JPH1147935A - 溶接方法及びパ−カッション溶接用部材 - Google Patents

溶接方法及びパ−カッション溶接用部材

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Publication number
JPH1147935A
JPH1147935A JP9264425A JP26442597A JPH1147935A JP H1147935 A JPH1147935 A JP H1147935A JP 9264425 A JP9264425 A JP 9264425A JP 26442597 A JP26442597 A JP 26442597A JP H1147935 A JPH1147935 A JP H1147935A
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JP
Japan
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welding
base material
convex portion
arc
percussion
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JP9264425A
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English (en)
Inventor
Tatsusaburou Yamakawa
達三朗 山川
Masaya Yamamoto
雅也 山本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】平板状溶接用部材を充分に短い溶接時間、充分
に低い接触圧力でメッキ等の後補修を必要とすることな
くパ−カッション溶接することを可能とする。 【解決手段】溶接用部材1の表面にに小突起11付きの
凸部12を加工し、上記小突起11をナ−ベルとして使
用し上記凸部12を母材2にパ−カッション溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平板状の溶接用部材
を母材にパ−カッション溶接する方法及びパ−カッショ
ン溶接用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、平板状部材を母材に溶接する場
合、ア−ク溶接や抵抗溶接(スポット溶接、プロジェク
ション溶接等)が用いられているが、これらは、スタッ
ド(ボルト、ジベル、ピン、リ−ド線等の中実棒、中空
棒)の母材への溶植に用いられているパ−カッション溶
接に較べて溶接時間が長く(特にア−ク溶接の場合)、
母材への熱影響が大きく、熱歪の発生がある。または加
圧力が高く(抵抗溶接の場合の数百kgfに対し、パ−
カッション溶接では数kgf)、作業性や母材への影響
(接触圧力が高い場合、座屈、へこみ等の問題から圧潰
強度の低い母材、例えば薄い中空パイプへの部材の溶接
が難かしい)の問題がある。
【0003】上記パ−カッション溶接は、一般に、母材
へのスタッドの溶植に使用されており、スタッドにナ−
ベルとしての小突起を加工し、このスタッドをスプリン
グで母材に所定の加圧力で接触させ、通電発熱でナ−ベ
ルを瞬時に溶解、蒸発させている。この金属蒸気の高温
に基づく熱電離で絶縁耐力が低下されてスタッドと母材
間にア−クが発生され、スタッドが母材に接触されるま
で持続されるア−クの熱でスタッドと母材の被溶接部が
溶融され、上記スプリングによるスタッドの母材への押
し付けでア−ク放電が終了されると共に溶接が完了され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、平板状部材
をパ−カッション溶接し得れば、溶接時間の減少や接触
圧力の低減により、作業能率の向上や母材への影響の排
除等を図ることが可能になって有利であるが、平板状部
材と母材との間でのア−クが上記ナ−ベルを中心として
広がり、また僅かな形状差等で不安定な挙動となり、熱
エネルギ−が狙い位置に集中せず、溶け込み不足が避け
られず、満足な溶接は期待できない。
