JP2009102515A - 耐傷つき摩耗性エラストマ− - Google Patents

耐傷つき摩耗性エラストマ− Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性エラストマ−として十分な特性を有しつつ、種々の耐傷つき摩耗性試験に対し、優れた性能を示すエラストマ−(軟質樹脂)を提供することである。
【解決手段】配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程を含む製造方法であって、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行って、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成する。次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合する。特定の条件を満足する製造方法により得られる共重合体(クロス共重合体)が耐傷つき摩耗性に優れる。

【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の製造方法により得られる、特定の組成を持った共重合体で、優れた耐傷つき摩耗性を有する熱可塑性エラストマ−であり、その用途である。
従来、耐傷つき摩耗性を有する熱可塑性エラストマ−(軟質樹脂)としては軟質塩ビやポリウレタンが知られている。軟質塩ビは優れた耐傷付き性を有するが、耐摩耗性はある条件下では十分ではない。また、リサイクルや焼却処分の観点からは非塩ビが好ましい場合がある。ポリウレタンは優れた耐傷付き摩耗性を有するエラストマ−であるが、耐候性、耐水性、施工容易性の観点からは改善が求められている。
非塩ビのエラストマ−としてはポリオレフィン系のエラストマ−が用いられるが、例えばプロピレン系軟質樹脂(例えばiPP−EPDMコンパウンド)やエチレン系軟質樹脂(例えばEVA)は耐傷つき摩耗性が不十分である。
また、本耐傷つき摩耗性は用途により種々の評価法があり、用途をより広く網羅するためには、各評価法に対して広くその耐傷つき摩耗性を発揮するエラストマ−素材が求められている。
従来、スチレン−エチレン共重合体は優れた耐傷つき摩耗性を有することが知られている(特開2000−119339、特表2001−516371)が、耐熱性に乏しい点に課題がある。本スチレン−エチレン共重合体の耐熱性や力学物性を改良したクロス共重合体が提案されている(再表00/037517号公報)。
特開2000−119339号公報 特表2001−516371号公報 再表00/037517号公報
種々の耐傷つき摩耗性試験に対し、優れた性能を示す熱可塑性エラストマ−(軟質樹脂)を提供することである。
本発明者らは、従来のクロス共重合体の製造方法や組成を鋭意検討することで、特定の製造方法により得られる共重合体(クロス共重合体)のうち、特定の構造を有する共重合体が、種々の耐傷つき摩耗性試験に対し優れた耐傷つき摩耗性を示すことを見いだし発明に至った。
特定の製造方法により得られる、特定の組成を持った共重合体(クロス共重合体)が、種々の耐傷つき摩耗性試験に対し優れた耐傷つき摩耗性を示し、耐傷つき摩耗性を必要とする各用途において有用である。
本発明は、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程を含む製造方法であって、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行って、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することを特徴とする製造方法で得られるクロス共重合体において、下記条件を満足する製造方法により得られる耐傷つき摩耗性に優れたクロス共重合体である。
(1)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物ユニット含量が8モル%以上28モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.5モル%以下である。好ましくは芳香族ビニル化合物ユニット含量が10モル%以上25モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.2モル%以下である。
(2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が、アニオン重合工程を経て最終的に得られるクロス共重合体質量に対して83質量%以上95質量%以下である。好ましくは85質量%以上95質量%以下である。
本発明に用いられる芳香族ビニル化合物は、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等が挙げられる。工業的には好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
本発明に用いられる芳香族ポリエンは10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数または複数の芳香族基を有し配位重合可能な芳香族ポリエンであり、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態において残された二重結合がアニオン重合可能な芳香族ポリエンである。好ましくは、オルトジビニルベンゼン、パラジビニルベンゼン及びメタジビニルベンゼンのいずれか1種または2種以上の混合物が好適に用いられる。
