この課題は驚くべきことに、 冒頭に記載の種類のデバイスにおいて、二次元要素が支持体セクションと接着セクションを持つ一時的被覆手段を有し、該支持体セクションが最大0.01mNm、好ましくは最大0.005mNm、特に好ましくは最大0.004mNmの曲げ剛性を有し、かつ、該支持体セクションが、一時的な被覆手段が、支持体の第二の側面を損傷から保護し続ける被覆物を形成するように接着セクションによって残留物なく剥離可能に支持体と該支持体の第二の側面において結合していることによって解決される。この一時的被覆手段のために、該一時的被覆手段が個々の成分の最終的な組立の直前まで除かなければ、加工及び貯蔵の間の支持体の損傷も効果的に、かつ、効率的に防止される。
この場合、本発明には一時的被覆手段の支持体セクションの小さな曲げ強度が特に寄与する。この小さな曲げ強度は一時的な被覆手段の機能を保証するために必要とされる接着力に加えて特定される。慣用の種類の支持体材料の場合には、0.3mNm〜1.0mNmno範囲内の曲げ強度が一般的である。しかしながら、本発明者の実験が示すとおり、このような一時的被覆手段を除いた後には二次元要素と保護用窓とよりなる複合体に除く以前には観察されなかった濁りを生じさせるので、のこのような系は光学的なディスプレーシステムを保護するのには適していない。この濁りは、一時的被覆手段を剥離するときに支持体の自由な側で生じうる表面変形作用に起因する。さらに、一時的被覆手段を除く時に接合複合体への不均一な局所的な負荷のために、二次元要素と接着基体との間の接合を局所的な剥離をもたらす。これはこの剥離した領域において新たに押し付けた後にも光の増大した散乱及びそれ故の透過率の低下をもたらし得る。
本発明の二次元要素を使用する場合、一時的な被覆手段の剥離に起因する光学的透過率のこのような低下は、一次的被覆手段の特別な設計によって簡単に、かつ、低コストで回避され、その結果、一時的被覆手段が光学的に透明な結合を補とするのに使用することもできる。
さらに、二次元要素を全面にわたって可視光線に対して透明に設計して、550nmの波長の光について80%より大きい、特に85%より大きい透過率を有する場合が有利である。このように高透明度の設計のため、本発明の二次元要素を特にコントラストの小さいディスプレーシステムのためにも使用することが可能である。
さらに、少なくとも一次的被覆手段の支持体セクションの少なくとも片面が機械的負荷に対して安定に形成されている場合が有利である。このものは例えば高い抗張力のような高い強度、高い引裂強度、低い耐引っ掻き性、低い引き裂き性等を有している。支持体セクションの外に向いた側面の設計のために、一次的被覆手段の保護効果が改善される。
一次的被覆手段の支持体セクションの少なくとも1つの側面が薬品に対して耐久性に設計されている場合も有利である。この様な耐久性は例えば腐食性ガス又は液体、例えば非金属酸化物、無機及び有機酸及び塩基等に対する耐久性、溶剤、例えば水、炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等に対しての耐久性並びに固体物質、例えば飛翔するさび、腐食性ダスト等に対しての耐久性が含まれる。外側に向く側面のこのような設計のために、一次的被覆手段の保護効果も更に改善される。
さらに、この支持体セクションは一時的被覆手段の接着セクションに一致していてもよく、その結果、一時的被覆手段の接着セクションは直接的に及び接着剤なしで支持体と残留物なく剥離可能に結合されている。このような粘着性支持体を一時的被覆手段として使用することは、別の被覆段階なしに費用的に有利に製造できそしてそれ故に追加的適合させることなしに残留物なく剥離できる一時的被覆手段を使用できるという長所を提供する。これによって高い透明度の接合複合体を実現することができる。代わりに、一時的被覆手段の接着セクションが支持体を持つ一時的被覆手段を残留物無く接合される別の被覆手段接着剤も包含し得る。このような設計のために、その都度の具体的状況に良好に適合されそして著しい剪断負荷をかけたときにも被覆された支持体の全面保護を可視領域で保証し得る特に安定な一次的被覆物が実現される。この場合、可視領域は、ディスプレーシステムにおいて情報を表示するのに適するディスプレーデバイスの領域が見られる二次元要素の一部領域を包含している。この場合、この一部領域は最大で二次元要素の主要な広がりの全面を包含し得る。
さらに、一時的被覆手段は支持体の第二の側面の所に1.0N/cmより小さい、好ましくはN/cmより小さい、特に好ましくは0.1N/cmより小さい接着力を有していてもよい。これによって支持体から一時的被覆手段を残留物なく剥離することが極めて簡単になる。これには、脆い二次元物体への3.5N/cmより大きい、特に4.0N/cmより大きい接着力の接着剤層が適合する。このようにして、脆い二次元物体のための特に有効な飛散防止が実現される。この場合に、前述の両方の特徴の組み合わせが特に有利であり、それによって支持体の一時的被覆手段の特別に優しい剥離が可能とされ、その結果脆い二次元物体に貼り付いた二次元要素が一次的被覆手段を除去するときに局所的に剥がれることがなく、それ故に特に透明な接合複合体が保証される。
接着剤層が粘着剤を含有している場合が有利である。これによって脆い二次元物体への二次元要素の簡単は接合が可能となる。これに対して極めて強固な接合を達成すべき場合、例えば石英ガラス板を保護するために高性能な飛散防止が必要とされるディスプレーシステムの場合、接着剤層は粘着剤の代わりに熱活性化性接着剤も含有していてもよい。
一つの有利な実施態様においては接着剤層は1.43より大きい屈折率nd(20℃)を有する接着剤を有しており、1.47より大きい場合が特に有利である。この実施態様では、特に透明な接合複合体を得ることが可能である。何故ならばディスプレーの視線軸の方向で隣接する媒体に屈折率を特別に適合させることによって、接合複合体への入射光に対しての反射光の割合を減らしそしてそれによって複合体の透過率が総合的に増加させることが可能となるからである。
最後に、二次元要素が一次的被覆手段と相違する一次的支持体を有し、該支持体が接着剤層に配置されそして接着剤層と残留物なく剥がすことができるように接合されているのが特に有利である。この実施態様は、シースルー要素に接合する以前の本発明の二次元要素の取り扱いを簡単にすることを可能とする。特にこの実施態様によって、ダストフリーで、かつ、気泡なしの接合物が得られそしてそれ故に優れた透明度の接合複合体が可能とされる。
本発明は、別の観点によれば、脆い二次元物体のための飛散防止デバイスとして前述の二次元要素を用いることにも関する。二次元物体が砕けるときに二次元物体が少なくとも実質的に連結保持しそして二次元物体の破片がばらばらになるのを妨害し、並びにシースルー要素が二次元要素と二次元要素の接着剤層を介して永久的に接合されることによって前述の二次元要素の一つ及びシースルー要素から得られる接合複合体を提供する。
前述のとおり、従来の方法は実地においては、ディスプレーシステムの個々の成分を組み合わせそして接合する前には二次元要素の支持体表面を損傷させ、接合複合体の透明度に全体としてマイナスの影響を及ぼすという欠点を有している。それ故に本発明の別の課題は、上述の欠点を排除しそして特に十分な透明性であるという接合複合体を提供することである。これは本発明の二次元要素を用いることによって達成される。
二次元要素と接合するための脆い二次元物体として適合するシースルー要素が少なくともガラス製部分領域を有する場合に特に有利である。材料の高い光学的品質及び透明性並びに高い耐引っ掻き性を考慮して、ガラスを使用するのが特に安定でそして同時に透明な接合複合体をもたらす。
さらに、本発明は別の観点によれば、接合複合体をディスプレーデバイスのための損傷防止デバイスとして使用することをも提供する。損傷防止デバイスは外部からの機械的作用があるときにディスプレーデバイスの損傷を防止する。これによって、二次元要素が配置されている接合複合体の側面が、表示すべき情報を表示するのに適合する、ディスプレーデバイスの側に向かい合って配置されてるように接合複合体が配置されていることによって、接合複合体及びディスプレーデバイスを持つディスプレーシステムが提供される。この配置の結果として、光学的表示領域の外側面が耐引っ掻き性のディスプレーシステムが得られる。
二次元要素とディスプレーデバイスの、情報を表示するのに適応する側とを平均間隔で少なくとも30μm〜最大600μmであるように意図的に互いに配置する場合が有利である。これによって両成分の表面の有効な機械的分断が得られ、二次元要素を持つ複合体が変形するとき、例えばシースルー要素に掛かる機械的圧力のために変形するときにディスプレーデバイスと接触せずそして外部から強い作用があったときでもディスプレーデバイスの損傷を防止することができる。
最後に、本発明は二次元要素を持つディスプレーシステムの製造方法にも関する。従来使用された方法は、製造過程で生じ得る、二次元要素の支持体側の損傷を避けることができないという欠点がある。それ故に本発明の別の課題は、上述の欠点を排除しそして特にディスプレーシステムを損傷なく製造することを可能とする方法を提供することである。
この課題は、本発明の二次元要素を使用することによって解決される。その際に、二次元要素の接着剤層を最初に脆い二次元物体に実質的にダストフリーの条件のもとで永久的に気泡なしに接合されており、この接合複合体の保存後に一時的被覆手段を除去しそして該接合複合体をディスプレーデバイスと共に固定配置される。
二次元要素として本発明によれば接合を可能とする通例のあらゆるシート状構造が考えられる。これらは色々なデザインが可能であり、特に柔軟性があり、例えばテープ状物、ラベル状物又はフィルムがある。そのシート状デザインのために、この二次元要素は、従ってその長手方向及び幅方向(主要な広がり)にそれぞれ、これら二つの方向に対して垂直方向(高さ:第二の広がり)の二次元要素の広がりよりも大きい領域に亙って広がっている。その際にこの広がりは平面での又は(屈曲した基体上では)非平面にあってもよい。接着性二次元要素は、貼り付けられそして次いで接着基体(粘着基体、下地;基体)と機械的に堅牢な接合を提供す二次元要素が適する。この目的のためには、接着可能な二次元要素は片面に、接着剤層の状態で同様にシート状で配置されている接着剤が塗工されている。
このような二次元要素は本発明の場合、可視光線について透明性でありそしてそれどころか高い透明度で全面的に構成されており、その透過率は550nmの波長の光に対しては80%より高く、好ましくは85%より高いように構成されている。このような透明度は、二次元要素の成分として適当な材料を選択することによって達成され、その際にこの関係での選択は例えば所望の波長の範囲内の吸収が少なくそして及び個別の屈折率に関して行う。このような系の例を以下に説明する。
二次元要素は支持体を有している。この支持体は二次元の主要な広がりを持つシート状に設計されている。その主要な広がりに平行して支持体は二つの片面、すなわち、第一の片面及び第二の片面によって境界をなしている。
支持体は可視光線の波長領域で高い透過性を有するものである限り、二次元的に広がった、適するあらゆる材料から製造することができる。例えば550nmの波長の光の透過率が86%より多く、それどころか特に88%より多い場合が有利である。さらに、曇り(ASTM D1003に従って曇り値として測定される)が1%より少ない場合が有利である。
支持体は1.52より大きい屈折率ndを有しているべきである。屈折率ndは、本発明においては、Snellius の回折の法則によって規定されたパラメータにを意味する。屈折率の値は入射光の波長及び測定温度に左右される。ここでは、他に指摘がない限り、屈折率ndは20℃の測定温度で550mm(±150nm)の波長の光を用いて測定される値を意味する。
例えばガラス製窓のような光学構造部材を設計及び製造するときの屈折率の意義は使用される材料と入射光との相互作用から生じる。特定の波長λの光にとってエネルギー保存の法則から、光発生工程の不存在下では、物体を透過する光の強度は物体によって吸収される光の強度及び物体の境界面で反射される光の強度を差し引いた入射光の強度に相当する。光学部材の具体的用途次第で、該物体の吸収、反射又は透過は、その都度の他の影響の発生を低減することによって最適化される。例えば透過率のために設計される光学部材は、(入射光の100%が透過することに相当する)1よりも僅かに少ない高い透過度を有している。このためには吸収及び反射の割合は低減される。
紫外線可視分光光度計を用いる測定で示される通り、例えばアクリレートコポリマー及びアクリレートブロックコポリマーをベースとするポリマーは一般に(400nm〜700nmの波長範囲内の)可視領域の光を僅かしか吸収しない。それ故にこの様な系を最適化する場合には、第一に反射成分が考慮される。
互いに接触して存在する層1と2との間の境界面の所で屈折率が生じる。それぞれの屈折の大きさρ(λ)は以下のFresnel の式に従って算出される。
同じ屈折率を持つ物質の場合(等屈折性物質、要するにnd,1 =nd,2)、上記式中の分子は0の値である。従ってその境界面では屈折が生じない。それ故に反射挙動を変えるためには、光学部材の場合、それぞれの成分の屈折率を調和させることが重要である。しばしば使用される材料の屈折率の代表的な値は、約1.45〜1.65の範囲内である[例えば石英ガラス(nd:1.458)、ボロンシリケートクラウンガラス(nd:1.518)、ボロンシリケートクラウンガラス BK7(nd:1.514)、フリントガラス(nd:1.620);それぞれ588nmの波長の光に対しての値、Pedrotti, Pedrotti, Bausch, Schmidt, Optik, 1996, Prentice Hall, ミュンヘンによる]。
支持体を光学的性質に従い選択することは別として、接着基体の破片状セグメントに関して保護することを保証するために支持体は十分な強度を有しているべきである。その光学的性質に従い支持体材料を選択することは別として、支持体は、接着基板の飛散破片化に対して保護することを保証することができるのに十分な強度を有するべきである。この目的のために、支持体は50MPaより大きい、特に150MPaより大きい引張応力(ASTM D882に従って測定)に耐える場合が有利である。これは例えば支持体としてポリエチレンテレフタレートを用いることによって得ることができる。1.52より大きい屈折率nd、ASTM D1003に従って3%より小さい曇り値(または更に好ましくは2%より小さい曇り値)及び550nmの波長の光に対してASTM D1003に従って86%より大きい透過率を同時に有する高い透明度のフィルムが使用される。
