JP5656220B2 - レーザ溶接h形鋼の製造方法 - Google Patents
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しかし、近年の住宅の高耐久化、低コスト化に対応し、H形鋼を形作るウェブ材やフランジ材に表面処理鋼板、特にZnをめっき金属中に含んだZn系めっき鋼板を用い、連続的に高周波溶接で接合する方法で製造した溶接H形鋼が用いられるようになっている。
そこで、例えば特許文献1に見られるように、2枚の金属板を互いに垂直に突き合わせ、突き合わせ部に沿って、突き合わせた金属板の両面から対向する位置に2つのレーザビームを同時に照射するとともに、同方向に照射点を移動させてレーザ溶接する技術が提案されている。レーザ光の照射によって溶接するため、被溶接鋼板がめっき鋼板であってもめっき層が蒸発する損傷領域を極力狭くすることができる。このため、溶接後の補修塗料の使用量を低減することができるといったメリットもある。
これらの方法で溶接H形鋼を製造しようとすると、ウェブ材の端部を垂直に押し当てた2箇所のT字状継手部にレーザ光を照射する工程を2回施すことになって、生産性の観点からは、最良の方法とはいえない。
しかしながら、片側1パス溶接により2箇所の溶接を同時に行うと、レーザ光照射側とその反対側(裏側)のビード溶け込み形状が非対称となることから、熱変形によるフランジ材の倒れは不均一となる。通常レーザ光照射側よりも反対側のフランジ材の倒れ方が大きくなる。すなわち、図1に見られるように、フランジ材の倒れ角度は、レーザ光照射側のc0°よりも、反対側のd0°の方が大きくなるようにフランジ材はウェブ材の当接部分を境にして折り曲げられたように倒れる。
ところが、前記したように、H形に組んだウェブ材の片面側からのみレーザ光照射を施すと、ウェブ材の当接部分を境に、レーザ光を照射した側の曲がり角度と反対側の曲がり角度が異なってしまう。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、H形に組んだウェブ材の片面側からのみ2箇所のT字継手部に同時にレーザ光照射して、溶接H形鋼を製造する際に、フランジ角度の上下非対称な変形を防止して形状矯正の負担軽減と形鋼の品質向上を図ることを目的とする。
なお、A1は、レーザ光照射側の溶接前のフランジ材とウェブ材がなす角度であり、B1は、レーザ光照射側と反対側の溶接前のフランジ材とウェブ材がなす角度である。
このときの、A3は、レーザ光照射側の溶接前のフランジ材とウェブ材がなす角度であり、B3は、レーザ光照射側と反対側の溶接前のフランジ材とウェブ材がなす角度である。
なお、レーザ溶接時のフランジ材の倒れ角度を一定にするとともに、安定した接合強度を発現させるためには、ウェブ材の端面をフランジ材の当接面の形状に合わせて整形しておくことが好ましい。
このため、形状精度が良好な高品質の溶接H形鋼が低コストで提供される。
そこで、図3に示すように、溶接前のフランジ材をレーザ光照射側においてはウェブ材となす角が90°よりも小さくなるように、またレーザ光照射側と反対側においてはウェブ材となく角が90°よりも大きくなるように傾けて保持した状態でレーザ溶接することにした。
このように、被溶接フランジ材を予め傾けた状態で1パス溶接すれば、折り曲げ形状が上下対称となってその後の矯正ロールにより形状矯正が容易に行えることになる。
そこで、フランジ材として、ウェブ材との当接部分を境にウェブ材と反対側に折り曲げられている板材を用いることとした。レーザ溶接したときに、レーザ光照射側の倒れ角度よりも反対側の倒れ角度の方が大きくなるので、予めウェブ材との当接部分を境に折り曲げられた板材を、図4(a)に示すように、ウェブ材に対してレーザ光照射側の角度a2°よりも反対側の角度b2°の方が大きくなるように配置・保持した後に片側1パス溶接する。
上記のようなフランジ材のウェブ材に対して配置・保持する適切な角度、或いは折り曲げておく適切な折り曲げ角度は、被溶接フランジ材の板厚や溶接条件によっても変わってくるので、予備実験により確認しておくことが必要となる。
ところで、H形に組んだフランジ材、ウェブ材を溶接して溶接H形鋼を製造する際には、フランジ材、ウェブ材として鋼帯を用いるのが一般的であるが、せん断加工された板材を用いる場合もある。
切断された板材をウェブ材とし、そのせん断面側をフランジ材に押し当ててT字継手部分をレーザ溶接しようとすると、ウェブ材の端面がフランジ材に対して全面が均等に当接していないことになる。
端面にダレやバリが無くても、本発明方法のように、ウェブ材に対してフランジ材を傾けて当接させようとすると、ウェブ材の端面全体がフランジ材に対して当接していないことになる。隙間部分が生じてしまう。
そこで、図5に示すように、傾けて配置するフランジ材のウェブ材当接面にウェブ材端面の全面が当たるようにウェブ材端面を傾けた面となるように整形しておくこととした。
なお、接合強度をさらに高めるためには、図5に示すように、端面近傍断面を他の部位の断面よりも大きくすることが好ましい。
そして、図1、3、4に示すように、溶接前のフランジ材傾斜角度と溶接後のフランジ材傾斜角度を測定した。
本発明例1では、フランジ材の倒れの形状が上下対称となっている。このため、その後の矯正が容易に行えることがわかる。また、本発明例2では、フランジ材が折れ曲がることなく、完全なH形となっていた。
Claims (3)
- ウェブ材の両端部にフランジ材を押し当てた2箇所のT字状継手部をウェブ材の片面側から同時にレーザ光を照射して1パス溶接する溶接H形鋼の製造方法であって、溶接前のフランジ材を、レーザ光照射側におけるウェブ材となす角度A 1 とレーザ光照射側と反対側におけるウェブ材となす角度B 1 とが、A 1 <B 1 となるように保持した状態でレーザ溶接することを特徴とするレーザ溶接H形鋼の製造方法。
- フランジ材としてウェブ材との当接部分を境に折り曲げられている板材を用い、このフランジ材を、レーザ光照射側におけるウェブ材となす角度A 3 とレーザ光照射側と反対側におけるウェブ材となす角度B 3 とが、90°<A 3 <B 3 となるように保持した状態でレーザ溶接する請求項1に記載のレーザ溶接H形鋼の製造方法。
- 端面がフランジ材の当接面の形状に合わせて整形されたウェブ材を用いる請求項1又は2に記載のレーザ溶接H形鋼の製造方法。
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