JP2009113543A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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貴秀 石坂
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Abstract

【課題】トレッド陸部のエッジ部の耐偏摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上すること。
【解決手段】タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝3と、周方向主溝3により形成された複数の陸部4とをトレッド2に有し、陸部4のエッジ部41においてタイヤ周方向に沿って複数のマルチサイプ5が設けられた空気入りタイヤ1であって、陸部4の踏面を少なくとも表出するトレッド本体ゴム材6と、マルチサイプ5を包含する態様で陸部4の少なくともタイヤ幅方向側部に配置され、かつトレッド本体ゴム材6より破断伸びが高いゴム材から成る耐クラック性ゴム材7とでトレッド2を構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、耐偏摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上できる空気入りタイヤに関するものである。
タイヤ周方向に延在する周方向溝によって陸部が形成されると共にステア軸に装着される空気入りタイヤ(特に、重荷重用空気入りタイヤ)では、陸部のエッジ部の偏摩耗(リバーウェア)を抑制するために、エッジ部にマルチサイプ(細かいピッチで配列されるサイプ)が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる構成の空気入りタイヤは、例えば、高速道路走行が1万kmあたり70%以上を占める場合において適用されるが、高速道路走行が1万kmあたり70%を下回る場合では、高速道路以外の凹凸を含む路面の走行が多くなることから、タイヤが縁石などに乗り上げたときに、マルチサイプを起点としてクラックが発生する問題がある。
このような問題に対し、従来の空気入りタイヤでは、陸部のエッジ部にマルチサイプを設けたもので、陸部および溝部にかかるトレッドのタイヤ径方向外側を発泡ゴムから成る外側ゴム層で構成し、かつトレッドのタイヤ径方向内側を発泡ゴムのショアーA硬度より高いゴムから成る内側ゴム層で構成して、マルチサイプのタイヤ径方向内端を内側ゴム層内に位置させている。(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−55013号公報 特開平5−65003号公報
特許文献2に記載の空気入りタイヤは、発泡ゴムのショアーA硬度より高いゴムから成る内側ゴム層内にマルチサイプのタイヤ径方向内端を位置させることにより、マルチサイプのタイヤ径方向内端の近傍でのサイプ割れの発生を抑制しようとするものである。しかしながら、この空気入りタイヤでは、縁石などに当接するトレッドの外側ゴム層がショアーA硬度の低い発泡ゴムから成るため、外側ゴム層においてマルチサイプを起点としたクラックの発生を抑制できず、耐クラック性能を向上することは困難である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐偏摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に延在する複数の周方向溝と、前記周方向溝により形成された複数の陸部とをトレッドに有し、前記陸部のエッジ部にタイヤ周方向に沿って複数のサイプが設けられた空気入りタイヤであって、前記トレッドは、前記陸部の踏面を少なくとも表出するトレッド本体ゴム材と、前記サイプを包含する態様で前記陸部の少なくともタイヤ幅方向側部に配置され、かつ前記トレッド本体ゴム材より破断伸びが高いゴム材から成る耐クラック性ゴム材とで構成されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、陸部のエッジ部に発生する偏摩耗は、サイプによりエッジ部の剛性を落とすことで抑制できる。しかも、サイプを包含する態様で陸部の少なくともタイヤ幅方向側部に耐クラック性ゴム材を配置し、この耐クラック性ゴム材が、トレッドの陸部の踏面を少なくとも表出するトレッド本体ゴム材よりも破断伸びが高いゴム材から成るため、サイプを起点としたクラックの発生を抑制できる。