JP2009113356A - 静電気防止半透明ガスバリア性フィルム - Google Patents

静電気防止半透明ガスバリア性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】蒸着フィルムと静電シールド性材料とを貼り合わせることにより得られる積層包装材料は、製造コストが高いという問題を有している。本発明は、電子部品等を包装する包装体に適し、静電シールド性及びガスバリア性に優れ且つ低コストで製造可能な静電気防止半透明ガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】基材フィルムの片面に金属酸化物蒸着層と、有機無機ハイブリッドバリア層と、金属蒸着層とを有する静電気防止半透明ガスバリア性フィルムであって、前記有機無機ハイブリッドバリア層には、電界放出型透過電子顕微鏡等を用いた分析によって粒子径が2.0nm以下の酸化珪素が均一に分散して存在することが確認され、且つ、前記有機無機ハイブリッドバリア層からは、飛行時間型2次イオン質量分析によってC57 +イオン、C352 +イオン、およびC67 +イオンが検出される事を特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は積層包装材料に係り、特にICやLSI等の電子部品のように静電気による障害及び水蒸気や酸素による腐食が発生し易い物品の包装に適した静電気防止半透明ガスバリア性フィルムに関する。
ICやLSI等の電子部品や磁気記録媒体などの物品を収容する包装体には、その物品への直接的な接触を防止することのみが要求されている訳ではない。すなわち、そのような包装体には、過電流による物品の絶縁破壊等を防止可能であること、開封することなく収容された物品を視認可能であること、静電気帯電によって塵や埃が付着するのを防止可能であることなども望まれている。
透明であり、帯電防止性や静電シールド性が付与された包装材料としては、例えば、基材フィルムの片面に帯電防止コート層を形成し、他の主面に極薄アルミニウム蒸着層及び帯電防止シーラント層を順次積層した構造の静電シールド性包装材料がある。この包装材料によると、上記の各要求を満足する包装体を得ることができる(特許文献1)。
しかしながら、電子部品等を収容する包装体に使用される包装材料には、上記の各性能に加え、外気からの水蒸気や酸素の侵入を遮断して電子部品等の腐食を防止するガスバリア性がさらに要求されている。上記の静電シールド性包装材料では、そのような要求に応えることはできない。
かかる要求に対しては、例えば、延伸ポリプロピレンフィルムの片面に透明なガスバリア層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHという)層を設けたガスバリア性積層体を、上記の静電シールド性包装材料に貼り合わせる方法がある(特許文献2)。
しかしながら、このEVOHを用いたガスバリア層の酸素透過度は1.0cc/m2・day・atm程度であり、水蒸気透過度は3.0g/m2・day程度である。すなわち、このガスバリア層では、酸素バリア性及び水蒸気バリア性の双方が不足しており、それらの中でも、水蒸気バリア性が特に不足している。
そこで、このEVOHを用いたガスバリア層に代わり、近年、ポリエチレンテレフタレートフィルム或いは二軸延伸ナイロンフィルムの片面に、酸化アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物を蒸着した蒸着フィルムが使用されつつある。すなわち、この蒸着フィルムを上記の静電シールド性包装材料に貼り合わせることにより、静電シールド性とガスバリア性とを兼ね備えた積層包装材料を得ることができる(特許文献3)。
以下に公知文献を示す。
特開2001−341236号公報 特開平7−108655号公報 特開2004−175062号公報
しかしながら、蒸着フィルムと静電シールド性包装材料とを貼り合わせることにより得られる積層包装材料は、製造コストが高いという問題を有している。本発明は上記問題に
鑑みてなされたものであり、電子部品等を包装する包装体に適し、静電シールド性及びガスバリア性に優れ且つ低コストで製造可能な静電気防止半透明ガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
請求項1にかかる発明は、基材フィルムと、該基材フィルムの片面に形成された金属酸化物蒸着層と、該金属酸化物蒸着層上に形成された有機無機ハイブリッドバリア層と、該有機無機ハイブリッドバリア層上に形成された金属蒸着層とを有する静電気防止半透明ガスバリア性フィルムであって、前記有機無機ハイブリッドバリア層には、電界放出型透過電子顕微鏡(以下FE−TEMと略す)並びにエネルギー分散型X線分光分析(以下EDXと略す)及び、X線マイクロアナライザー(以下EPMAと略す)を用いた分析によって粒子径が2.0nm以下の酸化珪素が均一に分散して存在することが確認され、且つ、前記有機無機ハイブリッドバリア層からは、飛行時間型2次イオン質量分析(以下TOF−SIMSと略す)によってC57 +イオン、C352 +イオン、およびC67 +イオンが検出される事を特徴とする静電気防止半透明ガスバリア性フィルムである。
