JP4337722B2 - 高エネルギ密度ビーム溶接品、高エネルギ密度ビーム溶接方法及び高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置 - Google Patents

高エネルギ密度ビーム溶接品、高エネルギ密度ビーム溶接方法及び高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置 Download PDF

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本発明は高エネルギ密度ビーム溶接品、高エネルギ密度ビーム溶接方法及び高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置に関する。本発明は、特に、レーザビーム等の高エネルギ密度ビームを用いて溶接した高エネルギ密度ビーム溶接品及び高エネルギ密度ビーム溶接方法に適用できる。
レーザビーム等の高エネルギ密度ビームで溶接して溶接品を形成する技術を例にとって背景技術について説明する。高エネルギ密度ビームによれば、単位面積当たりの投入エネルギが多いため、溶接強度を向上させるのに有利である。近年、図21及び図22に示すように、レーザビームを用いて複数の板体1X,2X同士を溶接して溶接品を形成することが行われている。この場合、図19に示すように、板体1X,2Xの合わせ面同士の境界に溶接凝固部5Xが形成される。溶接凝固部5Xは板体1X,2Xの表面で覆われており、外方から視認するには限界がある。
また特許文献1(特公平2−43590号公報)には、薄鋼板の縁部同士を突き合わせ状態として溶接するシーム溶接において、レーザビームを光ファイバーにより搬送し、レーザビームのスポット径を鋼板の厚みの2倍以上に、もしくは、鋼板の突き合わせ隙間の10倍以上のいずれかに設定すると共に、エネルギ密度をプラズマ発生限界より低くした状態で溶接を行う技術が開示されている。
また、特許文献2(特開昭62−101382号公報)には、プーリのフランジ部を溶接で接合する溶接方法において、プーリのフランジの外周面(最大径部)の電極を外側からあてがい、且つ、非導電性及び耐熱性をもつリング状をなすセラミックス製の押さえ板をプーリのフランジの外側に配置してフランジをこれの厚み方向に押さえ板で挟んだ状態で、電極に溶接電流を流し、ジュール熱でフランジを溶接する技術が開示されている。
特公平2−43590号公報 特開昭62−101382号公報
上記した背景技術によれば、板体1X,2Xの合わせ面同士の境界に溶接凝固部5Xが形成されている。そして溶接強度及びその信頼性を高めることがますます要請されている。しかしながら溶接凝固部5Xの溶け込み深さは、上記した要請を充分に満たすには限界がある。
また上記した特許文献1によれば、溶け込み不足となり易いため、溶接凝固部の強度の信頼性を高めるには限界がある。更に上記した特許文献2においても、溶け深さは浅いものであり、溶接凝固部の強度を高めるには限界がある。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、高エネルギ密度ビームの照射により形成される溶接凝固部の溶け込み深さを深くでき、溶接強度の信頼性を高めるのに有利な高エネルギ密度ビーム溶接品、高エネルギ密度ビーム溶接方法、高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置を提供することを課題とする。
第1様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接品は、数の板体の縁部をこれの厚み方向に重ね合わせた状態で、板体の縁部を高エネルギ密度ビームで溶融凝固させて形成された溶接凝固部により接合して構成された高エネルギ密度ビーム溶接品において、
溶接凝固部は、溶接凝固部の溶け込み深さ方向に沿って延設されていると共に外方に露出し且つ溶接凝固部となる溶融部分を保持する当接壁体の形状が転写された露出面を備えており、
板体の縁部を溶融凝固させて形成された溶接凝固部の溶け込み深さをHAミリメートルとし、一枚の前記板体の厚みをt1ミリメートルとしたとき、HA/t1=2〜20に設定されており、
前記溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比が大きく設定されていることを特徴とするものである。
溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比が大きく設定されており、溶接凝固部の強度を高めることができる。このような溶接品は、第2様相に係る溶接方法により製造することができる。
第2様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法は、複数の板体の縁部をこれの厚み方向に重ね合わせると共に、重ね合わせた板体の縁部の少なくとも片面側に当接壁体を当てがう工程、重ね合わせた板体の縁部を高エネルギ密度ビームで加熱して溶融させて溶融部分を形成し、溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成し、溶接凝固部を介して複数の板体を接合させる溶接工程とを実施し、上記した様相1に係る高エネルギ密度ビーム溶接品を形成することを特徴とするものである。
複数の板体の縁部同士を重ね合わせると共に、重ね合わせた複数の板体の縁部の厚み方向の少なくとも片面側に当接壁体を当てがう。その状態で、重ね合わせた板体の縁部を加熱して溶融部分を形成し、溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させて溶接凝固部を高エネルギ密度ビームで形成する。このように溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させるため、溶融深さを大きくすることができる。このため板体の縁部が溶融凝固されて形成された溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比を大きく設定することができる。このように溶接凝固部の溶け込み深さを大きくすることができるため、溶接凝固部の強度を高めることができ、更に、溶接凝固部の強度の信頼性を高めることができる。
第3様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置は、上記した様相1に係る高エネルギ密度ビーム溶接品の製造に用いられ、または、上記した様相2に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法の実施に用いられ、重ね合わせた複数の板体の縁部のうち少なくとも片面側に当てがわれる当接壁体をもつ溶接補助装置であって、
