JP2007032999A - 焼却システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 自然界の中で行なわれている浄化作用を最大限に利用し、このいくつかの浄化要素の集合によって焼却に対する高い安全性が保証できる焼却システムを提供する。
【解決手段】 燃焼発生した汚染有機ガスを分解するよう1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれに補助燃料を送る油水混合燃料製造部3と、1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれから発生した排ガス中の熱を蓄熱する蓄熱槽6と、前記排ガスを急速冷却する排ガス急冷ユニット7と、排ガスを洗浄する排ガス洗浄ユニット8と、残灰の一部を無害化された灰として処理する残灰ばい塵回収部11と、排ガス急冷ユニット7、排ガス洗浄ユニット8それぞれからの循環水を分離濾過する分離濾過部12と、分離濾過後の循環水を脱塩素処理する脱塩素処理ユニット13とを備え、1次燃焼室の内壁材をセラミックスによって形成し、ここに油水混合燃料製造部3からエマルジョン化した補助燃料を送るものとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自然界の中で行なわれている浄化作用を最大限に利用し、これら浄化要素の集合によって焼却に対する高い安全性を保証可能にした焼却システムに関する。
近年、高温焼却さえ実行すればダイオキシンは発生しないという一方的な説が定説となり、高温焼却とフィルターの使用によるダイオキシンの減少がほぼ決まった方程式で技術開発が行なわれいる。例えば、特許文献1に開示されているように、焼却施設内に高濃度珪酸塩水溶液を分散液で希釈した希釈液を噴霧する工程と、加熱手段により加熱して有害物質を無害化する工程とから成る処理方法が存在する。また、特許文献2に開示されているように、焼却炉から排出される高温のダイオキシン類を含む排ガスならびに飛灰を気液接触させて清浄化する処理方法であって、この排ガスならびに飛灰を複数のチャンバー内に導入して酸化分解を促進させ、洗浄液の微細水滴によってダイオキシン類ならびに飛灰を反応吸着させ、洗浄除去してからフィルターで除塵するという後術が存在する。
特開2003−176910号公報 特開2001−149750号公報
しかしながら、焼却だけではダイオキシンの発生を完全に抑止することができず、しかもフィルター捕捉では焼却に対する高い安全性を保証するには不完全なものである。
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、焼却に関する従来の常識にはとらわれず、自然界の中で行なわれている浄化作用を最大限に利用し、このいくつかの浄化要素の集合によって焼却に対する高い安全性を保証することのできる焼却システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、被焼却物の焼却後の排ガスを燃焼室で燃焼させ、燃焼後に発生した汚染有機ガスを分解するための補助燃料を当該燃焼室に送る油水混合燃料製造部と、残灰の一部を無害化された灰として処理する残灰ばい塵回収部と、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水を分離濾過する分離濾過部と、分離濾過後の循環水を脱塩素処理する脱塩素処理ユニットと、一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送る循環水処理部とを備えたことを特徴とする。
