JP2005038585A - 光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子 - Google Patents

光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 使用する波長が異なる複数種類の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録に用いられ、軸外特性の向上、温度特性及び色収差の補正を行なうことができる光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも第1波長λ1及び第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて第1及び第2光情報記録媒体20及び21に対して情報の再生等を行う光ピックアップ装置10において、両光束が共に通過する共通光路上に配置される光学素子の少なくとも1つの光学面に波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段30を有し、他の少なくとも1つの光学面に波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段50を有し、各位相変調手段は、所定数の段部からなる階段形状の不連続部位が光軸を中心として同心円状に周期的に形成されて構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、光情報記録媒体の情報記録面に光束を集光させる光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子に関する。
近年、短波長赤色レーザの実用化に伴い、CD(コンパクトディスク)と同程度の大きさで大容量化させた高密度の光情報記録媒体(光ディスクともいう)であるDVD(デジタルヴァーサタイルディスク)が製品化されている。
また、上述したCD、DVDの他に、光源波長や保護基板厚が異なる種々の規格の光ディスク、例えばCD−R,RW(追記型コンパクトディスク)、VD(ビデオディスク)、MD(ミニディスク)、MO(光磁気ディスク)なども商品化されている。
さらに半導体レーザの短波長化が進み、例えば波長400nm程度の青紫色半導体レーザ光源と、像側開口数(NA)を0.85程度まで高めた対物レンズを用いた保護基板厚0.1mm程度の高密度光ディスクや、像側開口数(NA)を0.65程度とした対物レンズを用いた保護基板厚0.6mm程度の高密度光ディスクの研究・開発も進んでいる。
そして、複数の光ディスクの各情報記録面に対して異なる波長の光束を一つの対物レンズにより収束させる、いわゆる互換性を有する光ピックアップ装置が提案されている。
一般的に、互換性を有する光ピックアップ装置においては、各光情報記録媒体(例えばDVDとCD)の保護基板厚及び使用する光束の波長が異なるため、DVDとCDの両者に対して球面収差及び波面収差を補正しつつ、さらに軸外におけるコマ収差を補正するための正弦条件を満足させることが困難であるという問題がある。
また、温度変化に伴う光学素子の波面収差変化を補正する「温度特性の補正」や、光束の波長変化時に光学素子で発生する軸上色収差や球面収差の変化(色収差)に起因して集光スポットのフォーカス位置がずれることで波面収差が劣化するので、光束の波長変化に対する光学素子の色収差補正する色収差の補正を各光情報記録媒体に対して行なうのが困難であるという問題がある。
そこで、従来より、互換性を有する光ピックアップ装置において、対物レンズの表面や対物レンズとは別体に配置した光学素子の表面に輪帯状や格子状の回折構造を形成したものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1に開示された装置は、波長が異なる2種類の光束に対して対物レンズの両面に設けた回折構造により回折作用を与えることで得られる同一次数の回折光を利用して上記各種補正等を行なうものである。
特許文献2には、階段状の段差からなる回折構造(ゾーンプレート)が形成された対物レンズを備える光ピックアップ装置が開示されている。
この装置は、コリメータレンズにより平行光化された波長650nmと780nmの2種類の波長のうち、波長650nmの光束に対して対物レンズの凸面形状及び対物レンズ両表面の非球面形状によって屈折作用を与えることでDVDの記録面上に収束させ、波長780nmの光束に対してゾーンプレートにより回折作用を与えることで収差補正した状態でCD−Rの記録面上に収束させるものである。なお、ゾーンプレートは波長選択性を有しており、波長650nmの光束に対しては回折作用を与えないように設計されている。
特開2001−147367号公報 特開2002−277732号公報
しかし、上記特許文献1の場合、各光束に対して同一の回折構造を用いる構成であるため、各光束に対して独立した上記各種補正等を行なうことが困難であるという問題があった。
また、上記特許文献2の場合、ゾーンプレートが2種類の光束のうち一方の光束に対してのみ回折作用を与え、他方の光束には回折作用を与えない構成であるため、回折光を利用することによる収差補正機能は当該一方の光束に対してのみ得られることになり、他方の光束に対しては回折光を利用した上記各種補正等を行なえないという問題がある。なお、特許文献2には対物レンズの入射面と出射面の両面にゾーンプレートを設ける技術も開示されているが、この場合でも、両面のゾーンプレートが共に一方の光束に対してのみ回折作用を与える構成であることに変わりなく、他方の光束に対する補正が不十分になるという問題を解消することはできない。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、使用する波長が異なる複数種類の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録に用いられ、軸外特性の向上、温度特性及び色収差の補正を行なうことができる光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子を提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置であって、
前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する共通光路上に配置される複数の光学素子の複数の光学面のうち、少なくとも1つの光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他の少なくとも1つの光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有し、
前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は、それぞれ、所定数の段部からなる階段形状の不連続部位が光軸を中心として同心円状に周期的に形成された構成であることを特徴とする。
ここで、本明細書中において光学素子とは、光ピックアップ装置の集光光学系を構成する、例えば、カップリングレンズ、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等の部材を指す。
また、光学素子としては、単一のレンズのみで構成されているものに限定されず、複数のレンズを光軸方向に組み合わせて構成されるレンズ群をまとめて光学素子としてもよい。
また、光情報記録媒体とはCD、DVD、CD−R、MD、MO、高密度DVD等の所定の波長の光束を用いて情報の再生及び/又は記録を行なう一般的な光ディスクを指す。
また、不連続部位とは、光軸を含む平面(子午断面)でその断面をみた場合に光軸方向に沿って連続する階段状の段部により構成される構造を指し、不連続部位に入射する所定の光束に対して位相差を付与することにより、この光束を回折させる作用を有する構造をいう。
また、本明細書中において位相差φは0≦φ<2π、もしくは−π<φ≦πの範囲とする。
また、位相変調手段が形成された光学面からは、0次回折光、±1次回折光、±2次回折光、・・・、と無数の次数の回折光が生じるが、不連続部位の形状を変更することにより、特定の次数の回折効率を他の次数の回折効率よりも高くしたり、場合によっては、特定の1つの次数(例えば、+1次回折光)の回折効率をほぼ100%とすることができる。
なお、回折効率とは不連続部位により生じる回折光の光量の比率を表すもので、全次数の回折光の回折効率の和は1となる。
請求項1に記載の発明によれば、波長λ1の光束に対して第1位相変調手段のみにより回折作用が与えられ、波長λ2の光束に対して第2位相変調手段のみにより回折作用が与えられる。つまり、波長λ1の光束は第2位相変調手段の影響を受けず、波長λ2の光束は第1位相変調手段の影響を受けないので、各波長の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、各光束に対する軸外特性を向上させること及び/又は温度特性の補正機能を向上させること及び/又は色収差の補正機能を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、
