JP2009108904A - スタッドボルト - Google Patents

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Abstract

【課題】薄い鋼板のような母材においても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトを提供すること。
【解決手段】頭部1をアーク溶接により母材Sに固着するスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の表面に、頭部1の外周に沿うリング状の突条3及び該突条3の略中心位置に突起4を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スタッドボルトに関し、特に、薄い鋼板のような母材においても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトに関するものである。
例えば、自動車の組み立て工程において、自動車のボディを構成するような薄い鋼板にも多数のスタッドボルトが溶接され、部品の取付等に使用されている。
このような薄い鋼板にスタッドボルトを溶接する場合は、図4に示すような、頭部を大径にしたラージフランジ型のスタッドボルトか、ほぼ軸径に近い頭部を有するスタンダード型スタッドボルトが使用されている。
しかしながら、溶接部径が大きいラージフランジ型のスタッドボルトは、継ぎ手強度は優れるものの、溶接面積が大きいことから母材に与える影響が大きくなり、0.65mmから0.6mm以下に移行しつつある鋼板の最低板厚に対応することができないという問題を有している。
また、溶接部径が小さいスタンダード型のスタッドボルトは、溶接は安定して行えるが、溶接面積が小さいことから継ぎ手強度が弱く、ナットの締め付けに際して気遣いが必要になるという問題を有している。
本発明は、上記従来のスタッドボルトが有する問題点に鑑み、薄い鋼板のような母材においても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のスタッドボルトは、頭部をアーク溶接により母材に固着するスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の表面に、頭部の外周に沿うリング状の突条及び該突条の略中心位置に突起を形成したことを特徴とする。
この場合において、突起の突出量をリング状の突条の突出量より大きく設定することができる。
本発明のスタッドボルトによれば、頭部をアーク溶接により母材に固着するスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の表面に、頭部の外周に沿うリング状の突条及び該突条の略中心位置に突起を形成することにより、頭部の表面のリング状の突条を溶接することにより、溶接部径を大きくして継ぎ手強度を確保するとともに、溶接部形状をリング状とすることで溶接入熱を低くすることができ、これにより、例えば、母材が薄い鋼板の場合でも、溶接入熱が母材に与える影響を小さくして、母材に溶け抜け等の欠陥が発生することなく、安定した溶接を行うようにすることができる。
溶接部の継ぎ手強度は溶接部径によって決まるが、溶接部径の全面を母材と溶着させる必要はなく、外周のリング状の部分さえ母材と溶着できれば、薄い鋼板への継ぎ手強度は満足することができる。
この場合、溶接部形状が単なるリング状では、溶接時の初期アークの発生が安定しないが、リング状の突条の略中心位置に突起を形成することにより、アークを安定した状態で発生させることができる。
また、突起の突出量をリング状の突条の突出量より大きく設定することにより、アークを一層安定した均一な状態で発生させることができる。
以下、本発明のスタッドボルトの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に、本発明のスタッドボルトの一実施例を示す。
このスタッドボルトは、頭部1をアーク溶接により母材Sに固着するスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の表面に、頭部1の外周に沿うリング状の突条3及び該突条3の略中心位置に突起4を形成するようにしている。
軸部2は、本実施例では、M6の雄ねじに形成されており、軸部2の上部には直径約10mm、厚さ約1mmの円板状の頭部1が一体に形成されている。
この場合、頭部1の直径D1は、軸部2の雄ねじの外径D2の1.4〜2.0倍程度、好ましくは、1.5〜1.8倍程度に形成することができる。
また、頭部1の厚さは、0.8〜2.0mm程度、好ましくは、0.8〜1.5mm程度に形成することができる。