また、投入された被焼却物を焼却する1次燃焼室と、焼却後の排ガスを再度燃焼させる2次燃焼室と、燃焼発生した汚染有機ガスを分解するよう1次燃焼室、2次燃焼室それぞれに補助燃料を送る油水混合燃料製造部と、1次燃焼室、2次燃焼室それぞれから発生した排ガス中の熱を蓄熱する蓄熱槽と、前記排ガスを急速冷却する排ガス急冷ユニットと、排ガスを洗浄する排ガス洗浄ユニットと、残灰の一部を無害化された灰として処理する残灰ばい塵回収部と、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水を分離濾過する分離濾過部と、分離濾過後の循環水を脱塩素処理する脱塩素処理ユニットと、一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送る循環水処理部と、蓄熱槽の熱の一部を冷却し、この冷却水を前記排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれに供給する冷却ユニットとを備えたものとすることができる。
さらに、燃焼室の内壁材をセラミックスによって形成し、当該燃焼室内に前記油水混合燃料製造部からエマルジョン化した補助燃料が送られるものとして構成することができる。
補助燃料は、水と有機分子とを相互に近接するようにしてエマルジョン化するよう、セラミックス、超音波、磁気力の少なくともいずれか一つの下にエマルジョン化工程を行なうものとすることができる。
補助燃料は、燃焼室の炉内温度が600〜800℃の温度範囲で、互いに接触した水分子および有機分子の双方の分子からラジカル分解物を生成可能とすることができる。
そして、蓄熱槽の熱は、脱塩素処理ユニット、ヒートポンプ方式による冷却ユニットそれぞれに送られると共に、脱塩素処理ユニットでは、蓄熱槽から取り込まれた熱源によって塩化鉄と水素とを生成させるものとすることができる。
さらに、2次燃焼室の排ガスは、排ガス急冷ユニットに送られてここで冷却された後に排ガス洗浄ユニットに送られて排ガスを洗浄し、さらに排気ブロワーを介して排気塔を有する排ガス監視部に送られるものとすることができる。
加えて、冷却ユニットから、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれへ冷却水を給送させると共に、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水は分離濾過部に送られて循環水を分離濾過した後に、脱塩素処理ユニットに送って脱塩素処理した後、循環水処理部の循環水タンクを介して、一部の循環水を前記冷却ユニットへ、他の一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送られるようにすることができる。
本発明によれば、焼却に関する従来の常識にはとらわれず、自然界の中で行なわれている浄化作用を最大限に利用し、このいくつかの浄化要素の集合によって焼却に対する高い安全性を保証することのできる焼却システムを提供することができる。
すなわち、自然界へ放出されるのは浄化された排出ガスのみであり、また燃料、排ガス冷却、排ガス浄化に水を使用するが、液体の水は排出されずに一部が排ガス内に蒸気として混入するだけであり、さらにフィルターや集塵機は使用せず、2次汚染廃棄物が発生しないため、焼却に対する高い安全性を保証することができる。
また、ダイオキシン等の高濃度塩素化合物あるいはダイオキシンの一種であるPCBも直接燃焼が可能となり、したがって、プラスチック製品と塩ビ(PVC)との混焼が可能で廃棄物の分別作業は不要となった。しかも焼却灰、スラッジ等は多用途に使用可能なセラミックス原料として使用可能となった。
さらに、燃焼温度を焼却炉としては比較的低温域である800℃〜900℃とすることができ、1200℃〜1400℃範囲の高温焼却温度と同等の燃焼実績が得られる。しかも、蓄熱槽6を設置して蓄熱材を活用させることにより、槽内温度を1100℃〜1200℃まで上昇可能とし、この熱エネルギーを多目的に活用可能なシステムとすることができる。
また、補助燃料内に約30%の水を混合した油水混合燃料を使用しているため、燃料系から発生する二酸化炭素は約30%減少させることが可能となった。さらに、大型、小型ともにシステム設計が可能で、従来存在したダイオキシン排出規準は小型でありながら、大型並の性能保証が可能となり、ダイオキシン排出の総量減少に十分に役立つものとなる。
