JP7095828B1 - レーザーブレージング接合方法 - Google Patents

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Abstract

鋼板とアルミニウム系板材から構成されるフレア継手または重ね継手をろう付けして作製する方法において、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱し、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融してろう付けするに際して、上記フィラーワイヤを、フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線に対して、または、重ね継手の下板面に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて送給することで、ビード外観不良がなく、十分な継手強度を有する鋼板とアルミニウム系板材とからなるフレア継手または重ね継手を作製する。

Description

本発明は、鋼板とアルミニウム系の板材とを、レーザービームを照射してろう付けするレーザーブレージング接合方法に関し、具体的には、鋼板とアルミニウム系板材との会合部に、通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤ(ろう材)を送給し、該ろう材にレーザービームを照射して溶融することでフレア継手または重ね継手を作製するレーザーブレージング接合方法に関するものである。
近年、自動車車体の軽量化を目的として、車体パネルの一部にアルミニウム系材料の適用が進められている。アルミニウム系材料を部分的に用いる場合には、必然的に他の部材、例えば鋼板製の部材との接合が必要となる。しかし、鋼とアルミニウム系材料を溶融接合する場合、鉄-アルミニウム系の脆い金属間化合物が生成されて接合強度が低下するなどの問題が起こる。そこで、鋼とアルミニウム系材料との間に溶加材(ろう材)を供給し、該ろう材にレーザービームを照射し、加熱溶融してろう付(ブレージング)するいわゆるレーザーブレージング接合方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、ろう材を溶融する熱源として、入熱量を細かく制御することが可能なレーザービーム用い、該レーザービームを加工点(接合点)に照射し、該加工点にフィラーワイヤを供給する際、溶融したワイヤとワーク(母材)とのぬれ長さが所定量以上となり、かつ、外観部分に盛り上がりなどが発生しないようにワイヤ供給量を制御することによって継手強度を確保するレーザーブレージング方法が開示されている。
また、特許文献2には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とアルミニウム系板材とを、接合方向に配置した先後1対のレーザービームで重ね隅肉接合するレーザーブレージング接合方法において、レーザーブレージングに先行して、先のレーザービームを亜鉛めっき鋼板の接合部位に照射してめっき層を除去し、その直後に後のレーザービームを上記めっき層を除去した部分に照射し、該部分に供給したろう材を溶融することで、必要十分な接合強度を得るレーザーブレージング法が開示されている。
また、特許文献3には、鋼板とアルミニウム系板材とのレーザービーム接合方法において、加工点の進行方向の前側に位置する先行ビームと、進行方向の後ろ側に位置する後行ビームとを用い、上記先行ビームをアルミニウム系材料部分への単位面積当たりの入熱量が鋼板の単位面積当たりの入熱量よりも大きくなるように照射して予熱を行い、その後、後行ビームをろう材に照射して溶融することで、接合部の外観不良を抑制するレーザービーム接合方法が開示されている。
また、非特許文献1には、通電加熱したフラックスコアードワイヤ(FCW)を先頭にし、その後方に二つの高出力半導体レーザ照射装置を配置し、そのうちの先行レーザービームの照射領域はワイヤ先端部の安定した溶融・開口を目的として矩形スポットとし、後行レーザービームの照射領域は溶融池の安定形成およびワイヤの安定溶融を目的として丸形スポットとし、両スポットを図5に示したように組み合わせて照射する鋼/アルミニウム異材接合技術が開示されている。因みに、この方法では、溶融亜鉛めっき(GI)鋼板、合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板およびめっき層を有しない冷延鋼板(CR)の3種類の鋼板とA5052Al合金板とを、レーザ出力5kWでは施工速度9m/minまで、レーザ出力4kWでは施工速度6m/minまで、欠陥の発生なく接合ができるとしている。
特開2003-225784号公報 特開2007-075872号公報 特開2013-146737号公報
