JP4407421B2 - 光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
また、光ピックアップ装置用のレーザ光源の短波長化が進み、例えば、青紫色半導体レーザや、第2高調波発生を利用して赤外半導体レーザの波長変換を行う青紫色SHGレーザ等の波長405nmのレーザ光源が実用化されつつある。
また、特許文献2及び3には、波長選択性を得るための上記ホログラム構造とは目的が異なり、従来よりレンズの加工性の観点から用いられている、回折構造としての鋸歯形状を階段形状で近似させる技術、いわゆるキノフォームの階段近似に関する技術に関して、階段形状の幅等を工夫することで回折効率を高める技術が開示されている。
また、特許文献4には、回折面部の幅を小さくした幅狭部と幅を大きくした幅広部とからなり、幅狭部の階段格子の段数を幅広部の階段格子の段数より少なくした回折光学格子を設けた、波長選択性を有するフレネルレンズに関する技術が開示されている。
また、上記特許文献1には、波長選択性を持つ回折構造の加工性や回折効率を高めるための技術は開示されていない。
本明細書においては、DVDとは、DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW等のDVD系列の光ディスクの総称であり、CDとは、CD−ROM、CD−Audio、CD−Video、CD−R、CD−RW等のCD系列の光ディスクの総称である。
前記光ピックアップ装置使用時に、少なくとも波長λ1の第1光束と波長λ2の第2光束とが入射する回折構造を有し、
前記回折構造は、光軸を中心とする複数の輪帯より形成されると共に光軸を含む平面における断面形状が階段形状である回折周期が、光軸を中心とした輪帯状に複数形成され、
前記回折構造の1つの回折周期内に存在する複数の前記輪帯のうち、通過する前記光束に対して最も大きい光路長を付与する輪帯以外の各輪帯の光軸に垂直な方向の幅が、2種類以上の異なる幅で構成されている回折周期Aが存在し、
前記回折構造の1つの回折周期内に存在する前記輪帯の数が、前記回折周期Aと異なる回折周期を有することを特徴とする。
また、回折構造の1つの回折周期内に存在する輪帯の数を、回折周期に応じて異なるものとするので、全ての回折周期において輪帯数を同一とする場合と比較して、輪帯幅を選択することができ、加工上の制約から製作不可であった機能を有する光学素子も加工可能となる。
1つの前記回折周期内において、通過する前記光束に対して最も大きい光路長を付与する輪帯の光軸に垂直な方向の幅をΔL1、他の輪帯の光軸に垂直な方向の幅をΔL´と規
定した場合に、ΔL1<ΔL´を満たすような輪帯が存在することを特徴とする。
前記階段形状が光軸に対して同じ向きである前記回折周期が複数形成されたことを特徴とする。
前記回折周期A内に存在する各輪帯の光軸に垂直な方向の幅を、光軸に近い側より順にT1、T2、T3・・・Tiと規定した場合に、T1>T2>T3>・・・>Tiであることを特徴とする。
但し、iは自然数。
前記回折周期Aは、前記回折構造の複数の回折周期のうち最も光軸に近いものであることを特徴とする。
そして、回折構造を構成する複数の回折周期のうち光軸に近い回折周期については、上記位相関数pはp≒C2h2、つまりhの2次関数で近似することができる。
図4中の線L1は、p≒C2h2とした場合の位相関数を表すグラフであり、線L2は光軸に近い回折周期(輪帯数5つ)によって光束に付与される位相差を表すものである。グラフの縦軸は位相差、横軸はhを表しており、符号Tは輪帯の光軸垂直方向の幅、符号Pはピッチを表している。
請求項7のように、回折周期A内に存在する各輪帯の光軸に垂直な方向の幅を、光軸に近い側より順にT1、T2、T3・・・Tiと規定した場合に、T1>T2>T3>・・・>Tiとしたり、あるいは、請求項8のように、回折周期A内に存在する各輪帯の光軸に垂直な方向の幅Tiが各輪帯の光軸からの高さをhとして、Ti∝[d(ΣC2ih2i)/dh]-1とすることにより、近軸に近い回折周期において、各輪帯の幅がhに反比例して小さくなり、各輪帯の幅を全て等しく設定する場合と比較して回折効率を高めることができる。
620nm≦λ1≦690nm
750nm≦λ2≦820nm
を満たすことを特徴とする。
前記光ピックアップ装置使用時に、前記回折構造には更に波長λ3の第3光束が入射し、
620nm≦λ3≦690nm