前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、対物レンズの加工性を向上できると共に、不連続部位に入射する発散光のうち、階段状の段部の表面(光学機能面)以外の部分(例えば側面)から入射する発散光の量が全光量に占める割合を抑えて、光量の低下を防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、
前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束のみを所定の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録に用いるので、対物光学素子に周辺領域を通過した他方の光束に対する開口制限機能を持たせることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の光ピックアップ装置において、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束を所定の光情報記録媒体の情報記録面上に集光させ、他方の光束(例えばCD用として用いられる波長λ2の光束)をCDの情報記録面外に集光させることができるので、CDに対する情報の再生及び/又は記録を行なう際に、開口制限フィルタ等の部材を用いることなく開口数を制限することが可能となり、光ピックアップ装置の部品点数を削減できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が前記複数の光学素子のうち単一の光学素子に形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が形成された前記単一の光学素子が対物光学素子であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m1及び前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m2が、
−0.005≦m1≦0.005
−0.005≦m2≦0.005
を満たすことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率と前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率とが異なることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束は前記対物光学素子に対して無限光として入射し、前記波長λ2の光束は前記対物光学素子に対して発散光として入射することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、波長λ2の光束を発散光として対物光学素子に入射させるので、波長λ2の光束を平行光として入射させる場合と比較して、球面収差の発生量を抑えることが可能となる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束と前記波長λ2の光束が共に前記対物光学素子に対して有限光として入射することを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、波長λ1の光束とλ2の光束を共に有限光として対物光学素子に入射させるので、これら光束を平行光として入射させる場合と比較して、球面収差の発生量を抑えることが可能となる。
また、無限系の光ピックアップ装置と比較して、光源からの出射光束を平行光化させて対物光学素子に入射させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の光ピックアップ装置において、前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m1及び前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m2が、
−0.295≦m1≦−0.049
−0.295≦m2≦−0.049
を満たすことを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、カップリングレンズが不要となり、光ピックアップ装置の部品点数を削減することができる。
なお、結像倍率mを−0.15≦m≦−0.01の範囲内とすることがより好ましい。
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
600nm≦λ1≦700nm
750nm≦λ2≦850nm
を満たすことを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、DVD/CD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
350nm≦λ1≦450nm
600nm≦λ2≦700nm
を満たすことを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、高密度光ディスク/DVD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項16に記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置することを特徴とする。
請求項17記載の発明は、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項18記載の発明は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項1〜18のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行な
うことができることを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれば、3種類の光情報記録媒体間での互換性を有する光ピックアップ装置に対しても、少なくとも2種類の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、これら光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
請求項20に記載の発明は、少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置用の集光光学系であって、
前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する、光ピックアップ装置内の共通光路上に、配置され得る複数の光学素子を有し、これら複数の光学素子の複数の光学面のうち、少なくとも1つの光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他の少なくとも1つの光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有し、
前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は、それぞれ、所定数の段部からなる階段形状の不連続部位が光軸を中心として同心円状に周期的に形成された構成であることを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、波長λ1の光束に対して第1位相変調手段のみにより回折作用が与えられ、波長λ2の光束に対して第2位相変調手段のみにより回折作用が与えられる。つまり、波長λ1の光束は第2位相変調手段の影響を受けず、波長λ2の光束は第1位相変調手段の影響を受けないので、各波長の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、各光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項20又は21に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする。
請求項22に記載の発明によれば、対物レンズの加工性を向上できると共に、不連続部位に入射する発散光のうち、階段状の段部の表面(光学機能面)以外の部分(例えば側面)から入射する発散光の量が全光量に占める割合を抑えて、光量の低下を防止することができる。
請求項23に記載の発明は、請求項20〜22のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする。
請求項23に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束のみを所定の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録に用いるので、対物光学素子に周辺領域を通過した他方の光束に対する開口制限機能を持たせることができる。
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする。
請求項25に記載の発明は、請求項23又は24に記載の集光光学系において、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする。
