JP7230606B2 - 亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法及び接合部材に関する。
亜鉛系めっき鋼板は、鋼板表面に亜鉛または亜鉛合金をめっき処理したものである。本明細書では、以下、「亜鉛系めっき鋼板」を「めっき鋼板」ということもある。優れた耐食性を有するため、建築部材、自動車用部材、機械部材など広く使用されている。
アーク溶接は、溶接速度が遅く、鋼板に与える入熱が大きく広い。そのため、亜鉛系めっき鋼板にアーク溶接を適用すると、溶接部近傍の広い範囲でめっき層が消失することがある。また、溶接時に発生した亜鉛蒸気は、アークを不安定にするため、スパッタを多発させる。亜鉛蒸気が溶接部に残存すると、ブローホールを形成する。
溶接部近傍におけるめっき層の消失は、溶接構造体の耐食性を大幅に低減させる。ブローホールの形成は、溶接部の強度低下を招く。そこで、亜鉛系めっき鋼板の溶接にレーザ溶接を適用することが提案されている。
例えば、特許文献1は、レーザ光の片側からの1パス照射によって溶接されたレーザ溶接形鋼に関して、形成された溶融部の形状を適正な範囲にすることにより、所望の接合強度や耐食性を確保したものを提供できることが記載されている。
また、アーク溶接にレーザ溶接を組み合わせた複合溶接方法が提案されている。例えば、特許文献2は、亜鉛メッキ鋼板の溶接予定個所にレーザを照射する工程と、レーザ照射工程の後にガスメタルアーク溶接を行う工程を備える溶接方法について記載され、アーク放電がレーザ照射部に安定に発生して集中し、高速溶接が可能になること、ブローホールの発生を防止できることが記載されている。
特許5658579号公報 特開2002-66774号公報
レーザ溶接は、レーザ光の照射により入熱の範囲を狭くすることができるため、溶接部近傍のめっき層の消失を抑止することできる。その一方で、レーザ光の照射範囲に応じて、被溶接材の突合せを高い精度で行う必要がある。さらに、溶接ビードと母材との間にアンダーカット(溝状の欠陥)が形成され易いという課題がある。
特許文献1と特許文献2には、溶接部表面に生じるアンダーカットを抑制する手法に関して開示されていない。
そこで、本発明は、亜鉛系めっき鋼板を用いたレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法において、被溶接部材の溶接部近傍のめっき消失範囲を低減するとともに、溶接ビード表面にアンダーカットの形成を抑制し、0.2mm以上の裏ビードを形成する複合溶接方法及びその溶接構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接法により亜鉛系めっき鋼板を溶接する場合、レーザ溶接に用いるレーザビームスポット径を小さくするとともに、アーク溶接に用いる溶接ワイヤの径を細くすることにより、溶接部近傍のめっき消失範囲を抑制できることを見出し、さらに、アンダーカットの発生が抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、亜鉛系めっき鋼板を用いたレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、前記亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛系めっき層を有する第1めっき鋼板と第2めっき鋼板を含み、前記レーザ溶接は、レーザビームのスポット直径を0.8mm以下で行い、前記アーク溶接は、直径1.2mm未満の溶接ワイヤを用いて行い、前記第1めっき鋼板の表面に前記第2めっき鋼板の端面を突き合わせた部分において、当該部分の片側から前記レーザ溶接及び前記アーク溶接を1パスで進行させる、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(2)本発明は、前記亜鉛系めっき層の消失範囲が、a,b,c,d≦2mmである溶接部を形成する、(1)に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
ここで、前記a~dは、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において測定された距離であって、aは、表ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、bは、表ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、cは、裏ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、dは、裏ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離である。
(3)本発明は、前記アーク溶接は、シールドガスとして、アルゴンガスに2~30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いる、(1)または(2)に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(4)本発明は、前記第1めっき鋼板がフランジ材であり、前記第2めっき鋼板がウェブ材である、(1)~(3)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(5)本発明は、亜鉛系めっき層を有する第1めっき鋼板と第2めっき鋼板を含み、a,b,c,d≦2mmであって、裏ビードが0.2mm以上である溶接部を有する、亜鉛系めっき鋼板の溶接構造体である。
