以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
本実施の形態は、衣料品等を販売する小売業の棚卸業務に、本発明の物品管理装置を適用する場合である。
この種の小売業では、一般に、複数の区画に区切られた商品棚が店舗内や倉庫に設置されており、各区画内にそれぞれ商品が分類されて置かれる。そこで本実施の形態では、商品棚の各区画に、それぞれその区画を特定するための位置情報として固有の位置コードを割り当てる。また、各商品にそれぞれタグ固有の識別情報であるIDを記憶した無線タグを取り付ける。しかして、棚卸の際には、位置コードによって商品棚の区画を指定した後、携帯型の無線タグリーダでその区画内に置かれた商品の無線タグを読み取ることによって、各商品の在処を管理する。ここに、無線タグリーダは、本発明の物品管理装置の一態様として機能する。
図1は本実施の形態における無線タグリーダ1の要部構成を示すブロック図である。この無線タグリーダ1は、携帯型の本体10と、この本体に取付けられたアンテナ20とから構成されている。
アンテナ20は、例えば2.45GHzのマイクロ波を使用する電波通信方式に対応した平面パッチアンテナであり、その交信距離は、最大で1.0〜1.5m程度である。なお、平面パッチアンテナの代わりにダイポールアンテナを使用してもよい。あるいは、無線周波数としてUHF帯を使用するものとして、それに対応したアンテナを用いてもよい。
本体10は、通信インターフェイス11、入力部12、表示部13、記憶部14、無線回路部15及びこれらを制御する制御部16等で構成されている。通信インターフェイス11は、コンピュータ等の上位装置と着脱自在に接続され、接続時には双方向のデータ通信を司る。入力部12は、各種キーやポインティングデバイス等を備えている。表示部13は、例えば液晶ディスプレイ等である。入力部12及び表示部13は、ユーザが本体10を携帯したまま入力操作し、また、表示内容を確認できるようになっている。
無線回路部15は、変調器151、送信アンプ152、受信アンプ153、復調器154及びサーキュレータ155等を備えている。変調器151は、制御部16から送信データが与えられると、この送信データで搬送波信号を変調する。そして、変調波信号を送信アンプ152に出力する。送信アンプ152は、変調波信号を増幅した後、サーキュレータ155に出力する。サーキュレータ155は、送信アンプ152側から与えられた変調波信号はアンテナ20に出力し、アンテナ20側から与えられた変調波信号は受信アンプ153に出力する。受信アンプ153は、変調波信号を増幅した後、復調器154に出力する。復調器154は、変調波信号から受信データを復調し、制御部16に出力する。
記憶部14は、フラッシュメモリ等の書換可能な不揮発性のメモリであり、その記憶領域内に、少なくともタグ管理テーブル31、位置管理テーブル32、読取位置バッファ33及び指定外データバッファ34を形成している。
タグ管理テーブル31は、図2に示すように、各商品に付された無線タグのID別に、そのタグが付された商品(衣料品)の型、色、サイズ等の商品属性情報を、当該商品の画像情報とともに記憶する領域である。ここに、タグ管理テーブル31は、物品属性記憶手段を構成する。
位置管理テーブル32は、図3に示すように、タグID別に、基本位置情報、今回位置情報及び確定フラグ情報を記憶する領域である。基本位置情報及び今回位置情報は、いずれも商品棚の各区画を特定する位置コードに相当する。本実施の形態では、図4に示すように、1桁が8ビット(=1バイト)からなる4桁のデータで位置コードを表わしている。その内容は、最上位桁で区画の大分類を示し、次の2桁目で中分類を示し、次の3桁目で小分類を示し、最下位桁で詳細を示している。例えば大分類とは、その区画が店舗内の棚にあるのか倉庫内の棚にあるのかを分類する。中分類とは、その区画が店舗内または倉庫内のどのエリア(例えば東側、西側、出入口側等)に設置された棚にあるのかを分類する。小分類とは、その区画が店舗内または倉庫内のどの棚にあるのかを分類する。詳細とは、その区画が該当する棚のどの場所(例えば上から1段目の右側、中央、左側等)にあるのかを分類する。すなわち、この4桁の位置コードによって、対応するタグIDの無線タグが付された商品の在処、すなわち、店舗内または倉庫内のどの場所に設置されている棚のどこにおかれているかが簡単に分かるようになっている。
確定フラグは、この無線タグリーダ1を用いて実施した棚卸業務によって、対応するタグIDの無線タグが付されている商品の在処が確定したか否かを識別する情報であって、本実施の形態では、未確定のときは“0”にリセットされ、確定すると“1”にセットされる。