請求項25に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束を所定の光情報記録媒体の情報記録面上に集光させ、他方の光束(例えばCD用として用いられる波長λ2の光束)をCDの情報記録面外に集光させることができるので、CDに対する情報の再生及び/又は記録を行なう際に、開口制限フィルタ等の部材を用いることなく開口数を制限することが可能となり、光ピックアップ装置の部品点数を削減できる。
請求項26に記載の発明は、請求項20〜25のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が前記複数の光学素子のうち単一の光学素子に形成されていることを特徴とする。
請求項27に記載の発明は、請求項26に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が形成された前記単一の光学素子が光ピックアップ装置用の対物光学素子であることを特徴とする。
請求項28に記載の発明は、請求項20〜27のいずれか一項に記載の集光光学系において、
600nm≦λ1≦700nm
750nm≦λ2≦850nm
を満たすことを特徴とする。
請求項28に記載の発明によれば、DVD/CD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項29に記載の発明は、請求項20〜27のいずれか一項に記載の集光光学系において、
350nm≦λ1≦450nm
600nm≦λ2≦700nm
を満たすことを特徴とする。
請求項29に記載の発明によれば、高密度光ディスク/DVD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項30に記載の発明は、請求項20〜29のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置されることを特徴とする。
請求項31記載の発明は、請求項20〜30のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項32記載の発明は、請求項20〜31のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項33に記載の発明は、請求項20〜31のいずれか一項に記載の集光光学系において、前記光ピックアップ装置は、第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行なうこができることを特徴とする。
請求項33に記載の発明によれば、3種類の光情報記録媒体間での互換性を有する光ピックアップ装置に対しても、少なくとも2種類の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、これら光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
請求項34に記載の発明は、少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置用の光学素子であって、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する、光ピックアップ装置内の共通光路上に配置され、一方の光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他方の光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有することを特徴とする。
請求項34に記載の発明によれば、波長λ1の光束に対して第1位相変調手段のみにより回折作用が与えられ、波長λ2の光束に対して第2位相変調手段のみにより回折作用が与えられる。つまり、波長λ1の光束は第2位相変調手段の影響を受けず、波長λ2の光束は第1位相変調手段の影響を受けないので、各波長の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、各光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
請求項35に記載の発明は、請求項34に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は所定数の段部からなる階段形状の不連続部位を光軸を中心として同心円状に周期的に形成することで構成されており、前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする。
請求項36に記載の発明は、請求項34又は35に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする。
請求項36に記載の発明によれば、対物レンズの加工性を向上できると共に、不連続部位に入射する発散光のうち、階段状の段部の表面(光学機能面)以外の部分(例えば側面)から入射する発散光の量が全光量に占める割合を抑えて、光量の低下を防止することができる。
請求項37に記載の発明は、請求項34〜36のいずれか一項に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする。
請求項37に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束のみを所定の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録に用いるので、対物光学素子に周辺領域を通過した他方の光束に対する開口制限機能を持たせることができる。
請求項38に記載の発明は、請求項37に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする。
請求項39に記載の発明は、請求項37又は38に記載の光学素子において、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする。
請求項39に記載の発明によれば、周辺領域を通過する波長λ1の光束及び波長λ2の光束のうちいずれか一方の光束を所定の光情報記録媒体の情報記録面上に集光させ、他方の光束(例えばCD用として用いられる波長λ2の光束)をCDの情報記録面外に集光させることができるので、CDに対する情報の再生及び/又は記録を行なう際に、開口制限フィルタ等の部材を用いることなく開口数を制限することが可能となり、光ピックアップ装置の部品点数を削減できる。
請求項40に記載の発明は、請求項34〜39のいずれか一項に記載の光学素子において、光ピックアップ装置用の対物光学素子であることを特徴とする。
請求項41に記載の発明は、請求項34〜40のいずれか一項に記載の光学素子において、前記波長λ1及び前記波長λ2は、
600nm≦λ1≦700nm
750nm≦λ2≦850nm
を満たすことを特徴とする。
請求項41に記載の発明によれば、DVD/CD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項42に記載の発明は、請求項34〜40のいずれか一項に記載の光学素子において、前記波長λ1及び前記波長λ2は、
350nm≦λ1≦450nm
600nm≦λ2≦700nm
を満たすことを特徴とする。
請求項42に記載の発明によれば、高密度光ディスク/DVD間で互換性を有する光ピックアップ装置を得られる。
請求項43に記載の発明は、請求項34〜42のいずれか一項に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置されることを特徴とする。
請求項44記載の発明は、請求項34〜43のいずれか一項に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項45記載の発明は、請求項34〜44のいずれか一項に記載の光学素子において、前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする。
請求項46に記載の発明は、請求項34〜45のいずれか一項に記載の光学素子において、前記光ピックアップ装置は、第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行なうことができることを特徴とする。
請求項46に記載の発明によれば、3種類の光情報記録媒体間での互換性を有する光ピックアップ装置に対しても、少なくとも2種類の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、これら光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
本発明によれば、波長λ1の光束は第2位相変調手段の影響を受けず、波長λ2の光束は第1位相変調手段の影響を受けないので、各波長の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、各光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
