JP2009113162A - 研磨装置および研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多様な外形仕様の光学素子を単一の研磨装置で高精度に研磨することが可能な研磨技術を提供する。
【解決手段】研磨皿2を支持して揺動可能に設けられた下軸ユニット4と、この下軸ユニット4に対向しレンズホルダー6を介して被加工レンズ5を支持して揺動可能に設けられた上軸ユニット9と、上軸ユニット9に対して揺動変位および揺動平面に直交する方向の直線変位を与える直進軸62を備え、被加工レンズ5の形状仕様に応じて、研磨皿2と被加工レンズ5を摺動させる下軸ユニット4および上軸ユニット9の揺動角度および揺動面に直交する方向の直線変位を組み合わせることで、1台の研磨装置で多様な形状仕様の被加工レンズ5の研磨加工を可能にした。
【選択図】図2

Description

本発明は、研磨技術に関し、たとえばレンズ等の光学素子の研磨に適用して有効な技術に関する。
近年、光学レンズはデジタル化により高精度及び薄型化が求められておりそれに応じて深面形状や高面精度のレンズが増加してきている。
光学素子を研磨する手法としては、たとえば特許文献1に開示されているように、被加工物のレンズと回転する研磨皿を面接触させ、その状態でレンズと研磨皿をすり合わせてレンズの表面に目的の形状を創成する方法が一般的である。
すなわち、この特許文献1では、凹状あるいは凸状の球面を備えて回転する研磨皿と、面接触させレンズを研磨皿に加圧し、かつ研磨皿の球面に沿って往復運動するレンズ保持加圧部とを備えたレンズ研磨機において、レンズの曲率中心を中心とする円弧状の案内板を配するとともに、レンズ保持加圧部をこの案内板にそって往復揺動可能に案内し、レンズ保持加圧部を揺動させながら研磨皿によりレンズを研磨する技術が開示されている。
しかしながら、上述の特許文献1の手法では、単に、研磨皿の曲率中心に一致した揺動中心での研磨しかできず、特に近年要求が高まってきた深面形状(すなわち、球欠が半球に近い形状)のレンズでは、たとえばレンズの周辺部の加工が困難になり、高精度に加工することは困難であるという技術的課題がある。
また、設定できる球欠の曲率半径(R)にも、研磨皿の曲率半径による制限があり球欠の曲率半径(R)の大きなレンズは加工できないため、本特許文献1の研磨機のほかにも、研磨特性の異なる複数種の研磨機が必要になるという技術的課題もある。
特許第2643275号公報
本発明の目的は、多様な外形仕様の光学素子を単一の研磨装置で高精度に研磨することが可能な研磨技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、加工対象の光学素子を回転する研磨皿の研磨面に接触させて研磨を行う研磨装置であって、
前記光学素子が固定される上軸を支持し、前記研磨皿の前記研磨面の曲率中心を揺動中心として揺動する第1揺動軸と、
前記第1揺動軸を支持し、前記第1揺動軸の揺動面に交差する方向に直線変位が可能にされた直進軸と、
前記研磨皿を支持する下軸が載置され、前記研磨皿の前記曲率中心を揺動中心として揺動する第2揺動軸と、
を含む研磨装置を提供する。
本発明の第2の観点は、加工対象の光学素子を回転する研磨皿の研磨面に接触させて研磨を行う研磨方法であって、
前記研磨皿の前記研磨面の曲率中心を揺動中心として前記光学素子および前記研磨皿を相対的に揺動させる第1研磨加工と、
前記光学素子および前記研磨皿の相対的な揺動変位の揺動平面に交差する方向に直線変位を与える第2研磨加工、
の少なくとも一方を実行する研磨方法を提供する。
本発明によれば、多様な外形仕様の光学素子を単一の研磨装置で高精度に研磨することが可能な研磨技術を提供することができる。