配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物ユニット含量が8モル%未満では、熱可塑性エラストマ−としての軟質性が損なわれてしまう場合がある。またポリエチレン連鎖に由来する結晶性が大きくなり、成型時の寸法安定性が悪くなる場合がある。配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の結晶融解熱は好ましくは100J/g以下、特に好ましくは60J/g以下である。
また、28モル%より高い場合、耐傷つき摩耗性が悪化してしまう。
配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が、アニオン重合工程を経て最終的に得られるクロス共重合体質量に対して83質量%未満では、熱可塑性エラストマ−としての軟質性が損なわれてしまったり、耐傷つき摩耗性が低下してしまう場合がある。一方、95質量%より高い場合には、本共重合体の耐熱性が低下してしまう。
本発明に用いられるシングルサイト配位重合触媒とは、遷移金属化合物と助触媒から構成され、いわゆるメタロセン触媒やハ−フメタロセン触媒、幾何拘束(CGC)触媒を包含する。具体的には下記文献に記載さているか、または引用されている触媒である。
たとえば、メタロセン触媒については、USP5324800、特公平7−37488号公報、特開平6−49132号公報、Polymer Preprints,Japan,42,2292(1993)、Macromol. Chem., Rapid Commun.,17,745(1996)、特開平9−309925号公報、EP0872492A2号公報、特開平6−184179号公報、USP6376406公報、US6891004号公報、再表00/037517号公報である。ハーフメタロセン触媒については、Makromol.Chem.191,2387(1990)に記載されている。幾何拘束(CGC)触媒については、特開平3−163088号公報、特開平7−53618号公報、EP−A−416815、US6323294号公報、再表00/037517号公報に記載されている。
重合体中に均一にジエンが含まれる、均一な組成を有するオレフィン−スチレン−ジエン共重合体が本発明のクロス共重合体またはクロス共重合物を得るためには好適に用いられるが、このような均一な組成の共重合体を得るためには、Zieglar−Natta触媒では困難であり、シングルサイト配位重合触媒が用いられる。
さらに好ましくは、配位重合工程において、下記の一般式(1)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることを特徴とする製造方法により得られるクロス共重合体である。
式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、いずれも一般式(2)、(3)、または(4)で示される非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、一般式(5)で示される非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。なお、下記の一般式(2)、(3)、(4)においてR1〜R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R1同士、R2同士、R3同士は互いに同一でも異なっていてもよく、また、隣接するR1、R2基は一体となって5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成してもよい。 下記の一般式(5)においてR4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R4同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基、または硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環状構造を有していてもよい。好ましくは、YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基である。
Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、または炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有してもよい。
Mはジルコニウム、ハフニウム、またはチタンである。
本発明においては、一般式(1)で表される遷移金属化合物は、好ましくはラセミ体である。
一般式(1)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を本発明の配位重合工程に用いることで、非常に高い活性でエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を得ることができ、好ましい。また、芳香族ビニル化合物や芳香族ポリエンに対し、著しく高い共重合性を示すために、特に配位重合工程に用いた重合液から得られた共重合体を分離回収せずに、重合液をアニオン重合工程に用いる(ワンポット反応)場合に非常に有利である。すなわち、芳香族ポリエン(ジビニルベンゼン)に対し著しく高い共重合性を示すため、必要な芳香族ポリエンユニット含量を与えるための重合液中芳香族ポリエン濃度が非常に低くても良く(低芳香族ポリエン濃度)、かつ共重合性が高いためその転換率が高く、そのため、反応後の重合液に残留する芳香族ポリエン濃度を著しく低下させることが可能である。そのため、この重合液をそのままアニオン重合工程に用いても、残留芳香族ポリエンに起因する悪影響(自己架橋やゲル化、成形加工性の低下)を強く抑制することができるため、非常に好ましい。