それ故に支持体として例えば高い透明度のフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるものが適する。例えば、三菱のHostaphanTM又はToray社のLumirrorTMの名称で市販されている若干のフィルムが有利であることがわかっている。特に高い透明度のLumirrorTM T60が本発明の用途に適している。別の適するポリエステルは例えばポリブチレンテレフタレートである。
ポリエステルフィルムの他に別の高い透明度のフィルムも使用される。例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、コポリアミドを含めたポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン(PU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリスチレン(PS)並びにこれから誘導される材料も使用される。本発明によれば例えば純粋なポリスチレンよりなるフィルムの他に、スチレンの他に、フィルムの結晶化傾向を低減しそして透過率を高めるために別のコモノマー例えばブタジエンを含有するフィルム材料も使用することができる。
本発明の二次元要素の支持体としてはトリアセチルセルロース(TAC)並びに、ホモポリマー又はコポリマーとして並びに同様にブレンドの状態で使用できる他のセルロース誘導体、例えばセルロースブチラート、セルロースプロピオナート及びエチルセルロースが特に適する。
同様に支持体として適することがわかっているのは高い透明度のポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)が適する。この場合、この種のフィルムが透明性を低減しうる結晶質領域を有していない場合が特に有利である。この目的のためには支持体は無配向でも(例えば“キャスト加工された”ポリプロピレン)又は配向した材料として、例えばモノ配向していても(MOPP)又は二軸配向していても(BOPP)よい。支持体として適する他のポリオレフィンには例えば機能性化されたポリエチレン(PE)がある。例えばエチレンの他にシクロヘキセン又はノルボルネン誘導体が結晶性を低減するコモノマーとして使用されるか又はエチレンに加えて使用されそしてそれの立体配置によって結晶質領域の発生を低減させる他のオレフィン性コモノマーも使用される。
他の適する材料には、ポリエーテルスルホン及びポリスルホンよりなる群から選ばれる材料があり、これらは例えばBASF社からUltrasonTM E 及びUltrasonTM Sの名称で市販されている。
その他に、例えばElastogran GmbH社の市販品のようなウレタンをベースとする高い透明度の熱可塑性エラストマー(TPU)も使用できる。
これらのフィルムの性質を意図的に適合させ得るために、該フィルムは勿論、他の成分、例えば柔軟性を向上させるための可塑剤も含有していてもよい。さらに、支持体の表面は、薄い被覆、例えば酸化ジルコニウムを蒸着することによって、又は塗料及び/又は粘着剤を塗布することによって処理されていてもよい。
単層フィルムの他に、同時押出成形によって製造できる多層フィルムも使用される。この目的のためには上述のポリマー材料を互いに組み合わせることも可能である。
一方では飛散防止材として十分な機械的安定性を提供し、もう一方では高い透過性並びに容易な加工性を保証するために、本発明の二次元要素の支持体として一般に4〜150μmの範囲の、特に12〜100μmの範囲の、それどころか23〜75μmの範囲の厚さを有するフィルム材料が使用される。
さらに、支持体が寸法安定的に切断又は打ち抜きすることができそして更に、比較的に高い温度での加工、例えばホットメルト接着剤を溶融状態で適用する場合に耐えるのに十分な耐熱性を有しているのが有利であり得る。
支持体の第一の側面に接着剤層が配置されている。接着剤層とは少なくとも実質的にシート状に拡げられておりそして同様に主要な広がり方向及び二次的広がり方向を持つ接着剤である。該接着剤は二次元要素を砕け易い二次元物体と永久接合するのに適合しており、該二次元物体は、砕けたときに二次元要素によって連結保持される。二次元物体とは二次元要素のための接着基体を形成するあらゆる物体を意味し、これらは少なくとも平らな一部領域を有しており、該領域の広がりは二次元要素の主要な広がりにほぼ相応している。その寸法はこの物体の具体的な性質に無関係である。さらに、この二次元物体は砕け易く、高い脆性を有しそしてそれ故に硬くもあるので、外部の力の作用のもとでも決して塑性変形されないで、むしろ砕ける。この種の砕け易い二次元物体の代表例には例えばシリケートをベースとする色々な組成のガラス、例えば石英ガラス、硼酸塩ガラス、理化学用ガラス、窓ガラス、フロート法加工ガラス、鉛結晶ガラス、クラウンガラス、ソーダ石灰ガラス等がある。砕け易い二次元物体の破片が生じる場合に、二次元物体の表面に接着した二次元要素が、あらゆる破片を含む二次元物体のかけらを接着剤の接着力によって連結保持することによって飛散防止手段として役立つ。
本発明によれば、更に接着剤層は砕け易い二次元物体への例えば3.5N/cmより大きい、それどころか4.0N/cmより大きい接着力である。このような適合性は、接着剤層の接着剤の意図的な調整によってそれぞれの接合基体に関して得られる。その際に、このような調整は接着剤としての1種類以上のポリマーの選択の他に例えば接着剤の意図的な添加も含まれ得る。
本発明に従って使用できる接着剤にとっての他の重要なファクターは接着力の適合の他に接着剤の屈折率が重要である。接着剤は1.43より大きい、特に1.47より大きい屈折率nd(20℃)を有しているべきである。これによって特に透明な系を得ることが可能である。このように適合させる手段には、あらゆる適する特別な手段、例えば接着剤として適する屈折率のポリマー系の選択又は接着剤への適する添加物の添加がある。適するポリマー系の例には以下のものがある。
従って、原則として接着剤が本発明の効果を達成するのに必要な性質、例えばそれの吸収挙動及び屈折率に関して並びにそれぞれの基体への接着力に関して必要な性質を有している限り、任意の接着剤を使用することができる。例えば粘着剤並びに熱活性化可能な接着剤は原則として良好に適しているが、前者が高い透明度の理由から特に有利である。以下に、本発明の関係において特に有利であることが分かっている代表的な幾つかの接着剤系を単なる例示として記載する。
実地での検証にすれば、粘着剤を使用するのが特に有利である。シリコーン系をベースとする適する粘着剤は例えば米国特許第4,874,671号明細書に記載されている。それらでは1.47より大きい屈折率を有する接着剤が実現されている。
しかしながらアクリレートをベースとする粘着剤を使用するのも特に有利である。この種の接着剤はアクリレート系モノマーで構成されている。アクリレート系モノマーの群は、非置換の又は置換されたアクリル酸又はメタクリル酸又はこれら化合物のエステルの構造から誘導される化合物よりなる(これらの選択肢は“(メタ)アクリレート”という概念で総括記載される)構造を有するあらゆる化合物よりなる。これらのモノマーは一般式
CH2=C(R')(COOR'')
[式中、R’が水素原子又はメチル基でありそしてR”は水素原子であるか又は飽和の、直鎖状の又は分岐した、置換された又は非置換のC1〜C30−アルキル基よりなる群から選択される。]
で表される。モノマー中への混入のために接着剤に任意の悪影響を及ぼすのを避けるために、モノマーは例えば光の影響のもとで変色する老化防止剤を避けるために、使用する前に精製するのが有利である。
この粘着剤の(メタ)アクリレートをベースとするポリマーは例えばラジカル重合によって得られる。その際にポリマーは50重量%又はそれ以上のアクリレート系モノマーをしばしば含有している。
この場合、モノマーは一般に、得られるポリマーが室温又はそれより高い温度で粘着剤として使用できるように選択される。その際にこれらはDonatas Satas (van Nostrand, New York 1989) の“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(粘着剤技術のハンドブック)”に相応する粘着性を有している。
この場合、生成物の光学的性質に関しては、(メタ)アクリレート粘着剤が1.47より大きい屈折率nd(20℃)を有するのが有利である。
(メタ)アクリレート粘着剤は、式
CH2=C(R’)(COOR''')
[式中、R’がH又はCH3であり、そしてR’’’ がH又は炭素原子数1〜20のアルキル鎖である。]
で表されるアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル及び/又はそれらの遊離酸を含有するモノマー混合物の重合によって有利に得られる。この場合、ポリ(メタ)アクリレートは一般に200,000g/molより大きい分子量(モル質量)Mwを有している。
モノマーとしては例えば、炭素原子数4〜14、一般に4〜9のアルキル基を持つアクリル酸及びメタクリル酸エステルを含めたアクリルモノマー又はメタクリルモノマーを使用することができる。特別な例は、これらの例に限定されるものではないが、メチルアクリレート、メチルメタクリルレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート又はそれらの分岐した異性体、例えばイソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート又はイソオクチルメタクリレートがある。
別の使用可能なモノマーには少なくとも6個の炭素原子よりなる架橋シクロアルキルアルコールの単官能性アクリレート或いはメタクリレートがある。シクロアルキルアクリレートは置換されていてもよい。例えばC1 〜C6−アルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。特別な例にはシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及び3,5−ジメチルアダマンチルアクリレートがある。
極性基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基、ラクタム基、ラクトン基、N−置換アミド基、N−置換アミン基、カルバマート基、エポキシ基、チオール基、アルコキシ基又はシアン基並びにエーテル基等を有するモノマーも使用することができる。
穏やかな塩基性のモノマーとしては例えば一つ又は二つのN−アルキル置換基を持つアミド、特にアクリルアミドが適する。特別な例にはN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−第三ブチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリルレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドがある。これらの列挙した化合物に限定されない。
モノマーの別の例はそれらが架橋に利用できる機能性基に基づいて選択される。例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、無水マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリセリジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、シアノエチルアクリート、シアノエチルメタクリレート、グリセリルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ビニル酢酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸がある。ここに挙げた化合物に限定されない。
更にモノマーとしてはビニル化合物も適する。特にビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハロゲニド、ビニリデンハロゲニド、α−位に芳香族環又はヘテロ環を持つビニル化合物が適する。ここでも幾つかの例を挙げるがこれらに限定されない。例えば酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、ビニルピリジン、エチルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びアクリルニトリルがある。
接着剤の光学的性質に関しては、少なくとも1つの芳香族部分域を有しそしてそれによって接着剤の屈折率を高めることができるコモノマーを含むコポリマーを使用するのが特に有利である。この種類の成分としては芳香族ビニル化合物、例えばスチレンが適する。この場合、芳香族部分域は特にC4〜C18−構成成分よりなる芳香族コアを有しそして場合によってはハロゲン原子を有していてもよい芳香族化合物が適する。これらの例には例えば4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチロール、3,4−ジメトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、第三ブチルフェニルアクリレート、第三ブチルフェニルメタクリレート、4−ビフェニルアクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート並びにこれらのモノマーの混合物がある。ただし、これらの例示化合物に限定されない。
しかしながら、粘着剤の場合には、粘着剤中の芳香族化合物で置換されたモノマーの割合は、この種類のモノマーの使用によってポリマーのガラス転位温度が高められことによって制限される。ガラス転位点の増加がこれらのポリマーの接着性の低下をもたらす。これは粘着剤にとって不所望の影響なので、選択される系次第で芳香族化合物の割合はこれらの相互の影響のために簡単に自由に選択することはできない。
コモノマーの選択及び接着剤のこのコモノマーの割合を選択することによって、接着剤の屈折率を意図的に調整することも可能である。例えば芳香族系で置換されたコモノマーの割合を増加した場合には接着剤の屈折率は全体として高めることができそして粘着剤とガラス基体との間の境界面での光の乱反射を低減することができる。