本発明の光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、光ピックアップ装置10は、第1光情報記録媒体20(本実施の形態においてはDVD)に対して第1の半導体レーザ11(第1光源)から波長λ1(600nm≦λ1≦700nm、例えば650nm)の光束を出射し、第2光情報記録媒体21(本実施の形態においてはCD)に対して第2の半導体レーザ12(第2光源)から波長λ2(750nm≦λ2≦850nm、例えば780nm)の光束を出射する。そして、これら光束を発散光として第1位相変調手段及び第2位相変調手段を備える光学素子としての対物レンズ40(対物光学素子)に入射させ、所定の光情報記録媒体の情報記録面20a、21aに集光させることによって、各種情報の記録や記録した情報の読み取りを行なうものである。
なお、図2に示すように、第1の半導体レーザ11と第2の半導体レーザ12は光源としてユニット化されているため、図1には、各半導体レーザから出射される波長λ1の光束と波長λ2の光束をまとめて実線で表すものとする。
DVDに情報を記録又は再生する場合は、第1の半導体レーザ11から出射された波長λ1の光束は回折格子13を通過し、ハーフミラー14で反射する。さらに絞り15によって絞られ、対物レンズ40によりDVDの保護基板20bを介して情報記録面20aに集光される。この際の対物レンズ40による波長λ1の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面20aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ40、絞り15、ハーフミラー14を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器16上ヘ入射し、光検出器16から出力される信号を用いて、DVDに記録された情報の読み取り信号が得られる。
CDに情報を記録又は再生する場合も同様に、第2の半導体レーザ12から出射された波長λ2の光束が回折格子13を通過して、ハーフミラー14で反射する。さらに絞り15によって絞られ、対物レンズ40によりCDの保護基板21bを介して情報記録面21aに集光される。なお、図1には便宜上、CDの保護基板21bとDVDの保護基板20bを同じ図で表している。この際の対物レンズ40による波長λ2の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面21aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ40、絞り15、ハーフミラー14を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器16上ヘ入射し、光検出器16から出カされる信号を用いて、CDに記録された情報の読み取り信号が得られる。
また、光検出器16上でのスポットの形状変化、位置変化による光量変化を検出して、合焦検出やトラック検出を行う。この検出結果に基づいて、図示しない2次元アクチュエータは第1の半導体レーザ11からの光束又は第2の半導体レーザ12からの光束がDVD又はCDの情報記録面20a、21a上に結像するように対物レンズ40を移動させるとともに、所定のトラックに結像するように対物レンズ40を移動させるようになっている。
なお、本実施の形態においては、回折格子13及び対物レンズ40により集光光学系が構成されている。
図3に示すように、対物レンズ40は、光ピックアップ装置10の集光光学系を構成する両面非球面の単レンズである。そして、対物レンズ40の一方(光源側)の光学面41a上に第1位相変調手段30を備え、対物レンズ40の他方(光情報記録媒体側)の光学面41b上に第2位相変調手段50を備える。
具体的には、図4(A)に示すように、第1位相変調手段30として光軸L方向に沿った所定数の段部31aからなる階段形状の不連続部位31が光軸Lを中心として同心円状に後述の光路差関数で規定されるピッチで形成されている。
各不連続部位31は光軸L方向に沿った階段状の5つの段部31aから構成されており、光軸Lに近づくにしたがって段部31aが前方に突出するように配置されている。
なお、一つの不連続部位31を構成する段部31aの数は5つ又は6つ(不連続部位の段数が4つ又は5つ)が好ましいが、4つから7つの範囲内であればよい。また、各不連続部位31が異なる数の段部31aから構成されていてもよい。
本実施の形態においては、図3に示すように、第1位相変調手段30の不連続部位31は光軸Lを中心として同心円状に所定の周期Pで4つ形成されている。
また、1つの不連続部位31を構成する複数の段部31a間の距離、即ち、連続する段部31aの1段分の深さd(図4(A)を参照。)を調節することによって、第1の波長λ1及び第2の波長λ2に対する位相差の付与量を調節することができる。本発明においては、第1位相変調手段30の各不連続部位31の段部の形状は、波長λ1の通過光束に対して位相差を付与し、波長λ2の通過光束に対して位相差を付与しないように設計されている。なお、このような不連続部位31の設計方法は従来より周知であるため説明を省略する。
また、第2位相変調手段50にも、第1位相変調手段30と同様に、光軸L方向に沿った所定数の段部31aからなる階段形状の不連続部位31が光軸Lを中心として同心円状に所定の周期Pで形成されている。
そして、第2位相変調手段50の各不連続部位31の段部の形状は、波長λ2の通過光束に対して位相差を付与し、波長λ1の通過光束に対して位相差を付与しないように設計されている。
第1位相変調手段30及び第2位相変調手段50各々を構成する不連続部位の数は4〜6の範囲内とすることが好ましい。これにより、対物レンズ40の加工性を向上できると共に、不連続部位31に入射する発散光のうち、階段状の段部31aの表面(光学機能面)以外の部分(例えば側面)から入射する発散光の量が全光量に占める割合を抑えて、光量の低下を防止することができる。
次に、対物レンズ40による波長λ1の光束及び波長λ2の光束に対する作用について説明する。
まず、波長λ1の発散光が対物レンズ40に入射すると、波長λ1の光束は入射面41aの非球面形状により屈折作用を受けると共に第1位相変調手段30により所定の位相差が付与されることで回折作用を受ける。そして波長λ1の光束は出射面41bに至るが、上述のように出射面41bに形成された第2位相変調手段50からは位相差を付与されないので、出射面41bの非球面形状により屈折作用のみを受けて出射される。出射された波長λ1の光束はDVDの情報記録面20a上に集光し、DVDに対する情報の記録又は再生に利用される。
一方、波長λ2の発散光が対物レンズ40に入射すると、上述のように入射面41aに形成された第1位相変調手段30からは位相差を付与されず、入射面41aの非球面形状により屈折作用のみを受けて出射面に至る。そして波長λ2の光束は出射面41bの非球面形状により屈折作用を受けると共に第2位相変調手段50により所定の位相差が付与されることで回折作用を受けて出射される。出射された波長λ2の光束はCDの情報記録面20b上に集光し、CDに対する情報の記録又は再生に利用される。
以上のように、本実施の形態に示した発明によれば、波長λ1の光束に対して第1位相変調手段30のみにより回折作用が与えられ、波長λ2の光束に対しては第2位相変調手段50のみにより回折作用が与えられる。つまり、波長λ1の光束は第2位相変調手段50の影響を受けず、波長λ2の光束は第1位相変調手段30の影響を受けないので、各波長の光束に対して独立して回折作用を与えることが可能となり、各光束に対する軸外特性を向上させることができ、また、温度特性及び色収差の補正機能を向上させることができる。
なお、第1位相変調手段30(第2位相変調手段50も同様)の形状は、図4(B)に示すように光軸Lから離れるにしたがって段部31aが前方に突出する形状であっても良く、また、図4(C)に示すように、段部31aの表面が光軸に対して垂直面内に位置する形状であってもよい。
また、図5に示す形状であってもよい。具体的には、対物レンズの入射面41a(出射面41bであってもよい)に、光軸Lを中心とした所定の非球面形状Sに対して実質的な傾きをもつ鋸歯状の不連続面である複数の回折輪帯32が形成されており、さらに、各回折輪帯32の光学面上には、これら回折輪帯32を通過する光束に対して所定の光路差を付与する、光軸に沿った階段状の段部31aからなる不連続部位31が形成されている。
そして、各段部の表面(光学機能面)の形状は、図5(A)、(B)中に二点鎖線で示した鋸歯状の回折輪帯32の表面の形状を、各段部31aに対応する区間で分割して、光軸L方向に平行移動させた形状に近似したものとなっている。
また、図6に示すように、対物レンズ40の一方あるいは両方の光学面を、光軸Lを中心とした一定高さh以下の範囲(以下、「中央領域A1」という。)と、中央領域A1以外の範囲(以下、「周辺領域A2」という。)とに区分して、中央領域A1に第1位相変調手段30及び第2位相変調手段50を設け、周辺領域A2に鋸歯状の回折輪帯60を設けたりあるいは周辺領域を屈折面で構成してもよい。
この場合、例えば周辺領域A2を通過する波長λ1及びλ2の光束の両者に対して回折輪帯60により回折作用を与え、波長λ1の光束をDVDの情報記録面20a上に集光させ、波長λ2の光束をCDの情報記録面20b外に集光させることにより、対物レンズ40に波長λ2の光束に対する開口制限機能を持たせることができる。