助触媒としては、公知のアルモキサン(アルミノキサン)や硼素化合物が用いられる。このような例としては、各種メチルアルモキサン(MAO)やトリスペンタフルオロフェニルボラン、トリチルテトラキスペンタフルオロフェニルボラン、ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェニルボランが例示できる。本発明に用いることが出来る助触媒は、上記シングルサイト配位重合触媒の文献中に例示されている。
本発明の条件を満たすクロス共重合体は、熱可塑性エラストマ−として良好な力学物性を示すことができる。すなわち、A硬度で50以上95以下、好ましくは55以上90以下であり、引っ張り弾性率は概ね1MPa以上100MPa以下、好ましくは1MPa以上70MPa以下、破断点伸びは300%以上、1500%以下、破断点強度は概ね3MPa以上、100MPa以下、好ましくは5MPa以上100MPa以下である。
本発明の条件を満たすクロス共重合体のMFR値には特に限定はないが、200℃、加重10kgで測定したMFR値は、好ましくは0.1g/10分以上、100g/10分以下の範囲の値を示す。
本発明の条件を満たすクロス共重合体は、JISK7024で規定されるテ−バ−摩耗試験において、テ−バ−摩耗量が100mg以下である良好な耐摩耗性を示すことができる。
また、本発明の条件を満たすクロス共重合体は、耐傷つき性試験(スクラッチ試験)に於いて傷高低差が8ミクロン以下である良好な耐傷付き性を示すことができる。
本発明の条件を満たすクロス共重合体は上記すべての耐傷つき摩耗試験において、上記の条件を満たす優れた耐傷つき摩耗性を示すことができる特徴がある。
<樹脂組成物>
本発明のクロス共重合体は他の樹脂との組成物として用いることができる。
本発明のクロス共重合体は、以下に挙げる「芳香族ビニル化合物系ポリマ−」、「オレフィン系ポリマ−」、及び「ブロック共重合体系ポリマ−」の群から選ばれる1種以上のポリマ−と組成物として用いることが出来る。この場合、本クロス共重合体は組成物全体質量に対し50質量%以上含む樹脂組成物である。50質量%未満では、本発明のクロス共重合体の優れた耐傷つき摩耗性が生かせない場合がある。
「芳香族ビニル化合物系ポリマ−」
芳香族ビニル化合物単独の重合体または芳香族ビニル化合物と共重合可能な1種類以上のモノマー成分を含み芳香族ビニル化合物ユニット含量が10質量%以上、好ましくは30質量%以上の統計的共重合体。芳香族ビニル化合物系ポリマ−に用いられる芳香族ビニル化合物モノマーとしては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、またジビニルベンゼン等の一分子中に複数個のビニル基を有する化合物等も挙げられる。また、これら複数の芳香族ビニル化合物間の統計的共重合体も用いられる。なお、芳香族ビニル化合物の相互の芳香族基間の立体規則性は、アタクティック、アイソタクティック、シンジオタクティックいずれでもよい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能なモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、その他の共役ジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらのアミド誘導体やエステル誘導体、アクリロニトリル、無水マレイン酸及びその誘導体が挙げられる。共重合形式は統計的共重合である。以上の芳香族ビニル化合物系ポリマ−は、その実用樹脂としての物性と成型加工性を発現するために、ポリスチレン換算重量平均分子量として、3万以上、好ましくは5万以上で50万以下、好ましくは30万以下である必要がある。また、耐衝撃性を付与するためにゴム成分をブレンドまたはグラフトしてもよい。用いられる芳香族ビニル化合物系例えばアイソタクティックポリスチレン(i−PS)、シンジオタクティックポリスチレン(s−PS)、アタクティックポリスチレン(a−PS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ジエン共重合体(SBRなど)およびその水添物、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−イミド化マレイン酸共重合体、石油樹脂およびその水添物等が挙げられる。
「オレフィン系ポリマ−」
高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−環状オレフィン共重合体、オレフィン単独重合体またはオレフィンモノマ−ユニットを30質量%以上含む共重合体であり、例えばアイソタクティックポリオレフィン(i−PP、ホモPP、ランダムPP、ブロックPPを含む)、シンジオタクティックポリオレフィン(s−PP)、アタクティックポリオレフィン(a−PP)、オレフィンエチレンブロック共重合体、オレフィンエチレンランダム共重合体、オレフィンブテン共重合体が挙げられる。必要に応じてブタジエンやα−ωジエン等のジエン類を共重合した共重合体でも良い。このような例としてはエチレン−オレフィンジエン共重合体(EPDM)、エチレン−オレフィンエチリデンノルボルネン共重合体等が挙げられる。以上のオレフィン系ポリマ−は、その実用樹脂としての物性、成型加工性を発現するために、ポリスチレン換算重量平均分子量として、1万以上、好ましくは3万以上50万以下、好ましくは30万以下が必要である。
