JPH11277241A - 溶接方法及びパ−カッション溶接用部材 - Google Patents
溶接方法及びパ−カッション溶接用部材Info
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- JPH11277241A JPH11277241A JP7760198A JP7760198A JPH11277241A JP H11277241 A JPH11277241 A JP H11277241A JP 7760198 A JP7760198 A JP 7760198A JP 7760198 A JP7760198 A JP 7760198A JP H11277241 A JPH11277241 A JP H11277241A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】平板状溶接用部材1の表面に小突起11付きの
凸部12を加工し、前記小突起11をナ−ベルとして使
用して前記凸部12を母材2にパ−カッション溶接する
方法において、有効な溶接強度の向上を達成する。 【解決手段】凸部12の付け根13をア−ル面とする。
凸部12を加工し、前記小突起11をナ−ベルとして使
用して前記凸部12を母材2にパ−カッション溶接する
方法において、有効な溶接強度の向上を達成する。 【解決手段】凸部12の付け根13をア−ル面とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平板状の溶接用部材
を母材にパ−カッション溶接する方法及びこの溶接方法
において使用するパ−カッション溶接用部材に関するも
のである。
を母材にパ−カッション溶接する方法及びこの溶接方法
において使用するパ−カッション溶接用部材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、パ−カッション溶接は一般に母材
へのスタッド(ボルト、ジベル、ピン、リ−ド線等の中
実棒、中空棒)の溶植に使用されており、スタッドにナ
−ベルとしての小突起を加工し、このスタッドをスプリ
ングで母材に所定の加圧力で接触させ、通電発熱でナ−
ベルを瞬時に溶解、蒸発させている。この金属蒸気の高
温に基づく熱電離で絶縁耐力が低下されてスタッドと母
材間にア−クが発生され、スタッドが母材に接触される
まで持続されるア−クの熱でスタッドと母材の被溶接部
が溶融され、上記スプリングによるスタッドの母材への
押し付けでア−ク放電が終了されると共に溶接が完了さ
れる。
へのスタッド(ボルト、ジベル、ピン、リ−ド線等の中
実棒、中空棒)の溶植に使用されており、スタッドにナ
−ベルとしての小突起を加工し、このスタッドをスプリ
ングで母材に所定の加圧力で接触させ、通電発熱でナ−
ベルを瞬時に溶解、蒸発させている。この金属蒸気の高
温に基づく熱電離で絶縁耐力が低下されてスタッドと母
材間にア−クが発生され、スタッドが母材に接触される
まで持続されるア−クの熱でスタッドと母材の被溶接部
が溶融され、上記スプリングによるスタッドの母材への
押し付けでア−ク放電が終了されると共に溶接が完了さ
れる。
【0003】このパ−カッション溶接法で平板状部材を
溶接し得れば、溶接時間の減少や接触圧力の低減によ
り、作業能率の向上や母材への悪影響の排除等を図るこ
とが可能になって有利であるが、前記パ−カッション溶
接法で単にナ−ベルを設けて平板状部材を溶接すると、
平板状部材と母材との間でのア−クが上記ナ−ベルを中
心として広がり、また僅かな形状差等で不安定な挙動と
なり、熱エネルギ−が狙い位置に集中せず、溶け込み不
足が避けられず、満足な溶接は期待できない。
溶接し得れば、溶接時間の減少や接触圧力の低減によ
り、作業能率の向上や母材への悪影響の排除等を図るこ
とが可能になって有利であるが、前記パ−カッション溶
接法で単にナ−ベルを設けて平板状部材を溶接すると、
平板状部材と母材との間でのア−クが上記ナ−ベルを中
心として広がり、また僅かな形状差等で不安定な挙動と
なり、熱エネルギ−が狙い位置に集中せず、溶け込み不
足が避けられず、満足な溶接は期待できない。
【0004】そこで、本発明者においては、図8に示す
ように溶接用部材1’の表面に小突起11’付きの凸部
12’を加工し、前記小突起11’をナ−ベルとして使
用して前記凸部12’を母材にパ−カッション溶接する
ことを特徴とする溶接方法」を先に提案した(特願平9
−8610号)。この溶接方法により平板状部材を母材
に溶接するには、平板状部材に小突起付きの凸部を加工
し、図9の(イ)に示すように平板状部材1’の小突起
11’を母材2’に接触させると共にその平板状部材
1’に溶接電極3’を当接し、スプリング4’で所定の
接触圧力を作用させ、この状態のもとで通電して小突起
11’をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させる。この
小突起11’の溶解・蒸発により、平板状部材1’の凸
部12’と母材2’との間にナ−ベルの高さ分の放電間
隙を形成させ、その間隙空間が金属蒸気の高温で熱電離
されてア−クが点弧され、平板状部材がスプリング圧に
よって再度母材に接触されるまで、ア−ク放電が持続さ
れる。この場合、平板状部材1’の凸部12’周囲の平
板状部材平面120’と母材2’との間の間隙厚みTが
凸部12’と母材2’との間の間隙厚みtに較べて大で
あり、前者の間隙での絶縁耐力が後者に較べ高く、また
前者の間隙での電位傾度が後者に較べて弱いために、前
者でのア−クの発生を抑えて後者のみにア−クを発生さ
せることができ、従って、ア−クを凸部11’に集中的
に発生させてそのア−ク密度を高くできるから、凸部1
2’及び凸部12’に対向する母材部分21’を充分に
溶け込ませることができる。そして、終局的には、スプ
リング4’の圧力で凸部12’が母材部分21’に押し
付けられてア−ク放電が消滅し、図9の(ロ)に示すよ
うに溶接が完了される。
ように溶接用部材1’の表面に小突起11’付きの凸部
12’を加工し、前記小突起11’をナ−ベルとして使
用して前記凸部12’を母材にパ−カッション溶接する
ことを特徴とする溶接方法」を先に提案した(特願平9