特に、補助燃料は、水と有機分子とを相互に近接するようにしてエマルジョン化するよう、セラミックス、超音波、磁気力の少なくともいずれか一つの下にエマルジョン化工程を行なうものとしたので、水分子同士の水素結合で構成されるクラスター構造が切断されるのに伴い、水クラスター内に位置していた空気分子(酸素分子、窒素分子)は溶液外に排出され、その位置にはミクロの空孔が形成されると共に、燃焼炉内にて気化、燃焼過程が進行する途中で、ミクロな空孔が崩壊(消失)すると水分子と有機分子とは直接的に接触することが可能となり、このために水分子と有機分子との衝突による反応速度を飛躍的に高めることができる。
さらに補助燃料は、燃焼室の炉内温度が600〜800℃の温度範囲で、互いに接触した水分子および有機分子の双方の分子からラジカル分解物を生成可能とするので、ラジカル反応効率は極めて高く、特に有機化合物が塩素を含む場合には、塩素ラジカルが生成し、これがHラジカルと反応してHCl生成反応が高効率で進行することが可能となる。
加えて、監視システムの設置により、危険レベルの排ガス排出があったときには、直ちに排ガス停止を行なうため、稼働中でのダイオキシンの排出危険性は殆ど無くなり、現行の年1回の検査による住民の不安は解消された。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明すると、図において示される符号1は、FECC(Five Elements、Co−existing in Circulation system)による焼却システムを構成する焼却装置を示すもので、このFECC(Five Elements、Co−existing in Circulation system)システムは、仏教思想にある「地輪、水輪、火輪、風輪、空輪」の五輪の考え方を源泉とし、物質構造の五大要素とその循環の中で有害物を処理する焼却システムである。
例えば、五輪の中の地輪は、鉱物、土壌を表す大地を表し、FECCシステムでは、特殊セラミックスによる有害物の分解、蓄熱に相当する。水輪は、川、海、地下水等の水を表し、FECCシステムでは、機能水による油水混合と有害物の分解浄化に相当する。火輪は、火山等の火を表し、FECCシステムでは高温燃焼による有害物の分解に相当する。風輪は、気の流れである気流を表し、FECCシステムでは、システム全体の排ガスの効果的な流れに相当する。空輪は、雰囲気としての大気を表し、FECCシステムでは、還元雰囲気の創出による排ガスの安定化に相当する。
FECCによる焼却装置1は、図1に示すように、自動投入部2、油水混合燃料製造部3、1次燃焼室4、2次燃焼室5、蓄熱槽6、排ガス急冷ユニット7、排ガス洗浄ユニット8、排気ブロワー9、排ガス監視部10、残灰ばい塵回収部11、分離濾過部12、脱塩素処理ユニット13、循環水処理部14、冷却ユニット15とによって概ね構成される。
すなわち、自動投入部2から投入された被焼却物は1次燃焼室4で焼却された後に、この排ガスを2次燃焼室5に送ってから再度燃焼されるものとしてある。このとき、1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれには、油水混合燃料製造部3からエマルジョン化した補助燃料が送られ、燃焼によって発生した汚染有機ガスを分解するようにしてある。
1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれから発生した排ガス中の熱は、発電・暖房・給湯等に使われる蓄熱槽6に蓄熱され、1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれに再度熱を送ると共に、一部は残灰ばい塵回収部11に送られて無害化された灰として処理され、他の一部は乾燥処理されるようにしてある。
また蓄熱槽6の熱は、脱塩素処理ユニット13、ヒートポンプ方式による冷却ユニット15それぞれに送られると共に、脱塩素処理ユニット13では、蓄熱槽6から取り込まれた約300℃の熱源によって塩化鉄と水素とを生成させ、該水素を発電等に使用できるようにしてある。