「ブロック共重合体系ポリマ−」
アニオン重合またはその他の重合方法によるリビング重合により得られるジブロック、トリブロック、マルチブロック、スタ−ブロックあるいはテ−パ−ドブロック構造を有するブロック共重合体である。この様な例として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)やこれらの水素添加体(SEBSやSIPS)が挙げられる。以上のブロック共重合体系ポリマ−は、その実用樹脂としての物性、成型加工性を発現するために、ポリスチレン換算重量平均分子量として、5000以上、好ましくは1万以上30万以下、好ましくは20万以下が必要である。
本発明のクロス共重合体は以下の「その他の樹脂、エラストマ−、ゴム」と組成物として用いることも可能である。
「その他の樹脂、エラストマ−、ゴム」
例えば、石油樹脂およびその水添物、ナイロン等のポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコールや、天然ゴム、シリコン樹脂、シリコンゴムが挙げられる。
<可塑剤>
本発明のクロス共重合体には従来塩ビや他の樹脂に用いられる公知の任意の可塑剤を配合することが出来る。好ましく用いられる可塑剤は含酸素または含窒素系可塑剤であり、エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、エ−テル系可塑剤、またはアミド系可塑剤から選ばれる可塑剤である。
これらの可塑剤は、本発明のクロス共重合体に用いられるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体との相溶性が比較的良好でブリ−ドし難く、またガラス転移温度が低下する度合いで評価できる可塑化効果も大きく、好適に用いることが出来る。またこれらの可塑剤を用いた場合、特異的な効果として本発明のクロス共重合体に用いられるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体、特にエチレン−芳香族ビニル化合物−ジビニルベンゼン共重合体中のエチレンと芳香族ビニル化合物ユニットのアイソタクティック交互構造の結晶化を促進し結晶化度を上げる効果があり、通常の可塑化効果に加え耐熱性や耐油性の向上効果をも示すことが出来る。
一方、例えば芳香族、脂肪族、脂環系の鉱物油は、本組成のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体との相溶性が低いためブリ−ドし易く、またガラス転移温度が低下する度合いで評価できる可塑化効果も少ないため適当でない場合がある。
本発明に好適に用いることができるエステル系可塑剤の例としては、各種フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、アジピン酸エステル、セバチン酸エステル、アゼレ−ト系エステル、クエン酸エステル、アセチルクエン酸エステル、グルタミン酸エステル、コハク酸エステル、酢酸エステル等のモノ脂肪酸エステル、リン酸エステルやこれらのポリエステルである。
本発明に好適に用いることができるエポキシ系可塑剤の例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が挙げられる。
本発明に好適に用いることができるエ−テル系可塑剤の例としては、ポリエチレングリコ−ルやポリオレフィングリコ−ルやこれらの共重合物、混合物が挙げられる。
本発明に好適に用いることができるアミド系可塑剤の例としては、各種スルホン酸アミドが挙げられる。これら可塑剤は単独で用いても、複数を用いても良い。
本発明に特に好ましく用いられるのは上記エステル系可塑剤である。これらの可塑剤は、本組成範囲のエチレン−芳香族ビニル化合物共重合体との相溶性に優れ、可塑化効果に優れ(ガラス転移温度低下度が高い)、ブリ−ドが少ないという利点がある。加えて優れたエチレン−芳香族ビニル化合物交互構造の結晶化促進効果があり、高い融点を与え、好適である。さらに本発明に最も好ましく用いられるのは、アジピン酸エステル系またはアセチルクエン酸エステル系の可塑剤である。これらの可塑剤を用いた場合、その結晶化速度が著しく速く、溶融成形から短時間で結晶が成長し各種物性が安定するという利点がある。
可塑剤の配合量は、本発明のクロス共重合体またはその樹脂組成物100質量部に対して、可塑剤1質量部以上30質量部以下、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。1質量部未満では上記効果が不足し、30質量部より高いとブリ−ドや、過度の軟化、それによる過度のべたつきの発現等の原因となる場合がある。
<無機質充填剤>
以下、本発明に用いることができる無機質充填剤について示す。
無機質充填剤は、本クロス共重合体に難燃性を付与するためにも用いられる。無機質充填剤の体積平均粒子径は、例えば20μm以下、好ましくは10μm以下の範囲である。体積平均粒子径が、0.5μm未満もしくは10μmを超えるとフィルム化したときの力学物性(引張強度、破断伸度等)の低下が生じるとともに柔軟性の低下やピンホールの発生を引き起こしてしまうことがある。体積平均粒子径は、レーザ回析法で測定した体積平均粒子径である。