請求項2にかかる発明は、前記有機無機ハイブリッドバリア層から、TOF−SIMS分析によってCH3OSi+イオンが検出されることを特徴とする請求項1に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムである。
請求項3にかかる発明は、前記金属蒸着層がアルミニウムを蒸着して得られた膜であり、その膜厚が3nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムである。
請求項4にかかる発明は、波長500nmの光線透過率が20%以上70%以下であることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムである。
さらに請求項5にかかる発明は、前記金属蒸着層の表面抵抗値が100Ω/□以下であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムである。
本発明では、基材フィルム上に金属酸化物蒸着層と有機無機ハイブリッドバリア層と金属蒸着層とを有しているため、相乗効果により、それぞれの層が本来有しているバリア性よりも高いガスバリア性を得ることができる。また、本発明では、金属蒸着層の膜厚を適宜設定することにより、十分な静電シールド性と内容物視認性を両立することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様の構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムの構造を模式的に示す断面説明図である。基材フィルム10には、ガスバリア層30を構成する金属酸化物蒸着層32及び有機無機ハイブリッドバリア層34が順次積層されている。ガスバリア層30の上には金属蒸着層40が形成されている。
基材フィルム10としては、一般的な包装材料に使用されているプラスチックフィルム又はシートを使用することができ、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン−6やナイロン−66などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、或いはそれらの共重合体などのフィルム又はシートを用いることができる。
基材フィルム10の材料や厚さは、用途に応じて適宜選択され得るが、本発明の目的には、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルム、ナイロンフィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが好適に使用される。また、基材フィルム10の厚さは、6〜38μm程度であることが好ましい。
次に、ガスバリア層30について説明する。ガスバリア層30は金属酸化物蒸着層32と有機無機ハイブリッドバリア層34とで構成されている。金属酸化物蒸着層32の材料としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、錫などの酸化物を挙げることができる。好ましくは、酸化アルミニウムや酸化珪素や酸化マグネシウムなどのような透明な金属酸化物を使用することが好ましい。金属の窒化物、弗化物などが混合していてもかまわない。
金属酸化物蒸着層32は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びプラズマ気相成長法(CVD法)などの真空プロセスによって形成することができる。より具体的には、例えば、アルミニウム酸化物や珪素酸化物などを減圧下で加熱・蒸発させて基材フィルム10上に堆積させる通常の物理蒸着法を利用することができる。
また、アルミニウムや珪素などの金属を酸素などを僅かに含む減圧下で加熱・蒸発させて、基材フィルム10への堆積前又は同時又は直後に酸素などと反応させることにより、アルミニウム酸化物や珪素酸化物などを堆積させる反応性蒸着法も利用することができる。
さらに、シロキサンなどの反応性ガスを原料ガスとして供給し、基材フィルム10上でそのガスを反応させることにより、酸化珪素などを堆積させるCVD法なども利用することができる。
なお、金属酸化物蒸着層32の膜厚は、成膜に要する時間やガスバリア性などの観点から、50Å以上500Å以下の範囲内にあることが好ましい。
次に有機無機ハイブリッドバリア層34について説明する。有機無機ハイブリッドバリア層34は、金属酸化物蒸着層上に所定のコーティング剤を塗布してなる塗膜を加熱乾燥することにより得られるものである。有機無機ハイブリッドバリア層34を設けた場合、揉みなどによって金属酸化物蒸着層32にクラック等が発生するのを防止して、より高く且つより確実なガスバリア性を実現することができる。
有機無機ハイブリッドバリア層34を形成するのに用いるコーティング剤は、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解生成物、及び塩化錫からなる群より選ばれる少なくとも1種類と水溶性高分子とを溶質として含有し、水又は水とアルコールの混合液を溶媒として含有する溶液である。有機無機ハイブリッドバリア層34は、例えば、水溶性高分子と塩化錫とを水又は水/アルコール混合溶媒中に溶解させることによって得られるコーティング剤を金属酸化物蒸着層32上に塗布し、得られた塗膜を加熱・乾燥することにより形成することができる。