この場合、コモノマー組成は、温度の影響及び任意の圧力のもとで初めて粘着性になりそして接着及び冷却の後に固化する結果として基体に対して高い接着力を発揮する熱活性化可能な粘着剤として使用することができるように選択される。この種類の系は25℃以上のガラス転位温度TG を有する。
モノマーの別の例には共重合性二重結合を持つ光開始剤、特にノリシュ(Norrish)−I−及び−II−光開始剤、ベンゾインアクリレート及びアクリル化ベンゾフェノン(UCB 社からEbecryl P 36(R)として市販される)を含む群から選択することができる。この場合、原則として、ポリマーをラジカリ機構によって紫外線照射下に架橋させることのできる当業者に知られるあらゆる、光開始剤を共重合することができる。少なくとも1つの二重結合で官能化されていてもよい使用できる光開始剤についての一般的な概説はFouassierの“Photoinitiation, Photopolymerization and Photocuring: Fun-damentals and Applications(光開始、光重合及び光硬化:基礎的応用)”、Hanser出版社、ミュンヘン 1995並びに補助文献としてはCarroy 等の“Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings, Inks and Paints(被覆剤、インク及び塗料の紫外線及びエネルギー線の化学及び工業)”、Oldring (Hrsg.)、1994、SITA, Londonが使用される。
特にアクリレートブロックコポリマーを含有する粘着剤を使用することもできる。これによって、高い屈折率の粘着剤を合成するために沢山の数の種々のモノマーを使用することが可能となり、その結果それぞれの化学組成のためにモノマーを具体的に選択することにより粘着性が意図的に相当な程度で制御されそして調整される。更に高い粘着性の粘着剤層が、追加的な架橋段階を必要とすることなしに得られる。
この場合、アクリレートブロックコポリマーは、一般的な化学量論的式P(A)−P(B)−P(A)によって記載される少なくとも一つの構造単位を持つアクリレートブロックコポリマーである。前記式中、A及びBはAタイプの1種類のモノマー又は複数種のモノマー或いはBタイプの1種類のモノマー又は複数種のモノマーを意味し、これらモノマーはそれぞれのポリマーブロックを製造するために利用することができる。この明細書での目的においては、“ポリマーブロック”は、特別な場合に他の指摘がない限り、ホモポリマーブロックもコポリマーブロックも包含する。P(A)は、Aタイプの少なくとも1種類のモノマーを重合することによって得られるポリマーブロックである。P(B)は、Bタイプの少なくとも1種類のモノマーを重合することによって得られるポリマーブロックである。従ってアクリレートブロックコポリマーは少なくとも1つのポリマーブロックP(B)及び少なくとも2つのポリマーブロックP(A)よりなる単位P(A)−P(B)−P(A)を有している。この場合、
− ポリマーブロックP(A)は互いに無関係にホモポリマーブロック又は少なくとも75重量%のAタイプのモノマーを含有するコポリマーブロックであり、(コ)ポリマーブロックロックP(A)は0℃〜+175℃の範囲内の軟化温度を有するポリマーブロックであり、
− ポリマーブロックP(B)はホモポリマーブロック又はBタイプのモノマーを含有するコポリマーブロックであり、(コ)ポリマーブロックP(B)は10℃〜130℃の範囲内の軟化温度を有するポリマーブロックよりなり、
− ポリマーブロックP(A)及びP(B)は使用条件のもとで完全に(均一に)混合することができず、
− この粘着剤は全体として1.52(20℃)より大きい屈折率ndを有し、
− (コ)ポリマーブロックP(A)の少なくとも1種類は1.58(20℃)より大きい屈折率ndを有し、
− (コ)ポリマーブロックP(B)は1.43(20℃)より大きい屈折率ndを有している。
本発明の場合、軟化温度とは非晶質系のためのガラス転位温度及びセミ結晶質ポリマーの場合の溶融温度を意味する。ここで記載する温度は、準定常状態の実験、例えば示差走査熱量測定法(DSC)によって得られるものに相当する。
この種類のブロックコポリマーをベースとする接着剤の場合には、あらゆる(コ)ポリマーブロックP(A)が1.58(20℃)より大きい屈折率ndを有しているのが有利である。さらに、少なくとも1種類のブロックコポリマーは粘着剤中に50重量%又はそれ以上の質量割合まで存在していてもよい。
上述の一般的なブロックコポリマーよりなるポリマーブロックP(B)は、以下においてエラストマーブロックと称し、従ってこれに対してポリマーブロックP(A)は硬質ブロックに相当する。
ブロックコポリマーをベースとする粘着剤の内、特に、1.52より大きい屈折率ndを有しそしてブロックコポリマーの構造が以下の一般式の一つ又は以下の一般式によって記載されるような粘着剤が極めて有利である:
P(A)-P(B)-P(A) (PI)
P(B)-P(A)-P(B)-P(A)-P(B) (PII)
[P(A)-P(B)]nX (PIII)
[P(A)-P(B)]nX[P(A)]m (PIV)
これらの式中、n及びmはプラスの整数であり、3?n ?12及び3 ? m ?12であり、Xは、ポリマーの種々の分岐を互いに結合させる多官能性分岐単位として役立つ化学構造を示す。さらにポリマーブロックP(A)は、それぞれ少なくとも75重量%のAタイプのモノマーを含有する互いに無関係のホモポリマーブロック又はコポリマーブロックである。その際に、(コ)ポリマーブロックP(A)は0℃〜+175℃の範囲内の軟化温度及び1.58より大きい屈折率nd(20℃)を有するポリマーブロックである。従って、ポリマーブロックP(B)又はポリマーブロック群P(B)は、Bタイプのモノマーを含有するホモポリマー又はコポリマーであり、その際に(コ)ポリマーブロックP(B)は10〜130℃の範囲内の軟化温度及び1.43より大きい屈折率nd(20℃)を有するポリマーブロックである。
ポリマーブロックP(A)はAタイプの種類の単一のモノマー種のポリマー鎖又はAタイプの異なる構造のモノマーよりなるコポリマーである。場合によっては少なくとも75重量%のAタイプのモノマーと最高25重量%のBタイプのモノマーよりなるコポリマーを含有する。特に使用されるAタイプのモノマーはその化学的構造及び/又は側鎖の長さにおいて異なっていてもよい。従って、このポリマーブロックは、完全に均一なポリマーから、同じ化学的基本構造よりなるが異なる鎖長のモノマー及び同じ炭素原子数であるが異なる異性体のモノマーよりなるポリマーを経て、Aタイプの異なる異性体の異なる長さのモノマーよりなるランダム重合したブロックまでの範囲に亙っている。ポリマーブロックP(B)についても、Bタイプのモノマーに関して同様なことが当てはまる。
この場合、単位P(A)−P(B)−P(A)単位は対称的に(P1(A) = P2(A)でP1(A)-P(B)-P2(A)に相当する)構成されていても又は非対称に(例えばP3(A) ≠ P4(A)で式 P3(A)-P(B)-P4(A)に相当する)構成されていてもよい。ただし、P3(A) もP4(A)も P(A) について規定したようにそれぞれポリマーブロックであり、P3(A)及びP4(A)は特にそれらの化学組成 において及び/又はそれらの鎖長において相違していてもよい。
この場合、ブロックコポリマーは対称的構造を有していてもよく、その結果鎖長及び/又は化学構造において同じポリマーブロックP(A) 及び/又は鎖長及び/又は化学構造において同じポリマーブロックP(B)が存在する。
ポリマーブロックP(A)のためのAタイプの原料モノマーは、例えば、得られるポリマーブロックP(A)とポリマーブロックP(B)とが混ざることができずそしてそれ故に微細相分離を生じるように選択してもよい。この場合、“微細相分離”とは、分離した微細相を形成し、その結果異なったポリマーブロックが例えば細長い微細相分離領域(ドメイン)の状態で、例えば偏長状の、従って一軸に細長い(例えば小棒状の)、偏円状の、従って二軸に細長い(例えば層状の)構造要素、又は三次元的に共に連続する微小相分離した領域又はある種類のポリマーブロックの中に他の種類のポリマーブロックが分散した領域を持つ連続するマトリックスの状態で存在していてもよいことを意味する。本発明で使用する系においては、ドメインの大きさは一般には400nmより小さく、特に好ましくはそれどころか200nmより小さい。
Aタイプの適するモノマーはC−C−二重結合、特に本来の意味では1つ又は複数のビニル基及び/又はビニル様基を含有している。ビニル様基としてはここでは、不飽和C原子の水素原子の一部又は全部が有機及び/又は無機残基で置換されている基を意味する。この意味において、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はそれらの誘導体もビニル様基を持つ化合物に属する。上記の化合物を一緒にして以下においてビニル化合物と称する。
Aタイプのモノマーとして使用される化合物の有利な例には、重合体として1.58より大きい屈折率(25℃)を有するビニル芳香族化合物がある。ここに単に例示するがこれらに限定されない具体的なモノマーには例えばスチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン又は4−メトキシ−2−メチルスチレンがある。
さらに、Aタイプのモノマーとしてはアクリレート、例えばアクリレート末端のポリスチレン又はα−ブロモフェニルアクリレート、及び/又はメタクリレート、例えばメタクリレート末端ポリスチレン(例えばPolymer Chemistry Innovations社のMethacromer PS 12として入手し得る)、1,2−ジフェニルエチルメタクリレート、ジフェニルメチルメタクリレート、o−クロロベンジルメタクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート及び/又はアクリルアミド、例えばN−ベンジルメタクリルアミドが有利である。
この場合、複数のモノマーを互いに混合して使用してもよい。ポリマーブロックP(A)のための1.58より大きい屈折率ndを達成するために原則としてモノマー混合物も使用することができるので、ホモポリマーとして1種類又は複数種の成分が1.58より小さい屈折率nd(25℃)を有していてもよい。このようなコモノマーの具体的な例(本発明の対象ではない)にはo−クレシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート又はo−メトキシフェニルメタクリレートがある。
さらに、ポリマーブロックP(A)は、少なくとも75重量%がAタイプの前記モノマー又はこれらモノマーの混合物よりなり(これは高い軟化温度をもたらす)そして最高25重量%までのBタイプのモノマーを含有する(これはポリマーブロックP(A)の軟化温度を低下させる)ようにコポリマーとして構成されていてもよい。この意味において、構造B1に相応する以下に挙げ、かつ、以下に規定されるアルキルアクリレートが例示される。
ポリマーブロックP(B)のためのBタイプのモノマーも同様に、C−C−二重結合(特にビニル基及びビニル様基)を有する様に選択する。その際に、ここでは、ポリマーブロックP(B)が少なくとも1.43の屈折率nd(25℃)を有する。
Bタイプのモノマーとしてはアクリレートモノマーを使用するのが有利である。このためには原則として当業者の熟知する、ポリマーの合成に適するあらゆるアクリレート化合物を使用することができる。ポリマーブロックP(B)のガラス転位温度が1種類以上の他のモノマーとの組合せでも+10℃より低くなるようなモノマーを選択するのが特に有利である。相応してビニルモノマーも有利に選択することができる。
ポリマーブロックP(B)を製造するためには、75〜100重量%の一般構造式
CH2=C(R°)(COOR°°) (B1)
[式中、R° が H 又は CH3 でありそして R°°が H又は炭素原子数1〜30、特に4〜18の直鎖状、分岐した又は環状の飽和又は不飽和炭化水素鎖である。 ]
で表されるアクリル酸及び/又はメタクリル酸誘導体を使用し、そしてビニル化合物の群からの最大25重量%のモノマーB2を含有するのが有利である。その際にこれらモノマーは有利には別の官能基を含有している。
前記の重量百分率表記は、加算して100%であり、他の(重合性)モノマーが存在する場合には、前記だけの合計では100重量%より少ない。
ポリマーブロックP(B)のための成分としての化合物B1の意味で使用するのが非常に有利なBタイプのアクリルモノマーには、それぞれ炭素原子数4〜18のアルキル基、アルケニル基及び/又はアルキニル基を持つアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが含まれる。相応する化合物の特別な例には、これによって本発明が限定されるものではないが、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、それらの分岐した異性体、例えば2−エチルヘキシルアクリレート及びイソオクチルアクリレート、並びに環状モノマー、例えばシクロヘキシルアクリレート又はノルボルニルアクリレート及びイソボルニルアクリレートがある。
さらに、ポリマーブロックP(B)のためのモノマーB2として任意に次の群のビニルモノマーを使用することができる:ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハロゲニド、ビニリデンハロゲニド、並びに芳香族環及びヘテロ環をα−位に有するビニル化合物。ここでも本発明に従って使用できるモノマーを例示的に以下に挙げる:酢酸ビニル、蟻酸ビニル、ビニルピリジン、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びアクリルニトリル。
さらに、エラストマーブロックP(B)のためのモノマーB2の意味でのビニル基含有のモノマーの特に有利な例として幾つか挙げれば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アリルアルコール、無水マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、ベンゾインアクリレート、アクリル化ベンゾフェノン、アクリルアミド及びグリシジルメタクリレートがある。
