JP2021080988A - ナット - Google Patents

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Abstract

【課題】シール用の環状突起を備えたナットにおいて、簡易な構成で、環状突起から流れ出た溶融物が端面に残留することを抑制できるナットを提供する。【解決手段】ナット1はフランジ部5を備え、ナット1のネジ孔3が開口するフランジ部5側の端面4の外周に溶接用突起7が形成され、端面4のネジ孔3の面取り部6に連続した位置に、溶接用突起7よりも低いシール用の環状突起8が形成される。環状突起8の突出量は溶接用突起7の突出量の40%〜75%に設定される。環状突起8の断面は台形であり、環状突起8の基端を形成する前記台形の辺である第1辺と環状突起8の先端を形成する前記台形の辺である第2辺とが互いに平行であり、かつ、第1辺よりも第2辺のほうが短い。前記台形の内周側の辺は端面4に対して直角であり、外周側の辺は端面4に対して傾斜している。ナット1はフランジ付きナットである。【選択図】図1

Description

本発明は溶接ナットに関する。
従来、溶接ナットとして、ネジ孔が開口する一方の端面の外周に溶接用突起が形成され、該端面の溶接用突起よりも内側に、溶接用突起よりも低いシール用の環状突起が形成されたナットが知られている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1には、シール用の環状突起としての線状突起がネジ孔に近い位置に形成されたナットが開示されている。特許文献2には、溶接用突起の直ぐ内側に溶融物を受け入れる凹溝が形成され、その凹溝の直ぐ内側にシール用の環状突起としてのシール用環状隆堤部が形成されたナットが開示されている。
実開昭57−111号公報 特開平6−42519号公報
特許文献1、2に開示のナットにおいては、鋼板等の被溶接部材への溶接時にシール用の環状突起も溶融した場合、環状突起から流れ出た余剰の溶融物により、ナットが傾いてしまったり、ナットと被溶接部材との隙間が大きくなってしまったりするおそれがある。
本発明は上記事情に鑑み、シール用の環状突起を備えたナットにおいて、簡易な構成で、環状突起から流れ出た溶融物が端面に残留することを抑制できるナットを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のナットは、
ネジ孔が開口する一方の端面の外周に溶接用突起と、
前記端面の、前記ネジ孔の面取り部に連続した位置に、前記溶接用突起よりも低いシール用の環状突起と、
を備える。
これによれば、シール用の環状突起が、ネジ孔の面取り部に連続した位置に備えられるので、環状突起の溶融物が仮に内側に流れ出た場合に、その溶融物を面取り部で受け入れることができる。また、環状突起の溶融物を受け入れる溝を面取り部とは別に形成しなくてもよいので、簡易な構成で、環状突起から流れ出た溶融物がナット端面に残留することを抑制できる。なお、溶融物が仮に面取り部に入ったとしても、ネジ孔の、ネジ溝が形成された部位に入らなければ、ボルト等の雄ネジ部品との締結に支障をきたすことがない。
溶接用突起の突出量に対してシール用の環状突起が低すぎると、ナット(溶接用突起)が被溶接部材に溶接された際に、環状突起と被溶接部材との間に隙間が形成されて、シール性能が損なわれるおそれがある。反対に、溶接用突起の突出量に対してシール用の環状突起が高すぎると、溶接の際にナットに供給する電流が環状突起側に多く流れてしまい、溶接用突起と被溶接部材との溶接強度が低下するおそれがある。これらを鑑みると、環状突起の突出量は溶接用突起の突出量の40%〜75%とするのが好ましい。これによって、環状突起と被溶接部材との密着のしやすさと、溶接用突起と被溶接部材との溶接強度の確保の両立を図ることができる。
