JP2009104774A - 光学素子、対物光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る光学素子10は、回折輪帯21からなる回折構造20と、回折輪帯21の光学面に、この輪帯の通過光束に対して光路差を付与する光路差付与構造30とを備える。回折構造の光学面は光路差付与構造が無い場合に波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光がそれぞれ最大の回折効率となる回折作用を有する構造22を備える。また、光路差付与構造はL次回折光又はM次回折光の少なくとも一方に対して位相に変化を与えることで、光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、L次回折光とM次回折光との位相差の絶対値を小さくする。
【選択図】図2
Description
DVD用記録再生装置では、650nmの半導体レーザを使用したときの対物レンズの光デイスク側の開口数NAを0.6〜0.65としている。DVDはトラックピッチ0.74μm、最短ビット長0.4μmであり、CDのトラックピッチ1.6μm、最短ピット長0.83μmに対して半分以下に高密度化されている。また、DVDにおいては、光ディスクが光軸に対して傾いたときに生じるコマ収差を小さく抑えるために、保護基板厚は0.6mmとCDの保護基板厚の半分になっている。
さらに半導体レーザの短波長化が進み、波長400nm程度の青紫色半導体レーザ光源と、像側開口数(NA)を0.85程度まで高めた対物レンズを用いた保護基板厚0.1mm程度の高密度光ディスク(以下、「高密度DVD」という。)や、像側開口数(NA)を0.65程度とした対物レンズを用いた保護基板厚0.6mm程度の高密度DVDの研究・開発が進んでいる。
上記特許文献1及び特許文献2には、複数の鋸歯断面形状の回折輪帯が形成された回折光学素子を備える光ピックアップ装置が開示されている。
これら装置は、例えば、二種類の異なる波長の光束それぞれに対し、ブレーズの深さを所定の次数の回折光の回折効率がより高くなる深さにすることで高い回折効率を得、その回折光を所定の光ディスクに集光させ、一つの対物レンズで二種類の光ディスクに対して情報の記録/再生を行なうものである。
また、特許文献2に開示された装置は、二種類の異なる波長の光束で同じ回折次数の回折光を対物レンズにより所定の光ディスクに集光するものである。
この回折光学素子では、波長400nm付近における−1次回折光の回折効率がほぼ100%となるように設定している。従って、例えばDVD用として利用される波長650nm付近では、−1次回折光の回折効率が50%から60%程度に減少してしまい、波長差が大きい光ディスクの互換では光量不足を招くおそれがあった。
このような、特定波長以外の波長に関する回折効率の低下は、回折光学素子の一つのブレーズを特定波長の光束が通過する際に、この光束に対して特定波長の整数倍の光路差を与えるようにブレーズの寸法を設計しているため、特定波長以外の波長の光束がブレーズを通過する際には、この光束に対して波長の非整数倍の光路差が与えられることが一つの要因である。
また、光学素子としては、単一のレンズのみで構成されているものに限定されず、複数のレンズを光軸方向に組み合わせて構成されるレンズ群をまとめて光学素子としてもよい。
対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズとともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズを指すものとする。
また、本発明における光学素子及び光ピックアップ装置は、情報の記録だけあるいは再生だけを行うために用いるものであってもよいし、記録と再生の両方を行うために用いるものであってもよい。
また、本発明における回折作用を有する構造とは、光軸を含む平面(子午断面)でその断面をみた場合に鋸歯状あるいは光軸方向に沿った階段状となったもの等の入射光束を回折させる作用を有する構造をいう。
また、回折構造は光学面上の全域に形成されている必要は無く、例えば、光軸を中心とした所定の領域のみに形成されていても良い。
また、回折構造は一つの光学素子が備える一つあるいは複数の光学面のうち少なくとも一つの光学面に形成されていればよい。
従って、例えば、光学素子としての対物レンズが備える、光源側の光学面又は光情報記録媒体側の光学面に回折構造を形成してもよく、さらには、それぞれの光学面に回折構造を形成する等、光ピックアップ装置を構成する光学素子の複数の光学面に回折構造を形成してもよい。
本発明における実質的に位相に変化を与えないとは、全く位相を変化させない場合に限らず、回折効率に大きな影響を与えない程度の位相変化の範囲(±0.2πラジアン程度の範囲)であれば良い。
なお、回折効率とは回折構造により生じる回折光の光量の比率を表すもので、全次数の回折光の回折効率の和は1となる。
また、最大の回折効率を有するL次(M次)回折光とは、波長λ1(λ2)の光が光学素子に入射したときに、回折光の回折効率が理論的に他の次数と比較して最大となる回折次数L(M)における回折光を指す。
また、本明細書において、光学素子の像側の開口数とは、その光学素子のうち最も光情報記録媒体側に位置するレンズ面の開口数を指すものである。
また、開口数とは、光ピックアップ装置に設けられた絞りやフィルタ等の絞り機能を有する部品又は部材や、光学素子が備える回折構造などによって、最良像点におけるスポットの形成に寄与する光束が制限された結果として定義される開口数である。