無機質充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、トリフェニルホスフィート、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、酸化ジリコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化モリブデン、リン酸グアニジン、ハイドロタルサイト、スネークタイト、硼酸亜鉛、無水硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、赤燐、タルク、アルミナ、シリカ、ベーマイト、ベントナイト、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムであり、これらから選ばれる1種又は2種以上の化合物が使用される。特に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが難燃性の付与効果に優れ、経済的に有利である。
無機質充填剤の配合量は、本クロス共重合体またはその樹脂組成物100質量部に対し1〜300質量部、好ましくは5〜200質量部の範囲である。無機質充填剤が1質量部未満では、難燃性が劣る場合がある。一方で、無機質充填剤が300質量部を超えると、樹脂組成物の成形性及び強度等の機械的物性が劣る場合がある。
無機質充填剤を非ハロゲン系難燃剤として配合した場合は、チャー(炭化層)の形成を図り、フィルムの難燃性を向上させることもできる。
本発明の樹脂組成物、可塑剤組成物、フィラ−組成物を製造する方法は特に限定されず、公知の適当なブレンド法を用いることができる。例えば、単軸、二軸のスクリュー押出機、バンバリー型ミキサー、プラストミル、コニーダー、加熱ロールなどで溶融混合を行うことができる。溶融混合を行う前に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、タンブラーなどで各原料を均一に混合しておくこともよい。溶融混合温度はとくに制限はないが、100〜300℃、好ましくは150〜250℃が一般的である。
本発明のクロス共重合体またはその各種組成物の成形体を得るための成形法としては、真空成形、射出成形、ブロー成形、インフレ−ション成形、押出し成形、異型押し出し成形、ロ−ル成形、カレンダ−成形等公知の成形法を用いることができ、それにより各種シ−ト、フィルム、バッグ、チュ−ブ、容器、発泡材、発泡シ−ト、電線被覆材等に成形することが出来る。
更に、本発明記載の樹脂及び樹脂組成物はハロゲンを基本的に含有しないため、環境適応性や安全性が高いという基本的特徴を有する。
<フィルム、シ−ト>
本発明のクロス共重合体またはその樹脂組成物をフィルムとして用いる場合、その厚みに特に制限はないが、一般に3μm〜1mm、好ましくは10μm〜0.5mmである。
本発明の樹脂組成物からなるフィルム、シ−トを製造するには、インフレーション成形、Tダイ成形、カレンダ−成形、ロ−ル成形などの成形法を採用することができる。本発明のフィルムは、物性の改善を目的として、他の適当なフィルム、例えば、アイソタクティックまたはシンジオタクティックのポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE、またはLLDPE)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のフィルムと多層化することができる。また金属基材の表面を覆い、その外装用として用いることができる。
本発明のクロス共重合体、その組成物またはこれらのフィルム、シ−トの具体的用途は特に限定されないが、その良好な物性、耐傷付き摩耗性から各種合成皮革用途、自動車内装用途、外装用フィルム、保護シ−ト、グリップ材が例示できる。
<発泡体>
また、本発明のクロス共重合体またはその組成物は、発泡体(フォーム材)として好適に使用できる。フォームの製造方法は公知の製造方法を用いることができる。発泡体の製造方法に特に制限はないが、無機系、有機系の化学発泡剤、物理発泡剤等の発泡剤を添加する方法等公知の技術を例示することができる。一般的には、本発明のクロス共重合体と発泡剤(blowing agent)、必要に応じて架橋剤、その他の添加剤を加熱溶融し、押出しながら加熱圧縮し、その後に圧力を減じて発泡、フォーム化する。発泡剤、必要に応じてラジカル架橋剤の添加は、ポリマ−の加熱前のドライブレンドでも加熱溶融後でもよい。これらの加熱ブレンドには、公知の方法、例えば押出機、混合機、またはブレンダー等で行うことができる。架橋は、上記架橋剤の添加による方法以外に、放射線(電子線、ガンマ線等)による方法もある。発泡体に関する公知の技術は例えば”プラスチックフォームハンドブック(日刊工業新聞社、1973年発行)”等に記載されている。
また、WO00/37517号公報や特表2001−514275号公報記載の方法は発泡体の作製に好ましく採用することが出来る。本発明のクロス共重合体は、結晶性が一定値以下であり、したがって軟質性、風合いに優れる発泡体が容易に得られるという特徴がある。本発明の発泡体を製造するに当たっては、上記「芳香族ビニル化合物系ポリマ−」、「オレフィン系ポリマ−」、「ブロック共重合体系ポリマ−」と本発明のクロス共重合体との組成物を用いてもよい。
本発明の発泡体には必要に応じて、分散剤、軟化剤、粘着防止剤、フィラー、顔料等を添加することができる。