位置管理テーブル32のタグIDエリアと基本位置情報エリアとには、前回の棚卸業務においてタグデータが読み取られた無線タグのIDと、その無線タグが付された商品が置かれていた区画を特定する位置コードとが記憶されている。今回位置情報エリアには、今回の棚卸業務においてタグデータが読み取られた無線タグのIDに対応して、その無線タグが付された商品が置かれていた区画を特定する位置コードとが記憶される。
ここに、位置管理テーブル32のタグIDエリアと基本位置情報エリアとは、タグ基本位置記憶手段を構成し、同タグIDエリアと今回位置情報エリアとは、タグ今回位置記憶手段を構成する。
読取位置バッファ33は、後述する棚卸モードにおいて、入力部12を介して入力される位置コードを順次上書きして記憶するエリアである。ここに、入力部12は、位置情報入力手段を構成する。また、読取位置バッファ33は、位置情報記憶手段を構成する。
指定外データバッファ34は、基本位置情報と今回位置情報とが異なる無線タグのタグIDと基本位置情報とをそのタグIDに関連する商品属性情報とともに順次蓄積記憶するエリアである。
かかる構成の無線タグリーダ1は、通信インターフェイス11を介して上位装置に接続することにより、タグ管理テーブル31のデータをダウンロード可能となる。そして、上位装置からタグ管理テーブル31のデータがダウンロードされると、制御部16は、このデータをタグ管理テーブル31に格納する。なお、ダウンロードは、入力部12の操作入力により無線タグリーダ1側から起動してもよいし、上位装置側から起動してもよい。
また、無線タグリーダ1は、入力部12の操作入力により棚卸モードを選択できるようになっている。そして、棚卸モードが選択されると、制御部16が、図5〜図8の流れ図に示す手順で各部を制御するものとなっている。
すなわち制御部16は、入力部12の操作入力により棚卸モードの実行が指令されたことを検知すると、この処理を開始する。先ず、ST(ステップ)1として位置管理テーブル32の初期化を行う。この初期化により、位置管理テーブル32の今回位置情報エリアがクリアされる。また、確定フラグがすべて“0”にリセットされる。
次に、制御部16は、ST2として表示部13に棚卸画面40を表示させる。棚卸画面40の一例を図9に示す。図示するように、棚卸画面40には、今回読取位置情報の表示エリア41と、複数のタグID欄に対応して基本位置情報欄を形成してなる前回存在エリア42と、同じく複数のタグID欄に対応して基本位置情報欄を形成してなる読取指定外エリア43とが形成されている。
棚卸画面40を表示させた後、制御部16は、ST3として読取位置情報の入力待ちとなる。この状態で、入力部12を介していずれか1つの棚区画の位置コードYが入力されると(ST3のYES)、制御部16は、ST4としてこの位置コードYを読取位置バッファ33に上書きして格納する。また、この位置コードYを棚卸画面40の今回読取位置情報エリア41に表示させる。
次に、制御部16は、ST5として読取位置バッファ33内の位置コードYで位置管理テーブル32を検索し、基本位置情報が位置コードYと一致しているタグIDを全て抽出する。そして、ST6としてこの抽出した全てのタグIDを、棚卸画面40における前回存在エリア42のタグID欄に順次表示させる。
しかる後、制御部16は、ST7としてタグ問合せコマンドの送信データを無線回路部15の変調器151に出力する(タグ読取手段)。これにより、このタグ問合せコマンドの送信データによって搬送波が変調され、送信アンプ152にて増幅された後、アンテナ20から電波として放射される。
このとき、この電波到達領域内に無線タグが存在しており、この電波に無線タグが応答すると、この無線タグのメモリに記憶されているIDで変調された電波が無線タグのアンテナから放射される。この電波は、無線タグリーダ1のアンテナ20で受信され、受信アンプ153で増幅された後、復調器154にてタグデータに復調される。そして、このタグデータが制御部16に与えられる。上記電波到達領域内に複数の無線タグが存在しており、複数のタグが応答した場合は、各タグのデータが順次制御部16に与えられる。
そこで、タグ問合せコマンドを送信した制御部16は、ST8としてタグデータ、つまりはそのタグ固有のIDが復調されるのを待機する。そして、復調器154からタグデータ(ID)を受取る毎に(ST8のYES)、制御部16は、ST9としてタグID読取処理を実行する。
このタグID読取処理は、図6の流れ図によって示される。すなわち制御部16は、ST21として復調器154から受取ったタグデータのID(以下、このIDをタグID(x)と表記する)は、位置管理テーブル32にまだ格納されていない新規のIDであるか否かを判断する。そして、新規のIDであると判断した場合には、ST22として読み取ったタグID(x)を位置管理テーブル32のタグIDエリアに追加する。