当接壁体は、高エネルギ密度ビームにより板体を溶融させた溶融部分を保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成する保持面を有しており、当接壁体の保持面は平坦状であることを特徴とするものである。このように板体の縁部が溶融されて形成された溶融部分は当接壁体により保持され、溶融部分の流出が抑制される。
第1様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接品によれば、通常では得られないほどに、板体の縁部を溶融凝固させて形成された溶接凝固部の溶け込み深さを大きくすることができ、溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比を大きく設定することができ、溶接凝固部の強度を高めることができ、更に、溶接凝固部の強度の信頼性を高めることができる。
第2様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法によれば、重ね合わせた板体の縁部を高エネルギ密度ビームで加熱して溶融部分を形成し、その溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させる。このため溶融部分の流出が抑制され、溶け込み深さを大きくすることができる。故に、板体の縁部が溶融凝固されて形成された溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比を、通常では得られないほどに大きく設定することができる。よって、溶接凝固部の強度を高めることができ、更に、溶接凝固部の強度の信頼性を高めることができる。
更に、板体の縁部が溶融された溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成することにしているため、入熱量を増加させたとしても、溶融部分の落下、ハンピングビードが抑制される。このように入熱量を増加させることができるため、溶接凝固部の強度を更に高めることができ、更に、溶接凝固部の強度の信頼性を更に高めることができる。ハンピングビードとは、溶融凝固部が厚みの不均等を発生させつつ曲走する不良欠陥をいう。
第3様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置は、第1様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接品の製造、または、第2様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法の実施に使用することができ、第2様相に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法で得られる効果を発現できる。
本発明によれば、板体の縁部が溶融凝固されて形成された溶接凝固部の溶け込み深さをHAミリメートルとし、一枚の板体の縁部の厚みをt1ミリメートルとしたとき、HA/t1=2〜20に設定されている。この結果、溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比を大きく設定することができる。本発明によれば、板体の縁部が溶融凝固されて形成された溶接凝固部の溶け込み深さを深くできるため、HA/t1としては、溶接品の種類に応じて設定できるものの、2以上とすることができ、2〜20の範囲,2〜19の範囲、2〜18の範囲、2〜15の範囲、2〜10の範囲、2〜8の範囲とすることができる。なお、HA/t1については、下限値としては2.0、2.2または2.5または3または4または5を例示できる。この下限値と組み合わせ得る上限値としては、20または15または10または8を例示できる。
板体の縁部が溶融凝固されて形成された溶接凝固部の厚み方向の幅をWとしたとき、W≧t1に設定されている形態を例示することができる。ここで、W=t1×2とすることができる。従って、W=(t1×2)×αとすることができる。α=0.85〜1.15、あるいは、0.95〜1.05とすることができる。
上記した高エネルギ密度ビーム溶接品は、金属を基材とする複数の板体の縁部を溶接で組み付けて構成されている。この溶接品は、好ましくは、複数の板体の縁部同士を重ね合わせると共に、加熱により溶接凝固部を介して複数の板体を接合されている。板体を構成する金属としては、加熱により溶融させて接合できるものであれば良く、鉄系でも良いし、非鉄系でも良い。鉄系としては軟鋼系でも良いし、場合によっては硬鋼系でも良いし、合金鋼系でも良い。合金鋼系としてはステンレス鋼系等を例示できる。ステンレス鋼系としては、フェライト系、オーステナイト系、場合によってはマルテンサイト系でも良い。溶接品が鉄系である場合には、炭素含有量は質量比で1.0%以下、0.8%以下、0.5%以下、0.3%以下とすることができ、さらに0.1%以下、0.05%以下とすることができる。なお、鉄系の場合には、過剰焼き入れを抑制するためには、炭素含有量を抑えることが好ましい。
加熱手段としては高エネルギ密度ビームを用いる。高エネルギ密度ビームとしては、レーザビームまたは電子ビームが挙げられる。レーザとしてはYAGレーザ、COレーザ、ルビーレーザ、Arレーザ、ガラスレーザが例示される。
溶接凝固部は外方に露出している。従って、溶接凝固部は、異なる方向に指向すると共に外方に露出する少なくとも2つの露出面を有していることが好ましい。従って溶接凝固部は、外方に露出すると共に第1板体の厚み方向の一方側に指向する第1露出面と、外方に露出すると共に第2板体の厚み方向の他方側に指向する第2露出面とを有する形態を例示することができる。この場合、第1露出面及び第2露出面の双方が外方に露出しているため、第1露出面及び第2露出面の双方から溶接凝固部の溶け込み深さを目視または撮像装置等で視認することができ、溶接凝固部の強度の信頼性を一層高めることができる。
好ましい形態によれば、第1板体の厚みをt1とし、第2板体の厚みをt2としたとき、溶接凝固部の第1露出面は、溶接凝固部の厚み方向において、第1板体の縁部の表面の延長線に対して内方または外方にt1/5(ミリメートル)以内に設定されており、かつ、溶接凝固部の第2露出面は、溶接凝固部の厚み方向において、第2板体の縁部の表面の延長線に対して内方または外方にt1/5(ミリメートル)以内に設定されている形態を例示することができる。