また、本発明において、ネジ孔の軸線を面内に包含する平面で環状突起を切った断面が台形であり、環状突起の基端を形成する台形の辺である第1辺と環状突起の先端を形成する台形の辺である第2辺とが互いに平行であり、かつ、第1辺よりも第2辺のほうが短いとしてよい。これによれば、環状突起の先端(台形の第2辺)が、ナット端面に対して平行な面を形成するので、環状突起と被溶接部材とが密着した際に、ナットを安定させることができ、換言すればナットが傾いてしまうのを抑制できる。また、環状突起は基端(台形の第1辺)よりも先端(台形の第2辺)のほうが短いので、環状突起が被溶接部材に接触した際の接触面積を小さくできる。これにより、環状突起と被溶接部材との密着性を向上できる。
また、前記台形の、前記端面に交差する方向に伸びた2つの辺のうちの前記ネジ孔に近い方の辺は前記端面に対して直角であり、前記ネジ孔に遠い方の辺は前記端面に対して傾斜しているとしてよい。環状突起の断面形状である台形をこのような形状とすることで、ネジ孔の面取り部に連続した位置に環状突起を形成しやすくできる。
また、本発明のナットはフランジ付きナットとすることができる。これによって、ネジ孔から離れた位置に溶接用突起を配置でき、ナットを被溶接部材に溶接した際のネジ孔回りの方向の剥離強度を向上できる。
溶接ナットの断面図である。 溶接ナットの溶接側の端面を示す平面図である。 図1のA部の拡大図である。 ネジ孔の面取り部を斜辺とした仮想の直角三角形を示した図である。 ナットの製造工程の一例を示す図である。 ナットが被溶接部材に溶接された状態を示す断面図である。 ナットの止水評価に用いた器具を示した図である。
図1、図2は、本発明の実施形態に係るフランジ付きの溶接ナット1(以下単にナットという)を示している。ナット1は、中央にネジ孔3が形成された筒状のナット本体2と、ナット本体2(ネジ孔3)の中心軸線Lの方向における一方の端部から側方(径方向)に張り出すフランジ部5とを備える。
ナット本体2は例えば六角ナットの形状を有する。すなわち、ナット本体2は平面視で見て六角形の外周線を有する形状に形成される。ネジ孔3はナット本体2の中央を貫通するように形成される。ネジ孔3の内周面にはネジ溝が形成されている。
ネジ孔3の、フランジ部5側の開口には面取り部6が形成されている。面取り部6は、図1の断面で見て、軸線Lに対して傾斜している。詳しくは、面取り部6は、ネジ孔3の、ネジ溝が形成された部位から軸線Lの方向に沿って端面4に接近するにしたがって次第に軸線Lとの距離が大きくなるように(換言すれば次第に孔3を拡径するように)形成されている。面取り部6は、図2の平面視で見て、ネジ孔3の中心Oの回りの全周を囲むように環状(真円状)に形成されている。
後述の環状突起8が溶接時に溶けて仮に面取り部6に流れ出た場合に、その溶融物がネジ孔3のネジ溝が形成された部位まで進入しないようにするためには、面取り部6はできるだけ大きくするのが好ましい。図3の断面で見て、面取り部6の径方向における幅をxと、深さ方向(軸方向)における幅yと、斜め方向(面取り部6の面内方向)の幅をzとしたとき、これら幅x、y、zで定まる直角三角形30(図4参照)の面積は、例えば環状突起8の断面を形成する台形(図3参照)の面積の50%以上とすることができる。
なお、ネジ孔3の、フランジ部5と反対側の開口にも面取り部が形成されている。
フランジ部5はナット本体2の周方向における全周を囲むように平面視で環状に形成されている。本実施形態のフランジ部5は、図2の平面視で見て外周線9が真円状に形成されているが、多角形(正方形や六角形など)に形成されてもよい。
ナット1の、軸線Lの方向におけるフランジ部5側の端面4(フランジ部5の下面でもある)には溶接用突起7が形成されている(図1、図2参照)。図2に示すように、溶接用突起7は、端面4の外周において間隔をあけて3個形成されている。なお、溶接用突起7は4個以上形成されてもよい。3個の溶接用突起7は、ネジ孔3の中心O回りの円周方向に等間隔(つまり中心角が120°となる間隔)に形成されている。