−8610号)。この溶接方法により平板状部材を母材
に溶接するには、平板状部材に小突起付きの凸部を加工
し、図9の(イ)に示すように平板状部材1’の小突起
11’を母材2’に接触させると共にその平板状部材
1’に溶接電極3’を当接し、スプリング4’で所定の
接触圧力を作用させ、この状態のもとで通電して小突起
11’をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させる。この
小突起11’の溶解・蒸発により、平板状部材1’の凸
部12’と母材2’との間にナ−ベルの高さ分の放電間
隙を形成させ、その間隙空間が金属蒸気の高温で熱電離
されてア−クが点弧され、平板状部材がスプリング圧に
よって再度母材に接触されるまで、ア−ク放電が持続さ
れる。この場合、平板状部材1’の凸部12’周囲の平
板状部材平面120’と母材2’との間の間隙厚みTが
凸部12’と母材2’との間の間隙厚みtに較べて大で
あり、前者の間隙での絶縁耐力が後者に較べ高く、また
前者の間隙での電位傾度が後者に較べて弱いために、前
者でのア−クの発生を抑えて後者のみにア−クを発生さ
せることができ、従って、ア−クを凸部11’に集中的
に発生させてそのア−ク密度を高くできるから、凸部1
2’及び凸部12’に対向する母材部分21’を充分に
溶け込ませることができる。そして、終局的には、スプ
リング4’の圧力で凸部12’が母材部分21’に押し
付けられてア−ク放電が消滅し、図9の(ロ)に示すよ
うに溶接が完了される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この平板状
部材のパ−カッション溶接についてのその後の本発明者
の検討結果によれば、平板状部材が汎用の亜鉛メッキ鋼
板の場合、溶接部の引張りまたは剪断試験(JIS Z3136
及びZ3137)による破断が殆どの場合、平板状部材の凸
部加工部に生じており、溶接部接合強度は凸部の強度で
定まっている。従って、溶接界面の強度増加を図って
も、溶接部の強度の向上には反映させ得ない。
部材のパ−カッション溶接についてのその後の本発明者
の検討結果によれば、平板状部材が汎用の亜鉛メッキ鋼
板の場合、溶接部の引張りまたは剪断試験(JIS Z3136
及びZ3137)による破断が殆どの場合、平板状部材の凸
部加工部に生じており、溶接部接合強度は凸部の強度で
定まっている。従って、溶接界面の強度増加を図って
も、溶接部の強度の向上には反映させ得ない。
【0006】本発明の目的は、平板状の溶接用部材表面
に小突起付きの凸部を加工し、前記小突起をナ−ベルと
して使用して前記凸部を母材にパ−カッション溶接する
方法において、有効な溶接強度の向上を達成することに
ある。
に小突起付きの凸部を加工し、前記小突起をナ−ベルと
して使用して前記凸部を母材にパ−カッション溶接する
方法において、有効な溶接強度の向上を達成することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接方法
は、平板状の溶接用部材の表面に小突起付きの凸部を加
工し、前記小突起をナ−ベルとして使用して前記凸部を
母材にパ−カッション溶接する方法であり、部材強度向
上のため凸部の付け根をア−ル面とすることを特徴と
し、また溶接強度向上のため凸部前面を前記の小突起部
位を頂点としたテ−パ−面とすること、または/及び溶
接用部材の表面に油膜を形成することが有効である。
は、平板状の溶接用部材の表面に小突起付きの凸部を加
工し、前記小突起をナ−ベルとして使用して前記凸部を
母材にパ−カッション溶接する方法であり、部材強度向
上のため凸部の付け根をア−ル面とすることを特徴と
し、また溶接強度向上のため凸部前面を前記の小突起部
位を頂点としたテ−パ−面とすること、または/及び溶
接用部材の表面に油膜を形成することが有効である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図1の(イ)は本発明に
係る溶接方法により溶接した溶接部(以下、本発明溶接
部と称す)の断面を示し、平板状溶接用部材1が、付け
根13をア−ル面とした凸部12において母材2に溶接
されている。
実施の形態について説明する。図1の(イ)は本発明に
係る溶接方法により溶接した溶接部(以下、本発明溶接
部と称す)の断面を示し、平板状溶接用部材1が、付け
根13をア−ル面とした凸部12において母材2に溶接
されている。
【0009】図1の(ロ)は比較例の溶接部の断面を示
し、凸部の付け根が入隅の直角コ−ナのままとされ、ア
−ルは付されていない。この比較例(ロ)は前記の図9
で説明した溶接方法で汎用の亜鉛メッキ鋼板と亜鉛メッ
キ鋼母材とを溶接したものであり、溶接部の破壊が殆ど
の場合、応力集中のために凸部の付け根の直角コ−ナか
ら発生する。
し、凸部の付け根が入隅の直角コ−ナのままとされ、ア
−ルは付されていない。この比較例(ロ)は前記の図9
で説明した溶接方法で汎用の亜鉛メッキ鋼板と亜鉛メッ
キ鋼母材とを溶接したものであり、溶接部の破壊が殆ど
の場合、応力集中のために凸部の付け根の直角コ−ナか
ら発生する。
【0010】本発明に係る溶接方法において、(I)請
求項2または3の溶接方法は、溶接界面の破断強度を増
大させると共に凸部の破断強度をア−ル付けにより増大
させることにより、本発明溶接部の溶接界面の破断強度
をS、同溶接部の凸部の破断強度をs、比較例溶接部の
溶接界面の破断強度をS0、同溶接部の凸部の破断強度
をs0とすれば、S>S0,s>s0として(この場合、
S>sまたはs>S)、溶接部の破断強度を比較例溶接
部の破断強度よりも向上させるものであり、(II)請求
項4に係る溶接方法は、凸部の破断強度を凸部付け根の
ア−ル付けにより増加させ、そのア−ル付けに伴う溶接
界面の破断強度の低下を抑えてその破断強度を一定値以
上に保つ、すなわち、後述する図5に示すようにS<S
0となるが、s>s0、S0>s0とすることにより、溶接
部の破断強度を比較例溶接部の破断強度よりも向上させ
るものである。
求項2または3の溶接方法は、溶接界面の破断強度を増
大させると共に凸部の破断強度をア−ル付けにより増大