さらに、耐クラック性ゴム材によりサイプのクラックが抑制されたことで、サイプを有さない陸部の踏面に耐摩耗性のトレッド本体ゴム材を表出させることで耐摩耗性の向上も図れる。この結果、耐摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記耐クラック性ゴム材および前記サイプは、前記トレッドのタイヤ幅方向最外側に設けられた前記周方向溝により形成された前記陸部のタイヤ幅方向両側部に設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、トレッドのタイヤ幅方向最外側に設けられた周方向溝により形成された陸部のエッジ部は、特に偏摩耗が発生し易い部位であり、ここに耐クラック性ゴム材によりクラックを抑制しつつサイプを配設することにより、サイプのクラックを懸念することなく偏摩耗を効果的に抑制できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記サイプは、前記陸部のエッジ部からタイヤ幅方向に2.0mm以上の範囲に設けられ、前記耐クラック性ゴム材は、前記サイプの閉じた端からさらに1.0mm以上離隔した範囲まで配置されていることを特徴とする。
陸部のエッジ部からタイヤ幅方向のサイプの寸法が2.0mm未満であると耐偏摩耗性能が低下する。したがって、この空気入りタイヤによれば、サイプを陸部のエッジ部からタイヤ幅方向に2.0mm以上の範囲に設けることにより、偏摩耗の抑制効果が好適に得られる。しかも、耐クラック性ゴム材が、サイプの閉じた端からさらに1.0mm以上離隔した範囲まで配置されていることにより、サイプを包含して好適に耐クラック性能が得られる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記サイプは、前記陸部の踏面からの深さd1が、前記周方向主溝の深さDに対して0.5≦d1/D≦0.9の範囲に設定されていることを特徴とする。
サイプの深さd1が周方向溝の深さDの50%未満であると耐偏摩耗性能が低下する。また、サイプの深さd1が周方向溝の深さDの90%を超えると耐クラック性能が低下する。したがって、この空気入りタイヤによれば、サイプの深さd1を、周方向溝の深さDの50%以上90%以下の範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記サイプは、自身の中心線間のタイヤ周方向の間隔が4.0mm以上15.0mm以下の範囲に設定されていることを特徴とする。
サイプの間隔が4.0mm以下で狭くなると耐クラック性能が低下する。また、サイプの間隔が15.0mm以上で広くなると耐偏摩耗性能が低下する。したがって、この空気入りタイヤによれば、サイプのタイヤ周方向の間隔を4.0mm以上15.0mm以下の範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記サイプが設けられた前記陸部を貫通するように配設されたオープンサイプをさらに備えたことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、オープンサイプを配設することで、サイプへの応力集中が低減されるので、サイプによる偏摩耗を効果的に抑制でき、かつサイプのクラックを効果的に抑制できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記オープンサイプは、前記陸部の踏面からの深さd2が、前記周方向主溝の深さDに対して0.1≦d2/D≦0.7の範囲に設定されていることを特徴とする。
オープンサイプの深さd2が周方向溝の深さDの10%未満であるとサイプの応力集中の効果が低下する。また、オープンサイプの深さd2が周方向溝の深さDの70%を超えると耐クラック性能が低下する。したがって、この空気入りタイヤによれば、オープンサイプの深さd2を、周方向溝の深さDの10%以上70%以下の範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記耐クラック性ゴム材は、破断伸びが500%以上であることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、破断伸びが500%以上の耐クラック性ゴム材であれば、好適にサイプのクラックを抑制できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記トレッド本体ゴム材は、天然ゴムにブタジエンゴムを配合したゴム組成物、または天然ゴムにブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを配合したゴム組成物であることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、耐クラック性ゴム材によりサイプのクラックが抑制されたことで、トレッドにトレッド本体ゴム材を配置して耐摩耗性の向上も図れる。この結果、耐摩耗性能および耐クラック性能を向上できる。