最初に本実施の形態の各態様を概括し、その後、図面を参照してさらに詳細に説明する。
本実施の形態の第1の態様は、加工するレンズを回転する研磨皿に面接触させ、加工するレンズに加圧し相対運動させてレンズの研磨を行うレンズ研磨装置において、上記研磨皿の球芯を通る軸を揺動軸として前記研磨皿に対し球芯揺動する第1揺動軸と、この第1揺動軸と同軸で一端に揺動軸に直交するように構成された上軸を固着し、かつ、第1揺動軸内部に揺動軸の軸方向に直進揺動可能に構成され、第1揺動軸が球芯揺動する場合は共に揺動する機構を構成し、上記上軸と研磨皿の球芯に対して対向した位置に構成された下軸を載置し、上記第1揺動軸と同軸に構成された第2揺動軸で構成され、第1揺軸および第2揺動軸および直進軸は同軸に構成された研磨装置を提供する。
本実施の形態の第2の態様は、上記第1の態様レンズ研磨装置において、前記第1揺動軸と第2揺動軸と直進揺動軸はそれぞれ独立した駆動手段を備え、上記各軸が任意の位置で任意の揺動角度および位置に設定できる機能と各軸で任意の位置に独立して停止し、停止位置を維持することができる機能で構成されている研磨装置を提供する。
本実施の形態の第3の態様は、上記第1の態様において、上記第1揺動軸と直進揺動軸は同軸上に構成され、第1揺動軸が揺動動作を行う時は同様に揺動動作を行い、直進揺動軸を動作させる場合は第1揺動軸を固定し、直進揺動軸を揺動軸芯で研磨皿球芯に直交するように揺動させることで、第1揺動軸および第2揺動軸で構成できない曲率半径(R)の場合は直進揺動で加工する研磨装置を提供する。
本実施の形態の第4の態様は、加工するレンズを回転する研磨皿に面接触させ、研磨皿の上を加圧揺動させてレンズの研磨を行うレンズ加工方法において、研磨皿の球芯を通る軸を揺動軸として回転可能に保持され前記研磨皿に対し球芯揺動する上軸と、この揺動軸と同軸で前記上軸と対向し、研磨皿の球芯に対して球芯揺動可能に構成された下軸と前記上軸揺動軸内に軸方向に揺動可能に構成された直線揺動軸を用意し、少なくとも各軸が独立して揺動するように制御することにより最適研磨動作を実現する。
上述した本実施の形態の各態様によれば、加工するレンズを回転する研磨皿に面接触させる研磨加工において、上軸及び下軸が球芯揺動する機構と直線揺動軸が直線揺動することを備えたことで、レンズのD/R等の形状仕様に制限されること無く1台の研磨装置で研磨することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である研磨装置の揺動機構の概念を示す概略正面図、図2は、本実施の形態の研磨装置の構成の一例を示す略側断面図、図3は、実施の形態における研磨装置の部分正面図である。
本実施の形態の研磨装置Mは、互いに対向して揺動可能に設けられた下軸ユニット4(第2揺動軸)および上軸ユニット9(第1揺動軸)と、当該上軸ユニット9の揺動および揺動平面内に直交する方向の変位を与える直進軸62を備えている。
上軸ユニット9は、レンズホルダー6、加圧軸7(上軸)、加圧部材8を備え、被加工レンズ5(光学素子)はレンズホルダー6に保持されている。
下軸ユニット4はスピンドル3(下軸)および研磨皿2を備えている。この研磨皿2は、たとえば、研磨面曲率半径R0の球面からなる研磨面2aを備え、球芯1が後述の揺動機構の中心と一致するように調整され、スピンドル3に固着されている。
上軸ユニット9は加圧軸7と加圧部材8により低摺動抵抗にて推力を発生するように構成され、加圧軸7の先端に回転可能に取り付けられたレンズホルダー6を介して、被加工レンズ5を研磨皿2の研磨面2aに押圧している。