また、本実施の形態においては、第1の半導体レーザ11と第2の半導体レーザ12とが光源としてユニット化された構成とし、対物レンズ40の入射面41aに第1位相変調手段30、出射面41bに第2位相変調手段50が形成され、対物レンズ40に発散光が入射する構成としたが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば図7〜図12に示す構成であってもよい。
図7に示す光ピックアップ装置80は、対物レンズ40の直近に平板状の光学素子70(図8(A)〜(C)を参照。)を配置し、この光学素子70の光学面に第1位相変調手段30と第2位相変調手段50のうち少なくとも一方(図8においては第1位相変調手段30のみ)を形成したものである。
図9に示す光ピックアップ装置81は、第1の半導体レーザ11と第2の半導体レーザ12とを別体に備えるものであり、2つのビームスプリッタ17a、17bにより各光束を分岐させると共に、コリメートレンズ18により平行光(無限光)として対物レンズ40に入射させ、所定の光情報記録媒体からの反射光を光検出器16で読取る構成となっている。
また、図10に示す光ピックアップ装置82のように、波長λ1〜λ3の光束を出射する第1〜第3の半導体レーザ84、85、83を備え、波長λ3(350nm≦λ3≦450nm)の光束を光検出器86で読取り、波長λ1(600nm≦λ1≦700nm)と波長λ2(750nm≦λ2≦850nm)の光束を共通の光検出器87で読取る構成であってもよい。
この場合、第1位相変調手段30と第2位相変調手段50とにより波長λ1と波長λ2の光束に対して回折作用を与えることになり、第1位相変調手段30と第2位相変調手段50は、この2種類の光束の共通光路上に配置される光学素子の光学面に形成されるものとする。
なお、更に第3位相変調手段を設けて、第1位相変調手段30、第2位相変調手段50及び第3位相変調手段により波長λ1〜λ3の3種類の光束の全てに対してそれぞれに回折作用を与える構成であってもよい。
図11に示す光ピックアップ装置88は、図9に示した光ピックアップ装置81における、対物レンズ40とコリメートレンズ18との間に、平行平板状の光学素子70を配置させ、第1位相変調手段30及び第2位相変調手段50とを対物レンズ40の光学面にではなく、その光学素子70の光学面に形成した構成である点で、図9に示した光ピックアップ装置81と大きく異なる。その他の構成は、図9に示した光ピックアップ装置81と概略は同様である。
図12に示す光ピックアップ装置89は、図10に示した光ピックアップ装置82における、対物レンズ40の光源側に、平行平板状の光学素子70を配置させ、第1位相変調手段30及び第2位相変調手段50とをこの光学素子70の光学面に形成した構成である点で、図10に示した光ピックアップ装置82と大きく異なる。また、波長λ1〜λ3の光束を出射する第1〜第3の半導体レーザ90〜92を備え、波長λ1の光束と波長λ2の光束を共通の光検出器93で読取り、波長λ3の光束を光検出器94で読取る構成である。また更に、第1位相変調手段30により波長λ1の光束に対して回折作用を与え、第2位相変調手段50により波長λ2の光束に対して回折作用を与える構成である。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子の第1の実施例について説明する。
本実施例の光ピックアップ装置は、高密度光ディスクとDVDとの互換性を有するものである。そして、図3に示すような、両面非球面の単レンズである対物レンズ40の入射面41aの全域に第1位相変調手段30を備え、出射面41bの全域に第2位相変調手段50を備える。そして、図9に示すような、対物レンズ40に対して平行光が入射する構成となっている。但し、本実施例1では、第1の半導体レーザは波長λ1(350nm≦λ1≦450nm)の光束を出射するものであり、第2の半導体レーザは波長λ2(600nm≦λ2≦700nm)の光束を出射するものである。
なお、図3は本実施例で使用する対物レンズ40の概略図を示すものであり、本実施例の第1位相変調手段30及び第2位相変調手段50が備える不連続部位の数は図3とは異なる。
また、第1位相変調手段30は、図4(A)に示すように、光軸Lに近づくにしたがって段部31aが前方に突出するように配置されており、第2位相変調手段は、図4(B)に示すように、光軸Lから離れるにしたがって段部31aが前方に突出するように配置されている。
表1、表2に対物レンズのレンズデータを示す。
Figure 2005038585
表1に示すように、本実施例の対物レンズは、第1光源から出射される第1波長λ1=405nmのときの焦点距離f1=2.75mm、像側開口数NA1=0.65、結像倍率m=0.0に設定されており、第2光源から出射される第2波長λ2=660nmのときの焦点距離f2=2.82mm、像側開口数NA2=0.63、結像倍率m=0.0に設定されている。
表1中の面番号2、3はそれぞれ、対物レンズの入射面、出射面を示しており、面番号4、5はそれぞれ、光情報記録媒体の保護基板の表面、情報記録面を表している。また、Riは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の変位量、niは各面の屈折率を表している。
対物レンズの第2面、第3面は、それぞれ次式(数1)に表2に示す係数を代入した数式で規定される、光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
Figure 2005038585
ここで、X(h)は光軸方向の軸(光の進行方向を正とする)、κは円錐係数、A2iは非球面係数である。
Figure 2005038585
また、不連続部位nピッチPは数2の光路差関数に、表2に示す係数を代入した数式で規定される。
Figure 2005038585
ここで、B2iは光路差関数の係数である。
また、数3は、光軸からの任意の高さにおける波長λ1あるいは波長λ2の光束の光路差を表す数式、つまり第1位相変調手段及び第2位相変調手段が各光束に対して付与する波長差を表す数式である。
Figure 2005038585
また、λi、p、Mの値については、表3に示す。
Figure 2005038585
図13(A)は高密度光ディスク用としての波長λ1(405nm)の光束を用いた場合の対物レンズの像高特性を示すグラフであり、図13(B)はDVD用としての波長λ2(660nm)の光束を用いた場合の対物レンズの像高特性を示すグラフである。
各グラフ中の「COMA」はコマ収差を示すものであり、「RMS」は球面収差、コマ収差及び非点収差を足し合せた状態の波面収差を示すものである。
図13より、本実施例の対物レンズは、波長λ1の光束とλ2の光束に対して実用範囲内で良好な像高特性を有することが分かる。
図14(A)は波長λ1の光束を用いた場合(HD DVD)と波長λ2の光束を用いた場合(DVD)の縦球面収差を示すグラフであり、図14(B)は波長λ1の光束を用いた場合(HD DVD)と波長λ2の光束を用いた場合(DVD)の正弦条件違反量を示すグラフである。
図14より、本実施例の対物レンズは、波長λ1の光束とλ2の光束に対して実用範囲内で良好な縦球面収差の補正機能を有すると共に正弦条件違反量を有効に補正できることが分かる。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子の第2の実施例について説明する。
本実施例の光ピックアップ装置は、DVDとCDとの互換性を有するものである。そして、両面非球面の単レンズである対物レンズの入射面上であって光軸Lからの高さhが1.555mm以下の中央領域A1に第1位相変調手段を備え、出射面上であって光軸Lからの高さhが1.24mm以下の中央領域に第2位相変調手段を備える。そして、図1に示すような、対物レンズに対して発散光が入射する構成となっている。なお、本実施例においては入射面の周辺領域A2にも階段形状の不連続部位が形成されており、出射面の周辺領域A2には屈折面が形成されている。
第1位相変調手段は、図4(B)に示すように、光軸Lから離れるにしたがって段部31aが前方に突出するように配置されており、第2位相変調手段は、図4(A)に示すように、光軸Lに近づくにしたがって段部31aが前方に突出するように配置されている。
表4、表5に対物レンズのレンズデータを示す。
Figure 2005038585
表4に示すように、本実施例の対物レンズは、第1光源から出射される第1波長λ1=655nmのときの焦点距離f1=2.89mm、像側開口数NA1=0.60、結像倍率m=−0.125に設定されており、第2光源から出射される第2波長λ2=790nmのときの焦点距離f2=2.91mm、像側開口数NA2=0.47、結像倍率m=−0.124に設定されている。
表4中の面番号2、2´、3はそれぞれ、対物レンズの入射面のうち光軸Lからの高さhが1.555mm以下の中央領域A1、光軸Lからの高さが1.555mm以上の周辺領域A2、対物レンズの出射面を表している。
対物レンズの第2、第2´、第3面は、それぞれ上記(数1)に表4に示す係数を代入した数式で規定される、光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、不連続部位のピッチPは上記数2の光路差関数に、表5に示す係数を代入した数式で規定される。