これらの使用可能なモノマーのいずれもハロゲン化された状態でも使用できる。
本発明に従って使用される1.52より大きい屈折率を持つ粘着剤は一つ又は複数のグラフトした側鎖を持つ1種類のポリマーブロック又は複数種のポリマーブロックを有するのが特に有利である。この場合、側鎖がいわゆる“ポリマーへのグラフト重合(graft-from)”法(既存のポリマー骨格から開始して、側鎖を取り付け重合する)又はいわゆる“ポリマーへのポリマーのグラフ結合(graft-to)”法(ポリマー類似反応を経てポリマー骨格にポリマー鎖を取り付ける)によって得られる化合物が適し得る。
A及びBタイプのマクロモノマーとしては特に側鎖を持つブロックコポリマーの製造のために、側鎖をグラフト重合することを可能とする種類の官能化モノマーを選択することができる。ここでは特に、官能化部としてハロゲン又は例えばATRP−法(原子移動ラジカル重合)を可能とする他の官能性基を有するアクリレート又はメタクリレートモノマーを挙げることができる。この関係では、重合の間にマクロモノマーの添加によって意図する側鎖をポリマー鎖中に組み入れることも可能である。
本発明の特別な実施態様においては、紫外線(UV−光線)又は高速電子(電子線照射硬化)の照射によってポリマーブロックの放射線化学架橋が可能である1種類又は複数種の官能性基をポリマーブロックが組み入れられる。Bタイプのモノマー単位としては,少なくとも1つの炭素−炭素−二重結合を持つ炭素原子数3〜18の不飽和炭化水素残基を有する特別なアクリルエステルを利用することもできる。二重結合で変性されたこの種のアクリレートとしては特にアリルアクリレート及びアクリル化桂皮酸エステルが適する。ポリマーブロックP(B)のためのモノマーとしてはアクリルモノマーの他にポリマーブロックP(B)の(ラジカル)重合の間に反応しない二重結合を持つビニル化合物を使用するのも有利である。これに相応するコモノマーの特に有利な例にはイソプレン及び/又はブタジエン、またクロロプレンもある。
粘着剤の別の実施態様においては、ポリマーブロックP(A)及び/又はP(B)が、熱で開始される架橋を実施することができる様に官能化されている。架橋剤としてはなかでも以下のものを選択することができる:エポキシド、アジリジン、イソシアネート、ポリカルボジイミド及び金属キレート。これは幾つかものを挙げただけである。
粘着剤の特に有利な特徴は、少なくとも1種類のブロックコポリマー、複数のブロックコポリマーの場合、全てのブロックコポリマーの数平均分子量Mnが10,000〜600,000g/モル、特に30,000〜400,000g/モル、中でも50,000〜300,000g/モルであることにある。
ポリマーブロックP(A)の割合は全ブロックコポリマーの5〜40重量%、特に7.5〜35重量%、中でも10〜30重量%の範囲内であるのが有利である。ポリマーブロックの多分散性D(分子量分布の重量平均Mwと数平均Mnとの比によって得られる。)は特に好ましくは3より小さい。本発明の粘着剤中の複数のブロックコポリマーの場合には、割合及び多分散性Dについての上記の数をブロックコポリマーの少なくとも1種類に適合するのが有利であるが、有利には既存のあらゆるブロックポリマーにも適合する。
さらに、ポリマーブロックP(A)の数平均長さ
とポリマーブロックP(B)の数平均長さ
との比
は、ポリマーブロックP(A)が分散相(“ドメイン”)としてポリマーブロックP(B)の連続マトリックス中に、特に球状又は歪んだ球状又は円筒状ドメインとして存在するように選択することができる。これは特に例えば25重量%より少ないポリマーブロックP(A)含有量の場合に有利である。ポリマーブロックP(A)の六角形に押し固められた円筒状ドメインを形成することも同様に可能である。
別の本発明に従って使用できる粘着剤には以下の成分混合物(ブレンド)も含まれる:
− 少なくとも1種類のジブロックコポリマーと少なくとも1種類のトリブロックコポリマーとの混合物、又は
− 少なくとも1種類のジブロックコポリマーと少なくとも1種類の星型ブロックコポリマーとの混合物、又は
− 少なくとも1種類のトリブロックコポリマーと少なくとも1種類の星型ブロックコポリマーとの混合物。
上記の成分の少なくとも1つ、有利には請求項1に規定するブロックコポリマーのブレンドの全てのブロックコポリマー成分が特に有利である。
例えばこの種類のブレンドとしては以下の混合物が有利であることが分かっている:P(A)-P(B)-P(A)の順番で含有する前記ブロックコポリマーとジブロックP(A)-P(B)とのブレンド。この場合、ポリマーブロックP(A)及びP(B)を製造するためには前記と同じモノマーを利用することができる。さらに、特にトリブロックコポリマーPI又はブロックコポリマー/ジブロックコポリマーブレンドのようなブロックコポリマーを含有する粘着剤に、その性質を改善するためにポリマーP’(A)及び/又ポリマーP’(B)を添加してもよい。
従って、本発明に従って、20℃で1.52より大きい屈折率ndを有する少なくとも1種類のブロックコポリマーとジブロックコポリマーP(A)-P(B)とのブレンドをベースとする粘着剤も本発明に従って使用でき、
その際に、ジブロックコポリマーのポリマーブロックP(A)同士は互い無関係にAタイプのモノマーのホモポリマー又はコポリマーブロックであり、それぞれの軟化温度は0℃〜+175℃の範囲内にありそして屈折率ndは1.58よりも大きく、
そしてジブロックコポリマーのポリマーブロックP(B)同士は互い無関係にBタイプのモノマーのホモポリマー又はコポリマーブロックであり、それぞれの軟化温度は130℃〜+10℃の範囲内にありそして屈折率ndは1.43よりも大きく、
及び/又はポリマーP’(A)及び/又はP’(B)を有し、
その際にポリマーP’(A)はAタイプのモノマよりなるホモポリマー及び/又はコポリマーでありそしてそれぞれの軟化温度は0℃〜+175℃の範囲内にありそして屈折率ndは1.58よりも大きく、
そしてポリマーブロックP’(B)はBタイプのモノマよりなるホモポリマー及び/又はコポリマーでありそしてそれぞれの軟化温度は130℃〜+10℃の範囲内にありそして屈折率ndは1.43よりも大きく、
そしてポリマーP’(A)及び/又はP’(B)は有利には上記のブロックコポリマーのポリマーブロックP(A)あるいはP(B)と混合することができる。
ポリマーP’(A)もポリマーP’(B)も混合する場合には、これらはポリマーP’(A)及びP’(B)が互いに均一に混合できないように選択するのが有利である。
ポリマーP’(A)及びP’(B)についてのジブロックコポリマーP(A)-P(B)のためのモノマーとしてはA及びBタイプの既に記載したモノマーを使用するのが有利である。
ジブロックコポリマーはこの場合、5,000〜600,000g/モル、特に15,000〜400,000g/モル、中でも30,000〜300,000g/モルの数平均分子量Mnを一般に有している。これらは3より大きくない多分散性D=Mw/Mnを有しているのが有利である。この場合、ポリマーブロックP(A)の割合がジブロックコポリマーの組成を基準として3〜50重量%又はそれどころか5〜35重量%である場合が有利である
ブレンド中のジブロックコポリマーの代表的な使用量割合は100重量部のP(A)-P(B)-P(A)単位含有のブロックコポリマーに対して最大250重量部である。ポリマーP’(A)あるいはポリマーP’(B)はこの場合、ホモポリマーとして及びコポリマーとしても形成されていてもよい。これらは前述に相応して、上記ブロックコポリマーのポリマーブロックP(A)あるいはポリマーP(B)と相容性があるようにしばしば選択される。ポリマーP’(A)あるいはポリマーP’(B)の鎖長は、有利には、それらと混和可能の及び/又は関連しうるポリマーブロックの鎖長を超えないように、有利にはそれよりも約10%又はそれどころか20%ほど少ないように選択するのが有利である。B−ブロックは、長さがトリブロックコポリマーのB−ブロックのブロック長さの半分を超えないように選択してもよい。
全体としては接着剤の組成は反応成分の種類及び割合を変更することによって広い範囲で変更することができる。同様に、別の生成物特性、例えば色、熱又は電気の伝導性は補助物質の添加によって意図的に調整することができる。この目的のためには接着剤は別の処方成分及び/又は補助物質、例えば軟化剤(可塑剤)、充填剤(例えば繊維、酸化ジルコニウム粒子、中実の又は中空のガラス粒子、他の材料よりなる微細粒子、珪酸、珪酸塩)、電導性材料(例えば微量物質未混入の又は微量物質混入の共役ポリマー又は金属塩)及び/又は老化防止剤(例えば第一又は第二酸化防止剤)又は光安定剤を含んでいてもよい。この場合、特別な波長範囲の光が粘着剤を透過するのをこれらの成分が減少させないか又は殆ど減少させないことが重要である。これは、これらの種類の助剤の他に接着剤中の助剤の濃度並びに助剤の具体的な使用形態、例えば平均粒度に依存している。このような別の成分、例えば充填剤及び可塑剤を含む接着剤の処方も従来技術と同様である。
接着剤の具体的な性質をそれぞれの用途に適合させるために、粘着剤に接着力増強樹脂又は粘着性化樹脂を混入してもよい。この種類の樹脂(いわゆる粘着性樹脂)としては例外なく、接着剤の透明性を低減させないあらゆる公知の及び文献に記載の接着性樹脂を使用することができる。通例の接着性樹脂にはピネン樹脂、インデン樹脂及びコロホニウム樹脂、それらの不均化、水素化、重合した及びエステル化した誘導体及び塩、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂及びテルペンフェノール樹脂並びにC5−、C9−並びに他の炭化水素樹脂がある。これらの樹脂及び他の樹脂は、得られる接着剤の性質を用途に従って調整するために、単独でも又は任意の組み合わせでも使用することができる。一般に、相応する熱可塑性材料と相容性(可溶性)のある樹脂、特に脂肪族、芳香族又はアルキル芳香族炭化水素樹脂、純粋モノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂並びに天然樹脂が使用される。Donatas Satas によって“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(感圧接着剤技術のハンドブック)”に従来技術の説明が詳細にされている。
この関係では、特に、実質的に透明でありそしてポリマーと非常に高い相容性のある樹脂を専ら使用することに注意するべきである。これらの要求は、水素化された又は部分的に水素化されたある種の別の樹脂でも満足される。樹脂を選択するときには、勿論、あるいは生じる屈折率への影響も同様に考慮するべきである。例えば高度に水素化された成分及び脂肪族成分を含むある種の樹脂は屈折率を低下させ得るが、他方、芳香族成分の多い他の樹脂は屈折率を高めうる。
重合するためにモノマーを、得られる接着性ポリマーを室温で又は高温で熱活性可能な接着剤又は粘着剤として使用することができるように選択する。特に得られるベースポリマーがDonatas Satas の“Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(感圧接着剤技術のハンドブック)”によれば接着性であるか又は粘着性であるように選択する。この目的のためには、ガラス転移温度の意図的な調整は、例えば重合のベースとなるモノマー混合物の組成によって行う。
熱活性化可能な接着剤についてポリマーのガラス転移温度Tg≧25℃を達成するために、モノマーを、所望の値のポリマーガラス転移温度TgをFoxによって表された式(T. G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123参照)に類似する次のような式(E1)に従って得られるように実施しそしてモノマー混合物の量組成を選択する。
式中、nは使用するモノマーについての順番の番号であり、Wnはそれぞれのモノマーの質量割合(重量%)でありそしてTg,nはそれぞれのモノマーよりなるホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(K)である。
ポリ(メタ)アクリレート粘着剤の製造はこの種のポリマーの通例の合成法、例えば慣用のラジカル重合で又は制御されたラジカル重合で行うことができる。ラジカル重合のためには、重合のための別のラジカル開始剤を含有する開始剤系、特に熱で分解するラジカル形成性アゾ又はペルオキシ開始剤が使用される。しかしながら原則としてアクリレートのための、あらゆる当業者に熟知される通例の開始剤が適している。C−中心遊離ラジカルの発生は例えばHouben-Weyl、“有機化学の方法(Methoden der Organischen Chemie)”、Vol. E 19a、第60 - 147頁に記載されている。この方法は中でも類似法でも使用することができる。
適するラジカリ開始剤系のラジカル源の例には例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物、例えばペルオキソ二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−第三ブチルペルオキシド、アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピル−ペルカルボナート、第三ブチルペルオクトエート、ベンズピナコール等がある。ラジカル開始剤として例えばDuPont社からVazo 88TMの名称で市販されている1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボン酸ニトリル)を使用することができる。
ラジカル重合の際に生じる接着剤の数平均分子量Mnは例えば、200,000〜4,000,000g/モルの範囲内にあるように選択する。特にホットメルト接着剤として使用するために、400,000〜1,400,000g/モルの平均分子量Mnを有する粘着剤を製造する。平均分子量の測定はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)又はマトリックス支援レーザー脱離イオン質量分析(MALDI−MS)によって行う。