本発明の発泡体を製造する方法にとくに制限は無く、ガス注入による物理発泡法、水による発泡法、化学的発泡剤による化学発泡法等を例示することが出来る。またビーズ等に発泡剤を含ませ、後に発泡させることも可能である。
得られた発泡体のシート、フィルム等の成形法としては押出成形、射出成形、ブロー成形等特に制限はなく、さらにシートフィルム等は熱成形、圧縮成形等で容器等に成形することが可能である。また、エンボス加工、印刷等を行うこともできる。本クロス共重合体は優れた印刷性を有する特徴がある。
本発明の発泡体は、優れた耐傷つき摩耗性と良好な軟質性、風合いを有するため、各種外装材や床材、壁材、壁紙等の建築材料、自動車用内外装品、スポ−ツ用品やハンドル等のグリップ材として好適に用いることができる。
本発明のクロス共重合体を含む組成物、架橋体、発泡体は、フィルム、シ−ト、チユ−ブ、容器等として有用である。特に、建築材料、壁材、壁紙、床材として好適に用いることができる。このような建築材料、壁材、壁紙、床材については、例えば、WO96/04419、EP0661345、WO98/10160等に記載されている。これらの用途に用いる場合、高い力学的強度と、伸び等の力学物性や物性を維持したままフィラ−を高い含量で充填できる点は、これら用途にもちいる場合、特に難燃性を付与できることを意味し、価値は大きい。
<電線被覆材>
本発明記載のクロス共重合体及び樹脂組成物は、各種電線、ケ−ブル被覆材として好適に用いることができる。特にフィラ−及びまたは公知の難燃剤との組成物は、軟質性、力学物性、耐摩耗性、及び耐油性に優れこのような用途には好適である。また、耐熱性を向上させるために、各種の公知の架橋法、例えば架橋剤による化学架橋、電子線等による架橋法を行うことも可能である。
以下、実施例により、本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
実施例で得られた共重合体の分析は以下の手段によって実施した。
13C−NMRスペクトルは、日本電子社製α−500を使用し、重クロロホルム溶媒または重1,1,2,2−テトラクロロエタン溶媒を用い、TMS(テトラメチルシラン)を基準として測定した。ここでいうTMSを基準とした測定は以下のような測定である。先ずTMSを基準として重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線13C−NMRピークの中心ピークのシフト値を決めた。次いで共重合体を重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解して13C−NMRを測定し、各ピークシフト値を、重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線中心ピークを基準として算出した。重1,1,2,2−テトラクロロエタンの3重線中心ピークのシフト値は73.89ppmであった。測定は、これら溶媒に対し、ポリマーを3質量/体積%溶解して行った。
ピーク面積の定量を行う13C−NMRスペクトル測定は、NOEを消去させたプロトンゲートデカップリング法により、パルス幅は45°パルスを用い、繰り返し時間5秒を標準として行った。
共重合体中のスチレンユニット含量の決定は、1H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及びBRUCKER社製AC−250を用いた。重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、測定は、80〜100℃で行った。TMSを基準としてフェニル基プロトン由来のピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由来のプロトンピーク(0.8〜3ppm)の面積強度比較で行った。
分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。THFを溶媒とし、東ソー社製HLC−8020を用い測定した。
DSC測定は、セイコー電子社製DSC200を用い、窒素気流下で行った。すなわち樹脂組成物10mgを用い、昇温速度10℃/分で−50℃から240℃までDSC測定を行い、融点、結晶融解熱及びガラス転移点を求めた。1回目の測定後液体窒素で急冷した後に行う2度目の測定により求めた。
なお、物性評価用の試料は加熱プレス法(温度200℃、時間3分間、圧力50kg/cm2)により成形した厚さ1.0mmのシ−トを用いた。
<引張試験>
JIS K−6251に準拠し、シートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所社製AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定した。
<硬度>
硬度はJIS K−7215プラスチックのデュロメーター硬さ試験法に準じてタイプAのデュロメーター硬度を求めた。この硬度は瞬間値である。
<全光線透過率、ヘイズ>
透明度は加熱プレス法(温度200℃、時間4分間、圧力50kg/cm2G)により1mm厚にシートを成形しJIS K−7105プラスチックの光学的特性試験方法に準じて日本電色工業社製濁度計NDH2000を用いて全光線透過率およびヘイズを測定した。
<耐傷つき性試験>
200℃、100気圧でプレス成型して得られた厚さ2mm、一辺100mmの正方形試験片を用い、下記スクラッチテスタ−、下記条件にてスクラッチ後、表面粗さ測定器にて評価を行った。
