JP2009119485A - 溶接形鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】いずれも鋼板からなるフランジ材1にウェブ材2の端部を垂直に押し当てたT字状継手部をレーザー溶接して溶接形鋼を製造する際、ウェブ材2の端部をフランジ材1に押圧しつつ、ウェブ材端部の接合部3にレーザー光4を照射する。
レーザー光4は、フランジ材1に対する傾斜角度αを30度以下にして照射することが好ましい。
この溶接方法は、フランジ材及びウェブ材として、Zn系めっき、好ましくはZnとAlを含む合金めっき、さらに好ましくはZnとAl及びMgを含む合金めっきが施されためっき鋼板を用いた溶接形鋼の製造に適用される。
【選択図】図3
Description
しかし、近年の住宅の高耐久化、低コスト化に対応し、形鋼を形作るウェブ材やフランジ材に表面処理鋼板、特にZnをめっき金属中に含んだZn系めっき鋼板を用い、連続的に高周波溶接で接合する方法で製造した溶接形鋼が用いられるようになっている。
さらに、被溶接形鋼に、サイズ的な制約が加わる。すなわち、高周波溶接では電極を材料表面に接触させる必要があるが、電極ホルダーがH形鋼のフランジ部に接触しやすくなるため、小型品の溶接は困難となる。W80mm×H80mm程度のサイズが限界となり、それ以下のサイズのH型鋼を高周波溶接法で製造することは困難である。
通常、溶接は材料がZn系めっき鋼板であるためにCO2溶接やMAG溶接といった消耗電極式、つまり溶接ワイヤーを用いたアーク溶接が適用されている。この方法であれば、電極損耗による交換作業がなくなり、設備投資も比較的低くすることができるメリットがある。
しかし、このような溶接が施されると、高周波溶接に比べて溶接速度が非常に遅く、生産性が低下する。さらに、加熱領域が広くなるために材料のめっき層が蒸発する損傷領域も広くなって溶接後の補修塗料の塗布量が多くなるという問題がある。また、2箇所のT字継手部を同時に溶接するため2台の溶接トーチを必要とするばかりでなく、反り等の変形を防止するために、溶接条件の細かな調整・管理が必要であり、管理項目や管理工程時間が増加する問題もある。
しかしながら、特許文献3,4で提案されたレーザー溶接法もステンレス鋼の溶接を目的としているために、めっき鋼板を素材とするときの問題点は全く考慮されていない。単に熱歪みによる変形を抑制し、溶接後の矯正を省こうとするに主眼が置かれているのみである。このため、Zn系めっき鋼板を素材としてH形鋼等の形鋼をレーザー溶接法により得ようとするとき、照射領域が広くなり、それに伴ってめっき層が蒸発する損傷領域も広くなって溶接後の補修塗料の塗布量が多くなるという問題は解消されない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、T字継手部を備えた溶接形鋼をレーザー溶接法で製造するに際に、溶接部に窪みがなく、接合強度の高い溶接形鋼を簡便な方法で製造することを目的とする。
なお、本発明では「ウェブ材の端部とフランジ材とを互いに押圧しつつ」を要件としているが、この要件は「固定したフランジ材にウェブ材の端部を、圧をかけて押し付ける」形態、「固定したウェブ材の端部にフランジ材を、圧をかけて押し付ける」形態、及び「フリーのフランジ材とフリーのウェブ材の端部を、互いに両方から圧をかけて近づける」形態を含むものである。
また、レーザー光は、フランジ材に対して30度以下の傾斜角度で、ウェブ材端部の接合部に照射することが好ましい。
この溶接方法により、2枚のフランジ材の間に1枚のウェブ材の両端をT字継手により接合した溶接H形鋼が製造される。
さらに、本発明では、フランジ材及びウェブ材として、Zn系めっき、好ましくはZnとAlを含む合金めっき、さらに好ましくはZnとAl及びMgを含む合金めっきが施されためっき鋼板を用いた溶接形鋼が製造される。