高野、山本、篠崎、沖田、澤西、松田、「ホットワイヤ・レーザブレージング法による鋼/アルミニウム合金異材フレア継手の高速施工の検討-ホットワイヤ・レーザブレージング法を用いた鋼/アルミニウム合金異材接合技術の開発(第6報)-」、溶接学会全国大会概要集、第107集(2020-9)、G-1-4
しかしながら、上記特許文献1に開示のレーザーブレージング方法は、接合に用いるレーザービームは1本のみである。そのため、外観に優れたろう付けビードを形成するには、1本のレーザービームでフィラーワイヤを溶融し、さらに、溶融したワイヤを母材に馴染ませることが必要とある。しかし、溶融したフィラーワイヤと母材との濡れ性は、母材の加熱状態に大きく影響されるため、レーザービームの照射位置や焦点位置を厳格に調整する必要があり、特に高速接合を行う場合には、良好な継手外観と必要な継手強度とを両立させるのは難しいという問題がある。
また、上記特許文献2に開示のレーザーブレージング接合方法は、先行レーザービームで鋼板の亜鉛めっき層を除去した後、後行レーザービームでフィラーワイヤを溶融させてろう付けを行う技術であるが、この方法では、先行のレーザービームでめっき層を除去する幅をろう付けする幅よりも広くする必要がある。しかし、広範囲を照射するためにレーザービームをデフォーカスすると、照射するレーザービームのエネルギを高めることが必要となり、高速接合が難しくなるという問題がある。
また、特許文献3に開示のレーザーブレージング接合方法は、ビードの外観不良を抑制できるものの、フィラーワイヤの溶融を後行のレーザービームのみで行うため、溶融したフィラーワイヤと母材の濡れ性が不十分で、かつ、フィラーワイヤを突合せ部の深い位置まで供給できないようなときには、必要な濡れ長さを十分に確保できず、高い継手強度が得られない虞があるという問題がある。
また、非特許文献1に開示のレーザーブレージング接合方法は、高速接合が可能ではあるものの、図5に示したように、レーザービームを上部から照射する構成上、フィラーワイヤの送給方向が制限されてフィラーワイヤの送給角度θが小さくなるため、ワイヤ金属を効率的に材料間(突合せ部)に投入するには、フィラーワイヤの通電加熱温度を高める必要がある。加えて、材料とワイヤを重ね、その上からレーザービームを照射する構成上、レーザによる入熱の一部はワイヤの加熱に充てられるため、ワイヤを十分な温度に加熱するには高出力のレーザが必要となるという問題もある。
本発明は、従来技術が抱える上記の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的は、鋼板とアルミニウム系板材とから構成される接合強度に優れたフレア継手または重ね継手を、ビード外観不良を引き起こすことなく作製することができるレーザーブレージング接合方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく、上述した非特許文献1に開示されたフレア継手の接合方法に着目して検討を重ねた。その結果、上記方法は、接合部へのフィラーワイヤの送給角度θが小さい場合には、フィラーワイヤをフレア継手の部材間(突合せ部)に効率的に送給するには限界があると考え、この問題を解消する手段についてさらに検討を重ねた。その結果、ワイヤの送給角度を、非特許文献1とは異なり、接合方向に対してほぼ垂直とすることを想到するに至った。これにより、フィラーワイヤを突合せ部に効率的に挿入でき、高速施工が可能となるとともに、レーザービーム照射位置の制限緩和も期待される。しかし、その一方で、フィラーワイヤの送給角度を大きくし、接合方向にほぼ垂直とした場合には、溶融金属が球状化して、ビードの外観が損なわれ、場合によっては接合欠陥となる虞があることが明らかとなった。
そこで、発明者らは、フィラーワイヤを接合部にほぼ垂直に供給する場合であっても、接合欠陥を引き起こすことなく接合部を安定して形成することができる条件についてさらに検討を重ねた。その結果、上記フィラーワイヤを、フレア継手においてはフレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて供給することが有効であることを見出した。さらに、単純な重ね継手についても検討を行い、フレア継手と同様、重ね継手の下板面に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて供給することが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記知見に基づく本発明は、鋼板とアルミニウム系板材から構成されるフレア継手の接合方法において、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱し、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融してろう付けする際、上記フィラーワイヤを、フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて送給することを特徴とするレーザーブレージング接合方法を提案する。