重合は塊状で、1種類又は複数種の有機溶剤の存在下に、水の存在下に又は有機溶剤と水との混合物中で実施することができる。この場合に、一般に、使用される溶剤の量はできるだけ少ない量で含有しているべきである。適する有機溶剤には例えば純粋のアルカン類(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン)、エステル(例えば酢酸エチルエステル、酢酸プロピルエステル、酢酸ブチルエステル又は酢酸ヘキシルエステル)、ハロゲン化炭化水素(例えばクロロベンゼン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル)及びエーテル(例えばジエチルエーテル、ジブチルエーテル)並びにそれらの混合物がある。水中重合反応は、反応混合物がモノマーの反応の間に均一相として存在することを保証するために、水と混和可能な又は親水性の共溶剤と混合してもよい。共溶剤は例えば脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン類、N−アルキルピロリジノン類、N−アルキルピロリドン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール類、アミド類、カルボン酸類及びそれらの塩、エステル、オルガノスルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、アルコール誘導体、ヒドロキシエーテル誘導体、アミノアルコール類、ケトン類等並びにそれらの誘導体及び混合物が使用できる。
重合期間は反応及び温度に依存して2〜72時間であり得る。高い反応温度を選択すればするほど、すなわち反応混合物の熱安定性が高ければ高いほど、反応時間は短くなる。
重合を開始するために熱分解性開始剤のためには熱を供給することが重要である。重合は開始剤の種類に依存して、熱分解性開始剤のためには50℃〜160℃に加熱することによって開始することができる。
狭い分子量を持つポリ(メタ)アクリレート粘着剤を得るためには、制御されたラジカル重合も実施される。重合のために特に以下の一般式で表される制御剤が使用される:
R$1 及び R$2 は互いに同じでも又は互いに無関係に選択できそしてR$3 は場合によってはR$1 及び R$2の両方の基と同じでも異なって選択してもよい。これらの残基は以下の群から選択される:
−直鎖状でも分岐していてもよいC1〜C18−アルキル残基、C3〜C18−アケニル残基及びC3〜C18−アルキニル残基;
−C1〜C18−アルコキシ残基;
−少なくとも1つのOH基又はハロゲン原子又はシリルエーテルで置換されたC1〜C18−アルキル残基、C3〜C18−アケニル残基及びC3〜C18−アルキニル残基;
−炭素鎖中に少なくとも1つのO原子及び/又はNR*−基を持つC2〜C18−ヘテロアルキル残基、但しR*は任意の残基、特に有機残基である;
−それぞれ少なくとも1つのエステル基、アミン基、カルボナート基、シアノ基、イソシアノ基及び/又はエポキシ基及び/又は硫黄で置換されているC1〜C18−アルキル残基、C3〜C18−アケニル残基及びC3〜C18−アルキニル残基;
−C3〜C12−シクロアルキル残基;
−C6〜C18−アリール残基及びC6〜C18−ベンジル残基;
−水素
この場合、TTC 1タイプの制御剤は、一般に、以下に追加的に説明されている前記の種類の化合物群を出所としている。
それぞれのハロゲン原子は塩素原子及び/又は臭素原子及び/又は場合によってはフッ素原子及び/又はヨウ素原子である。
種々の置換基中のアルキル、アルケニル及びアルキニル残基は直鎖状の及び/又は分岐した鎖を有している。
1〜18の炭素原子を含有するアルキル残基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、第三オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、トリデシル、テロラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルがある。
炭素原子数3〜18のアルケニル残基の例にはプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2,4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル及びオレイルがある。
炭素原子数3〜18のアルキニルの例にはプロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル及びn−2−オクタデシニルがある。
ヒドロキシ置換されたアルキル残基の例にはヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル及びヒドロキシヘキシルがある。
ハロゲン置換されたアルキル残基の例にはジクロロブチル、モノブロモブチル及びトリクロロヘキシルがある。
炭素鎖中に少なくとも1つのO原子を持つ通例のC2〜C18−ヘテロアルキル残基には例えば-CH2-CH2-O-CH2-CH3がある。
C3〜C12−シクロアルキル残基としては例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びトリメチルシクロヘキシルがある。
C6〜C18−アリール残基としては、例えばフェニル、ナフチル、ベンジル、4−第三ブチルベンジル又は他の置換されたフェニル、例えばエチル基及び/又はトルエン、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、ジクロロベンゼン又はブロモトルエンで置換されたものがある。
上述の化合物リストはそれぞれの化合物群の単なる例示であり、これらに限られない。
さらに、(メタ)アクリレート粘着剤の重合を塊状で、すなわち溶剤を添加せずに実施することも可能である。これは通例の方法に従って、例えば予備重合によって行うことができる。この場合、重合が紫外線領域のスペクトルの光によって開始されそして反応を約10〜30%の僅かな転化率まで継続する。こうして得られる高粘性のプレポリマーを次いでポリマーシロップとして加工することができる。その際に、反応混合物を最初にフィルム状で、例えば角氷バッグの状態に溶着保存しそして次に水中で高度な最終転化率まで重合することが可能である。
こうして得られるペレットは例えばアクリレートホットメルト接着剤としても使用され、その際には、得られるポリアクリレート生成物と相容性のあるフィルム材料上で溶融して実施する。
他の適する製造法としては、RAFT重合(付加分解可逆連鎖移動反応:reversible addition-fragmentation chain transfer polymerization)の変法が実証されている。この種の重合法は例えばWO98/01478A1号明細書に詳細に説明している。この場合、出来るだけ狭い分子量分布を達成するために、一般に低い転化率までしか重合されない。この低い転化率のために、残留モノマーの割合の多いことが接着特性にマイナスの影響を及ぼし、濃縮の際に残留モノマーが回収溶剤を汚染しそしてそれ故にこのポリマーで製造される粘着テープが顕著なアウトガス挙動を示すので、このポリマーは粘着剤として、特にホットメルト接着剤として使用されていない。低い転化率の欠点を回避するために、重合は複数回開始される。
他の制御されたラジカル重合法として窒素酸化物制御重合を実施することができる。この場合には、ラジカル安定化のために通例のラジカル安定剤、例えば(NIT 1) 又は(NIT 2)タイプの窒素酸化物を使用することができる。
式中、R#1、R#2、R#3、R#4、R#5、R#6、R#7、R#8 は互いに無関係に以下の原子又は基であり得る:
i) ハロゲニド、例えば塩素、臭素又は沃素;
ii) 飽和、不飽和又は芳香族であり得る炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状、環状及びヘテロ環状炭化水素;
iii) エステル-COOR#9、アルコキシド-OR#10 及び/又はリン酸塩-PO(OR#11)2、但しR#9、R#10及び/又はR#11 は上記ii)の群の残基である。
構造式(NIT 1) 又は(NIT 2)の化合物は、どんな種類のポリマー鎖にも結合していてもよく(上記の残基の少なくとも1つがこの種類のポリマー鎖であることが優先する)そしてそれ故にブロックコポリマーの構造の場合に、マクロラジカル又はマクロ調整剤として利用される。
重合のための制御された調整剤として以下の種類の化合物も同様に使用することができる。
− 2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキシル (PROXYL)、3-カルバモイル−PROXYL、2,2-ジメチル-4,5-シクロヘキシル−PROXYL、3-オキソ-PROXYL、3-ヒドロキシイミン-PROXYL、3-アミノメチル-PROXYL、3-メトキシ−PROXYL、3-第三ブチル−PROXYL、3,4−ジ−第三ブチル−PROXYL;
− 2,2,6,6-テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ (TEMPO)、4-ベンゾイルオキシ−TEMPO、4-メトキシ−TEMPO、4−クロロ−EMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−アミノ−TEMPO、2,2,6,6,−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシル、2,2,6−トリメチル−6−エチル−1−ピペリジニルオキシル;
− N−第三ブチル−1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシド;
− N−第三ブチル−1−(2−ナフチル)−2−メチルプロピルニトロキシド;
− N−第三ブチル−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトリル;
− N−第三ブチル−1−ジベンジルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド;
− N−(1−フェニル−2−メチルプロピル)−1−ジエチルホスホノ−1−メチルエチルニトロキシド;
− ジ第三−ブチルニトロキシド;
− ジフェニルニトロキシド;
− 第三−ブチル−第三−アミルニトロキシド
接着剤を代わりの方法で製造できる別の一連の重合法は従来技術から選択される:
例えば米国特許第4,581,429A号明細書には,開始剤として一般式R'R''N-O-Yで表される化合物を使用する制御されたラジカル重合法を開示している。この場合、Yは不飽和モノマーを重合することができる遊離ラジカル種である。しかしながらこの反応は一般に転化率が少ない。小さい分子量でそして非常に少ない収率でしか進行しないアクリレートの重合が特に問題である。国際特許出願公開第98/13392A1号明細書には、対称的置換パターンを有する開鎖アルコキシアミン化合物を開示している。ヨーロッパ特許出願公開第735,052A1号明細書は狭い分子量分布を有する熱可塑性エラストマーの製造方法を開示している。国際特許出願公開第96/24620A1号明細書には、例えばイミダゾーリジンをベースとする燐含有の窒素酸化物のような特別なラジカル化合物を使用する重合法を開示している。国際特許出願公開第98/44008A1号明細書には、モルホリン類、ピペラジノン類及びピペラジンジオン類をベースとする特別なニトロキシルが開示されている。ドイツ特許出願公開第19949352A1号明細書には、制御されたラジカル重合において調整剤としてヘテロ環式アルコキシアミンが開示されている。さらに、アルコキシアミン類及び対応する遊離窒素酸化物の対応するさらなる開発がポリアクリレートの製造効率を改善することができる。
別の制御された重合法としては“Atom Transfer Radical Polymerization(原子転位ラジカル重合)”(以下ATRPと称する)をコポリマーの合成のために使用する。その際に開始剤として一般に単官能性又は二官能性の第二又は第三ハロゲン化物を使用しそして該ハロゲン化物を取り除くためにCu−、Ni−、Fe−、Pd−、Pt−、Ru−、Os−、Rh−、Co−、Ir−、Ag−又はAu錯塩が使用される(例えばヨーロッパ特許出願公開第824,110A1号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第824,111A1号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第826,698A1号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第850,957A1号明細書参照)。さらにATRPの色々な可能性が米国特許第5,945,491A号明細書、同第5,854,364A号明細書及び同第5,789,487A号明細書に開示されている。
さらにポリ(メタ)アクリレート粘着剤のためのポリマーがリビング重合、例えば反応媒体として一般に不活性溶剤、例えば脂肪族及び脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素が使用されるアニオン重合で製造できる。
この場合、リビング−ポリマーは一般にPL(A)-Meとして表され、Meは周期律表の第I属の金属(例えばリチウム、ナトリウム又はカリウムである)でありそしてPL(A)はアクリレートモノマーよりなる成長性ポリマーブロックである。このポリマーの分子量はこの場合、開始剤濃度とモノマー濃度との比によって決定される。
重合開始剤としては例えばn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、第二ブチルリチウム、2−ナフチルリチウム、シクロヘキシルリチウム又はオクチルリチウムが適するが、ここに挙げた開始剤に限定されない。さらにサマリウム錯塩をベースとする開始剤もアクリレートの重合用として公知であり、使用できる。
さらに二官能性開始剤、例えば1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチウムブタン又は1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジリチウムイソブタンも使用される。同様に共開始剤、例えばリチウムハロゲン化物、アルカリ金属アルコキシド又はアルキルアルミニウム化合物も使用できる。リガンド及び共開始剤は、アクリレートモノマー、例えばn−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを直接重合することができそして適当なアルコールとのエステル交換によってポリマー中に発生させる必要がないように選択することができる。
