JP2010017740A - スタッドボルト - Google Patents

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Hideki Kataoka
英樹 片岡
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Abstract

【課題】薄い鋼板のような母材に対しても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトを提供すること。
【解決手段】頭部1と軸部2の間にフランジ部3を設けるとともに、頭部1をアーク溶接により母材Sに固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の溶接面4からフランジ部3までの高さH1を1.5〜2.5mmとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スタッドボルトに関し、特に、薄い鋼板のような母材に対しても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトに関するものである。
例えば、自動車の組み立て工程において、自動車のボディを構成するような薄い鋼板にも多数のスタッドボルトが溶接され、部品の取付等に使用されている。
このような薄い鋼板にスタッドボルトを溶接する場合、継ぎ手強度を上げるとともに、ナットの締め付けを安定させるために、図4に示すように、頭部1の溶接面の直径D4を約9mmと大径にするとともに、頭部1と軸部2の間に、締付部品をナットとで挟着するフランジ部3を設けたラージフランジ型のスタッドボルトが使用されている。
しかしながら、溶接部径が大きいラージフランジ型のスタッドボルトは、継ぎ手強度は優れるものの、溶接面積が大きいことから母材に与える影響が大きくなる。
特に、頭部1の溶接面4からフランジ部3までの高さH3が1mmしかないため、溶接アークがフランジ部3の下面まではい上がり、このフランジ部3の下面まで母材に溶接されることがあり、余分な溶接電流が放出されることから、0.65mmから0.6mm以下に移行しつつある鋼板の最低板厚に対応することが困難であるという問題を有している。
本発明は、上記従来のスタッドボルトが有する問題点に鑑み、薄い鋼板のような母材に対しても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるスタッドボルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のスタッドボルトは、頭部と軸部の間にフランジ部を設けるとともに、頭部をアーク溶接により母材に固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の溶接面からフランジ部までの高さを1.5〜2.5mmとしたことを特徴とする。
この場合において、頭部の溶接面の直径をフランジ部の直径の0.5〜0.6倍とすることができる。
本発明のスタッドボルトによれば、頭部と軸部の間にフランジ部を設けるとともに、頭部をアーク溶接により母材に固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の溶接面からフランジ部までの高さを1.5〜2.5mmとすることから、溶接アークのフランジ部へのはい上がりを防止し、フランジ部下面の母材への溶接を防止するとともに、溶接電流を低減し、これにより、例えば0.6mm等の薄板厚の母材鋼板に溶接が可能になるなど、溶接条件の許容範囲を広くすることができる。
なお、頭部溶接面からフランジ部までの高さが2.5mmを越えると、フランジ部の位置が高くなりすぎ、締付部品が取り付けにくくなる。
また、頭部の溶接面の直径をフランジ部の直径の0.5〜0.6倍とすることにより、母材鋼板の板厚が小さい場合でも溶接面積を小さくして安定した溶接をすることができる。
以下、本発明のスタッドボルトの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明のスタッドボルトの一実施例を示す。
このスタッドボルトは、頭部1と軸部2の間にフランジ部3を設けるとともに、頭部1をアーク溶接により母材Sに固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の溶接面4からフランジ部3までの高さH1を1.5〜2.5mmとしている。
軸部2は、本実施例では、M6の雄ねじに形成されており、軸部2と頭部1の間には、直径D1が12〜13mm、厚さH2が約1mmの円板状のフランジ部3が一体に形成されている。
この場合、フランジ部3の直径D1は、軸部2の雄ねじの外径D2の2.0倍程度に形成することができる。
なお、フランジ部3は、スタッドボルトに締付部品を固定する際に、締付部品をナットとの間で挟着することにより、ナットの締結力がスタッドボルトの溶接部に作用しないようにすることができる。