一方、上述の上軸ユニット9と対向する位置には、同軸上に高精度に位置決めされた下軸ユニット4が、その揺動軸芯C2が、上軸ユニット9の揺動軸芯C1と同軸で研磨皿2の球芯1と一致する位置に配置されている。
下軸ユニット4にはスピンドル3が高精度に同軸に配置され、このスピンドル3において、研磨皿2の取り付け側の反対側にはスピンドルプーリー37が固定ナット38にて固着されている。
また、下軸ユニット4の下端にはモーターブラケット36が固着され、モーターブラケット36にはスピンドルモーター41が固着されている。スピンドルモーター41の回転軸にはモータープーリー40が前記スピンドルプーリー37と相関を持ち固定されており、モータープーリー40とスピンドルプーリー37はベルト39で連結され、スピンドルモーター41の回転をスピンドル3に伝達している。
下軸ユニット4の他端には、研磨皿2が収容されるタライ44が水漏れしないように固着されている。タライ44には研磨に使用した研磨液48を図示されていない研磨液タンクに戻す為の右排水口46と左排水口45が設けられている。
上軸ユニット9は球芯1を通るように設定された揺動軸芯C1が、上軸揺動幅43のような振幅で研磨揺動動作を行う。
下軸ユニット4は球芯1を通るように設定された揺動軸芯C2が、下軸揺動幅42のような振幅で研磨揺動動作を行う。
本実施の形態の場合、被加工レンズ5の外形仕様が、球欠の口径Dおよび曲率半径Rのとき、被加工レンズ5の形状が深面形状(例えば、D/R>1.5)の場合は、下軸ユニット4を垂直位置から球芯1を中心に傾けて位置し、上軸ユニット9の揺動動作ができるだけ垂直位置からの振り分けになるように設定する。これにより加圧部材8により被加工レンズ5に与えられた研磨圧力は重力の影響を受けにくく球芯1に向かってバランスよく加圧される。
また、上軸ユニット9の揺動軸芯C1を垂直位置から球芯1を中心に傾けて位置し、下軸ユニット4の揺動動作ができるだけ垂直位置から振り分けになるように設定することも出来る。
図2等に例示されるように、上軸ユニット9はガイド10に摺動可能に設置され、上軸モーター13およびボールネジ53により球芯1に対して上下方向に可動な構成になっている。
ガイド10は上軸揺動アーム11に固着され、上軸揺動アーム11は揺動軸30の軸中心に軸方向に直進揺動可能に構成された直進軸62の一端に固着されている。
揺動軸30はアンギュラベアリング17と上軸揺動ベアリング21及びカラー小24とカラー大20をクイル19の内部に挿入し揺動軸30側をインナーL押さえナット25とアウターL押さえナット23により構成されるスピンドルユニットで高精度に回転できる構造を形成している。この揺動軸30の回転軸芯C3は上記上軸ユニット9の揺動軸芯C1と直交し研磨皿2の球芯1と高精度に一致するように構成されている。
前記クイル19はユニットベース31上に固着されたケース18に挿入され、クイルナット22で固着されている。
一方、クイルナット22の他端外周部には下軸揺動ベアリング15が嵌合され、この下軸揺動ベアリング15の外周部には下軸揺動ベース32が嵌合され、下軸Iオサエナット12及び下軸Oオサエ14により高剛性かつ高精度に回転可能に構成されている。
このような構成により下軸ユニット4は研磨皿2の球芯1を回転中心として高精度に揺動することができる。
下軸揺動ベース32の下端外周にはギア32a(図3参照)が形成されており、このギア32aにはユニットベース31に固着された減速機34に組み合わせられた下軸揺動モーター35の出力軸に固着されたギア33が噛み合わされている。下軸揺動ベース32には下軸ベース49が構成されており、下軸ベース49には下軸ユニット4が固着されている。