本発明にかかる空気入りタイヤは、陸部のエッジ部に発生する偏摩耗は、サイプによりエッジ部の剛性を落とすことで抑制し、しかも、サイプを包含する態様で陸部の少なくともタイヤ幅方向側部に耐クラック性ゴム材を配置し、この耐クラック性ゴム材が、トレッドの陸部の踏面を少なくとも表出するトレッド本体ゴム材よりも破断伸びが高いゴム材から成るため、サイプを起点としたクラックの発生を抑制できる。さらに、耐クラック性ゴム材によりサイプのクラックが抑制されたことで、サイプを有さない陸部の踏面に耐摩耗性のトレッド本体ゴム材を表出させることで耐摩耗性の向上も図れる。この結果、耐摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上できる。
以下に、本発明にかかる空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう側、タイヤ幅方向外側とは、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周方向である。
図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤのトレッドを示す子午断面図、図2は、図1に示す空気入りタイヤのトレッドを示す平面図、図3は、図1に示す空気入りタイヤのトレッドを示す切欠斜視図、図4は、トレッドのタイヤ幅方向外側でのマルチサイプの配置を示す切欠斜視図、図5は、図1の部分拡大図、図6は、図2の部分拡大図、図7は、オープンサイプを設けた形態の空気入りタイヤのトレッドを示す平面図である。
本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、図1〜図3に示すように、トレッド2に、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝(周方向溝)3と、これら周方向主溝3により区画形成された複数の陸部4とを有する。例えば、本実施の形態では、4本(少なくとも3本あればよい)の周方向主溝3が形成され、これら周方向主溝3によりリブ状を成す5本の陸部4が形成されている。
この空気入りタイヤ1は、陸部4にマルチサイプ(サイプ)5が形成されている。マルチサイプ5は、陸部4のエッジ部41において陸部4を貫通することなくタイヤ幅方向に延在する極細の切れ込みであって、タイヤ周方向に沿って複数配列されている。このマルチサイプ5は、陸部4のエッジ部41の剛性を、該陸部4の他の部分(陸部4の踏面42)よりも落とすことで、陸部4のエッジ部41に生じ得る偏摩耗(リバーウェア)を抑制するものである。なお、陸部4のエッジ部41としては、周方向主溝3のタイヤ幅方向両側部、およびトレッド2のタイヤ幅方向外側部(ショルダー)があり、これらのエッジ部41の全て、あるいは所望のエッジ部41にマルチサイプ5が形成されている。
また、この空気入りタイヤ1は、トレッド2の本体部分を構成するゴムとして、耐摩耗性を備えたトレッド本体ゴム材6が配置されている。そして、トレッド2の陸部4のエッジ部41には、タイヤ周方向に沿って設けられて、マルチサイプ5を包含しつつマルチサイプ5を有さない陸部4の踏面42を表出するように、トレッド本体ゴム材6より破断伸びが高いゴム材から成る耐クラック性ゴム材7が配置されている。耐クラック性ゴム材7は、マルチサイプ5を設ける陸部4のエッジ部41として、周方向主溝3により形成された陸部4のタイヤ幅方向側部、およびトレッド2のタイヤ幅方向外側部に配置されている。なお、本実施の形態では、図において周方向主溝3の溝底に耐クラック性ゴム材7が配置されているが、この溝底に耐クラック性ゴム材7を配置しなくてもよい。
ここで、トレッド本体ゴム材6は、天然ゴム(例えば80重量%)にブタジエンゴム(例えば20重量%)を配合したゴム組成物、または天然ゴム(例えば60重量%)にブタジエンゴム(例えば20重量%)およびスチレンブタジエンゴム(例えば20重量%)を配合したゴム組成物から成り、その破断伸びがほぼ420%のものである。一方、耐クラック性ゴム材7は、天然ゴムから成り、その破断伸び(JIS K 6251)が500%以上のものである。