さらに、この2次燃焼室5の排ガスは、排ガス急冷ユニット7に送られてここで冷却された後に排ガス洗浄ユニット8に送られて排ガスを洗浄し、さらに排気ブロワー9を介して排気塔を有する排ガス監視部10に送られるものとしてある。
冷却ユニット15から、排ガス急冷ユニット7、排ガス洗浄ユニット8それぞれへ冷却水を給送させると共に、排ガス急冷ユニット7、排ガス洗浄ユニット8それぞれからの循環水は分離濾過部12に送られて循環水を分離濾過した後に、脱塩素処理ユニット13に送って脱塩素処理した後、循環水タンクを介して、一部の循環水を前記冷却ユニット15へ、他の一部の循環水を前記油水混合燃料製造部3へ送られるようにしてある。また、分離濾過部12で回収されたスラッジは乾燥処理されて再利用されるものとしてある。
次に、上記した構成によるFECCの焼却システムにおける各部の使用、動作の一例、および実施例について説明する。
(油水混合燃料製造部3)
通常の状態では水と油は分離する。この分離作用を抑止するために界面活性を利用した乳化剤を加え、油水を混合させるが、経時変化によりこの乳化剤は分離する。また、この種の乳化剤は燃料の発熱量の低下を招き、焼却炉用の燃料としては不向きである。
本発明に係る焼却システムでは、油水混合燃料製造部3によって鉱物油等の油分70%、水分29.5%、植物油0.5%を効率良くエマルジョン化して成る補助燃料を生成し、この補助燃料によって、発熱量を低下させることなく高効率の燃焼によって発生した汚染有機ガスを分解するものである。
例えば、セラミックス、超音波、磁気力等の下にエマルジョン化工程を行うことにより、水と有機分子とをできる限り近接するようにエマルジョン化することが可能である。この場合、水分子同士の水素結合で構成されるクラスター構造が切断されるが、これに伴い、水クラスター内に位置していた空気分子(酸素分子、窒素分子)は溶液外に排出され、その位置にはミクロの空孔が形成される。燃焼炉内にて気化、燃焼過程が進行する途中でミクロな空孔が崩壊(消失)すると水分子と有機分子とは直接的に接触することが可能となるために水分子と有機分子との衝突による反応速度が飛躍的に高まることになる。
また、両燃焼室4、5の炉内温度が600〜800℃に十分に高温になっていれば、有機分子が燃焼段階でラジカル分解し、また水分子も一部OHラジカルとHラジカルに分解するが、これらのラジカル分解物は直接的に接触した水と有機分子の双方の分子から生成するので、ラジカル反応効率は極めて高く、有機化合物が塩素を含む場合には、塩素ラジカルが生成し、これがHラジカルと反応してHCl生成反応が高効率で進行する。
一方、燃焼効率の面から見た場合には、水分子と有機分子とが相互に十分に近接している状態では、水溶液中で水素結合で構成される水分子同士のクラスター構造は切断されており、水素結合に基づく水の大きな蒸発潜熱は小さくなっているため、結果的に燃焼効率が高まることに繋がる。つまり、本発明のエマルジョンの水/有機分子のある一定の混合比においては燃焼効率が高まるため、見かけの発熱量は増大することになる。
そして、A重油と水との混合比率による発熱量の変化は、図3に示されるように、A重油100%のとき発熱量が100%として、A重油対水が60:40の場合には、発熱量は約0.4%上昇し、A重油対水が70:30の場合には、発熱量は約3%と最大値に達する。また、A重油対水が80:20の場合には、発熱量は約0.3%上昇し、A重油対水が90:10の場合には、発熱量は約3%減少する。
(1次燃焼室4)
1次燃焼室4の燃焼炉の型は、ロータリーキルン方式が最良であり、炉内の内壁材は特殊セラミックスを使用した。金属系内壁材は、水に対する励起作用が少なく、蓄熱効果が得られないため、多量の補助燃料を要し且つ炉内温度の不安定性を招くため、不向きである。また、断熱材は炉外壁を2重構造にし、中間部を真空処理した外壁材が効果的である。実験によると水の発熱作用と分解作用を促す最適な温度帯は800℃〜850℃であることが判明した。したがって、1次燃焼室4は常にこの温度帯を保つ必要がある。
(2次燃焼室5)