各溶接用突起7は互いに同じ形状、同じ突出量に形成されている。また各溶接用突起7は、先端にいくにしたがって次第に細くなっていく形状を有する。詳しくは、溶接用突起7は、図2の平面視で見て、略三角形に形成されている。より詳しくは、溶接用突起7は、図2の平面視で見て、溶接用突起7の基端を構成する略三角形の外形線7a(端面4と同一面に形成されるの外形線)と、溶接用突起7の先端を構成する略三角形の外形線7bとを有する。基端側の外形線7aうちの端面4の外周側の線は、端面4の外周線9を形成する円の一部(つまり円弧状)として構成される。基端側の外形線7aを構成する略三角形の、ネジ孔3に近い側の角度θ(図2参照)は例えば90°であるが、それ以外の角度でもよい。また、外形線7a(略三角形)の外周側の円弧線の中点と、外形線7a(略三角形)の内側の頂点とを通る直線(図2のI−I線に相当)は、ネジ孔3の中心Oを通る。
先端側の外形線7bは、図2の平面視で見て基端側の外形線7aの内側において外形線7aと相似する形状である。先端側の外形線7bで特定される先端面7cは略三角形の平面である。また、溶接用突起7の側面7dは、ネジ孔3の軸線Lに対して若干傾斜している(図1参照)。
溶接用突起7の端面4からの突出量H(図1参照)は後述の環状突起8よりも大きい。また、溶接用突起7は端面4の外周線9を形成する円の内側に形成され、換言すれば該円からはみ出ないように形成される。
図1、図2に示すように、端面4の、面取り部6に連続した位置には、シール用(具体的には止水用)の環状突起8が形成されている。環状突起8は溶接用突起7に対して内方向(ネジ孔3に接近する方向)に間隔をあけて形成されている。環状突起8と面取り部6の間には端面4(換言すれば軸線Lに直角な平面)は介在していない。環状突起8は、図2の平面視で見て、ネジ孔3の全周を取り囲むように環状(真円状)に形成されている。環状突起8の内周線は面取り部6の外周線に一致する。環状突起8の外周線を形成する円の中心と、環状突起8の内周線を形成する円の中心は、それぞれ、ネジ孔3の中心Oに一致する。
図3に示すように、環状突起8は先端にいくにしたがって次第に細くなる形状を有する。詳しくは、ネジ孔3の軸線Lを面内に包含する平面(図2のI−I線)で環状突起8を切った断面は台形である(図3参照)。環状突起8の断面(台形)は、環状突起8の基端を形成する第1辺8aと、環状突起の先端を形成する第2辺8bとを有する。これら第1辺8a、第2辺8bは互いに平行であり、かつ、第1辺8aよりも第2辺8bのほうが短い。なお、第1辺8aは端面4の面内に位置する。なお、「第1辺8a、第2辺8bは互いに平行」とは、設計図面上で第1辺8aと第2辺8bとが厳密に平行に設計されることを意味するが、実際の製造品において環状突起8の公差に起因して第1辺8aと第2辺8bとが厳密に平行となっていない場合、つまり第1辺8aと第2辺8bとが略平行の場合も許容する趣旨である。
また環状突起8の断面(台形)は、第1辺8aのネジ孔3に近い側の端点と、第2辺8bのネジ孔3に近い側の端点とを結ぶ第3辺8cを有する。第3辺8cは、端面4に直角であり、言い換えれば、第1辺8a又は第2辺8bに直角であり、さらに言い換えれば、ネジ孔3の軸線Lに平行である。また環状突起8の断面(台形)は、第1辺8aのネジ孔3に遠い側の端点と、第2辺8bのネジ孔3に遠い側の端点とを結ぶ第4辺8dを有する。第4辺8dは、第2辺8bに近づくにしたがって次第に第3辺8cとの距離が小さくなるように、端面4又は軸線Lに対して傾斜している。
このように、環状突起8は先細り形状を有しているが、断面の第2辺8bで特定される先端が平面視で環状の平面となっている。また環状突起8の内周側の側面8cは端面4に直角な面となっている。また環状突起8の外周側の側面8dは端面4に対して傾斜している。この傾斜角度(第1辺8aと第4辺8dとが成す角度)は例えば45°であるが、それ以外の角度でもよい。