有機無機ハイブリッドバリア層34は、前記の塩化錫溶液に金属アルコキシド又はその加水分解生成物を混合したコーティング剤を金属酸化物蒸着層32の上に塗布し、得られた塗膜を加熱・乾燥することによっても形成することができる。
このコーティング剤に使用する水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール
(以下PVAと略す)、EVOH、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性有機高分子を挙げることができる。
これらの中では、特にPVAとEVOHを使用した場合に、最も優れたガスバリア性を実現することができる。また、コーティング剤に含有させる水溶性高分子としては、上記水溶性有機高分子の1種のみを使用してもよく、複数種を混合して使用してもよい。
次にコーティング剤に使用する金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC254]やトリイソプロポキシアルミニウム[Al(O−2'−C373]などのように一般式M(OR1)nで表される化合物を挙げることができる。なお、上記一般式において、MはSi、Ti、Al、及びZrなどの金属を示し、R1はメチル基[CH3]、エチル基[C25]などのアルキル基を示し、nはアルコキシ基の配位数を示す。これら金属アルコキシドの中でも、テトラエトキシシランやトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後であっても水系溶媒中で比較的安定に存在するので取扱いが容易である。なお、これら金属アルコキシドは、混合して用いることも可能である。
また、バリア性フィルムの耐水性が特に要求される場合には、主剤とするコーティング剤に、一般にシランカップリング剤と呼ばれる、一般式(R2Si(OR33)n(但し、R3はメチル基又はエチル基、又はC24OCH3、R2はアミノプロピル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカト基、ビニル基等の有機官能基)で表されるケイ素化合物、及びその加水分解物のうち少なくとも1つを混合した溶液を金属酸化物蒸着層に塗布し、加熱乾燥して形成することができる。
前記一般式においては、その有機官能基(R2)が、特にビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、及びイソシアネート基等の非水性官能基であることが好ましい。非水性官能基は、官能基が疎水性であるため、耐水性がさらに向上する。
上記一般式で表わされる化合物が多量体である場合、三量体が好ましく、より好ましくは、一般式(NCO-R4Si(OR333(式中、R4は(CH2)n、nは1以上)で表される1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮合体である。
この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシアヌレート部には化学的反応性はなくなるけれども、ヌレート部の極性により反応と同様の性能を示すことが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートをSi(OR14と、水酸基を有する水溶性高分子に添加することにより、水素結合に基づきガスバリア性フィルムが水によって膨潤することを防ぎ、耐水性を向上させることができる。
また、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランは、反応性が高く、コーティング剤の液安定性が低いのに対し、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができ、その耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと同等である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが不純物として含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、さらにまた好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。
このメトキシ基は、加水分解速度が早く、また、プロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから、1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
また、有機官能基R2として、3-グリシドキシプロピル基、あるいは2-(3,4エポキシシクロヘキシル)基が好ましく使用できる。これらの有機官能基は、加水分解によりシランアルコキシドのSi(OR14及び水溶性高分子と水素結合を形成するために、バリアの孔になり難く、ガスバリア性を損なうことなく耐水性を向上することができる。