上述の接着剤並びにここに記載されていないが当業者に接着剤として知られている他の接着剤は本発明に従って支持体フィルムに慣用の方法で塗布される。それぞれの塗布方法に応じて、接着剤は溶液状態で塗布することができる。基本ポリマーを別の成分、例えば変性用樹脂又は補助物質と混合するためには、この場合、あらゆる公知の混合技術又は攪拌技術を使用することができる。例えば均一な混合物を製造するためにスタテックミキサー又は動的ミキサーを使用することができる。基本ポリマーと反応性樹脂との混合は溶融状態でも実施することができる。この目的のためにはニーダー又は二軸スクリュー式押出機を使用することができる。混合は特に好ましくは熱い状態で行う。その場合、混合温度は混合装置中での反応、例えばエポキシ樹脂の反応が進行する活性化温度よりも十分に低い温度であるべきである。
溶融状態で接着剤を塗布するためには、溶剤は濃縮用押出機において減圧状態で除去してもよく、そのために例えば一軸又は二軸スクリュー式押出機を使用することができる。これらの押出機機は溶剤を同じ減圧段階で又は別の減圧段階で溶剤を留去しそして好ましくは予備加熱器を通して供給する。残留溶剤の割合は1重量%より少なく、又はそれどころか0.5重量%より少ないのが有利である。
さらに追加的に架橋剤並びに架橋促進剤も混入してもよい。電子線照射架橋及び紫外線照射架橋に適する架橋剤には例えば二官能性又は多官能性アクリレート、二官能性又は多官能性イソシアネート(ブロックされた状態でもよい)又は二官能性又は多官能性エポキシドがある。さらに熱で活性化可能な架橋剤、例えばルイス酸、金属キレート又は多官能性イソシアネートも反応混合物に添加してもよい。
接着剤の任意の架橋には、任意の適当なこれらの開始剤及び/又は架橋剤を使用することができる。接着剤は例えば紫外線で照射する間に後で架橋するためには紫外線吸収性光開始剤を含有していてもよい。適当な光開始剤の例にはベンゾインエーテル、例えばベンゾインメチルエーテル又はベンゾインイソプロピルエーテル、置換されたアセトフェノン類、例えばジメトキシヒドロキシアセトフェノン又は2,2−ジエトキシアセトフェノン(Ciba Geigy社からIrgacure 651(R)として入手できる)、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−1−フェニルエタノン、置換されたα−ケトール、例えば2−メトキシ−2−ヒドロキシプロピオフェノン、芳香属スルホニルクロライド、例えば2−ナフチルスルホニルクロライド及び光活性オキシム類、例えば1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムがある。
使用可能な光開始剤及びNorrish I又はNorrish IIタイプの別の開始剤は置換されていてもよく、この場合任意の適当な残基を有し得る。例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルシクロヘキシルケトン、アントラキノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、メチルチオフェニルモルホリンケトン、アミノケトン、アゾベンゾイン、チオキサントン、ヘキサアリールビスイミダゾール、トリアジン又はフルオレノンの各残基があり、これらの残基はもちろん、それら自身が例えば1つ又は複数のハロゲン原子、アルキルオキシ基、アミノ基及び/又は水酸基で置換されていてもよい。これに関しての代表的な概観はFouassierによって“光開始反応、光重合及び光架橋反応(Photoinitiation, Photopolymerization and Photocuring):基礎及び応用(Fundamentals and Applications)” (Hanser出版社、ミュンヘン、1995)及び −−補足的に−−Carroy等の“被覆物、インク及び塗料のための紫外線及び電子線の処方の化学及び技術(Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings, Inks and Paints)”、(Oldring 版、1994、SITA、ロンドン)に提示されている。
二次元要素は支持体の第二の側面の所に一時的被覆手段を有している。これもシート状に形成されておりそしてそれ故に平らな主要な広がりを有している。その主要な広がり面に対して平行に配置された、一時的被覆手段の一部が支持体セクションとして形成されており、該支持体セクションは一時的被覆手段の内部で支持体として役立ちそしてその形状安定性及び密着を保証する。さらに、主要な広がり面に対して平行に配置された、一時的被覆手段の一部は付着セクションを有しており、該付着セクションは支持体の第二の側面の所に支持体が残留物なく剥離可能に結合されており、その結果支持体から一時的被覆手段を後で剥離するときに、一時的被覆手段の光学的透明性に悪影響を及ぼす残留物、例えば接着剤残留物が該支持体の表面に残らない。この場合、一時的被覆手段が支持体の表面に直接的に接合するような種類の直接的な接合が適する。この場合、2つの材料の直接的接合とは、両方の材料が、それら両材料の間に別の材料を配置することなく互いに接合することを考える。
付着セクションと支持体との間の接合の具体的態様は、それが特に適している限り任意であってもよく、例えば複数の個々の付着点又は付着線が配置されているか又は支持体表面の全面を一時的被覆手段で被覆しそして残留物なく剥離できる限り全面ににわたって行ってもよい。したがって一時的被覆手段の付着セクションは例えば支持体セクションと一致していてもよく、その結果、該支持体セクション自体は支持体と直接的に接合されている。これによって一時的被覆手段は支持体と直接的にかつ接着剤なしで残留物なく剥離可能に接合される。この変法は、一時的被覆手段がワンピース形状物である場合も可能である。例えば支持体の第二の側面の表面に関して高い粘着性である保護フィルムがある。これは例えば一時的被覆手段の支持体セクションの材料と支持体の材料とを意図的に互いに一致させることによって達成できる。したがってこれは、付着セクションが一時的被覆手段の被覆フィルムの不可欠の成分である態様に相当する。
同様に一時的被覆手段の付着セクションは、支持体セクションと相違しており、一時的被覆手段を支持体と残留物なく剥離可能に接合される被覆手段接着剤を有していてもよい。この場合、被覆手段接着剤は残留物なく支持体から剥離することができる限り任意に選択することができる。
支持体及び一時的被覆手段の付着セクションの適切な組合せを選択することによって、1.0N/cmより小さい、好ましくは0.5N/cmより小さい、中でも0.1N/cmより小さい接着力を有する一時的被覆手段を有利に得ることができる。これは、例えば支持体と被覆フィルム又は接着剤との適切なポリマー組合せを選択することによって行うか又は支持体の第二の側面に付着低下性層を塗布することによって行うことができる。
これらの手段によって、一時的被覆手段及び特にそれの支持体セクションが支持体の第二の側面を損傷なく保持する被覆物として役立ち、二次元要素及びそれから製造された製品の保存及び加工時のこの側面の損傷を実質的に低減する。
この場合、主要な広がりに平行な両方の支持体セクション側面の少なくとも一方は機械的負荷に対して耐久性に形成することができる。これは複数の異なる設計を包含する。例えばその一つにおいては、一時的被覆手段の材料が機械的に安定しているように選択することができる。これは適当な抗張力を持つ適切なポリマーを選択することの他に、1層又は多層が追加的に例えば塗布された塗料として、織物等として形成されている多層の一時的被覆手段の選択も包含し得る。構造的補強要素も同様にポリマー組成物中に、例えば繊維の状態で組み入れ存在していてもよい。支持体セクションの薬品に対する耐久性も同様に、例えば露出時に実質的に不活性のポリマーの選択又は保護層としての不活性材料で意図的に被覆、積層又は塗工することによって達成される。
この場合、一時的被覆手段の支持体セクションが全体として最大0.01mNmの曲げ強度、特に最大0.005mNm、特に最大0.004mNmの曲げ強度を有していることが重要である。この明細書に記載する曲げ強度は、DIN 53121に従う二点法でのバー法(bar method)による5°の曲げ角度において測定された値に関する。
支持体セクションに必要とされる曲げ強度も同様に適切な手段によって、例えば適切な材料選択によって又は支持体セクションの厚さ(二次的広がり)を意図的に適合することによって、例えば薄い厚みのポリマーフィルムの使用によって達成される。その場合、後者の場合には一時的被覆手段が全体として十分に機械的に安定することに注意するべきである。高い曲げ強度の支持体セクションを使用する場合には、一時的被覆手段の剥離後に接着された二次元要素のところで透明性に著しい悪影響を及ぼす表面変形が生じる。
一時的被覆手段の支持体セクションとして沢山のポリマーフィルム又はポリマーフィルム複合体を使用することができる。例えばポリオレフィンフィルム、例えばポリエチレン又はポリプロピレンよりなるフィルムが適している。この種の系はエチレンの他に他のコモノマー、例えばシクロヘキセン又はノルボルネン誘導体並びに他の多数のオレフィン性コモノマーを含有していてもよい。
ポリオフェフィンをベースとするフィルムの代わりに例えばポリ塩化ビニル(PVC)をベースとするものも使用される。これらのフィルムは他の添加物、例えばフィルムの柔軟性又は固有の粘着性を高めるために、可塑剤を含有していてもよい。他の可能なフィルム材料には熱可塑性ウレタン(TPU)がある。
一般に一時的被覆手段の支持体セクションは、本発明の特に有利な実施態様においては、25℃よりも低い静的ガラス転位温度を有しているべきである。これによってフィルムは支持体に対しての十分な粘着性を有する。その効果は例えば可塑剤の添加によっても達成できる。
本発明の別の一つの実施態様においては、一時的被覆手段が弱い接着性の片面接着テープよりなる。本発明のこの場合の実施態様のためにも、通例の加工温度では保護機能を有するあらゆる種類の公知のフィルムを支持体セクションとして使用することができる。付着セクションとしては、二次元要素の支持体に対して弱い接着力を示す粘着剤を使用するのが特に有利である。PSTC−1に従う接着力は1N/cmより小さく、好ましくは0.5N/cmより小さく、特に好ましくは0.1N/cmより小さいのが有利である。粘着剤の種類としては、本発明を制限するものでないが、ポリアクリレート、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン、ポリエチレンビニルアセテート、ブチルゴム及びニトリルゴムをベースとするものを使用することができる。一時的被覆手段の別の重要な点は支持体から残留物なく除くことができることである。要するに剥離後に接着剤又は一時的被覆手段の残留物が支持体上に残留してはならない。
一時的被覆手段の支持体セクションのフィルム厚さは、本発明の特に有利な一つの実施態様においては、4〜150μmの範囲の、特に12〜100μmである。
二次元要素はシースルー要素の上に接合する前に一時的支持体も有しているのが有利である。この一時的支持体は一時的被覆手段と相違している。一時的支持体は接着剤層面に配置されており、該接着剤層面は支持体の第一の側面に結合する接着剤層面と反対側にあり、そしてこの場合には接着剤層と、残留物なく剥離可能であるように接合されている。この場合、この一時的支持体は意図しない接着に対して及びダストに対して露出状態の未接着の接着剤を保護するのに役立ちそして同時に非常に滑らかな表面をもたらし、接着剤層がこれによってその片面の如何なる構造化もされることがない。一時的支持体としては一般にあらゆる剥離系、剥離フィルム及び剥離紙、例えばグラシンよりなる又は高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)のようなオレフィン性フィルムよりなるものが適しており、それらの高い滑らかな表面のために特に剥離フィルムが適している。剥離性を改善するためにはこれらの一時的支持体は追加的に接着性低下系、例えばシリコーン化剥離層又は剥離剤を有していてもよい。一時的支持体のための非常に滑らかな表面は粘着剤不含のPET−フィルムを溶剤から塗布されるシリコーン系と組合せて使用することによって達成される。もちろん、一時的支持体としては1.43(20℃)より大きい屈折率ndを有するフィルムも使用される。
接合可能な平らな二次元要素を製造及び加工するためには、ダストフリーの条件が非常に重要である。何故ならば、接着剤中の既に僅かのダスト量が透過する光の散乱中心として働きそして透過率を低減するからである。それ故に製造及び加工はクリーンルーム条件の下で、可能であれば超クリーンルームで実施するのが有利である。
製造するときに可能であれば最初に第一の被覆段階で接着剤層を剥離フィルムに適用する。その際に溶液から被覆する場合には、接着剤層をこの第一の被覆段階の後で接着剤中に残る溶剤を例えば乾燥トンネル中で溶剤を蒸発させることによって除いてもよい。次いで剥離フィルム上に塗布される接着剤層に支持体フィルムを積層ロールによって積層する。これは有利には加圧下に行う。その際に加圧の代わりに又は追加的にこの系を加熱してもよい。積層ロールの温度及び押し圧はこの場合には使用される接着剤の活性化温度及び流動挙動次第で変更することができる。最後に接着剤層を持つ一時的被覆手段を接合する。
しかしながら装置上の理由から、溶液から接着剤層を製造するのが有利である。何故ならばこの場合には低い加工温度を選択することができ、それによって適用のときに接着剤中に結晶質又は部分結晶質の領域の形成及びそれ故の、結晶質散乱中心による透明度の低下を避けることができるからである。この目的のためには接着剤を適当な溶剤に溶解しそして支持体の上に例えばドクターブレード又はアプリケーターノズルによって一様に塗布する。溶液からの適用は更に、非常に滑らかな表面の接着剤層を製造させ、高い透明度を持つ接合を可能とするという長所を提供する。
使用される方法と無関係にあらゆる溶液及び溶融物は、ダスト及び他の固体混入物、例えばポリマー結晶子を除去しそして接着剤中の散乱中心の割合を少なく維持するために、適用する前に濾過する。
こうして得られる平らな二次元要素は接合物において一般に5〜300μmの範囲内の厚み、特に10〜50μmの範囲内の厚みを有している。接着剤の塗布量はこの場合、10〜150g/m2、特に20〜100g/m2であるのが好ましい。