従って好ましい形態によれば、図4に示すように、溶接凝固部の第1露出面は第1板体の第1縁部の表面の延長線に沿って設定されていると共に、溶接凝固部の第2露出面は第2板体の第2縁部の表面の延長線に沿って設定されている形態を例示することができる。また、溶接凝固部の露出面は当接壁体等の治具により整形された跡を有する形態を例示することができる。
板体の縁部を溶融凝固させて形成された溶接凝固部は、複数の板体の縁部同士を接合している形態を例示することができる。この場合、縁部同士を効果的に接合できる。なお、複数の板体を接合させて容器としての溶接品を構成することができる。
また板体は第1板体と第2板体とを有しており、第1板体及び第2板体の縁部同士を溶融凝固部で接合して構成されている形態を採用することができる。この場合、溶接凝固部は、第1板体及び第2板体のうちのいずれか一方において外方に露出する露出面を有しており、且つ、溶接凝固部の露出面に対して反対側の部位では、第1板体及び第2板体のうちの他方が露出している形態を採用することができる。一般的には、他方は、第1板体及び第2板体のうち厚みが厚い側となる。この場合には、レーザビームの照射位置がずれたとき、あるいは、第1板体及び第2板体の厚みが不均等であるときに生じ易い。
また、上記した溶接方法の好ましい形態によれば、金属を基材とする複数の板体の縁部同士を重ね合わせると共に、重ね合わせた複数の板体の縁部の厚み方向の少なくとも片面側に当接壁体(治具に相当)を当てがう工程と、重ねた板体の縁部に高エネルギ密度ビームを照射して溶融させた溶融部分を形成し、溶融部分を当接壁体で保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成し、溶接凝固部を介して複数の板体の縁部同士を接合させる溶接工程とを実施する。当接壁体は板体の表面に加圧して接触させることができる。この場合、当接壁体と板体の表面との隙間が低減されたため、溶接凝固部となる溶融部分の漏れが抑制される。
本発明方法によれば、好ましくは、当接壁体は2個設けられており、重ね合わせた複数の前記板体の縁部を厚み方向に2個の当接壁体により挟持する形態を例示することができる。この場合、当接壁体は、板体の表面に接触するとともに溶融部分を保持する保持面を備えている形態を例示することができる。当接壁体の保持面に溶融部分が保持されるため、溶融部分の流出が抑制され、溶融部分の体積が確保され、溶接凝固部の強度の信頼性を高めることができる。
当接壁体の材質としては、金属系、セラミックス系が例示される。金属系としては、鋼系、非鉄系が例示される。鉄系としては炭素鋼系でも良いし、合金鋼系でも良い。合金鋼系としてはステンレス鋼系等を例示できる。非鉄系としては、溶融部分の温度を考慮して選択するが、銅または銅系合金、タングステンまたはタングステン合金、モリブデンまたはモリブデン合金、バナジウムまたはバナジウム合金、場合によってはアルミニウムまたはアルミニウム合金を例示できる。セラミックス系としては、アルミナ系、シリカ系、炭化珪素系、窒化珪素系、ジルコニア系が例示される。
本発明方法によれば、板体の縁部の端面は、当接壁体の先端面よりも板体側に退避している形態を例示することができる。また合わせた複数の板体の縁部の高さは同一平坦面である形態、または、段差を有する形態を例示することができる。
本発明方法によれば、当接壁体は、高エネルギ密度ビームを効率よく反射させ得る材質で形成されており、高エネルギ密度ビーム反射用案内面を備えている形態を例示することができる。この場合、高エネルギ密度ビームが高エネルギ密度ビーム反射用案内面で反射して板体の縁部に伝達される。更に、改質材を溶融前の板体又は溶融部分に供給する形態を例示することもできる。
本発明に係る高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置は、厚み方向に重ね合わせた複数の板体のうち少なくとも片面側に当てがわれる当接壁体をもつ。当接壁体は、高エネルギ密度ビームで板体を溶融させた溶融部分を保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成する保持面を有する。当接壁体の保持面は平坦状である形態を例示することができる。当接壁体は、合わせた複数の板体をこれの厚み方向において挟むように設けられ第1当接壁体と第2当接壁体とを備えている形態を例示することができる。
以下、本発明の実施例1について図1〜図4を参照して具体的に説明する。本実施例は縁継手構造に適用したものである。まず、図1に示すように、第1対象物である第1板体1の第1縁部11と、第2対象物である第2板体2の第2縁部21とを重ね合わせる。重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を当てがうとともに、第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側に第2当接壁体4を当てがう。第1板体1及び第2板体2は鉄系金属(例えば質量比で炭素含有量0.3%以下、特に0.1%以下)を基材とする。第1板体1の第1縁部11の厚みはt1として、第2板体2の第2縁部21の厚みはt2として示される。ここでt1=t2またはt1≒t2とされている。但し、t1<t2でも、t1>t2でも良い。
図1に示すように、第1当接壁体3及び第2当接壁体4は、第1板体1の第1縁部11及び第2板体2の第2縁部21を挟むように矢印A1方向に加圧されている。矢印A1方向は第1縁部11及び第2縁部21の厚み方向に相当する。第1当接壁体3は、第1板体1の第1縁部11の第1表面14に対面する第1保持面31を備えている。第1保持面31は、下方(矢印D方向:レーザビームの照射源から遠ざかる方向)に移行するにつれて、第1縁部11に接近するような傾斜状の拡開面31wを先端にもつ。
第2当接壁体4は、第2板体2の第2縁部21の第2表面24に対面する第2保持面41を備えている。第1保持面31及び第2保持面41は、溶融部分6を保持する凹状空間42を形成する。第2保持面41は、下方(矢印D方向:レーザビームの照射源から遠ざかる方向)に移行するにつれて、第2縁部21に接近するような傾斜状の拡開面41wを先端にもつ。なお、第1保持面31及び第2保持面41には、必要に応じて、後述する溶接ビード部5の離形性を高めるために、離形剤を塗布しておくこともできる。
図1に示すように、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の第1端面13及び第2板体2の第2縁部21の第2端面23は、第1当接壁体3の第1先端面33及び第2当接壁体4の第2先端面43よりも退避している。つまり、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の第1端面13及び第2板体2の第2縁部21の第2端面23の高さ位置は、第1当接壁体3の第1先端面33及び第2当接壁体4の第2先端面43の高さ位置よりも低く設定されている。これにより第1縁部11及び第2縁部21が溶融するとき、溶融部分6を外方に流出させず第1保持面31及び第2保持面41により保持するのに有利となり、後述する溶接ビード部5の体積及び強度を高めるのに有利である。