タグID(x)を位置管理テーブル32に追加した後、または、タグID(x)が新規のIDでないと判断した場合には(ST21のNO)、制御部16は、ST23の処理に進む。
ST23では、制御部16は、位置管理テーブル32から、タグID(x)が記憶されているレコード(タグID(x),基本位置情報,今回位置情報,確定フラグ)を読み出す。そして、ST24としてこのレコードの確定フラグを調べる(確定判定手段)。ここで、確定フラグが既に“1”にセットされていた場合には(ST24のYES)、制御部16は、今回のタグID読取処理を終了する。
これに対し、確定フラグが未だ“0”にリセットされていた場合には(ST24のNO)、制御部16は、ST25としてこのレコードの今回位置情報エリアP(x)に、読取位置バッファ33内の位置コードYを書き込む。
次に、制御部16は、ST26としてこのレコードの基本位置情報エリアB(x)に記憶されている位置コードが読取位置バッファ33内の位置コードYと一致しているか否かを判断する(位置判定手段)。一致している場合には(ST26のYES)、制御部16は、ST27として棚卸画面40における前回存在エリア42の当該タグID(x)に対応する基本位置エリアに、上記読取位置バッファ33内の位置コードYを表示させる(報知手段)。また、ST28としてこのレコードの確定フラグを“1”にセットして、今回のタグID読取処理を終了する。
一方、このレコードの基本位置情報エリアB(x)に記憶されている位置コードが読取位置バッファ33内の位置コードYと一致していない場合には(ST26のNO)、制御部16は、ST29としてこのタグID(x)と基本位置情報エリアB(x)の位置コードとを指定外データバッファ34に格納する。また、タグ管理テーブル31から当該タグID(x)に対応する商品属性情報を取得して、指定外データバッファ34に格納する。そして、棚卸画面40における読取指定外エリア43に、指定外データバッファ34に格納したタグID(x)と基本位置情報エリアB(x)の位置コードとを表示させる(報知手段)。この際、タグID(x)及び基本位置情報エリアB(x)は、タグ管理テーブル31から取得した商品属性情報の色情報に該当する色で表示する。なお、タグID(x)のみを該当色で表示してもよい。あるいは、色以外の属性情報を用いて区別可能に表示してもよい。以上で、今回のタグID読取処理を終了する。
上記タグID読取処理を実行した制御部16は、次に、ST10として無線タグの読み取りを終了したか否かを判断する。例えば、無線タグデータを受信しない時間が予め設定された時間継続すると、読取終了と判定する。その設定時間の間に、次の無線タグデータを受信した場合には、そのタグID(x)に関して上記タグID読取処理を実行する。
ST10にて無線タグの読取りを終了したと判定すると、制御部16は、ST11として更新指示がなされたか否かを判断する。入力部の操作入力、例えば更新ボタンの押下入力により更新指示がなされたことを検知した場合には(ST11のYES)、制御部16は、ST12として後述する位置情報更新処理を実行する。
この位置情報更新処理を実行後、若しくは、更新指示がなされなかった場合には(ST11のNO)、制御部16は、ST13及びST14として継続指示または終了指示がなされるのを待機する。入力部の操作入力、例えば継続ボタンの押下入力により継続指示がなされた場合には(ST13のYES)、制御部16は、ST15として読取位置を変更するか否かを判断する。入力部の操作入力、例えば再読取ボタンの押下入力により再読取りが指示された場合には(ST15のNO)、制御部16は、前記ST7の処理に進む。すなわち、読取位置バッファ33に記憶されている位置コードYを変更することなく、タグ問合せコマンドの送信処理を再度実行する。そして、タグID(x)を受信する毎に、タグID読取処理を実行する。
これに対し、入力部の操作入力、例えば変更ボタンの押下入力により読取位置の変更が指示された場合には(ST15のYES)、制御部16は、前記ST3の処理に進む。すなわち、入力部12を介して別の棚区画の位置コードYが入力されるのを待機する。そして、位置コードYが入力されたならば、ST4以降の処理を再度実行する。
一方、入力部の操作入力、例えば終了ボタンの押下入力により終了指示がなされた場合には(ST14のYES)、制御部16は、ST16として後述する位置情報確定処理を実行する。そして、この位置情報確定処理を実行したならば、制御部16は、ST17として表示部13から棚卸画面40を消去して、今回の処理を終了する。この処理終了に応じて、前記読取位置バッファ33及び指定外データバッファ34のデータはクリアされる。
