JP2009119364A - 濾過材およびカートリッジフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】 流体から異物を除去する濾過材において、濾過材の構成に特徴を持たせることで濾過面積を増加し長寿命を実現させる。
【解決手段】
一または複数の濾過シートと、濾過シートの一次側と二次側にネット状物が積層している濾過材であって、一次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットの空隙が0.5mm2〜40mm2であり、二次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネットの空隙が1mm2〜170mm2であり、一次側ネット状物と二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05〜5であることを特徴とする濾過材とする。本発明の濾過材は濾過面積の減少を防止する効果が高く、特にプリーツ折りをして使用するカートリッジフィルターにおいて、高い濾過寿命の向上効果が確認できる
【選択図】なし

Description

本発明は、飲料食品、薬液、各種油脂、また、工業用洗浄水等の流体の濾過に適した濾過材およびカートリッジフィルターに関するものである
異物を含む気体や液体に対し、不織布や合成樹脂の薄膜を含む濾過材を用いることで、流体中に含まれる異物を取り除くフィルターは、容易に異物捕集、除去できる手段として広く使用されている。前記フィルターは、その材質や構造を工夫することで、含まれる異物の種類やサイズ、通過させる流体に最適なフィルターを得ることができる。このような流体から異物を捕集、除去するフィルターの重要な要素としては、捕集、除去できる異物とその精度を示す濾過精度の他にもフィルターが使用開始から、目詰まりなどにより使用できなくなるまでの期間を示す濾過寿命も重要な要素として挙げられる。
濾過寿命を低下される大きな原因の一つは、サイズの大きい異物がフィルターに流入した場合である。フィルターの濾過膜として使用する不織布や合成樹脂フィルムは、主な対象となる異物によって濾過膜の細孔径が異なり、より微細な細孔径が使用される。この場合、濾過膜の前に、濾過膜よりも大きな細孔径を有する不織布やネット状物、織編物といった繊維集合物を積層することにより、濾過材の細孔径よりもサイズのかなり大きい異物は積層した繊維集合物に捕らわれ、精密濾過を行う濾過膜に到達しないことから、濾過膜はその細孔径よりもややサイズの大きい異物のみを取り除き、大きな異物は容易に不織布や樹脂膜といった濾過膜の表面に覆われ、濾過寿命が低下する現象を防止することができる。また、不織布や樹脂膜といった濾過膜は非常に薄いものが多いため、特に液体から異物を取り除く際に、不織布や樹脂膜といった濾過膜に対し、異物を含む液体が流入する側(一次側)に不織布やネット状物、織編物といった繊維集合物が積層することで高流速、また高圧の異物が濾過材に衝突することとなり、濾過膜が変形したり、破壊する原因となる。
このような課題に対しては既に考案がいくつか出されている。例えば特許文献1(特許第2814599号公報)では、ポリエチレン製微多孔膜を濾過膜とし、線径50〜150μmのポリエチレンモノフィラメントからなる織編物を支持体としているカートリッジフィルター用の濾過材が提案されている。特許文献2(特開2002−28458号公報)では、微孔性濾過膜、膜サポート、コアー、外周カバー、2枚のエンドプレートからなるカートリッジフィルターにおいて、微孔性膜に膜サポートが積層されていることを特徴とするカートリッジフィルターが提案されている。さらに特許文献3(特開2007−83145号公報)では、濾過膜に対し、異物を含む流体が流れ込む一次側に、平均孔径が限定された不織布を積層し、流体が流出する側(二次側)には、前記一次側に積層した不織布よりも孔径の大きな不織布あるいはネットを配置することを特徴としたカートリッジフィルターが提案されている
特許第2814599号公報 特開2002−28458号公報 特開2007−83145号公報
不織布や樹脂膜を濾過膜として使用した濾過材及びフィルターエレメントの目詰まりを防止することによる長寿命化及び不織布や樹脂膜からなる濾過膜の破損防止といった課題の解決策として提案されている特許文献1〜3であるが、それぞれ課題も残されている。特許文献1に示されている、ポリエチレン製微多孔膜を濾過膜とし、ポリエチレンモノフィラメントからなる織編物を支持体としているカートリッジフィルター用の濾過材に関する発明であるが、濾過膜の支持材として使用しているポリエチレンモノフィラメントからなる編織物は線径が50〜150μmと細く、容易に目詰まりが発生したり、編織物が濾過膜に容易にめり込むことで、濾過膜の隆起が発生し、濾過膜同士が貼り付くことで実質使用される濾過面積が減少し、有効的にフィルターエレメントの面積が使用されず目詰まりが発生するという大きな欠点がある。
特許文献2に記載のフィルターカートリッジでは、濾過膜に対し、一次側、二次側のどちらかにのみ膜サポートを使用したフィルターカートリッジが開示されている。しかし、膜サポートが二次側のみ配置した場合、濾過膜が露出した状態であり、濾過膜同士の貼り付きによる濾過面積の低下も発生することがある。一方、膜サポートが一次側のみ配置した場合、実際に液体の濾過に使用した際、濾過膜に流入する液体の圧力を支える支持体が存在しないため濾過膜の変形や破損が生じることがある。
また、特許文献3に記載されているカートリッジフィルターでは、濾過膜に対し、その一次側に平均孔径が4〜400μmの不織布を積層し、二次側にはそれ以上の孔径の不織布あるいはネットを積層するカートリッジフィルターが開示されている。この発明では、一次側に積層する不織布の平均孔径が4〜400μmと微細な平均孔径の不織布をプレフィルターとして使用していることから、細かい異物を多く含む濾液に対しては、プレフィルターと濾過膜で異物を捕集できるが、粒径の大きな粒子を多く含む濾液に対しては、プレフィルターの不織布が容易に目詰まりを起こすことがある。
さらに、上記特許文献1〜3において、いずれの文献についてもプリーツ加工した円筒形のカートリッジフィルターにおいて、隣り合ったプリーツ部分の濾過膜の接触による濾過面積の低下、また隣り合ったプリーツ部分の間の空間が異物により埋まることで濾液が通過する経路がふさがれ、フィルター全体が使用できなくなる問題について、有効な対策が開示されていないのが現状である。
本発明は、従来の濾過材が有する課題を鑑みてなされたものであり、高い濾過精度と長寿命を有する濾過材およびカートリッジフィルターを得ることを目的とする。
本発明の濾過材は、一または複数の濾過シートと、濾過シートの濾過面側に位置し、流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)にネット状物が積層している濾過材であって、
一次側に積層される一次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットの空隙が0.5mm2〜40mm2であり、
二次側に積層される二次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネットの空隙が1mm2〜170mm2であり、
一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05〜5であることを特徴とする。
本発明のカートリッジフィルターは前記濾過材が、プリーツ状に折り畳まれたカートリッジフィルターであり、プリーツ加工により生じた山折り部分が、外周50mm当たり18個以上形成されていることを特徴とするカートリッジフィルターである。
本発明の濾過材は、前記の構造を有することで、流入側(一次側)では液体や気体が流れる経路を確保することができ、加えて流出側(二次側)では積層されるネット状物がより薄いものとなるため、濾過圧に対する変形を抑制でき、濾過寿命を向上させることができる。本発明のカートリッジフィルターは前記濾過材をプリーツ加工することにより、よりコンパクトになるよう加工できるため、同じサイズであれば、山数を増加させることが可能であり、濾過面積を増加させ、濾過寿命を向上させることが可能となる。
本発明の濾過材は、一または複数の濾過シートと、濾過シートの濾過面側に位置し、流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)にネット状物が積層している濾過材であって、
一次側に積層される一次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットの空隙が0.5mm2〜40mm2であり、
二次側に積層される二次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネットの空隙が1mm2〜170mm2であり、
一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05〜5であることを特徴とする濾過である。
