。また、固液分離して得られたケーキにも母液が付着している。このため、芳香族カルボン酸の純度低下を防止するため洗浄することが望ましい。洗浄液は、固液分離装置中の圧力、温度条件で液体状態であれば特に制限されないが、通常、溶媒と同じ化合物が用いられ、酢酸、水などが用いられる。洗浄後の排液には芳香族カルボン酸が溶解しているため、その損失を防止するため回収またはリサイクルすることが望ましい。洗浄後の排液のリサイクルは、酸化工程(I)、中間処理工程、固液分離工程(II)の何れにリサイクルしてもよい。
洗浄液の量は、ケーキ中の固形分に対する重量比で好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である。洗浄液を導入する固液分離装置内の圧力は、洗浄液の突沸を避けるために洗浄液の蒸気圧以上とすることが好ましい。洗浄液の蒸気圧と洗浄時の固液分離装置内の圧力との差は、より好ましくは0.01MPa以上、更に好ましくは0.02MPa以上であり、また、好ましくは2.0MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更に好ましくは0.5MPa以下である。
固液分離装置としては公知のものを使用することができるが、好ましくは固液分離と洗浄とを両方行いうる装置を用いると工程が簡素化される。このような装置としては、例えばスクリーンボウルデカンター、ソリッドボウルデカンター、ロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター、ロータリー加圧フィルターなどが挙げられる。これらの中でも、加圧状態で固液分離が行える装置が好ましく、具体的には、スクリーンボウルデカンターやソリッドボウルセパレーター、ロータリー加圧フィルターが好ましい。
固液分離され、必要に応じて洗浄されたケーキ中の液体含有率は、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下であり、また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。このケーキは乾燥工程に送られ、芳香族カルボン酸結晶が得られる。得られた芳香族カルボン酸結晶は、必要に応じて更に水素添加工程、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程などを含む精製プロセスを経て、より高純度の芳香族カルボン酸とすることができる。
<母液リサイクル工程(III)>
本発明の製造方法では、好ましくは母液リサイクル工程(III)を有する。母液リサイクル工程(III)は、固液分離工程(II)で得られた母液の一部を酸化工程(I)
に供して再利用する工程である。なお、固液分離工程(II)で得られた母液は、前記の中間処理工程や固液分離工程(II)へリサイクルしてもよいが、それらの工程は母液リサイクル工程(III)には含まないこととする。
本発明者らの検討によれば、母液リサイクル工程(III)を行うと酸化工程(I)の排ガス中の臭化メチル濃度が数ppm〜十数ppmにまで低減されることが分かった。その理由は十分に明らかではないが、母液中に含まれる触媒成分が酸化工程(I)にリサイクルされることで、反応系内の触媒活性が高まり、臭素含有化合物の分解と臭化メチルの生成が抑制されるのではないかと推定される。また母液リサイクル工程を行うことでプロセス全体として芳香族カルボン酸の収率を上げることもできるので好ましい。
母液リサイクル工程(III)を有する場合、母液のリサイクル率{(リサイクル母液重量/全母液重量)×100}は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%である。リサイクル率が高いほど排ガス中の臭化メチル濃度を低くできる利点がある。リサイクル率は100%であってもよいが、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。リサイクル率を前記範囲とすることにより、系内への不純物の蓄積を抑えることができ、製品の芳香族カルボン酸の品質を向上できる利点がある。
固液分離工程(II)で得られた母液は、必要に応じて母液タンク等に蓄積された後、リサイクル母液とパージ母液に分岐させ、リサイクル母液を酸化工程(I)に供する。パージ母液の量を調節することでリサイクル率を制御できる。パージ母液は通常、溶媒、触媒等の有用成分を回収したのち廃棄される。
リサイクル母液は、加圧状態で酸化工程(I)へリサイクルされることが好ましい。具体的には例えば、酸化工程(I)、固液分離工程(II)等を全て加圧下で行い、得られた母液をその加圧状態を維持したまま酸化工程(I)へ戻す。必要に応じ途中の工程で再加圧してもよい。これによりリサイクル母液は加圧、高温状態が維持され触媒活性が高いまま酸化工程(I)へ戻され、排ガス中の臭化メチル濃度をより低くできる利点がある。また酸化工程(I)でリサイクルされた母液を再加温するエネルギーも節減できるため好ましい。
従ってリサイクルされる母液の圧力は前記した固液分離装置のスラリー側圧力と同様であり、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上とする。リサイクルされる母液の圧力を高く維持することにより、リサイクル母液の温度を高く保つことができる。一方、リサイクルされる母液の圧力は通常5MPa以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下、更に好ましくは1.5MPa以下、特に好ましくは1.2MPa以下とする。リサイクルされる母液の圧力を低くすることで、耐圧性がやや低い装置が使用できコストが節減できる。
<排ガス処理工程(IV)>
次に、本発明の排ガス処理工程(IV)の好ましい態様について図1を用いて説明する。