【0005】また、ア−クを被溶接箇所に集中させ難
く、その周囲への熱拡散が避け難いので、溶接部周囲の
メッキ層等が破壊され易く、後補修が余儀なくされる。
更に、溶接においては、部材や母材に汚れ、例えば油膜
付着や表面酸化があれば、通常、被溶接箇所の清浄処理
が必要とされるが、上記パ−カッション溶接において
も、かかる清浄処理は回避し難く、作業性もさして期待
できない。
【0006】本願の請求項1に係る発明の目的は、平板
状溶接用部材を充分に短い溶接時間、充分に低い接触圧
力でメッキ等の後補修を必要とすることなくパ−カッシ
ョン溶接することを可能とすることにある。本願の請求
項2に係る発明の目的は、上記の目的に加え、更に溶接
部のコンパクト化や溶け込み量の増大のもとでパ−カッ
ション溶接することを可能とすることにある。
【0007】本願の請求項3乃至4に係る発明の目的
は、上記二つの目的に加え、更に被溶接箇所の清浄処理
等の前処理を必要とすることなくパ−カッション溶接す
ることを可能とすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
溶接用部材の表面に小突起付きの凸部を加工し、前記小
突起をナ−ベルとして使用し前記凸部を母材にパ−カッ
ション溶接することを特徴とする溶接方法である。請求
項2に係る発明は、この溶接方法において、溶接用部材
の凸部周囲の表面部分に絶縁層を設け、請求項3に係る
発明は、溶接用部材の表面全体に上記絶縁層よりも低抵
抗の電気抵抗層を設けることを特徴とし、その電気抵抗
層の抵抗値は、15×10-4Ω以下とするように設定す
ることが好ましい。
【0009】なお、かかる抵抗値の測定は、スポット溶
接機の上下電極間に2枚の溶接用部材(母材)を挾んで
通電することで行う。うち1枚が上記電気抵抗層を有
し、他の1枚が亜鉛メッキ鋼板である。何れの発明にお
いても、そのパ−カッション溶接用部材の小突起付きの
凸部は、プレスによる絞り出しで容易に加工することが
できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について説明する。図1の(イ)は請求項1
に係る発明において使用する平板状溶接用部材1の一例
の平面図を、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−
ロ断面図をそれぞれ示し、ナ−ベルとしての小突起11
を有する凸部12を溶接面側に加工してある。この小突
起付き凸部は、プレス金型を使用して一挙に絞り出し加
工することができる。
【0011】図2は絞り出し型の一例を示している。な
お、鋳造や削り出し加工でも、当然、このような形状加
工は可能であり、必要に応じ、適切な加工法を選択すれ
ばよい。請求項1に係る発明により、上記の平板状部材
を母材に溶接するには、図3の(イ)に示すように、平
板状部材1の小突起11を母材2に接触させると共にそ
の平板状部材1に溶接電極3を当接し、スプリング4で
所定の接触圧力を作用させ、この状態のもとで通電して
小突起11をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させる。
【0012】この場合、小突起11が溶解・蒸発する
と、平板状部材1の凸部12と母材2との間にナ−ベル
の高さ分の間隙が生じ、その間隙空間が金属蒸気の高温
で熱電離されてア−クが点弧される。そして、スプリン
グ圧によって再度母材に接するまで、ア−ク放電し続け
る。而るに、平板状部材1の凸部12周囲の平板状部材
平面120と母材2との間の間隙厚みTが凸部12と母
材2との間の間隙厚みtに較べて大であり、前者の間隙
での絶縁耐力が後者に較べ高く、また前者の間隙での電
位傾度が後者に較べて弱いために、前者でのア−クの発
生を抑えて後者のみにア−クを発生させることができ
る。即ち、ア−クを凸部11に集中的に発生させてその
ア−ク密度を高くできるから、凸部12及び凸部に対向
する母材部分21を充分に溶け込ませることができる。
【0013】そして、終局的には、スプリング4の圧力
で凸部12が母材部分21に押し付けられてア−ク放電