また、傷の形状をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。
スクラッチ
装置) スクラッチテスタ− : テ−バ−式スクラッチテスタ−(東洋精機社製)
条件) 荷重 : 1N
針 : サファイヤ針
スクラッチ速度 : 0.67mm/s

傷測定
装置) 表面粗さ測定機 サ−フテストSJ−400(Mitutoyo社製)
条件) 測定速度 : 0.5mm/s
評価項目 : 傷の最深部と最高部の差(高低差)を測定した。
測定は場所を変えて6回行い、最大値と最小値を除いた後、4回の平均を求めた。
<テ−バ−摩耗試験>
テ−バ−摩耗試験はJIS K 7204に準拠し、東洋精機製テ−バ−磨耗試験機を用い、以下の試験条件下で実施し、摩耗量を測定した。
摩耗輪:H-22
円盤の回転速度:1rpm荷重:1kg (回転数1000回転:JIS)
試験片:200℃、50気圧でプレス成型し得られた2mm、一辺約100mmの正方形試験片。
<ジビニルベンゼン>
用いたジビニルベンゼンは、アルドリッチ社製(ジビニルベンゼンとしての純度80%、メタ体、パラ体混合物のメタ体:パラ体質量比は70:30)である。
<ゲル分>
ASTM D−2765−84に従い、クロス共重合体のゲル分を測定した。すなわち、精秤した1.0gポリマー(直径約1mm、長さ約3mmの成型物)を、100メッシュのステンレス製網袋に包み、精秤した。これを沸騰キシレン中で約5時間抽出したのちに網袋を回収し、真空中90℃で10時間以上乾燥した。十分に冷却後、網袋を精秤し、以下の式により、ポリマーゲル量を算出した。
ゲル量=網袋に残留したポリマーの質量/はじめのポリマー質量×100
<触媒(遷移金属化合物)>
以下の実施例1〜11では、触媒(遷移金属化合物)として、rac(ラセミ体)−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド(式7)を用いた。
実施例1
<クロス共重合体の合成>
触媒としてrac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを用い、以下のように実施した。
容量50L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオートクレーブを用いて重合を行った。
シクロヘキサン21.8kg、スチレン2.5kg及びアルドリッチ社製ジビニルベンゼン(メタ、パラ混合品、ジビニルベンゼンとして48.7mmol)を仕込み、内温60℃に調整し攪拌(220rpm)した。乾燥窒素ガスを10L/分の流量で30分、液中にバブリングして系内及び重合液の水分をパージした。次いで、トリイソブチルアルミニウム50mmol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製、MMAO−3A/ヘキサン溶液)をAl基準で60mmol(表中ではMAOと記載)加え、ただちにエチレンで系内ガスを置換した。置換後、内温を75℃に昇温してエチレンを導入し、圧力0.4MPaG(4.0Kg/cmG)で安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タンクから、rac−ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドを80μmol、トリイソブチルアルミニウム1mmolを溶かしたトルエン溶液約50mlをオートクレーブ中に加えた。直ちに重合が始まり、内温は85℃まで上昇した。内温を85℃、エチレンを補給し圧力を0.4MPaGに維持しながら60分間重合を実施した(配位重合工程)。この段階でエチレンの消費量(流量計を通過したエチレン積算量:参考値)は標準状態で約1600Lであった。重合液の少量(数十ml)をサンプリングし、メタノールに混合してポリマーを析出させることにより配位重合工程のポリマーサンプルを得た。本サンプリング液より、配位重合工程でのポリマ−収量、組成、分子量等を求めた。
直ちに重合缶へのエチレンの供給を停止し、急速にエチレンを放圧すると共に内温を60℃まで冷却した。次いで、n−ブチルリチウム160mmolを触媒タンクから窒素ガスに同伴させて重合缶内に導入した。直ちにアニオン重合が開始し、内温は60℃から一時75℃まで上昇した。そのまま30分間温度を75℃に維持し、攪拌を継続し重合を続けた(アニオン重合工程)。
重合終了後、約100mlのメタノ−ルを注入することでブチルリチウムを失活させた。得られたポリマー液を、分散剤(プルロニック)とカリミョウバンを含む激しく攪拌した加熱水中にギアポンプにて少しずつ投入し、溶媒を除去し、加熱水中に分散したポリマ−クラム(大きさ約1cm)を得た。このポリマークラムを、遠心脱水し、室温で1昼夜風乾した後に60℃、真空中、質量変化が認められなくなるまで乾燥した。
約4.7kgのポリマー(クロス共重合体)が得られた。
実施例2〜4
実施例1と同様の手順で、ただし条件は表1に示す条件に変更して重合を実施した。
比較例
実施例1と同様の手順で、ただし条件は表1に示す条件に変更して重合を実施した。
重合条件及びポリマ−分析結果を表1及び表2に示す。

A硬度、力学物性、成形加工性(MFR値)を表3に示す。

また、耐摩耗性、傷付き性試験結果を表4に示す。

表4においては、比較例として、市販の代表的エラストマ−である、軟質塩ビ(A硬度70)、EVA(A硬度80)、SEBS(A硬度85)、PP−EPDMコンパウンド(A硬度80)、SEPS−PP系コンパウンド(A硬度80)、ポリウレタン(A硬度80)の測定値も示す。