また、本発明は、鋼板とアルミニウム系板材から構成される重ね継手の接合方法において、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱し、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融してろう付けする際、上記フィラーワイヤを、重ね継手の下板面に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて送給することを特徴とするレーザーブレージング接合方法を提案する。
本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記先行レーザービームの照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの後行側端との間の距離Lを、フィラーワイヤの径をdとしたとき、下記(1)式;
0≦L≦4×d ・・・(1)
を満たす範囲とすることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記先行レーザービームの照射範囲の接合方向に直角な方向の幅Wを、鋼板とアルミニウム系板材の板厚の和をTとしたとき、下記(2)式;
0.5×T≦W≦3×T ・・・(2)
を満たす範囲とすることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記先行レーザービームの照射範囲を矩形とし、かつ、レーザービームの照射範囲の接合方向長さAを、上記照射範囲の幅Wとの関係において、下記(3)式;
W≦A≦10×W ・・・(3)
を満たす範囲とすることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法を適用する上記鋼板は、フラックスが塗布された鋼板であることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法に用いる上記フィラーワイヤは、フラックスコアードワイヤであることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法に用いる上記先行レーザービームは、固体レーザであることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記鋼板が亜鉛を主成分とするめっき層を有し、上記めっき層を上記先行レーザービームで溶融した状態でろう付けを行うことを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記フィラーワイヤを通電加熱する温度T(K)は、フィラーワイヤの融点をT(K)としたとき、下記(4)式;
0.5×T≦T≦T ・・・(4)
を満たす範囲とすることを特徴とする。
また、本発明の上記レーザーブレージング接合方法は、上記フィラーワイヤの先行側端と後行レーザービームの照射範囲の後行側端との間の距離Lを、フィラーワイヤの径をdとしたとき、下記(5)式;
0≦L≦3×d ・・・(5)
を満たす範囲とすることを特徴とする。
本発明によれば、鋼板とアルミニウム系の板材とのフレア継手または重ね継手をレーザービームでろう付けして作製する際、レーザービームを接合位置に対して接合方向前後の2方向から照射し、先行のレーザービームで接合予定位置を必要幅で予熱してから上記接合位置に通電加熱したフィラーワイヤを供給するようにしたので、後行のレーザービームを送給中のフィラーワイヤに直接照射せずに接合位置に供給された後のフィラーワイヤを溶融することができ、ひいては高速でのろう付けが可能となる。このように、本発明では後方からのレーザービーム照射により接合位置に送給されたフィラーワイヤを加熱、溶融することで接合部を形成する。また、本発明は、フィラーワイヤの供給角度を適正化したので、フレア継手または重ね継手の突合せ部の奥までフィラーワイヤを供給することが可能となり、外観に優れた高強度の接合継手を安定して得ることができる。また、本発明は、先行するレーザービームの照射範囲とフィラーワイヤ間の距離を適正範囲としたので、フィラーワイヤの供給点よりも前方の接合予定位置を好適温度に加熱し、継手母材表面の濡れ性を高め、突合せ部の間隙の奥深くまでろう材を供給できるので、欠陥のないろう材と母材金属との接合部を形成することができる。また、本発明は、先行レーザービームの照射範囲の接合方向に直角な方向の幅を、鋼板とアルミニウム系板材の板厚の和に対して適正範囲としたので、良好な濡れ性を確保することができる。また、本発明は、先行レーザービームの照射範囲の接合方向長さを照射範囲の幅よりも長い矩形形状としたので、先行レーザービームによる急加熱を抑制してフラックスが塗布された母材からのフラックスの剥離を防止し、母材と溶融ワイヤとの間の濡れ性を高めることができ、ひいては、外観に優れたビードを得つつ、高速接合が可能となる。また、本発明は、フィラーワイヤにフラックスコアードワイヤを用いる場合には、事前に母材にフラックスを塗布することなく、外観に優れたビードを得つつ、高速接合が可能となる。また、本発明は、母材鋼板に亜鉛系のめっき鋼板を用いる場合には、先行のレーザービームでめっき層を溶融状態とし、その後、ブレージングすることで、フラックスを塗布することなく母材と溶融ワイヤ間の濡れ性を確保することができるので、外観に優れたビードを得つつ、高速接合が可能となる。
