JP2009114386A - ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物の加工性を改善すると共に、該ゴム組成物をタイヤのトレッド部に用いることでタイヤの転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性が総合的に向上した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、シリカを15〜150質量部と、特定のシランカップリング剤(A)を前記シリカの配合量の0.1〜20質量%と、式(2)で示される加硫促進剤(X)をゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含んだタイヤトレッド用のゴム組成物である。
Figure 2009114386

(ここで、yは1〜8の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤトレッド用のゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関し、特に、ゴム練り加工性および最適加硫時間を有すると共に、転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性に優れたタイヤトレッド用のゴム組成物、および、このゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤに関する。
近年、自動車タイヤの特性として転がり抵抗性、ウエットグリップ性、操縦安定性および耐摩耗性が総合的に優れることが要求されている。たとえば、高速走行時のウェット路面での制動性能や操縦安定性などの諸性能を向上させるために、タイヤトレッドパターンのブロック剛性を大きくしてコーナリング時のブロック変形を防止する技術、あるいはタイヤトレッドに形成された溝部の変形を防止して排水をスムーズに行ない、ハイドロプレーニングを防止する技術が実施されている。
またハイスチレンSBR(スチレン−ブタジエンゴム)にシリカを配合することによって、湿潤路面でのグリップ性能を高めている。しかしながら、このようなタイヤトレッド用ゴム組成物では、路面温度が15℃以下の低温域でのグリップ力を高めることはできるが、15℃をこえる高温域でのウェット路面またはセミウェット(半乾き)路面では、充分なグリップ力を発現できない。さらに、シリカを配合したゴム組成物は、走行距離の増加と共にゴムの剛性が低下し、大幅にグリップ力が低下することが判明している。また、シリカ配合ゴム組成物は、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不充分であると、ゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押し出しなどの加工性に劣るなどの問題が生じる。
これらの問題点を解決すべく、ジエン系ゴムに焼成クレーを配合したゴム組成物、特定のジエン系ゴムにジエン系ゴムとカオリナイトからなる加硫ゴム粉末を配合したゴム組成物が開示されている。これらのゴム組成物は、グリップ性能の向上などに効果がある。
また、特定のスチレン含有量を有するSBRに、特定の組成を有する無機化合物粉体とカーボンブラックとを配合したゴム組成物、ブタジエン部分中の1,2−結合の含有率が特定の範囲内にあるジエン系ゴムに、カオリナイトを主成分とするクレーを配合したゴム組成物が開示されている。これらのゴム組成物についても、同様の効果がある。
しかしながら、これらのゴム組成物は加工性を低下する傾向にあり、加工性を含めて、転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性が総合的に優れたゴム組成物の開発が望まれている。
特許文献1(特開2002−363346号)には、タイヤの耐摩耗性および転がり抵抗特性を低下させることなく、ウェットグリップ性能を改善する技術に関し、(A)ゴム成分100質量部に対して、(B)チッ素吸着比表面積が5m2/g以上であり、平均粒子径が0.01〜10μmである炭酸カルシウム5〜80質量部、(C)チッ素吸着比表面積が100〜300m2/gであるシリカ5〜100質量部、(D)チッ素吸着比表面積が70〜300m2/gであるカーボンブラック5〜145質量部を含み、(C)シリカおよび(D)カーボンブラックの合計量が50〜145質量部であり、さらに(E)特定のシランカップリング剤を含むタイヤトレッド用ゴム組成物が開示されている。
特許文献2(特開2002−121327号)には、ウェット性能と転がり抵抗を高次元で両立させ、かつ混練り時の加工性を改善する技術に関し、ジエン系ゴム100質量部に対して、シリカ30〜90質量部、シランカップリング剤、ポリエチレングリコール2〜20質量部、硫黄および加硫促進剤を配合したトレッド用ゴム組成物の製造方法であって、ジエン系ゴム、シリカおよびシランカップリング剤を130〜140℃で混練する工程1、ポリエチレングリコールを150〜170℃で混練する工程2、および硫黄および加硫促進剤を混練する工程3からなる製造方法が開示されている。
特開2002−363346号 特開2002−121327号
本発明は、ゴム組成物の加工性を改善すると共に、該ゴム組成物をタイヤのトレッド部に用いることでタイヤの転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性が総合的に向上した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを15〜150質量部と、次の式(1)で示されるシランカップリング剤(A)を前記シリカの配合量の0.1〜20質量%と、
Figure 2009114386
(ここで、j、qは1〜5の整数、k、lは5〜12の整数である。)
次の式(2)で示される加硫促進剤(X)をゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含んだタイヤトレッド用のゴム組成物である。