ここでいうネット状物の線径は、ネットを構成する線条において、線条と線条が交差している点付近や、線条同士が融着している点付近を除いた中で最も線径の細い部分で測定する。測定する際、線条が円形であれば、その直径をネット状物の線径とする。線条が異形断面や扁平な断面であれば、測定する部分において、その線条の最大差し渡し長さをそのネット状物の線径とする。測定する際はノギス、あるいはルーペ等で拡大しながら目視で測定できる。また、ネット状物の厚さとは、ネット状物の目合いが細かいものであれば厚み測定器を使用して計測が可能である。ネット状物の目合いが大まかで、ネット状物を構成する線条の交点部分が盛り上がっている、あるいは周囲の線条のみの部分と比較して厚さがある場合、また厚み測定器での厚さの測定が困難である場合、ネット状物の厚さは、線条が交差している点や線条が融着している部分の厚さをノギス、あるいはルーペ等で拡大しながら目視で測定した厚さををネット状物の厚さであると定義する。
本発明の濾過材では、一または複数の濾過シート、濾過シートの濾過面側に位置し、流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)にネット状物が積層している濾過材であり、濾過シートの両面にネット状物を積層する。そして流体の流入側(一次側)および、流体の流出側(二次側)に積層するネット状物について、一次側ネット状物を、二次側ネット状物と比較して、ネット状物の線径がより太い線条で構成された厚さのあるネット状物を使用すること特徴とする。この構成をとることで、濾液の圧力が高い場合においても十分な強度を示すことができ、使用時のフィルターの変形を防ぐことができる。また、一次側ネット状物の線径を二次側ネット状物より大きくし、二次側ネット状物の線径を一次側ネット状物より小さくすることで、プリーツ加工において山数を多くしても液体が通過する経路を確保することが容易である。さらに、一次側ネット状物の空隙部分の面積を、二次側ネット状物の空隙部分よりも、より狭いものにすることで、使用時における空隙部分からの濾過膜のはみ出しがなく、有効に使用される濾過面積の減少を抑制することができる。
本発明の濾過材において、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した、前記濾過シートの厚さが0.05〜1mmの範囲内であり、かつ、前記一次側ネット状物の線径と前記濾過シートの厚さの比(一次側ネット状物の線径/濾過シートの厚さ)が1.2以上であると好ましい。濾過材は実際に液体の濾過フィルターとして使用する際、高い圧力が加わる。この際一次側ネット状物の線径と濾過シートの厚さの比(一次側ネット状物の線径/濾過シートの厚さ)が1.2以上であると、一次側ネット状物が十分にスペーサーとしての効果を発揮するためである。一次側ネット状物の線径と濾過シートの厚さの比が1.2未満であると、液体の圧力により一次側ネット状物が濾過シートにめり込み、濾過シートが隆起、露出することで濾過シート同士が接触することがある。
本発明の濾過材において、濾過シートに積層するネット状物は、一次側、二次側共に格子状の空隙を形成している格子状の線条からなるネット状物であることが好ましい。ネット状物であり、前記条件を満たしていれば、いかなる形状の空隙を形成しているネット状物も使用可能であるが、構成線条の線径、線条により形成されている空隙部分の面積などの種類が豊富である点から、格子状のネット状物を使用することが好ましい。
本発明の濾過材において、樹脂シートからなる微多孔膜、単層不織布あるいは積層不織布等からなる濾過シートに積層するネット状物に含まれる樹脂成分は特に限定されず、使用環境に適した樹脂からなるネット状物を使用することが可能である。その中で、好ましくはポリオレフィン系樹脂からなる線条からなるネット状物を使用することが好ましい。この中でもポリプロピレンのみからなる線条で構成されたネット状物を使用することが好ましい。ポリプロピレンは耐薬品性が高いため、様々な濾液に対してしようできる他、本発明の濾過材をプリーツ折りしたものをケースに収め、両端はヒートシール加工を行うことで本発明のカートリッジフィルターが得られるが、この際、ネット状物が全てポリプロピレンで構成されているとオールポリプロピレン素材となり優れたヒートシール効果が得られるためである。
本発明の濾過材において、濾過シートとしては、樹脂シートを用いたメンブレンフィルターといった微多孔膜、単層不織布、不織布を積層した積層不織布、織編物が一例として挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、樹脂製の微多孔膜、有機繊維集合物及び無機繊維集合物等で異物を含む液体、もしくは気体から異物を捕集する作用・効果のあるものであれば本発明の濾過シートとして使用可能である。これらの濾過シートは1枚で使用される場合、複数の枚数を積層して使用する場合が考えられるが、濾過シートの枚数も特に限定されるものではない。その中でも本発明の濾過材に使用する濾過シートとしては、単層不織布あるいは二層以上の不織布を積層させた積層不織布が濾過シートとして好ましい。前記濾過シートに使用される単層不織布あるいは二層以上の不織布を積層させた積層不織布は不織布の製法が特に制限されず、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、水流交絡法不織布等あらゆる不織布が使用可能であるが、本発明の濾過材に使用する不織布はメルトブロー法により得られたメルトブローン不織布を使用することが好ましい。メルトブローン不織布は他の不織布の製法と比較して、極細繊維が得られやすく、他の不織布製造方法で作製した同目付の不織布と比較した場合繊維の充填率が高いことから、本発明の濾過材に好ましい。
本発明の濾過材において、濾過シートを構成する単層不織布あるいは積層不織布はメルトブローン不織布が好ましい。その中で、より好ましくは、単層不織布、あるいは積層不織布の両面が平滑化されていることが好ましい。ここでいう平滑化とは、メルトブローン不織布の表面に、例えば熱ロールを使用した熱カレンダー加工を施すことで、不織布表面が平滑化され多孔膜状にしたものを指す。メルトブローン不織布の両表面を熱ロールによる熱カレンダー加工を行うことで、メルトブローン不織布表面が多孔膜状にすると共に、メルトブローン不織布全体が緻密なものとなり、濾過材においてより高精度の濾過が可能となる。
本発明の濾過材において、濾過シートを構成する不織布は、両表面が平滑化された単層不織布、あるいは両表面を平滑化させた積層不織布が好ましい。その中で好ましくは、濾過シートを構成する両表面が平滑化した単層不織布、あるいは両表面を平滑化させた積層不織布がメルトブローン不織布であり、前記メルトブローン不織布は、不織布密度が0.1〜0.7g/cm3、ASTM F 316−86に準じて測定した平均孔径が0.5〜30μm、最大孔径が5〜40μm、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した厚みが0.05〜1mmの範囲内であることが好ましい。濾過材の濾過シートとして使用する不織布がこれらの範囲を満たすことで、濾過材の圧力損失、また実際に濾液を濾過した際に、濾過精度に優れた濾過材が得られる。
本発明の濾過材において、濾過シートを形成する前記単層不織布あるいは積層不織布の材質は特に限定されるものではなく、不織布の両面に積層するネット状物と同様に使用環境に適した樹脂を用いた繊維からなる不織布を使用することが可能である。なかでもポリオレフィン系繊維からなる不織布を使用することが好ましい。ポリオレフィン系繊維であれば、特にその形状、成分の数は限定されず、複数の成分からなる芯鞘構造の複合繊維、分割型複合繊維、海島型複合繊維のいずれの複合繊維も使用可能である。また繊維の断面形状も円形の他、異形断面の繊維も使用可能である。ポリオレフィン系繊維の中でも特にポリプロピレンのみの単一繊維で構成された不織布を使用することが好ましい。ポリプロピレンは耐薬品性が高いため、様々な濾液に対して使用できる。さらに本発明の濾過材をプリーツ折りしたものをケースに収め、両端をヒートシール加工を行うことで本発明のカートリッジフィルターが得られるが、この際、不織布が全てポリプロピレンで構成されていると優れたヒートシール効果が得られるためである。
本発明の濾過材は、筒状フィルターなどのあらゆるフィルターに使用可能であるが、好ましくは本発明の濾過材をプリーツ状に折り畳み、カートリッジフィルターの濾過材として使用すると好ましい。
本発明のカートリッジフィルターにおいて、プリーツ加工した濾過材をケースに収め、両端をヒートシール加工してあれば、特に限定されるものではない。プリーツ加工により生じる山折り部分は、数が多いほど濾過面積が増えることで濾過寿命の向上が期待されるが、本発明のカートリッジフィルターにおいては、プリーツ加工により生じた山折り部分が、外周50mm当たり18個以上形成されていることが好ましい。
以下、単層不織布、あるいは二層以上の不織布が積層している積層不織布を濾過シートとし、流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)に線条からなるネット状物が積層している濾過材をプリーツ加工したものを使用した本発明のカートリッジフィルターについて製造方法の一例を挙げて説明する。