本発明のレーザーブレージング接合方法を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。 フレア継手の開先中心線を説明する図である。 実施例で作製したフレア継手を説明する図である。 フレア継手を引張試験したときの破断発生位置を説明する図である。 非特許文献1のレーザーブレージング接合方法を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。 実施例で作製した重ね継手を説明する図である。 重ね継手を引張試験したときの破断発生位置を説明する図である。
本発明は、異材同士の鋼板とアルミニウム系板材とから構成されるフレア継手または重ね継手の接合方法に関する技術である。具体的には、前述した非特許文献1の接合方法(図5参照)とは異なり、図1に示したように、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱した後、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融・凝固させてろう付けを行う接合技術である。
そして、本発明の上記接合方法において最も重要なことは、フレア継手の場合は、上記フィラーワイヤを、フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線に対して、また、重ね継手の場合は、上記フィラーワイヤを、重ね継手の下板面に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の傾斜角度Dで傾斜させて送給するということである。
フレア継手の場合、フィラーワイヤを、フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線(図1中に示した線V)に対する傾斜角度Dを、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲として送給することで、フィラーワイヤを効率的に突き合せ部に挿入でき、かつ、後行のレーザービームをフィラーワイヤに直接照射せずにフィラーワイヤを溶融することができるので、高速でのろう付けが可能となり、ひいては、美観に優れ、破断強度が高いフレア継手を安定して得ることができる。なお、好ましい傾斜角度Dは、0~15°の範囲である。
ここで、上記フレア継手の開先中央を通る中心線Cは、以下のようにして求める。
図2は、接合前の継手の断面を示したものであり、(a)は、突き合せた両母材間に目違いがない(基準面に食い違いがない)場合、(b)および(c)は、突き合せた母材間で段差を設けて突き合わせた場合のフレア継手である。いずれの場合も、突き合せた母材が会合する点をX、Xから見て近い側の母材の曲げ加工終了点をY、対向する母材の距離X-Yと同じ距離の点をZとしたとき、XYを通る線AとXZを通る線Bとがなす角の2等分線を、開先中央を通る中心線Cとする。なお、(d)のように、突き合せた両母材間に隙間がある場合は、両母材が最も近接する位置をXとし、同様にして求める。
また、重ね継手の場合も同様に、フィラーワイヤを、重ね継手の下板面に垂直な線(図1中に示した線V)に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲の傾斜角度Dで傾斜させて送給することで、高速でのろう付けが可能となり、ひいては、美観に優れ、破断強度の高い重ね継手を得ることができる。好ましい傾斜角度Dは、フレア継手と同様、0~15°の範囲である。
また、本発明のレーザーブレージング接合方法は、上記のように先行・後行レーザービームの照射位置および送給するフィラーワイヤの傾斜角度Dを適正範囲に制限することに加えて、先行するレーザービームの照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの後行側端間との距離L(図1(b)を参照)を、先行レーザービームがフィラーワイヤを直接照射する場合を含めて、下記(1)式;
0≦L≦4×d ・・・(1)
で規定される範囲とすることが好ましい。ここで、上記(1)式中のdはフィラーワイヤの径である。