なお、図1に示すように、レーザビーム7の照射前において、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の第1端面13と第2板体2の第2縁部21の第2端面23とは、同一平坦面状とされている。これによりレーザビーム7を上方から照射させる照射均一性を高めることができ、溶接ビード部5を強度を高めるのに有利である。但し、第1端面13と第2端面23との間に段差が多少存在していても良い。
第1当接壁体3及び第2当接壁体4の材質は金属材料、具体的には、銅または銅系合金、あるいは、タングステンまたはタングステン合金とされている。金属材料は熱伝導性が良好であるため、溶融部分6を早期に凝固させるのに有利である。
そして、図1に示すように、第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を当てがうとともに、第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側に第2当接壁体4を当てがった状態で、加熱源である高エネルギ密度ビームとして機能するレーザビーム7(YAG)を上方から第1縁部11及び第2縁部21に照射し、溶融させる。この結果、高エネルギ密度ビームにより第1縁部11及び第2縁部21が溶融した溶融部分6を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で保持しつつ凝固させ、溶接凝固部として機能する溶接ビード部5を形成する。この場合、溶融部分6は、第1当接壁体3と第2当接壁体4との間において貯留されて凝固する。なお、レーザビーム溶接は、単位面積当たりの入熱量が大きいため急熱を引き起こし、また、冷却速度が速いため急冷を引き起こす。
上記したように第1縁部11及び第2縁部21が溶融凝固して形成された溶接ビード部5が形成されたら、図3に示すように、溶接ビード部5から第1当接壁体3を矢印A2方向に離間させるとともに、溶接ビード部5から第2当接壁体4を矢印A2方向に離間させる。矢印A2方向は第1板体1及び第2板体2の厚み方向に相当する。ここで、図3に示すように、溶接ビード部5は、外方に露出すると共に第1板体1の厚み方向の一方側に指向する第1露出面51と、外方に露出すると共に第2板体2の厚み方向の他方側に指向する第2露出面52と、第1露出面51及び第2露出面52に交差する第3露出面53とを有する。
第1露出面51及び第2露出面52は、溶接ビード部5の厚み方向において互いに逆方向に指向している。第1露出面51は第1当接壁体3の第1保持面31の転写により形成されたものであり、第1板体1の第1縁部11の第1表面14に沿った平坦状とされている。第2露出面52は第2当接壁体4の第2保持面41の転写により形成されたものであり、第2板体2の第2縁部21の第2表面24に沿った平坦状とされている。この結果、溶接ビード部5の最大厚みt4は、第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21との合計厚みt3に適合して設定されている。t4/t3は、溶接品の種類等に応じて適宜設定できるが、例えば0.9〜1.1程度、殊に0.95〜1.05程度、または1とすることができる。但しこれに限定されるものではない。なお、上記したように溶接ビード部5の第1露出面51及び第2露出面52は、第1保持面31及び第2保持面41の転写で形成されているため、第1保持面31及び第2保持面41の跡を有することがある。
本実施例によれば、図3及び図4に示すように、第1縁部11及び第2縁部21が溶融凝固して形成された溶接ビード部5の第1露出面51は第1板体1の第1縁部11の第1表面14の延長線上に設定されている。また、溶接凝固部5の第2露出面52は第2板体2の第2縁部21の第2表面24の延長線上に設定されている。換言すれば、第1板体1の厚みをt1とし、第2板体2の厚みをt2としたときには、溶接ビード部5の第1露出面51は、第1板体1の第1縁部11の第1表面14の延長線に対して厚み方向の内方または外方にt1/5(ミリメートル)以内に設定されている。また、第2露出面52は、第2板体2の第2縁部21の第2表面24の延長線に対して厚み方向の内方または外方にt2/5(ミリメートル)以内に設定されている。
本実施例によれば、第1縁部11及び第2縁部21が高エネルギ密度ビームにより溶融されて凝固されて形成された溶接ビード部5の溶け込み深さを深くできるため、溶接ビード部5の溶け込み深さをHAミリメートルとし、第1板体1の第1縁部11の厚みをt1ミリメートルとしたとき、HA/t1=4〜13の範囲、殊に4〜11の範囲、4〜8の範囲に設定することができる。従って、(溶接ビード部5の溶け込み深さ)/(第1板体1の厚み)の比が大きく設定されている。このように溶け込み深さを深くすることは、通常の溶接ではできない。
更に本実施例によれば、溶接ビード部5の厚み方向の幅をWとしたとき、W≧t1に設定されている。よってW=t1+t2、W≒t1+t2に設定されている。よってW/(t1+t2)=0.85〜1.15の範囲、殊に0.95〜1.05の範囲に設定されている。
上記のように溶け込み深さが深い溶接ビード部5は、第1板体1及び第2板体2の第1縁部11及び第2縁部21を強固に接合している。
以上説明したように本実施例によれば、レーザビーム7を第1縁部11及び第2縁部21に照射して溶融させて溶融部分6を形成し、更に、溶融部分6を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で保持しつつ凝固させて溶接ビード部5を形成することにしているため、溶接ビード部5の溶け込み深さを深くすることができる。従って、(溶接ビード部5の溶け込み深さ)/(第1板体1の厚み)の比を、通常では得られないほどに大きく設定することができる。このように溶接ビード部5の溶け込み深さを大きくすることができ、溶接ビード部5の強度を高めることができ、更に、溶接ビード部5の強度の信頼性を高めることができる。
上記したように溶接ビード部5の溶融深さを大きくすることができる理由としては、次の(i)(ii)ように推察される。