そして、下軸揺動モーター35を駆動することにより、この下軸揺動モーター35に組み合わせた減速機34を介してギア33を回転させ、このギア33に外周部のギア32aが噛み合わされた下軸揺動ベース32を上軸ユニット9の揺動軸と同軸上で揺動動作をさせることができる。
一方、上記揺動軸30の一端には揺動プーリー29が固着されている。ケース18には上軸揺動モーターブラケット26が固着され、上軸揺動モーターブラケット26には上軸減速機27が固着され、上軸減速機27の軸には揺動モータープーリー60が固着され、揺動モータープーリー60と揺動プーリー29は揺動ベルト61を介して揺動軸30を駆動している。
上軸減速機27には上軸揺動モーター28が組み合わされ、この上軸揺動モーター28により揺動モータープーリー60および揺動ベルト61および揺動プーリー29を介して、揺動軸30を駆動することにより上軸揺動アーム11を介して上軸ユニット9を研磨皿2の球芯1を中心に球芯揺動する。
下軸ユニット4にはタライ44が固着されタライ44には研磨液ノズル47が固着され、研磨皿2及び被加工レンズ5の研磨加工部に研磨液48を供給する。
上軸ユニット9は本実施の形態では加圧部材8の加工圧を加圧軸7及びレンズホルダー6を介して被加工レンズに与える構造になっているが、この構成でレンズホルダー6を回転しないように固定して、加圧軸7を回転させる図示しない機構を組あわせることもできる。また、下軸ベース49にはスピンドル3の軸芯(揺動軸芯C2)と平行に摺動する機構を構成し、研磨皿2の球芯1が摩耗などで変動した場合に調整する機能を持たせることも出来る。
揺動軸30の内部には直進軸62が軸方向に可動に構成され、上軸揺動アーム11を固着した他端には回転継ぎ手63が装着され、回転継ぎ手63は駆動ガイド64に固着されている。
駆動ガイド64は架台50に固着された駆動モーターブラケット66に固着された直進モーター65と連結されており、この直進モーター65により直進軸62を回転軸芯C3の軸方向に往復動させることで、上軸ユニット9の全体を揺動軸芯C1の揺動平面に直交する方向に変位させることが可能になっている。
図3の部分正面図は、下軸揺動ベース32の外周部に構成されているギア32aにかみ合わせられているギア33によって、下軸ユニット4と上軸ユニット9が同じ回転軸上で高精度にまたそれぞれが独立して揺動動作させることができることを表している。
以下、図1および図2を用いて本実施の形態の研磨装置Mにおけるレンズ研磨の作用の一例を説明する。
まず、研磨開始時にレンズホルダー6に被加工レンズ5を不図示の真空吸着装置等により吸着しセットする。
被加工レンズ5がセットされた上軸ユニット9は上軸モーター13によりガイド10に沿って上軸ユニット9を球芯1の方向に研磨皿2の近傍の設定位置まで移動する。
その後、加圧部材8により加圧軸7を介して被加工レンズ5を研磨皿2に設定圧力で接触させる。
被加工レンズ5が凹レンズの場合は図2の状態になり研磨皿2をスピンドルモーター41によりスピンドル3を介して回転させる。被加工レンズ5はレンズホルダー6と共に研磨皿2の回転に連れて回転する。この状態で上軸ユニット9を上軸揺動モーター28で設定した揺動幅で上軸揺動幅43の範囲内を球芯1を中心に球芯揺動させる。この動作により被加工レンズ5は研磨皿2の研磨面2aにより所望の形状に研磨される。
一方、被加工レンズ5が凸レンズの場合、被加工レンズ5は球芯1よりスピンドル3の側に入り込んだ位置に設置される。この状態で上軸ユニット9を球芯1に対して揺動させても被加工レンズ5は加工できるが、バタツキやビビリが発生した場合は、本実施の形態の研磨装置Mでは上軸ユニット9の揺動を停止させ、下軸ユニット4を下軸揺動モーター35により設定した揺動幅で下軸揺動幅42の範囲内を、球芯1を中心に球芯揺動する加工も出来る。