環状突起8の先端面8bが小さいほど、溶接時の電流を先端面8bに集中させることができ、ひいては環状突起8を被溶接部材に溶接又は食い込ませやすくなる。一方で、環状突起8の先端面8bが小さすぎると、環状突起8が被溶接部材に接触した際の安定性が低下する。そこで、環状突起8の先端を形成する第2辺8bの長さは、基端を形成する第1辺8aの長さの20%以上80%以下とするのが好ましく、より好ましくは40%以上60%以下とするのがよい。本実施形態では、第2辺8bの長さは第1辺8aの長さの50%に設定されている。
環状突起8の端面4からの突出量h(図3参照)は溶接用突起7の突出量Hよりも小さい。詳しくは、環状突起8の突出量hは、溶接用突起7の突出量Hの40%〜75%とするのが好ましい。環状突起8の突出量hが溶接用突起7の突出量Hの40%未満とすると、ナット1を被溶接部材に溶接した際に、環状突起8が被溶接部材の表面に密着しないおそれがあり、言い換えれば、環状突起8と被溶接部材の間に隙間が形成されるおそれがある。この場合、シール性能が損なわれる。一方、環状突起8の突出量hが溶接用突起7の突出量Hの75%より大きいと、溶接の際にナット1に供給する電流が環状突起8側に多く流れてしまい、溶接用突起7と被溶接部材との溶接強度が低下するおそれがある。
なお、端面4には、溶接用突起7及び環状突起8以外は凸部や凹部が形成されていない。また、端面4の、溶接用突起7及び環状突起8以外の部分は軸線Lに直角な平面となっている。
ナット1は例えばJIS(日本産業規格)で低炭素鋼(S10C〜S25Cなど)に分類される鋼材により形成される。またナット1は例えば自動車に用いられる。
ナット1の形状は例えば図5のように製造される。すなわち、先ず、例えばほぼ正方形断面の低炭素鋼製の角柱を切断し、この切断により得られた素材40に対して切断面を整えるための加工を施すことで第1形状41を得る(第1工程)。次に、第1形状41に対して一方の端面に凹部43を形成することで第2形状42を得る(第2工程)。次に、第2形状42の両端面に下孔45、46を形成することで第3形状44を得る(第3工程)。次に、第3形状44の下孔45、46を利用して第3形状44の中央部を打ち抜くことで、中央部に貫通孔48を有した第4形状47を得る(第4工程)。次に、第4形状47の一方の端面にフランジ部50、外周突起51及び環状の内周突起52を有した第5形状49を得る(第5工程)。フランジ部50がナット1のフランジ部5に相当する。外周突起51が、ナット1の溶接用突起7に相当する。内周突起52がナット1の環状突起8に相当する。また、第5形状49の中央部の貫通孔53がナット1のネジ孔3及び面取り部6に相当する。ただし、貫通孔53には未だネジ溝が形成されていない。その後、第5形状49の貫通孔53の内面にネジ溝を形成することで、ナット1の形状を得る。上記第1〜第5工程は鍛造等の塑性加工により行う。
上記のナット製造例では、ナット1のネジ孔3及び面取り部6に対応する貫通孔は第3、第4工程で予備成形した後、第5工程で仕上げをすることで得られる。またナット1のフランジ部5、溶接用突起7及び環状突起8は第5工程の1回の工程で成形する。
ナット1は、図6に示すように、自動車の鋼板等の被溶接部材10に抵抗溶接(換言すればプロジェクション溶接)により固定されて用いられる。溶接の際には、先ず、ナット1の突起7、8が形成された側の端面4が、被溶接部材10の一方の表面10aに向け、かつ、ナット1のネジ孔3と被溶接部材10の孔11とが一致するように、ナット1と被溶接部材10とを重ね合わせる。その後、ナット1に一方の電極を、被溶接部材10に他方の電極を当てて、ナット1を被溶接部材10の方に加圧しつつ、両電極間(ナット1と被溶接部材10の間)に所定時間、電流を流す。このとき、被溶接部材10に接触しているナット1の溶接用突起7が、電流により発生するジュール熱で溶融することで、最終的に被溶接部材10に固定される。また、溶接用突起7の溶融に伴い、環状突起8が次第に被溶接部材10に接近していき、最終的に被溶接部材10に接触する。さらに、環状突起8も溶融し、又は環状突起8が被溶接部材10に食い込むことで、環状突起8が被溶接部材10の表面10aに密着する。なお、環状突起8が被溶接部材10に密着していれば、ナット1の端面4と被溶接部材10との間に隙間が形成されてもよい。