が消滅し、溶接が完了する。図3の(ロ)は溶接完了時
の状態を示し、凸部12が母材部分21と溶け込み合
い、平板状部材1と母材2との間隔T’は、図3の
(イ)のhで示した凸部高さよりも僅か小さくなってい
る。
【0014】図3の(イ)において、ア−ク放電を平板
状部材1の凸部12直下のみにとどめ得る条件として
は、平板状部材1と母材2との間隔T、従って凸部の高
さh(小突起11の高さtが一定のため、間隔Tは凸部
高さbで評価できる)以外に、端子電圧V(溶接電極の
電圧)も関与し、例えば、コンデンサ容量180000
μFの溶接機で端子電圧150vの場合、凸部高さhが
1mmであれば、凸部直下のみでのア−ク放電となり、
凸部高さhが0.5mmであれば、凸部周囲でもア−ク
放電が発生し、また、凸部高さhが1mmの場合、端子
電圧が150vであれば、凸部直下のみでのア−ク放電
となり、端子電圧が275vであれば、凸部周囲でもア
−ク放電が発生する。
【0015】而して、請求項1に係る発明においては、
例えば、端子電圧が150v以下の場合、凸部12の高
さhを1mmとすれば、ア−ク放電を平板状部材1の凸
部12のみにとどめて、スタッドのパ−カッション溶接
の場合と同様、短い溶接時間(数ミリ秒)で、かつ低い
接触圧力(数kgf)にて溶接できる。図3の(ロ)に
示すように、本発明によるパ−カッション溶接後の平板
状部材1と母材2との間隔T’は、凸部12の高さを
h、凸部12の溶け込み深さをt’とすれば、T’=h
−t’で与えられる。
【0016】而るに、この溶接後の平板状部材1と母材
2との間隔T’を可及的に小とすることが、外観上の安
定感、隙間への異物の侵入防止、溶接部材(ワ−ク)の
位置精度の向上、更には防錆上等の面から有利である。
請求項2に係るパ−カッション溶接方法においては、図
4に示すように、凸部12周囲の平板状部材表面120
に絶縁層7を設け、平板状部材1の小突起11を母材2
に接触させると共にその平板状部材1に溶接電極3を当
接し、電極3側を陽極とし、スプリング4で所定の接触
圧力を作用させ、この状態で通電して小突起11をその
通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させ、終局的には、スプリ
ング4の圧力で凸部12が母材部分21に押し付けられ
てア−ク放電が消滅し、溶接が完了される。
【0017】既述した請求項1に係る発明においては、
図3の(イ)で、溶接部材の凸部12と母材2との間隔
tに較べ、溶接部材の凸部周囲120と母材2との間隔
Tを大きくすることにより、前者の間隙での絶縁耐力を
後者に較べ高くし、また前者の間隙での電位傾度を後者
に較べて弱くして、前者でのア−クの発生を抑えて後者
(凸部と母材との間)のみにア−クを発生させている。
而るに、請求項2に係る溶接方法では、図4に示すよう
に、溶接部材1の凸部12の周囲120に絶縁層7を設
けているから、ア−ク放電による電子の流れが凸部周囲
では阻害されるため、溶接部材の凸部周囲120と母材
2との間隔Tをそれほど大きくしなくても、また端子電
圧を相当に高くしても、凸部周囲でのア−クの発生をよ
く抑えて凸部と母材との間のみにア−クを発生させ得
る。
【0018】而して、請求項1に係るパ−カッション溶
接方法に対し、凸部周囲の溶接用部材表面に絶縁層を設
けるだけで、低い凸部高さのもとでも、凸部のみでの
ア−ク放電を保証して凸部高さhの低減を可能とし、ま
た、高い端子電圧のもとでも、凸部のみでのア−ク放
電を保証して、溶接エネルギ−の増加で溶け込み深さ
t’の増大を達成できる。
【0019】現に、コンデンサ容量180000μF、
端子電圧150v、凸部高さ0.5mmの場合、絶縁層
なしのときは、凸部周囲2mm程度までメッキが蒸発し
ており、ア−クの不規則な挙動により熱エネルギ−が突
起部周囲に拡散したが、絶縁層を設けたときは、ア−ク
発生を凸部直下のみにとどめられた。端子電圧275
v、凸部高さ1.0mmの場合、絶縁層なしのときは、
凸部周囲4mm程度まで同様に熱エネルギ−が拡散した
が、絶縁層を設けたときは、ア−ク発生を凸部直下にと
どめられた。
【0020】従って、請求項2に係る溶接方法によれ