上記のコーティング剤には、ガスバリア層30のガスバリア性を損なわない範囲内で、イソシアネート化合物、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、及び着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。例えば、上記コーティング剤に添加することができるイソシアネート化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものである。そのような化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、及びテトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)などのモノマー類、それらの重合体、及びそれらの誘導体などを挙げることができる。
上記コーティング剤の塗布には、ロールコート法、グラビアコート法、キスコート法などのように従来から知られている塗布方法を利用することができる。そのようにして得られる有機無機ハイブリッドバリア層34の厚さは、使用するコーティング剤の種類等に応じて異なるが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲内にあることが好ましい。また、一般に、有機無機ハイブリッドバリア層34の乾燥後の厚さが50μmを超えるとクラックを生じ易くなる。したがって、有機無機ハイブリッドバリア層34の乾燥後の厚さは0.01〜50μmの範囲内にあることがより好ましい。
次に金属蒸着層40について説明する。金属蒸着層40は、アルミニウム等の金属を真空蒸着法によって蒸着することにより形成することができる。金属蒸着層40の厚さは、好ましくは30〜150Åの範囲内に、より好ましくは50〜100Åの範囲内に設定される。一般に、金属蒸着層40の厚さが上記の下限値以上である場合、過剰に大きなピンホールは殆ど形成されず、金属蒸着層40の表面抵抗が100Ω/□以下となるため、十分な静電シールド性を得ることができるのに加え、より高いガスバリア性,特には水蒸気バリア性,を実現することができる。また、一般に、金属蒸着層40の厚さが上記の上限値以下である場合、金属蒸着層40は十分に光を透過する。そのため、本発明の半透明ガスバリア性フィルムを用いた包装体に収容した電子部品等を、その包装体を開封することなく目視によって確認することができる。
本実施形態においては基材フィルム10のガスバリア層30を設けた面とは反対側の面に、例えば、四塩化アンモニウム塩溶液のような帯電防止剤を含有する溶液を塗布し、帯電防止コート層を形成することができる。このような帯電防止コート層を設けることにより、更に、静電気防止効果が優れたものになる。
また、基材フィルム10には、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、及び着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて適宜添加することができる。さらに、基材フィルム10の表面にコロナ処理などの表面改質処理を施し、その後、その表面に金属酸化物蒸着層32を形成することにより、基材フィルム10と金属酸化物蒸着層32との密着性を向上させることもできる。再現性、安定性など制御しやすさの点からの低温プラズマを利用する方法が好ましい。この場合、プラズマの発生方法には特に制限はなく、高周波放電方式(R
F法)も直流放電方式(DC法)も使用することができる。また、プラズマ発生に用いるガスは、プラズマを安定的に発生させ、かつ、そのガスをもととする析出物ができないものを使用することが好ましく、具体的には、例えば、アルゴン(Ar)、酸素(O2)等の無機ガスが好ましい。また、低温プラズマ法の中ではバイアスを併用するRIE法を用いる事が望ましい。
基材フィルム10の表面には、予めアンカーコート層を設ける等の表面改質処理を施し、その後金属酸化物蒸着層32を形成することにより、基材フィルム10と金属酸化物蒸着層32との密着性を向上させることもできる。アンカーコート層の具体例としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ゴム系化合物、石油系樹脂、アルキルチタネート系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、イソシアネート系化合物、澱粉、カゼイン、アラビアゴム、セルロース誘導体、ワックス類、その他等の樹脂又はそのポリマーもしくはモノマー等の一種ないしそれ以上の混合物を塗布、乾燥して形成することができる。
本発明において、上記の樹脂又はそのポリマーもしくはモノマーとしては、1液硬化型、あるいは、二液硬化型等のいずれのものでも使用することができる。本発明においては、上記のような樹脂又はそのポリマーもしくはモノマー等の一種ないしそれ以上の混合物をビヒクルの主成分とし、これに、必要ならば、例えば、各種の安定剤、硬化剤ないし架橋剤、充填剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤等で充分に混練して、コーティング剤組成物を調整し、該コーティング剤組成物を使用し、これを、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スプレイコート法、エアナイフコート法、キスコート法、その他等のコーティング法で基材フィルム10の表面にコーティングして、有機化合物によるアンカーコート層を形成することができる。