このように構成された空気入りタイヤ1では、陸部4のエッジ部41に発生する偏摩耗は、マルチサイプ5によりエッジ部41の剛性を落とすことで抑制できる。しかも、マルチサイプ5を設けた陸部4のタイヤ幅方向側部にマルチサイプ5を包含するように、トレッド本体ゴム材6よりも破断伸びが高い耐クラック性ゴム材7を配置しているため、マルチサイプ5を起点としたクラックの発生を抑制できる。なお、破断伸びが500%以上の耐クラック性ゴム材7であれば、好適にマルチサイプ5のクラックを抑制できる。また、耐クラック性ゴム材7によりマルチサイプ5のクラックが抑制されたことで、トレッド2の本体部分にトレッド本体ゴム材6を配置し、マルチサイプ5を有さない陸部4の踏面42にトレッド本体ゴム材6を表出させることで耐摩耗性の向上も図れる。すなわち、上述した空気入りタイヤ1では、耐摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上できる。
また、耐クラック性ゴム材7およびマルチサイプ5は、トレッド2のタイヤ幅方向最外側に設けられた周方向主溝3により形成された陸部4のタイヤ幅方向両側部に配設されていることが好ましい。トレッド2のタイヤ幅方向最外側の周方向主溝3より形成された陸部4のエッジ部41は、特に偏摩耗が発生し易い部位であり、ここに耐クラック性ゴム材によりクラックを抑制しつつマルチサイプ5を配設することにより、マルチサイプ5のクラックを懸念することなく偏摩耗を効果的に抑制できる。
なお、トレッド2のタイヤ幅方向外側に位置する陸部4のエッジ部41に耐クラック性ゴム材7で包含されるようにマルチサイプ5を配設する場合、図1〜図3に示す構成と、図4に示す構成とがある。図1〜図3に示す構成は、トレッド2のショルダーでの陸部4のエッジ部41に直接マルチサイプ5を設けたものである。一方、図4に示す構成は、トレッド2のショルダーに、タイヤ周方向に延在する細溝(周方向溝)3aが設けられ、この細溝3aのタイヤ幅方向内側に形成された陸部4のエッジ部41にマルチサイプ5を設けたものである。図4に示す細溝3aは、そのタイヤ幅方向外側に細リブ43を形成する。細リブ43は、タイヤ周方向に連続すると共に、陸部4の踏面42よりもタイヤ径方向に段落ちするように形成されている。この細リブ23は、いわゆる犠牲リブ(捨てリブ)として作用する。このため、空気入りタイヤ1の接地時に、細溝3aによりトレッド2のショルダーの剛性が低下されることで、荷重負荷時に該ショルダーの変形が許容される。この結果、トレッド2のショルダーへの応力集中が緩和されて、該ショルダーに作用する接地圧力が低減されるので、ショルダーの偏摩耗が抑制される。さらに、細リブ43がショルダーよりも積極的に摩耗することによっても、ショルダーの偏摩耗が抑制される。
また、図5および図6に示すようにマルチサイプ5は、陸部4のエッジ部41から延在するタイヤ幅方向の寸法W1が2.0mm以上の範囲に設けられている。マルチサイプ5のタイヤ幅方向寸法W1が2.0mm未満であると耐偏摩耗性能が低下する。したがって、マルチサイプ5を、2.0mm以上のタイヤ幅方向寸法W1の範囲に設けることにより、偏摩耗の抑制効果が好適に得られる。また、耐クラック性ゴム材7は、マルチサイプ5を包含し耐クラック性能を得るため、マルチサイプ5の閉じた端からさらに1.0mm以上離隔した寸法W2の範囲まで配置されている。
また、図5に示すようにマルチサイプ5は、陸部4の踏面42からタイヤ径方向内側への深さd1が、陸部4の踏面42から法線方向への周方向主溝3の深さDに対して0.5≦d1/D≦0.9の範囲に設定されている。マルチサイプ5の深さd1が周方向主溝3の深さDの50%未満であると耐偏摩耗性能が低下する。また、マルチサイプ5の深さd1が周方向主溝3の深さDの90%を超えると耐クラック性能が低下する。したがって、マルチサイプ5の深さd1を、周方向主溝3の深さDの50%以上90%以下の範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。なお、周方向主溝3の深さDは、例えば高速道路走行を対象とする空気入りタイヤの場合、15mmを超える深さが好ましい。なお、耐クラック性ゴム材7は、マルチサイプ5を包含し耐クラック性能を得るため、マルチサイプの深さd1(閉じた端)よりもさらに1.0mm以上離隔した深さの範囲まで配置されていることが好ましい。