を満たすことを特徴とする。
前記光学素子が、d線でのアッベ数が40〜60の範囲内の材料から形成されていることを特徴とする。
前記回折構造において、波長λ1の光束の入射方向に対する、隣り合う輪帯の光学面を継ぐ面角度αは、
0°≦α≦10°
を満たすことを特徴とする。
前記光学素子が対物レンズであることを特徴とする。
前記対物レンズに入射する光束のうち最も波長が短い光束に対する焦点距離をf2としたとき、
0.8mm≦f2≦4.0mm
を満たすことを特徴とする。
前記回折構造が、前記光学素子の光源側の光学面に形成されることを特徴とする。
前記回折構造の各回折周期内において、隣り合う2つの輪帯の光学面同士の光軸方向の深さdが以下の(1)式で与えられることを特徴とする。
0.96×m1×λ1/(n1−1)≦d≦1.04×m1×λ1/(n1−1) (1)
ただし、m1は正の整数であり、n1は、波長λ1の第1光束に対する光学素子の屈折率を表す。
図1は、AOD(第1光ディスク)とDVD(第2光ディスク)とCD(第3光ディスク)との何れに対しても適切に情報の記録/再生を行える光ピックアップ装置PUの構成を概略的に示す図である。AODの光学的仕様は、波長λ1=407nm、保護層(保護基板)PL1の厚さt1=0.6mm、開口数NA1=0.65であり、DVDの光学的仕様は、波長λ2=655nm、保護層PL2の厚さt2=0.6mm、開口数NA2=0.65であり、CDの光学的仕様は、波長λ3=785nm、保護層PL3の厚さt3=1.2mm、開口数NA3=0.51である。
但し、波長、保護層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。また、第1光ディスクとして、保護層PL1の厚さt1が0.1mm程度の高密度光ディスクを用いても良い。
そして、第1コリメータL1を透過する際に第1光束は平行光束に変換され、第2ビームスプリッターBS2を通過して、対物光学素子OBJに至る。
そして、対物光学素子OBJの屈折面で屈折作用を与え、第1光束をAODの保護層PL1を介して情報記録面RL1上に集光させることでスポットを形成する。
そして、第2コリメータL2を透過する際に平行光束に変換され、第2ビームスプリッターBS2で反射して、対物光学素子OBJに至る。
そして、対物光学素子OBJの屈折面で屈折作用を与え、第2光束をDVDの保護層PL2を介して情報記録面RL2上に集光させることでスポットを形成する。
そして、第2コリメータL2を透過する際に回折構造から回折作用を受けることにより生じる第3光束の所定次数の回折光は、入射時点の発散角度よりも小さい発散角度に変換され、第2コリメータL2から出射される。
そして、対物光学素子OBJの屈折面で屈折作用を与え、第3光束をCDの保護層PL3を介して情報記録面RL3上に集光させることでスポットを形成する。この第3集光スポットは、色収差が情報の再生及び又は記録に必要な範囲内に抑えられている。
そして、対物光学素子OBJは、その周辺に配置された2軸アクチュエータACによってフォーカシングやトラッキングを行う。情報記録面RL3で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物光学素子OBJ、第2ビームスプリッターBS2、第2コリメータL2を通過し、第3ビームスプリッターBS3で分岐され、光検出器PD23の受光面上に収束する。そして、光検出器PD23の出力信号を用いてCDに記録された情報を読み取ることができる。
回折構造HOEは、図2に示すように、光軸を中心とする同心円状の輪帯Rを各回折周期(G1〜G6)中に複数配置した構成となっており、光軸を含む平面における断面が階段形状となっている。
0.96×m2×λ2/(n2−1)≦d≦1.04×m2×λ2/(n2−1)・(1)
m2:正の整数、n2:波長λ2の第2光束に対する光学素子の屈折率
但し、λ2は赤色半導体レーザLD2から射出されるレーザ光束の波長をミクロン単位で表したものである(ここでは、λ2=0.655μm)。
また、回折周期G1(回折周期A)の第1輪帯R1以外の各輪帯の光軸に垂直な方向の幅は2種類以上の異なる幅で構成されている。
この回折構造HOEに対して、波長λ2のレーザ光束が入射した場合、隣接する輪帯R間ではほぼm×λ2(μm)の光路差が発生し、波長λ2のレーザ光束は実質的に位相差が与えられないので回折されずにそのまま透過する。尚、本明細書では、回折構造HOEにより実質的に位相差が与えられずにそのまま透過する光束を0次回折光という。