スクラッチ試験後の試験片の表面のSEM観察を行った。
本発明のクロス共重合体及び軟質塩ビでは、SEM観察で傷を特定することは出来なかったので、図1、2ではその表面を示す。
一方、EVA及びPP−EPDMコンパウンドでは、明確な傷が観察されたので、同じ倍率で示す(図3、4)。
本発明の条件を満たすクロス共重合体(実施例1〜4)は、いずれも熱可塑性エラストマ−として良好な軟質性(A硬度)、力学物性、成形加工性を示す。さらに、本発明の条件を満たすクロス共重合体(実施例1〜4)は、いずれも良好な耐テ−バ−摩耗性(テ−バ−摩耗量100mg以下)と良好な耐傷つき性(スクラッチ試験、傷高低差 8ミクロン以下)を示すことができる。
一方、軟質塩ビはスクラッチ試験に於いて良好な耐傷つき性を示すものの、テ−バ−摩耗試験に於いて耐摩耗性は劣っている(摩耗量多い)。PP−EPDMコンパウンド及びEVAは耐摩耗性、耐傷つき性共に劣っている。以上から、本発明のクロス共重合体は優れた耐摩耗性(テ−バ−摩耗性)及び耐傷つき性を示すことがわかる。
実施例3で得られたクロス共重合体シ−トの表面(スクラッチ試験後)のSEM画像である。 軟質塩ビシ−トの表面(スクラッチ試験後)のSEM画像である。 EVAシ−トの表面(スクラッチ試験後)のSEM画像である。 PP−EPDMコンパウンドのシ−ト表面(スクラッチ試験後)のSEM画像である。

Claims (8)

  1. 配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程からなる重合工程を含む製造方法であって、配位重合工程として、シングルサイト配位重合触媒を用いてエチレンモノマー、芳香族ビニル化合物モノマーおよび芳香族ポリエンの共重合を行って、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を合成し、次にアニオン重合工程として、このエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物モノマーの共存下、アニオン重合開始剤を用いて重合することを特徴とする製造方法で得られるクロス共重合体において、下記条件を満足する製造方法により得られる耐傷つき摩耗性に優れたクロス共重合体。
    (1)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の芳香族ビニル化合物ユニット含量が8モル%以上28モル%以下、芳香族ポリエンユニット含量が0.01モル%以上0.5モル%以下である。
    (2)配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量割合が、アニオン重合工程を経て最終的に得られるクロス共重合体質量に対して83質量%以上95質量%以下である。
  2. 配位重合工程において、下記の一般式(1)で表される遷移金属化合物と助触媒から構成されるシングルサイト配位重合触媒を用いることを特徴とする製造方法により得られる請求項1に記載のクロス共重合体。
    式中、A、Bは同一でも異なっていてもよく、いずれも一般式(2)、(3)、または(4)で示される非置換もしくは置換ベンゾインデニル基、一般式(5)で示される非置換もしくは置換インデニル基から選ばれる基である。なお、下記の一般式(2)、(3)、(4)においてR1〜R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R1同士、R2同士、R3同士は互いに同一でも異なっていてもよく、また、隣接するR1、R2基は一体となって5〜8員環の芳香環または脂肪環を形成してもよい。 下記の一般式(5)においてR4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1〜10の炭化水素基を表す)である。R4同士は互いに同一でも異なっていてもよい。




    YはA、Bと結合を有し、他に置換基として水素もしくは炭素数1〜15の炭化水素基(1〜3個の窒素、酸素、硫黄、燐、珪素原子を含んでもよい)を有するメチレン基、または硼素基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよい。また、Yは環状構造を有していてもよい。
    Xは、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル基、または炭素数1〜20の炭化水素置換基を有するアミド基である。2個のXは結合を有してもよい。
    Mはジルコニウム、ハフニウム、またはチタンである。
  3. 請求項1記載のクロス共重合体を50質量%以上含む樹脂組成物。
  4. 請求項1記載のクロス共重合体または請求項3記載の樹脂組成物からなる耐傷つき摩耗性フィルムまたはシ−ト
  5. 請求項1記載のクロス共重合体または請求項3記載の樹脂組成物からなる耐傷つき摩耗性フィルムまたはシ−トを表層に有する成形体
  6. 請求項1記載のクロス共重合体または請求項3記載の樹脂組成物からなる合成皮革製品
  7. 請求項1記載のクロス共重合体または請求項3記載の樹脂組成物からなるグリップまたは外装部材
  8. 請求項1記載のクロス共重合体または請求項3記載の樹脂組成物からなる発泡体
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