Figure 2009114386
(ここで、yは1〜8の整数である。)
本発明において、より好ましい形態は、ゴム成分100質量部に対して、
(a)平均一次粒子径が20nm以上のシリカを10質量部以上と、
(b)平均一次粒子径が20nm未満のシリカを5質量部以上含み、
シリカの合計が15〜150質量部配合されている請求項1に記載のタイヤトレッド用のゴム組成物である。
また本発明は、前記ゴム組成物をタイヤトレッド部に用いた空気入りタイヤである。
本発明は、特定の化学構造を有するシランカップリング剤(A)および加硫促進剤(X)を配合したゴム組成物を用いたため、加工性を改善すると共に、該ゴム組成物をタイヤのトレッド部に用いることでタイヤの転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性が総合的に向上した空気入りタイヤが得られる。
本発明は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを15〜150質量部と、前記式(1)で示されるシランカップリング剤(A)を前記シリカの配合量の0.1〜20質量%と、前記式(2)で示される加硫促進剤(X)をゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含んだタイヤトレッド用のゴム組成物である。
<ゴム成分>
ゴム成分は、ジエン系合成ゴムまたはジエン系合成ゴムと天然ゴムとの混合物からなるゴム成分が用いられる。ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられる。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分中、作業性の面から、20質量%以上のSBRを含有することが望ましい。より好ましくは、ゴム成分中のSBRの含有量は30質量%以上である。前記SBRは、乳化重合法、溶液重合法などのいかなる重合法によって製造されたものであってもよい。
<シリカ>
シリカは、とくに制限はなく、従来ゴム補強用として慣用されているもの、たとえば乾式法シリカ、湿式法シリカなどのなかから適宜選択して用いることができる。
本発明に用いられるシリカは、チッ素吸着比表面積(N2SA)が30〜300m2/gである。シリカのN2SAが30m2/g未満では、補強効果が小さく、300m2/gをこえると分散性が低下し、ゴム組成物の発熱性が増大する。シリカのN2SAの下限は、好ましくは40m2/g、より好ましくは50m2/gである。また、上限は、好ましくは280m2/g、より好ましくは250m2/gである。
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して15〜150質量部である。シリカの配合量が15質量部未満では充分なウェットグリップ性能が得られず、150質量部を超えると作業性が低下する。シリカの配合量の下限は、好ましくは20質量部である。また、シリカの配合量の上限は、好ましくは100質量部である。
本発明ではゴム成分100質量部に対して、
(a)平均一次粒子径が20nm以上のシリカ(1)を10質量部以上と、
(b)平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(2)を5質量部以上
含んでいることが望ましい。
ここで、平均一次粒子径は、シリカ凝集体のもとになる最小の粒子径の平均値として定義されTEM画像の画像解析によって測定される。
平均一次粒子径が20nm以上のシリカ(1)を配合することでゴム組成物の粘度の上昇を防止し、加工性を改善できる。また平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(2)を配合することで、ゴム組成物の耐磨耗性を改善できる。シリカ(1)の配合量は15〜40質量部が好ましく、シリカ(2)の配合量は20〜80質量部が好ましい。またシリカ(1)はシリカ(2)の配合量の、1/5〜1/2、特に1/5〜1/3の範囲に調製することで未加硫ゴム組成物の加工性と加硫ゴム組成物の耐磨耗性がバランスよく改善される。
<シランカプリング剤>
本発明において、シランカップリング剤として、次の式(1)で示されるシランカップリング剤(A)を前記シリカの配合量の0.1〜20質量%が配合される。
Figure 2009114386
(ここで、j、qは1〜5の整数、k、lは5〜12の整数である。)
本発明では、上記シランカップリング剤(A)を用いることで、ゴム組成物にシリカを配合することによる粘度の増加を軽減しゴム組成物の加工性を改善することができる。特に、平均一次粒子径が20nm未満のシリカ(1)をシリカ(2)とともに配合することによる粘度の増加を効果的に軽減することができる。シランカップリング剤(A)の配合量は、前記シリカの配合量の2〜16質量%、特に5〜10質量%が好ましい。
本発明は、その他のシランカプリング剤を併用できる。ここで、シランカップリング剤としては、例えば、下記式(3)で表わされるシランカップリング剤が用いられる。
(Cn2n+1O)3-Si-(CH2)m-Sx-(CH2)m-Si-(Cn2n+1O)3 (3)
式(3)中、nは1〜3の整数、mは1〜4の整数、xはポリスルフィド部の硫黄原子の数を表わし、xの平均値は2.1〜4である。
このようなシランカップリング剤としては、たとえばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ポリスルフィドなどがあげられる。
これらのシランカップリング剤は1種で、または2種以上を用いてもよい。カップリング剤の添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが好適に用いられる。
これらのシランカップリング剤の配合量は、前記シランカップリング剤(A)と合わせた配合量が、シリカの配合量に対して、1〜20質量%の範囲が好ましい。シランカップリング剤の配合量が1質量%未満ではシランカップリング剤を添加する効果が充分でなく、20質量%をこえると、コストが上がる割にカップリング効果が得られず、補強性、耐摩耗性が低下する。分散効果、カップリング効果の面から、シランカップリング剤の合計配合量は、2質量%〜15質量%であることが望ましい。
