JP2002103069A - 薄鋼板のレーザ重ね溶接方法 - Google Patents

薄鋼板のレーザ重ね溶接方法

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JP2002103069A
JP2002103069A JP2000299943A JP2000299943A JP2002103069A JP 2002103069 A JP2002103069 A JP 2002103069A JP 2000299943 A JP2000299943 A JP 2000299943A JP 2000299943 A JP2000299943 A JP 2000299943A JP 2002103069 A JP2002103069 A JP 2002103069A
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gap
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Yasunobu Miyazaki
康信 宮崎
Seiji Furusako
誠司 古迫
Hideki Hamaya
秀樹 濱谷
Hatsuhiko Oikawa
初彦 及川
Takashi Tanaka
隆 田中
Masahiro Obara
昌弘 小原
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Nippon Steel Corp
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K26/00Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring
    • B23K26/346Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring in combination with welding or cutting covered by groups B23K5/00 - B23K25/00, e.g. in combination with resistance welding
    • B23K26/348Working by laser beam, e.g. welding, cutting or boring in combination with welding or cutting covered by groups B23K5/00 - B23K25/00, e.g. in combination with resistance welding in combination with arc heating, e.g. TIG [tungsten inert gas], MIG [metal inert gas] or plasma welding

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 冷延鋼板や亜鉛めっき鋼板などを含む薄鋼板
からなる部材のレーザ重ね溶接方法において、良好な溶
接ができる鋼板間の隙間量の許容範囲を、従来のレーザ
重ね溶接に比較して拡大することの可能なレーザ重ね溶
接方法を提供する。 【解決手段】 薄鋼板1,2からなる部材のレーザ重ね
溶接方法において、レーザ溶接4を行うとともにレーザ
加工点9の後方10を狙ってアーク溶接8を行い、さら
に該アーク溶接8の電流・電圧範囲を短絡移行域とす
る。アーク溶接8によってレーザ加工点9に溶融金属を
供給し、鋼板間1,2に形成された隙間に溶融金属を充
填する。レーザ溶接4とアーク溶接8を併用すると、ア
ーク溶接8をショートアークとしても高速溶接が可能で
ある。また、アーク溶接8をショートアークとした結果
として、アークの広がりすぎによる鋼板表面の肉痩せ部
形成がなくなり、スパッタの発生もない良好な溶接部が
形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体など