そして、光路差付与構造が、回折作用を有する構造によって回折された最大の回折効率を有する波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光のうち少なくとも一方に対して位相に変化を与えることにより、光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくする。
従って、波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光の双方を、回折効率が高い状態で出射することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られる。
請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子であって、前記回折作用を有する構造が光軸方向に沿った階段状の不連続面を有し、前記光路差付与構造が光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子であって、光学面が光軸を中心とする略円形の中央領域(A1)と、中央領域の周辺に位置する周辺領域(A2)の2つの領域を備え、中央領域に前記回折作用を有する構造と光路差付与構造とを備え、周辺領域に光路差付与構造を備えることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子であって、光学面が光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の周辺に位置する周辺領域の2つの領域を備え、中央領域に前記回折作用を有する構造と光路差付与構造とを備え、周辺領域に光束を屈折させる屈折構造を備えることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学素子であって、L=M=1であることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学素子であって、前記波長λ1が、370nm≦λ1≦430nmであり、前記波長λ2が、620nm≦λ2≦680nmであることを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学素子であって、前記回折作用を有する構造は、前記波長λ1の光束のL次回折光の回折効率と前記波長λ2の光束のM次回折光の回折効率の和が170%以下となる構造であるとともに、前記光路差付与構造が、前記波長λ1の光束のL次回折光の回折効率と前記波長λ2の光束のM次回折光の回折効率の和が10%以上向上する構造であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、請求項1〜15のいずれか一項と同様の効果を得られると共に、対物光学素子に対して第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射した場合に、球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させる。
従って、従来の無限系の光ピックアップ装置において用いられていた、光源からの出射光束を平行光化させて対物光学素子に入射させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
なお、対物光学素子が波面収差を0.05λrms以内に収められるよう補正した状態で集光させることが望ましい。
請求項17に記載の発明によれば、請求項16と同様の効果を得られる。
また、一般的に、光源から対物光学素子までの距離が遠くなると光量のロスが大きくなるので、結像倍率mは可能な限り小さくすることが望ましいが、一方で、結像倍率mが小さすぎると温度変化やトラッキングに基づく収差の発生量が大きくなるという問題がある。そこで、上記範囲内に結像倍率を収めることにより、光量の確保と収差の抑制を同時に達成することが可能となる。
また、カップリングレンズが不要となるので、光ピックアップ装置の部品点数の削減や、カップリングレンズの取付け誤差に起因する各種収差の発生を防止することができる。
なお、結像倍率mを−0.148≦m≦−0.117の範囲内とすることがより好ましい。
そして、光路差付与構造が、回折作用を有する構造によって回折された最大の回折効率を有する波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光のうち少なくとも一方に対して位相に変化を与えることにより、光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくする。
従って、波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光の双方を、回折効率が高い状態で出射することができる。
請求項20に記載の発明によれば、請求項19と同様の効果を得られると共に、対物光学素子に対して第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射した場合に、球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させる。
従って、従来の無限系の光ピックアップ装置において用いられていた、光源からの出射光束を平行光化させて対物光学素子に入射させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
なお、対物光学素子が波面収差を0.05λrms以内に収められるよう補正した状態で集光させることが望ましい。
請求項21に記載の発明によれば、請求項19又は20と同様の効果を得られると共に、光量の確保と収差の抑制を同時に達成することが可能となる。
また、カップリングレンズが不要となるので、光ピックアップ装置の部品点数の削減や、カップリングレンズの取付け誤差に起因する各種収差の発生を防止することができる。