溶接条件(電流、加圧、時間)は、溶接用突起7が被溶接部材10に溶接され、かつ、環状突起8が被溶接部材10に密着するように、定められる。
以上説明したように、本実施形態では、ネジ孔3の面取り部6に連続した位置に環状突起8が形成されるので、ナット1を被溶接部材10に溶接する際に、環状突起8の溶融物が仮に内側に流れ出たとしても、その溶融物を面取り部6で受け入れることができ、ナット端面4の環状突起8周辺位置に環状突起8に起因した余剰の溶融物が残留するのを抑制できる。これによって、環状突起8の溶融物に起因してナット1が傾いて溶接されたり、位置がずれて溶接されてしまったりするのを抑制できる。環状突起8の溶融物を受け入れる専用の溝を端面4に形成しなくてもよいので、ナット1の形状を簡素化できる。
また、面取り部6と環状突起8が連続することで、環状突起8を容易に成形できる。すなわち、仮に環状突起8が面取り部6に連続した位置よりも外側にあるとすると、金型で環状突起8を成形する際にデッドメタルと言われる状態が発生する場合があり、この場合には所望の環状突起形状が成形できない。これに対して、環状突起8がネジ孔3に最も近い位置にある場合には、金型で成形する際に、環状突起8に対応する素材部分の変形代を大きくでき、所望の環状突起8を成形できる。
また、環状突起8が面取り部6に連続した位置に形成されることで、溶接の際に溶接用突起7の溶融物がネジ孔3に進入するのを抑制できる。すなわち、溶接の際に溶接用突起7の溶融物が内側に飛散した場合に、その飛散した溶融物が環状突起8の位置までくる間に、環状突起8が被溶接部材10に接触する。これにより、溶融物が環状突起8よりも内側、すなわちネジ孔3に進入するのを抑制できる。
また、環状突起8がネジ孔3に最も近い位置(面取り部6に連続した位置)に形成されることで、外側に形成される場合に比べて、環状突起8の周方向における長さを短くできる。つまり、環状突起8と被溶接部材10とが接触する周方向長を短くできるので、周方向において環状突起8と被溶接部材10との間に隙間が形成される部分が生じてしまうのを抑制できる。
また、端面4は、溶接用突起7及び環状突起8に対して凹んだ溝として機能し、溶接時に溶接用突起7又は環状突起8から生じた溶融物を端面4に受け入れることで、ナット1が傾いて溶接されてしまうのを抑制できる。
また、環状突起8の断面は台形となっており、つまり、環状突起8の先端8bはナット端面4に平行な平面となっているので、溶接の際に環状突起8が被溶接部材10に接触した際の安定性を確保できる。これにより、ナット1が被溶接部材10に対して傾いて溶接されてしまうのを抑制できる。
また環状突起8の断面(台形)が先細り形状(台形)となっているので、溶接の際に環状突起8の先端8bに電流を集中させ被溶接部材10に環状突起8を溶接しやすくなり、又は環状突起8を被溶接部材10に食い込ませやすくなる。これにより、環状突起8と被溶接部材10との密着性を向上でき、ナット1のシール性能を向上できる。
また、環状突起8の外周面8d(図3参照)はナット端面4又はネジ孔3の軸線Lに対して傾斜しているので、環状突起8を金型で成形した後の離型が容易となる。
また、環状突起8の突出量が溶接用突起7の突出量の40%〜75%に設定されているので、後述の実施例で示されるように、ナット1の止水性能と溶接強度の両立を図ることができる。
(実施例)
図1、図2に示すナット1と同様の形状のナットに対する止水評価を行った。図7は止水評価をするための器具20を示している。器具20は直方体の容器状に形成されている。器具20の側面には開口部21が形成されている。開口部21を塞ぐように、ナット100が溶接された被溶接部材31を設置した。このとき、ナット100を器具20の内側に位置させる。なお、器具20には、ナット100が溶接された被溶接部材31を、開口部21を塞いだ状態に固定する締結部22が備えられている。また、ナット100の、被溶接部材31に溶接された側と反対側の端面に形成されたネジ孔の開口を、蓋部材32で閉塞した。蓋部材32は、ボルトとナット100とを締結した際にボルトの頭部を想定した部材である。その後、器具20内に水を入れた。このとき、ナット軸線L2の位置に370mmAqの水圧がかかるように、水面位置とナット軸線L2との高さWを設定した。