の板厚5mm以下程度の薄鋼板を用いた部材のレーザ重
ね溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザは集中熱源であるためキーホール
溶接が可能であることから、部材の片側からのアクセス
で溶接でき、レーザを用いた重ね溶接が用いられてい
る。冷延鋼板や熱延鋼板などの薄鋼板を2枚以上重ねて
レーザ照射することにより、図5(a)に示すような重
ね溶接構造を容易に実現することができる。薄鋼板をレ
ーザ重ね溶接で溶接する場合、溶接速度は2m/min
を超える高速で溶接することができ、高い生産性を実現
する。
【0003】しかし、溶接個所において薄鋼板間の隙間
が大きくなると、図5(b)に示すように、レーザ照射
によって溶融した金属が鋼板の隙間に落ち込んでしま
い、ビード表面がアンダーフィルとなることがある。さ
らに薄鋼板間の隙間がより大きくなると、図5(c)に
示すように溶接ビードが各鋼板で分離し、両鋼板が接合
されない事態が生じる。例えば板厚0.7mmの薄板を
レーザ重ね溶接した場合、溶接速度4m/minで薄鋼
板間の隙間が0.3mm以上となると、ビード表面のア
ンダーフィルや未接合欠陥が発生する。溶接速度を2m
/minまで低下しても、薄鋼板間の隙間が0.5mm
を超えると溶接不良が発生する。さらに溶接速度を下げ
れば隙間の余裕度はある程度向上するが、これ以上溶接
速度を下げることは、工業的生産性の観点から好ましく
ない。
【0004】自動車車体など、薄鋼板を使用した3次元
形状の部材や構造物を溶接して組み立てる場合におい
て、レーザ重ね溶接が使用される。しかし、3次元加工
された部材どうしを密着しようとしても、全溶接長にわ
たって溶接個所を密着させることは困難であり、溶接個
所の一部分において鋼板間に隙間が発生することが多
い。この隙間発生個所において溶接不良となることがあ
り、全溶接長にわたり良好な溶接ビードを形成すること
は必ずしも容易ではない。
【0005】沸点が鉄の融点より低い金属、例えば亜鉛
がめっきされた鋼板を重ね溶接する場合、溶接に際して
溶接部鋼板表面のめっき金属が蒸発する。重ねあわされ
た鋼板どうしが密着していると、蒸発しためっき金属の
蒸気によって溶融金属が吹き飛ばされ、溶接欠陥とな
る。このため、表面に低沸点金属をめっきした鋼板の重
ね溶接においては、発生しためっき金属蒸気を逃がすた
め、重ねた鋼板の間に隙間を形成することが一般に行わ
れる。例えば、特開昭61−27189号公報では、亜
鉛めっき鋼板の間に適当な隙間を形成できるように、塑
性加工または機械加工を施すとしている。板厚0.8m
mの亜鉛めっき鋼板どうしの重ね溶接においては、鋼板
間に0.1mm以上の隙間が必要とされる。一方、同じ
鋼板において、隙間が0.5mm以上となると、上記の
ように図5(b)や図5(c)に示すような溶接異常が
発生するため、鋼板間の隙間許容範囲は0.1〜0.5
mmというきわめて狭い範囲となる。自動車車体などの
3次元形状の部材を重ね溶接する際には、隙間範囲を安
定してこの範囲内に制御することは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、冷延鋼板や
亜鉛めっき鋼板などを含む薄鋼板からなる部材のレーザ
重ね溶接方法において、良好な溶接ができる鋼板間の隙
間量の許容範囲を、従来のレーザ重ね溶接に比較して拡
大することの可能なレーザ重ね溶接方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】溶接部の鋼板間に隙間が
生じた場合、隙間を埋めるために多量の溶融金属が必要
となる。レーザによって鋼板を溶融して生じる溶融金属
だけではこの隙間を埋めるには不足し、その結果として
図5(b)(c)に示すような溶接不良が生じると考え
られる。
【0008】この溶融金属の不足を補うため、レーザ溶
接部にフィラーを供給し、レーザビームによってフィラ
ーを溶融して溶接部に溶融金属を供給することが考えら
れる。しかし、供給したフィラーの位置とレーザビーム
の位置がわずかでもずれるとフィラーの溶融不良を起こ