本発明において、上記の有機化合物によるアンカーコート層の膜厚としては、0.01μm〜5μmが好ましい。更に好ましくは、0.05μm〜0.2μmが好ましい。本発明において、上記のコーティング法としては、生産性、膜厚の均一性等の観点から、グラビアコート法を用いることが最も望ましいものである。
さらに好ましい方法は、有機官能基を有するシランカップリング剤或いはその加水分解物と、ポリオール及びイソシアネート化合物等との複合物をアンカーコート層として塗布することである。
次に有機無機ハイブリッドバリア層34のFE−TEM、EDX、EPMA及びTOF−SIMSによる分析の必要性について説明する。本発明に用いる有機無機ハイブリッドバリア層は、その成分の選択範囲が広い上に、その加工方法によっても性能が異なるため、単に塗工液の構成成分を特定するだけでは十分に記述することができないものである。
発明者は、種々のサンプルについてその有機無機ハイブリッドバリア層をFE−TEMとEDX並びにEPMAにより解析した結果、存在する酸化珪素(SiOx)の粒子径とその分布状況がフィルムのガスバリア性に顕著な影響を及ぼすことを発見した。また、同様にして、TOF−SIMSによる分析において、特定のイオンが検出されない場合には、十分なガスバリア性が発揮されないことを見いだした。
FE−TEM分析に先立ち、試料はミクロトームなどを使用した超薄切片法で断面を調整する。有機無機ハイブリッドバリア層内での酸化珪素(SiOx)の粒子径および分布状態を解析する。本発明に適した分析条件としては、特殊な条件である必要はなく、加速
電圧は、50kV以上500kV以下、一般的には、200kVで観察を行い、元素分析はEDX法を用いる。この時の加速電圧は、50kV以上500kV以下、一般的には、200kVである。酸化珪素の分散状態はSi元素のマッピングをEPMAによって行う。この時の入射電子プローブ径としては、1nmφで行うのが一般的である。
本発明の静電気防止半透明ガスバリア性フィルム1の有機無機ハイブリッドバリア層34の酸化珪素(SiOx)の粒子径は2.0nm以下、好ましくは0.2nm以下である。分布状態はSi元素をマッピングして、外観上むらなく均一に分布している状態が確認されることが重要である。
次に有機無機ハイブリッドバリア層34のTOF−SIMS分析について説明する。分析条件としては、1次イオンとして69Ga+、又はAu1+を用い、1次イオン加速電圧15kV以上25kV未満、測定面積は、100μmφで分析を行う。
本発明に用いた有機無機ハイブリッドバリア層を分析して得られた2次イオン種について調べた結果、C57 +イオン、C352 +イオン、C67 +イオンが特徴的に検出されることが分った。またこれらの2次イオンは、有機無機ハイブリッドバリア層中にPVA又は、EVOHが存在することによってもたらされるものであることが分った。
なお、PVAの製造過程で発生する残存酢酸基がPVA分子の測鎖として存在することをC23+イオン、C232 2-イオンの検出で確認できる。更に、加水分解したシランアルコキシド由来のSi+イオン、SiOH+イオン、Si-イオン、SiO2 -イオン、HSiO3 -イオン、HSi25 -イオン等が確認できる。また、シランカップリング剤を使用した場合は、CH3OSi+イオンが、特徴的に検出される。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
図1に示す静電気防止半透明ガスバリア性フィルム1を、以下に示す方法で作製した。まず、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材フィルム10として用い、その片面に、真空蒸着法により酸化アルミニウムからなる膜厚150Åの金属酸化物蒸着層32を形成した。次に、酸化アルミニウム蒸着層上に、以下の方法で調製したコーティング剤をバーコータを用いて塗布し、得られた塗膜を120℃で1分間乾燥させることにより、厚さ約0.5μmの有機無機ハイブリッドバリア層34を形成した。なお、有機無機ハイブリッドバリア層用のコーティング剤は、下記A液、B液、C液、D液を混合して調製した。
<有機無機ハイブリッドバリア層用コーティング剤の調製に用いた液>
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC254、以下TEOSと称す)17.9g
と、メタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌し、加
水分解させた固形分5%(重量比SiO2換算)の加水分解溶液。
B液:PVAの5%(重量比)、水/メタノール=95/5(重量比)溶液。
C液:β-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランのイソプロピルアルコ
ール(以下IPAと略す)溶液に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間撹拌し、加
水分解させた後、さらに水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(