させることにより、本発明溶接部の溶接界面の破断強度
をS、同溶接部の凸部の破断強度をs、比較例溶接部の
溶接界面の破断強度をS0、同溶接部の凸部の破断強度
をs0とすれば、S>S0,s>s0として(この場合、
S>sまたはs>S)、溶接部の破断強度を比較例溶接
部の破断強度よりも向上させるものであり、(II)請求
項4に係る溶接方法は、凸部の破断強度を凸部付け根の
ア−ル付けにより増加させ、そのア−ル付けに伴う溶接
界面の破断強度の低下を抑えてその破断強度を一定値以
上に保つ、すなわち、後述する図5に示すようにS<S
0となるが、s>s0、S0>s0とすることにより、溶接
部の破断強度を比較例溶接部の破断強度よりも向上させ
るものである。
【0011】図2の(イ)は請求項2に係る発明におい
て使用する平板状溶接用部材1の一例の平面図を、図1
の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図をそれぞ
れ示し、ナ−ベルとしての小突起11を有し、この小突
起部位を頂点とする円錐面10(テ−パ−角はβ°)を
前面とし、付け根13をア−ル面とした凸部12を溶接
面側に加工してある。この小突起付き凸部12は、プレ
ス金型を使用して一挙に絞り出し加工でき、圧縮凹面は
図に示す曲面の外、多角面(図8参照)とすることもで
きる。
て使用する平板状溶接用部材1の一例の平面図を、図1
の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図をそれぞ
れ示し、ナ−ベルとしての小突起11を有し、この小突
起部位を頂点とする円錐面10(テ−パ−角はβ°)を
前面とし、付け根13をア−ル面とした凸部12を溶接
面側に加工してある。この小突起付き凸部12は、プレ
ス金型を使用して一挙に絞り出し加工でき、圧縮凹面は
図に示す曲面の外、多角面(図8参照)とすることもで
きる。
【0012】請求項2に係る溶接方法により、上記の平
板状部材を母材に溶接するには、図3の(イ)に示すよ
うに、平板状部材1の小突起11を母材2に接触させる
と共にその平板状部材1に溶接電極3を当接し、スプリ
ング4で所定の接触圧力を作用させ、この状態のもとで
通電して小突起11をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発
させる。この小突起11の溶解・蒸発で平板状部材1の
凸部12と母材2との間の空間が金属蒸気の高温で熱電
離されてア−クが点弧される。そして、スプリング圧に
よって再度母材に接するまで、ア−ク放電し続ける。
板状部材を母材に溶接するには、図3の(イ)に示すよ
うに、平板状部材1の小突起11を母材2に接触させる
と共にその平板状部材1に溶接電極3を当接し、スプリ
ング4で所定の接触圧力を作用させ、この状態のもとで
通電して小突起11をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発
させる。この小突起11の溶解・蒸発で平板状部材1の
凸部12と母材2との間の空間が金属蒸気の高温で熱電
離されてア−クが点弧される。そして、スプリング圧に
よって再度母材に接するまで、ア−ク放電し続ける。
【0013】このア−ク放電、すなわちア−クプラズマ
の挙動はア−ク放電時間が数ミリ秒と極めて短いために
高速度カメラでも確認は困難であるが、通常のア−クス
タッド溶接の場合と同様にア−クが溶接面を回転しつつ
中心部から外方向に向かって拡がろうとすることが推定
される。しかし、平板状部材1の凸部12周囲の平板状
部材平面120と母材2との間の間隙を凸部12と母材
2との間の間隙に較べ厚くして前者の間隙での絶縁耐力
を後者に較べ高くし、前者の間隙での電位傾度を後者に
較べて弱くしてあるから、前者でのア−クの発生を抑え
て後者のみにア−クを発生させ得、凸部12の周囲を越
えてのア−クの拡がりを防止できる。而して、ア−クを
凸部12に集中的に発生させてそのア−ク密度を高くで
きるから、凸部12及び凸部12に対向する母材部分2
1を充分に溶け込ませることができる。そして、終局的
には、スプリング4の圧力で凸部12が母材部分21に
押し付けられてア−ク放電が消滅し、図3の(ロ)に示
すように、溶接が完了する。
の挙動はア−ク放電時間が数ミリ秒と極めて短いために
高速度カメラでも確認は困難であるが、通常のア−クス
タッド溶接の場合と同様にア−クが溶接面を回転しつつ
中心部から外方向に向かって拡がろうとすることが推定
される。しかし、平板状部材1の凸部12周囲の平板状
部材平面120と母材2との間の間隙を凸部12と母材
2との間の間隙に較べ厚くして前者の間隙での絶縁耐力
を後者に較べ高くし、前者の間隙での電位傾度を後者に
較べて弱くしてあるから、前者でのア−クの発生を抑え
て後者のみにア−クを発生させ得、凸部12の周囲を越
えてのア−クの拡がりを防止できる。而して、ア−クを
凸部12に集中的に発生させてそのア−ク密度を高くで
きるから、凸部12及び凸部12に対向する母材部分2
1を充分に溶け込ませることができる。そして、終局的
には、スプリング4の圧力で凸部12が母材部分21に
押し付けられてア−ク放電が消滅し、図3の(ロ)に示
すように、溶接が完了する。
【0014】今、上記凸部12の中心線と母材2との角
度が正規の90°よりやや傾いた状態を想定すると、凸
部12の前面を小突起11を頂点とする円錐面10に形
成してあるから、凸部前面が中央に小突起を有する平坦
面である場合に較べ、小突起11を中心としての半径方
向に沿っての凸部12−母材2間の間隙状態は何れの半
径方向であっても殆ど相違しない。これに対し、凸部前
面が平坦面の場合は、小突起を中心とした上記傾きに対
して順方向と逆方向とでは、間隙状態が完全に逆勾配に
なり、半径方向への溶融金属の流れ性が大きく相違する
ことになる。従って、凸部12の加工精度や凸部12の
母材2へのセッティング精度上、凸部の中心線と母材と
の角度が正規の90°よりやや傾いても、小突起11を
中心として溶融された金属のスプリング4による加圧や
プラズマ気流や表面張力による半径方向への拡がりを充
分一様にできるから、凸部付け根13のア−ル付けによ