酸化工程(I)において酸化反応器から出たガスは、通常、酸化反応器に接続された凝縮器で冷却される。溶媒等の凝縮物は酸化反応器に還流され、残りのガスは酸化工程排ガス1として排出される。前記凝縮器は、蒸留塔などに代えてもよい。低温追酸化や高温追酸化の工程を有している場合には、該追酸化反応器からのガスも同様に処理され、酸化工程排ガス1となる。これら排ガスは個別に処理してもよいし、併せて処理してもよい。
排ガスの含有成分は通常、溶媒、未反応の原料、酸素、副生成物などである。排ガスは通常高圧であり、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上であり、また、通常5MPa以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは2MPa以下である。排ガスは通常、含有する各種有用成分の分離回収や、圧力や熱などのエネルギー回収
などが行われた後、燃焼装置で燃焼されて無害化して外部へ放出される。
p−キシレンを原料としてテレフタル酸を得る場合、排ガスの含有成分は、溶媒として酢酸等の脂肪族カルボン酸;未反応の原料としてp−キシレン;副生成物として酢酸メチル等の脂肪族カルボン酸エステル、臭化メチル、一酸化炭素、二酸化炭素など;が含まれる。排ガス中の各々の含有量は、例えば、脂肪族カルボン酸及びそのエステル類が10体積%以下、酸素が8体積%以下、一酸化炭素及び二酸化炭素が合計で6体積%以下、臭化メチルが25体積ppm以下、p−キシレンが20体積ppm以下、などである。
まず酸化工程排ガス1を加圧吸収塔11の下部に導入すると共に、溶媒2を上部から供給し、脂肪族カルボン酸及びそのエステル類を溶媒2に溶解吸収させて排ガスから除去する。加圧吸収塔11の構造は特に限定されず、充填塔、スプレー塔、濡れ壁塔など各種のものが用いられるが、充填塔が好ましい。溶媒2としては通常、水が使用される。
加圧吸収塔11の塔上部では脂肪族カルボン酸が吸収され、塔下部では該吸収された脂肪族カルボン酸によりエステル類が溶解吸収される。また、塔底から回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体5が排出され、塔の中段から回収脂肪族カルボン酸含有液体4が排出され、塔頂から吸収塔出口ガス3が排出される。
回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体5は、酸化工程(I)に戻して再利用すると平衡量が維持されるため更なるエステル類の副生を抑制できるので好ましい。
回収脂肪族カルボン酸含有液体4は、酸化工程(I)に戻して再利用すると、酸化工程での溶媒のロスを抑制できるので好ましい。なお、溶媒2に水を含む場合は、脱水塔で脱水した後に酸化工程(I)へ戻すことが好ましい。
吸収塔出口ガス3は依然として高圧状態を維持しており、その圧力エネルギーを回収し再利用することが好ましい。回収方法としては、排ガスを燃焼処理した後、各種タービン等でエネルギーを回収する方法や、ガスエキスパンダー等でエネルギー回収後に燃焼処理する方法などがあるが、燃焼処理工程でのエネルギーロスを考慮すると後者が望ましい。
具体的には、熱交換器12で150〜160℃程度に加熱した後、ガスエキスパンダー13にてエネルギー回収し、排出されたガスエキスパンダー出口ガス6を燃焼装置14にて燃焼処理する。ガスエキスパンダー13で回収したエネルギーは酸化工程(I)に使用する空気圧縮機の動力として用いたり、必要に応じて発電機に用いたりすることが可能で、エネルギーの有効利用ができる。
ガスエキスパンダー出口ガス6には一酸化炭素、臭化メチルなどの有害性気体が含まれているので、無害化処理ののち大気中に放出する。含有成分の中では臭化メチルが最も処理が困難であり、触媒存在下又は不存在下で燃焼処理することが一般に行われてきた。ところが触媒存在下での燃焼処理はコストが高く、一方、触媒不存在下では燃焼に大きなエネルギーを要する。また排ガス中の臭化メチル濃度が低いほど完全な燃焼処理が行いにくい。更に、臭化メチルは燃焼処理すると臭素や臭化水素となるが、燃焼条件により更に一酸化炭素や燃焼残渣としての芳香族化合物などと反応して臭素系ダイオキシン類を生成する可能性がある。
なお、排ガス中の臭化メチルは、触媒としての重金属臭化物や、触媒助剤としての臭素含有化合物が酸化工程(I)において溶媒等と副反応を起こしたことに起因すると考えられる。
これらに鑑み、本発明においては排ガスを燃焼装置を用いて燃焼処理し、その燃焼処理条件を特定のものとする。
燃焼装置14に供給する排ガス中の臭化メチル濃度は制限されないが、芳香族カルボン酸製造における酸化工程の排ガスとしては、通常100体積ppm以下、好ましくは50
体積ppm以下、より好ましくは29体積ppm以下であり、また、通常1体積ppm以上、好ましくは2体積ppm以上、より好ましくは3体積ppm以上である。排ガス中の臭化メチル濃度が前記下限値未満であると、燃焼処理の難度が高まると共に、無害化処理の必要性が低下する。
排ガス中の臭化メチル濃度を低減するためには酸化工程(I)での触媒活性を上げることが望ましい。酸化工程(I)での触媒活性を上げる手段は限定されないが、具体的には、反応液中のコバルトの濃度を高くする、触媒が失活しない程度に反応液中の臭素濃度を低くする、母液リサイクル工程(III)において母液リサイクル率を高くする、等が挙げられる。
中でも母液リサイクル工程(III)において、母液リサイクル率を50重量%以上、好ましくは70重量%とすることが好ましい。母液リサイクル率を前記範囲とすることによって、排ガス中の臭化メチル濃度を低減することが可能となり、29体積ppm以下、更には25体積ppm以下とすることができる。また、反応液中のコバルト濃度、反応液中の臭素濃度、母液リサイクル率を最適化することにより、臭化メチル濃度を、20体積ppm以下、更には15体積ppm以下とすることができる。