前記単層不織布、あるいは二層以上の不織布が積層している積層不織布の流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)に積層する線条からなるネット状物について説明する。一次側に積層されるネット状物は、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネット状物の空隙が0.5〜40mm2である。二次側に積層されるネット状物は、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネット状物の空隙が1〜170mm2である。そして、一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)は1.05〜5である。上記ネット状物の線径、厚さ、ネットの空隙部分の面積などの条件を満たしつつ、一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)を満たすネット状物の組合せであれば、いかなるネット状物も使用可能である。
一次側ネット状物は、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットの空隙が0.5〜40mm2であり、二次側ネット状物と比較してネットの厚さのより厚いものを積層することを特徴とする。これは一次側ネット状物を強度の高いものにすることで、圧力が高い液体が流入しても濾過材全体の形状を維持する効果がある。また、一次側ネット状物が厚さのあるものであると、本発明の濾過材をプリーツ加工したものを円筒状のカートリッジフィルターとした際、プリーツ折りの隣り合った山との距離が離れ、スペーサーとして機能するため、濾過する液体の通過経路が確保されやすく、また、濾過膜が接触して濾過面積が減少することで濾過寿命が低下するのを防ぐ効果がある。本発明の濾過材をプリーツ加工したものを円筒状のカートリッジフィルターとした際、ネットの空隙の面積が大きいと、隣り合ったプリーツ山部分の濾過膜同士が接触しやすくなるため、一次側ネットはネットの空隙が0.5mm2〜40mm2の範囲内である必要がある。
一次側ネット状物の線径が0.25mm未満であると、ネット状物の強度が不足し、使用中に変形する恐れがある。また、プリーツ加工を施した円筒状のカートリッジフィルターとした際、隣り合った山の不織布からなる濾過膜が接触しやすくなる傾向にある。一次側ネット状物の線径が2mmを越えると、プリーツ加工などの加工性が悪く、また質量やコストの面で好ましくない。また一次側ネット状物の厚さが0.25mm未満であると、ネット状物の強度が不足し、使用中に変形する恐れがあるほか、プリーツ加工を施した円筒状のカートリッジフィルターとした際、隣り合った山の不織布からなる濾過膜が接触しやすくなる傾向にある。一次側ネット状物の厚さが2mmを越えるとプリーツ加工などの加工性が悪く、また質量やコストの面で好ましくない。また一次側ネット状物において、ネットの空隙が0.5mm2未満であると濾過の対象物が通過する際の圧力損失が大きくなり、また目詰まりが発生しやすくなるため好ましくない。一次側ネット状物において、ネットの空隙が40mm2を越えると、プリーツ加工を施した円筒状のカートリッジフィルターとした際、隣り合った山の不織布からなる濾過膜が接触しやすくなるため好ましくない。一次側ネット状物において、より好ましいネット状物の線径は0.3〜2mmであり、最も好ましくは0.4〜1.5mmの範囲内にあるときである。また、一次側ネット状物の厚さは0.3〜2mmであるとより好ましく、最も好ましくは厚さが0.4〜1.5mmの範囲内にあるときである。また、一次側ネット状物において、ネットの空隙の面積は0.5〜25mm2であるとより好ましく、最も好ましくは、空隙の面積が1〜20mm2の範囲内にあるときである。
二次側に積層されるネット状物は、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05mm〜0.6mm、ネットの空隙が1mm2〜170mm2であり、一次側ネット状物と比較して厚さの薄いネット状物を積層することを特徴とする。


また、二次側ネット状物はプリーツ加工を行い、円筒形のカートリッジフィルターとした際、濾過膜となる不織布の内側に配置されるため、より線径の小さい、より薄いネットを使用することで、プリーツ加工した濾過材がより小さいものとなることから、同じ直径のカートリッジフィルターでも、より多くの山数にできることが可能となる。また、二次側に積層するネット状物はプリーツ加工を行い、円筒形のカートリッジフィルターとした際、濾過膜となる不織布の内側に配置されるため、より細い繊度の、より薄いネットを使用することで、プリーツ加工の形状が1次側のネットよりも小さくなることから、同じ直径のカートリッジフィルターでも、より多くの山数にできることが可能となる。加えて、二次側ではできるだけ抵抗なく濾過の対象物を通過させる必要があるので、一次側ネット状物と比較して線径の小さい、より薄いネットを使用する。また、濾過材の圧力損失は可能な限り低いほうがよいことから、本発明の濾過材において、二次側ネット状物の空隙は、できるだけ大きいものが良く、ネット状物の空隙の大きさを1〜170mm2にするのがよい。
二次側に積層されるネット状物の線径が0.05mm未満であると、ネット状物の強度が不足し、使用中に変形、破損することがある。二次側ネット状物の線径が0.6mmを越えると、強度の面では十分であるが圧力損失は高くなる傾向であり、次いで、プリーツ加工を施しケースに収めたカートリッジフィルターとする際、山数を多くできないことがある。また二次側ネット状物の厚さが0.05mm未満であると、ネット状物の強度が不足し、使用中に変形、破損する恐れがある。二次側ネット状物の厚さが0.6mmを越えると強度の面では十分であるが、プリーツ加工を施し、ケースに収めたカートリッジフィルターとする際、山数を多くできないことがあり、また圧力損失が大きくなることがある。また二次側ネット状物において、ネットの空隙が1mm2未満であると濾過の対象物が通過する際の圧力損失が大きくなり、また目詰まりも発生しやすくなるため好ましくない。二次側ネット状物の空隙が170mm2を越えると、濾過材全体の強度が低下するため、一次側に積層したネット状物の強度が十分であっても変形する可能性があり好ましくない。二次側ネット状物において、より好ましいネット状物の線径は、0.07〜0.5mmであり、最も好ましくは0.1〜0.5mmの範囲内にあるときである。また、二次側ネット状物の厚さは0.07〜0.5mmであるとより好ましく、最も好ましくは厚さが0.1〜0.5mmの範囲内にあるときである。また、二次側ネット状物において、ネットの空隙の面積は1〜150mm2であるとより好ましく、最も好ましくは、空隙の面積が2〜100mm2の範囲内にあるときである。
上記条件で選択した、濾過膜として使用する単層不織布、あるいは積層不織布の一次側、二次側に積層されるネット状物は、それぞれ上記条件を満たしつつ、一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05〜5を満たしていなければならない。一次側ネット状物と二次側ネット状物のそれぞれの厚さがこの数値範囲を満たすことで、一次側ネット状物は濾過材に十分な強度と濾過の対象物が通過する経路を形成し、二次側ネット状物は、より薄いネット状物を使用することで、同じ大きさのカートリッジフィルターでもより山数の多いカートリッジフィルターを得ることを可能にし、さらに圧力損失を下げることが可能である。一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05よりも小さいと、一次側ネット状物の強度が不足し、使用中に濾過材が変形することがあったり、二次側ネットの厚さが厚すぎるため、圧力損失が大きくなったりすることがある。また、一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比が5よりも大きくなると、一次側ネット状物の厚さが厚すぎることから、プリーツ加工などの後加工をする際の加工性が低下したり、プリーツ形状が明確に発現しない可能性がある。また、二次側ネット状物が薄すぎることから、二次側ネット状物が使用中に破損することもある。一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)は1.5〜5であるとより好ましく、最も好ましいのは、2〜4のときである。