なお、結像倍率mを−0.148≦m≦−0.117の範囲内とすることがより好ましい。
この際の対物レンズ10による波長λ1の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面6で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り11を介して、ビームスプリッタ9を経て、コリメータ7を通過し、収束光となる。さらに、ビームスプリッタ8で反射され、シリンドリカルレンズ12により非点収差が与えられ、凹レンズ13を経て、光検出器14上ヘ入射し、光検出器14から出カされる信号を用いて、高密度DVD2に記録された情報の読み取り信号が得られる。
この際の対物レンズ10による波長λ2の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面6で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り11を介して、ビームスプリッタ9で反射され、コリメータ16を透過し、収束光となる。さらに、ビームスプリッタ15で反射され、シリンドリカルレンズ17により非点収差が与えられ、凹レンズ18を経て、光検出器19上ヘ入射し、光検出器19から出力される信号を用いて、DVD4に記録された情報の読み取り信号が得られる。
具体的には、対物レンズ10は光軸を中心とした複数の鋸刃状の回折輪帯21からなる回折構造20を備えており、各回折輪帯21の光学面は鋸歯状の回折作用を有する構造22を備え、さらに、回折作用を有する構造22を通過する光束に対して所定の光路差を付与する階段形状の不連続面31(分割面)からなる光路差付与構造30を備えている。
本実施の形態においては、分割面31は一つの回折輪帯21に対して2つ設けられている。
図3(a)中に二点鎖線で示す線は図3(b)に示すような周知の鋸歯状回折構造での波長λ1の1次回折光の光束に対する位相差を、一点鎖線で示す線は波長λ2の1次回折光の光束に対する位相差を表すものである。
図3(a)中に実線で示す線は、図3(c)に示す本発明における光路差付与構造を有する回折構造での波長λ1の1次回折光の光束に対する位相差を、点線で示す線は波長λ2の1次回折光に対する位相差を表すものである。
各分割面31の深さd1は、波長λ1の2波長分の光路差が生じる深さとなっている。つまり、一つの分割面31を通過する波長λ1の光束と、その隣の分割面31を通過する波長λ1の光束との間に、波長λ1のほぼ2倍の光路差が生じ、かつ波面のずれが生じない長さに設定されている。
例えば、図3に示すように、波長λ1(405nm)の光束が光学素子に入射した場合、上述のように、各分割面の表面31aの形状は、図3(b)に示した鋸歯状の回折輪帯21の表面の形状を、各分割面31に対応する区間で分割して、光軸L方向に、波長λ1の光束に対して2波長分の光路差が付与されるように移動させた形状に近似したものとなっている。
従って、図3(a)に示すように、波長λ1の光束に対し、光路差付与構造30による2波長分の光路差を付与する前(二点鎖線)と後(実線)で、位相差の分布がほぼ一致する構造となっている。つまり、波長λ1の光束の1次回折光に対して位相の変化がほとんど生じない構造となっている。
一方、波長λ2の光束が光学素子に入射した場合、周知の回折構造では波長λ2の光束には回折構造により波長λ1の光束に対して最大で約0.6波長分の光路差が生じる。
また、波長λ2の光束には光路差付与構造30により0.6×2=1.2波長分の光路差が付与される。従って合計で1.8波長分の光路差が生じることになる。
ところが、光学素子が光路差付与構造30を備えていることにより、波長λ1の光束と波長λ2の光束の位相差は最大で2.0−1.8=0.2波長分、つまり、つまり図3(a)中に矢印で示すように約0.4πラジアンとなり、回折構造のみを備えている場合と比較して小さくなることが分かる。
なお、位相差の絶対値を0.6πラジアンより小さい範囲内に収めることが望ましい。
図4は、この際の、光源波長を350nm〜800nmの範囲で変化させた場合の、−2次回折光から+2次回折光の回折効率を計算したものである。
図4から分かるように、波長400nm付近における−1次回折光の回折効率がほぼ100%となるだけでなく、波長650nm付近でも回折効率を85%程度に維持することができ、十分な光量を確保できる。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び光学素子10の第1の実施例について説明する。
本実施例においては、図2に示すように、両面非球面の単レンズである光学素子としての対物レンズの一方(光源側)の光学面上であって、光軸から一定高さ以下(本実施例においては1.2mm以下)の範囲A1(以下、「中央領域A1」という。)に回折構造20と光路差付与構造30を備えるものである。
また、光源側の光学面上であって、中央領域A1以外の範囲A2(以下、「周辺領域A2」という。)には、通常の鋸歯状回折輪帯が形成されている。
一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
また、回折作用を有する構造22を波長λ1の1次回折光の回折効率が約100%となるよう設定し、光路差付与構造30において、波長λ1の整数倍の光路差が付与されるように設定している。
表1、表2に対物レンズのレンズデータを示す。
表1中の面番号2、2´、3はそれぞれ、対物レンズ10の光源側の光学面10aのうち、光軸Lからの高さhが1.20mm以下の中央領域A1、光軸Lからの高さが1.20mm以上の周辺領域A2、対物レンズ10の光情報記録媒体側の光学面10bを示しており、面番号4、5はそれぞれ、光情報記録媒体の保護基板の表面、記録層を表している。また、Riは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の変位量、niは各面の屈折率を表している。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び光学素子10の第2の実施例について説明する。