Figure 2005038585
また、λi、p、Mの値については、表3に示す。
図15(A)はDVD用としての波長λ1(655nm)の光束を用いた場合の対物レンズの像高特性を示すグラフであり、図15(B)はCD用としての波長λ2(790nm)の光束を用いた場合の対物レンズの像高特性を示すグラフである。
各グラフ中の「COMA」はコマ収差を示すものであり、「RMS」は球面収差、コマ収差及び非点収差を足し合せた状態の波面収差を示すものである。
図15より、本実施例の対物レンズは、波長λ1の光束とλ2の光束に対して実用範囲内で良好な像高特性を有することが分かる。
図16(A)は波長λ1の光束を用いた場合(DVD)と波長λ2の光束を用いた場合(CD)の縦球面収差を示すグラフであり、図16(B)は波長λ1の光束を用いた場合(DVD)と波長λ2の光束を用いた場合(CD)の正弦条件違反量を示すグラフである。
図16より、本実施例の対物レンズは、波長λ1の光束とλ2の光束に対して実用範囲内で良好な縦球面収差の補正機能を有すると共に正弦条件違反量を有効に補正できることが分かる。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子の第3の実施例について説明する。
本実施例の光ピックアップ装置は、DVDとCDとの互換性を有するものである。そして、図11に示すように、両面非球面の単レンズである対物レンズ40に近接して、平行平板状の光学素子70(環境温度変化に伴う収差の発生を低減するための補正素子)を備え、光源からの光束は対物レンズ40に対して平行光が入射する構成となっている。そして、光学素子70の入射面(光源側の面)に第1位相変調手段〔30〕を備え、出射面(光情報記録媒体側の面)に第2位相変調手段〔50〕を備える。
図17は本実施例で使用する光学素子70及び対物レンズ40の概略図を示すものであり、本実施例の第1面(光学素子70の入射面)に第1位相変調手段30、第2面(光学素子70の出射面)に第2位相変調手段50を備え、第4,4'面(対物レンズ40の入射面)と、第5面(対物レンズ40の出射面)のうち、第4,4'面には、光軸を中心に輪帯状に形成され、断面が鋸歯状の回折構造を備える。第4面と第4'面のそれぞれの回折構造の輪帯ピッチは、数2で表される光路差関数により定義される。このように第4面と第4'面の2つの領域で構成され、波長λ2(790nm)の光束のうち第4'面の領域を通過した光束は、第2光情報記録媒体(CD)の情報記録面上に集光しないように設計されている。また、光学素子70の第1面に形成された第1位相変調手段の回折作用により第1光情報記録媒体(DVD)の記録又は再生の際に、環境温度変化(例えば0℃〜85℃)に伴う屈折率変化による球面収差と、環境温度変化に伴う波長変化による球面収差とが、互いに打ち消し合う方向に作用するよう設計されている。
表6に、光学素子及び対物レンズのレンズデータを示す。
Figure 2005038585
表6に示すように、本実施例の対物レンズは、第1光源から出射される第1波長λ1=655nmのときの焦点距離f1=3.05mm、像側開口数NA1=0.65、結像倍率m=0.0に設定されており、第2光源から出射される第2波長λ2=790nmのときの焦点距離f2=3.06mm、像側開口数NA2=0.51、結像倍率m=0.0に設定されている。
表6中の面番号1、2はそれぞれ光学素子70の入射面、出射面を示しており、面番号3は絞り、面番号4,4'と面番号5はそれぞれ、対物レンズの入射面、出射面を示しており、面番号6、7はそれぞれ、光情報記録媒体の保護基板の表面、情報記録面を表している。また、Riは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の変位量、niは各面の屈折率を表している。
尚、光学素子70の第1面、第2面、及び対物レンズ40の第4面、第4'面、第5面は、それぞれ上記数1に表6に示す係数を代入した数式で規定される、光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、不連続部位のピッチPは、数2の光路差関数に、表6に示す係数を代入した数式で規定される。
また、λi、p、Mの値については表7に示す。
Figure 2005038585
図18は、本実施例の環境温度変化に対する波面収差の変化を示す温度特性のグラフであり、第1光情報記録媒体(DVD)に関して、環境温度変化に対する波面収差の変化が非常に小さくなっているものである。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置、集光光学系及び光学素子の第4の実施例について説明する。
本実施例の光ピックアップ装置は、DVDとCDとHD DVDとの互換性を有するものである。そして、図12に示すように、両面非球面の単レンズである対物レンズ40に近接して、平行平板状の光学素子70を備え、3つの光源からの各波長の光束はそれぞれ対物レンズ40に対して平行光が入射する構成となっている。そして、光学素子70の入射面(光源側の面)に第1位相変調手段30を備え、出射面(光情報記録媒体側の面)に第2位相変調手段50を備える。
図19は本実施例で使用する光学素子70及び対物レンズ40の概略図を示すものであり、本実施例の第1面(光学素子70の入射面)に第1位相変調手段30、第2面(光学素子70の出射面)に第2位相変調手段50を備え、対物レンズは第3光情報記録媒体(HD DVD)に対して最適化された設計とされ、第4面(対物レンズ40の入射面)には、光軸を中心に輪帯状に形成され、断面が鋸歯状の回折構造を備える。
この第4面の回折構造の輪帯ピッチは、数2で表される光路差関数により定義され、波長λ3(405nm)の光束に対して10次回折光が最大の回折効率となる光束が出射されるように、回折構造が設けられた設計となっている。これにより、波長λ1(660nm)の光束に対しては6次回折光が最大の回折効率を有する光束が出射され、波長λ2(785nm)の光束に対しては5次回折光が最大の回折効率を有する光束が出射される。また、第4面の回折構造は、各波長λ1、λ2、λ3の各光束の微小な波長変動(数nm程度)による焦点位置変化を抑制する機能を備えている。こうして対物レンズから出射された波長λ1の光束は第1光情報記録媒体(DVD)の情報記録面上に集光スポットを形成し、波長λ2の光束は第2光情報記録媒体(CD)の情報記録面上に集光スポットを形成し、波長λ3の光束は第3光情報記録媒体(HD DVD)の情報記録面上に集光スポットを形成する。
また、光学素子70の第1面に形成された第1位相変調手段の回折作用により、波長λ1の光束が第1光情報記録媒体(DVD)の情報記録面上に良好な集光スポットを形成するように、波長λ1の光束に対する球面収差の補正が行われ、光学素子70の第2面に形成された第2位相変調手段の回折作用により、波長λ2の光束が第2光情報記録媒体(CD)の情報記録面上に良好な集光スポットを形成するように、波長λ2の光束に対する球面収差の補正が行われる。
これにより、各光情報記録媒体に対する情報の記録又は再生の際に、トラッキングによる対物レンズを含むレンズ系のシフトよっても、収差の発生を極力抑えることができる。
表8に、光学素子及び対物レンズのレンズデータを示す。
Figure 2005038585
表8に示すように、本実施例の対物レンズは、第1光源から出射される第1波長λ1=660nmのときの焦点距離f1=3.19mm、像側開口数NA1=0.63、結像倍率m=0.0に設定されており、第2光源から出射される第2波長λ2=785nmのときの焦点距離f2=3.20mm、像側開口数NA2=0.51、結像倍率m=0.0に設定されており、第3光源から出射される第3波長λ3=405nmのときの焦点距離f3=3.10mm、像側開口数NA3=0.65、結像倍率m=0.0に設定されている。
表8中の面番号1と面番号2はそれぞれ光学素子70の入射面、出射面を示しており、面番号3は絞り、面番号4と面番号5はそれぞれ、対物レンズの入射面、出射面を示しており、面番号6、7はそれぞれ、光情報記録媒体の保護基板の表面、情報記録面を表している。また、Riは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の変位量、niは各波長での各面の屈折率を表している。
尚、対物レンズ40の第4面、第5面は、それぞれ上記数1に表8に示す係数を代入した数式で規定される、光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、不連続部位のピッチPは、数2の光路差関数に、表8に示す係数を代入した数式で規定される。
また、λi、p、Mの値については表9に示す。
Figure 2005038585
図20(A)はHD DVD用としての波長λ3(405nm)の光束を用いた場合の像高特性を示すグラフであり、図20(B)はDVD用としての波長λ1(660nm)の光束を用いた場合の像高特性を示すグラフであり、図20(C)はCD用としての波長λ2(785nm)の光束を用いた場合の像高特性を示すグラフである。
各グラフ中の「COMA」はコマ収差を示すものであり、「RMS」は球面収差、コマ収差及び非点収差を足し合せた状態の波面収差を示すものである。