頭部1の外周に沿うリング状の突条3は、本実施例では、突条3の直径、すなわち、溶接部径を、頭部1の直径D1より小さい約9mm、突条3の頭部1の表面からの突出量H3を約1mmに設定するようにしている。
この場合、突条3の直径は、頭部1の直径D1の85〜100%程度、好ましくは、頭部1の直径D1より小さい、85〜95%程度に形成することができる。
また、突条3の突出量H3は、0.8〜2.0mm程度、好ましくは、0.8〜1.5mm程度に形成することができる。
突条3の略中心位置に形成する突起4は、本実施例では、直径を約1.5mm、突起4の頭部1の表面からの突出量H4を約1.4mmに設定するようにしている。
この場合、突起4の直径は、1.0〜3.0mm程度、好ましくは、1.0〜2.0mm程度に形成することができる。
また、突起4の突出量H4は、1.2〜3.0mm程度、好ましくは、1.2〜2.0mm程度に形成することができる。
そして、突起4の突出量H4をリング状の突条3の突出量H3より大きく設定することが好ましい。
これにより、アークを安定した均一な状態で発生させるようにすることができる。
本実施例のスタッドボルト(M6)と、溶接部径が同じ(約9mm)従来のラージフランジ型のスタッドボルト(比較例、図4参照)とを、板厚0.6mmの薄い鋼板にそれぞれ溶接した(図3に本実施例のスタッドボルトの溶接状態を示す。)。
溶接した結果を、表1に示す。
Figure 2009108904
表1からも明らかなように、本実施例のスタッドボルトは、溶接部径が同じ従来のラージフランジ型スタッドボルトに比べて低い電流条件で溶接することができるとともに、同等の溶接強度を得ることができることを確認した。
かくして、本実施例のスタッドボルトは、頭部1をアーク溶接により母材Sに固着するスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の表面に、頭部1の外周に沿うリング状の突条3及び該突条3の略中心位置に突起4を形成するようにすることにより、頭部1の表面のリング状の突条3を溶接することにより、溶接部径を大きくして継ぎ手強度を確保するとともに、溶接部形状をリング状とすることで溶接入熱を低くすることができ、これにより、例えば、母材Sが薄い鋼板の場合でも、溶接入熱が母材Sに与える影響を小さくして、母材Sに溶け抜け等の欠陥が発生することなく、安定した溶接を行うようにすることができる。
溶接部の継ぎ手強度は溶接部径によって決まるが、溶接部径の全面を母材Sと溶着させる必要はなく、図3に示すように、外周のリング状の部分さえ母材Sと溶着できれば、薄い鋼板への継ぎ手強度は満足することができる。
この場合、溶接部形状が単なるリング状では、溶接時の初期アークの発生が安定しないが、リング状の突条3の略中心位置に突起4を形成することにより、アークを安定した状態で発生させることができる。
また、突起4の突出量H4をリング状の突条3の突出量H3より大きく設定することにより、アークを一層安定した均一な状態で発生させることができる。
以上、本発明のスタッドボルトについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、スタッドボルトのねじ部、頭部、リング状の突条及び突起の形状(寸法)は、スタッドボルトの用途に応じて適宜選択することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明のスタッドボルトは、薄い鋼板のような母材においても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるという特性を有していることから、例えば、板厚を薄くすることが要請されている自動車ボディの製作の用途に特に好適に用いることができる。
本発明のスタッドボルトの一実施例を示し、(a)はその正面図、(b)は同断面図、(c)は同左側面図、(d)は同斜視図である。 同スタッドボルトの六面図である。 同スタッドボルトを溶接した状態を示す断面図である。 従来のラージフランジ型のスタッドボルトの説明図である。
符号の説明
1 頭部
2 軸部
3 突条
4 突起
S 母材

Claims (2)

  1. 頭部をアーク溶接により母材に固着するスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の表面に、頭部の外周に沿うリング状の突条及び該突条の略中心位置に突起を形成したことを特徴とするスタッドボルト。
  2. 突起の突出量をリング状の突条の突出量より大きく設定したことを特徴とする請求項1記載のスタッドボルト。
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