し、溶接ビード形成不良が生じる。特に本発明において
対象としている、自動車部材などの薄鋼板を用いた部材
や構造体の場合、3次元形状を有しているためにレーザ
ビームの位置とフィラーの位置を全溶接位置にわたって
合わせることは困難であり、実際の施工としては溶接不
良が多発する結果となる。
【0009】レーザ溶接部にフィラーを供給し、フィラ
ーと鋼板の間に電圧を印加してアーク溶接とすれば、フ
ィラーが自ら溶融してレーザ加工点に溶融金属を供給す
ることが可能になる。レーザ加工点とワイヤ供給位置と
の相対位置関係は、フィラーをレーザビームで溶融しよ
うとする場合に比較すると変動許容範囲は広がる。厚板
の突合せ溶接においては、レーザ溶接とアーク溶接とを
組み合わせた溶接方法が知られている。特開昭59−6
6991号公報記載の発明においては、厚板の溶接にお
いてレーザとミグを併用し、溶接部の溶け込み深さの増
大を図っている。特開平10−216972号公報にお
いては、厚板の突合せ溶接を高速度で行う目的で、レー
ザとアーク溶接を重畳させ、レーザの深い溶け込みとア
ークの溶着金属によって能率的な溶接を行っている。
【0010】これら厚板において知られているレーザ溶
接とアーク溶接との併用においては、アーク溶接条件
は、スプレー移行域において行われていた。多量のフィ
ラメタルを供給するためにはこの領域での溶接が必須で
あった。薄板の重ね溶接においても、2m/min以上
の高速溶接を行う必要がある場合、レーザ溶接と併用す
るアーク溶接においてもスプレー移行域あるいはグロビ
ュール移行域において行う必要があると考えられてい
た。しかし、スプレー移行域では、アークが広がりす
ぎ、鋼板表面を広範囲に溶融するので、薄鋼板の重ね溶
接に適用すると溶け落ちが発生してしまう。また、グロ
ビュール移行域では、粗大なスパッタが多く発生する。
薄鋼板の重ね溶接は、自動車車体のように表面性状の良
好性が要求されるので、溶接でスパッタが発生したので
は重ね溶接に適用することはできない。また、スパッタ
の発生はレーザの光学系を汚損するという問題も有す
る。
【0011】本発明は、薄鋼板からなる部材のレーザ重
ね溶接方法において、レーザ溶接を行うとともにレーザ
加工点の後方を狙ってアーク溶接を行い、さらに該アー
ク溶接の電流・電圧範囲を短絡移行域とすることによっ
て問題を解決した。
【0012】従来、アーク溶接の電流・電圧範囲を短絡
移行域とする場合の溶接速度は最大でも1.5m/mi
n程度であると考えられていた。特に2m/min以上
の高速溶接において短絡移行域を適用すると、連続的な
溶接ビードが形成されないという問題が発生するため、
適用は困難であるとされていた。しかし、本発明のよう
にレーザ溶接とアーク溶接とを併用し、さらにレーザ加
工点の後方を狙って短絡移行条件でアーク溶接を行う
と、アーク溶接の溶滴はレーザ照射によって生成した溶
融金属中に円滑に吸引されて連続的にフィラメタルが溶
接ビードに供給され、またスパッタの発生もなく溶接を
行って、図3に示すような良好な溶接部を形成できるこ
とが明らかになった。
【0013】アーク溶接の電流範囲をスプレー移行域と
した場合、十分高速での溶接であれば鋼板が溶け落ちる
という問題は発生しないが、その溶融幅はレーザビーム
による溶融幅よりも広くなり、溶融金属はレーザの溶融
幅程度の範囲に凝集してしまい、鋼板表面には図6に示
すような肉痩せ部13が発生することとなる。この肉痩
せ部13まで埋めることのできるアーク溶接条件を採用
すると、入熱過多となり、薄板構造物では熱変形が大き
くなりすぎる。また、グロビュール移行域では、スパッ
タの発生により、鋼板表面性状の悪化、レーザ光学系の
汚損という問題が生じる。本発明ではアーク溶接の電流
・電圧範囲を短絡移行域としているので、スプレー移行
域やグロビュール移行域で溶接した場合の上記問題が発
生しない。
【0014】また、アーク溶接はレーザ加工点の後方を
狙って行っているので、キーホールから噴出する金属蒸
気によって溶滴の移行が妨げられるという問題は発生し
ない。