先行するレーザービームの照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの後行側端間の距離Lを上記(1)式の範囲に制限することで、フィラーワイヤの供給点よりも前方の接合予定位置を好適温度に加熱し、継手母材表面の濡れ性を高めることができるので、安定した溶着が得られる。なお、先行レーザービームの照射範囲とフィラーワイヤ供給位置とを重ねてもよいが、上記のように、やや前方に離して接合予定位置を加熱することで、熱伝導による加熱効果をより高めて、レーザービームの照射エネルギの損失を少なくすることができる。一方、離間距離Lを大きくし過ぎると、逆に上記の加熱効果が得られなくなる。より好ましいLは0.1×d~2×dの範囲である。
また、本発明のレーザーブレージング接合方法は、上記した先行レーザービームの照射範囲の接合方向に直角な方向の幅Wを、鋼板とアルミニウム系板材の板厚の和をTとしたとき、下記(2)式;
0.5×T≦W≦3×T ・・・(2)
で規定される範囲内とすることが好ましい。
上記(2)式の中のWは、ろう付け金属(ろう材)の濡れ性を確保する上で必要な接合部の加熱幅を示しており、狭すぎると濡れ性が不足し、逆に広すぎるとエネルギ分散による熱損失や、熱変形等の悪影響を引き起こす虞がある。より好ましい照射幅Wは0.7×T~2×Tの範囲である。さらに好ましくは1×T~2×Tの範囲である。
また、本発明のレーザーブレージング接合方法は、上記条件を満たすことに加えてさらに、上記先行レーザービームの照射範囲を矩形とし、かつ、レーザービームの照射範囲の接合方向長さをAとしたとき、上記Aは、照射範囲の幅Wとの関係において、下記(3)式;
W≦A≦10×W ・・・(3)
を満たす範囲とするのが好ましい。
先行レーザービームの照射範囲の接合方向長さAを上記範囲に限定する理由は、上記Aが照射範囲の幅Wより小さくなると、高速接合、特に2m/min以上の高速接合を行う場合、レーザービームの照射という短時間の加熱では、母材の板厚方向の加熱が不足し、供給されたワイヤによる抜熱によって母材の温度上昇が不十分となり、ビード外観の劣化や継手強度の低下につながる虞があるためである。一方、AがWの10倍を超えると、加熱範囲が広くなり過ぎて、母材金属の軟化や接合部以外の部分のめっき蒸発を招くほか、高出力のレーザが必要となる。より好ましいAはW~5×Wの範囲であり、さらに好ましくはW~4×Wの範囲である。
また、本発明に用いるフィラーワイヤは、接合部に供給する前に通電加熱により加熱したものであることが必要であり、その加熱温度T(K)は、接合条件によっても異なるが、ワイヤ金属の融点をT(K)としたとき、下記(4)式;
0.5×T≦T≦T ・・・(4)
を満たす範囲とするのが好ましい。
フィラーワイヤの通電加熱温度Tが0.5×Tより低いと、フィラーワイヤが溶け込み不良となり易く、一方、Tを超えると、過剰な入熱によりフィラーワイヤが供給前に溶解してしまうからである。より好ましいTは0.6×T~Tの範囲である。
また、本発明のレーザーブレージング接合方法は、上記フィラーワイヤの先行側端と後行レーザービームの照射範囲の後行側端との間の距離L(図1(b)を参照)を、フィラーワイヤの径をdとしたとき、下記(5)式;
0≦L≦3×d ・・・(5)
を満たす範囲とすることが好ましい。
フィラーワイヤの先行側端と後行レーザービームの照射範囲の後行側端との間の距離Lが0未満である場合、または、3×dを超える場合は、ビード形状が不安定となるからである。なお、「0未満である」とは、後行レーザービームの照射範囲の後行側端が、フィラーワイヤの先行側端よりも、接合方向側に位置することをいう。より好ましいLは、0.1×d~2×dの範囲である。
また、本発明の接合方法を適用するフレア継手または重ね継手を構成する鋼板は、ろう付け金属との濡れ性をより高める観点から、ブレージング前に接合部付近にフラックスを塗布した上で接合することが好ましい。また、同様の観点から、本発明のフレア継手または重ね継手の接合に用いるフィラーワイヤは、フラックスコアードワイヤ(FCW)を用いることが有効である。なお、フラックスと鋼板またはフィラーワイヤとの組合せは、濡れ性を確保する観点から適宜選択すればよく、例えば、フラックスを塗布したソリッドワイヤを使用してもよい。
また、本発明に用いる先行レーザービームは、加熱領域の形状を自在に制御できるよう、固体レーザであることが好ましい。固体レーザが有する上記プロファイルの制御機能を用いることで、奥行き(突合せ部の開口部の深さ)の異なるフレア継手または重ね継手の側面を効率的に加熱することができる。なお、固体レーザとしては、光ファイバを増幅媒体とするファイバレーザや、半導体を媒体とする半導体レーザなどが挙げられるが、濡れ性を確保する観点から、必要な出力が得られればその種類は特に問わない。