この動作により被加工レンズ5が、凸レンズ形状および凹レンズのいずれの場合でも高精度に研磨することができる。
また、被加工レンズ5の形状が半球に近いような深い形状になるとこの揺動位置では不足し、より被加工レンズ5の外周側で揺動させることが必要となる。そのため上軸揺動幅43及び下軸揺動幅42を超えて加工しなければ最適研磨条件が設定できなくなる。また、揺動位置を被加工レンズ5の外周側に設定すると加圧軸重量の影響により加圧力が変化してしまい、高精度な研磨加工が出来なかったが、本実施の形態の研磨装置Mでは深い面形状の被加工レンズ5に対しては、例えば、凹レンズの場合、上軸ユニット9が上軸揺動幅43の範囲で垂直位置から左右に振り分けで揺動し、合わせて下軸ユニット4が傾斜し揺動位置を被加工レンズ5の外周側へ移動させ、揺動位置の不足分をカバーすることができる。
これにより加圧力が大きく変化すること無く、最適な研磨条件下で高精度な研磨ができる。また、深面凸レンズの場合は上軸ユニット9と下軸ユニット4の設定を逆にすることにより高精度に研磨する事もできる。
また、本実施の形態の研磨装置Mの機構を用いると、上軸ユニット9を通常の揺動動作をさせながら下軸ユニット4を低速で揺動させる研磨加工や下軸ユニット4を研磨の進行に応じて位置を段階的に変化させるなど上軸ユニット9と下軸ユニット4の位置関係を、相関を持たせて変化させる研磨加工の設定ができ、より柔軟な研磨条件の設定や研磨加工の安定化を実現できる。
また、研磨皿2の球芯1を中心とする球芯揺動の場合は、上軸ユニット9および下軸ユニット4で構成できる被加工レンズ5の加工面の曲率半径Rには限界があり、限界を超えた大きな曲率半径R(>R0)を加工することは出来ない。
その場合は、図4(a)および(b)に例示されるように、上記直進モーター65を駆動させ、直進軸62を研磨皿2の球芯1に対して直線的に揺動させる。このときレンズホルダー6は固定ではなくピポット構造またはリンク構造を用いることにより、直線揺動で被加工レンズ5の研磨面を研磨皿2の球面の研磨面2aに沿って揺動させることができ、大きな曲率半径Rの被加工レンズ5も加工することが出来る。
また、研磨皿2の面頂(頂部中心)を通る研磨では芯立ちといわれる面精度乱れが発生する場合があるが、本実施の形態の研磨装置Mでは、図4(c)および(d)に例示されるように、揺動軸30の作動による直線揺動加工時に上軸ユニット9または下軸ユニット4を傾けて設定することにより、斜軸加工ができ、この斜軸加工によって、上述の芯立ち等の面精度の乱れを減少させることが出来る。
この組み合わせは、球芯加工時にも設定可能である。
さらに、図5に例示されるように、揺動軸30を上軸ユニット9の揺動軸芯C1の中立な位置(すなわち、下軸ユニット4の揺動軸芯C2と同軸な位置)から、回転軸芯C3の軸方向に所定の移動距離ΔLだけ前進または後退させた状態で、上軸ユニット9を揺動させることで、研磨皿2の面頂位置からはずれた位置で被加工レンズ5の研磨を行うことで、研磨皿2の面頂位置の研磨で発生した加工クセを修正することもできる。
また、上述の実施の形態には記載されていないが、上軸ユニット9にはレンズホルダー6を回転させる図示しない回転機構を設置することも可能であり、小径レンズ研磨を効率的に行なうときなどに用いることも可能である。
以上説明したように、本実施の形態の研磨装置Mによれば、被加工レンズ5等の光学素子を回転する研磨皿2に面接触させて摺動させることにより被加工レンズ5に曲面を高精度に創生する研磨加工において、被加工レンズ5の球欠のD/R等の形状仕様に制限されることなく1台の研磨装置Mで高精度の研磨加工を行うことが可能なる。