燃焼装置14に供給する排ガス中の酸素濃度は限定されないが、通常1.0体積%以上、好ましくは1.5体積%以上、より好ましくは2.0体積%以上とし、また、通常8.0体積%以下、好ましくは7.0体積%以下とする。排ガス中の酸素濃度を前記下限値以上とすることで臭化メチル燃焼が容易になる。また前記上限値以下とすることで酸化工程の排ガスをそのまま用いることができるので非常に有利である。特に燃焼装置14として後述する蓄熱燃焼装置を用いれば、このような低い酸素濃度の排ガスであっても良好な燃焼を可能とすることができる。
排ガスはそのまま用いてもよいが、必要に応じて希釈や濃縮を行うことによって、臭化メチル濃度や酸素濃度を調節することもできる。
本発明では、排ガスの燃焼条件および冷却条件を特定のものとすることで臭素系ダイオキシン類生成を抑制する。
燃焼装置14での排ガスの燃焼温度は450℃以上、好ましくは550℃以上、より好ましくは600℃以上とし、また、1000℃以下、好ましくは900℃以下、より好ましくは850℃以下とする。排ガスの燃焼温度を前期下限値以上とすることで臭化メチルの完全燃焼が行いやすくなり、臭素系ダイオキシン類の発生も抑制できる。排ガスの燃焼温度を前記上限値以下とすることで、エネルギーコストを低減できる。
また、燃焼後のガスは250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは150℃以下に冷却する。従って、燃焼装置出口ガス7の温度は250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下、更に好ましくは150℃以下となる。燃焼後のガスの温度を前記範囲とすることにより、燃焼後のガスによる臭素系ダイオキシン類の生成を抑えることができる。また燃焼後のガスの冷却温度(燃焼装置出口ガス7の温度も同様)の下限は限定されないが、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上とすることで、冷却時間やエネルギーを節約することができる。
本発明では、燃焼後のガスの冷却過程において、450℃から250℃への冷却を1秒以下、更には450℃から200℃への冷却を1秒以下とする(本発明では、燃焼後のガスを冷却するために要する時間を単に「冷却時間」と称することもある。)。また、燃焼温度から250℃への冷却を1秒以下、更には燃焼温度から200℃への冷却を1秒以下とすることが好ましい。燃焼後のガスの冷却過程において、300℃前後の温度範囲の滞留時間を極力短くすることにより、臭素系ダイオキシン類の生成を効果的に抑制することができる。
燃焼後のガスを急速する手段は限定されないが、例えば、燃焼後のガスを冷媒と接触させる、燃焼後のガスを吸熱材や蓄熱体と接触させる、低温の不活性ガスと混合する、スクラバー等で燃焼後のガスに水をスプレーする、燃焼後のガスを水の中に導入する、などの方法が挙げられる。
本発明によれば、冷却後のガス中の臭素系ダイオキシン類濃度を1ng−TEQ/m以下、更には0.1ng−TEQ/m以下、特には0.01ng−TEQ/m以下、より特には0.007ng−EQ/m以下と極めて低く抑えることができる。なお、臭素系ダイオキシン類には、ジオキシン環を有する異性体の他にジベンゾフラン環を有する異性体も含むものとする。具体的には、ポリ臭素化ジベンゾ−パラ−ジオキシン類(PBDDs)、ポリ臭素化ジベンゾフラン類(PBDFs)等が挙げられる。本発明によれば、従来完全燃焼が困難で臭素系ダイオキシン類が発生しやすいとされている低臭化メチル濃度の排ガスについても、上記の通りの臭素系ダイオキシン類濃度に抑えることができる。
本発明においては、臭素系ダイオキシン類の分析評価法としては、2002年(平成14年)環境省制定の「ポリブロモジベンゾ−パラ−ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法」により各異性体を定量した後、同年の「臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書」の参考資料3に記載された考え方に基づき、毒性等量(Toxic Equivalent。以下、「TEQ」という。)の値として算出するものとする。すなわち、TEQとは、2,3,7,8−TCDD(テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン)の毒性を1とした場合の他のダイオキシン類の毒性の強さを各々、毒性等価係数(Toxic Equivalent Factor。以下、「TEF」という。)で換算し、その合計量を求めるものである。また、「環境保健クライテリア205 ポリ臭素化ジベンゾ−パラ−ダイオキシン類およびジベンゾフラン」社団法人環境情報科学センター発行(2000年10月)も参照することができる。
本発明に用いる燃焼装置の種類に制限は無く、燃焼触媒を使用しない直接燃焼装置、燃焼触媒を使用する触媒燃焼装置、蓄熱体を使用する蓄熱燃焼装置などいずれも用いうるが、高温燃焼に好適な蓄熱燃焼装置または直接燃焼装置が好ましい。なお、前記燃焼触媒は限定されないが、具体的には、酸化マンガン、酸化銅、酸化クロム、パラジウム系、白金系などの触媒や、その他の耐ハロゲン触媒が挙げられる。
本発明に用いる燃焼装置としては、燃焼装置の中に燃焼部と冷却部とを有している構造のものが好ましい。このような構造であれば、燃焼後のガスを直ちに冷却することが可能であるため、臭素系ダイオキシン類の生成を抑えることができる。この観点でも、蓄熱燃焼装置または直接燃焼装置が好ましい。
また、本発明に用いる燃焼装置としては、燃焼装置の中に蓄熱体を有している構造のものが好ましい。このような構造であれば、燃焼効率が良く、燃焼温度の安定性も高く、かつ急速冷却も行いやすいため、臭素系ダイオキシン類の生成を抑えることができる。