(i)レーザビーム7を用いた溶接によれば、材料が急熱されるため、第1縁部11及び第2縁部21を構成している材料が溶融し、更に蒸気化が進行するため、気相部分をもつと共にレーザビーム照射側が開口するキーホール6k(図2参照)が溶融部分6に生成され易い。レーザビーム7はキーホール6kを介して溶融部分6の深くまで到達できるため、溶融深さを深くできる。
(ii)レーザビーム7で溶融した溶融部分6は、第1当接壁体3及び第2当接壁体4により外方に流出することが抑制されている。この意味においても溶け込みを深くできる。もし溶融部分6が流出してしまえば、必然的に溶け込み深さが浅くなる。
更に本実施例によれば、レーザビーム溶接の際に入熱量を増加させたとしても、溶融部分の流出、ハンピングビードが抑制され、良好な溶接ビード部5を得ることができる。このため入熱量を増加させることができ、溶け込み深さを更に深くすることができる。
本実施例によれば、溶接ビード部5の第1露出面51及び第2露出面52は外方に露出しているため、溶接ビード部5の溶け込み深さを外方から目視または撮像装置等で視認し易い。このため溶接ビード部5の強度の信頼性を高めることができる。また第1板体1及び第2板体2は炭素含有量が抑制されているため、レーザビーム7を照射したとしても、過剰焼き入れによるクラック生成を抑制することができる。
更に本実施例によれば、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21とレーザビーム7を照射して溶融部分6を形成し、更に、溶融部分6を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で保持しつつ凝固させて溶接ビード部5を形成する。このため溶融部分6の流出を抑制でき、溶融部分6の体積を確保することができる。ひいては溶接ビード部5の体積を確保でき、溶接ビード部5の強度を高めることができ、溶接ビード部5の強度の信頼性を高めることができる。
さらに本実施例によれば、レーザビーム7で溶融した溶融部分6を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で隠蔽しつつ、すなわち、溶融部分6と外気との接触を抑えつつ溶融部分6の生成および凝固を行うことができる。このため溶接ビード部5と外気との反応が制限され、溶接ビード部5の酸化が抑制され、酸化による劣化を抑制するのに有利となる。
更に図4に示すように、溶接ビード部5の厚みt4を、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21との合計厚みt3を同程度に設定することができる。このため溶接ビード部5の外観見かけを良好にすることができる。
(試験例)
図5は実施例1に係る試験例の溶接品の断面の写真を示す。溶接条件としては、レーザをYAGレーザとし、レーザ出力を4.5kWとし、ビーム集光径を0.6ミリメートルとし、第1板体1及び第2板体2の材質をステンレス鋼とし、第1板体1の厚みを0.6ミリメートル、第2板体2の厚みを0.6ミリメートルとし、溶接速度を3メートル/分とし、第1当接壁体3及び第2当接壁体4の材質を銅合金とした。本試験例によれば、HAは3.8ミリメートルとされている。従ってHA/t1=3.8ミリメートル/0.6ミリメートル≒6.3に設定されている。
このように試験例によれば、(溶接ビード部5の溶け込み深さ)/(第1板体の厚み)の比を大きく設定することができる。また、溶接ビード部5の厚み方向の幅をWとしたとき、Wは1.2ミリメートル程度とされているため、W≧t1であり、W=t1×2とすることができる。従って、W=(t1×2)×αであり、α=1とされている。図5の写真から理解できるように、溶接ビード部の第1露出面は外方に露出しつつ、第1板体の第1縁部の第1表面のほぼ延長線上に設定されている。また溶接ビード部の第2露出面は外方に露出しつつ、第2板体の第2縁部の第2表面のほぼ延長線上に設定されている。
また、図6は従来の溶接品の断面の写真を示す。図6に示す従来品によれば、溶接ビード部は、外方に露出しておらず、第1板体及び第2板体の内部に隠蔽されている。このような従来の溶接ビード部では深い溶け込み深さが得られない。更に溶け込み深さを第1板体及び第2板体の外方から視認できない。
図7及び図8は実施例2を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。金属を基材とする第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21とを重ね合わせる。重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を当てがうとともに、第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側には第2当接壁体4を当てがう。第1当接壁体3の第1保持面31は凹凸面31sを有する。第2当接壁体4の第2保持面41は凹凸面41sを有する。凹凸面31s,41sは、溶接ビード部5の第1露出面51及び第2露出面52に転写されるため、第1縁部11及び第2縁部21が溶融凝固して形成された溶接ビード部5にも適度な凹凸5sが形成される。
レーザビーム7で溶接した溶接ビード部5は塗装密着性が良好でないことが往々にしてある。しかし溶接ビード部5に適度な凹凸5sを形成すれば、塗膜密着性を高めることができる。なお、第1保持面31及び第2保持面41のうちの一方のみに、凹凸面を形成することにしても良い。
図9は実施例3を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。金属を基材とする第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21とを重ね合わせる。重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を当てがうと共に、第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側には第2当接壁体4を当てがう。重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の第1端面13の高さよりも、第2板体2の第2縁部21の第2端面23の高さが寸法h6ぶん高く設定されている。本実施例では、寸法h6の影響を回避できる程、溶かすことができ、不均等な段差にも対応することができる。更に、第1板体1と第2板体2とで組成が異なるときに、第2板体2を構成する合金成分を必要に応じて増加させることができる。