本発明の濾過材に使用する濾過シートは、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した厚さが0.05〜1mmの範囲内であり、かつ、前記一次側に積層されるネット状物の線径と濾過シートの厚さの比(一次側ネット状物の線径/濾過シートの厚さ)が1.2以上であると好ましい。濾過材をプリーツ加工し、カートリッジフィルターとして液体の濾過に使用すると、液体の圧力により、一次側ネット状物はその線条が濾過シート中にめり込んでいく。このとき濾過シートの厚さに対して一次側ネット状物の線径が十分に大きいと、線条が濾過シートにめり込んでも濾過シート表面に線条が十分に露出することで隣り合うプリーツ部分の濾過シート同士が貼り付くのを防ぐ効果を発揮する。それに加えて、隣り合ったプリーツ部分とプリーツ部分に対し、濾過の対象となる液体が通過する経路を確保するスペーサーとして働くため、カートリッジフィルターの全体を使用して濾過が行われるようになる。一次側ネット状物の線径と濾過シートの厚さの比が1.2未満であると、濾過シートの厚さに対して一次側ネット状物の線径が小さく、濾過材をカートリッジフィルターとして使用した際、ネット状物の線条が濾過シート中にめり込んでしまうため、濾過シート同士の接触が発生することがあり、それに加えてスペーサーとしての効果も発揮されないため、濾過の対象となる液体が通過する経路が確保されず、カートリッジフィルターの濾過寿命が低下することがある。一次側ネット状物の線径と濾過シートの厚さの比は1.2〜5であると好ましく、1.5〜4であると特に好ましい。
本発明の濾過材において、濾過シートに積層するネット状物は一次側、二次側共に規則的な空隙を形成しているネット状物であることが好ましい。ここでいう規則的な空隙が形成されているとは、線条によって形成されている空隙の面積や形状がバラバラでなく、同じ面積、同じ形状の空隙が繰り返されていることを指す。上記ネット状物の空隙部分の面積に関する条件が満たされ、同一形状の空隙が繰り返されていれば、ネット状物の空隙部分の形状は限定されず、空隙部分が三角形、四角形、六角形を始めとする多角形の空隙であれば、いずれの形状でも良い。ネット状物の空隙部分の形状において、より好ましくは格子状に線条が配置されているネット状物であり、最も好ましくは、空隙部分が正方形であるネット状物である。
本発明の濾過材に使用する不織布からなる濾過膜に積層するネット状物は、一次側、二次側の両方とも、特に構成する線条の材質については限定されず、濾過を行う環境に応じた材質からなるネット状物を使用することができる。そのため、線条の構成樹脂は特に限定されず、一次側、二次側のネット状物に対し、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂といった樹脂を使用することが可能である。この中でもポリオレフィン系樹脂からなる線条で構成されたネット状物を使用すると好ましく、特に好ましいのはポリプロピレンの単一成分で構成される線条で構成されたネット状物である。ポリプロピレンは耐薬品性が高いため、多くの液体の濾過に使用可能であり、軟化点、融点が低いため、熱加工性に優れているため、濾過材をケースに収めて両端をヒートシールする際、優れたヒートシール性を示すため好ましい。
本発明の濾過材は、前記濾過シートに対し、一次側、二次側に、それぞれの条件を満たす線条からなるネット状物を積層することで得ることができる。この際、積層するネット状物の向きは特に限定されないが、ネット状物の片表面が、もう一方の表面に対し、平滑でない、線条の形状を残した粗い表面である場合、一次側、二次側のネット状物は、共に平滑な面を濾過膜側に配置することが好ましい。すなわち一次側のネット状物においては、より平滑な面を濾過膜と接触する側に配し、平滑でない、線条の形状を残した粗い表面は流体が流れ込む外側に配置させると好ましい。また、二次側のネット状物においてはより平滑な表面を濾過膜である不織布の側に配し、流体が流れ出ていく二次側に、平滑でない、線条の形状を残した粗い表面を配すると好ましい。濾過膜の両表面に積層するネット状物について、上記のように、より平滑な面を濾過膜側に向けることで濾過時の濾過膜の破損を予防する効果がある。また、一次側においては、より粗い、凹凸の目立つ面を外側にすることで、隣り合ったプリーツ部分に空間が生じやすくなり、濾過をより全体で行うことが可能となる。
本発明の濾過材において濾過シートとして単層不織布、あるいは二層以上の不織布が積層している積層不織布を濾過膜として使用する。この濾過膜に使用する不織布は不織布の種類は特に限定されず、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、水流交絡不織布といった各種不織布が使用できるが、好ましくはメルトブローン不織布である。メルトブローン不織布は他の製法で製造された不織布比較して、極細繊維が得られやすく、他の不織布製造方法で作製した同目付の不織布と比較した場合繊維の充填率が高いことから、本発明の濾過材に好ましい。
前記メルトブローン不織布からなる濾過膜は、メルトブローン不織布であれば使用可能であるが、好ましくは両面が平滑化されたメルトブローン不織布である。ここでいう両表面が平滑化されたメルトブローン不織布とは、メルトブローン不織布の表面に、例えば熱ロールを使用した熱カレンダー加工を施すなど平滑化することにより、平滑化された不織布表面は多孔膜状化しているメルトブローン不織布のことを指す。この平滑化されたメルトブローンは平滑化されることで、不織布表面に多孔膜状化した部分を有する。そして、平滑化したメルトブローン不織布の内部は構成繊維の繊維形態が維持されることで不織布の構造が保たれている繊維層が残存する。両表面が平滑化されることで、表面に熱加工を行わないメルトブローン不織布と比較して、両表面が緻密な構造を有するようになることから、不織布を濾過シートとして使用する場合、両表面を熱加工して平滑化することが好ましい。
本発明の濾過材に使用する、両面が平滑化されたメルトブローン不織布は、不織布密度が1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した不織布密度が0.1〜0.7g/cm3であると好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の不織布密度が0.1g/cm3より小さいと、メルトブローン不織布に繊維が密に入っておらず、濾過精度の高いものが得られない場合があるためである。また、前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布の不織布密度が0.7g/cm3より大きいと、圧力損失が大きくなり、使用に適さなくなることや、濾過寿命の短い濾過材となることがある。本発明の濾過材に使用する両面が平滑化されたメルトブローン不織布は、その不織布密度が1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した不織布密度の範囲は、0.1〜0.7g/cm3であるが、前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布の不織布密度は用途に応じて適宜選択して使用する。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途での液体濾過であれば、より高密度の前記不織布が好ましく、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、低密度の両面が平滑化されたメルトブローン不織布を選択すると好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の密度は好ましくは0.15〜0.6g/cm3の範囲内であり、特に好ましくは0.2〜0.5g/cm3の範囲内のときである。
前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布のASTM F 316−86に準じて測定した平均孔径は0.5〜30μm、最大孔径が5〜40μmである。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の平均孔径が0.5μmより小さいと圧力損失が大きくなるため好ましくない。また様々な粒子径の異物を含む流体を濾過した場合、容易に目詰まりが発生し濾過寿命が低下することがある。一方、平均孔径が30μmより大きいと圧力損失は低下するものの、細孔径が全体的に大きいものとなるため濾過精度が低下することがある。また、目詰まりが発生しにくいものの、細孔径が全体的に大きいことから、細孔を通過する粒子が発生することがある。
最大孔径についても同様であり、前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布はASTM F 316−86に準じて測定した最大孔径は5〜40μmである。最大孔径が5μmより小さいと圧力損失が大きくなるため好ましくない。また様々な粒子径の異物を含む流体を濾過した場合、容易に目詰まりが発生し濾過寿命が低下することがある。一方、最大孔径が40μmより大きいと圧力損失は低下するものの、細孔径が全体的に大きいものとなるため濾過精度が低下することがある。また、目詰まりは発生しにくいものの、細孔径が全体的に大きいことから、細孔を通過する粒子が発生することがある。前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布について、ASTM F 316−86に準じて測定した平均孔径および最大孔径は、両面が平滑化されたメルトブローン不織布の不織布密度と同様に用途に応じて適宜選択して使用する。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途での濾過であれば、より平均孔径、最大孔径の小さい不織布が好ましく、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、平均孔径、最大孔径が比較的大きい不織布が好ましい。本発明の濾過材に使用する両面が平滑化されたメルトブローン不織布は、平均孔径が3〜25μm、最大孔径が10〜30μmであることが好ましく、平均孔径が5〜18μm、最大孔径が12〜27μmであると最も好ましい。