1次燃焼室4で生成された飛灰、ばい塵の不完全燃焼物は2次燃焼室5において完全燃焼され、焼却物のガス化は略完全に行なわれる。ここでもエマルジョン化した補助燃料を使用し、残った塩素ラジカルは塩化水素ガスとして排ガス内に混在し、これによりダイオキシンの生成を極力阻止する。この2次燃焼室5内の最適温度は900℃以下である。過去の実験で900℃以上の温度帯では安定的に存在する塩化水素を再分解してダイオキシン生成の可能性が増加してしまう。
例えば、図4に示すように、PCBの直接燃焼実験の排ガス測定結果によると、補助燃料のA重油、PCB濃度1ppmを1次燃焼室4にて燃焼したところ、2次燃焼室5内の温度が800℃の場合、ダイオキシン生成量が0.0028ngTEQ/立方メートル、塩化水素が14ppmとなる(図4(a)参照)。一方、2次燃焼室5内の温度が962℃の場合、ダイオキシン生成量が0.015ngTEQ/立方メートル、塩化水素が13ppmとなる(図4(b)参照)。また、補助燃料として灯油を使用し、且つ2次燃焼室5内の温度が814℃の場合、ダイオキシン生成量が0.000011ngTEQ/立方メートルとなる(図4(c)参照)。
(蓄熱槽6)
2次燃焼室5の850℃〜900℃の温度は、高性能な蓄熱材の活用で蓄熱槽6を約1100℃〜1200℃の温度に上昇させる。この高温域の温度を利用して必要なエネルギーに転換する。例えば、冷気製造はヒートポンプ方式により、電気に転換することなく直接冷気を製造する。この冷気は排ガス急冷ユニット7と冷却水に使用される。同時に高性能蓄冷材の活用により必要な場所に冷気を運搬する。また、高温製造は地域の暖房、給湯に使用するのみならず、発電、ハウス栽培用熱供給として利用でき、さらに寒冷地では道路保温による雪害防止等にも利用可能である。これらの利用に関して、全て蓄熱材が熱移動のために必要不可欠となる。
(排ガス急冷ユニット7)
排ガス急冷ユニット7は、水の気化潜熱エネルギーを利用して、例えば4℃〜10℃の冷却水を生成し、これを800℃〜900℃の排ガスに直接噴霧し、排ガスを60℃以下に冷却する。このとき気化潜熱を利用するためエネルギー的には50〜60cal/gの冷気で充分であり、冷房等に余剰冷気エネルギーを活用させることが可能である。また、ヒートポンプ式の冷凍機は従来活用されている技術によるもので充分であるが、冷気販売ビジネスまで実現可能にするためには、−50℃まで凍結しない、不凍液と高性能蓄冷材等が必要である。すなわち、排ガス急冷ユニット7としては、図2に示すように、−80℃の冷凍機A、−40℃のブライン液である不凍液槽B、不凍液内に複数段に蓄冷材を配して成る蓄冷槽C、処理水冷却部D、冷房用蓄冷槽Eそれぞれから構成する。
(排ガス洗浄ユニット8)
排ガス洗浄ユニット8は、排ガス急冷ユニット7内で捕捉されなかったばい塵を水噴霧シャワー方式でさらに排ガスの浄化を行なうと同時に、フィルター設備の設置を不要としたものである。図5に示すように、FECCシステムによればPCBを含むダイオキシン排出データは0.035ngTEQ/立方メートルとなり、小型焼却炉の5ng、中型焼却炉の1ng、大型焼却炉の0.1ngに比べて遙かに低い値を示した。また、この値はフィルター通過前のデータであり、この0.035ngは排ガス中の水分・ガス・ばい塵の全てから検出された結果であって、10%の塩ビ、プラスチック、RDF、木くず等を燃焼物として使用している。
(排ガス監視部10)
ダイオキシン検査は、通常年1回が基本であり、その1回の検査結果が年間の排出量として計算される。周知のように塩素分が含まれる化合物、特に石油化学製品を燃焼させればダイオキシンが発生する。例えば、検査日にたまたま木くずや紙と、塩素分を含まないプラスチックを燃やせばダイオキシンの発生は大幅に低下し、それがその設備の性能としてデータ化され、保証値となっている場合が想定される。1つの目安として一酸化炭素濃度の例えば100ppmをダイオキシンの排出の規準値として使われるが、ナノグラムやピコグラムの単位で排出量をコントロールするダイオキシンに対しては正確な排出量を予測することが困難である。