また、後行レーザービームについても、加熱領域の形状制御の観点から、固体レーザであることが好ましい。その理由は、固体レーザが有するプロファイル制御機能を用いることで、ビード形状の制御が可能であるからである。
また、フレア継手または重ね継手を構成する母材鋼板として、亜鉛を主成分とするめっき層を有する鋼板を用いる場合は、先行レーザービームでめっき層を溶融した状態でろう付けを行うことが好ましい。これは、溶融しためっき層はフラックスと同様、母材と溶融ワイヤ間の濡れ性を高める効果があるので、めっき層が溶融した状態でろう付けすることで、外観に優れたビードが安定して得られるだけでなく、高速接合でも高強度の接合継手が安定して得られるという利点があるからである。
上記の条件を満たして作製したフレア継手または重ね継手は、供給したフィラーワイヤが母材の突合せ部の奥深くまで供給され、かつ、溶融したフィラー金属と母材(鋼板、アルミニウム系板材)との濡れ性が良好であるので、高強度で外観にも優れたものとなる。
表1に示した板厚、強度および亜鉛系めっき層の種類が異なる種々の鋼板と、Al合金とから構成されるフレア継手を、図1に示した本発明の接合方法と、図5に示した非特許文献1に記載のように、フィラーワイヤが先行し、それを2本のレーザービームが追随する接合方法でレーザーブレージング接合する実験を行った。なお、Al合金としては、板厚が1.2mmのA5052(Al-Mg系合金)を用いた。また、ろう材となるフィラーワイヤは、直径1.2mmのFe-Alレーザーブレージング用フラックスコアードワイヤ(FCW)を用いた。
フレア継手は、上記材料から短辺150mm×長辺400mmの試験片素材を切り出し、長辺の片方の端部から20mmの位置で長辺に沿って90°に曲げ加工を行ってL字形状とし、L字の短辺同士を、図2(a)に示したように、L字の長辺の板厚中心線が相互に一致するようにして突き合せた後、レーザーブレージング接合し、長さ300mmの接合部を形成した。
この際、フィラーワイヤの傾斜角度D(フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線Vに対する角度)は、本発明の方法では0°、10°、15°、18°、19°および20°の6水準、従来技術の方法では45°の1水準とした。また、レーザーブレージング接合に用いたレーザは、先行レーザービーム、後行レーザービームともに半導体レーザを用い、先行、後行レーザービームの出力は2~6kWの範囲で適宜設定した。また、先行レーザービームの照射範囲は、接合方向に長い矩形とし、接合方向の長さAは、接合方向に直角な方向の幅Wの3.2倍(一定)とした。また、後行レーザービームは、すべての条件でφ3mmの照射範囲を持つ円形とし、ワイヤの送給位置の直後を加熱するように照射した。また、シールドガスは、Arガスを20L/minでワイヤ供給部に、40L/minで後行レーザービーム照射部に供給した。また、フィラーワイヤは、電流値を275A(固定)として融点T(K)に対して0.5T~Tの温度となるよう通電加熱し、送給速度は17.5m/minとした。なお、その他の接合条件については表2にまとめて示した。
Figure 0007095828000001
上記のようにして得たフレア継手について、以下の評価試験を行った。
<外観評価>
長さ300mmの接合部の中央部200mmの範囲を目視検査し、接合欠陥がなく滑らかなビードが形成されていたものを◎、接合欠陥はないが、波打ちなどの凹凸がビード長さの20%未満に観察されたものを〇、接合欠陥はないが、波打ちなどの凹凸がビード長さの20%以上50%未満で確認されたものを△、接合欠陥があるか、波打ちなどの凹凸がビード長さの50%以上で確認されたものを×と評価した。
<接合継手強度>
上記のようにして得たフレア継手から、図3に示すように、接合部の長さ方向中央部から、幅50mmのT字型の引張試験片を切り出し、図3に矢印で示した方向に引っ張る引張試験を行い、破断強度を測定し、この破断強度を接合部長さ(50mm)で除して、接合部単位長さあたりの破断強度を求めた。なお、破断強度の評価は、上記接合部単位長さあたりの破断強度が、鋼板の接合方向単位長さあたりの降伏強度に対して、120%以上であったものを◎、100%以上120%未満のものを〇、80%以上100%未満のものを△、80%未満であるものを×と評価した。
<破断箇所>
上記引張試験後の破断面を観察し、図4に示したように、破断面が、母材部(Al合金側)で破断したものをA、ろう付けした金属と母材との剥離面のみからなるもので、剥離面がAl合金側をB、鋼板側をB´、ろう付けした金属の破断面とろう付けした金属と母材との剥離面からなるもので、破断面がAl合金側をC、鋼板側をC´と分類した。なお、ろう付けした金属と母材との剥離面が母材の外面に沿っていても、剥離面にろう付けした金属と母材との合金相が確認される場合は、ろう付け金属の破断面と判断した。
Figure 0007095828000002