直接燃焼装置は、通常、排ガスの予熱部、排ガスを燃焼触媒の不存在下に燃焼させる燃焼炉(燃焼部)、及び燃焼後のガスから熱回収を行う冷却部を備えている。予熱部の熱交換器で予熱された排ガスは、燃焼部において燃料および空気のうち少なくとも1つと混合し、着火温度以上に加熱して一定時間保持して酸化分解させ、冷却部で冷却後に排出する。冷却部で回収した熱を排ガスの予熱に利用すると好ましい。
蓄熱燃焼装置は、熱損失が殆どないセラミック製充填物を充填した蓄熱体を備える予熱室(予熱部)、蓄熱体で予熱された排ガスを燃焼処理する燃焼室(燃焼部)、及び燃焼後のガスから熱回収を行う熱回収室(冷却部)とを含み、燃焼バーナーを消した状態でも燃焼室の温度を維持できるような構造を有する。また、排ガスの流路を可変することにより、予熱室と熱回収室とが交互可逆に切り替わる構造を有する。例えば特開2002−303415号公報に記載された装置などを用いうる。また、蓄熱燃焼脱臭設備(ドイツ、Durr社製)、回転式蓄熱排ガス処理装置(中外炉工業株式会社製)、2塔式蓄熱排ガス処理装置(中外炉工業株式会社製)、1塔多室型蓄熱排ガス処理装置(中外炉工業株式会社製)などの市販の蓄熱燃焼装置の中から、本発明の燃焼および冷却が可能な機種を適宜選択して用いることが出来る。
蓄熱燃焼装置では、通常、排ガスはまず予熱室で蓄熱体により所定温度まで昇温され、次に燃焼室で燃焼される。燃焼温度は燃料の量と排ガス中の可燃物の量とで制御しうる。燃焼後のガスは熱回収室に移り、ガスの熱が蓄熱体に短時間で吸収されて冷却され、燃焼装置外へ排出される。
蓄熱燃焼装置では、排ガス流量、蓄熱体の充填量、蓄熱体の形状等を最適化することにより、燃焼後のガスの冷却速度を調整することができる。これにより、熱回収室におけるガスの、450℃から250℃以下への冷却時間を1秒以下に、更には、450℃から200℃以下への冷却時間を1秒以下にすることができる。また、燃焼温度から250℃への冷却を1秒以下に、更には燃焼温度から200℃への冷却を1秒以下にすることもできる。冷却部で回収した熱を排ガスの予熱に利用すると好ましい。上述の通り、各室間では、排ガス供給と燃焼済み排ガスの排気とが開閉弁により交互に切り替えられる。最近の蓄熱燃焼装置はロータリーバルブ式が主流であるが、本発明の趣旨に合致すれば特に限定されるものではない。
蓄熱燃焼装置は、8.0体積%以下、更には4.0体積%以下という低い酸素濃度の排ガスや、25体積ppm以下、更には15体積ppm以下、特には10体積ppm以下という低い臭化メチル濃度の排ガスであっても、外部からの酸素供給を必要とすることなく燃焼処理できる利点がある。また、熱回収率が高く、燃料コストも大幅に低減でき、省エネルギーでもある。
蓄熱燃焼装置での燃焼に際しては、燃焼を促進するために前記の燃焼触媒などを用いてもよいが、高燃焼温度、廃棄物及びコスト低減の点から燃焼触媒の不存在下で排ガスの燃焼を行うことが望ましい。
蓄熱燃焼装置は直接燃焼装置に比べ、燃焼温度の安定性も高く、燃焼温度そのものも低く抑えられ、かつ急速冷却も行いやすいため、NOX(窒素酸化物)の生成が抑えられる利点がある。また処理効率も高いため装置の台数も減らすことができ、設備コストが低減できる。
焼却装置出口ガス7には、通常、臭素、臭化水素などの成分が残存しているので、吸収装置15にてアルカリ及び還元剤と気液接触させて吸収したのち、大気放出することが望ましい。アルカリとして好ましくは苛性ソーダ、苛性カリなどが用いられ、還元剤として好ましくは亜硫酸ソーダ、尿素などが用いられるが、これらに限定される必要はない。吸収塔は充填塔、スプレー塔、濡れ壁塔のほか、スクラバーなどが使用できる。吸収装置出口ガス8は、大気放出できる状態であるのを確認したのち放出される。
なお、p−キシレンを原料としてテレフタル酸を得る場合、テレフタル酸の製造方法は要求品質の違い等からPTA法、QTA法の2通りの方法が工業的に実施されているが、本発明はいずれの方法にも有効に適用しうる。以下に両プロセスへの本発明適用例について記す。
まずPTA法について図2を用いて説明する。特に記載しない限りプロセス条件は前記説明の通りである。
まず酸化工程(I)では、酸化反応器21中でp−キシレンAを溶媒中、触媒存在下、
分子状酸素含有ガスBにより酸化してテレフタル酸と溶媒とのスラリーCを得る。反応温度は前述と同様であるが、PTA法において最も好ましくは170〜200℃である。
酸化反応器21からの酸化反応器排ガスMは凝縮器26を経て溶媒を主とする凝縮液Nを凝縮分離した後、酸化反応器排ガスPとして排出され排ガス処理工程(IV)に供される。凝縮器26は一段でも複数段からなるものでもよいし、凝縮器26に代えて蒸留塔を用いても同様の分離が可能である。排ガスMを凝縮して得られる凝縮液Nの一部を系外にパージすることで反応溶液中の水分量を調節する。排ガスP中の酸素濃度は通常1.0〜8.0体積%であるが、PTA法においてはやや低い傾向がある。例えば4.0体積%以下である。
反応器21での酸化反応後、必要に応じて低温追酸化処理を行ってもよい。低温追酸化処理で排出される排ガスも排ガス処理工程(IV)に供することができる。PTA法においては、低温追酸化処理で排出される排ガス中の酸素濃度も主酸化反応同様、やや低くなる傾向がある。
得られたスラリーCは必要に応じ中間処理工程を経たのち、固液分離工程(II)で固液分離装置22によりテレフタル酸ケーキDと母液Eとに分離される。テレフタル酸ケーキDは必要に応じ、洗浄装置23にて洗浄液Kにより洗浄され、洗浄後テレフタル酸ケーキFと洗浄排液Lが得られる。なお、図2の破線部に示すように、固液分離装置22と洗浄装置23を1つの装置で行える固液分離・洗浄装置24を用いてもよい。