図7は、前記位置情報更新処理の手順を具体的に示す流れ図である。すなわち制御部16は、この位置情報更新処理に入ると、ST31として指定外データバッファ34にデータ(タグID,基本位置情報,商品属性情報)が格納されているか否かを判断する。すなわち、今回の読取サイクルでタグIDが読み取られた無線タグの中で、基本位置情報に対して今回位置情報が異なる無線タグが存在するか否かを判断する(移動タグ検出手段)。データが格納されていない場合、すなわち該当する無線タグが存在しない場合には、制御部16は、今回の位置情報更新処理を終了する。
これに対し、指定外データバッファ34にデータが格納されていた場合、すなわち、基本位置情報に対して今回位置情報が異なる無線タグが存在する場合には、制御部16は、ST32としてこの無線タグの選択入力を受付けるためのタグID選択受付画面50を表示部13に表示させる(表示手段)。
タグID選択受付画面50の一例を図10に示す。図示するように、タグID選択受付画面50には、1からの連続する行番号に対応してタグIDエリアと商品情報エリアとが形成されている。そして、タグIDエリアには、読取指定外エリア43に表示されているタグIDの一覧が表示される。また、商品情報エリアには、そのタグIDに対応して指定外データバッファ34に記憶されている商品属性情報が表示される。この際、このタグIDに対応してタグ管理テーブル31に記憶されている商品画像を表示させてもよい。
タグID選択受付画面50を表示した後、制御部16は、ST33及びST34としていずれかのタグIDが選択されるか、更新終了が指示されるのを待機する(更新選択手段)。入力部12の操作入力によりいずれかの行番号sが入力されると、その行番号sに該当するタグID(s)が選択されたので(ST33のYES)、制御部16は、ST35としてこの選択されたタグID(s)に対応して位置管理テーブル32に記憶されている基本位置情報B(s)を、読取位置バッファ33に記憶されている位置コードYに書き換える(基本位置更新手段)。また、ST36としてこの選択されたタグID(s)に対応して位置管理テーブル32に記憶されている確定フラグを”1”にセットする。しかる後、ST37として指定外データバッファ34からこの選択されたタグID(s)とそれに対応する基本位置情報及び商品属性情報をクリアする。また、タグID選択受付画面50から、この選択されたタグID(s)とそれに対応する商品属性情報とを消去する。
次に、制御部16は、ST38として他に指定外データバッファ34にデータが記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合には(ST38のYES)、制御部16は、ST33の処理に進む。そして、次のタグIDが選択されるか、更新終了が指示されるのを待機する。次のタグIDが選択された場合には(ST33のYES)、制御部16は、ST35〜ST38の処理を再度実行する。
一方、例えば入力部12の終了ボタンの操作入力により更新終了が指示された場合(ST34のYES)、若しくは指定外データバッファ34のデータが全てクリアされた場合には(ST38のYES)、制御部16は、ST39としてタグID選択受付画面50を消去する。以上で、今回の位置情報更新処理を終了する。
図8は、前記位置情報確定処理の手順を具体的に示す流れ図である。すなわち制御部16は、この位置情報確定処理に入ると、ST41として位置管理テーブル32を検索して、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードを検出する(移動タグ検出手段)。ここで、該当するレコードが存在しない場合には(ST42のNO)、制御部16は、今回の位置情報確定処理を終了する。
これに対し、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードを検出した場合には(ST42のYES)、制御部16は、ST43として表示部13に未確定タグリスト画面60を表示させる(表示手段)。
この未確定タグリスト画面60の一例を図11に示す。図示するように、未確定タグリスト画面60には、1からの連続する行番号に対応してタグIDエリア、基本位置エリア及び読取位置エリアを有したリスト領域61と、商品情報表示領域62とが形成されている。そして、リスト領域61には、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードのタグID(n)、基本位置情報B(n)及び今回位置情報P(n)が順次表示される。