また、図6に示すようにマルチサイプ5は、自身の中心線間のタイヤ周方向の間隔Sが4.0mm以上15.0mm以下の範囲に設定されている。マルチサイプ5の間隔Sが4.0mm以下で狭くなると耐クラック性能が低下する。また、マルチサイプ5の間隔Sが15.0mm以上で広くなると耐偏摩耗性能が低下する。したがって、マルチサイプ5のタイヤ周方向の間隔Sを4.0mm≦S≦15.0mmの範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。
また、図7に示すようにマルチサイプ5が設けられた陸部4には、該陸部4を貫通するようにオープンサイプ8が配設されている。オープンサイプ8は、タイヤ周方向に配列されたマルチサイプ5の所定数を間において、タイヤ周方向に沿って所定間隔で配設されている。このようにオープンサイプ8を配設することで、マルチサイプ5への応力集中が低減されるので、マルチサイプ5による偏摩耗を効果的に抑制でき、かつマルチサイプ5のクラックを効果的に抑制できる。また、図5に二点差線で示すようにオープンサイプ8は、陸部4の踏面42からタイヤ径方向内側への深さd2が、陸部4の踏面42からタイヤ径方向内側への周方向主溝3の深さDに対して0.1≦d1/D≦0.7の範囲に設定されている。オープンサイプ8の深さd2が周方向主溝3の深さDの10%未満であるとマルチサイプ5の応力集中の効果が低下する。また、オープンサイプ8の深さd2が周方向主溝3の深さDの70%を超えると耐クラック性能が低下する。したがって、オープンサイプ8の深さd2を、周方向主溝3の深さDの10%以上70%以下の範囲に設定することで、偏摩耗およびクラックの抑制効果が好適に得られる。また、オープンサイプ8は、ウエット制動性の向上にも効果がある。なお、耐クラック性ゴム材7は、オープンサイプ8のクラックの抑制にも効果がある。
図8は、本発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。この図8を参照して本発明の実施例を説明する。ここでは、以上で説明した実施の形態に係る空気入りタイヤ1(図1〜図3において、周方向主溝3のみにマルチサイプ5を設けたもの)を試作し、該空気入りタイヤ1と従来の空気入りタイヤとの性能の評価試験を実施して、マルチサイプの耐クラック性(耐サイプクラック性)、および耐偏摩耗性の2項目について行った。この性能試験では、タイヤサイズ295/80R22.5の空気入りタイヤをJATMA規定の正規リムに装着し、この空気入りタイヤにJATMA規定の最大荷重および最高空気圧を付与し、この空気入りタイヤを2−D4の試験車両のフロントのステア軸に装着して実施した。
各試験項目の評価方法は、耐サイプクラック性については、テストコース内に設けられた段差(縁石)に対し、空気入りタイヤが装着された試験車両により一定角度(斜め)で進入、退出を10回繰り返した後に、マルチサイプ5に発生したクラック数を確認することにより行った。評価結果は、従来例の評価結果を100とする指数で示し、指数が大きい程、耐クラック性が優れていることを示している。
耐偏摩耗性については、空気入りタイヤが装着された試験車両でテストコースを時速80[km/h]にて60,000km走行し、走行後に陸部4のエッジ部41に発生した偏摩耗量([タイヤ幅方向での幅]×[深さ])状況を確認することにより行なった。評価結果は、従来例の評価結果を100とする指数で示し、指数が大きいほど、耐偏摩耗性が優れていることを示している。
本実施例では、図8に示すように、本発明と比較する従来例として1種類、本発明の実施例として2種類を、上記の方法で試験する。実施例1,2に示す空気入りタイヤは、陸部4のエッジ部41にマルチサイプ5および耐クラック性ゴム材7と共にオープンサイプ8を備えている。これに対し、比較例1に示す空気入りタイヤは、マルチサイプ5のみを備え、比較例2に示す空気入りタイヤは、マルチサイプ5およびオープンサイプ8を備え、従来例に示す空気入りタイヤは、マルチサイプ5、耐クラック性ゴム材7およびオープンサイプ8のいずれも備えていない。なお、本実施例の耐クラック性ゴム材7は、マルチサイプ5の端からタイヤ幅方向に1mmの範囲に配置した。トレッド本体ゴム材6の破断伸びは420%で共通とし、NR(天然ゴム)/BR(ブタジエンゴム)については、NRを80重量%、BRを20重量%の配合とした。
この図8から明らかなように、マルチサイプ5のみを備えた比較例1、マルチサイプ5およびオープンサイプ8を備えた比較例2は、従来例と比較して耐偏摩耗性は向上しているものの、耐サイプクラック性は低下している。