本発明の濾過材において、濾過シートに両表面が平滑化されたメルトブローン不織布を使用する場合、メルトブローン不織布は目付が20〜160g/m2の範囲内であり、かつ、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した厚みが0.1〜0.8mmの範囲内にあることが好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の目付や厚みが上記の範囲を満たすことで、本発明の濾過材に使用する両面が平滑化されたメルトブローン不織布は、両表面のみが平滑化され、内部に繊維構造を残したメルトブローン不織布となり好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布において、目付が20g/m2よりも小さい、または厚みが0.1mmよりも小さいと、平滑化する際にメルトブローン不織布内部まで圧着され平滑化されていることがあり、さらに濾過精度の低下が発生することもある。また目付が160g/m2よりも大きい、または厚みが0.8mmよりも大きいと、平滑化された層と平滑化されていない層の少なくとも2層からなる構造は得られるものの、圧力損失の増加や濾過寿命の低下を招くことがある。本発明の濾過材に両面が平滑化されたメルトブローン不織布を使用する場合、メルトブローン不織布の1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した厚みは、0.1〜0.5mmの範囲内にあると好ましく、0.13〜0.3mmの範囲内にあると特に好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の目付は、両面が平滑化されたメルトブローン不織布の不織布密度や平均孔径、最大孔径と同様に用途に応じて適宜選択して使用する。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途であれば、より高目付の不織布が好ましく、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、目付の比較的小さい不織布が好ましい。本発明の濾過材に使用する、両面が平滑化されたメルトブローン不織布の目付は25g/m2〜155g/m2の範囲内であると好ましく、目付が30g/m2〜150g/m2の範囲内にあると最も好ましい。
上記の不織布密度、平均孔径、最大孔径を満たす、両面が平滑化されたメルトブローン不織布を本発明の濾過材の濾過シートとして使用すると好ましい。そして上記目付、厚みを満たしているとより好ましい。上記の各条件を満たしている場合において、特に平均繊維径は限定されず、また表面が平滑化される際に、メルトブローン不織布を構成する繊維の一部が平坦な、いわゆる扁平化されるため、一概には言えないが、おおむね10μm以下であればよい。
本発明の濾過材において、前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布が、通気度が0.1〜40(cc/cm2/秒)の範囲内であることが好ましい。前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布の通気度がこの範囲を満たすことで、この両面が平滑化されたメルトブローン不織布を使用した本発明の濾過材およびカートリッジフィルターは濾過の対象物が気体である場合、圧力損失が低く、好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の通気度は通気度が0.1〜30(cc/cm2/秒)の範囲内であるとより好ましく、通気度が0.5〜25(cc/cm2/秒)の範囲内であると特に好ましい。
本発明の濾過材に使用する両面が平滑化されたメルトブローン不織布は両面が平滑化されたメルトブローン不織布であり、不織布密度、平均孔径、最大孔径等の上記不織布の物性値が上記の範囲内にあると好ましい。上記のような物性値が得られるメルトブローン不織布であれば、本発明の濾過材の濾過膜として使用するメルトブローン不織布は使用する樹脂は限定されず、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など、メルトブローン法によりメルトブローン不織布を製造できる樹脂であれば、いずれの種類の樹脂も使用可能である。この中でも、本発明の濾過材に使用する両面が平滑化されたメルトブローン不織布にはポリオレフィン系繊維からなるメルトブローン不織布を使用することが好ましく、特にポリプロピレン系の繊維であると好ましい。ポリプロピレンは耐薬品性が高いため、多くの液体の濾過に使用可能であり、軟化点、融点が低いため、熱加工性に優れていることから好ましい。本発明の両面が平滑化されたメルトブローン不織布にはポリプロピレン系繊維でなるメルトブローン不織布が好ましく、ポリプロピレン単一繊維でなるメルトブローン不織布が最も好ましい。
本発明の濾過材は、成形されてカートリッジフィルターを始めとした濾過フィルターに使用可能であるが、特に本発明の濾過材は、プリーツ状に折り畳まれ、両端をヒートシール加工して熱接着させたものをケースに収めて使用するカートリッジフィルターにして使用することが好ましい。
本発明の濾過材、およびカートリッジフィルターは次の製法によって製造することができる。すなわち、本発明の濾材は、両面が平滑化された、一層のメルトブローン不織布もしくは2層以上のメルトブローン不織布が積層された積層不織布を濾過膜とし、前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布からなる濾過膜の一次側、二次側の両表面に線条からなるネット状物が積層されており、一次側に積層される前記線条からなるネット状物が、構成線条の太さが0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットによって構成される空隙が0.5〜40mm2であり、二次側に積層される、前記線条からなるネット状物が、構成線条の太さが0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネットによって構成される空隙が1mm2〜170mm2であり、一次側に積層される線条からなるネット状物と、二次側に積層される、線条からなるネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の線径/二次側ネット状物の線径)が1.05〜5であることを特徴とする濾過材である。上記濾過膜の一次側、二次側に積層するネット状物が既製品のものであれば、材質、線条の線径、厚さ、ネットによって構成される空隙の面積等、様々なものがあるので、上記範囲を満たすものを選択し使用することができる。本発明の濾過材に使用する濾過膜について、好ましくは両面が平滑化されたメルトブローン不織布であり、この両面が平滑化されたメルトブローン不織布を得るために、メルトブローン不織布からなる原反を用意し、熱ロール等を用いて、両面を平滑化することが必要となる。
両面が平滑化されたメルトブローン不織布が、平滑化された後、前記不織布密度、平均孔径、最大孔径を満たすために、使用するメルトブローン不織布原反の不織布密度、平均孔径、最大孔径は下記の範囲にすることが好ましい。
両面が平滑化されたメルトブローン不織布が、本発明の濾過材に使用する濾過膜として好ましい濾過膜となるためには、濾過膜である両面が平滑化されたメルトブローン不織布の原反として使用するメルトブローン不織布の1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した不織布密度が0.05〜0.6g/cm3であり、平均孔径が5〜40μmであり、最大孔径が10〜50μmとすることが好ましい。より好ましくは、前記不織布密度、平均孔径、最大孔径の各数値範囲を満たし、かつ目付、厚みも限定されているメルトブローン不織布を原反として使用するとより好ましい。メルトブローン不織布原反の目付および厚みの好ましい数値は、目付が20〜160g/m2、厚みが0.15〜1mmの範囲内であると好ましい。このような原反を用いると、後述する熱ロール処理により所定の範囲を満たす両面が平滑化されたメルトブローン不織布を得ることができる。前記メルトブローン不織布原反において、不織布密度が0.05g/cm3より小さい、もしくはメルトブローン不織布原反の目付が20g/m2よりも小さいと、繊維密度が十分でなく、必要となる濾過精度が得られないことがある。逆にメルトブローン不織布原反の不織布密度が0.6g/cm3より大きい、またはメルトブローン不織布原反の目付が160g/m2よりも大きいと、熱カレンダー後の不織布の繊維密度が高くなりすぎるため、圧力損失が大きくなりすぎることがある。メルトブローン不織布原反の厚みは0.15mm〜1mmの範囲内を満たすようにするとよい。メルトブローン不織布原反の厚みが1mmより大きいと、熱カレンダー加工して得られる両面が平滑化されたメルトブローン不織布の繊維密度が高密度になりすぎることで、圧力損失が大きくなることがあるほか、両面が平滑化されたメルトブローン不織布の厚みが増加することで工程性が低下し、プリーツ加工などの後加工に悪影響を及ぼすことがある。逆に、加工前の原反の厚みが0.15mmより小さいと、繊維密度が十分に高められず、必要とする濾過精度が得られないことがある。また、得られる繊維シートも非常に薄いものであるため、強度が低く、使用中に破損することがある。