【0015】本発明において、好ましくはレーザ溶接に
おけるレーザ波長が1.06μm以下とする。また、ア
ーク溶接はMIG溶接とする。溶接速度を2m/min
以上とする。さらに、レーザ加工点とアーク溶接位置と
の間隔は0.5mm〜5mmの範囲とする。
【0016】本発明においてはまた、溶接を行う薄鋼板
の1枚又は2枚以上は、鉄の融点より沸点が低い金属を
めっきした鋼板であり、重ね溶接個所において部材間に
隙間を設けて溶接を行う場合に特に良好な結果を得るこ
とができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1、2によって本発明のレーザ
重ね溶接方法について説明する。本発明は、板厚5mm
以下の薄鋼板を用いた部材のレーザ重ね溶接を対象とし
ている。板厚が5mm以下の薄鋼板において、短絡移行
域でのアーク溶接を併用する本発明の効果が特に顕著に
得られるからである。
【0018】レーザ溶接の条件としては、密着があり得
る冷延鋼板どうしの重ね溶接、部材間に隙間を設けるめ
っき鋼板どうしあるいはめっき鋼板と冷延鋼板との重ね
溶接ともに、下板が貫通あるいは部分溶け込みに関わら
ずキーホール溶接可能な条件とする。同時に行うアーク
溶接は、溶け込み深さを増大する能力を持たせるような
条件では行わないので、レーザ溶接のみによってキーホ
ール溶接可能な条件としておかないと上板と下板の完全
な溶接を確保できないからである。このことは、3枚以
上の重ね溶接でも同様であり、レーザの照射側から一番
遠い鋼板がキーホール溶接可能な条件とする。
【0019】レーザ溶接に用いるレーザビーム4の波長
は、1.06μm以下とすることが好ましい。長波長の
レーザビームを用いた場合、シールドが不完全だと浸入
した空気中の窒素を解離し、溶融金属に窒素が吸収され
る原因となる。溶融金属に窒素が吸収されると、溶接ビ
ード中に気孔が発生することとなる。レーザビーム波長
を1.06μm以下の短波長とすれば、シールドが不完
全でも窒素吸収による気孔の発生を防止することができ
る。この条件を満足するレーザ光源5としてはYAGレ
ーザが最も一般的である。特にYAGレーザであれば光
ファイバによるビームの転送が可能であり、溶接装置を
コンパクトに構成することができる。さらに、半導体レ
ーザも上記波長条件を満足する。半導体レーザは、溶接
機のロボットアームに発振器を搭載することが可能であ
り、YAGレーザと同じく溶接装置をコンパクト化する
ことができる。
【0020】アーク溶接方法は、ガスシールド消耗電極
式アーク溶接とし、最も好ましくはMIG溶接とする。
MIG溶接が好ましい理由は、炭酸ガスを含んだシール
ドガスを用いる場合と比較してスパッタの発生が少ない
からである。MIG溶接の条件としては、シールドガス
としてスパッタの最も少ないAr−O2混合ガスを用いる
のが好ましい。この際、酸素量を0.5%以上とする。
酸素量2%が最も好適である。純Arではアークの安定
性に欠ける。本発明では、図2に示すようにアークの狙
い位置10をレーザ溶接の加工点9より後方とするよう
にアークトーチ8を配置してしているため、レーザ溶接
によって生成するプルームによってアークの安定性を確
保することが困難なためである。炭酸ガスレーザのよう
に弱電離したレーザ誘起プラズマを生成するレーザ光源
ではなく、ほとんど電離しないプルームの生成するYA
Gレーザを好ましい形態としていることも関与してい
る。プルームが電離していない場合、アーク溶接のシー
ルドガス中に酸素を含んでいないと、アークの誘導能力
が低くアークが安定しない。また、溶接電源としてパル
ス電源を用いることもスパッタの低減に有効である。
【0021】レーザの集光光学系6に十分なスパッタ防
止対策がなされている場合、たとえば集光光学系の前に
十分な性能を有するエアナイフ7が設置されている場合
には、シールドガスとしてAr−CO2系や、CO2を用い
たMAG溶接を採用することもできる。
【0022】レーザ光源5として波長1.06μm以下
の短波長のレーザを用いる場合、溶接加工点のシールド
ガスとしてはアーク溶接からのシールドガス流のみで十