ば、凸部の高さhを小にし、かつ、凸部の溶け込み深さ
t’を大きくできるので、パ−カッション溶接後の平板
状部材1と母材2との間隔T’(=h−t’)の減少を
図ることができ、しかも溶接強度を高くできる。上記絶
縁層7には、例えば、絶縁フィルム、テ−プ,プレ−ト
や絶縁塗料(例えば、アクリルラッカ−、合成樹脂エマ
ルジョン)で、溶接時の電気的エネルギ−やア−ク伝導
熱に耐え得るものであれば適宜のものを使用できる。
【0021】なお、通常、絶縁層は凸部を除く溶接用部
材表面の全面に設けるが、端子電圧を高くするに従い、
また凸部を低くするに従い凸部周囲へのア−クの広がり
の範囲が増していくから、端子電圧の増加程度または凸
部高さの減少程度に応じ、凸部を内郭とする所定巾の環
状絶縁層とすることもできる。請求項2に係る発明にお
いて使用するパ−カッション溶接用部材には、図1乃至
図2により説明したパ−カッション溶接用部材の凸部周
囲の表面部分に絶縁層を設けたものを使用できる。
【0022】請求項3に係るパ−カッション溶接方法に
おいては、図5に示すように、平板状部材1の表面全体
に電気抵抗層70を設け、平板状部材1の小突起11を
母材2に接触させると共にその平板状部材1に溶接電極
3を当接し、電極3側を陽極とし、スプリング4で所定
の接触圧力を作用させ、この状態で通電して小突起11
をその通電発熱で瞬時に溶解・蒸発させ、終局的には、
スプリング4の圧力で凸部12が母材部分21に押し付
けられてア−ク放電が消滅し、溶接が完了される。
【0023】この溶接方法においては、電気抵抗層70
の抵抗値を15×10-4Ω以下とするように設定してあ
り、電気抵抗層70が存在せず(実施例2で使用する)
亜鉛メッキ鋼板の通常状態の場合の抵抗値(約3×10
-4Ω)に較べさして高くない低抵抗値に抑えてあるか
ら、凸部周囲でのア−クの発生をよく抑えて後者(凸部
と母材との間)のみにア−クを発生させ得る。
【0024】この凸部周囲での電気抵抗層70の電子流
れの阻止作用は、上記請求項2に係る溶接方法での絶縁
層7による電子流れの阻止作用よりも弱いと推定される
が、電気抵抗層70の無い場合に較べ、凸部の高さを小
にし、かつ、凸部の溶け込み深さを大きくでき、従っ
て、パ−カッション溶接後の平板状部材1と母材2との
間隔の減少を図ることができ、しかも溶接強度を高くで
きるといった利益を程度の差こそあれ享受できる外、溶
接部材や母材に油脂汚れや経年酸化皮膜が生じていて
も、また防食皮膜を施してあっても、そのまま溶接でき
前処理(洗浄や防食皮膜の剥ぎ取り)を必要としない利
益を得ることができる。
【0025】上記電気抵抗層70の抵抗値は、3.5×
10-4〜15×10-4Ωとするように設定することが好
ましい。3.5×10-4Ω以下では電気抵抗層としての
効果が殆どなく、15×10-4Ω以上では、通電抵抗が
高くなり過ぎ、通常のコンデンサ充電・放電式の通電で
は安定なア−クを得難くなるからである。より好ましい
抵抗値は、6×10-4〜15×10-4Ωである。
【0026】上記電気抵抗層としては、黒染め処理(鉄
鋼面に緻密で安定な黒色の磁性酸化鉄皮膜をアルカリ浸
漬酸化法、乾式酸化法、加熱水蒸気法、陽極酸化法等で
形成する方法)や錆止め塗料(例えば、ジンククロメ−
ト)の塗布を使用できる。請求項3に係る発明において
使用するパ−カッション溶接用部材は、図1乃至図2に
より説明したパ−カッション溶接用部材の成型後に電気
抵抗層を形成することにより、または、成型前に電気抵
抗層を設け、而るのち、図1乃至図2により説明したパ
−カッション溶接用部材に成型することにより得ること
ができる。
【0027】本発明において、凸部の径(溶接面積)
は、通常の溶接機本体の電源性能や溶接強度を考慮する
と、通常、φ12mmが限度であり、一般には、φ10
mm以下が適切である。請求項1に係る発明によれば、
かかる溶接面積φ6mm及び溶接時間(ア−ク放電時
間)数ミリ秒、接触圧力数kgf、端子電圧150v、
ピ−ク電流値7000Aの条件のもとでの溶け込み深さ
は、1〜2mm程度であり、充分な溶接強度を保証で
き、請求項1に係る発明よりも溶け込みを深くできる請