本発明の濾過材の濾過膜である両面が平滑化されたメルトブローン不織布に使用するメルトブローン不織布原反は、その不織布密度、目付、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した厚みが、それぞれの範囲を満たしつつ、用途に応じて適宜選択して使用することができる。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途であれば、不織布密度がより大きく、高目付で厚みのある不織布が好ましく使用される。一方、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、より低密度、低目付で厚みの薄い不織布が好ましく使用される。本発明の濾過材の濾過膜である両面が平滑化されたメルトブローン不織布に使用するメルトブローン不織布原反の不織布密度が、1cm2当たり2.94cNの荷重で測定した不織布密度が0.07〜0.6g/cm3であると好ましく、0.08〜0.5g/cm3であると最も好ましい。また両面が平滑化されたメルトブローン不織布に使用するメルトブローン不織布原反の好ましい目付は25〜155g/m2であり、30〜150g/m2であると最も好ましい。さらに、両面が平滑化されたメルトブローン不織布に使用するメルトブローン不織布原反の好ましい厚みは0.2〜1mmであり、0.25〜1mmであると最も好ましい。
本発明の濾過材において、濾過シートとして好ましく使用するメルトブローン不織布について、メルトブローン不織布原反が、平均孔径が5〜40μmの範囲内を満たし、最大孔径は10〜50μmの範囲内を満たすことが好ましい。前記メルトブローン不織布原反の平均孔径、最大孔径は熱ロールを使用した熱カレンダー加工により不織布表面の繊維同士が圧着されることで、加工終了後は小さくなるが、平滑化前のメルトブローン不織布原反の平均孔径が30μm以上、また、最大孔径が50μm以上であると、熱加工後も平均孔径や最大孔径の大きな状態となるため、結果的に求められる濾過精度が得られない恐れがある。また平均孔径が5μm以下であると、熱カレンダー加工により圧着した構成繊維によりメルトブローン不織布原反中の細孔が非常に狭くなるため、圧力損失が大きくなる恐れがある。前記メルトブローン不織布原反は、上記平均孔径、最大孔径の範囲を満たしつつ、用途に応じてそれらの値を適宜選択して使用することができる。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途であれば、平均孔径、最大孔径のより小さい不織布が好ましく使用される。一方、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、より平均孔径、最大孔径のより大きい不織布が好ましく使用される。高精度の濾過が必要となる用途において、メルトブローン不織布原反の熱加工前の平均孔径、また最大孔径は、平均孔径が10〜30μm、最大孔径が15〜45μmであることがより好ましく、最も好ましいのは平均孔径が15〜25μm、最大孔径が20〜40μmの範囲内にあるときである。
本発明の濾過材の濾過膜として使用されると好ましい、両面が平滑化されたメルトブローン不織布において、両面が平滑化されたメルトブローン不織布となるメルトブローン不織布原反は構成する繊維の平均繊維径が10μm以下であることが好ましい。両面が平滑化されたメルトブローン不織布となるメルトブローン不織布原反を構成する繊維の平均繊維径がこの範囲内にあることで、繊維間空隙を微細にすることが可能である。前記メルトブローン不織布原反の平均繊維径が10μmより大きいと、繊維間空隙が大きくなり、必要とする濾過繊度が得られなくなる恐れがある。原反となるメルトブローン不織布の平均繊維径は、1〜8μmの範囲内であるとより好ましく。特に好ましいのは平均繊維径が1〜7μmのときである。
本発明の濾過材の濾過膜として使用されると好ましい、両面が平滑化されたメルトブローン不織布は、前記メルトブローン不織布原反の両表面に熱ロールによる熱カレンダー加工を施すことで、熱カレンダー加工を施された表面が平滑化されることで、両表面の繊維を圧着して平滑化したメルトブローン不織布を得ることができる。熱ロールによる熱カレンダー加工を行う際の平滑加工する表面側の熱ロールの温度は、ロール温度をT(℃)とし、メルトブローン不織布に含まれる樹脂成分のうち、最も融解ピーク温度が低温の樹脂成分の融解ピーク温度をTm(℃)としたとき、
m−120(℃)<T(℃)<Tm(℃)
を満たす温度Tで前記メルトブローン不織布原反の両表面を熱ロール処理を施すことが好ましい。熱ロールの温度がTm−120(℃)より低いと、メルトブローン不織布原反の両表面が平滑化されず、繊維ウェブ内の空隙を適度に埋めることができず、得られる繊維シートが径の大きい細孔を有するものとなり、高い濾過精度を発揮できない恐れがある。また、熱ロールの温度Tm(℃)より高温であると、メルトブローン不織布原反中の構成繊維が熱ロールに接触した際、ほとんどが溶融し、メルトブローン不織布原反全体をコーティングするように融解樹脂が広がることで、メルトブローン不織布原反がフィルム状になる恐れがあるためである。熱ロールによる熱カレンダー加工を行う際の熱ロールの温度は、
m−100(℃)<T(℃)<Tm−20(℃)であると好ましい。本発明の濾過材にはポリプロピレンからなるメルトブロー不織布が好ましく使用されるが、ポリプロピレン単一繊維からなるメルトブローン不織布を原反として用いた場合、熱カレンダー加工を行う際の熱ロールの温度は50℃より加工可能であるが、好ましくは60(℃)<T(℃)<120(℃)、特に好ましくは、70℃<T(℃)<110(℃)を満たす温度T(℃)で熱カレンダー加工を行うとよい。
熱カレンダー加工の際の熱ロールの圧力も適宜設定されるが、前記メルトブローン不織布原反に熱カレンダー加工を行う際は、線圧が2〜10MPaであることが好ましい。圧力が2MPaより小さいと、厚み加工をした際にメルトブローン不織布表面の平滑化が進行せず、熱カレンダー加工後のメルトブローン不織布原反が嵩高なものとなったり、強度の低いメルトブローン不織布となる恐れがある。圧力が10MPaより高いと圧力により繊維間隔が密なものとなり、得られるメルトブローン不織布の圧力損失が高くなる恐れがある。また、加える圧力が大きいと、厚み加工中にメルトブローン不織布原反が破損する恐れもある。熱ロールの圧力の好ましい範囲は、好ましくは3〜7.5MPaであり、もっとも好ましくは、3〜6MPaの範囲を満たす圧力で熱カレンダー加工を行う場合である。
前記メルトブロー不織布原反に熱ロールによる熱カレンダー加工を施すことで、両面が平滑化されたメルトブローン不織布が得られる。両面が平滑化されたメルトブローン不織布は不織布の両表面が熱カレンダー加工されることで、前記メルトブローン不織布原反と比較して不織布中に存在する細孔径が縮小されている。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の平均孔径は0.5〜30μmを満たし、かつ最大孔径は5〜40μmであることを特徴とする。両面が平滑化されたメルトブローン不織布の平均孔径及び最大孔径がそれぞれの範囲を同時に満たすことで、繊維間空隙が均一かつ微細なものとなり、本発明の濾過材の濾過膜に適した前記両面が平滑化されたメルトブローン不織布が得ることができる。この両面が平滑化されたメルトブローン不織布は上記平均孔径、最大孔径の範囲を満たしつつ、用途に応じてそれらの値を適宜選択して使用することができる。すなわち、より高精度な異物の除去が必要とされる用途であれば、平均孔径、最大孔径のより小さい不織布が好ましく使用される。一方、比較的粒径の大きな異物を除去する用途であれば、より平均孔径、最大孔径のより大きい不織布が好ましく使用される。本発明の濾過材に濾過膜として使用される、両表面が平滑化されたメルトブローン不織布は、その平均孔径は、3〜25μmの範囲内であるとより好ましく、特に好ましいのは平均孔径が5〜18μmのときである。また最大孔径は10〜30μmであるとより好ましく、最も好ましいのは12〜27μmの時である。
前記濾過膜である不織布、好ましくは両面が平滑化されたメルトブローン不織布に対し、一次側、二次側の両表面に線条からなるネット状物を積層することで本発明の濾過材が得られる。