ここで、前記a~dは、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において測定された距離であって、aは、表ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、bは、表ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、cは、裏ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、dは、裏ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離である。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板の溶接構造体において、溶接部近傍のめっき消失範囲の拡大を抑制できるので、亜鉛系めっき鋼板の耐食性が維持され、溶接部の耐食性に優れる効果が得られる。また、溶接後に補修する塗装を施す必要がないので、作業工程を簡略にすることができる。溶接ビード表面においてアンダーカットの形成を抑制できるので、溶接部の強度低下を防止でき、外観の良好な溶接ビードを有する溶接構造体が得られる。
複合溶接を行った後の溶接部の形態を説明するための図である。 複合溶接を行う前のめっき鋼板を突合せた形態を説明するための図である。 実施例における溶接試験を説明するための図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
(複合溶接方法)
本実施形態は、亜鉛系めっき鋼板を用いたレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法である。亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛系めっき層を有する第1めっき鋼板と第2めっき鋼板を含み、レーザ溶接は、レーザビームのスポット直径を0.8mm以下で行い、アーク溶接は、直径1.2mm以下の溶接ワイヤを用いて行うことが好ましい。
レーザ溶接とアーク溶接を行う順序については、レーザ溶接が先行してもよいし、アーク溶接が先行してもよい。レーザビームの照射位置においてレーザ溶接が行われ、アークの照射位置においてアーク溶接が行われる。レーザ溶接とアーク溶接を併用する複合溶接による効果を有効に得るため、レーザビーム照射位置とアーク照射位置との間隔は、0mm超であることが好ましい。当該間隔が過大であると、併用する効果が低下するため、3mm以下であることが好ましい。
(レーザ溶接)
レーザ溶接は、キーホール型の溶接方法、すなわち、母材裏側までの貫通孔を溶融金属内に形成させながら接合するタイプの溶接方法である。レーザビームのエネルギー密度が高いので、母材が急速に加熱及び溶融される。レーザビームのスポット直径が0.8mmを超えると、溶接ビードの幅が広がるため、亜鉛系めっき鋼板の溶接部近傍において、めっき層の消失範囲が拡大する恐れがある。また、溶接部と母材との間にアンダーカットが形成される傾向がある。これらの観点から、本実施形態は、レーザビームのスポット直径を0.8mm以下でレーザ溶接を行うことが好ましい。
本実施形態の複合溶接方法に適用されるレーザビームの種類は、特に限定されない。例えば、COレーザ,YAGレーザ、半導体レーザ、ファイバレーザ等を用いることができる。レーザ出力としては、4,000(W)以上を使用することが好ましい。
(アーク溶接)
アーク溶接で使用する溶接ワイヤの直径が1.2mm以上であると、溶接ワイヤを溶融させるために加熱する入熱が大きくなって、溶接部近傍におけるめっき層が消失する領域が拡大する恐れがある。そのため、本実施形態は、直径1.2mm以下の溶接ワイヤを用いて溶接を行うことが好ましい。
本実施形態の複合溶接方法に適用されるアーク溶接の種類は、特に限定されない。例えば、サブマージアーク溶接、ガスシールドアーク溶接、MIG溶接、MAG溶接等を使用することができる。アーク溶接する際、50~500(A)の電流、15~45(V)の電圧を適用することができる。
本実施形態に係る複合溶接方法は、アーク溶接におけるシールドガスとして、アルゴンガスに2~30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いることが好ましい。2体積%以上の炭酸ガスを混合することにより、アークの安定性の点で好ましい。炭酸ガスの混合比が30体積%を超えると、スパッタの発生が多くなる点で好ましくない。
本実施形態は、第1めっき鋼板の表面に第2めっき鋼板の端面を突き合わせた部分において、当該部分の片側からレーザ溶接及びアーク溶接を1パスで進行させることが好ましい。レーザ溶接とアーク溶接とが併用されるので、上記の突き合わせた部分において片側から1回のパスで溶接することにより、必要な接合部が得られる。片側から行う溶接であっても、レーザビーム及びアークが照射されない裏側領域まで溶け込ませることができ、貫通した溶接部を形成することができる。本明細書では、突き合わせた部分においてレーザビーム及びアークが照射される側の溶接部を「表ビード」といい、照射されない裏側の溶接部を「裏ビード」という。片側からの1パスで溶接を行うから、溶接時の加熱範囲が低減し、溶接部近傍におけるめっき層消失範囲の拡大を抑制することができる。