被溶接部材31には、ナット100のネジ孔に通ずる位置に孔が形成されており、この孔を介して器具20の外側に漏れ出る水量を評価した。具体的には、試験開始から10分の時点、及び20分の時点でそれぞれどの程度の水漏れがあるかを評価した。
また評価は20個のナット100に対して順次行った。各ナット100は互いに同じ形状であり、また図1、図2に示すナット1と同様の形状である。各ナット100の端面に対する溶接用突起の突出量の設計値は0.8mm(公差は、上限が+0.2mm、下限が0mm)である。また、ナット100の端面に対する環状突起の突出量の設計値は0.5mm(公差は上限が+0.1mm、下限が−0.1mm)である。被溶接部材31として、SCGA590、板厚が1.6mmの鋼板を用いた。
各ナット100の溶接条件は互いに同じ条件とし、具体的には、電流値を11.0kA、加圧力を4000N、通電時間を10cycとした。また、一部のナット100に対しては、被溶接部材31に溶接された状態で軸線回りの方向における剥離トルクを測定した。
表1は漏れ評価及び剥離強度の結果を示している。表1の漏れ評価において「○」は水漏れが無かったことを示している。また表1における環状突起の突出量(0.5mm)は、公差から許容される最大突出量(0.5mm+0.1mm=0.6mm)と最小突出量(0.5mm−0.1mm=0.4mm)の平均値を示している。表1に示すように、いずれのナット100においても10分及び20分の時点で水漏れは発生しなかった。また、剥離トルクは十分高い値であった。
Figure 2021080988
ここで、ナット100の公差を考慮すると、ナット100の溶接用突起が許容される最大突出量は1.0mm(=0.8mm+0.2mm)であり、最小突出量は0.8mm(=0.8mm−0mm)である。ナット100の溶接用突起の平均突出量は、最大突出量と最小突出量を平均すると、0.9mm((1.0mm+0.8mm)÷2)となる。また、ナット100の環状突起が許容される最大突出量は0.6mm(=0.5mm+0.1mm)であり、最小突出量は0.4mm(=0.5mm−0.1mm)である。環状突起の平均突出量は、最大突出量と最小突出量を平均すると、0.5mm(=(0.6mm+0.4mm)÷2)となる。
表1の結果は、溶接用突起の突出量が0.8mm〜1.0mm、環状突起の突出量が0.4mm〜0.6mmのときには、止水性能及び剥離トルクが良好であることを示している。溶接用突起の突出量に対する環状突起の突出量の割合で考えると、その割合の最小値は40%(=(0.4mm÷1.0mm)×100%)であり、最大値は75%(=(0.6mm÷0.8mm)×100%)である。したがって、ナットの止水性能(シール性能)及び剥離トルクを良好にするためには上記割合を40%〜75%とするのが好ましいといえる。
また、上記したように、ナット100の溶接用突起の平均突出量は0.9mmであり、環状突起の平均突出量は0.5mmである。溶接用突起の平均突出量に対する環状突起の平均突出量の割合は約55%(=(0.5mm÷0.9mm)×100%)である。溶接用突起の突出量に対する環状突起の突出量の割合は、約55%付近の値(具体的には例えば50%〜60%)に設定されてもよい。
(比較例)