頭部1は、その溶接面4からフランジ部3までの高さが1.5〜2.5mm、好ましくは、1.8〜2.2mm、より好ましくは、2mm程度に形成されている。
なお、頭部1の溶接面4より先端側には、スタッドボルトの溶接時に溶融することにより母材Sへの固着に供される円錐形状の溶融結合部5が設けられている。
また、頭部1の溶接面4の直径D3は、フランジ部3の直径の0.5〜0.6倍(本実施例においては、約7mm)に形成するようにしており、これにより、母材鋼板の板厚が小さい場合でも溶接面積を小さくして安定した溶接ができるようにしている。
本実施例のスタッドボルト(M6)と、図4に示す従来のラージフランジ型スタッドボルト(比較例、M6で溶接面の直径は9mm)とを鋼板にそれぞれ溶接した。
それぞれの溶接条件範囲を図2に示す。
なお、鋼板はプレス前で溶接角度は3°以内の参考範囲とした。
また、判定基準は、母材裏抜けしないこと、フランジ部3の上面より余盛が盛り上がらないこと、剥離径は溶接部径の80%以上であることとした。
さらに、それぞれの溶接継ぎ手強度を図3と下記表1に示す。
なお、締付部品の穴径は、トルク試験では8mm、引張り試験では15mm、また、曲げ試験の加圧距離は母材から15mmとした。
Figure 2010017740
また、スタッドボルトの傾きに対する溶接継ぎ手強度を下記表2〜表4に示す。
なお、表1〜表4において、(軸)は軸部破断、(母)は母材破断、(溶)は溶接部破断をそれぞれ示している。
Figure 2010017740
Figure 2010017740
Figure 2010017740
このように、本実施例のスタッドボルトは、母材板厚0.6mmのときの溶接条件は比較例より低く、また、溶接条件範囲は、比較例の母材板厚0.7mmと同等の範囲がある。
また、本実施例のスタッドボルトは、溶接継ぎ手強度をトルク強度で見ると、母材板厚0.6mm以上で全軸部破断となっており、ラージフランジの役目を果たしている。
これらのことから、本実施例のスタッドボルトは、母材板厚0.6mmの薄さに溶接対応が可能である。
かくして、本実施例のスタッドボルトは、頭部1と軸部2の間にフランジ部3を設けるとともに、頭部1をアーク溶接により母材に固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部1を軸部2より大径に形成するとともに、該頭部1の溶接面4からフランジ部3までの高さを1.5〜2.5mmとすることから、溶接アークのフランジ部3へのはい上がりを防止し、フランジ部下面の母材への溶接を防止するとともに、溶接電流を低減し、これにより、例えば0.6mm等の薄板厚の母材鋼板に溶接が可能になるなど、溶接条件の許容範囲を広くすることができる。
なお、頭部1の溶接面4からフランジ部3までの高さが2.5mmを越えると、フランジ部3の位置が高くなりすぎ、締付部品が取り付けにくくなる。
また、頭部1の溶接面4の直径をフランジ部3の直径D1の0.5〜0.6倍とすることにより、母材鋼板の板厚が小さい場合でも溶接面積を小さくして安定した溶接をすることができる。
以上、本発明のスタッドボルトについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、スタッドボルトのねじ部や頭部、フランジ部の形状(寸法)は、スタッドボルトの用途に応じて適宜選択することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明のスタッドボルトは、薄い鋼板のような母材に対しても、継ぎ手強度を下げることなく安定した溶接を行うことができるという特性を有していることから、例えば、板厚を薄くすることが要請されている自動車ボディの製作の用途に特に好適に用いることができる。
本発明のスタッドボルトの一実施例を示し、(a)はその正面図、(b)は同断面図、(c)は母材に溶接した状態を示す正面図である。 本実施例のスタッドボルトと比較例のスタッドボルトの溶接条件範囲を示すグラフである。 本実施例のスタッドボルトと比較例のスタッドボルトの溶接継ぎ手強度を示すグラフである。 従来のラージフランジ型のスタッドボルトの説明図である。
符号の説明
1 頭部
2 軸部
3 フランジ部
4 溶接面
5 溶融結合部
S 母材

Claims (2)

  1. 頭部と軸部の間にフランジ部を設けるとともに、頭部をアーク溶接により母材に固着するようにしたスタッドボルトにおいて、頭部を軸部より大径に形成するとともに、該頭部の溶接面からフランジ部までの高さを1.5〜2.5mmとしたことを特徴とするスタッドボルト。
  2. 頭部の溶接面の直径をフランジ部の直径の0.5〜0.6倍としたことを特徴とする請求項1記載のスタッドボルト。
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