実験データによれば一酸化炭素濃度5ppmと規準値に比べて大幅に低い値を示しているが、燃焼後の排ガス処理が不充分であると一酸化炭素濃度5ppmでも10ngTEQ/立方メートルのダイオキシン発生が見られる。一酸化炭素濃度が低い程、ダイオキシンの発生は低下するが一酸化炭素濃度値はむしろ焼却物の燃焼度、すなわちガス化度の目安とすべきである。地域住民に安全と安心を提供するためには、信頼できる排ガスダイオキシンの監視システムが必要となる。
一酸化炭素、ノックス、ソックス、塩化水素はデジタル化された検査機が存在し、排出中の濃度が直ちに判明するが、ダイオキシンは手間のかかる分析が必要で、実状では検査結果が判明するまでに2〜4週間の時間が必要となる。これでは、正しい排ガスのコントロールができない。このため近年ではバイオ技術を使って3日間程度で結果が得られる技術も開発され、環境省はこれを認める方向に進むものととしているが未だ不充分なものである。
これに対し、データ処理時間が1分間以内で、理論的にはピコグラムの1000倍まで分析可能なレーザー光線を使用した光学的多面鏡システムによって瞬時にダイオキシン濃度が得られるRIMMPAと称する分析システム技術が東京電子(株)等によって開発されており、このシステムの特徴はデータ処理時間が1分間以内で、理論的にはピコグラムの1000倍まで分析可能であり、小型化も可能で且つ焼却サイトでの常時稼働が可能である。
ただ、分析機の現行価格が1.5億円と高額であり、しかも排ガス排出現場での長時間連続稼働による現行分析データとの比較が不充分であるが、0.1ng以下の排出規準を守るFECCシステムには充分に使用可能である。
(残灰ばい塵回収部11)
FECCシステム内で発生する全ての焼却灰、ばい塵は残灰ばい塵回収部11によって回収され、ここの処理灰無害化ユニットによって無害化処理される。図5に示すように、焼却残灰、スラッジとも残留ダイオキシンは規準値1000pgTEQ/gに対して、0.033pgTEQ/gを示し、高い安全性が確認された。一方、重金属の汚染に対しては、ガラス固化技術を使用した不溶化の実験によって確認されている。これらの処理には全て蓄熱槽6内の熱で処理可能であり、所謂燃えるゴミのみの焼却テストでは、残灰率は1%以下の少量である。したがって、この部分でのエネルギー消費はごく僅かである。また、安全処理済みの残灰は焼却炉の内壁材の原料にも再利用されるか、あるいは他の用途として使用可能である。
(分離濾過部12)
分離濾過部12は、灰、ばい塵類を沈殿濾過し、フィルターを併用してスラッジとして回収する。回収されたスラッジは、処理灰無害化ユニットによって乾燥処理されて再利用される。
(脱塩素処理ユニット13)
FECCシステム内の1次燃焼室4、2次燃焼室5それぞれによって塩素ラジカルはダイオキシンを生成することなく塩化水素ガス内に吸収され、排ガス急冷ユニット7、排ガス洗浄ユニット8それぞれの噴霧水内でもダイオキシンを生成することなく当該噴霧水の中に塩酸水として回収される。これを濾過した後に脱塩素処理ユニット13のタンク内に回収し、タンク内にある鉄分でる例えば鉄粉または廃棄用鉄片屑等に反応させると水素ガスを発生し、塩素分は鉄イオンと塩素イオンのイオン化状態で液中に混在する。このとき回収された水素ガスは例えば燃料電池用のエネルギーとして使用される。また、循環水中の水素ガスの回収後においては、水中に鉄イオンと塩素イオンとのイオン化状態で存在し、これに約300℃の熱を加えることで第2塩化鉄FeCl2の固体化された状態で回収する。このとき300℃の熱源は蓄熱槽6から取り入れる。
(循環水処理部14)
循環水処理部14では、塩素分とばい塵を回収した水の1部を冷却ユニット15、排ガス洗浄ユニット8、排ガス急冷ユニット7それぞれに送る。これと同時に水の他の一部が油水混合燃料製造部3へ送られて補助燃料として使用される。
本発明を実施するための最良の形態における焼却システムの動作フローを示す説明図である。 同じく排ガス急冷ユニットの一例を示す概略構成図である。 同じくエマルジョン燃料の発熱量の比較を表で示した図である。 同じくPCB無害化処理の排ガス測定データを表で示した図である。 同じくPCB無害化処理の排ガス測定データを表で示した図である。 同じくダイオキシン比較表を示す説明図である。
符号の説明