<硫黄>
ゴム組成物はジエン系ゴム100質量部に対して加硫剤として硫黄を好ましくは0.5〜3.0質量部、より好ましくは1.0〜2.0質量部配合する。硫黄の配合量が0.5質量部未満では加硫速度が遅くなり、加硫不足になる傾向があり、3.0質量部をこえると逆に加硫速度が速くなり、スコーティングする傾向がある。
<加硫促進剤>
本発明のゴム組成物は、次の式(2)で示される加硫促進剤(X)をゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜4質量部含んでいる。
Figure 2009114386
(ここで、yは1〜8の整数であり、好ましくは、yは2である。)
加硫促進剤(X)は、反応性が高く、シリカが加硫促進剤を吸着して加硫速度を遅延するのを効果的に防止する。加硫促進剤(X)の配合量が0.1質量部未満では加硫を促進する効果が小さい傾向にあり、5質量部を超えるとブルーミングが生じる。
本発明のゴム組成物は、前記加硫促進剤と共に、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンデート系の化合物などの加硫促進剤を併用することが好ましい。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用することもできる。加硫促進剤の合計の配合量は、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは1.5〜4質量部である。加硫促進剤の合計の配合量が1質量部未満では加硫速度が遅くなり、加硫不足になる傾向があり、4質量部をこえると加硫速度が速くなり、スコーティングする傾向がある。
<充填剤>
本発明のゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックを配合できる。カーボンブラックは、補強性、耐摩耗性を向上し、発熱を抑制すると共にゴム組成物中の分散性を改善するために、例えば、BET法で測定した窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜300m2/gのものが使用される。例えば、HAF、ISAF、SAFなどが使用できる。
カーボンブラックの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して140質量部以下である。カーボンブラックの配合量が少ないと補強性や耐摩耗性が低下し、多くなると分散性が低下する。カーボンブラックを配合する場合は、シリカとカーボンブラックとの合計配合量が、ゴム成分100質量部に対して、50〜150質量部の範囲が好ましい。
また本発明のゴム組成物は、炭酸カルシウムも配合できる。例えば、耐摩耗性を改善するため窒素吸着比表面積(N2SA)が5m2/g以上、好ましくは10m2/g以上の極微細炭酸カルシウムが用いられる。また、炭酸カルシウムの平均粒子径は0.01〜10μmのものが使用できる。炭酸カルシウムの配合量は、ゴム成分100質量部に対して例えば80質量部以下である。
<その他の配合剤>
本発明のゴム組成物は、その他の配合剤が使用できる。例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系のプロセスオイルなどの軟化剤;クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂などの粘着付与剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫助剤等を本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて適宜配合することができる。
<ゴム組成物、空気入りタイヤの製造>
本発明のゴム組成物は、通常2段の工程を経て混練りされる。第1工程では、前記ジエン系ゴム、シリカおよびシランカップリング剤および必要に応じて適宜配合される配合剤が混練りされる。第1工程での混練り温度は通常の混練り温度である130〜140℃とする。
第2工程では、さらに前記硫黄および加硫促進剤が混練りされる。第2工程での混練り温度は80〜110℃であることが好ましい。第2工程での混練り温度が80℃未満では薬品の分散がわるく加硫不足になる傾向があり、110℃をこえると加硫がはじまり、スコーティングする傾向がある。
このようにして得られた未加硫ゴムは、好ましくは150〜190℃、さらに好ましくは160〜180℃で加硫して加硫ゴムとすることができる。本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドに用いることができる。タイヤは通常の方法によって製造される。すなわち、未加硫の段階でトレッド用部材に押し出し加工し、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成形して未加硫タイヤを成形する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧して空気入りタイヤを得る。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1、2および比較例1、2
<ゴム組成物の調製>
表1に示す配合のうち、硫黄、加硫促進剤以外の成分を混合し、バンバリーミキサーで150℃で3分間混練りした。つぎに、硫黄、加硫促進剤CBS、加硫促進剤DPG、加硫促進剤(X)を加えてロール温度120℃で5分間混練りし各種供試ゴム組成物を得た。これらの配合物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物を得、これらについて以下に示す各特性の試験を行なった。
Figure 2009114386
(注1)SBR:旭化成(株)製E15。
(注2)シリカ(1):デグッサ社製のウルトラシルU360(平均一次粒子径:28nm、N2SA:50m2/g)。