したがって、本発明により、めっき鋼板を素材とした形鋼であっても、最小限の溶接部補修のみで高強度、高耐食性を備えた溶接形鋼を低コストで製造することが可能となる。
レーザー溶接法では高出力のガスレーザーが使用される。このため、被接合金属が溶融されるのであるが、部分的に蒸発・飛散され、被溶接金属が僅かに減少する。また、被溶接金属同士は当接されているが、端面が面出し加工されていない場合には僅かに隙間があり、被溶接金属の減少と被溶接金属間の隙間の影響で接合金属が不足する。これらの現象に加え、溶接点にはシールドガスが噴きつけられていることから溶融池にはガス圧がかかり、また、重力の影響もあり、図2の(a)に見られるように、溶接継手部に窪みが形成されると想定される。
本発明は、ウェブ材を押圧することによりウェブ材自身を多く溶融させ、継手部における接合金属の不足を補おうとするものである。
通常通り、図3に示すように、フランジ材1とウェブ材2のT字継手部3にレーザートーチ5から傾斜角度α(このαについては後記する。)でレーザー4を照射する。本発明では、この際、ウェブ材2を図3中、矢印方向に押圧する。このため、ウェブ材2自身が通常よりも多く溶融され、押圧力により、溶融された接合金属が接合領域から僅かにはみ出すような形態となる。レーザー照射が終わり、溶融された接合金属が凝固した後には、図2の(b)に見られるように、窪みはなく、かえって断面積は大きくなり、結果的に接合強度は上昇する。
押圧量としては3〜5kNの押圧をかけて、0.3〜0.5mm程度押圧することが好ましい。
その他の手法としては図5に示すようなテーパーが設けられたスクイズブロック8によって押圧させる方法がある。しかしながら、この手法ではフランジ材がスクイズブロック8に摺動するため、フランジ部に擦り傷などが発生する可能性がある。
なお、レーザー光がフランジ表面に接触せず、ウェブの板厚方向の溶け込み深さを深くするためには、図3に示したようにレーザー光4の材料への照射位置、いわゆる狙い位置を、ウェブ2の端部からδで示す僅かな量で移動させた位置にすることが好ましい。また、溶接トーチとフランジの干渉を避けるために、長焦点のレーザー溶接が適している。
このため、本発明の溶接形鋼の製造方法、Zn系めっき鋼板、特にZn−Al系やZn−Al−Mg系のめっきを施した鋼板を素材とした形鋼の製造に好適に用いられる。
なお、この際、フランジ材の外面間の距離が80mmになるようにスクイズロールで押圧した。溶接は、被溶接フランジ材表面に対してレーザートーチ5を10度傾斜させて、片側のみから、被ウェブ材の幅方向全域に渡ってすみ肉溶接を実施した。溶接時のレーザー出力は4.0kW,溶接速度が4m/min,シールドガスをアルゴンとして20リットル/min供給した。
そして、製造したH形鋼の横断面を目視観察したところ、フランジ材とウェブ材の交差点の外側にはみ出すように、溶接ビードが僅かではあるが形成されていた。窪みは全く認められなかった。
7:引張用チャック 8:スクイズブロック
α:傾斜角度 δ:狙い位置
Claims (5)
- いずれも鋼板からなるフランジ材にウェブ材の端部を垂直に押し当てたT字状継手部をレーザー溶接して溶接形鋼を製造する際、ウェブ材の端部とフランジ材とを互いに押圧しつつ、ウェブ材端部の接合部にレーザー光を照射することを特徴とする溶接形鋼の製造方法。
- ウェブ材の端部をフランジ材に押圧する手段として、スクイズロールを用いる請求項1に記載の溶接形鋼の製造方法。
- フランジ材に対して30度以下の傾斜角度で、ウェブ材端部の接合部にレーザー光を照射する請求項1又は2に記載の溶接形鋼の製造方法。
- 溶接形鋼が、2枚のフランジ材の間に1枚のウェブ材の両端をT字継手により接合したH形鋼である請求項1〜3のいずれかに記載の溶接形鋼の製造方法。
- フランジ材及びウェブ材が、Zn系めっきが施されためっき鋼板である請求項1〜4のいずれかに記載の溶接形鋼の製造方法。
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