図20より、本実施例の光学素子70及び対物レンズ40を用いた光学系は、波長λ1の光束と波長λ2の光束と波長λ3の光束に対して実用範囲内で良好な像高特性を有することが分かる。
以上の実施例において、実施例3及び実施例4では、対物レンズ40の光源側に、対物レンズとは別体で光学素子70を配置し、対物レンズ40と光学素子70との間に絞りを配置した構成としたが、対物レンズ40が搭載されるアクチュエータに光学素子70も搭載する構成としてもよく、対物レンズ40と光学素子70とを接合し一体化した構成としてもよい。このような場合、対物レンズ40と光学素子70とを含めて対物レンズ又は対物レンズ系ということもでき、このように対物レンズ40と光学素子70とを共にアクチュエータに搭載して、それらが一体で駆動されるようにすることがより好ましい。また、絞りの位置は、対物レンズ40と光学素子70との間に限定されることなく、
光学素子70の光源側に配置される構成であってもよいことは勿論である。
光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 光源の構成を示す平面図である。 対物レンズの構成を示す平面図である。 位相変調手段の構成を示す要部拡大図(A)〜(C)である。 位相変調手段の構成を示す要部拡大図(A)、(B)である。 対物レンズの構成を示す平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 位相変調手段を有する光学素子を示す平面図(A)〜(C)である。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 光ピックアップ装置の構成を示す平面図である。 第1の実施例における対物レンズの像高特性を示すグラフ(A)、(B)である。 第1の実施例における対物レンズの縦球面収差を示すグラフ(A)、正弦条件違反量を示すグラフ(B)である。 第2の実施例における対物レンズの像高特性を示すグラフ(A)、(B)である。 第2の実施例における対物レンズの縦球面収差を示すグラフ(A)、正弦条件違反量を示すグラフ(B)である。 第3の実施例における光学素子及び対物レンズの概略図である。 第3の実施例における温度特性を示すグラフである。 第4の実施例における光学素子及び対物レンズの概略図である。 第4の実施例における像高特性を示すグラフである。
符号の説明
10 光ピックアップ装置
13 回折格子
18 コリメートレンズ
30 位相変調手段
31 不連続部位
31a 段部
32 回折輪帯
40 対物レンズ
50 位相変調手段
60 回折輪帯
70 光学素子
80 光ピックアップ装置
81 光ピックアップ装置
82 光ピックアップ装置
88 光ピックアップ装置
89 光ピックアップ装置
L 光軸

Claims (46)

  1. 少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置であって、
    前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する共通光路上に配置される複数の光学素子の複数の光学面のうち、少なくとも1つの光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他の少なくとも1つの光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有し、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は、それぞれ、所定数の段部からなる階段形状の不連続部位が光軸を中心として同心円状に周期的に形成された構成であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、
    前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、
    前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする光ピックアップ装置。
  5. 請求項4に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
  6. 請求項4又は5に記載の光ピックアップ装置において、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする光ピックアップ装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が前記複数の光学素子のうち単一の光学素子に形成されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
  8. 請求項7に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が形成された前記単一の光学素子が対物光学素子であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m1及び前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m2が、
    −0.005≦m1≦0.005
    −0.005≦m2≦0.005
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率と前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率とが異なることを特徴とする光ピックアップ装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束は前記対物光学素子に対して無限光として入射し、前記波長λ2の光束は前記対物光学素子に対して発散光として入射することを特徴とする光ピックアップ装置。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記複数の光学素子の少なくとも1つが対物光学素子であり、前記波長λ1の光束と前記波長λ2の光束が共に前記対物光学素子に対して有限光として入射することを特徴とする光ピックアップ装置。
  13. 請求項12に記載の光ピックアップ装置において、
    前記波長λ1の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m1及び前記波長λ2の光束に対する前記対物光学素子の単体での結像倍率m2が、
    −0.295≦m1≦−0.049
    −0.295≦m2≦−0.049
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    600nm≦λ1≦700nm
    750nm≦λ2≦850nm
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    350nm≦λ1≦450nm
    600nm≦λ2≦700nm
    を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置することを特徴とする光ピックアップ装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする光ピックアップ装置。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする光ピックアップ装置。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
    第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行な
    うことができることを特徴とする光ピックアップ装置。
  20. 少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置用の集光光学系であって、
    前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する、光ピックアップ装置内の共通光路上に、配置され得る複数の光学素子を有し、これら複数の光学素子の複数の光学面のうち、少なくとも1つの光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他の少なくとも1つの光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有し、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は、それぞれ、所定数の段部からなる階段形状の不連続部位が光軸を中心として同心円状に周期的に形成された構成であることを特徴とする集光光学系。
  21. 請求項20に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、
    前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする集光光学系。
  22. 請求項20又は21に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする集光光学系。