また、回折構造HOEを第2コリメータL2に形成することにより、波長λ2と波長λ3の光束に対する対物光学素子OBJの光学系倍率を異ならしめることで、DVDとCDの保護層PL2とPL3の厚さの違いに起因する球面収差を補正することができる。
なお、本実施の形態においては第2コリメータL2が波長λ2の光束を平行光として出射し、波長λ3の光束を発散光として出射するものとしたが、これに限らず、第2コリメータL2が波長λ2とλ3の光束を共に発散光として出射する構成や、波長λ2の光束を収束光として出射し、波長λ3の光束を発散光として出射する構成であってもよい。
また、第1コリメータL1が波長λ1の光束を収束光として出射する構成であってもよい。
また、図3(a)に示すように、回折構造のHOE複数の回折周期のうち、光軸に垂直な方向の周期幅が最も小さい回折周期の周期幅をL、当該回折周期内に存在する複数の輪帯Rのうち、通過する光束に対して最も大きい光路長を付与する輪帯を第1輪帯、第1輪帯の光軸に垂直な方向の幅をΔL、当該回折周期内に存在する前記輪帯の数をKとしたとき、以下の(3)式を満たすように回折構造を設計することが好ましい。
1/K<ΔL/L≦1/(K−1)・・・(3)
通常、回折構造HOEを有する第2コリメータの成形用金型を製作する際には、金型を彫るための平型切削工具の幅を各輪帯の幅以上に設計し、まず金型の第5輪帯R5に対応する箇所において平型切削工具を光軸方向に移動させ、所定量彫り込んだ時点で第4輪帯側にスライド移動させることで第5輪帯R5の光学面に対応する箇所を成形する。次に、第4輪帯R4に対応する箇所まで平型切削工具を移動させた後、光軸方向に移動させ、所定量彫り込んだ時点で第3輪帯側にスライド移動させることで第4輪帯の光学面に対応する箇所を成形する。このような工程を第3、2輪帯で繰り返し、最後に第1輪帯に対応する箇所を彫り込む。しかし、光学素子によっては、要求される性能を満足させるために、回折周期内の全ての輪帯幅を平型切削工具の幅より大きくすることができない場合がある。ここで、上述のように、第1輪帯R1の光軸に垂直な方向の幅ΔLを他の輪帯の幅と比較して大きくすることにより、平型切削工具を第1輪帯に対応する箇所において光軸方向に移動させ、所定量彫り込んだ時点で第1輪帯の光学面に対応する箇所を成形するためにスライド移動させるためのスペースを確保することができ、金型製造作業の作業性を向上することができる。また、金型製造作業の作業性を向上させるために、1つの回折周期内に形成する輪帯の数を減らす場合と比較して、光量の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、回折構造HOEを第2コリメータに設けたが、これに限らず、例えば対物レンズに設けても良い。
また、光ピックアップ装置PUが第1〜第3光束を利用して、AOD/DVD/CD間で互換性を有する構成としたが、これに限らず、2種類の光ディスク間で互換性を持つ構成としても良く、この場合、上記光ピックアップ装置PUの構成から、青紫色半導体レーザLD1、第1光束用の光検出器PD1、第1コリメータL1、第1ビームスプリッターBS1、センサーレンズSEN1及びSEN2を取り除けばよい。
本実施例では、回折構造HOEを図1に示したようなコリメータに設け、このコリメータにDVD用の波長λ1とCD用の波長λ2の2種類の光束が入射する構成となっている。
表1〜表4に各光学素子のレンズデータを示す。
コリメータの出射面(第4面)は、次式(数1)に表1に示す係数を代入した数式で規定される、光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
表2〜表4は、回折構造HOEを構成する各輪帯の形状及び位置を表している。
回折構造HOEを図2及び図3(a)を参照して説明すると、表2中の、「周期No.1〜23」は回折周期の数を示しており、本実施例では回折周期がG1〜G23まで計23周期存在する。また、表2中の、「輪帯No.1〜6」は各回折周期内に存在する輪帯(最大でR1〜R6の6輪帯)の光学面の開始高さ(光軸に近い側の端部から光軸までの距離)を表す。同様に、表3中の、「輪帯No.1〜6」は各回折周期内に存在する輪帯(最大でR1〜R6の6輪帯)の光学面の終了高さ(光軸から遠い側の端部から光軸までの距離)を表す。また、表4は、第5面に対する各輪帯の光学面の光軸と平行な方向の深さ(光軸方向の位置)を、第5面から突出する方向を正として表している。