り凸部12の周囲を越えてのア−クの拡がりが惹起され
るにもかかわらず、その溶接界面の強度を前記したア−
ル付け無しの比較例の溶接界面強度よりも大にできる。
度が正規の90°よりやや傾いた状態を想定すると、凸
部12の前面を小突起11を頂点とする円錐面10に形
成してあるから、凸部前面が中央に小突起を有する平坦
面である場合に較べ、小突起11を中心としての半径方
向に沿っての凸部12−母材2間の間隙状態は何れの半
径方向であっても殆ど相違しない。これに対し、凸部前
面が平坦面の場合は、小突起を中心とした上記傾きに対
して順方向と逆方向とでは、間隙状態が完全に逆勾配に
なり、半径方向への溶融金属の流れ性が大きく相違する
ことになる。従って、凸部12の加工精度や凸部12の
母材2へのセッティング精度上、凸部の中心線と母材と
の角度が正規の90°よりやや傾いても、小突起11を
中心として溶融された金属のスプリング4による加圧や
プラズマ気流や表面張力による半径方向への拡がりを充
分一様にできるから、凸部付け根13のア−ル付けによ
り凸部12の周囲を越えてのア−クの拡がりが惹起され
るにもかかわらず、その溶接界面の強度を前記したア−
ル付け無しの比較例の溶接界面強度よりも大にできる。
【0015】上記において、凸部12と母材2との間の
間隙にア−クを集中させるには、凸部前面の縁端と母材
間の距離tに較べ凸部周囲の溶接部材面と母材間の距離
Tを充分に大きくする必要があり、この距離tが円錐面
10のテ−パ−角により定まるから、同円錐面10のテ
−パ−角は凸部周囲の溶接部材面と母材間の距離T、従
って凸部12の高さによって左右される。また、大電流
やア−ク放電時間が長い条件のもとでは凸部12の溶融
金属量が多いためにテ−パ−角はある程度まで大きくで
きるが、テ−パ−角が小さい場合は凸部の溶融量の少な
い溶接条件とすることが整合し、テ−パ−角は溶接条件
によっても左右される。
間隙にア−クを集中させるには、凸部前面の縁端と母材
間の距離tに較べ凸部周囲の溶接部材面と母材間の距離
Tを充分に大きくする必要があり、この距離tが円錐面
10のテ−パ−角により定まるから、同円錐面10のテ
−パ−角は凸部周囲の溶接部材面と母材間の距離T、従
って凸部12の高さによって左右される。また、大電流
やア−ク放電時間が長い条件のもとでは凸部12の溶融
金属量が多いためにテ−パ−角はある程度まで大きくで
きるが、テ−パ−角が小さい場合は凸部の溶融量の少な
い溶接条件とすることが整合し、テ−パ−角は溶接条件
によっても左右される。
【0016】而して、凸部の高さ(小突起の高さを含ま
ない)1〜2mm、小突起の高さ0.5mm、溶接機の
充電電圧150〜275v、ピ−ク電流値約8000〜
16000A、ア−ク放電時間2〜10ミリ秒のもとで
溶接した場合の溶融量では、凸部前面の円錐面のテ−パ
−角は3°〜15°とすることが適当である。請求項2
に係る溶接方法は、凸部12周囲の平板状部材表面12
0に絶縁層を設けて実施することもできる。この実施例
では、溶接部材1の凸部周囲の絶縁層のために、ア−ク
放電による電子の流れが凸部12の周囲では阻害され、
溶接部材1の凸部周囲120と母材2との間隔Tをそれ
ほど大きくしなくても、また充電電圧を相当に高く電流
値を高くしても、凸部12周囲でのア−クの発生をよく
抑えて凸部12と母材部分21との間のみにア−クを発
生させ得る。
ない)1〜2mm、小突起の高さ0.5mm、溶接機の
充電電圧150〜275v、ピ−ク電流値約8000〜
16000A、ア−ク放電時間2〜10ミリ秒のもとで
溶接した場合の溶融量では、凸部前面の円錐面のテ−パ
−角は3°〜15°とすることが適当である。請求項2
に係る溶接方法は、凸部12周囲の平板状部材表面12
0に絶縁層を設けて実施することもできる。この実施例
では、溶接部材1の凸部周囲の絶縁層のために、ア−ク
放電による電子の流れが凸部12の周囲では阻害され、
溶接部材1の凸部周囲120と母材2との間隔Tをそれ
ほど大きくしなくても、また充電電圧を相当に高く電流
値を高くしても、凸部12周囲でのア−クの発生をよく
抑えて凸部12と母材部分21との間のみにア−クを発
生させ得る。
【0017】而して、この実施態様によれば、凸部周囲
の溶接用部材表面に絶縁層を設けるだけで、低い凸部
高さのもとでも、凸部のみでのア−ク放電を保証して凸
部高さhの低減を可能とし、また、高い充電電圧で通
電電流が大きい場合でも、凸部のみでのア−ク放電を保
証して、溶接エネルギ−の増加で溶け込み深さの増大を
達成できる。
の溶接用部材表面に絶縁層を設けるだけで、低い凸部
高さのもとでも、凸部のみでのア−ク放電を保証して凸
部高さhの低減を可能とし、また、高い充電電圧で通
電電流が大きい場合でも、凸部のみでのア−ク放電を保
証して、溶接エネルギ−の増加で溶け込み深さの増大を
達成できる。
【0018】現に、コンデンサ容量180000μF、
充電電圧150v、ピ−ク電流値7000A、凸部高さ
0.5mmの場合、絶縁層なしのときは、凸部周囲2m
m程度までメッキが蒸発しており、ア−クの不規則な挙
動により熱エネルギ−が突起部周囲に拡散したが、絶縁
層を設けたときは、ア−ク発生を凸部直下のみにとどめ
得た。充電電圧275v、ピ−ク電流値12000A、
凸部高さ1.0mmの場合、絶縁層なしのときは、凸部
周囲4mm程度まで同様に熱エネルギ−が拡散したが、
絶縁層を設けたときは、ア−ク発生を凸部直下にとどめ
られた。
充電電圧150v、ピ−ク電流値7000A、凸部高さ
0.5mmの場合、絶縁層なしのときは、凸部周囲2m
m程度までメッキが蒸発しており、ア−クの不規則な挙
動により熱エネルギ−が突起部周囲に拡散したが、絶縁
層を設けたときは、ア−ク発生を凸部直下のみにとどめ
得た。充電電圧275v、ピ−ク電流値12000A、
凸部高さ1.0mmの場合、絶縁層なしのときは、凸部
周囲4mm程度まで同様に熱エネルギ−が拡散したが、
絶縁層を設けたときは、ア−ク発生を凸部直下にとどめ
られた。
【0019】上記絶縁層には、例えば、絶縁フィルム、
テ−プ,プレ−トや絶縁塗料(例えば、アクリルラッカ
−、合成樹脂エマルジョン)で、溶接時の電気的エネル