求項2〜4に係る発明では、より高い溶接強度を保証で
きる。
【0028】本発明において、上記凸部の形状は円柱形
に限定されず、また、溶接施工時の問題として立上りは
垂直が好ましいが、加工上、多少の傾斜は許容される。
本発明において、上記小突起の高さが高すぎると、小突
起の溶解・蒸発時での凸部と母材間の間隙が厚くなって
ア−クが点弧し難くなり、また、小突起を絞り出し加工
している場合、ナ−ベルを高く出すため凸部近傍の板厚
が薄くなって、ア−ク放電熱により部材に穴が開く畏れ
もあるため、例えば、端子電圧150v、ワ−クの板厚
が2〜3mmの場合には、0.5mm程度とすることが
好ましい。また、小突起の径は、瞬間的な溶解を生じさ
せるよう電流密度を考慮して、端子電圧150v,ピ−
ク電流値7000Aの場合、φ1mm程度とされる。
【0029】本発明に係る溶接方法においては、平板状
部材の溶接面側に複数箇の小突起付き凸部を加工し、こ
れらの凸部を同時に溶接することもできる。この場合、
互いに隣合う凸部でのア−クが電磁的に干渉して不安定
化することのないように、互いに隣合う凸部の縁端間の
間隔(図1においてLで示す)を適切に定める必要があ
り、溶接電流7000〜12000Aのもとでは最低で
も30mm程度が必要とされる。
【0030】本発明に係る溶接方法は、所定のパ−カッ
ション溶接条件のもとでの適切な溶接面積をSとする場
合、そのSより広い面積の面を溶接側面とする溶接用部
材のパ−カッション溶接に使用される。請求項2に係る
溶接方法は、溶接用部材の凸部周囲の表面部分に絶縁層
を設けることを特徴としているが、本発明の請求項1に
係る発明を溶接用部材の凸部周囲の表面部分に上記した
電気抵抗層を設けて実施することも可能である。
【0031】本発明に係る溶接方法においては、平板状
部材の外、平板部を有する溶接用部材、例えば、図6に
示すように、溶接電極取付け用耳部13を有する溶接用
部材の平板部1に小突起付きの凸部を加工し、その小突
起をナ−ベルとして使用し当該凸部を母材にパ−カッシ
ョン溶接することもできる。この溶接用部材の溶接電極
への着脱自在の支持には、溶接用部材の形状に応じた治
具により行うことができる。
【0032】図7は本発明において使用する溶接設備の
一例を示している。図7において、5は電極及びワ−ク
を上下させる装置であり、シリンダ−51のピストンロ
ッド52にヘッダ−53を取付け、このヘッダ−53に
スプリング4を介して溶接電極3を支持してある。1は
耳部13を有する平板状部材であり、耳部13において
止めピン14で溶接電極3に着脱可能に支持してある。
12は平板状部材1に加工した小突起11付きの凸部で
ある。2は母材である。6はコンデンサや制御装置を装
備した溶接機本体であり、コンデンサの出力端をケ−ブ
ルにより溶接電極3及び母材2に接続してある。
【0033】本発明によりこの設備を使用して溶接する
場合の溶接手順は次の通りである。 シリンダ−のピストンロッドを上昇させ、溶接電極に
平板状部材を支持する。 ピストンロッドを所定の位置まで降下させ、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材を母材に接触させる。この段
階では、平板状部材の小突起の高さだけ平板状部材の凸
部の溶接面が母材より浮いている。 溶接機本体のコンデンサ−に充電された電気エネルギ
−を溶接電極に供給し、小突起を瞬時に溶解・蒸発させ
ることで、平板状部材がナ−ベルの高さ分浮いた状態と
なり、母材に押し付けられる間での数ミリ秒間ア−ク放
電が生じ、このア−クにより平板状部材の凸部とこの凸
部に対向する母材部分が溶融される。 のア−ク放電が数ミリ秒継続されたのち、スプリン
グの圧縮応力で平板状部材の凸部が母材に押し付けら
れ、ア−ク放電が消滅して溶接が完了する。なお、溶接
機本体のコンデンサが完全に放電するまで、逓減電流が
その後短時間流れる。
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕中央に直径1mm、高さ0.5mmの小突
起を有する直径8mm、高さ1.0mmの凸部を一個、
厚み1.2mm及び2.3mmの溶融亜鉛メッキ鋼板に