上記評価の結果を、表2中に併記した。この結果から、本発明に適合する条件で接合したフレア継手は、高速接合でも、外観および接合強度がともに優れていることが確認された。
なお、上記実験では、フィラーワイヤとしてFCWを用いたが、ソリッドワイヤを用いた場合でも、表面にフラックスを塗布した鋼板では、上記と同様の結果が得られることを別途行った実験で確認した。
表1に示した板厚、強度および亜鉛系めっき層の種類が異なる種々の鋼板と、Al合金板とから構成される図6に示した重ね隅肉継手を、図1に示した本発明の接合方法と、図5に示した非特許文献1に記載のように、フィラーワイヤが先行し、それを2本のレーザービームが追随する接合方法でレーザーブレージング接合する実験を行った。なお、Al合金板としては、板厚が1.2mmのA5052(Al-Mg系合金)を用いた。また、ろう材となるフィラーワイヤは、直径1.2mmのFe-Alレーザーブレージング用フラックスコアードワイヤ(FCW)を用いた。
重ね隅肉継手は、上記材料から短辺150mm×長辺400mmの試験片素材を切り出し、図6に示したように、Al合金板が鋼板の上側になるようにしてAl合金板と鋼板の長辺端部を10mmラップさせ、レーザーブレージング接合し、長さ300mmの接合部を形成した。
この際、フィラーワイヤの傾斜角度D(重ね継手の下板面に鉛直な線Vに対する角度)は、本発明の方法では0°、10°、15°、18、19および20°の6水準、従来技術の方法では45°の1水準とした。また、レーザーブレージング接合に用いたレーザは、先行レーザービーム、後行レーザービームともに半導体レーザを用い、先行、後行レーザの出力は2~6kWの範囲で適宜設定した。また、先行レーザービームの照射範囲は、接合方向に長い矩形とし、接合方向の長さAは、接合方向に直角な方向の幅Wの3.2倍(一定)とした。また、後行レーザービームは、すべての条件でφ3mmの照射範囲を持つ円形とし、ワイヤの送給位置の直後を加熱するように照射した。また、シールドガスは、Arガスを20L/minでワイヤ供給部に、40L/minで後行レーザービーム照射部に供給した。また、フィラーワイヤは、電流値を275A(固定)として融点T(K)に対して0.5T~Tの温度となるよう通電加熱し、送給速度は17.5m/minとした。なお、その他の接合条件については表3にまとめて示した。
Figure 0007095828000003
上記のようにして得た重ね隅肉継手について、以下の評価試験を行った。
<外観評価>
長さ300mmの接合部の中央部200mmの範囲を目視検査し、接合欠陥がなく滑らかなビードが形成されていたものを◎、接合欠陥はないが、波打ちなどの凹凸がビード長さの20%未満に観察されたものを〇、接合欠陥はないが、波打ちなどの凹凸がビード長さの20%以上50%未満で確認されたものを△、接合欠陥があるか、波打ちなどの凹凸がビード長さの50%以上で確認されたものを×と評価した。
<接合継手強度>
上記のようにして得た重ね継手から、図6に示すように、接合部の長さ方向中央部から、幅50mmの引張試験片を切り出し、図6に矢印で示した方向に引っ張る引張試験を行い、破断強度を測定し、この破断強度を接合部長さ(50mm)で除して、接合部単位長さあたりの破断強度を求めた。なお、破断強度の評価は、上記接合部単位長さあたりの破断強度が、鋼板の接合方向単位長さあたりの降伏強度に対して、120%以上であったものを◎、100%以上120%未満のものを〇、80%以上100%未満のものを△、80%未満であるものを×と評価した。
<破断箇所>
上記引張試験後の破断面を観察し、図7に示したように、破断面が、母材部(Al合金側)で破断したものをA、ろう付けした金属の内部で破断したものをB、ろう付けした金属と母材との剥離面からなるもので、剥離面がAl合金側をC、鋼板側をC´と分類した。なお、ろう付けした金属と母材との剥離面が母材の外面に沿っていても、剥離面にろう付けした金属と母材との合金相が確認される場合は、ろう付け金属の破断面と判断した。
上記評価の結果を、表3中に併記した。この結果から、本発明に適合する条件で接合した重ね継手は、高速接合でも、外観および接合強度がともに優れていることが確認された。
なお、上記実験では、フィラーワイヤとしてFCWを用いたが、ソリッドワイヤを用いた場合でも、表面にフラックスを塗布した鋼板では、上記と同様の結果が得られることを別途行った実験で確認した。
本発明の技術は、Al合金板と鋼板のような異材同士のろう付けに限定されるものではなく、例えば、通電加熱したフィラーワイヤにレーザを照射して溶融して材料表面の所定の位置に付着・堆積させる積層造形の技術分野にも広く適用することができる。具体的には、部材に局所的に溶融金属を付着させて厚みを増大して部材の剛性を高める技術や、溶融した金属を順次堆積させて3次元の立体造形物を得る3Dプリンタのような技術への適用が考えられる。
1:フレア継手
2:先行レーザービーム
2´:先行レーザービーム照射範囲