このようにして得られた二次元要素から所望の形状のダイ切断物に切断又は打ち抜く。すなわち、一般にはこの時点で使用する幅に切断を行う。
このような二次元要素は本発明に従って飛散防止デバイス、家庭用電化製品におけるディスプレーを安全にするためのそれとして使用することができる。飛散防止デバイスとは保護すべき物体が外部力に曝されるときに該物体への衝撃をできるだけ防止するのに適しそして許容できるあらゆるデバイスである。これは、例えば如何なる破片も完全に剥離するのを防止しそして別々になるのを十分に防止することによって達成される。
一般に、飛散防止デバイスによって如何なる負荷に対しても完全な保護を達成することは不可能である。しかしながらこのような安全用デバイスは一般的な負荷、例えば数メートルまでの高さからの物体の予期せぬ落下に対して少なくともある程度の保護を一般にもたらす。更に、飛散防止デバイスの使用にも係わらず崩壊したときに生じる破片の僅かな部分はそれでもなお剥離し得る。しかし破片の大部分は分離されず、それらの破片は少なくとも実質的にくっついたままである。理想的には安全デバイスは物体の崩壊を例えば物体の構造強化によって防止されるかもしれない。物体が脆ければ脆いほど、飛散防止デバイスがますます重要である。
飛散防止デバイスとして使用するためには、本発明の二次元要素はシースルー要素に完全に固定される。このように固定した場合には、シースルー要素の表面の個々の部分領域も、例えばこれらの部分領域がハウジングの内部に配置されているときには二次元要素によって被覆することはできず、その結果これらの部分領域に外力が直接的に作用することができない。飛散防止を達成するためには、シースルー要素の脆弱な物体の外から接近可能な部分領域だけを二次元要素によって完全に覆う必要がある。
ここにおいて、シースルー要素とは、ディスプレーを見ることを可能とする少なくとも透明な部分領域を有するあらゆる要素を意味する。この場合、シースルー要素の透明な部分領域はあらゆる一般的な材料で作製されていてもよく、理想的にはガラスで形成されている。この場合、ガラス製部分領域は脆い平らな物体として二次元要素と接合するのに適合している。この適合には一般的な適当な手段を包含する。すなわち、最も簡単な場合には、部分領域の表面を少なくとも実質的に滑らかに形成して、この部分領域と二次元要素の接着剤層との恒久的接合を可能とする。さらに、このような適合は原則として別の手段、例えばガラス表面を粘着性塗料で覆うことも包含し得る。この場合、恒久的接合とは、剥離をもたらさないあらゆる接合を含むと考えられる。すなわち、これは例えば二次元要素の接着剤層として適当な接着剤を使用することによって達成され得る。
透明な部分領域の他にシースルー要素は追加的に不透明な部分領域を有していてもよい。この不透明な部分領域は透明な部分領域と同じ材料で製造されていてもよいし又は他の材料で製造されていてもよい。不透明な部分領域は例えば据付領域、ハウジング又は装置の他の部分に固定するためのフレームとして形成されていてもよいし又は装飾的目的のために、例えば着色された領域として役立つ。この様に着色された領域は例えば表面に埋めこまれているか又は表面に塗布された染料及び顔料によって、例えば表面の塗料塗布及び/又は局所的な金属化によって得ることができる。
従って飛散防止デバイスはシート状要素及び二次元要素よりなる接合複合体として形成されている。さらに、この接合複合体は他の要素、例えばこの接合複合体をハウジング成分に固定するための付着フレームも有していてもよい。
本発明によれば接合複合体はディスプレーデバイスのための損傷防止デバイスとして使用される。損傷防止デバイスとは、外部からの作用力の結果として保護すべき物体の機能が低減されるのを防止するのに適しそして適合するあらゆるデバイスを意味する。
ディスプレーデバイスは、特定の情報、例えば測定値、稼動状況、貯蔵又は受領データ等を表示する表示領域を持つ任意の機能デバイスである。この場合、表示領域での表示は例えば機械的に、電子的に又はその他の手段で任意に行うことができる。例えば家庭用電化製品においては、例えば液晶、陰極線管又は発光ダイオードを基礎とする電子表示が一般的であり、一般にディスプレーモジュールとして現在製造されている。表示領域は少なくとも表示面として形成されているが、例えばホログラフィーディスプレーの場合には他の形態もある。表示領域の他にディスプレーデバイスは他の要素、例えばフレーム要素又はハウジング要素及び表示機能を調整制御するための要素も有していてもよい。ディスプレーデバイスは外部の機械的影響に対して本発明に従って保護されるべきである。
損傷防止デバイスとしての接合複合体と一緒に、ディスプレーデバイスは表示システムを形成する。表示システムは、情報を表示するのに役立つ機能のユニットである。この場合、表示システムは装置の補助的部分であるか又は自立デバイスとして形成されていてもよい。接合複合体及びディスプレーデバイスの他に本発明に従う表示システムは他の成分を有していてもよい。
表示システムの中において接合複合体は、二次元要素が配置されている接合複合体の側が、表示すべき情報を表示するのに適するディスプレーデバイスの側、すなわち表示領域と反対側になるように配置されている。この装置においては表示領域は接合複合体を通して完全に見ることができる。換言すれば、シースルー要素を通して及び二次元要素を通して見ることができる。
原則として表示システムは最終状態(引渡状態)のシステムであって既に十分に機能する状態であっても、最終状態に達する前の最終製造段階に未だ行っていない中間製品であってもよい。最終製造段階は例えばダストの侵入を防止するために、表示システムの内部空間の密封することも含まれる。
これに加えて又はこれに代えて、発泡体裏張り接着テープでの接合も考えられ、それによってこうして接合された構造要素間の追加的な機械的分断を可能とし、このことが耐衝撃性をさらに改善するのに役立つ。
接合複合体の二次元要素の上側及びディスプレーデバイスの、情報を表示するのに適する側の上側は、ケーシング内部において、例えばスペーサー、間隔保持手段又は接合複合体とディスプレーデバイスとの配置の結果として互いに距離を置いて配置することができる。ディスプレー自体の十分な透明度を保証するために、平均的距離、すなわち最終製品における2つの面の相互の距離(面全体の平均距離)は最大600μmであるべきである。さもないと反射損失の割合が増加してしまうからである。両方のシステムの十分な機械的分断を達成し、接合複合体への衝撃がディスプレーデバイスに直接的に伝達されずそして損傷を与えないために、平均距離は更に少なくとも30μmであるべきである。
前述の二次元要素による表示システムを製造する可能な方法は、ダストフリーの条件の下で、例えばクリーンルーム又は超クリーンルームで実施するべきである。全体としては、それぞれの用途に合わせて切断された二次元要素を脆い平面物体に全面にわたって接合することによって、第一の段階で気泡の無い接合が得られる。この目的のためには、通例のあらゆる接着技術を使用することができ、特に積層法の場合に良好な結果が得られる。この目的のために例えば一時的支持体を二次元要素から除去しそして露出状態の接着剤を有する二次元要素を脆い平面物体に貼り付ける。場合によっては打抜き物として打ち抜かれた二次元要素をシースルー要素の個々の切片に貼り付けることも可能である。
前述の二次元要素によりディスプレーシステムを製造する本発明の方法は少なくとも三つの部分的段階を含み、これらは勿論、必要があれば別の方法段階を補足してもよい。高い透明度を保証するために、それぞれの方法段階をダストフリーの条件のもとで、例えばクリーンルーム又は超クリーンルームで実施することが重要である。
それぞれの用途に合わせて切断された二次元要素を脆い平面物体に全面にわたって接合することによって、第一の段階で気泡の無い接合が得られる。この目的のためには、通例のあらゆる接着技術を使用することができ、特に積層法の場合に良好な結果が得られる。この目的のために例えば一時的支持体を二次元要素から除去しそして露出状態の接着剤を有する二次元要素を脆い平面物体に貼り付ける。場合によっては打抜き物として打ち抜かれた二次元要素をシースルー要素の個々の切片に貼り付けることも可能である。
この目的のためにこの接合複合体を一時的被覆手段と接合しそしてそれ故にこの状態で保存することが可能である。すなわち、この関係での保存は、2つの加工段階の間で一般に行われるあらゆる段階を含み、貯蔵又は運搬における保管をも含む。更に、二次元要素をシースルー要素の全面に最適に貼り付けるためには、接着剤の流動挙動を利用しそして系から封入空気を除去するために、積層後に接合複合体を高温で、例えば40℃で保存することも可能である。
最後に一時的被覆手段を除去しそして接合複合体をディスプレーデバイスに固定配置する。それによって表示システムが形成される。これは例えば、接合複合体をディスプレーデバイスに直接的に固定するか又は接合複合体及びディスプレーデバイスを同じケーシング部材又は互いに接合された又は互いに接合すべきケーシング部材の上に配置されているそれぞれの付着要素に固定することによって行うことができる。場合によっては接合複合体とディスプレーデバイスとを最初に固定状態で配置しそして次に一時的被覆手段を初めて除去してもよい。
更なる特徴及び使用可能性は、添付の図面によって以下に詳細に説明する実施態様から明らかである。それらの図面は以下の通りである:
図1は第一の実施態様に従う本発明の二次元要素の長手方向切断面の概略図である。
図2は第二の実施態様に従う本発明の二次元要素の長手方向切断面の概略図である。
図3は第一の複合体構造において二次元要素と接合することによる長手方向切断面の概略図である。
図4は第二の複合構造において二次元要素と接合することによる長手方向切断面の概略図である。
図5は第三の複合構造において二次元要素と接合することによる長手方向切断面の概略図である。
図6は第四の複合構造において二次元要素と接合することによる長手方向切断面の概略図である。
図1に図示した、二次元要素の第一の構造は支持体(1)としてポリマーフィルムを有し、接着剤層(2)としてアクリレートをベースとする粘着剤を有し、一時的被覆手段(3)として別のポリマーフィルムを有しそして一時的支持体(4)としてシリコーン処理された剥離フィルムを有している。支持体フィルム(1)は片面において粘着剤(2)で均一に全面的に被覆されている。支持体(1)のもう一方の片面には被覆用フィルム(3)が配置されている。従って被覆用フィルム(3)はそれの高い粘着性のために支持体と直接的に接合されており、それ故に接着剤は必要とされていない。不純物に対して保護するために及び剥離フィルムとの不要な結合に対して保護するために、接着剤(2)は全面的に覆われている。
二次元要素の図2に示した第二の実施態様は、図1からのワンピースの一時的被覆手段(3)が図2においてツーピースの一時的被覆手段(3a、3b)に交換されている点が相違するが、図1に図示した実施態様と実質的に同様な基本構造を有している。この一時的被覆手段(3a)はポリマーフィルムを有しておりそして付着セクションの被覆手段接着剤(3b)としてアクリレート粘着剤を有している。被覆手段接着剤(3b)はこの場合には被覆手段支持体(3a)に支持体1と共に接合されている。
二次元要素及びシースルー要素(5)としてのガラス板を有する接合要素の図3に図示した第一の構造態様は、二次元要素として図2に図示する構造を持つ二次元要素を有しており、同様に、二次元要素を例えば図1に図示する別の構造に交換することも可能である。図2に図示する二次元要素の場合には、付着用接着剤(2)によってガラス板5に全面的に、かつ、気泡なく固定するために剥離フィルム(4)が除かれる。こうして得られる複合体をディスプレーシステム中に固定することができるように、この複合体は両面接着テープ(6)と第二の一時的支持体としての第二の剥離フィルム(7)よりなる任意の固定システムを備えている。第二の一時的支持体はガラス板の側に配置されており、該ガラス板は二次元要素で完全には被覆されていない。すなわち、この面は後でディスプレーシステムの外側になる。この場合、両面接着テープ(6)は意図せぬ貼り付きから保護するために第二の剥離フィルム(7)によって覆われており、この場合には支持体なしで接着剤転写テープとして形成されているが、支持体を有していてもよい。固定システム(6,7)は特別な形状を有しているため、該システムはディスプレーの光学的視界路を覆っておらず、この場合には打ち抜き物として提供されている。固体システム(6,7)によって複合物はそれのガラス板(5)を介して、ディスプレーシステムを含むデバイスに固定することができる。ディスプレーデバイスとして使用されるLCD−モジュールへの接合は、この場合には、LCD−モジュール並びに複合体が固定されているデバイスのケーシングを介して達成される(間接接合)。
二次元要素、及びシースルー要素(5)としてのガラス板を有する複合要素の図4に図示した第二の構造態様は、図1に図示した基本構造を持つ二次元要素を二次元要素として有している。全く同様に、他の構造、例えば図2に図示した別の構造を有する二次元要素も良好に使用される。図1に図示した二次元要素の場合には剥離フィルム(4)が除かれて、粘着剤(2)によってガラス板(5)に平面的にかつ気泡なく固定される。こうして得られる複合体は、ディスプレーシステムに固定できるためには、両面接着テープ(6)及び第二の一時的支持体としての第二の剥離フィルム(7)よりなる任意の固定システムを備えている。 しかしながら、図3に図示した構造と相違して、この固定システムは後でディスプレーシステムの外側になる面に装備されておらず、内側になる面に装備している。この目的のためには、接着テープ(6)は二次元要素の支持体フィルム(1)と直接的に接合されており、その結果、被覆フィルム(3)が接着テープ(6)によって平面的配置で囲まれている。この配置では被覆フィルム(3)は支持体フィルム(1)を完全には覆っておらず、一部分しか覆っていない。しかしながら後でディスプレーシステムの全体的視界が被覆フィルム(3)によって覆われていてもよい。固定システム(6,7)によって複合体は該複合体の裏面を介して、ディスプレーシステムを含むデバイスのケーシングに固定することができる。場合によってはこの構造の場合にも、複合体システムをディスプレーデバイスの外側に直接的に固定することも可能である。この場合には、複合体の表面とディスプレーデバイスの表面との間の距離保持部材又はスペーサーとして役立たせるために、接着テープがある程度の形状安定性を有する場合が有利である。