(めっき層の消失範囲)
亜鉛系めっき鋼板の表面に存在する亜鉛系めっき層は、溶接部においては溶融によって消失する。溶接部近傍においても、溶接時の加熱によって、めっき層の一部が蒸発して消失する。当該めっき層の消失範囲が大きいと、亜鉛系めっき鋼板が保有する耐食性が低減する。そのため、溶接部近傍におけるめっき層の消失範囲は、小さいことが好ましい。
本実施形態に係る複合溶接方法は、亜鉛系めっき層の消失範囲が、a,b,c,d≦2mmである溶接部を形成することが好ましい。上記のa,b,c,d≦2mmは、a、b、c及びdのそれぞれが2mm以下であることを示す。上記のa、b、c、dは、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において測定された距離であって、以下に示す距離に相当する。溶接のパスの進行方向に沿って溶接線が形成されるので、当該断面は、溶接線に垂直な断面であるともいえる。
aは、表ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第1接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、bは、表ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第1接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、cは、裏ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第2接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、dは、裏ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第2接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離である。
図1は、本実施形態におけるめっき層の消失範囲を模式的に示したものである。めっき層の消失範囲は、図1に示すようにa~dの各距離によって特定することができる。
第1めっき鋼板の表面に第2めっき鋼板の端面を突き合わせて溶接が行われる。図2に示すように、表ビード側の第1接触箇所7及び裏ビード10側の第2接触箇所8は、第1めっき鋼板1の表面3と第2めっき鋼板2の表面5とが交差する箇所を指しており、第2めっき鋼板の端面4を第1めっき鋼板1の表面3に突き合わせた溶接前の状態において、当該端面4の一端が第1めっき鋼板1の表面3に接触する箇所に相当する。表ビード側に位置する接触箇所を第1接触箇所7といい、裏ビード10側に位置する接触箇所を第2接触箇所8という。溶接した後のめっき層消失範囲に関する上記a~dの各距離は、第1接触箇所及び第2接触箇所を起点として特定することができる。
溶接部の拡大によって第1めっき鋼板の裏面が過熱されると、裏面上のめっきが蒸発して、めっき層が消失する場合がある。このような裏面のめっき消失範囲は、図1において距離eで示される。裏面のめっき層に消失領域が生じると、耐食性が低下するため、裏面のめっき層が消失しないこと、すなわち、e=0であることが好ましい。
具体的には、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において、めっき層の有無を観察する。めっき層の残存領域を特定し、第1めっき鋼板と第2めっき鋼板との接触箇所から当該残存領域までの距離を測定することにより、a~dが得られる。測定する断面は、適宜の箇所を選定できる。複数個所の断面において測定し、平均的な距離を求めてもよい。本実施形態におけるa~dの距離は、長さ50cmの溶接部において5cmピッチで10箇所のa~dの距離を測定し、その平均値であるとした。また、めっきの残存領域が連続していないときは、溶接止端部から初めて確認されるめっき残存までを測定することにより、残存領域までの距離を得るものとした。
本実施形態に係る複合溶接方法は、a,b,c,d≦2mmである溶接部を形成することが好ましい。めっき鋼板の切断端面のようにめっき層が存在しない部分であっても、めっき層に近接した領域では、めっき層の犠牲防食作用によって耐食性が維持される。しかし、めっき層との距離が2mmを超えると、十分な犠牲防食作用が得られない。そのため、本実施形態は、溶接後のめっき消失範囲a,b,c,dがめっき残存端から2mm以下であるように、複合溶接で行うとともに、溶接条件を特定範囲で選定したものである。本実施形態は、めっき層の消失領域を上記の範囲内とすることにより、近接するめっき層の犠牲防食作用によって必要な耐食性を保持することができる。
本実施形態に係る複合溶接方法は、第1めっき鋼板がフランジ材であり、第2めっき鋼板がウェブ材である製品の接合に適用することができる。例えば、T字形の継手やH字形の継手におけるフランジ材やウェブ材に亜鉛系めっき鋼板を使用し、溶接して組み立てる用途に適用することができる。
(溶接構造体)