この結果、従来の研磨技術では、1台の研磨機では適正な研磨条件が設定できないため、作業者の技能により加工条件を調整しながら加工したり、複数の研磨機を渡り歩いて加工しなければならず、レンズの品質にばらつきが出てしまい良品を確保することが難しかったのに対して、本実施の形態の研磨装置Mでは、研磨装置Mを管理する作業者の技能に依存することなく、しかも複数の研磨機を渡り歩くことなく、多様な形状仕様の被加工レンズ5を高精度に研磨加工できるとともに、研磨加工の全体の所要時間も短縮される。
この結果、複数の研磨機を使用する場合のような研磨工程での仕掛品の発生も減少するとともに、光学素子の製造工程における製造開始から終了までのリードタイムも短縮される。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
加工するレンズを回転する研磨皿に面接触させ、研磨皿の球面上を加圧揺動させてレンズの研磨を行うレンズ研磨装置であって、前記研磨皿の球芯を通る軸を揺動軸として前記研磨皿球芯に対し球芯揺動する第1揺動軸と、この第1揺動軸内部に一端に上軸を固着し、第1揺動軸と軸方向に直線揺動可能に構成された直進軸と、前記上軸と同軸で研磨皿球芯に対して対向した下軸を載置し、前記第1揺動軸の揺動軸心と同軸に構成された第2揺動軸を持つことを特徴とするレンズ研磨装置。
(付記2)
前記第1揺動軸と第2揺動軸と直進軸はそれぞれ独立した揺動駆動手段で構成され、各軸で任意の動作を設定できる機能を持つことを特徴とする付記1記載のレンズ研磨装置。
(付記3)
前記上軸を固着した直線軸は第1揺動軸に対して軸方向には可動できるが、回転方向には可動できない構成とすることを特徴とする付記1記載のレンズ研磨装置。
(付記4)
前記第1揺動軸および第2揺動軸で構成できない大きな球面のレンズの加工時は、上記上軸を固着した直進軸を直線揺動する事を特徴とする付記1記載のレンズ研磨装置。
(付記5)
加工するレンズを回転する研磨皿に面接触させ、加圧揺動させてレンズの研磨を行うレンズ研磨方法において、前記球心機構で構成できる球面のレンズは球心揺動で加工し、球心機構で構成できない大きな球面のレンズは直線揺動で加工することにより、レンズ球面形状(D/R)に制限なく加工できるレンズの研磨方法。
本発明の一実施の形態である研磨装置の揺動機構の概念を示す概略正面図である。 本発明の一実施の形態である研磨装置の構成の一例を示す略側断面図である。 本発明の一実施の形態である研磨装置の部分正面図である。 (a)〜(d)は、直進軸の往復変位を援用する研磨方法の作用を示す概念図である。 直進軸の変位を援用して研磨皿のクセを解消する研磨方法の作用を示す概念図である。
符号の説明
1 球芯
2 研磨皿
2a 研磨面
3 スピンドル
4 下軸ユニット
5 被加工レンズ
6 レンズホルダー
7 加圧軸
8 加圧部材
9 上軸ユニット
10 ガイド
11 上軸揺動アーム
12 下軸Iオサエナット
13 上軸モーター
14 下軸Oオサエ
15 下軸揺動ベアリング
17 アンギュラベアリング
18 ケース
19 クイル
20 カラー大
21 上軸揺動ベアリング
22 クイルナット
23 アウターL押さえナット
24 カラー小
25 インナーL押さえナット
26 上軸揺動モーターブラケット
27 上軸減速機
28 上軸揺動モーター
29 揺動プーリー
30 揺動軸
31 ユニットベース
32 下軸揺動ベース
32a ギア
33 ギア
34 減速機
35 下軸揺動モーター
36 モーターブラケット
37 スピンドルプーリー
38 固定ナット
39 ベルト
40 モータープーリー
41 スピンドルモーター
42 下軸揺動幅
43 上軸揺動幅