本実施例においても、上記実施例1と同様に、図2に示すような両面非球面の単レンズである光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10a上であって、光軸から1.34mm以下の中央領域A1に回折構造20と光路差付与構造30を備えるものである。
また、周辺領域A2には通常の鋸歯状回折輪帯が形成されている。
一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
また、回折作用を有する構造22を波長λ1の1次回折光の回折効率が約100%となるよう設定し、光路差付与構造30において、波長λ1の整数倍の光路差が付与されるように設定している。
表4、表5に対物レンズのレンズデータを示す。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び光学素子10の第3の実施例について説明する。
本実施例においては、図5に示すように、両面非球面の単レンズである光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10aのほぼ全面に回折構造20と光路差付与構造30を備えるものである。
一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
また、回折作用を有する構造22を波長λ1の1次回折光の回折効率が約100%となるよう設定し、光路差付与構造30において、波長λ1の整数倍の光路差が付与されるように設定している。
表6、表7に対物レンズのレンズデータを示す。
本実施例では、各回折輪帯の回折効率は、波長λ1の1次回折光に対し約100%、波長λ2の1次回折光に対し約85%の回折効率を得られる。これは、周知の回折構造に比べ約30%高い回折効率となる。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び光学素子10の第4の実施例について説明する。
本実施例においては、上記実施例3と同様に、図5に示す両面非球面の単レンズである光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10aのほぼ全面に回折構造20と光路差付与構造30を備えるものである。
一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
また、回折作用を有する構造22を波長λ1、λ2の光束双方の1次回折光が約80%となるよう設定し、光路差付与構造30において、波長λ1、λ2の光束双方に対して、それぞれの波長の整数倍ではない光路差が付与されるように設定している。
表8、表9に対物レンズのレンズデータを示す。
次に、本発明の光学素子及び光ピックアップ装置の第5の実施例について、図9を用いて説明する。
光ピックアップ装置70は、第一の光情報記録媒体80(本実施例においてはDVD)に対して第一の半導体レーザ71(光源)から波長λ1(=655nm)の光束を出射し、第二の光情報記録媒体81(本実施例においてはCD)に対して第二の半導体レーザ72(光源)から波長λ2(=785nm)の光束を出射する。そして、これら光束を対物レンズ10(対物光学素子)に発散光として入射させ、所定の光情報記録媒体の情報記録面80a、81aに集光させることによって、各種情報の記録や記録した情報の読み取りを行なうものである。
なお、第一の半導体レーザ71と第二の半導体レーザ72は光源としてユニット化されているため、図9には、各半導体レーザから出射される波長λ1の光束と波長λ2の光束をまとめて実線で表すものとする。
そして、情報記録面80aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り75、ハーフミラー74を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器76上ヘ入射し、光検出器76から出カされる信号を用いて、DVD80に記録された情報の読み取り信号が得られる。
そして、情報記録面81aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り75、ハーフミラー74を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器76上ヘ入射し、光検出器76から出カされる信号を用いて、CD81に記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、周辺領域A2には通常の鋸歯状回折輪帯が形成されており、この回折輪帯による、周辺領域A2を通過する波長λ1の光束の1次回折光の回折効率がほぼ100%となるように設定されている。
一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
各分割面31の深さd1は、波長λ2の1波長分の光路差が生じる深さとなっている。つまり、一つの分割面31を通過する波長λ2の光束と、その隣の分割面31を通過する波長λ2の光束との間に、波長λ2のほぼ倍の光路差が生じ、かつ波面のずれが生じない長さに設定されている。
また、回折作用を有する構造22を波長λ2の1次回折光の回折効率が約100%となるよう設定している。
表10、表11に対物レンズのレンズデータを示す。