未確定タグリスト画面60を表示した後、制御部16は、ST44及びST45としていずれかのタグIDが選択されるか、処理終了が指示されるのを待機する。入力部12の操作入力によりリスト領域61のいずれかの行番号sが入力されると、その行番号sに対応するタグID(s)が選択されたので(ST44のYES)、制御部16は、ST46としてそのタグID(s)に対応する商品属性情報をタグ管理テーブル31から読出し、未確定タグリスト画面60の商品情報表示領域62に表示させる。また、この商品属性情報から色情報を取得し、この色情報に該当する色で、リスト領域61の当該タグID(s)が表示されている行を塗りつぶす。
この状態で、制御部16は、ST47乃至ST50として更新、変更、削除または取消のいずれかの指示がなされるのを待機する。そして、例えば入力部12の更新ボタンが操作入力された場合には更新指示がなされたので(ST47のYES)、制御部16は、ST51として位置管理テーブル32の選択されたタグID(s)に対応する基本位置情報B(s)を、そのタグID(s)に対応する今回位置情報P(s)に書き換える(基本位置更新手段)。また、ST52として位置管理テーブル32の当該タグID(s)に対応する確定フラグを“1”にセットする。しかる後、ST41の処理に戻って、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードの有無を判断する。
これに対し、例えば入力部12の変更ボタンが操作入力された場合には変更指示がなされたので(ST48のYES)、制御部16は、ST53として位置管理テーブル32の選択されたタグID(s)に対応する基本位置情報B(s)を、変更ボタンに続いて入力される位置コードに書き換える。また、ST54として位置管理テーブル32の当該タグID(s)に対応する確定フラグを“1”にセットする。しかる後、ST41の処理に戻って、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードの有無を判断する。
一方、例えば入力部12の削除ボタンが操作入力された場合には削除指示がなされたので(ST49のYES)、制御部16は、ST55として位置管理テーブル32から選択されたタグID(s)のレコードを削除する。しかる後、ST41の処理に戻って、確定フラグが未だ“1”にセットされていないレコードの有無を判断する。
また、例えば入力部12の取消ボタンが操作入力された場合には、選択されたタグID(s)に対する処理の取消指示がなされたので(ST50のYES)、制御部16は、何も処理することなくST41の処理に戻る。なお、ST41の処理に戻った時点において、未確定タグリスト画面60の商品情報表示領域62に表示されていた商品属性情報が消去される。また、この商品属性情報の色で塗りつぶされていたリスト領域61の行が元の色に戻される。
制御部16は、未確定タグリスト画面60の行番号sが入力される毎に(ST44のYES)、ST46〜ST55の処理を実行する。また、例えば入力部12の終了ボタンが操作入力されて終了指示がなされた場合には、未確定タグリスト画面60を消去して、今回の位置情報確定処理を終了する。
このように構成された本実施の形態の無線タグリーダ1を用いて棚卸業務を実施する場合、作業担当者は、無線タグリーダ1を棚卸モードに切り換える。そうすると、無線タグリーダ1の表示部13に棚卸画面40が表示されるので、作業担当者は、1つ目の棚卸対象である棚区画の位置コード、例えば「1111」を入力する。そうすると、この位置コード「1111」が読取位置バッファ33に記憶される。また、位置管理テーブル32が検索されて、基本位置情報が位置コード「1111」の無線タグが全て抽出され、該当する無線タグのタグIDが棚卸画面40における前回存在エリア42のタグID欄に表示される(図12を参照)。
図12の例は、基本位置情報が位置コード「1111」の無線タグとして、タグID「TAG001」,「TAG002」,「TAG004」,「TAG008」の4つが存在していた場合である。すなわち、前回の棚卸時には、位置コード「1111」の棚区画に、タグID「TAG001」,「TAG002」,「TAG004」,「TAG008」の無線タグがそれぞれ付された4品目が置かれていた場合である。
次に、作業担当者は、この位置コード「1111」の棚区画に無線タグリーダ1を近づける。そうすると、無線タグリーダ1のアンテナ20からタグ問合せコマンドの電波が放射される。そして、この電波に応答した無線タグのタグIDが無線タグリーダ1によって非接触で読み取られる。