44 タライ
45 左排水口
46 右排水口
47 研磨液ノズル
48 研磨液
49 下軸ベース
50 架台
53 ボールネジ
60 揺動モータープーリー
61 揺動ベルト
62 直進軸
63 回転継ぎ手
64 駆動ガイド
65 直進モーター
66 駆動モーターブラケット
C1 上軸ユニット9の揺動軸芯
C2 下軸ユニット4の揺動軸芯
C3 直進軸62の回転軸芯
M 研磨装置
R 被加工レンズ5の曲率半径
R0 研磨皿2の研磨面曲率半径
ΔL 直進軸62の移動距離

Claims (6)

  1. 加工対象の光学素子を回転する研磨皿の研磨面に接触させて研磨を行う研磨装置であって、
    前記光学素子が固定される上軸を支持し、前記研磨皿の前記研磨面の曲率中心を揺動中心として揺動する第1揺動軸と、
    前記第1揺動軸を支持し、前記第1揺動軸の揺動面に交差する方向に直線変位が可能にされた直進軸と、
    前記研磨皿を支持する下軸が載置され、前記研磨皿の前記曲率中心を揺動中心として揺動する第2揺動軸と、
    を含むことを特徴とする研磨装置。
  2. 請求項1記載の研磨装置において、
    前記第1揺動軸および前記第2揺動軸および前記直進軸は、それぞれ独立した駆動手段を備え、前記第1揺動軸および前記第2揺動軸および前記直進軸の各々の動作が独立に設定可能なことを特徴とする研磨装置。
  3. 請求項1記載の研磨装置において、
    前記直進軸は前記第1揺動軸の前記揺動中心に対して接続され、当該直進軸を介して前記上軸が載置される前記第1揺動軸の揺動変位および当該直進軸の軸方向の直線変位が与えられることを特徴とする研磨装置。
  4. 請求項1記載の研磨装置において、
    前記光学素子が凹レンズであり、当該凹レンズの曲率半径が前記研磨皿の曲率半径よりも大きい場合、または前記光学素子が凸レンズであり、当該凸レンズの曲率半径が前記研磨皿の曲率半径よりも大きい場合には、前記直進軸から前記第1揺動軸に支持された前記上軸に対して前記第1揺動軸の前記揺動面に交差する方向に往復の前記直線変位を与えることを特徴とする研磨装置。
  5. 加工対象の光学素子を回転する研磨皿の研磨面に接触させて研磨を行う研磨方法であって、
    前記研磨皿の前記研磨面の曲率中心を揺動中心として前記光学素子および前記研磨皿を相対的に揺動させる第1研磨加工と、
    前記光学素子および前記研磨皿の相対的な揺動変位の揺動平面に交差する方向に直線変位を与える第2研磨加工、
    の少なくとも一方を実行することを特徴とする研磨方法。
  6. 請求項5記載の研磨方法において、
    前記光学素子は、凸レンズまたは凹レンズであり、前記凸レンズまたは前記凹レンズの口径Dと曲率半径Rとの比率(D/R)の大小に応じて前記第1および第2研磨方法を使い分けることを特徴とする研磨方法。
JP2007289658A 2007-11-07 2007-11-07 研磨装置および研磨方法 Withdrawn JP2009113162A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103586753A (zh) * 2013-11-15 2014-02-19 成都精密光学工程研究中心 离轴非球面光学加工装置
CN105538088A (zh) * 2015-12-16 2016-05-04 大英彰骏光电科技有限公司 一种光学镜片凹面精加工设备及精加工方法
WO2018003765A1 (ja) * 2016-06-29 2018-01-04 川崎重工業株式会社 研磨装置

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