得られたケーキFは乾燥装置25にて乾燥され粗テレフタル酸結晶Gとなる。その後、粗テレフタル酸結晶Gは図示しない水素化精製プロセス(溶解工程、水素化工程、晶析工程、固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程等からなる)を経て高純度テレフタル酸結晶として取得される。
一方、固液分離工程(II)で得られた母液Eの一部は、好ましくは母液リサイクル工程(III)を経て酸化工程(I)に供される。即ち母液Eは必要に応じて母液タンク等に蓄積された後、リサイクル母液Hとパージ母液Jに分岐され、リサイクル母液Hは酸化工程(I)の酸化反応器21に戻される。また、洗浄排液Lも必要に応じ酸化工程(I)の酸化反応器21に戻してよい。
以上の工程で得られた排ガスは排ガス処理工程(IV)に供され処理される。
酸化反応器21には、排ガス処理工程(IV)で得られる回収脂肪族カルボン酸含有液体4や回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体5を、必要に応じ脱水塔などで処理した後、リサイクル脂肪族カルボン酸及びエステル類Qとして戻してもよい。
次にQTA法について図3を用いて説明する。特に記載しない限りプロセス条件は前記説明の通りである。
酸化工程(I)では、酸化反応器31中でp−キシレンaを溶媒中、触媒存在下、分子状酸素含有ガスbにより酸化してテレフタル酸と溶媒のスラリーcを得る。反応温度や圧力は前述と同様であるが、QTA法において最も好ましくは180〜230℃、1〜3MPaである。酸化工程ではp−キシレンの98重量%以上を酸化することがより望ましい。
酸化反応器31からの酸化反応器排ガスnは凝縮器41を経て溶媒を主とする凝縮液oを凝縮分離した後、酸化反応器排ガスpとして排出され排ガス処理工程(IV)に供される。凝縮器41は一段でも複数段からなるものでもよいし、凝縮器41に代えて蒸留塔を用いても同様の分離が可能である。排ガスnを凝縮して得られる凝縮液oの一部を系外にパージすることで反応溶液中の水分量を調節する。排ガスp中の酸素濃度は通常1.0〜8.0体積%であるが、QTA法においてはやや高い傾向がある。例えば4.0体積%以
上である。
QTA法においては、酸化工程(I)で反応器31での酸化反応後に高温追酸化処理を行う。このとき、酸化反応と高温追酸化処理との間に低温追酸化処理を行うことが好ましい。高温追酸化処理の前に予備的な低温追酸化処理を行うと、より純度の高いテレフタル酸を得ることができるためである。
反応器31で得られたスラリーcを低温追酸化反応器32に供し、分子状酸素含有ガスbを更に供給し低温追酸化を行う。低温追酸化処理は連続的に行うことが望ましく、その反応時間は主酸化反応よりやや短めで、好ましくは5〜90分である。
低温追酸化処理で排出される排ガスも排ガス処理工程(IV)に供することができる。即ち酸化反応器32からの酸化反応器排ガスqは凝縮器42を経て溶媒を主とする凝縮液rを凝縮分離した後、酸化反応器排ガスsとして排出され排ガス処理工程(IV)に供される。凝縮器42は一段でも複数段からなるものでもよいし、凝縮器42に代えて蒸留塔を用いても同様の分離が可能である。QTA法においては、低温追酸化処理で排出される排ガス中の酸素濃度も主酸化反応同様やや高くなる傾向がある。
得られた低温追酸化スラリーdは、通常、ポンプ33により加圧したのち加熱器34にて所定温度まで加熱し、高温追酸化反応器35に移送して分子状酸素含有ガスbを供給して追酸化する。高温追酸化処理は連続的に行うことが望ましく、その反応時間は好ましくは5〜120分である。
高温追酸化処理で排出される排ガスも排ガス処理工程(IV)に供することができる。即ち酸化反応器35からの酸化反応器排ガスtは凝縮器43を経て溶媒を主とする凝縮液uを凝縮分離した後、酸化反応器排ガスvとして排出され排ガス処理工程(IV)に供される。凝縮器43は一段でも複数段からなるものでもよいし、凝縮器43に代えて蒸留塔を用いても同様の分離が可能である。高温追酸化処理で排出される排ガスは酸素濃度が低いが、酸素濃度の高い排ガスp、sと併せることで排ガス処理工程(IV)で処理することが可能である。
得られた高温追酸化スラリーeは必要に応じ中間処理工程を経たのち、固液分離工程(II)へ送られ、通常、放圧蒸発装置36にて所定圧力・温度まで放圧冷却されたのち、固液分離装置37により、テレフタル酸ケーキfと母液gとに分離される。スラリーeを放圧冷却せずに固液分離することも可能であるが、溶媒の分解量を抑えるためには放圧冷却により温度をある程度まで下げることが望ましい。また、後述の母液リサイクル工程(III)を行う場合には、リサイクル母液の温度が酸化反応器31の圧力・温度を大きく超えないことが望ましく、そのためにも放圧冷却することが好ましい。放圧後の好ましい圧力は、前述の固液分離工程(II)の好ましい圧力と同程度である。また放圧蒸発装置36からの放圧蒸発装置排ガスwは凝縮器44を経て溶媒を主とする凝縮液xを凝縮分離した後、放圧蒸発装置排ガスyとして排出される。必要によりこの放圧蒸発装置排ガスyも排ガス処理工程(IV)で処理してよい。
得られたテレフタル酸ケーキfは必要に応じ、洗浄装置38にて洗浄液lにより洗浄され、洗浄後テレフタル酸ケーキhと洗浄排液mが得られる。なお、図3の破線部に示すように、固液分離装置37と洗浄装置38を1つの装置で行える固液分離・洗浄装置39を用いてもよい。
得られたケーキhは必要により更に乾燥装置40にて乾燥されテレフタル酸結晶iとして取得される。
一方、固液分離工程(II)で得られた母液gの一部は、好ましくは母液リサイクル工程(III)を経て酸化工程(I)に供される。即ち母液gは必要に応じて母液タンク等
に蓄積された後、リサイクル母液jとパージ母液kに分岐され、リサイクル母液jは酸化工程(I)の酸化反応器31に戻される。また、洗浄排液mも必要に応じ酸化工程(I)の酸化反応器31に戻してよい。