これに対し、マルチサイプ5および耐クラック性ゴム材7と共にオープンサイプ8を備えた実施例1に示す空気入りタイヤは、耐偏摩耗性は少なくとも従来例程度の性能を維持しながら、耐サイプクラック性を向上している。また、実施例2に示す空気入りタイヤは、耐クラック性ゴム材の破断伸びを550%としたことで、耐偏摩耗性と耐サイプクラック性とを向上している。すなわち、全ての実施例において耐偏摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上できていることを示している。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、耐偏摩耗性を維持しつつ耐クラック性能を向上することに適している。
本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤのトレッドを示す子午断面図である。 図1に示す空気入りタイヤのトレッドを示す平面図である。 図1に示す空気入りタイヤのトレッドを示す切欠斜視図である。 トレッドのタイヤ幅方向外側でのマルチサイプの配置を示す切欠斜視図である。 図1の部分拡大図である。 図2の部分拡大図である。 オープンサイプを設けた形態の空気入りタイヤのトレッドを示す平面図である。 本発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
符号の説明
1空気入りタイヤ
2 トレッド
23 細リブ
3 周方向主溝(周方向溝)
3a 細溝(周方向溝)
4 陸部
41 エッジ部
42 踏面
43 細リブ
5 マルチサイプ
6 トレッド本体ゴム材
7 耐クラック性ゴム材
8 オープンサイプ

Claims (9)

  1. タイヤ周方向に延在する複数の周方向溝と、前記周方向溝により形成された複数の陸部とをトレッドに有し、前記陸部のエッジ部にタイヤ周方向に沿って複数のサイプが設けられた空気入りタイヤであって、
    前記トレッドは、前記陸部の踏面を少なくとも表出するトレッド本体ゴム材と、前記サイプを包含する態様で前記陸部の少なくともタイヤ幅方向側部に配置され、かつ前記トレッド本体ゴム材より破断伸びが高いゴム材から成る耐クラック性ゴム材とで構成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記耐クラック性ゴム材および前記サイプは、前記トレッドのタイヤ幅方向最外側に設けられた前記周方向溝により形成された前記陸部のタイヤ幅方向両側部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、前記陸部のエッジ部からタイヤ幅方向に2.0mm以上の範囲に設けられ、前記耐クラック性ゴム材は、前記サイプの閉じた端からさらに1.0mm以上離隔した範囲まで配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイプは、前記陸部の踏面からの深さd1が、前記周方向主溝の深さDに対して0.5≦d1/D≦0.9の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイプは、自身の中心線間のタイヤ周方向の間隔が4.0mm以上15.0mm以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記サイプが設けられた前記陸部を貫通するように配設されたオープンサイプをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記オープンサイプは、前記陸部の踏面からの深さd2が、前記周方向主溝の深さDに対して0.1≦d2/D≦0.7の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記耐クラック性ゴム材は、破断伸びが500%以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッド本体ゴム材は、天然ゴムにブタジエンゴムを配合したゴム組成物、または天然ゴムにブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを配合したゴム組成物であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の空気入りタイヤ。
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