重量比R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液。
D液:シリカ粉末にIPAを加え30分間撹拌した固形分5%(重量比SiO2換算)の
分散液。
<実施例に用いたコーティング剤の配合処方>
液1…A液:B液:C液=60:40:0
液2…A液:B液:C液=70:20:10
液3…D液:B液:C液=60:40:0
液4…D液:B液:C液=70:20:10
実施例1では液1を塗布し、乾燥した。続いて、有機無機ハイブリッドバリア層34上に、真空蒸着法により、アルミニウムからなる厚さ70Åの金属蒸着層40を形成した。このようにして得られた静電気防止半透明ガスバリア性フィルム1の酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。その結果、酸素透過度は0.2cc/m2・day・atm(30℃、70%RH)であり、水蒸気透過度は0.5g/m2・day(40℃、90%RH)であった。また、この半透明ガスバリア性フィルム1の金属蒸着面の表面抵抗は、20Ω/□であり、波長500nmの光線透過率は40%であった。
次に、実施例1で得られた半透明ガスバリア性フィルムの有機無機ハイブリッドバリア層について、ミクロトームによる超薄切片法で試料の断面を調整し、FE−TEM(日本電子製JEM−2100F)およびEDX(日本電子製JED−2300T)を用いて分析を行った。いずれも加速電圧200kVで酸化珪素(SiOx)の粒子径を測定し、ついで、EPMA(島津製作所製EPMA−1610)を用いた元素のマッピングによるSi元素の分布状態を確認した結果、粒子径が2.0nm以下の酸化珪素(SiOx)が均一に分散して存在することが確認された。
次に、同じ有機無機ハイブリッドバリア層に対して、TOF−SIMS分析を行った。分析装置としてULVAC−PHI製のTRIFT−IIを使用し、1次イオン源Au1+
、正イオン加速電圧15kV、負イオン加速電圧25kV、測定面積100μmφで分析を行ったところ、C57 +イオン、C352 +イオン、C67 +イオンが検出された。
実施例2は、有機無機ハイブリッドバリア層に使用するコーティング剤として液2を使用した以外、全て実施例1と同様に実施した。その結果、有機無機ハイブリッドバリア層のTOF−SIMS分析で実施例1において検出されたイオン群に加え、CH3OSi+イオンが確認された。
<比較例1>
比較例1は、有機無機ハイブリッドバリア層に使用するコーティング剤として液3を使用した以外、全て実施例1と同様に実施した。その結果、FE−TEM分析でシリカ粒径が5μm以上あり、バリア性も劣っていた。
<比較例2>
比較例2は、有機無機ハイブリッドバリア層に使用するコーティング剤として液4を使用した以外、全て実施例1と同様に実施した。その結果、FE−TEM分析でシリカ粒径が5μm以上あり、バリア性も劣っていた。
実施例1、2、および比較例1、2で得られた静電気防止半透明ガスバリア性フィルムの測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 2009113356
本発明の静電気防止半透明ガスバリア性フィルムの構造を模式的に示した断面説明図である。
符号の説明
1・・・・静電気防止半透明ガスバリア性フィルム
10・・・基材フィルム
30・・・ガスバリア層
32・・・金属酸化物蒸着層
34・・・有機無機ハイブリッドバリア層
40・・・金属蒸着層

Claims (5)

  1. 基材フィルムと、該基材フィルムの片面に形成された金属酸化物蒸着層と、該金属酸化物蒸着層上に形成された有機無機ハイブリッドバリア層と、該有機無機ハイブリッドバリア層上に形成された金属蒸着層とを有する静電気防止半透明ガスバリア性フィルムであって、前記有機無機ハイブリッドバリア層には、電界放出型透過電子顕微鏡並びにエネルギー分散型X線分光分析及び、X線マイクロアナライザーを用いた分析によって粒子径が2.0nm以下の酸化珪素が均一に分散して存在することが確認され、且つ、前記有機無機ハイブリッドバリア層からは、飛行時間型2次イオン質量分析によってC57 +イオン、C352 +イオン、およびC67 +イオンが検出される事を特徴とする静電気防止半透明ガスバリア性フィルム。
  2. 前記有機無機ハイブリッドバリア層から、飛行時間型2次イオン質量分析によってCH3OSi+イオンが検出されることを特徴とする請求項1に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルム。
  3. 前記金属蒸着層がアルミニウムを蒸着して得られた膜であり、その膜厚が3nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルム。
  4. 波長500nmの光線透過率が20%以上70%以下であることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルム。
  5. 前記金属蒸着層の表面抵抗値が100Ω/□以下であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の静電気防止半透明ガスバリア性フィルム。
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