本発明の濾過材は、線条からなるネット状物と不織布の積層物の状態であっても使用可能であるが、好ましくは円筒状や角柱状などのある一定の形状に成型して使用する。この場合、本発明の濾過材をロール状に巻くことで円筒状にして使用することもできるが、本発明の濾過材の特に好ましい使用方法は、本発明の濾過材に対しひだ状に折りたたむプリーツ加工を施し、濾過材の両端をヒートシール加工して接着したものを、プラスチック製のプロテクター(ケース)に収め、両端をヒートシール加工することで封をした、カートリッジフィルターフィルターである。本発明のカートリッジフィルターの形状は、特に限定されるものではなく、円筒状、三角形、四角形、六角形などの角柱状などいずれの形状であっても問題ないが、円筒状のカートリッジフィルターであることが好ましい。
本発明の濾過材を使用することで、同じ大きさのカートリッジフィルターでも、より山数の多い濾過材をカートリッジフィルターに組み込むことが可能である。これは、本発明の濾過材が、濾過膜の一次側、二次側の両側に積層する線条からなるネット状物を、一次側と比較して、二次側をより線条の線径の細い、厚さの薄いネット状物を使用したためである。このため、本発明のカートリッジフィルターにおいて、カートリッジフィルターに組み込まれている、プリーツ折りされた濾過材の外周部分の長さ50mm当たりの山数が18個以上であることが好ましい。ここでいう濾過材の外周部分の長さとは、カートリッジフィルターを切断した断面において、プリーツ折りされた濾過材が収められている形状における、フィルター材の外側部分の外周長さのことである。本発明のカートリッジフィルターにおいて、濾過材の外周部分の長さ50mm当たりの山数が18個未満であると本発明のカートリッジフィルターの特徴を有しているとは言えず濾過寿命は大きく増加していない。本発明のカートリッジフィルターにいて、ケース内部に収納されている、プリーツ加工された濾過材のプリーツ折りの山数は、濾過材の外周部分の長さ50mm当たりの山数が18〜40個であると好ましく、濾過材の外周部分の長さ50mm当たりの山数が20〜35個であると特に好ましい。
なお、本発明の濾過材は、性能を阻害しない範囲において、一次側、二次側に積層した線条からなるネット状物の間、すなわち、濾過膜である不織布の両表面に、他の不織布、織編物といった繊維集合物を積層してもよい。また、濾過膜である不織布と一次側、二次側に積層した線条からなるネット状物の間に積層した繊維集合物とは性能を阻害しない範囲において一体化してもよい。
本発明の濾過材の濾過膜には不織布を使用するが、好ましく使用される、両面が平滑化されたメルトブローン不織布について、さらに、この両面が平滑化されたメルトブローン不織布を何層か積層することで、両面が平滑化されたメルトブローン不織布を少なくとも2層以上積層した積層不織布を、本発明の濾過材に使用する濾過膜としてもよい。この場合、積層する前の不織布はもちろん、少なくとも2層以上の両面が平滑化されたメルトブローン不織布を積層した不織布が前記不織布密度、平均孔径、最大孔径、目付、厚さ、通気度を満たしていることが好ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。本発明は以下の実施例に限られたものではない。実施例中、濾過材、及びカートリッジフィルターの物性および濾過性能は以下の方法により評価した。
(1)目付
目付を測定する繊維シート及び繊維集合物から、1辺が20cmの正方形の試料を切り出し、その試料の質量を測定し算出した。
(2)厚み
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A(株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
(3)平均孔径、最大孔径
ASTM F 316−86(バブルポイント法)に準じ、ポーラス・マテリアルズ社製「パーム・ポロメーター」を用いて測定した。
(4)通気圧力損失
空気をプリーツ加工したカートリッジフィルターの一次側から二次側に向かって600L/分の流量で通気した時の、カートリッジフィルターの入口とカートリッジフィルターの出口との圧力差を測定した。
(5)通水圧力損失
水道水をプリーツ加工したカートリッジフィルターの一次側から二次側に向かって40L/分の流量で通水した時の、カートリッジフィルターの入口とカートリッジフィルターの出口との圧力差を測定した。
(6)濾過寿命
JIS Z8901に準ずる試験用ダスト(JIS11種[中位径2μm]とJIS8種[中位径6.6〜8.6μm]を1:1の質量割合で混合したもの、関東ローム製)の試験用懸濁液(濃度:50ppm)を、均一に攪拌しながらカートリッジフィルターの外側から中空部に向かって20リットル/分の流量で流し続ける。この条件で流水し続けたときに、カートリッジフィルターの流入側と流出側の圧力差(圧力損失)が0.2MPaになるまで流水し、圧力差が0.2MPaに到達した時点の総通水量で求めた。
[使用した原反]
本発明の濾過材における濾過膜である、両表面が平滑化したメルトブローン不織布を得るためのメルトブローン不織布原反として、以下に示すメルトブローン不織布を使用した。
[使用原反(1)]
メルトブローン不織布1
構成繊維:ポリプロピレン単一繊維
平均繊維径:7.0μm
目付:40.0g/m2
厚み:0.21mm
密度:0.19g/cm3
平均孔径:23.8μm
最大孔径:38.1μm
[使用原反(2)]
メルトブローン不織布2
構成繊維:ポリプロピレン単一繊維
平均繊維径:7.0μm
目付:30.0g/m2
厚み:0.25mm
密度:0.12g/cm3
平均孔径:17.1μm
最大孔径:27.2μm
[平滑化したメルトブローン不織布の作製]
使用原反(1)、(2)のメルトブローン不織布に対し、熱カレンダーによる熱処理を行うことで、それぞれのメルトブローン不織布原反を使用した、両表面を平滑化したメルトブローン不織布からなる濾過膜を得た。使用原反(1)、(2)に示したポリプロピレン単一繊維からなるメルトブローン不織布に対し、熱ロールを使用した熱カレンダー加工を行い、表面の平滑化と厚み加工を行った。カレンダー加工の条件として、加熱温度70℃、線圧3〜5MPaで熱カレンダー加工を施すことで、メルトブローン不織布の表面を平滑化させ、さらに厚みを減少させた。熱カレンダー加工は両面に対して行った。得られた両表面を平滑化したメルトブローン不織布からなる濾過膜の各特性を下記に示す。
[MB膜1]
使用したメルトブローン不織布原反:メルトブローン不織布1
目付:40.4g/m2
厚み:0.14mm
密度:0.299g/cm3
通気度:11.5cc/cm2/秒
平均孔径:12.3μm
最大孔径:21.3μm
[MB膜2]
使用したメルトブローン不織布原反:メルトブローン不織布2
目付:31.1g/m2
厚み:0.133mm
密度:0.243g/cm3
通気度:12.5cc/cm2/秒
平均孔径:10.0μm
最大孔径:20.5μm
[MB膜3]
使用したメルトブローン不織布原反:メルトブローン不織布1
目付:42.2g/m2
厚み:0.193mm
密度:0.219g/cm3
通気度:22.1cc/cm2/秒
平均孔径:15.1μm
最大孔径:26.6μm
得られた両表面を平滑化したメルトブローン不織布からなる濾過膜に対し、流体が流れ込む一次側、流体が流れ出る二次側に線条からなる網状構造物(ネット状物)を積層した。このようにして得られた積層物にプリーツ加工を施し、両端をヒートシール加工して止めた本発明の濾過材をポリプロピレン製のプロテクター、コア、エンドキャップからなるケースに収めた後、両端を熱接着することで本発明カートリッジフィルターを得た。カートリッジフィルターの実施例、比較例作製に使用した、不織布からなる濾過膜の両表面に積層した線条からなる網状構造物(ネット状物)を以下に示す。今回使用した2種類のネット状物は、目合いが小さく、厚み測定器で厚さが測定可能であったため、前記厚み測定器にて厚さを測定した。
ネット状物1[PPネット1]
ポリプロピレン単一線条ネット
構成繊維:ポリプロピレン単一線条
目合(縦×横):1mm×1mm
ネット空隙の面積:1mm2
目付:100g/m2
線条径:0.5mm
厚さ:0.55mm
ネット状物2[PPネット2]
ポリプロピレン単一線条ネット
構成繊維:ポリプロピレン単一線条
目合(縦×横):1mm×2mm
ネット空隙の面積:1mm2
目付:30g/m2
線条径:0.2mm
厚さ:0.2mm
[実施例1〜3]
両表面を平滑化したメルトブローン不織布1〜3(MB膜1〜3)に対し、流体が流れ込む一次側に積層する線条からなる網状構造体として前記PPネット1を積層し、流体が流れ出る二次側に積層する線条からなる網状構造体として前記PPネット2を積層し、重ねた状態でプリーツ加工を行うことで前記不織布群をプリーツ状に加工し、両端を合わせてヒートシール加工することで止め、カートリッジフィルターの濾材とし、ポリプロピレン性のプロテクターコア、エンドキャップからなるケースに収めた後、両端を熱接着することで本発明カートリッジフィルター(実施例1〜3)を得た。このとき、各カートリッジフィルターの直径から外周を求め、外周50mm当たりのプリーツ山数を計算した。本発明の濾過材を使用したカートリッジフィルターの構造を表1に示す。また、これらのカートリッジフィルターに対し、通気圧損測定、通液圧損測定、濾過寿命測定を行い、得られた結果を表2に示す。