ギ−やア−ク伝導熱に耐え得るものであれば適宜のもの
を使用できる。請求項3に係る溶接方法は、図4に示す
ように、平板状部材1の表面全体に油膜7を形成して実
施される。この溶接方法においては、平板状部材1の小
突起11を母材2に接触させると共にその平板状部材1
に溶接電極3を当接し、電極3側を陽極とし、スプリン
グ4で所定の接触圧力を作用させ、この状態で通電して
小突起11をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させ、終
局的には、スプリング4の圧力で凸部12が母材部分2
1に押し付けられてア−ク放電が消滅され溶接が完了さ
れる。
テ−プ,プレ−トや絶縁塗料(例えば、アクリルラッカ
−、合成樹脂エマルジョン)で、溶接時の電気的エネル
ギ−やア−ク伝導熱に耐え得るものであれば適宜のもの
を使用できる。請求項3に係る溶接方法は、図4に示す
ように、平板状部材1の表面全体に油膜7を形成して実
施される。この溶接方法においては、平板状部材1の小
突起11を母材2に接触させると共にその平板状部材1
に溶接電極3を当接し、電極3側を陽極とし、スプリン
グ4で所定の接触圧力を作用させ、この状態で通電して
小突起11をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させ、終
局的には、スプリング4の圧力で凸部12が母材部分2
1に押し付けられてア−ク放電が消滅され溶接が完了さ
れる。
【0020】この溶接方法における油膜7の抵抗値は1
5×10-4Ω以下(6×10-4〜15×10-4Ω程度)
であり、溶接電流の通電を充分に保証できる(通電抵抗
が高くなり過ぎると、通常のコンデンサ充電・放電式の
通電では安定なア−クを得難い)。また、凸部12の周
囲120での油膜7による電子流れの阻止作用は、上記
絶縁層による電子流れの阻止作用よりも弱いと推定され
るが、油膜7の無い場合に較べて凸部12でのア−クの
集中化を期待できるから、それだけ凸部12の溶け込み
深さを大きくできて溶接界面強度を向上できる。また、
溶接面に切削油が付着していても、そのまま溶接でき前
処理(洗浄)を必要としない有利性がある。
5×10-4Ω以下(6×10-4〜15×10-4Ω程度)
であり、溶接電流の通電を充分に保証できる(通電抵抗
が高くなり過ぎると、通常のコンデンサ充電・放電式の
通電では安定なア−クを得難い)。また、凸部12の周
囲120での油膜7による電子流れの阻止作用は、上記
絶縁層による電子流れの阻止作用よりも弱いと推定され
るが、油膜7の無い場合に較べて凸部12でのア−クの
集中化を期待できるから、それだけ凸部12の溶け込み
深さを大きくできて溶接界面強度を向上できる。また、
溶接面に切削油が付着していても、そのまま溶接でき前
処理(洗浄)を必要としない有利性がある。
【0021】上記請求項2または3の溶接方法によれ
ば、溶接部の凸部の破断強度を付け根でのア−ル付けに
よる応力集中緩和作用で増加できると共に溶接界面の破
断強度を凸部前面のテ−パや溶接面油膜のために増加で
きるから、破断が凸部または溶接界面の何れで生じて
も、溶接部の破断強度を増大できる。本発明によれば、
油膜を塗布せず、また凸部前面のテ−パ角を0とする場
合でも、前記(II)で説明したように、凸部の破断強度を
ア−ル付けにより増加させ、そのア−ル付けに伴う溶接
界面の破断強度の低下を抑えてその破断強度を一定値以
上に保つことによっても溶接部の破断強度を向上させ得
る。
ば、溶接部の凸部の破断強度を付け根でのア−ル付けに
よる応力集中緩和作用で増加できると共に溶接界面の破
断強度を凸部前面のテ−パや溶接面油膜のために増加で
きるから、破断が凸部または溶接界面の何れで生じて
も、溶接部の破断強度を増大できる。本発明によれば、
油膜を塗布せず、また凸部前面のテ−パ角を0とする場
合でも、前記(II)で説明したように、凸部の破断強度を
ア−ル付けにより増加させ、そのア−ル付けに伴う溶接
界面の破断強度の低下を抑えてその破断強度を一定値以
上に保つことによっても溶接部の破断強度を向上させ得
る。
【0022】前記比較例溶接部で説明した通り、平板状
部材が汎用の亜鉛メッキ鋼板の場合、部材の板厚や溶接
条件等にもよるが、通常、凸部の破断強度は溶接界面の
破断強度よりも小である。而るに、溶接部における凸部
の破断強度は凸部の付け根のア−ルの曲率半径が大きく
なるに従い応力集中の緩和効果により図5のsで示すよ
うに増大していく。他方、凸部付け根のア−ルの曲率半
径が大きくなるに従ってア−クが凸部の周囲を越え易く
なりア−ク集中度が悪くなって凸部と母材間でのア−ク
密度が減少するから、溶接部における溶接界面の破断強
度は図5のSで示すようにア−ルの曲率半径Rが大きく
なるに従い減少していく。
部材が汎用の亜鉛メッキ鋼板の場合、部材の板厚や溶接
条件等にもよるが、通常、凸部の破断強度は溶接界面の
破断強度よりも小である。而るに、溶接部における凸部
の破断強度は凸部の付け根のア−ルの曲率半径が大きく
なるに従い応力集中の緩和効果により図5のsで示すよ
うに増大していく。他方、凸部付け根のア−ルの曲率半
径が大きくなるに従ってア−クが凸部の周囲を越え易く
なりア−ク集中度が悪くなって凸部と母材間でのア−ク
密度が減少するから、溶接部における溶接界面の破断強
度は図5のSで示すようにア−ルの曲率半径Rが大きく
なるに従い減少していく。
【0023】図5において、凸部の付け根のア−ル付け
により溶接強度を増加できるのは、ア−ル曲率半径Rが
r以下の範囲であり、次ぎに述べる通常の溶接条件のも
とで、rは凸部高さhのほぼ1/2となる。従って、請
求項4に係る溶接方法、すなわち、平板状の溶接用部材
の表面に小突起付きの凸部を加工し、この凸部の付け根
のア−ル面の曲率半径を凸部の高さの1/2以下とし、
前記小突起をナ−ベルとして使用して前記凸部を母材に
パ−カッション溶接する方法によっても、溶接部の強度
を増加できる。
により溶接強度を増加できるのは、ア−ル曲率半径Rが
r以下の範囲であり、次ぎに述べる通常の溶接条件のも
とで、rは凸部高さhのほぼ1/2となる。従って、請
求項4に係る溶接方法、すなわち、平板状の溶接用部材