(注3)シリカ(2):デグッサ社製のウルトラシルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)。
(注4)シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
(注5)シランカップリング剤(A):化学式(1)に示す化合物において、q=j=3、k=l=7。
(注6)アロマチックオイル:出光興産(株)製「ダイアナプロセスAH−24」。
(注7)酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製、「亜鉛1号」。
(注8)ステアリン酸:日本油脂(株)社製、「椿」。
(注9)老化防止剤:住友化学(株)社製、「アンチゲン6C」(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン。
(注10)ワックス:大内新興化学(株)社製、「サンノックN」。
(注11)硫黄:軽井沢硫黄(株)社製、「粉末硫黄」。
(注12)加硫促進剤CBS:大内新興化学(株)社製、「ノクセラーCZ」(N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)。
(注13)加硫促進剤DPG:大内新興化学(株)社製、「ノクセラーD」(N,N’−ジフェニルグアニジン)。
(注14)加硫促進剤(X):大内新興化学(株)社製、「ノクセラーTBzTD」。
(C65-CH22N−(C=S)−S2−(C=S)−N(CH2−C652
<ゴム組成物の特性>
ムーニー粘度:JIS K6300に基づき、100℃で測定した。結果を比較例を100として指数表示した。値が大きいほど、加工性に優れていることを示す。
最適加硫時間(加硫速度T95):JIS K6300に基づき、160℃にて95%加硫度に達する時間を測定した。結果は比較例1を100として指数表示をした。値が大きいほど加工性が優れていることを示す。
<タイヤの製造とその性能>
表1に示す配合で得られたゴム組成物をトレッドゴムに用いて、タイヤサイズ(195/65R15)の乗用車用ラジアルタイヤを試作した。
ここで空気入りタイヤは、ポリエステルコードをタイヤ周方向に88度に配列したカーカスプライのクラウン部外側に、スチールコードをタイヤ周方向に22度傾斜して配列したベルトプライのコードが相互に交差するように2層配置したベルト層を配置したラジアル構造を採用した。
試作タイヤの性能評価は以下の方法で実施した。
<転がり抵抗指数>
転がり抵抗試験機を用いて、試作タイヤをリム(15×6JJ)に装着し、内圧が230kPa、荷重が230kPa、速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100としたときの相対値を指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗は小さいことを示す。
<ウエットグリップ性能>
湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。比較例1を100としたときの相対値を指数で表示した。指数が大きいほどウエットグリップ性に優れていることを示す。
<耐摩耗性>
試作タイヤを実車走行させ、30000km走行後のパターン溝深さを求めた。比較例1を100としたときの相対値を指数で表示した。指数が大きいほ耐摩耗性が優れていることを示す。
<操縦安定性>
試作タイヤを車両(国内生産車:FF2000cc)の前車に装着し、テストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。10点評価とし、比較例1を6点として相対評価を行った。数字が大きいほど操縦安定性に優れている。
<タイヤ特性の評価結果>
上記タイヤ特性の評価方法で得られた結果を、表1に示している。比較例1は、シランカップリング剤(A)および加硫促進剤(X)のいずれも配合していない例であり、比較例2はシランカップリング剤(A)は配合しているが、加硫促進剤(X)は配合していない例である。実施例1と実施例2は、シリカ(1)とシリカ(2)の配合比率を変えている。
本発明の実施例1、2は比較例1、2のゴム組成物よりも加工性に優れ、タイヤの特性も総合的に優れている。特に実施例2は実施例1よりも優れている。
本発明は加工性に優れたゴム組成物であり、さらに該ゴム組成物をタイヤのトレッド部に用いることでタイヤの転がり抵抗性、ウエットグリップ性、耐摩耗性および操縦安定性が総合的に向上した空気入りタイヤに関し、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、軽トラック用タイヤ等の各種カテゴリーのタイヤに適用できる。

Claims (3)

  1. ゴム成分100質量部に対して、シリカを15〜150質量部と、次の式(1)で示されるシランカップリング剤(A)を前記シリカの配合量の0.1〜20質量%と、
    Figure 2009114386
    (ここで、j、qは1〜5の整数、k、lは5〜12の整数である。)
    次の式(2)で示される加硫促進剤(X)をゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部含んだタイヤトレッド用のゴム組成物。
    Figure 2009114386
    (ここで、yは1〜8の整数である。)
  2. ゴム成分100質量部に対して、
    (a)平均一次粒子径が20nm以上のシリカを10質量部以上と、
    (b)平均一次粒子径が20nm未満のシリカを5質量部以上含み、
    シリカの合計が15〜150質量部配合されている請求項1に記載のタイヤトレッド用のゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のゴム組成物をタイヤトレッド部に用いた空気入りタイヤ。
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