分である。これにより、センターシールドのハウジング
やサイドシールドのノズル配置が不要となり、アーク溶
接トーチの組み込みが容易になる。
【0023】本発明においては、アーク溶接を短絡移行
条件で行うことが最も重要なポイントである。そのため
には、溶接電圧を18V前後、高くとも20V程度に抑
制することが必要である。また電圧波形を計測し、短絡
が生じていることを確認することや、アーク単独での溶
接を行い、ショートアークとなっていることを目視で確
認することも有効である。
【0024】アークの狙い位置10としては、めっき金
属を含め、金属蒸気が吹き上がっているレーザの加工点
9は狙わず、0.5mm以上後方を狙うと好ましい。こ
れより近すぎるとスパッタの発生が増大することとな
る。一方、レーザ加工点9とアーク狙い位置10との距
離が5mmを超えると、レーザで溶融した溶融金属がア
ーク位置で既に凝固・冷却しているので、アーク溶接で
供給した溶滴がレーザで溶融した部位になじまず、アー
ク溶接による溶鋼の供給が鋼板表面にとどまって上板と
下板の完全な溶接を確保することができない。
【0025】アーク溶接の電流値は、鋼板間の隙間とし
て予想される最大隙間を埋めるのに十分な溶着量を、短
絡移行条件の溶接において確保することができる電流値
とする必要がある。鋼板間の隙間が大きくなることは、
必要な溶着量が大きくなることを意味する。その分電流
値を上げて溶着量を確保する必要があるが、電圧はスプ
レー移行とならないように20V程度に抑える必要があ
る。
【0026】アーク溶接のワイヤ径は、φ1.6mm以
下の比較的小径のものが好ましい。ワイヤが太くなると
アークが広がり、幅広く溶融するようになるためであ
る。
【0027】溶接速度は、2m/min以上とすると好
ましい。2m/min未満では、溶接の生産性が低下
し、重ね溶接本来の高い生産性を損なうこととなる。
【0028】アーク溶接条件を短絡移行域としているた
め、シールドキャップを細径にでき、溶接装置への組み
込みが容易となる。また、レーザ溶接の集光光学系6と
アーク溶接トーチ8を共通ベースに組み込み、同時にロ
ボットアームなどで駆動することが可能である。これに
より、3次元構造物の溶接においても、レーザの加工点
9とアークの狙い位置10との相対位置関係を本発明の
最適範囲内に確保した溶接を容易に行うことができる。
【0029】本発明により、溶接部の鋼板間に許容され
る隙間11の上限を拡大し、図3に示す良好な溶接部を
形成することができた。板厚0.8mmの薄鋼板の重ね
溶接の場合、従来のレーザ重ね溶接においては0.5m
mの隙間までしか許容できなかったものが、本発明では
1.5mmまで許容できるようになった。板厚2mmの
場合には、従来法の許容隙間上限が1mmであったのに
対し、本発明では2mmまで許容できるようになった。
溶接する鋼板が冷延鋼板の場合には、隙間の下限は完全
密着することが可能である。
【0030】本発明は、鉄の融点より沸点が低い金属を
めっきした鋼板を重ね溶接する際に特に効果を発揮す
る。鉄の融点より沸点が低い金属をめっきした鋼板を重
ね溶接するに際しては、前述のとおり重ね溶接個所にお
いて部材間に隙間を設けて溶接を行うことが必要であ
る。0.1mm以上の隙間を設けることが要求される。
本発明においては、隙間の上限が従来に比較して拡大し
ているので、溶接不良を発生させることなく隙間を設け
ることができ、めっき鋼板の重ね溶接を安定して行うこ
とが可能になった。
【0031】
【実施例】(実施例1)板厚0.7mmの冷延鋼板の重
ね溶接に本発明を適用した。溶接部における鋼板間の隙
間は、最大で0.7mm、最小で0.1mmであった。
レーザとしてYAGレーザを用い、レーザ焦点位置は上
板表面、焦点位置でのビームスポット直径は0.6m
m、加工点出力2kWとした。アーク溶接としてMIG
溶接を用い、直径0.8mmの軟鋼ワイヤを用い、溶接
電流を70Ampでショートアークを形成した。レーザ
加工点とアーク溶接位置との間隔を1mm、溶接速度を
3m/minとした。溶接部の鋼板間隙間が最大で0.