以上の工程で得られた排ガスは排ガス処理工程(IV)に供され処理される。
酸化反応器31には、排ガス処理工程(IV)で得られる回収脂肪族カルボン酸含有液体4や回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体5を、必要に応じ脱水塔などで処理した後、リサイクル脂肪族カルボン酸及びエステル類zとして戻してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<測定法>
(1)臭化メチル濃度
下記条件でガスクロマトグラフ分析により、臭化メチル濃度を測定した。ガスクロマトグラフGC−14B及びクロマトパックC−R3A(ともに島津製作所製)を用い、直径3mm、長さ5mのガラスカラム、充填剤としてシリコーンDC−550(信和化工製)を用いた。キャリアガスとして窒素を用い、その流量は30ml/分とした。分析中のカラムの温度は45℃、検出器の温度は100℃とした。
(2)臭素系ダイオキシン類濃度
2002年(平成14年)環境省制定の「ポリブロモジベンゾ−パラ−ジオキシン及びポリブロモジベンゾフランの暫定調査方法」により臭素系ダイオキシン類の各異性体を定量した後、同年の「臭素系ダイオキシン類排出実態等調査結果報告書」の参考資料3に記載された考え方に基づき、毒性等量(TEQ)の値として算出した。
臭素系ダイオキシン類には、ジオキシン環を有する異性体の他にジベンゾフラン環を有する異性体も含むものとする。
<実施例及び比較例>
以下の実施例及び比較例において、低温・高温追酸化を含め酸化反応の反応器としてはいずれも攪拌機付き完全混合槽型反応器を用いた。また、圧力値は絶対圧である。
(実施例1)
反応器に、p−キシレン1重量部、触媒を含む溶液(水を14重量%含む酢酸に、酢酸コバルト、酢酸マンガン及び臭化水素が溶解されたもの)3.35重量部、後述する固液分離装置から分離時の圧力と温度を実質的に維持した状態でリサイクルされた母液6.24重量部を供給するとともに、p−キシレンに対し分子状酸素が20倍モルとなるよう空気を供給し、温度195℃、圧力1.34MPa(絶対圧)で反応時間(平均滞留時間)が60分となるように調整しながら酸化反応を行った。反応液中のコバルト/マンガン/臭素の濃度はそれぞれ300/300/1000重量ppmであった。排ガス中の酸素濃度は5.0〜7.0体積%の範囲内となるよう調整した。
反応器からの排ガスは多段の凝縮器により最終的に温度45℃、圧力1.16MPaまで冷却し、各凝縮器から得られる凝縮液は統合した後、一部は抜き出し、残りは反応器に還流した。凝縮液の抜き出し量は、スラリーの母液中の水分濃度が10重量%となるように調節した。
酸化反応の反応器から粗テレフタル酸と溶媒を主成分とするスラリーを抜き出した。スラリー5.84重量部中、粗テレフタル酸は2.05重量部、母液は3.79重量部であり、スラリー濃度は35重量%であった。
このスラリー5.84重量部を低温追酸化反応器に連続的に供給し、温度183℃、1.04MPaで、反応時間が30分になるように調整しながら低温追酸化反応を行った。供給する空気の量は、前記酸化反応の供給量の1/44.6とした。空気と共に排ガス中の酸素濃度は5.0〜7.0体積%の範囲内になるよう調整した。
低温追酸化反応器からの排ガスは多段の凝縮器により最終的に温度45℃、圧力1.16MPaまで冷却し、各凝縮器から得られる凝縮液は統合して低温追酸化反応器に還流した。
低温追酸化反応器から抜き出されたスラリーは、次いで加熱・加圧された後に高温追酸化反応器に連続的に供給され、温度260℃、圧力5.5MPaで反応時間が50分になるように調整しながら高温追酸化反応を行った。供給する空気の量は、テレフタル酸に対し分子状酸素が0.12倍モルとした。排ガス中の酸素濃度は0〜0.5体積%になるよう調整した。
高温追酸化反応器からの排ガスは多段の凝縮器により最終的に温度45℃、圧力1.16MPaまで冷却し、各凝縮器から得られる凝縮液は統合して高温追酸化反応器に還流した。
高温追酸化反応器から抜き出されたスラリーは、放圧蒸発装置にて最初の反応器の温度・圧力の領域まで放圧冷却後、スクリーンボウルデカンターに供給され、温度・圧力を維持したまま固液分離が行われ、テレフタル酸ケーキと母液とに分離された。ケーキはデカンター内のスクリーン部で酢酸にて洗浄後、排出バルブから排出し一気に大気圧まで放圧し付着液体を蒸発させ、更に乾燥してテレフタル酸結晶1.56重量部を得た。
一方、固液分離で得られた母液は温度・圧力を維持したままパージ母液35重量%とリサイクル母液65重量%に分岐させ、リサイクル母液は最初の反応器に移送した。パージ母液は、テレフタル酸、酢酸、触媒などの有用成分を回収して再利用に供し、残部は無害化して外部に放出した。
反応器、低温追酸化反応器、及び高温追酸化反応器からの排ガスは前記凝縮器を経て統合され、温度45℃、圧力1.16MPaの排ガスとして図1に示す排ガス処理工程により処理された。
即ち、排ガス1を加圧吸収塔11に塔下部から供給しつつ塔上部から溶媒2として水をスプレーした。スプレーされた水には排ガス中の酢酸等が吸収された。更に塔下部において、酢酸等が吸収された水に、排ガス中の酢酸メチル等が溶解吸収された。吸収された酢酸メチルは塔底部から回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体5として抜き出し、反応器に戻して再利用した。また酢酸等は塔中段から回収脂肪族カルボン酸含有液体4として抜き出し、脱水塔で脱水後、やはり反応器に戻し再利用した。
一方、排ガスの残部であるガス3は塔頂部から出て熱交換器12で155℃に加熱された。その後、ガス3はガスエキスパンダー13に送られ、空気圧縮機の駆動動力の一部に使用されて圧力0.1MPaの出口ガス6となった。出口ガス6の酸素濃度は6.4体積%、臭化メチル濃度は13.7体積ppmであった。