ここで、周知の回折構造(鋸歯状の回折構造)を備える光学素子及び光ピックアップ装置では、回折効率は波長λ1の1次回折光に対し約90%、波長λ2の1次回折光に対し約100%となる。
従って、本実施例に示した光学素子10及び光ピックアップ装置70では、周知の回折構造に比べ波長λ1の光束に対して約6%の光量増加を達成できる。
また、一つの回折輪帯21に形成されている各分割面31が、光軸Lから離れるに従って光源側に突出する形状であっても良い。
A2 周辺領域
L 光軸
1 光ピックアップ装置
2 第1の光情報記録媒体
3 第1の光源
4 第2の光情報記録媒体
5 第2の光源
10 光学素子
10a 光学面
20 回折構造
21 回折輪帯
22 回折作用を有する構造
30 光路差付与構造
31 階段状の不連続面(分割面)
70 光ピックアップ装置
71 第1の光源
72 第2の光源
80 第1の光情報記録媒体
81 第2の光情報記録媒体
Claims (21)
- 第1の光源から出射される第1の波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2の光源から出射される第2の波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置の光学素子であって、
少なくとも一つの光学面に光軸を中心とした複数の回折輪帯からなる回折構造を備えると共に、前記複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の光学面に、この輪帯を通過する所定の光束に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を備え、
前記回折構造の光学面は、光路差付与構造が無いと仮定した場合、前記波長λ1の光束のL次(L≠0)回折光が最大の回折効率となる回折作用を有し、波長λ2の光束のM次(M≠0)回折光が最大の回折効率となる回折作用を有する構造であり、
前記光路差付与構造は、前記回折作用を有する構造によって生じる前記波長λ1の光束のL次回折光又は前記波長λ2の光束のM次回折光の少なくとも一方に対しては位相に変化を与えることにより、前記光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、前記波長λ1の光束のL次回折光と前記波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくすることを特徴とする光学素子。 - 請求項1に記載の光学素子であって、
前記光路差付与構造は、前記回折作用を有する構造によって生じる前記波長λ1の光束のL次回折光又は前記波長λ2の光束のM次回折光のどちらか一方に対しては実質的に位相に変化を与えず、他方に対しては位相差を与えることにより、前記光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、前記波長λ1の光束のL次回折光と前記波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくすることを特徴とする光学素子。 - 請求項1に記載の光学素子であって、
前記光路差付与構造は、前記回折作用を有する構造によって生じる前記波長λ1の光束のL次回折光又は前記波長λ2の光束のM次回折光の両方に対して位相差を与えることにより、前記光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、前記波長λ1の光束のL次回折光と前記波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくすることを特徴とする光学素子。 - 請求項1又は2に記載の光学素子であって、
前記光路差付与構造が、前記波長λ1の光束のL次回折光に対して前記波長λ1のほぼ整数倍の光路差を付与することにより、前記回折構造により生じることになる位相差に実質的に変化を与えず、前記波長λ2の光束のM次回折光に対して、前記波長λ2の非整数倍の光路差を付与することにより、前記光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、前記波長λ1の光束のL次回折光と前記波長λ2の光束のM次回折との位相差の絶対値を小さくすることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記光路差付与構造が、前記位相差の絶対値を0.6πラジアンより小さい範囲内に収めることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記回折作用を有する構造が鋸歯状の不連続面を有し、
前記光路差付与構造が光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記回折作用を有する構造が光軸方向に沿った階段状の不連続面を有し、
前記光路差付与構造が光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記光学面が光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の周辺に位置する周辺領域の2つの領域を備え、
中央領域に前記回折作用を有する構造と光路差付与構造とを備え、
周辺領域に鋸歯状の回折構造を備えることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子であって、
光学面が光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の周辺に位置する周辺領域の2つの領域を備え、
中央領域に前記回折作用を有する構造と光路差付与構造とを備え、
周辺領域に光路差付与構造を備えることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子であって、