A 冷凍機
B 不凍液槽
C 蓄冷槽
D 処理水冷却部
E 冷房用蓄冷槽
1 焼却装置
2 自動投入部
3 油水混合燃料製造部
4 1次燃焼室
5 2次燃焼室
6 蓄熱槽
7 排ガス急冷ユニット
8 排ガス洗浄ユニット
9 排気ブロワー
10 排ガス監視部
11 残灰ばい塵回収部
12 分離濾過部
13 脱塩素処理ユニット
14 循環水処理部
15 冷却ユニット

Claims (8)

  1. 被焼却物の焼却後の排ガスを燃焼室で燃焼させ、燃焼後に発生した汚染有機ガスを分解するための補助燃料を当該燃焼室に送る油水混合燃料製造部と、残灰の一部を無害化された灰として処理する残灰ばい塵回収部と、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水を分離濾過する分離濾過部と、分離濾過後の循環水を脱塩素処理する脱塩素処理ユニットと、一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送る循環水処理部とを備えたことを特徴とする焼却システム。
  2. 投入された被焼却物を焼却する1次燃焼室と、焼却後の排ガスを再度燃焼させる2次燃焼室と、燃焼発生した汚染有機ガスを分解するよう1次燃焼室、2次燃焼室それぞれに補助燃料を送る油水混合燃料製造部と、1次燃焼室、2次燃焼室それぞれから発生した排ガス中の熱を蓄熱する蓄熱槽と、前記排ガスを急速冷却する排ガス急冷ユニットと、排ガスを洗浄する排ガス洗浄ユニットと、残灰の一部を無害化された灰として処理する残灰ばい塵回収部と、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水を分離濾過する分離濾過部と、分離濾過後の循環水を脱塩素処理する脱塩素処理ユニットと、一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送る循環水処理部と、蓄熱槽の熱の一部を冷却し、この冷却水を前記排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれに供給する冷却ユニットとを備えた請求項1記載の焼却システム。
  3. 燃焼室の内壁材をセラミックスによって形成し、当該燃焼室内に前記油水混合燃料製造部からエマルジョン化した補助燃料が送られるものとした請求項1または2記載の焼却システム。
  4. 補助燃料は、水と有機分子とを相互に近接するようにしてエマルジョン化するよう、セラミックス、超音波、磁気力の少なくともいずれか一つの下にエマルジョン化工程を行なうものとした請求項1乃至3のいずれか記載の焼却システム。
  5. 補助燃料は、燃焼室の炉内温度が600〜800℃の温度範囲で、互いに接触した水分子および有機分子の双方の分子からラジカル分解物を生成可能とした請求項1乃至4のいずれか記載の焼却システム。
  6. 蓄熱槽の熱は、脱塩素処理ユニット、ヒートポンプ方式による冷却ユニットそれぞれに送られると共に、脱塩素処理ユニットでは、蓄熱槽から取り込まれた熱源によって塩化鉄と水素とを生成させるものとした請求項2乃至5のいずれか記載の焼却システム。
  7. 2次燃焼室の排ガスは、排ガス急冷ユニットに送られてここで冷却された後に排ガス洗浄ユニットに送られて排ガスを洗浄し、さらに排気ブロワーを介して排気塔を有する排ガス監視部に送られるものとした請求項2乃至6のいずれか記載の焼却システム。
  8. 冷却ユニットから、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれへ冷却水を給送させると共に、排ガス急冷ユニット、排ガス洗浄ユニットそれぞれからの循環水は分離濾過部に送られて循環水を分離濾過した後に、脱塩素処理ユニットに送って脱塩素処理した後、循環水処理部の循環水タンクを介して、一部の循環水を前記冷却ユニットへ、他の一部の循環水を前記油水混合燃料製造部へ送られるようにした請求項2乃至7のいずれか記載の焼却システム。
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