無線タグのタグIDが読み取られる毎に、そのタグIDが位置管理テーブル32にまだ格納されていない新規のIDであるか否かが判断される。新規のIDであると判断された場合には、このタグIDが位置管理テーブル32のタグIDエリアに追加される。
一方、新規のIDでないと判断された場合には、位置管理テーブル32が検索されて、そのタグIDに対応して記憶されている確定フラグがチェックされる。そして、確定フラグが既に“1”にセットされていた場合には、そのタグIDに対して何も処理が実行されない。
これに対し、確定フラグが“0”にリセットされていた場合には、位置管理テーブル32の当該タグIDに対応する今回位置情報エリアに、読取位置バッファ33内の位置コード「1111」が書き込まれる。また、当該タグIDに対応する基本位置情報エリアの情報が位置コード「1111」であるか否かが判断される。そして、位置コード「1111」である場合には、棚卸画面40における前回存在エリア42の当該タグIDに対応する基本位置情報欄に、位置コード「1111」が表示される(図13を参照)。また、位置管理テーブル32の当該タグIDに対応する確定フラグが“1”にセットされる。
したがって、今回の棚卸モードが解除されるまでの間、このタグIDが無線タグリーダ1によって再度読み取られても、このタグIDに対する処理は実行されない。すなわち、このタグIDに対応する基本位置情報エリアの情報と今回位置情報エリアの情報は、いずれも位置コード「1111」に固定される。
一方、当該タグIDに対応する基本位置情報エリアの情報が位置コード「1111」でなかった場合には、棚卸画面40における読取指定外エリア43に、当該タグIDと基本位置情報エリアの情報とが表示される(図13を参照)。このとき、位置管理テーブル32の当該タグIDに対応する確定フラグは“0”にリセットされたままである。
図13の例は、基本位置情報が位置コード「1111」の4つの無線タグのうち、タグID「TAG001」,「TAG002」及び「TAG004」の3つが読み取られ、「TAG008」が読み取られなかった場合である。また、基本位置情報が位置コード「1122」の無線タグが有するタグID「TAG009」と、基本位置情報が位置コード「1121」の無線タグが有するタグID「TAG005」とが読み取られた場合である。
図13に示す棚卸画面40から、作業担当者は、タグID「TAG008」の無線タグが付された商品が、この棚コード「0001」の棚区画からなくなったと判断できる。また、タグID「TAG009」の無線タグが付された商品と、タグID「TAG005」の無線タグが付された商品は、この棚区画内に前回の棚卸時には存在しなかったが、今回の棚卸時には存在している可能性があると判断できる。この際、棚卸画面40上のタグID「TAG009」は、このタグID「TAG009」に対応してタグ管理テーブル31に記憶されている商品属性情報の色(図2のデータに従った場合は“青”)で表示される。同様に、棚卸画面40上のタグID「TAG005」は、このタグID「TAG005」に対応してタグ管理テーブル31に記憶されている商品属性情報の色(図2のデータに従った場合は“青”)で表示される。
そこで作業担当者は、入力部12の更新ボタンを操作入力して、位置情報更新処理を実行させる。そうすると、表示部13に図14に示すタグID選択受付画面50が表示されるので、この棚区画を調べる。そして、例えばタグID「TAG009」の無線タグが付された商品が実際にあり、この棚区画を当該商品の基本位置とする場合には、作業担当者は、タグID「TAG009」が表示された行番号「1」を入力する。そうすると、位置管理テーブル32の当該タグID「TAG009」に対応する基本位置情報が、今回の位置コード「1111」に更新される。これにより、次回の棚卸時には、このタグID「TAG009」の無線タグが付された商品は、位置コード「1111」の棚区画に置かれているものとして管理される。
一方、この棚区画にタグID「TAG005」の無線タグが付された商品が存在しなかった場合には、別の棚区画に置かれている商品の無線タグが読み取られたものと判断する。この場合、作業担当者は、格別な操作を必要としない。また、タグID「TAG008」の無線タグが付された商品が見つからない場合も、格別な操作をする必要はない。
なお、前述したように、棚卸画面40上のタグID「TAG009」及びタグID「TAG005」は、それぞれそのタグIDに対応してタグ管理テーブル31に記憶されている商品属性情報の色で表示される。したがって、その色の商品が該当する棚区画内にないことが明らかな場合には、上記位置情報更新処理を実行させる必要はない。