の表面に小突起付きの凸部を加工し、この凸部の付け根
のア−ル面の曲率半径を凸部の高さの1/2以下とし、
前記小突起をナ−ベルとして使用して前記凸部を母材に
パ−カッション溶接する方法によっても、溶接部の強度
を増加できる。
【0024】本発明において、凸部の径(溶接面積)
は、通常の溶接機本体の電源性能や溶接強度を考慮する
と、通常、φ12mmが限度であり、一般には、φ10
mm以下が適切である。本発明において、上記凸部の形
状は断面円形に限定されず、凸部にア−クを集中され得
れば特に制限されない。
は、通常の溶接機本体の電源性能や溶接強度を考慮する
と、通常、φ12mmが限度であり、一般には、φ10
mm以下が適切である。本発明において、上記凸部の形
状は断面円形に限定されず、凸部にア−クを集中され得
れば特に制限されない。
【0025】本発明において、上記小突起の高さhは高
すぎると、該小突起の形状精度、表面層(メッキ処理
層)のバラツキの影響を受けやすく、通電したときの蒸
発時の反動力が大きく変動して同一溶接条件でもア−ク
放電時間が異なり、またア−クが点弧し難くなり、更
に、小突起を絞り出し加工している場合、ナ−ベルを高
く出すため凸部近傍の板厚が薄くなって、ア−ク放電熱
により部材に穴が開く畏れもあるため、例えば、充電電
圧150v、ワ−クの板厚が2〜3mmの場合には、
0.5mm程度とすることが好ましい。また、小突起の
径は、瞬間的な溶解を生じさせるよう電流密度を考慮し
て、充電電圧150v,ピ−ク電流値7000Aの場
合、φ1mm程度とされる。
すぎると、該小突起の形状精度、表面層(メッキ処理
層)のバラツキの影響を受けやすく、通電したときの蒸
発時の反動力が大きく変動して同一溶接条件でもア−ク
放電時間が異なり、またア−クが点弧し難くなり、更
に、小突起を絞り出し加工している場合、ナ−ベルを高
く出すため凸部近傍の板厚が薄くなって、ア−ク放電熱
により部材に穴が開く畏れもあるため、例えば、充電電
圧150v、ワ−クの板厚が2〜3mmの場合には、
0.5mm程度とすることが好ましい。また、小突起の
径は、瞬間的な溶解を生じさせるよう電流密度を考慮し
て、充電電圧150v,ピ−ク電流値7000Aの場
合、φ1mm程度とされる。
【0026】本発明に係る溶接方法においては、平板状
部材の溶接面側に複数箇の小突起付き凸部を加工し、こ
れらの凸部を同時に溶接することもできる。この場合、
互いに隣合う凸部でのア−クが電磁的に干渉して不安定
化することのないように、互いに隣合う凸部の縁端間の
間隔(図1においてLで示す)を適切に定める必要があ
り、溶接電流7000〜12000Aのもとでは最低で
も30mm程度が必要とされる。
部材の溶接面側に複数箇の小突起付き凸部を加工し、こ
れらの凸部を同時に溶接することもできる。この場合、
互いに隣合う凸部でのア−クが電磁的に干渉して不安定
化することのないように、互いに隣合う凸部の縁端間の
間隔(図1においてLで示す)を適切に定める必要があ
り、溶接電流7000〜12000Aのもとでは最低で
も30mm程度が必要とされる。
【0027】本発明に係る溶接方法においては、平板状
部材の外、平板部を有する溶接用部材、例えば、図6に
示すように、溶接電極取付け用耳部14を有する溶接用
部材の平板部1に小突起付きの凸部を加工し、その小突
起をナ−ベルとして使用し当該凸部を母材にパ−カッシ
ョン溶接することもできる。この溶接用部材の溶接電極
への着脱自在の支持には、溶接用部材の形状に応じた治
具により行うことができる。
部材の外、平板部を有する溶接用部材、例えば、図6に
示すように、溶接電極取付け用耳部14を有する溶接用
部材の平板部1に小突起付きの凸部を加工し、その小突
起をナ−ベルとして使用し当該凸部を母材にパ−カッシ
ョン溶接することもできる。この溶接用部材の溶接電極
への着脱自在の支持には、溶接用部材の形状に応じた治
具により行うことができる。
【0028】図7は本発明において使用する溶接設備の
一例を示している。図7において、5は電極及びワ−ク
を上下させる装置であり、シリンダ−51のピストンロ
ッド52にヘッダ−53を取付け、このヘッダ−53に
スプリング4を介して溶接電極3を支持してある。1は
耳部14を有する平板状部材であり、耳部14において
止めピンで溶接電極3に着脱可能に支持してある。12
は平板状部材1に加工した小突起11付きの凸部であ
る。2は母材である。6はコンデンサや制御装置を装備
した溶接機本体であり、コンデンサの出力端をケ−ブル
により溶接電極3及び母材2に接続してある。
一例を示している。図7において、5は電極及びワ−ク
を上下させる装置であり、シリンダ−51のピストンロ
ッド52にヘッダ−53を取付け、このヘッダ−53に
スプリング4を介して溶接電極3を支持してある。1は
耳部14を有する平板状部材であり、耳部14において
止めピンで溶接電極3に着脱可能に支持してある。12
は平板状部材1に加工した小突起11付きの凸部であ
る。2は母材である。6はコンデンサや制御装置を装備
した溶接機本体であり、コンデンサの出力端をケ−ブル
により溶接電極3及び母材2に接続してある。
【0029】本発明によりこの設備を使用して溶接する
場合の溶接手順は次の通りである。 シリンダ−のピストンロッドを上昇させ、溶接電極に
平板状部材を支持する。 ピストンロッドを所定の位置まで降下させ、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材を母材に接触させる。この段
階では、平板状部材の小突起の高さだけ平板状部材の凸
部の溶接面が母材より浮いている。 溶接機本体のコンデンサ−に充電された電気エネルギ
−を溶接電極に供給し、小突起を瞬時に溶解・蒸発させ
ることで、平板状部材がナ−ベルの高さ分浮いた状態と
なり、母材に押し付けられる間での数ミリ秒間ア−ク放
電が生じ、このア−クにより平板状部材の凸部とこの凸
部に対向する母材部分が溶融される。 のア−ク放電が数ミリ秒継続されたのち、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材の凸部が母材に押し付けら
れ、ア−ク放電が消滅して溶接が完了する。なお、溶接