本実施形態は、亜鉛系めっき層を有する第1めっき鋼板と第2めっき鋼板を含み、a,b,c,d≦2mmであって、裏ビードが0.2mm以上である溶接部を有する、亜鉛系めっき鋼板の溶接構造体であることが好ましい。上記のa~dは、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において測定された距離であって、以下の距離に相当する。溶接のパスの進行方向に沿って溶接線が形成されるので、当該断面は、溶接線に垂直な断面であるともいえる。
aは、表ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第1接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、bは、表ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第1接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、cは、裏ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第2接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であり、bは、裏ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第2接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離である。
溶接部を含む断面において、めっき層の有無を観察し、第1めっき鋼板と第2めっき鋼板との接触箇所から当該残存領域までの距離を測定することにより、a~dが得られる。
本実施形態に係る溶接構造体は、a,b,c,d≦2mmである溶接部を有する。めっき層の消失領域を上記の範囲内とすることにより、近接するめっき層の犠牲防食作用によって必要な耐食性を保持することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の説明に限定されない。
本実施形態に関する評価試験は、板厚が2.3mm及び3.2mmで、素材強度が400N級である鋼板の両面に亜鉛系めっき層を有する亜鉛系めっき鋼板を用いた。亜鉛系めっき層に関しては、質量%で、Zn-6%Al-3%Mg組成のめっき層を有する溶融めっき鋼板と、Zn-10%Fe組成のめっき層を有する合金化溶融めっき鋼板の2種を準備した。亜鉛系めっき層の付着量は、いずれも約90g/mであった。めっき鋼板1及びめっき鋼板2において、長さ500mm、幅100mmの被溶接材と、長さ500mm、幅200mmの被溶接材をそれぞれ切り出して試験材とした。表1の「めっき層」欄には、Zn-6%Al-3%Mg組成のめっき層を「1」で表示し、Zn-10%Fe組成のめっき層を「2」で表示した。
溶接試験においては、図3に示すように、長さ500mm、幅200mmの被溶接材11を配置した。次いで、被溶接材11と同様の板厚及びめっき層を有するめっき鋼板であって、長さ500mm、幅100mmの被溶接材12を用いて、被溶接材11の表面上のほぼ中央に被溶接材12の端面を突き合わせて、T継手の形状となるように配置した。その後、突き合わせた部分において溶接処理を施した。T継手においては、被溶接材11がフランジ材に相当し、被溶接材12がウェブ材に相当する。
(溶接条件)
表1に溶接条件を示す。表1の「めっき層」欄には、Zn-6%Al-3%Mg組成のめっき層を有するめっき鋼板を用いた例を「1」で表示し、Zn-10%Fe組成のめっき層を有するめっき鋼板を用いた例を「2」で表示した。試験材No.1~No.14は、レーザ溶接及びアーク溶接を併用する複合溶接を施した。試験材No.1~No.5、試験材No.9~No.14は、レーザ溶接を先行させて溶接した。試験材No.6~No.8は、アーク溶接を先行させて溶接した。試験材No.15~No.18は、複合溶接と対比するため、レーザ溶接またはアーク溶接の何れか一方による単独溶接を突合せ部に対して片側から施した比較例である。
レーザ溶接及びアーク溶接は、各溶接手段を突合わせ部に対して片側から1パスで移動させて溶接を行った。レーザ溶接は、表1に示した出力(kW)、レーザビーム直径(mm)でレーザビームを照射した。アーク溶接は、表1に示した電流(A)、電圧(V)、溶接ワイヤ径(mm)で行い、シールドガスとして、Arと20体積%COの混合ガスを使用し、25L/minの流量とした。突合せ部の継手の隙間は、0mmであった。レーザ溶接とアーク溶接は、いずれも同じ溶接速度で行った。両方の照射位置の間隔は、1mmとした。溶接した後、試験材を所定の評価試験に供した。
(めっき層の消失範囲)
試験体を溶接線(溶接のパスの進行方向)に対して垂直に切断し、溶接部を含む断面の拡大画像により、鋼板表面のめっき層の状況を観察した。図1に示すように、溶接部の表ビード及び裏ビードの周辺においてめっき層が消失し、溶接ビードから離れた箇所にめっき層が残存する領域21、22、23、24が観察された。このめっき層の消失した領域が存在する範囲を評価するため、接触箇所からめっき層が残存する領域までの距離であるa~dを測定した。長さ50cmの溶接部において5cmピッチで10箇所のa~dを測定し、その平均値を算出した。これらの測定結果を表1に示す。
(アンダーカット)