加工して溶接用部材とした。
【0035】この溶接用部材を溶融亜鉛メッキ鋼板の母
材に、コンデンサ容量336000μFのコンデンサ溶
接機を使用して、端子電圧150v、スプリング加圧力
5kgfでパ−カッション溶接した。その際、ピ−ク電
流値12000A、通電時間10ミリ秒、ア−ク放電時
間5ミリ秒であった。溶接箇所の断面を切断により検査
したところ、良好な溶け込み状態で満足できる結果であ
り、特に、通常、パ−カッション溶接が困難とされてい
る溶融亜鉛メッキ鋼板同士のパ−カッション溶接を良好
に行えたことは予想外であった。
【0036】〔比較例〕小突起のみを加工し、実施例と
同じ条件でパ−カッション溶接を試みたが、溶接は無理
であった。そこで、電流値を増大したところ、ア−ク発
生部が広がるのみで溶接できなかった。 〔実施例2〕実施例1に対し、凸部の高さを0.5mm
とし、凸部以外の溶融亜鉛メッキ鋼板表面にアクリルラ
ッカ−塗料を塗布した以外、実施例1に同じとした。
【0037】溶接箇所の断面を切断により検査したとこ
ろ、凸部のみが溶接されており、良好な溶け込み状態で
満足できる結果であった。この実施例2に対し、アクリ
ルラッカ−塗料の塗布を省略した以外、同様の条件で溶
接したところ、凸部周囲に巾ほぼ2mmのメッキ層の溶
融剥離が観察され、ア−ク放電による熱が凸部周囲に拡
散した。
【0038】〔実施例3〕中央に直径1mm、高さ0.
5mmの小突起を有する直径8mm、高さ1.0mmの
凸部を一個、厚み1.2mm及び2.3mmの溶融亜鉛
メッキ鋼板に加工し、凸部以外の表面にアクリルラッカ
−塗料を塗布して溶接用部材とした。この溶接用部材を
溶融亜鉛メッキ鋼板の母材に、コンデンサ容量1800
00μFのコンデンサ溶接機を使用して、端子電圧27
5v、スプリング加圧力4kgfでパ−カッション溶接
した。その際、ピ−ク電流値7600A、通電時間9ミ
リ秒、、ア−ク放電時間5ミリ秒であった。
【0039】溶接箇所の断面を切断により検査したとこ
ろ、凸部のみが溶接されており、良好な溶け込み状態で
満足できる結果であった。この実施例3に対し、アクリ
ルラッカ−塗料の塗布を省略した以外、同様の条件で溶
接したところ、凸部周囲に巾ほぼ4mmのメッキ層の溶
融剥離が観察され、ア−ク放電による熱が凸部周囲に拡
散した。
【0040】〔実施例4〜7〕何れの実施例も、厚み
1.2mmの溶融亜鉛メッキ鋼板に、中央に直径1m
m、高さ0.5mmの小突起を有する直径12mm、高
さ0.5mmの凸部を一個、加工した。実施例4ではそ
の加工鋼板の全体を黒染め処理し(処理液で15秒間処
理した)、実施例5ではその加工鋼板の表面に錆止め塗
料を塗布し、実施例6ではその加工鋼板を経年変化によ
り表面層酸化させ、実施例7では切削油の塗布により汚
れを模擬したものをそれぞれ溶接用部材とした。
【0041】この溶接用部材を溶融亜鉛メッキ鋼板の母
材に、コンデンサ容量336000μFのコンデンサ溶
接機を使用して、端子電圧150v、スプリング加圧力
5kgfでパ−カッション溶接した。部材表面の抵抗値
は、実施例4で3.5×10 -4Ω、実施例5で4.5×
10-4Ω、実施例6で6.3×10-4Ω、実施例7で1
5×10-4Ωであった。
【0042】溶接条件は、ピ−ク電流値9600〜11
000A、ア−ク放電時間約5ミリ秒であった。各実施
例の溶接強度(試料10箇の平均引張り強度)を測定し
たところ、実施例4で326kgf、実施例5で450
kgf、実施例6で507kgf、実施例7で841k
gfであった。
【0043】これらの実施例4〜7に対し、表面処理無
しの亜鉛メッキ鋼板(表面抵抗値は3.2×10-4Ω)
について同じ溶接条件で溶接したものの引張強度を測定
したところ、270kgfに過ぎず、凸部周囲にア−ク
発生痕が観察された。これらの実施例により、本発明に
よれば、溶接部材に汚れや経年酸化皮膜が固着していて
も、そのまま溶接し、また、錆止め乃至は防食処理がな
されていても、被溶接箇所での剥ぎ取り処理を行うこと
なく溶接しても、優れた強度で溶接できることが明らか
である。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、平板状部材を数ミリ秒