機本体のコンデンサが完全に放電するまで、逓減電流が
その後短時間流れる。
場合の溶接手順は次の通りである。 シリンダ−のピストンロッドを上昇させ、溶接電極に
平板状部材を支持する。 ピストンロッドを所定の位置まで降下させ、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材を母材に接触させる。この段
階では、平板状部材の小突起の高さだけ平板状部材の凸
部の溶接面が母材より浮いている。 溶接機本体のコンデンサ−に充電された電気エネルギ
−を溶接電極に供給し、小突起を瞬時に溶解・蒸発させ
ることで、平板状部材がナ−ベルの高さ分浮いた状態と
なり、母材に押し付けられる間での数ミリ秒間ア−ク放
電が生じ、このア−クにより平板状部材の凸部とこの凸
部に対向する母材部分が溶融される。 のア−ク放電が数ミリ秒継続されたのち、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材の凸部が母材に押し付けら
れ、ア−ク放電が消滅して溶接が完了する。なお、溶接
機本体のコンデンサが完全に放電するまで、逓減電流が
その後短時間流れる。
【0030】
【実施例】〔実施例1〜8〕中央に直径1mm、高さ
0.5mmの小突起を有する直径12mm、高さ(h)
1.5mm、前面の円錐面の勾配約6°、付け根ア−ル
面の曲率半径R=0.5h及びR=1.0hの凸部を厚
さ2.3mmの溶融亜鉛メッキ鋼板に加工して溶接用部
材とした。
0.5mmの小突起を有する直径12mm、高さ(h)
1.5mm、前面の円錐面の勾配約6°、付け根ア−ル
面の曲率半径R=0.5h及びR=1.0hの凸部を厚
さ2.3mmの溶融亜鉛メッキ鋼板に加工して溶接用部
材とした。
【0031】この溶接用部材を油塗布(溶接直前に切削
油を塗布)して溶融亜鉛メッキ鋼板の母材に、コンデン
サ容量440000μFのコンデンサ溶接機を使用し
て、充電電圧120〜180v、スプリング加圧力5k
gfでパ−カッション溶接した。その際、ピ−ク電流値
8000〜14000A、通電時間(通電開始から電流
値がピ−ク値になるまでの時間)約2.5ミリ秒、ア−
ク放電時間3〜6ミリ秒であった。
油を塗布)して溶融亜鉛メッキ鋼板の母材に、コンデン
サ容量440000μFのコンデンサ溶接機を使用し
て、充電電圧120〜180v、スプリング加圧力5k
gfでパ−カッション溶接した。その際、ピ−ク電流値
8000〜14000A、通電時間(通電開始から電流
値がピ−ク値になるまでの時間)約2.5ミリ秒、ア−
ク放電時間3〜6ミリ秒であった。
【0032】各のサンプルの溶接強度(サンプル50個
の平均剪断強度)及びア−ク拡散径を測定したところ表
1の通りであった。 〔比較例1〜3〕実施例に対し凸部の付け根を直角入隅
(R=0)とした以外、実施例に同じとした(ただし、
充電電圧140〜180v)。
の平均剪断強度)及びア−ク拡散径を測定したところ表
1の通りであった。 〔比較例1〜3〕実施例に対し凸部の付け根を直角入隅
(R=0)とした以外、実施例に同じとした(ただし、
充電電圧140〜180v)。
【0033】各のサンプルの溶接強度(サンプル50個
の平均剪断強度)及びア−ク拡散径を測定したところ表
1の通りであった。 表1 凸部の付け根のア−ル 充電電圧 ア−ク熱拡散径 剪断強度 実施例1 0.5h 180V 18mm 2280kgf 実施例2 0.5h 160V 18mm 2520kgf 実施例3 0.5h 140V 13mm 2310kgf 実施例4 0.5h 120V 12mm 1880kgf 実施例5 1.0h 180V 20mm 2000kgf 実施例6 1.0h 160V 20mm 1900kgf 実施例7 1.0h 140V 15mm 1800kgf 実施例8 1.0h 120V 14mm 1500kgf 比較例1 0 180V 16mm 1300kgf 比較例2 0 160V 16mm 1450kgf 比較例3 0 140V 12mm 1200kgf 実施例及び比較例とも剪断破断は、凸部側で生じてい
た。実施例では比較例に較べア−ク熱拡散径がやや大き
く、従って溶接界面の溶け込み深さがそれだけ浅くなり
溶接界面の強度が比較例に較べ低くなっていると推定さ
れるが、かかるもとでも破断が凸部側で生じて溶接強度
が凸部破断強度に依存する結果、凸部破断強度が凸部付
け根のア−ルにより増加されている実施例の方が比較例
よりも優れた溶接強度を呈している。
の平均剪断強度)及びア−ク拡散径を測定したところ表
1の通りであった。 表1 凸部の付け根のア−ル 充電電圧 ア−ク熱拡散径 剪断強度 実施例1 0.5h 180V 18mm 2280kgf 実施例2 0.5h 160V 18mm 2520kgf 実施例3 0.5h 140V 13mm 2310kgf 実施例4 0.5h 120V 12mm 1880kgf 実施例5 1.0h 180V 20mm 2000kgf 実施例6 1.0h 160V 20mm 1900kgf 実施例7 1.0h 140V 15mm 1800kgf 実施例8 1.0h 120V 14mm 1500kgf 比較例1 0 180V 16mm 1300kgf 比較例2 0 160V 16mm 1450kgf 比較例3 0 140V 12mm 1200kgf 実施例及び比較例とも剪断破断は、凸部側で生じてい
た。実施例では比較例に較べア−ク熱拡散径がやや大き
く、従って溶接界面の溶け込み深さがそれだけ浅くなり
溶接界面の強度が比較例に較べ低くなっていると推定さ
れるが、かかるもとでも破断が凸部側で生じて溶接強度
が凸部破断強度に依存する結果、凸部破断強度が凸部付
け根のア−ルにより増加されている実施例の方が比較例
よりも優れた溶接強度を呈している。
【0034】〔実施例9〕凸部付け根のア−ル面の曲率
半径R=0.5h、油膜は形成せず、充電電圧140v
とした以外、実施例に同じとした(従って、切削油の塗
布あり)。溶接部の破断は溶接界面で生じ、その剪断力
は580kgfであった。 〔比較例4〕実施例9に対し凸部付け根のア−ル面の曲
率半径を0とした以外、実施例9に同じとした。溶接部