7mm存在したにもかかわらず、図3に示すような良好
な溶接を行うことができた。
【0032】(実施例2)板厚0.8mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板と板厚1mmの冷延鋼板の重ね溶接に本
発明を適用した。発生亜鉛蒸気対策として、溶接部にお
ける鋼板間の最小隙間を0.3mmとした。その結果、
最大隙間は1.0mmとなった。レーザとしてYAGレ
ーザを用い、レーザ焦点位置は上板表面、焦点位置での
ビームスポット直径は0.6mm、加工点出力4kWと
した。アーク溶接としてMIG溶接を用い、直径1.2
mmの軟鋼ワイヤを用い、溶接電流を100Ampでシ
ョートアークを形成した。レーザ加工点とアーク溶接位
置との間隔を5mm、溶接速度を4m/minとした。
溶接部の鋼板間隙間が最大で1.0mm存在したにもか
かわらず、良好な溶接を行うことができた。
【0033】(実施例3)板厚0.7mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板どうしの重ね溶接に本発明を適用した。
鋼板間の最大隙間は0.7mmであった。レーザとして
YAGレーザを用い、レーザ焦点位置は上板表面、焦点
位置でのビームスポット直径は0.6mm、加工点出力
4kWとした。アーク溶接としてAr−2%O2のシール
ドガスを用いたMIG溶接を用い、直径0.8mmのワ
イヤを用い、溶接電流80Ampでショートアークを形
成し、フィラメタルを短絡移行させた。レーザ加工点と
アーク溶接位置との間隔を1mm、前進角を40°、溶
接速度を4m/minとした。図3に示すような溶接部
を形成し、良好な溶接を行うことができた。
【0034】(実施例4)板厚0.8mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板どうしを重ね溶接するに際し、図4に示
す構造の部材として溶接部の鋼板間の隙間を確保し、本
発明を適用した。鋼板を押し付けた際の鋼板間の最小隙
間は0.5mmであった。レーザとしてYAGレーザを
用い、レーザ焦点位置は上板表面、焦点位置でのビーム
スポット直径は0.6mm、加工点出力4kWとした。
アーク溶接としてAr−2%O2のシールドガスを用いた
MIG溶接を用い、直径0.8mmのワイヤを用い、溶
接電流80Ampでショートアークを形成し、フィラメ
タルを短絡移行させた。レーザ加工点とアーク溶接位置
との間隔を2mm、溶接速度を4m/minとした。溶
接部の全長にわたって図4に示すような溶接部を形成
し、良好な溶接を行うことができた。溶接後に溶接部を
切り出し、断面顕微鏡観察を行ったところ、平均の鋼板
間隙間は0.6mm、最小隙間は0.5mm、最大隙間
は1mmであった。
【0035】本実施例と同じ部材をYAGレーザ単独で
溶接したところ、部分的に図4に示す溶接部が形成され
たが、大部分は図5(c)に示すように溶接ができなか
った。
【0036】(比較例1)板厚0.7mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板どうしの重ね溶接をレーザ溶接のみによ
って行なった。レーザとしてYAGレーザを用い、レー
ザ焦点位置は上板表面、焦点位置でのビームスポット直
径は0.6mm、加工点出力4kWとした。溶接速度を
4m/minとした。鋼板間の隙間が0.2mmの場合
においては、図5(a)に示すような良好な溶接部を形
成することができた。鋼板間の隙間が0.4mmとなる
と、図5(b)に示すように上板1にアンダーフィル1
2が形成された。鋼板間の隙間0.6mmでは、図5
(c)に示すように上板1と下板2との両溶接部3が切
断される結果となった。
【0037】(比較例2)板厚1.4mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板どうしの重ね溶接を行った。鋼板間の最
大隙間は1.4mmであった。レーザとしてYAGレー
ザを用い、レーザ焦点位置は上板表面、焦点位置でのビ
ームスポット直径は0.6mm、加工点出力4kWとし
た。アーク溶接としてAr−2%O2のシールドガスを用
いたMIG溶接を用い、直径0.8mmのワイヤを用い
た。溶接電流240Ampでスプレー移行させた点が本
発明と異なる。溶接速度を4m/minとした。アーク
溶接をスプレー移行によって行ったため、アークの広が
りが最終的に形成される溶接ビード幅よりも広くなり、
この広がったアークによって鋼板表面を溶融したことか
ら、図6に示すように溶接ビード近傍の母材で板厚の減
少が生じてしまった。
【0038】(実施例5)上記比較例2に対し、アーク