といった短い溶接時間、数kgfといった低い接触圧で
パ−カッション溶接でき、ア−ク溶接に較べ優れた作業
性で溶接でき、更に、溶接時間が短いため母材、溶接部
材に熱応力が殆ど発生しない。また、抵抗溶接とは異な
り、大電力を必要とせず、溶接部周囲でメッキ層の破壊
等も防止できる。
【0045】更に、凸部の縮小や溶け込み深さの増加に
より溶接用部材と母材との間隔を小にでき、外観上の安
定感、隙間への異物の侵入防止、溶接部材(ワ−ク)の
位置精度の保証、更には防錆上等の面から有利である。
更に、汚れや径年酸化皮膜が在っても、また錆止め処理
が施してあっても、その表面のままで溶接しても充分に
優れた強度で溶接でき、清浄処理等の前処理を省略して
作業の簡易化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(イ)は請求項1において使用するパ−
カッション溶接用部材の一例を示す平面図、図1の
(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図である。
【図2】図1のパ−カッション溶接用部材の加工に使用
する型を示す図面である。
【図3】請求項1に係る発明を示す図面であり、図3の
(イ)は溶接前を、図3の(ロ)は溶接後のそれぞれの
状態を示している。
【図4】請求項2に係る発明を示す図面である。
【図5】請求項3に係る発明を示す図面である。
【図6】本発明において使用するパ−カッション溶接用
部材の別例を示す図面である。
【図7】本発明において使用する溶接設備の一例を示す
図面である。
【符号の説明】
1 溶接用部材 11 小突起 12 凸部 120 凸部周囲の溶接用部材表面 2 母材 3 溶接電極 4 スプリング 7 絶縁層 70 電気抵抗層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接用部材の表面に小突起付きの凸部を加
    工し、前記小突起をナ−ベルとして使用し前記凸部を母
    材にパ−カッション溶接することを特徴とする溶接方
    法。
  2. 【請求項2】溶接用部材の凸部周囲の表面部分に絶縁層
    を設ける請求項1記載の溶接方法。
  3. 【請求項3】溶接用部材の表面全体に上記絶縁層よりも
    低抵抗の電気抵抗層を設ける請求項1記載の溶接方法。
  4. 【請求項4】溶接用部材の表面の抵抗値を15×10-4
    Ω以下とするように、電気抵抗層の抵抗値を設定する請
    求項3記載の溶接方法。
  5. 【請求項5】表面に小突起付きの凸部を有し、小突起が
    ナ−ベルとして使用され、凸部が溶接箇所とされるパ−
    カッション溶接用部材。
  6. 【請求項6】表面の小突起付きの凸部を絞り出し加工に
    より設けた請求項5記載のパ−カッション溶接用部材。
  7. 【請求項7】凸部周囲の表面部分に絶縁層を有する請求
    項5または6記載のパ−カッション溶接用部材。
  8. 【請求項8】表面全体に上記絶縁層よりも低抵抗の電気
    抵抗層を有する請求項5または6記載のパ−カッション
    溶接用部材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005169500A (ja) * 2003-10-31 2005-06-30 General Electric Co <Ge> 融接法及び溶接物品
WO2006114088A1 (de) * 2005-04-27 2006-11-02 Patent-Treuhand-Gesellschaft für elektrische Glühlampen mbH Bauteil mit einen einer vorsprung aufweisenden schweissbuckel und lampengehäuseteil mit einem einen schweissbuckel aufweisenden bauteil

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