[比較例1〜3]
両表面を平滑化したメルトブローン不織布1〜3(MB膜1〜3)に対し、流体が流れ込む一次側、流体が流れ出る二次側両方に流体が流れ出る二次側線条からなる網状構造体として前記PPネット1を積層し、重ねた状態でプリーツ加工を行うことで前記不織布群をプリーツ状に加工し、両端を合わせてヒートシール加工することで止め、カートリッジフィルターの濾材とし、ポリプロピレン性のプロテクターコア、エンドキャップからなるケースに収めた後、両端を熱接着することで比較例1〜3のカートリッジフィルターを得た。このとき、各カートリッジフィルターの直径から外周を求め、外周50mm当たりのプリーツ山数を計算した。本発明の濾過材を使用したカートリッジフィルターの構造を表1に示す。また、これらのカートリッジフィルターに対し、通気圧損測定、通液圧損測定、濾過寿命測定を行い、得られた結果を表2に示す。
[比較例4〜6]
両表面を平滑化したメルトブローン不織布1〜3(MB膜1〜3)に対し、流体が流れ込む一次側に積層する線条からなる網状構造体として前記PPネット2を積層し、流体が流れ出る二次側に積層する線条からなる網状構造体として前記PPネット1を積層し、重ねた状態でプリーツ加工を行うことで前記不織布群をプリーツ状に加工し、両端を合わせてヒートシール加工することで止め、カートリッジフィルターの濾材とし、ポリプロピレン性のプロテクターコア、エンドキャップからなるケースに収めた後、両端を熱接着することで比較例4〜6のカートリッジフィルターを得た。このとき、各カートリッジフィルターの直径から外周を求め、外周50mm当たりのプリーツ山数を計算した。本発明の濾過材を使用したカートリッジフィルターの構造を表1に示す。また、これらのカートリッジフィルターに対し、通気圧損測定、通液圧損測定、濾過寿命測定を行い、得られた結果を表2に示す。
(評価結果)
作製した、実施例、比較例のカートリッジフィルターについて、通気圧力損失試験、通水圧力損失、濾過寿命の測定結果を表2に示す。
(1)本発明のカートリッジフィルターにおける圧力損失測定
実施例、比較例のカートリッジフィルターに対し、通液圧力損失測定、通気圧損測定を行った。濾過膜に積層する、線条からなる網状構造物を一次側と二次側で入れ替えた、実施例1〜3のカートリッジフィルターと比較例4〜6のカートリッジフィルターを比較すると、同じ濾過膜を使用した場合であれば各種圧力損失、特に通液圧損の値に関して両者に大きな差は生じていない。従って、本発明のカートリッジフィルターのように、一次側に空隙の狭いネット状物を積層しても、通気、通液圧損には影響を与えないことが確認できる。
(2)本発明のカートリッジフィルターにおける濾過寿命測定
カートリッジフィルター性能における濾過寿命において、実施例と比較例では顕著に差が見られた。まず、実施例1〜3と実施例1〜3を比較すると、同じ濾過膜を使用したカートリッジフィルターであるにもかかわらず、実施例1〜3の濾過寿命が向上していることがわかる。これは、比較例1〜3のカートリッジフィルターが一次側、二次側同じ網状構造体を使用しているのに対し、実施例1〜3のカートリッジフィルターは、二次側ネット状物をより線径の小さいネット状物に変更させたため、ネットを含む積層体の厚さを低く抑え、かつ山折り部分の厚さも減少せしめることにより、カートリッジフィルターに収める山部分の山数を多くすることで、濾過材つまり濾過面積の広い濾過材を封入したための効果が得られたものである。
さらに、本発明のカートリッジフィルターと比較例4〜6を比べると、濾過寿命の向上が確認できた。この濾過寿命が向上した要因は次の2つが考えられる。まず第一の実施例では、一次側に線径が大きいネット状物を使用しているので、濾過中におけるフィルターエレメントの隣り合ったプリーツ山部分同士が接触した場合にもネット部分がスペーサーとしての役目となり、濾過膜との間に流体が通り抜ける経路を形成し、有効的に濾過膜の面積を使用でき、濾過寿命の向上が得られる。更に太繊度の線条で構成されるネット状物を一次側に積層していると、このスペーサーとしての効果が高く、隣り合ったプリーツ部分との間に、より広い流体が通り抜ける経路(濾過経路)を形成できる。この構造により、本発明のカートリッジフィルターでは濾過経路がプリーツ部分の谷まで形成され、濾過材全体を使って濾過することができる。一方、比較例4〜6のように一次側に線径の小さいネット状物を積層すると、濾過時における一次側ネット状物によるスペーサーとしての効果が薄く、形成される濾過経路も狭いものとなるため、プリーツ部分の谷から順に異物捕捉がなされ濾過経路が遮断されることで目詰まりが発生し、有効的に濾過面積が使用されず、濾過寿命が短くなったと考えられる。
また、一次側ネット状物の線径を大きくすることで、隣り合ったプリーツ部分の濾過膜同士の接触を防ぐ効果がある。加え、流体、特に液体を濾過する際、濾液には圧力により一次側ネット状物は濾過膜にその一部が沈み込む場合がある。このとき、線条の線径が小さいと濾過膜に線条の大部分が埋没してしまう。更に濾過膜がネット状物の空隙部分から盛り上がるため、隣り合ったプリーツ部分の膜同士が接触し閉塞することで実質の濾過面積が減少し、濾過寿命の減少となる。一次側に積層したネット状物が細線度であると、この濾過膜の接触が濾過材全体で発生し、濾過寿命が短くなる。これに対し、一次側ネット状物の線径が大きいと、濾過膜の隆起が発生しても濾過膜が露出しないため、濾過膜同士の接触が発生せず、長時間濾過することが可能である。
本発明のカートリッジフィルター(実施例1〜3)が比較例4〜6と比較して、濾過寿命が向上したもう一つの要因として、一次側に積層したネット状物の空隙部分の面積(目合い)がある。比較例4〜6のカートリッジフィルターでは、一次側に積層したネット状物の空隙部分の面積が2mm2であり、加えてネット状物の線径が小さいものであったため、容易に濾過膜の露出による濾過膜同士の接触が発生したことで、濾過面積が低下し、濾過寿命が低下したものと考えられる。一方、本発明のカートリッジフィルターは一次側に積層したネット状物の空隙部分の面積が1mm2であり、加えてネット状物の線径が大きいものであったため、濾過膜の隆起が発生せず、濾過膜同士の接触も発生しないことから、比較例4〜6と比較して濾過寿命の長いカートリッジフィルターが得られたと考えられる。
本発明の濾過材は、濾膜の両面にネット状物を積層することで十分な強度を有し、加えて、流体が流れ込む一次側のネット状物について、その線径、空隙部分の面積を限定することで広い濾過経路を形成し、濾過膜同士の接触も防ぐ。二次側に積層するネット状物を形状維持に必要な最低限のネット状物とすることで、プリーツ部分の増加による濾過面積の向上が見込める濾過材であり、濾過材をプリーツ折りしたものを封入したカートリッジフィルターとすることで、濾過が液体、気体において、幅広い分野で使用可能な濾過材である。

Claims (6)

  1. 一または複数の濾過シートと、濾過シートの濾過面側に位置し、流体の流入側(一次側)と流体の流出側(二次側)にネット状物が積層している濾過材であって、
    一次側に積層される一次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.25〜2mm、厚さが0.25〜2mm、ネットの空隙が0.5mm2〜40mm2であり、
    二次側に積層される二次側ネット状物が、ネット状物の線径が0.05〜0.6mm、厚さが0.05〜0.6mm、ネットの空隙が1mm2〜170mm2であり、
    一次側ネット状物と、二次側ネット状物の厚さの比(一次側ネット状物の厚さ/二次側ネット状物の厚さ)が1.05〜5であることを特徴とする濾過材。
  2. 1cm2当たり2.94cNの荷重で測定された、前記濾過シートの厚さが0.05〜1mmの範囲内であり、かつ、前記一次側ネット状物の線径と前記濾過シートの厚さの比(一次側ネット状物の線径/濾過シートの厚さ)が1.2以上であることを特徴とする請求項1に記載の濾過材。
  3. 前記一次側ネット状物及び二次側ネット状物が、連続線条からなるネット状物であり、規則的な空隙を形成しているネット状物であることを特徴する請求項1または2に記載の濾過材。
  4. 前記濾過シートが両表面を平滑化したメルトブローン不織布であり、不織布密度が0.1〜0.7g/cm3、ASTM F 316−86に準じて測定した平均孔径が0.5〜30μm、最大孔径が5〜40μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の濾過材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の濾過材が、プリーツ状に折り畳まれたカートリッジフィルター。
  6. 前記カートリッジフィルターにおいて、プリーツ加工により生じた山折り部分が、外周50mm当たり18個以上形成されていることを特徴とする請求項5に記載のカートリッジフィルター。
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