3:後行レーザービーム
3´:後行レーザービーム照射範囲
:開先中央を通る中心線
V:フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線、または、重ね継手の下板面に垂直な線
D:フィラーワイヤの傾斜角度
θ:フィラーワイヤの送給角度
A:先行レーザービーム照射範囲の接合方向長さ
W:先行レーザービーム照射範囲の幅
L:先行レーザービーム照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの後行側端との距離
:後行レーザービーム照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの先行側端との距離
d:フィラーワイヤの径
St:鋼板
Al:Al合金板
Br:ろう付け部

Claims (11)

  1. 鋼板とアルミニウム系板材から構成されるフレア継手の接合方法において、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱し、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融してろう付けする際、上記フィラーワイヤを、フレア継手の開先中央を通る中心線でかつ接合方向に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて送給することを特徴とするレーザーブレージング接合方法。
  2. 鋼板とアルミニウム系板材から構成される重ね継手の接合方法において、鋼板とアルミニウム系板材の接合位置(接合点)の接合方向前方に先行レーザービームを照射して接合予定位置を予熱し、上記接合位置(接合点)に通電加熱したアルミニウム系のフィラーワイヤを供給するとともに、そのフィラーワイヤの後方に後行レーザービームを照射してフィラーワイヤを溶融してろう付けする際、上記フィラーワイヤを、重ね継手の下板面に垂直な線に対して、接合方向前方側または後方側に0°≦D≦19°の範囲で傾斜させて送給することを特徴とするレーザーブレージング接合方法。
  3. 上記先行レーザービームの照射範囲の後行側端とフィラーワイヤの後行側端との間の距離Lを、フィラーワイヤの径をdとしたとき、下記(1)式を満たす範囲とすることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザーブレージング接合方法。

    0≦L≦4×d ・・・(1)
  4. 上記先行レーザービームの照射範囲の接合方向に直角な方向の幅Wを、鋼板とアルミニウム系板材の板厚の和をTとしたとき、下記(2)式を満たす範囲とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。

    0.5×T≦W≦3×T ・・・(2)
  5. 上記先行レーザービームの照射範囲を矩形とし、かつ、レーザービームの照射範囲の接合方向長さAを、上記照射範囲の幅Wとの関係において、下記(3)式を満たす範囲とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。

    W≦A≦10×W ・・・(3)
  6. 上記鋼板は、フラックスが塗布された鋼板であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。
  7. 上記フィラーワイヤは、フラックスコアードワイヤであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。
  8. 上記先行レーザービームは、固体レーザであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。
  9. 上記鋼板が亜鉛を主成分とするめっき層を有し、上記めっき層を上記先行レーザービームで溶融した状態でろう付けを行うことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。
  10. 上記フィラーワイヤを通電加熱する温度T(K)は、フィラーワイヤの融点をT(K)としたとき、下記(4)式を満たす範囲とすることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。

    0.5×T≦T≦T ・・・(4)
  11. 上記フィラーワイヤの先行側端と後行レーザービームの照射範囲の後行側端との間の距離Lを、フィラーワイヤの径をdとしたとき、下記(5)式を満たす範囲とすることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のレーザーブレージング接合方法。

    0≦L≦3×d ・・・(5)

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