出口ガス6を燃焼装置14としての蓄熱燃焼装置に導入し、燃焼温度(燃焼室の温度)820℃、冷却室での冷却時間1秒以下、出口温度(出口ガスの温度)80〜90℃、として燃焼処理した(ここで冷却時間とは、燃焼後ガスの200℃以下までの冷却時間を意味する。以下同じ。)。すなわち、蓄熱燃焼装置内で燃焼後の820℃のガスが200℃以下に冷却された時間は1秒以下であった。なお、燃焼温度に到達した後は、空気と燃料の供給は行わなかった。
燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度を測定したところ、検出限界以下、すなわち0.1体積ppm未満であった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度を測定し
たところ、検出限界以下、すなわち0.007ng−TEQ/m未満であった。従って、臭化メチルは完全燃焼され、ほぼ臭素となったと考えられる。結果を表−1に示す。
次いで、燃焼装置出口ガスは吸収装置15にて臭素、臭化水素などの成分をアルカリ及び還元剤と気−液接触させて吸収したのち、無害な状態であるのを確認して大気放出した。
(実施例2)
実施例1と同様にしてガスエキスパンダー13からの出口ガス6を得た。出口ガス6の酸素濃度は6.6体積%、臭化メチル濃度は13.9体積ppmであった(酸素濃度および臭化メチル濃度の値が実施例1と若干異なった原因は、運転中の変動による)。これを実施例1と同じ蓄熱燃焼装置に導入し、燃焼温度を600℃、冷却時間を1秒以下、出口温度を80〜90℃、として燃焼処理した。すなわち、蓄熱燃焼装置内で燃焼後の600℃のガスが200℃以下に冷却された時間は1秒以下であった。なお、燃焼温度に到達した後は、空気と燃料の供給は行わなかった。
その結果、燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度は1.1体積ppmであった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度は検出限界以下、すなわち0.007ng−TEQ/m未満であった。従って、臭化メチルは完全燃焼されほぼ臭素となったと考えられる。結果を表−1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にして得たガスエキスパンダー13からの出口ガス6を窒素ガスにより希釈した結果、酸素濃度が2.0体積%、臭化メチル濃度が4.1体積ppmとなった(酸素濃度と臭化メチル濃度との比が実施例1と若干異なった原因は、運転中の変動による)。これを実施例1と同じ蓄熱燃焼装置に導入し、燃焼温度を820℃、冷却時間を1秒以下、出口温度を80〜90℃として燃焼処理した。すなわち、蓄熱燃焼装置内で燃焼後の820℃のガスが200℃以下に冷却された時間は1秒以下であった。なお、燃焼温度に到達した後は、空気と燃料の供給は行わなかった。
その結果、燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度は検出限界以下、すなわち0.1体積ppm未満であった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度は検出限界以下すなわち0.007ng−TEQ/m未満であった。従って、臭化メチルは完全燃焼されほぼ臭素となったと考えられる。結果を表−1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にしてガスエキスパンダー13からの出口ガス6を得た。出口ガス6の酸素濃度は6.4体積%、臭化メチル濃度が13.7体積ppmであった。これを燃焼装置14としての直接燃焼装置に導入し、燃焼温度を1000℃、冷却時間を1秒以下、出口温度を180℃として燃焼処理した。すなわち、直接燃焼装置内で燃焼後の1000℃のガスが200℃以下に冷却された時間は1秒以下であった。なお、燃焼温度1000℃を保つために、空気と燃料(重油)を供給し続けた。
その結果、燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度は検出限界以下、すなわち0.1体積ppm未満であった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度は検出限界以下、すなわち0.007ng−TEQ/m未満であった。従って、臭化メチルは完全燃焼されほぼ臭素となったと考えられる。結果を表−1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にしてガスエキスパンダー13からの出口ガス6を得た。酸素濃度は5.0〜7.0体積%、臭化メチル濃度は13.2体積ppmであった。これを燃焼装置14としての触媒燃焼装置に導入し、パラジウム系の酸化触媒を用い、燃焼温度を352℃、出口温度を352℃として燃焼処理した。
その結果、燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度を測定したところ0.8体積ppmであった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度を測定したところ120ng−TEQ/mであった。結果を表−1に示す。
次いで、触媒燃焼装置出口ガスは吸収装置15にてアルカリ及び還元剤と気液接触させて吸収した。
(比較例2)
実施例1と同様にしてガスエキスパンダー13からの出口ガス6を得た。酸素濃度5.0〜7.0体積%、臭化メチル濃度13.0体積ppmであった。これを燃焼装置14としての触媒燃焼装置に導入し、燃焼温度を401℃、出口温度を401℃とした以外は比較例1と同様に燃焼処理した。