図10は実施例4を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1当接壁体3及び第2当接壁体4には、冷却水、冷却ガス等の冷却媒体が通過できる冷却通路100が形成されている。この場合、第1当接壁体3及び第2当接壁体4の耐熱性を高めることができる。更に溶融部分の冷却速度も調整することができる。
図11は実施例5を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1当接壁体3のうち第1保持面31に背向する部分には、第1板体1と逆方向に膨出する第1膨出部34が形成されており、肉厚が確保されている。第2当接壁体4のうち第2保持面41に背向する部分には、第2板体2と逆方向に膨出する第2膨出部44が形成されており、肉厚が確保されている。第1膨出部34及び第2膨出部44により第1当接壁体3及び第2当接壁体4の強度が確保される。更に、第1膨出部の膨出量K1及び第2膨出部の膨出量K2を調整すれば、第1当接壁体3及び第2当接壁体4の冷却速度を調整することもできる。
図12は実施例6を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1当接壁体3は熱伝導性が良好な銅または銅合金等の金属製とされている。第2当接壁体4はセラミックスを基材とする。従って、第1当接壁体3の熱伝導率が相対的に高く、第2当接壁体4の熱伝導率が相対的に低い。つまり、第1当接壁体3と第2当接壁体4とで熱伝導率が異なる。従って第1当接壁体3で凝固速度を相対的に速くでき、第2当接壁体4で凝固速度を相対的に遅くでき、溶接ビード部の指向性凝固も期待することができる。
図13は実施例7を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1当接壁体3及び第2当接壁体4にはヒータ35,45が設けられている。従って、レーザビームで溶けた溶融部分の冷却速度をヒータ35,45により調整することができる。この場合、第1板体1及び第2板体2がクラックを生じさせ易い材質であるとき、第1縁部11及び第2縁部21が溶融して形成された溶融部分6の冷却速度を調整することによりクラックを抑制させるのに有利である。
図14は実施例8を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。図14に示すように、金属を基材とする第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21と第3板体9の第3縁部91とを重ね合わせる。第3板体9の第3縁部91は、第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21との間に配置されている。そして、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を加圧して当てがう。第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側には第2当接壁体4を加圧して当てがう。そしてレーザビーム7を上方から照射し、第1縁部11、第2縁部21及び第3縁部91を溶融させる。この結果、第1縁部11及び第2縁部21が溶融した溶融部分を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で保持しつつ凝固させ、溶接ビード部を形成する。
図15は実施例9を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。金属を基材とする第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21とを重ね合わせる。第1縁部11と第2縁部21との間には微小な粒状の中間物110が介在されている。そして、重ね合わせた第1板体1の第1縁部11の厚み方向の片面側に第1当接壁体3を矢印A1方向に加圧して当てがうと共に、第2板体2の第2縁部21の厚み方向の片面側には第2当接壁体4を矢印A1方向に加圧して当てがう。そしてレーザビーム7を上方から照射し、第1縁部11及び第2縁部21を溶融させる。この結果、溶融部分を第1当接壁体3及び第2当接壁体4で保持しつつ凝固させ、溶接ビード部を形成する。第1縁部11と第2縁部21との間には中間物110が介在されているため、第1縁部11と第2縁部21との間に微小隙間101が形成され、この微小隙間101に溶融部分が浸透し、浸透した状態で凝固し、浸透凝固部102が溶接ビード部と一体的に形成される。このため浸透凝固部102により第1板体1と第2板体2との接合面積が確保され、第1板体1と第2板体2との強度を確保するのに有利となる。
図16は実施例10を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1当接壁体3及び第2当接壁体4は、レーザビーム7を効率よく反射させ得る材質で形成されており、レーザビーム反射用案内面3p,4pを備えている。レーザビーム7がレーザビーム反射用案内面3p,4pで反射し、第1縁部11及び第2縁部12に効率よく伝達される。このためレーザビーム狙い位置の余裕度が向上するため、レーザビームの目標位置精度を過剰に高精度に設定せずとも良い。また第1板体1の第1端面13と第2板体2の第2端面23との間において相対的段差が発生しているときであっても、その相対的段差に対する余裕度を向上させることができる。
図17は実施例11を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。粉末状の改質材150を第1当接壁体3と第2当接壁体4との間に供給することにより、改質材150を溶融部分に供給するため、溶接ビード部5を改質することができる。改質とは、硬度増加、耐クラック性改善、靱性増加のうちの少なくとも一つを目的とする。改質材150は、クロム、ニッケル、マンガン、シリコン、モリブデン、シリコン、タングステン、バナジウム、銅、亜鉛、チタン、スズ、アルミニウム、鉛などの合金元素を含む合金化材を例示できる。改質材150としては粉末状、微粒子状を例示できる。レーザビームの照射前に、第1板体1及び第2板体2に装入しても良いし、あるいは、溶融部分に装入しても良い。
図18は実施例12を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1板体1の第1縁部11と第2板体2の第2縁部21とをレーザビームで溶接することにより、中空室901を有する金属製の容器900を形成する。第1縁部11及び第2縁部21は縦方向に沿っている。他の実施例についても、中空室を有する容器の製造に適用しても良い。