溶接条件のみを変更し、ワイヤ直径を1.2mm、溶接
電流を140Ampとして短絡移行条件で溶接を行った
ところ、図3と同様の良好な溶接ビードを形成すること
ができた。
【0039】
【発明の効果】本発明は、薄鋼板からなる部材のレーザ
重ね溶接方法において、レーザ溶接を行うとともにレー
ザ加工点の後方を狙ってアーク溶接を行い、さらに該ア
ーク溶接の電流・電圧範囲を短絡移行域とすることによ
り、溶接部に板厚の薄い肉痩せ部を形成することもな
く、スパッタによって鋼板を汚染することもなく、溶接
部に溶鋼の供給を行うことができた。この結果、良好な
溶接ができる鋼板間の隙間量の許容範囲を、従来のレー
ザ重ね溶接に比較して拡大することができた。
【0040】本発明は特に、鉄の融点より沸点が低い金
属をめっきした鋼板を重ね溶接するに際し、重ね溶接個
所において部材間に隙間を設けて溶接を行う場合に良好
な結果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ重ね溶接方法を示す概念図であ
る。
【図2】本発明のレーザ重ね溶接方法の部分拡大図であ
る。
【図3】本発明のレーザ重ね溶接を行った溶接部の断面
図である。
【図4】本発明の実施例5におけるレーザ重ね溶接を行
った溶接部の断面図である。
【図5】従来のレーザ重ね溶接を行った溶接部の断面図
であり、(a)は鋼板間の隙間が少なく良好な溶接部が
形成された状況、(b)は鋼板間の隙間が大きくてアン
ダーフィルが生成した状況、(c)は両鋼板が接合され
ない状況を示す図である。
【図6】比較例2のレーザ重ね溶接を行った溶接部の断
面図である。
【符号の説明】
1 上板 2 下板 3 溶接部 4 レーザビーム 5 レーザ光源 6 集光光学系 7 エアナイフ 8 アークトーチ 9 レーザの加工点 10 アークの狙い位置 11 隙間 12 アンダーフィル 13 肉痩せ部 14 溶接方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱谷 秀樹 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 及川 初彦 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 田中 隆 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 小原 昌弘 大分市大字西ノ州1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内 Fターム(参考) 4E068 BC01 BF00 DA14 DB01 DB15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄鋼板からなる部材のレーザ重ね溶接方
    法において、レーザ溶接を行うとともにレーザ加工点の
    後方を狙ってアーク溶接を行い、該アーク溶接の電流・
    電圧範囲を短絡移行域とすることを特徴とするレーザ重
    ね溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記レーザ溶接におけるレーザ波長が
    1.06μm以下であることを特徴とする請求項1に記
    載のレーザ重ね溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記アーク溶接がMIG溶接であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ重ね溶接方
    法。
  4. 【請求項4】 溶接速度が2m/min以上であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ
    重ね溶接方法。
  5. 【請求項5】 レーザ加工点とアーク狙い位置との間隔
    は0.5mm〜5mmの範囲であることを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載のレーザ重ね溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記薄鋼板の1枚又は2枚以上は、鉄の
    融点より沸点が低い金属をめっきした鋼板であり、重ね
    溶接個所において部材間に隙間を設けて溶接を行うこと
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザ
    重ね溶接方法。
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