の破断は溶接界面で生じ、その剪断力は480kgfであ
った。
半径R=0.5h、油膜は形成せず、充電電圧140v
とした以外、実施例に同じとした(従って、切削油の塗
布あり)。溶接部の破断は溶接界面で生じ、その剪断力
は580kgfであった。 〔比較例4〕実施例9に対し凸部付け根のア−ル面の曲
率半径を0とした以外、実施例9に同じとした。溶接部
の破断は溶接界面で生じ、その剪断力は480kgfであ
った。
【0035】実施例9と比較例4との対比からも、油を
塗布しない場合でも、凸部付け根のア−ルにより溶接強
度が向上されることが明らかである。
塗布しない場合でも、凸部付け根のア−ルにより溶接強
度が向上されることが明らかである。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る溶接方法によれば平板状部
材をパ−カッション溶接により優れた溶接強度で溶接で
きる。従って、数ミリ秒といった短い溶接時間、数kg
fといった低い接触圧等のパ−カッション溶接の有利性
のもとで平板状部材を溶接でき、ア−ク溶接に較べて優
れた作業性で、熱応力をよく抑制して溶接できる。
材をパ−カッション溶接により優れた溶接強度で溶接で
きる。従って、数ミリ秒といった短い溶接時間、数kg
fといった低い接触圧等のパ−カッション溶接の有利性
のもとで平板状部材を溶接でき、ア−ク溶接に較べて優
れた作業性で、熱応力をよく抑制して溶接できる。
【0037】また、抵抗溶接とは異なり、大電力を必要
とせず、溶接部周囲でメッキ層の破壊等も防止できる。
とせず、溶接部周囲でメッキ層の破壊等も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶接方法による溶接部を示す図面
である。
である。
【図2】図2の(イ)は本発明において使用するパ−カ
ッション溶接用部材の一例を示す平面図、図2の(ロ)
は図2の(イ)におけるロ−ロ断面図である。
ッション溶接用部材の一例を示す平面図、図2の(ロ)
は図2の(イ)におけるロ−ロ断面図である。
【図3】本発明に係る溶接方法の一実施例を示す図面で
あり、図3の(イ)は溶接前を、図3の(ロ)は溶接後
のそれぞれの状態を示している。
あり、図3の(イ)は溶接前を、図3の(ロ)は溶接後
のそれぞれの状態を示している。
【図4】本発明に係る溶接方法の別実施例を示す図面で
ある。
ある。
【図5】請求項4に係る溶接方法の説明に使用した図面
である。
である。
【図6】本発明において使用するパ−カッション溶接用
部材の一例を示す図面である。
部材の一例を示す図面である。
【図7】本発明において使用する溶接設備の一例を示す
図面である。
図面である。
【図8】先に提案したパ−カッション溶接に使用した溶
接用部材を示す図面である。
接用部材を示す図面である。
【図9】先に提案したパ−カッション溶接方法を示す図
面である。
面である。
1 溶接用部材 10 円錐面 11 小突起 12 凸部 13 凸部の付け根 2 母材 3 溶接電極 4 スプリング 7 油膜
Claims (5)
- 【請求項1】平板状の溶接用部材の表面に小突起付きの
凸部を加工し、前記小突起をナ−ベルとして使用して前
記凸部を母材にパ−カッション溶接する方法であり、凸
部の付け根をア−ル面とすることを特徴とする溶接方
法。 - 【請求項2】凸部前面を前記の小突起部位を頂点とした
テ−パ−面とする請求項1記載の溶接方法。 - 【請求項3】溶接用部材の表面に油膜を形成する請求項
1または2記載の溶接方法。 - 【請求項4】ア−ル面の曲率半径を凸部高さの1/2以
下とする請求項1記載の溶接方法。 - 【請求項5】前面に小突起を有し、かつ付け根がア−ル
面とされた凸部を表面に加工し、小突起をナ−ベルとし
て使用し、凸部を溶接箇所とする平板状のパ−カッショ
ン溶接用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7760198A JPH11277241A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 溶接方法及びパ−カッション溶接用部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7760198A JPH11277241A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 溶接方法及びパ−カッション溶接用部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11277241A true JPH11277241A (ja) | 1999-10-12 |
Family
ID=13638471
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP7760198A Pending JPH11277241A (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 溶接方法及びパ−カッション溶接用部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH11277241A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010017740A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Nippon Stud Welding Co Ltd | スタッドボルト |
-
1998
- 1998-03-25 JP JP7760198A patent/JPH11277241A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010017740A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Nippon Stud Welding Co Ltd | スタッドボルト |
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