図19及び図20は実施例13を示す。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。以下、異なる部分を中心として説明する。第1板体1の第1縁部11の厚みt1よりも、第2板体2の厚みt2は厚肉化されている。第1縁部11及び第2縁部21が溶融凝固して毛伊勢された溶接ビード部5の溶け込み深さ方向に延設されている第1露出面51は、第1板体1において外方に露出している。しかし図20に示すように、溶接ビード部5の第1露出面51に対して反対側の部位では、第2板体2の表面24が露出している。溶接ビード部5のうち溶け込み深さ方向に延設されている第1露出面51は外方に露出しているため、溶接ビード部5の溶け込み深さを外方から目視または撮像装置等で視認し易い。このため溶接ビード部5の強度の信頼性を高めることができる。本実施例においても、溶接ビード部5の溶け込み深さ/板体の厚みの比が大きく設定されている。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
本発明は高エネルギ密度ビーム溶接品、高エネルギ密度ビーム溶接方法及び高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置に利用できる。本発明は、特に、レーザビーム等の高エネルギ密度ビームを用いて溶接した高エネルギ密度ビーム溶接品及び高エネルギ密度ビーム溶接方法に利用できる。
第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態でレーザビームを照射する状態を示す構成図である。 第1当接壁体及び第2当接壁体間で溶融部分を凝固させた溶接ビード部を形成した状態を示す構成図である。 第1当接壁体及び第2当接壁体を溶接ビード部から離間させた状態を示す構成図である。 溶接ビード部を示す構成図である。 試験例に示す溶接ビード部の断面写真である。 従来例に示す溶接ビード部の断面写真である。 実施例2に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例2に係り、溶接ビード部を示す構成図である。 実施例3に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例4に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例5に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例6に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例7に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例8に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例9に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例10に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接し、且つ、レーザビームを照射している状態を示す構成図である。 実施例11に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接し、且つ、改質材を添加している状態を示す構成図である。 実施例12に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態を示す構成図である。 実施例13に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共に第1当接壁体及び第2当接壁体を当接した状態でレーザビームを照射する状態を示す構成図である。 実施例13に係り、第1当接壁体及び第2当接壁体間で溶融部分を凝固させた溶接ビード部を形成した状態を示す構成図である。 従来例に係り、第1板体及び第2板体を重ね合わせると共にレーザビームを照射している状態を示す構成図である。 従来例に係り、溶接ビード部を形成している状態を示す構成図である。
符号の説明
図中、1は第1板体、11は第1縁部、2は第2板体、21は第2縁部、3は第1当接壁体、31は第1保持面、4は第2当接壁体、41は第2保持面、5は溶接ビード部(溶接凝固部)、6は溶融部分、7はレーザビーム(高エネルギ密度ビーム)を示す。

Claims (22)

  1. 数の板体の縁部をこれの厚み方向に重ね合わせた状態で、前記板体の前記縁部を高エネルギ密度ビームで溶融凝固させて形成された溶接凝固部により接合して構成された高エネルギ密度ビーム溶接品において、
    前記溶接凝固部は、前記溶接凝固部の溶け込み深さ方向に沿って延設されていると共に外方に露出し且つ前記溶接凝固部となる溶融部分を保持する当接壁体の形状が転写された露出面を備えており、
    前記板体の前記縁部を溶融凝固させて形成された前記溶接凝固部の溶け込み深さをHAミリメートルとし、一枚の前記板体の厚みをt1ミリメートルとしたとき、HA/t1=2〜20に設定されており、
    前記溶接凝固部の溶け込み深さ/板体の厚みの比が大きく設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  2. 請求項1において、前記溶接凝固部の厚み方向の幅をWとしたとき、W≧t1に設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  3. 請求項1において、前記溶接凝固部の厚み方向の幅をWとしたとき、W=(t1×2)×αの関係に設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。ここで、α=0.85〜1.15である。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか一項において、前記溶接凝固部は、異なる方向に指向すると共に外方に露出する少なくとも2つの前記露出面を有していることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記板体は、第1縁部を有する第1板体と、第2縁部を有する第2板体とで構成されており、
    前記溶接品は、前記第1板体の前記第1縁部及び前記第2板体の前記第2縁部同士を高エネルギ密度ビームで溶融凝固させて形成された前記溶接凝固部により前記第1縁部および第2縁部同士を接合して構成されており、