光学面が光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の周辺に位置する周辺領域の2つの領域を備え、
中央領域に前記回折作用を有する構造と光路差付与構造とを備え、
周辺領域に光束を屈折させる屈折構造を備えることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学素子であって、
L=Mであることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学素子であって、
L=M=1であることを特徴とする光学素子。 - 請求項6〜12のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記光路差付与構造を構成する光軸方向に沿った階段状の不連続面の数が2又は3であることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記波長λ1が、
370nm≦λ1≦430nm
であり、
前記波長λ2が、
620nm≦λ2≦680nm
であることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記回折作用を有する構造は、前記波長λ1の光束のL次回折光の回折効率と前記波長λ2の光束のM次回折光の回折効率の和が170%以下となる構造であるとともに、前記光路差付与構造が、前記波長λ1の光束のL次回折光の回折効率と前記波長λ2の光束のM次回折光の回折効率の和が10%以上向上する構造であることを特徴とする光学素子。 - 請求項1〜15のいずれか一項に記載の光学素子であって、
前記第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射し、これら第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束を球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項16に記載の対物光学素子であって、
結像倍率mが、
−0.295≦m≦−0.049
であることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項16又は17に記載の対物光学素子であって、
光源側の光学面の近軸の曲率半径をR1、光情報記録媒体側の光学面の近軸の曲率半径をR2としたとき、
−3.2<R2/R1<−1.9
であることを特徴とする対物光学素子。 - 複数の光学素子を備えると共に、第1の光源から出射される第1の波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、第2の光源から出射される第2の波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
前記光学素子の少なくとも一つが、少なくとも一つの光学面に光軸を中心とした複数の回折輪帯からなる回折構造を備えると共に、前記複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の光学面に、この輪帯を通過する所定の光束に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を備え、
前記回折構造の光学面は、光路差付与構造が無いと仮定した場合、前記波長λ1の光束のL次(L≠0)回折光が最大の回折効率となる回折作用を有し、波長λ2の光束のM次(M≠0)回折光が最大の回折効率となる回折作用を有する構造であり、
前記光路差付与構造は、前記回折作用を有する構造によって生じる前記波長λ1の光束のL次回折光又は前記波長λ2の光束のM次回折光の少なくとも一方に対しては位相に変化を与えることにより、前記光路差付与構造が無いと仮定した場合よりも、前記波長λ1の光束のL次回折光と前記波長λ2の光束のM次回折光との位相差の絶対値を小さくすることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 請求項19に記載の光ピックアップ装置であって、
前記複数の光学素子のうちの一つが対物光学素子であり、この対物光学素子に前記第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射し、これら第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束を球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 請求項19又は20に記載の光ピックアップ装置であって、
結像倍率mが、
−0.295≦m≦−0.049
であることを特徴とする光ピックアップ装置。
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JP2000155976A (ja) * | 1998-11-17 | 2000-06-06 | Samsung Electronics Co Ltd | 光ディスクドライブの光ピックアップ |
JP2001216674A (ja) * | 1999-11-22 | 2001-08-10 | Asahi Optical Co Ltd | 光ヘッド用対物レンズ |
JP2005513704A (ja) * | 2001-12-21 | 2005-05-12 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ | 光記録担体を走査する光学装置 |
-
2009
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