上記の溶接部の断面においてアンダーカットの程度を観察した。表ビードについては、アンダーカットを測定した。日本建築学会発行の「建築工事標準仕様書6 鉄骨工事」の「付則6.鉄骨精度検査基準」で推奨されている管理許容値の0.3mmを基準にして、アンダーカットが0.3mm以下である場合を良好であると判定し、0.3mm超である場合を不適であると判定した。アンダーカットに関する評価結果を表1に示す。良好である場合を「○」で示し、不適である場合を「×」で示した。
裏ビードについては、0.2mm以上の長さで形成された場合を良好であると判定し、0.2mm未満の場合を不適であると判定した。試験材No.1~No.18の裏ビードは、いずれも0.2mm以上の長さで形成されており、良好であった。
Figure 0007230606000001
試験材No.1~No.14において、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接を施した。このうち、試験材No.3、No.7~No.9、No.11~No.13は、表1に示すように、レーザ溶接におけるレーザビームのスポット径が0.8mm以下であり、かつ、アーク溶接において直径1.2mm未満の溶接ワイヤ径を用いた例である。当該試験材はいずれも、めっき層の消失範囲が、a,b,c,d≦2mmの範囲にあり、溶接部周辺におけるめっき層の消失を抑制することができた。さらに、当該試験材は、アンダーカットの程度についても良好な範囲にあり、アンダーカットの形成を抑制することができた。なお、当該試験材は、溶接部と反対側の鋼板表面においても、めっき層の消失が生じていなかった(e=0)。
試験材No.1、No.2、No.4~No.6、No.10、No.14は、レーザ溶接におけるレーザビームのスポット径が0.8mm超、あるいは、アーク溶接における溶接ワイヤ径が1.2mm以上、という条件で複合溶接を行われた例である。当該試験材はいずれも、a,b,c,dの少なくとも一つが2mmを超える範囲にあり、溶接部周辺においてめっき層の消失の程度が大きかった。
試験材No.15~No.18は、レーザ溶接またはアーク溶接を単独で施した比較例である。レーザ溶接を行った試験材No.15は、レーザビームのスポット径が0.8mm以下の条件であったものの、溶接部のアンダーカットの程度が大きく、不適であった。アーク溶接を行った試験材No.16~No.18は、溶接ワイヤ径が1.2mm以下の場合を含む条件であったものの、a,b,c,dが2mmを大きく超える範囲にあり、溶接部周辺においてめっき層の消失の程度が大きかった。
1 第1めっき鋼板
2 第2めっき鋼板
3 第1めっき鋼板の表面
4 第2めっき鋼板の端面
5 第2めっき鋼板の表面
6 第2めっき鋼板の表面
7 第1接触箇所
8 第2接触箇所
表ビード
10 裏ビード
11 被溶接材(フランジ材)
12 被溶接材(ウェブ材)
21、22、23、24 めっき層の残存領域

Claims (4)

  1. 亜鉛系めっき鋼板を用いたレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、
    前記亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛系めっき層を有する第1めっき鋼板と第2めっき鋼板を含み、
    前記レーザ溶接は、レーザビームのスポット直径を0.8mm以下で行い、前記アーク溶接は、直径1.2mm未満の溶接ワイヤを用いて行い、
    前記第1めっき鋼板の表面に前記第2めっき鋼板の端面を突き合わせた部分において、当該部分の片側から前記レーザ溶接及び前記アーク溶接を1パスで進行させる、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  2. 前記亜鉛系めっき層の消失範囲が、a,b,c,d≦2mmである溶接部を形成する、請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
    ここで、前記a~dは、溶接部を含み、溶接のパスの進行方向に垂直な断面において測定された距離であって、
    aは、表ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、
    bは、表ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第1接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、
    cは、裏ビード側の前記第1めっき鋼板の表面上において、前記第1めっき鋼板の表面と前記第2めっき鋼板の端面との第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離、
    dは、裏ビード側の前記第2めっき鋼板の表面上において、前記第2接触箇所から前記めっき層が残存する領域までの距離である。
  3. 前記アーク溶接は、シールドガスとして、アルゴンガスに2~30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いる、請求項1または2に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  4. 前記第1めっき鋼板がフランジ材であり、前記第2めっき鋼板がウェブ材である、請求項1~3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
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