  23. 請求項20〜22のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、
    前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする集光光学系。
  24. 請求項23に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする集光光学系。
  25. 請求項23又は24に記載の集光光学系において、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする集光光学系。
  26. 請求項20〜25のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が前記複数の光学素子のうち単一の光学素子に形成されていることを特徴とする集光光学系。
  27. 請求項26に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段が形成された前記単一の光学素子が光ピックアップ装置用の対物光学素子であることを特徴とする集光光学系。
  28. 請求項20〜27のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    600nm≦λ1≦700nm
    750nm≦λ2≦850nm
    を満たすことを特徴とする集光光学系。
  29. 請求項20〜27のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    350nm≦λ1≦450nm
    600nm≦λ2≦700nm
    を満たすことを特徴とする集光光学系。
  30. 請求項20〜29のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置されることを特徴とする集光光学系。
  31. 請求項20〜30のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする集光光学系。
  32. 請求項20〜31のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする集光光学系。
  33. 請求項20〜31のいずれか一項に記載の集光光学系において、
    前記光ピックアップ装置は、第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行なうこができることを特徴とする集光光学系。
  34. 少なくとも第1光源から出射される第1波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行ない、第2光源から出射される第2波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことができる光ピックアップ装置用の光学素子であって、
    前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束が共に通過する、光ピックアップ装置内の共通光路上に配置され、一方の光学面に前記波長λ1の光束に対してのみ回折作用を与える第1位相変調手段を有し、他方の光学面に前記波長λ2の光束に対してのみ回折作用を与える第2位相変調手段を有することを特徴とする光学素子。
  35. 請求項34に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段は所定数の段部からなる階段形状の不連続部位を光軸を中心として同心円状に周期的に形成することで構成されており、
    前記第1位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ1の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ2の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計され、
    前記第2位相変調手段は、前記各不連続部位を通過する前記波長λ2の光束に対して位相差を与えると共に前記波長λ1の光束に対して位相差を与えないように前記段部が設計されていることを特徴とする光学素子。
  36. 請求項34又は35に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段の前記不連続部位のうち少なくとも一方の不連続部位の数が4〜6の範囲内であることを特徴とする光学素子。
  37. 請求項34〜36のいずれか一項に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面と前記第2位相変調手段を有する光学面のうち少なくとも一方の光学面が、光軸を含む中央領域と中央領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも2つの領域を備え、
    前記中央領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記中央領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられ、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ1の光束のみが前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられるか、もしくは、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束及び前記波長λ2の光束のうち前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられず、前記波長λ2の光束のみが前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられることを特徴とする光学素子。
  38. 請求項37に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面及び前記第2位相変調手段を有する光学面が共に前記少なくとも2つの領域を備えることを特徴とする光学素子。
  39. 請求項37又は38に記載の光学素子において、
    前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ2の光束は前記第2光情報記録媒体の情報記録面外に集光し、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束が前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生又は記録に用いられない場合には、前記周辺領域を通過する前記波長λ1の光束は前記第1光情報記録媒体の情報記録面外に集光することを特徴とする光学素子。
  40. 請求項34〜39のいずれか一項に記載の光学素子において、
    光ピックアップ装置用の対物光学素子であることを特徴とする光学素子。
  41. 請求項34〜40のいずれか一項に記載の光学素子において、前記波長λ1及び前記波長λ2は、
    600nm≦λ1≦700nm
    750nm≦λ2≦850nm
    を満たすことを特徴とする光学素子。
  42. 請求項34〜40のいずれか一項に記載の光学素子において、前記波長λ1及び前記波長λ2は、
    350nm≦λ1≦450nm
    600nm≦λ2≦700nm
    を満たすことを特徴とする光学素子。
  43. 請求項34〜42のいずれか一項に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段を有する光学面が前記第2位相変調手段を有する光学面に対して光源側に位置されることを特徴とする光学素子。
  44. 請求項34〜43のいずれか一項に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、環境温度の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする光学素子。
  45. 請求項34〜44のいずれか一項に記載の光学素子において、
    前記第1位相変調手段及び前記第2位相変調手段のうち少なくとも一方は、前記第1波長λ1の光束及び前記第2波長λ2の光束のうち少なくとも一方の光束に対して、波長の変化によって発生する、光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差を、低減するよう作用することを特徴とする光学素子。
  46. 請求項34〜45のいずれか一項に記載の光学素子において、
    前記光ピックアップ装置は、第3光源から出射される第3波長λ3(λ3<λ1)の光束を用いて保護基板厚t3(t3≦t1)の第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行なうことができることを特徴とする光学素子。
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