上記実施例で評価したナット100と同様の形状であるが、環状突起の突出量をナット100のそれよりも小さくしたナットに対する止水評価を行った。評価したナットは、環状突起の突出量の設計値が0.3mm(公差は上限が+0.1mm、下限が−0.1mm)であるナットAと、0.2mm(公差は上限が+0.1mm、下限が−0.1mm)であるナットBである。ナットA、Bの溶接用突起の突出量の設計値は0.8mm(公差は、上限が+0.2mm、下限が0mm)であり、公差から許容される溶接用突起の突出量の平均値は0.9mm(=(1.0mm+0.8mm)÷2)である。ナットA、Bをそれぞれ複数個用意して、それぞれ複数個のナットA、Bに対して上記実施例と同様の手順で順次止水評価を行った。ナットA、Bの被溶接部材に対する溶接条件(電流値、加圧力、通電時間)は後述の表2のとおりである。被溶接部材は実施例と同様にSCGA590、板厚が1.6mmの鋼板を用いた。表2に結果を示す。表2の漏れ評価において「○」は水漏れが無かったことを示している。
Figure 2021080988
表2に示すように、環状突起の平均突出量が0.3mmのナットAの場合は、一部のナットAに対して被溶接部材の孔から外側への水の滲みが発生した。また、環状突起の平均突出量が0.2mmのナットCの場合は、全てのナットCに対して水の滲みが発生した。
ここで、公差を考慮すると、ナットAにおける環状突起の突出量が許容される範囲は0.2mm〜0.4mmである。ナットAにおける溶接用突起の突出量が許容される範囲は0.8mm〜1.0mmである。溶接用突起の突出量に対する環状突起の突出量の割合で考えると、公差から許容されるこの割合の最小値は20%(=(0.2mm÷1.0mm)×100%)であり、最大値は50%(=(0.4mm÷0.8mm)×100%)である。表2において、一部のナットAに対して水の滲みが発生したのは、上記割合が小さい値(具体的には40%未満)であったためと考えられる。
また、ナットBにおいては、公差から許容される環状突起の突出量の範囲は0.1mm〜0.3mmである。ナットBにおける溶接用突起の突出量が許容される範囲は0.8mm〜1.0mmである。溶接用突起の突出量に対する環状突起の突出量の割合で考えると、公差から許容されるこの割合の最小値は10%(=(0.1mm÷1.0mm)×100%)であり、最大値は37.5%(=(0.3mm÷0.8mm)×100%)である。表2において、全てのナットBに対して水の滲みが発生したのは、公差から許容される上記割合の最大値が40%未満であったためと考えられる。
以上より、止水性能を良好にするためには、上記割合は40%以上とするのが好ましいといえる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその具体的な記載に限定されることなく、例示した構成等を技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施することも可能であるし、またある要素、処理を周知の形態に置き換えて実施することもできる。
1 ナット
2 ナット本体
3 ネジ孔
4 端面
5 フランジ部
6 面取り部
7 溶接用突起
8 環状突起
10 被溶接部材

Claims (5)

  1. ネジ孔が開口する一方の端面の外周に溶接用突起と、
    前記端面の、前記ネジ孔の面取り部に連続した位置に、前記溶接用突起よりも低いシール用の環状突起と、
    を備えるナット。
  2. 前記環状突起の突出量は前記溶接用突起の突出量の40%〜75%である請求項1に記載ナット。
  3. 前記ネジ孔の軸線を面内に包含する平面で前記環状突起を切った断面が台形であり、前記環状突起の基端を形成する前記台形の辺である第1辺と前記環状突起の先端を形成する前記台形の辺である第2辺とが互いに平行であり、かつ、前記第1辺よりも前記第2辺のほうが短い請求項1又は2に記載のナット。
  4. 前記台形の、前記端面に交差する方向に伸びた2つの辺のうちの前記ネジ孔に近い方の辺は前記端面に対して直角であり、前記ネジ孔に遠い方の辺は前記端面に対して傾斜している請求項3に記載のナット。
  5. フランジ付きナットである請求項1〜4のいずれか1項に記載のナット。
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