二次元要素、及び透視要素(5)としてのガラス板を有する複合要素の図5に図示した第三の構造態様は、図1に図示した構造を持つ二次元要素を二次元要素として有している。全く同様に、他の構造、例えば図2に図示した構造を有する二次元要素も良好に使用される。図1に図示した二次元要素の場合には剥離フィルム(4)が除かれて、粘着剤(2)によってガラス板(5)に平面的にかつ気泡なく固定される。こうして得られる複合体をディスプレーシステムにおいて固定できるために、複合体は両面接着テープ(6)と一時的な第二の支持体としての第二の剥離フィルム(7)とよりなる任意の固定システムを備えている。図4に図示した構造の場合と同様に、固定システム(6,7)を、後でディスプレーシステムの内側になる、複合体の片面に装備している。しかしながら、図4に図示した構造と相違して、この固定システムは支持体フィルム(1)にでなく、ガラス板(5)を介して直接的に固定されている。その結果としてこの配置では二次元要素全体が固定システム(6)によって平面配置で囲まれており、被覆フィルム(3)が支持体フィルム(1)を確実に全面被覆しており、これに対して、二次元要素はガラス板(5)を部分的にしか覆っていない。固定システム(6,7)によって複合体はそれの裏面で、ディスプレーシステムを含むデバイスのケーシングに固定することができる。接着テープ(6)の上面及び支持体(1)の上面を確実に密閉するために、複合体システムを直接的にディスプレーデバイスに固定しないこの具体的構造の場合が有利である。何故ならば、支持体(1)とディスプレーデバイスとの間の全面接触が生じると、外部作用によって損傷する危険が増すからである。それ故に複合体を固定するためにフレーム構造を用いるのが有利である。
図6に図示した複合要素の第四の構造は、図5に図示した第三の構造の変形である。図5に示した構造とは、接着テープ(8)が発泡体接着テープとして形成されており、高さの意味において支持体(1)と明確に隔絶されていない。これによって複合体をディスプレーシステムに直接的に固定することが可能であり、その際に発泡体接着テープの使用によって支持体及びディスプレーデバイスの各表面が互いに間隔を置いて保持されそして同時に分断効果を生じる。これの代わりにこの複合体をケーシングフレームに固定することも可能である。
二次元要素の透明性及び接着強度の試験は6個の異なる系で実施した。これら6個の異なる二次元要素システムを製造するために、3つの試験した接着剤(ポリマー1、2及び3)の一つを3つの支持体(支持体A、支持体B及び支持体C)のそれぞれに塗布した。
ポリマー1の重合のために、ラジカル重合にとって慣用の2Lのガラス製反応器に32gのアクリル酸、168gのn−ブチルアクリレート、200gの2−エチルヘキシルアクリレートをアセトンと2−プロパノールとの97:3の比の300gの混合物中に装入する。その際に反応前の精製段階でモノマーからあらゆる安定剤混合物を除く。窒素を45分間通すことによって、溶解したガスを反応混合物から除く。反応を開始するために反応混合物を58℃の温度に加熱しそしてこの温度で0.2gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)(DuPont社のVazo 67(R))と混合する。この添加の後に反応器を包み込む加熱浴を75℃の温度に加熱しそして反応を反応器中で後で調整された温度で反応を継続的に実施する。1時間の反応時間の後に反応混合物に新たに0.2gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)(DuPont社のVazo 67(R))を添加する。3時間及び6時間の後に反応混合物をアセトン及び2−プロパノールの前記混合物それぞれ150gで希釈する。反応溶液中に残る開始剤残留物を還元するために8時間後及び10時間後にそれぞれ0.4gのジ(4−第三ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナート( Akzo Nobel社のPerkadox 16(R))を反応器中に導入する。全部で22時間の反応時間の後に反応器を室温に冷却することによって反応を中止する。
ポリマー2の重合はポリマー1について説明した通り正確に実施する。この場合には反応混合物が32gのアクリル酸と168gのn−ブチルアクリレートの代わりに20gのアクリル酸、40gのメチルアクリレート及び140gのn−ブチルアクリレートを含有している(これらのモノマーからも反応前に安定剤混合物が除かれている)点だけがポリマー1の合成と相違している。
こうして得られるポリマー1及び2の溶液を攪拌下にそれぞれ0.3重量%のアルミニウム(III)アセチルアセトナートと混合しそして生じる混合物をアセトンで30%の固形分含有量に希釈する。
ブロックコポリマー(ポリマー3)の重合のためにニトロキシドとアルコキシアミンとの混合物を使用する。窒素酸化物としては2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド(下記の構造参照)を使用する。この化合物は文献(Journal of American Chemical Society, 1999, 121(16), 3904)に従って製造される。
アルコキシアミンとしては、文献 (Journal of American Chemical Society, 1999, 121(16), 3904)から公知の合成処方と同様にして製造される二官能性アルコキシアミンを使用する。この場合には原料として1,4−ジビニルベンゼン及び前記のニトロキシドを使用する。得られるアルコキシアミンは以下の構造を有している:
ポリマー3を製造するために0.739gの二官能性アルコキシアミン及び0.0278gの遊離ニトロキシド10:1のモル比で開始剤として使用する。これを128gの蒸留イソボルニルアクリレート及び192gの蒸留2−エチルヘキシルアクリレートとの混合物と混合する。この混合物は後のポリマーブロックP(B)の前記のモノマーBに相当する。反応混合物を−78℃の温度に繰り返し冷却しながら脱気しそして次に密閉された耐圧反応器中で加圧下に110℃の温度に加熱する。36時間の反応時間の後に反応混合物に別のモノマーとしての180gの蒸留o−メトキシスチレンを添加する。このモノマーは後のポリマーブロックP(A)の前記モノマーAに相当しそしてこの反応混合物をこの温度に更に24時間維持する。
反応の終了、反応生成物の単離及び加工のために、反応混合物を室温に冷却し、生じるブロックポリマーを750mLのジクロロメタンに溶解し、次いで−78℃の温度で6.0Lのメタノール中で強い攪拌下に沈殿させる。沈殿物を冷却されたガラス製濾過器によって分離する。
得られる生成物を減圧乾燥室にて10Torr、45℃で12時間濃縮する。接着剤の屈折率ndはKruess Optronic GmbH 社のアッベ屈折計において標準化した方法で550nm ± 150nmの波長の光線の使用下に25μmの厚さの接着剤フィルムについて測定する。測定用セルを25℃に温度調整するために、該セルをLauda社の温度計と一緒に操作する。接着剤の屈折率はこの場合には1.525であることが分った。支持体フィルムをトルエン中に反応生成物を溶解した溶液を用いて被覆する。
支持体AとしてはToray社のLumirrorTM T60 タイプの50μmの厚み0.01mNmの曲げ強度のPET−フィルムを使用する。一時的被覆手段としてPSTC-1に従う接着力0.1N/cmの片面接着性の接着テープtesa(R) 50550 タイプを積層段階で支持体フィルムとしてのPET−フィルムに接合する。
支持体BとしてはGE Plastics社のLexanTM 8010 タイプの125μmの厚みで0.53mNmの曲げ強度のPC−フィルムを使用する。このフィルムは、その両面に保護フィルムを有しており、その一方は曇った外観を有しそしてもう一方これと反対に透明である。さらに加工するために曇った保護シルムをPC−フィルムから除く。透明な保護フィルムは一時的被覆手段として使用しそして最初はPC−フィルムと接合したままとする。この透明な保護フィルムは0.002mNmの曲げ強度を有している。
試料を製造するためにポリマーを支持体の未被覆の面にコーティングバーによって溶液状態で塗布しそして次いで溶剤を蒸発させる。こうして得られる二次元要素を120℃の温度で10分間乾燥する。乾燥後に得られる塗布量は100g/m2であった。
試料1Aのためにポリマー1を支持体Aに塗布し、試料1Bのためにはポリマー1を支持体Bに、試料2Aのためにはポリマー2を支持体Aに、試料2Bのためにはポリマー2を支持体Bに、試料3Aのためにはポリマー3を支持体Aにそして試料3Bのためにはポリマー3を支持体Bにに塗布した。
光学的に透明な飛散防止デバイスとしての試料の基本的適合性に関する性質の幾つかの実験を以下に最初に説明する。次いで、本発明の二次元要素の特別な効果を示す実験を説明する。
ガラス製基体への試料の接着力(剥離強度)をPSTC 1に従う方法で測定する。この試験のために、2cmの幅の二次元要素の帯状物を、該帯状物の自由な端片だけがガラス板の表面に接触しないようにガラス板の上に適用する。ガラス製基体と接触する接着剤帯状物の領域を、2kgの重量のローラーを3度転がすことによってガラス製基体の上に押し付ける。その際に、ローラーの各転がりの内の2度は前進と反対方向に作用させる。次いで一時的被覆手段を手で剥離する。
接着力を個々に測定するためにガラス板を、このように固定された二次元要素を用いてこのように静止固定する。二次元要素はその自由末端片を引っ張り試験機に固定し、貼り付けた後、10分で(瞬間接着力の測定)引っ張り試験機によって180°の剥離角度で300mm/分の前進速度で引っ張る。接合物が未だ離れない最大の力が問題の基体への接着力に相当する。この接着力はN/cmで示される。
結果を下記の表1に示す:
表1から、全ての試料がガラス製基体に対して高い接着力を有することがわかる。従って、これらの良好な接着性のために全ての試料がガラスに接着するのに適している。
更に試験するためにこれらの試料をD 263 T タイプのガラス板(Schott社の1.1mmの厚さで1.5231の屈折率nd のボロンシリケートガラス)にゴム製ローラーによって気泡無く塗布する。ガラス製基体への試料の貼り付けは40N/cm2の圧力の下で10秒間の時間行う。
飛散防止性デバイスとして試料の適性を試験するために試料とガラス製基体との複合体を落球試験に付す。この目的のために、4cmの幅及び6cmの長さを有する各試料の切片を前記のとおり接着面に気泡無く固定する。この複合体を23℃の雰囲気温度及び50%の相対湿度で48時間の期間、試料の均衡化のために保存する。本来の試験を実施するために複合体の重量を重量測定によって測定しそしてその後に該複合体を、片面に上方からガラス面とそしてもう一方の片面を下方から試料と水平で位置合わせするようにしてホルダー中で固定する。複合体の上方1mの距離に63.7gの重量の鋼鉄球を最初に固定しそして次に制動機によって離す。1mの落下高さから鋼鉄球を複合体のガラス面側に落とす。衝突後に複合体の重量を新たにハカリで測定する。この球落下試験は、球の衝突前と後の試料の重量差が(ガラスの総重量を基準として)5%より少なく、球が複合体上に落下した際に生じるガラスの破片が複合体から及び接合物から僅かしか離れない場合に合格である(それ故にこの試料は飛散防止デバイスとして適している。)。
球落下試験の結果を以下の表2に総括掲載する:
表2は鋼鉄球が落下したとき全試料が僅かな飛散物しか接合物から生じず、全ての試料が良好な飛散防止性を提供している。
試料の透過率は550nmの波長の光線に対してASTM D1003に従う方法で測定した。この場合にも各試料を、二次元要素とガラス板とよりなる前述の複合体において一時的被覆手段の除去後に測定した。
透過率の測定結果を表3に総括掲載する;
表3は、全ての試料が75%より高い透過率を示しており、従って光学的に高い透明度であることを示している。特にPC−支持体を有する試料は特に85%より高い透過率を示し光透明度であることがわかる。
次に、ガラス板を有する上記の複合体における試料の耐光性を試験した。この試験のために4cm×20cmの大きさの前述の複合体を不透明の厚紙板で半分覆う。このように半分覆われた複合体を300時間の期間にわたって照射装置中で強い白熱電球の多色灯(Osram Ultra Vitalux:300W、試料から50cmの距離に配置する)で照射する。この照射は、ディスプレーのバックライトからの試料への光の作用をシュミレーションしている。光の照射の終了後に厚紙板を除き、被照射面部分の視覚的印象を未照射面の部分と品質的に比較する。特に如何なる変色にも注意する。試料は、照射にもかかわらず変色が認められない場合が耐光性があるとして合格とする。
耐光性試験の結果を以下の表4に総括掲載する:
表4からわかるとおり、全ての試料が良好な耐光性がありそして高い耐老化性を有している。特に透過光のビーム路に悪影響を及ぼしそしてそれによって形状の歪み又は色の変化をもたらし得る変色がない。それ故に全ての試料が長期間の用途にも適している。
上記の実験は全ての試料が原則として現実的条件のもとで、光学的に透明な飛散防止性デバイスとして適していることを示している。
本発明の二次元要素が支持体の損傷を防止するのに実際に適しているかどうかを実験するために、全ての試料をガラス板を持つ複合体の状態(前記参照)で用途技術的試験に付した。この目的のために、一時的被覆手段の除去前に、表面が粗面化(Ra=0.8μm)された20cmの長さの鋼鉄製物体上に複合体をそれぞれ10回案内する。複合体が鋼鉄製物体上を移動する間に該複合体は裏側に1kgの質量を負荷される。その際に複合体は一時的被覆手段と位置合わせされ、その結果一時的被覆手段が支持体の上側と鋼鉄製物体との間に位置している。次いで、それぞれの一時的被覆手段を支持体側から剥がしそして支持体の表面を視覚的に評価し並びにその平面領域で測定される透過率を測定する。この場合、一時的被覆手段が支持体フィルムから残留物なく除去されることがわかった。支持体の表面に引っ掻き傷を持つ試料は無かった。さらに、透過率に変化を認めることができなかった。これに対して、一時的被覆手段を持たない系について実施した比較実験では、支持体の表面に著しい引っ掻き跡があった。
従って本発明の二次元要素は損傷が少なく加工し易い光学的に透明な飛散防止性デバイスとして有利に使用することができる。