その後、作業担当者は継続ボタンを操作入力し、さらに変更ボタンを操作入力した後、2つ目の棚卸対象である棚区画の位置コード、例えば「1121」を入力する。そうすると、この位置コード「1121」が読取位置バッファ33に記憶される。また、位置管理テーブル32が検索されて、基本位置情報が位置コード「1121」の無線タグが全て抽出され、該当する無線タグのタグIDが棚卸画面40における前回存在エリア42のタグID欄に表示される(図15を参照)。
図15に示すように、位置コード「1111」が設定された棚区画の棚卸時にタグID「TAG005」が読み取られた無線タグは、基本位置情報が「1121」のまま更新されていないので、今回の棚卸時には前回存在エリア42のタグID欄にそのタグID「TAG005」が表示される。
次に、作業担当者は、この位置コード「1121」の棚区画に無線タグリーダ1を近づける。そうすると、無線タグリーダ1のアンテナ20からタグ問合せコマンドの電波が放射される。そして、この電波に応答した無線タグのタグIDが無線タグリーダ1によって非接触で読み取られる。
このとき、タグID「TAG005」が読み取られたとする。そうすると、位置管理テーブル32の当該タグID「TAG005」に対応する今回位置情報エリアに、読取位置バッファ33内の位置コード「1121」が書き込まれる。また、当該タグIDに対応する基本位置情報エリアの情報は位置コード「1121」であり、今回位置情報エリアの位置コードと一致するので、前回存在エリア42の当該タグIDに対応する基本位置情報欄に、位置コード「1121」が表示される。また、位置管理テーブル32の当該タグID「1121」に対応する確定フラグが“1”にセットされる。これにより、タグID「TAG005」の無線タグが付された商品は、位置コード「1121」の棚区画に置かれているものとして管理される。
こうして、棚卸対象の全ての棚区画について同様な作業を行ったならば、作業担当者は、継続ボタンでなく、終了ボタンを操作入力する。そうすると、表示部13に、確定フラグが”1”にセットされていないレコードのタグID,基本位置情報及び今回位置情報のリストが未確定タグリスト画面60として表示される。すなわち、配置位置が確定されなかった商品、つまり、前回の棚卸時とは異なる位置に置かれた商品(基本位置情報と今回位置情報とが異なるタグIDが付された商品)や、無くなった商品(基本位置情報のみで今回位置情報がないタグIDが付された商品)のデータが表示される。このとき、リストの各行は、その行に表示されているタグIDに対応してタグ管理テーブル31に記憶されている商品属性情報の色で塗りつぶされる。
そこで作業者は、リストの情報に従って、前回の棚卸時とは異なる位置に置かれた商品や無くなったとされる商品を探す。そして、該当する商品を見つけたならば、基本位置情報の修正を行う。すなわち、基本位置情報を今回位置情報に更新する場合には、そのタグIDを選択した後、更新ボタンを操作入力する。また、基本位置情報を今回位置情報とは異なる位置に設定する場合には、そのタグIDを選択した後、変更ボタンを操作入力し、さらに該当する位置コードを手入力する。一方、探しても見つからない商品については、そのタグIDを選択した後、削除ボタンを操作入力する。
こうすることにより、位置管理テーブル32には、今回の棚卸業務において無線タグが認識された商品毎に、その在処を特定する位置コードが基本位置情報として記憶保持される。
このように本実施の形態によれば、棚卸対象の棚区画以外の区画に置かれているはずの商品の無線タグを読み取ってしまった場合でも、その無線タグのタグIDは、指定外データとして当該棚区画に置かれているはずの商品の無線タグとは区別されて表示されるので、この指定外の商品が棚卸対象の棚区画に置かれているものとして自動的に管理されてしまうおそれは全くない。したがって、無線タグを利用して各商品の在処を精度よく管理できるようになる。
なお、前記実施の形態では、図5のST11として更新指示がなされた場合に、ST12の位置情報更新処理を実行するようにしたが、この時点で位置情報を更新しなくても、ST16の位置情報確定処理において更新することができるので、このST11及びST12の処理を省略しても良い。この場合、作業者は、取り敢えず全ての棚区画について棚卸を実行した後、指定外データとしてリストアップされた無線タグの商品を探すこととなる。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
1…無線タグリーダ、10…本体、11…通信インターフェイス、12…入力部、13…表示部、14…記憶部、15…無線回路部、16…制御部、20…アンテナ、31…タグ管理テーブル、32…位置管理テーブル、33…読取位置バッファ、34…指定外データバッファ、40…棚卸画面、50…タグID選択受付画面、60…未確定タグリスト画面。