    前記溶接凝固部の前記露出面は、前記第1板体の厚み方向の一方側に指向する第1露出面と、外方に露出すると共に前記第2板体の厚み方向の他方側に指向する第2露出面とを有することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  6. 請求項5において、前記溶接凝固部の前記第1露出面は前記第1板体の第1縁部の表面の延長線上に沿って設定されていると共に、前記溶接凝固部の前記第2露出面は前記第2板体の第2縁部の表面の延長線上に沿って設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  7. 請求項1〜4のうちのいずれか一項において、前記板体は第1板体と第2板体とを有しており、前記第1板体の第1縁部及び前記第2板体の第2縁部同士を高エネルギ密度ビームで溶融凝固させて形成された前記溶融凝固部で前記第1縁部および第2縁部同士を接合して構成されており、
    前記溶接凝固部は、前記第1板体及び前記第2板体のうちのいずれか一方において外方に露出する前記露出面を有しており、且つ、前記溶接凝固部の前記露出面に対して反対側の部位では、前記第1板体及び前記第2板体のうちの他方が露出していることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  8. 請求項5または6において、前記第1板体の厚みをt1とし、前記第2板体の厚みをt2としたときは、前記溶接凝固部の前記第1露出面は、前記溶接凝固部の厚み方向において、前記第1板体の縁部の表面の延長線に対して内方または外方にt1/5(ミリメートル)以内に設定されていると共に、
    前記溶接凝固部の前記第2露出面は、前記溶接凝固部の厚み方向において、前記第2板体の縁部の表面の延長線に対して内方または外方にt2/5(ミリメートル)以内に設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  9. 請求項1〜8のうちのいずれか一項において、前記溶接凝固部の前記露出面は治具により整形された跡を有することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  10. 請求項1〜9のうちのいずれか一項において、前記板体は鉄系または非鉄系で形成されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  11. 請求項1〜10のうちのいずれか一項において、容器に用いられることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接品。
  12. 複数の板体の縁部をこれの厚み方向に重ね合わせると共に、重ね合わせた前記板体の前記縁部の少なくとも片面側に当接壁体を当てがう工程、
    重ね合わせた前記板体の前記縁部を高エネルギ密度ビームで加熱して溶融させて溶融部分を形成し、前記溶融部分を前記当接壁体で保持しつつ凝固させて溶接凝固部を形成し、前記溶接凝固部を介して複数の前記板体を接合させる溶接工程とを実施し、
    請求項1〜11のうちのいずれか一項に係る高エネルギ密度ビーム溶接品を形成することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  13. 請求項12において、前記当接壁体は2個設けられており、重ね合わせた複数の前記板体同士を厚み方向において2個の前記当接壁体により挟持することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  14. 請求項12または13において、前記当接壁体は、前記板体の表面に接触するとともに溶融部分を保持する保持面を備えていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  15. 請求項12〜14のうちのいずれか一項において、重ね合わせた複数の前記板体の前記縁部の端面の位置は、前記当接壁体の先端面の位置よりも前記板体側に退避するように設定されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  16. 請求項12〜15のうちのいずれか一項において、重ね合わせた複数の前記板体の前記縁部の高さは、同一または段差を有することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  17. 請求項12〜16のうちのいずれか一項において、前記当接壁体は、前記高エネルギ密度ビームを反射させ得る材質で形成されており、高エネルギ密度ビーム反射用案内面を備えており、前記高エネルギ密度ビームが前記高エネルギ密度ビーム反射用案内面で反射して前記板体に伝達されることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  18. 請求項12〜17のうちのいずれか一項において、改質材を溶融前の前記板体または前記溶融部分に供給することを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接方法。
  19. 請求項1〜11に係る高エネルギ密度ビーム溶接品の製造に用いられ、重ね合わせた複数の前記板体の縁部のうち少なくとも片面側に当てがわれる当接壁体をもつ溶接補助装置であって、
    前記当接壁体は、高エネルギ密度ビームにより前記板体を溶融させた溶融部分を保持しつつ凝固させて前記溶接凝固部を形成する保持面を有しており、前記当接壁体の保持面は平坦状であることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置。
  20. 請求項12〜18のうちの一項に係る高エネルギ密度ビーム溶接方法の実施に用いられ、重ね合わせた複数の前記板体の縁部のうち少なくとも片面側に当てがわれる当接壁体をもつ溶接補助装置であって、
    前記当接壁体は、高エネルギ密度ビームで溶融させた前記板体の溶融部分を保持しつつ凝固させて前記溶接凝固部を形成する保持面を有しており、前記当接壁体の保持面は平坦状であることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置。
  21. 請求項19または20において、前記当接壁体は、合わせた複数の前記板体をこれの厚み方向において挟むように設けられ第1当接壁体と第2当接壁体とを備えていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置。
  22. 請求項19〜21のうちの一項において、前記当接壁体は、金属またはセラミックスで形成されていることを特徴とする高エネルギ密度ビーム溶接用溶接補助装置。
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