その結果、燃焼装置出口ガスの臭化メチル濃度は検出限界以下、すなわち0.1体積ppm未満であった。また、燃焼装置出口ガスの臭素系ダイオキシン類濃度は31ng−TEQ/mであった。結果を表−1に示す。
Figure 2009120586
本発明によれば、臭素系ダイオキシン類の発生を抑制して排ガスを燃焼処理することができるので、環境負荷を軽減した芳香族カルボン酸の製造方法として産業上有用である。
また本発明によれば、排ガス中の臭化メチルを効率良く燃焼処理することができるので、運転コストや設備コスト、使用エネルギーを低減した芳香族カルボン酸の製造方法として産業上有用である。
さらに本発明によれば、臭素系ダイオキシン類ばかりでなく、ベンゼン類等の芳香族やNOX(窒素酸化物)の生成をも抑えて排ガスを燃焼処理することができるので、環境負荷を軽減した芳香族カルボン酸の製造方法として産業上有用である。
本発明の排ガス処理工程の一例を示すフロー図 本発明のテレフタル酸製造方法の一例を示すフロー図 本発明のテレフタル酸製造方法の他の一例を示すフロー図
符号の説明
1 酸化工程排ガス
2 溶媒
3 吸収塔出口ガス
4 回収脂肪族カルボン酸含有液体
5 回収脂肪族カルボン酸エステル含有液体
6 出口ガス
7 燃焼装置出口ガス
8 吸収装置出口ガス
11 加圧吸収塔
12 熱交換器
13 ガスエキスパンダー
14 燃焼装置
15 吸収装置
21 酸化反応器
22 固液分離装置
23 洗浄装置
24 固液分離・洗浄装置
25 乾燥装置
26 凝縮器
31 酸化反応器
32 低温追酸化反応器
33 ポンプ
34 加熱器
35 高温追酸化反応器
36 放圧蒸発装置
37 固液分離装置
38 洗浄装置
39 固液分離・洗浄装置
40 乾燥装置
41 酸化反応器凝縮器
42 低温追酸化反応器凝縮器
43 高温追酸化反応器凝縮器
44 放圧蒸発装置凝縮器
A p−キシレン
B 分子状酸素含有ガス
C スラリー
D テレフタル酸ケーキ
E 母液
F テレフタル酸ケーキ(洗浄後)
G 粗テレフタル酸結晶
H リサイクル母液
J パージ母液
K 洗浄液
L 洗浄排液
M 酸化反応器排ガス(凝縮前)
N 凝縮液
P 酸化反応器排ガス(凝縮後)
Q リサイクル脂肪族カルボン酸及びエステル類
a p−キシレン
b 分子状酸素含有ガス
c スラリー
d 低温追酸化スラリー
e 高温追酸化スラリー
f テレフタル酸ケーキ
g 母液
h テレフタル酸ケーキ(洗浄後)
i テレフタル酸結晶
j リサイクル母液
k パージ母液
l 洗浄液
m 洗浄排液
n 酸化反応器排ガス(凝縮前)
o 凝縮液
p 酸化反応器排ガス(凝縮後)
q 低温追酸化反応器排ガス(凝縮前)
r 凝縮液
s 低温追酸化反応器排ガス(凝縮後)
t 高温追酸化反応器排ガス(凝縮前)
u 凝縮液
v 高温追酸化反応器排ガス(凝縮後)
w 放圧蒸発装置排ガス(凝縮前)
x 凝縮液
y 放圧蒸発装置排ガス(凝縮後)
z リサイクル脂肪族カルボン酸及びエステル類

Claims (11)

  1. 臭素含有化合物の存在下にアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を得る酸化工程と、該酸化工程で発生する排ガスを燃焼装置中で燃焼させる工程を含む芳香族カルボン酸の製造方法であって、該排ガスを燃焼温度450〜1000℃にて燃焼させた後、燃焼後のガスを250℃以下に冷却し、かつ該冷却過程での450℃から250℃への冷却時間が1秒以下であることを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 前記燃焼温度から250℃への冷却時間が1秒以下である請求項1に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  3. 燃焼後のガスを蓄熱体を用いて冷却する請求項1または2に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  4. 燃焼触媒の不存在下で燃焼を行う請求項1乃至3の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  5. 燃焼装置が蓄熱燃焼装置である請求項1乃至4の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  6. 冷却後の排ガスの臭素系ダイオキシン類濃度が、毒性等量で1ng−TEQ/m以下である請求項1乃至5の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  7. 酸化工程が脂肪族カルボン酸溶媒中でなされ、酸化工程で得られる芳香族カルボン酸及び溶媒を含むスラリーを固液分離して芳香族カルボン酸ケーキ及び母液を得る固液分離工程、及び、該母液の少なくとも一部を前記酸化工程に供する母液リサイクル工程とを含む請求項1乃至6の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  8. 母液の50重量%以上を前記酸化工程に供する請求項7に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  9. 排ガス中の臭化メチル濃度が100体積ppm以下である請求項1乃至8の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  10. アルキル芳香族化合物がp−キシレンである請求項1乃至9の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  11. 芳香族カルボン酸がテレフタル酸である請求項1乃至10の何れか一項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
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