HOE 回折構造
L2 第2コリメータ
OBJ 対物光学素子
PU 光ピックアップ装置
Claims (14)
- 光ピックアップ装置に使用される光学素子であって、
前記光ピックアップ装置使用時に、少なくとも波長λ1の第1光束と波長λ2の第2光束とが入射する回折構造を有し、
前記回折構造は、光軸を中心とする複数の輪帯より形成されると共に光軸を含む平面における断面形状が階段形状である回折周期が、光軸を中心とした輪帯状に複数形成され、
前記回折構造の1つの回折周期内に存在する複数の前記輪帯のうち、通過する前記光束に対して最も大きい光路長を付与する輪帯以外の各輪帯の光軸に垂直な方向の幅が、2種類以上の異なる幅で構成されている回折周期Aが存在し、
前記回折構造の1つの回折周期内に存在する前記輪帯の数が、前記回折周期Aと異なる回折周期を有することを特徴とする光学素子。 - 1つの前記回折周期A内において、通過する前記光束に対して最も大きい光路長を付与する輪帯の光軸に垂直な方向の幅をΔL1、他の輪帯の光軸に垂直な方向の幅をΔL´と規定した場合に、ΔL1<ΔL´を満たすような輪帯が存在することを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記階段形状が光軸に対して同じ向きである前記回折周期が複数形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
- 前記回折周期A内に存在する各輪帯の光軸に垂直な方向の幅を、光軸に近い側より順にT1、T2、T3・・・Tiと規定した場合に、T1>T2>T3>・・・>Tiであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
但し、iは自然数。 - 前記回折周期Aは、前記回折構造の複数の回折周期のうち最も光軸に近いものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
- 620nm≦λ1≦690nm
750nm≦λ2≦820nm
を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。 - 前記光ピックアップ装置使用時に、前記回折構造には更に波長λ3の第3光束が入射し、
620nm≦λ3≦690nm
を満たすことを特徴とする請求項6に記載の光学素子。 - 前記光学素子が、d線でのアッベ数が40〜60の範囲内の材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記回折構造において、波長λ1の光束の入射方向に対する、隣り合う輪帯の光学面を継ぐ面角度αは、
0°≦α≦10°
を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学素子。 - 前記光学素子が対物レンズであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記対物レンズに入射する光束のうち最も波長が短い光束に対する焦点距離をf2としたとき、
0.8mm≦f2≦4.0mm
を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光学素子。 - 前記回折構造が、前記光学素子の光源側の光学面に形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記回折構造の各回折周期内において、隣り合う2つの輪帯の光学面同士の光軸方向の深さdが以下の(1)式で与えられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学素子。
0.96×m1×λ1/(n1−1)≦d≦1.04×m1×λ1/(n1−1) (1)
ただし、m1は正の整数であり、n1は、波長λ1の第1光束に対する光学素子の屈折率を表す。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学素子を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
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